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消化器内視鏡の進歩はめざましいものがあります。
胃カメラひとつをとりあげても経口式では患者さんが嫌がる時代です。 最近、解像度に関しては経鼻式は経口式に少し劣り、2割の早期がんを見落とすという話を聞きました。 相変わらず経口式でやっている私としてはグッドニュースです。 開業医では経鼻式が普及しつつあるようですが、病院ではどうなんでしょうか。 以下のカプセル式の解像度も気になります。 特別企画 第74回日本消化器内視鏡学会総会ランチョンセミナー 消化器内視鏡の最新情報 座長 杏林大学医学部第三内科教授 高橋 信一 氏 演者 大阪医科大学第二内科教授 樋口 和秀 氏 近年,臨床の場にさまざまな機能をもった内視鏡が登場し,食道や小腸など,従来は使用できなかった部位に特化した内視鏡も開発されている。また,コンピュータの画像解析による診断の効率化や操作性の向上もみられ,診断・治療の上で大きく期待されている。ここでは,当研究室で開発中の,日本初の自走式カプセル内視鏡を中心に,消化管内視鏡の最新情報を紹介したい。 小腸内視鏡 最近,患者に嚥下させることにより消化管内を撮影するカプセル内視鏡が登場し,これまで不可能であった小腸粘膜表層の病変を捉えることが可能となった。 一方,オーバーチューブと内視鏡の先にそれぞれバルーンが付いたダブルバルーンおよび,オーバーチューブのみにバルーンが付いたシングルバルーン小腸内視鏡も新たに登場し,小腸粘膜からの出血も,内視鏡下で治療を行うことができるようになった。 また,1人でも操作できるなど,操作性も向上している。 大阪市立大学医学部附属病院において,原因不明の消化管出血患者32例を対象に,カプセル内視鏡とダブルバルーンの病変認識率・診断率を比較したところ,病変の検出率はいずれも約70%であったが,陽性所見認識率はカプセル内視鏡が優れていた。 カプセル内視鏡はスクリーニング的要素が,ダブルバルーン内視鏡は治療的要素が強いと考えられる。 診断面では,カプセル内視鏡はびらんや血管異形成などの小病変を検出しやすいのに対し,ダブルバルーン内視鏡では憩室や腫瘍を検出しやすいなど,相補的な部分も多い。 現時点では,小腸出血で緊急治療を要する場合はダブルバルーン,時間的余裕のある場合はまずカプセル内視鏡を行うことが勧められる。 ただしカプセル内視鏡では,特に消化管閉塞・狭窄・瘻孔が疑われる症例では,その停滞・滞留に十分な注意が必要である。 カプセル内視鏡は2枚/1秒,計5万枚の撮影が可能で,付属のソフトにより連続する類似画像を1枚の画面に結合することで効率的にチェックできるオートマチックモードや,色調とパターンの変化に基づき,より特徴的な画像を抽出するクイックビュー,赤みを帯びた画像を抽出する赤色領域推定表示などの機能がある。また前処置薬服用により,病変の検出率が向上することも明らかとなった。 今後は,標準的な前処置法の検討が必要と考えられた。 NSAIDs小腸潰瘍 従来,NSAIDs潰瘍は胃・十二指腸のみが注目されていたが,原因不明の小腸出血の約10%がNSAIDs小腸潰瘍であることが知られてきた。 カプセル内視鏡を用いると,NSAIDsを3か月以上毎日服用している変形性関節炎,関節リウマチまたは非特異的関節炎患者(nonspecific arthritis)では,小腸潰瘍がコントロール群に比べ,約60%も高い確率で認められるとのデータもある。 このような小腸潰瘍に対する予防法としては,例えばプロスタグランジン(PG)製剤や防御因子増強剤などが考えられ,胃潰瘍とは異なり,酸分泌抑制薬は無効である。 しかし,NSAIDsによる胃への影響を考えると酸分泌抑制剤の使用機会は多く,小腸の炎症を悪化させない,抗炎症作用を有するラニチジン(商品名:ザンタックR)のようなH2ブロッカーも選択肢の1-つとなると考えられる。 H2ブロッカーと潰瘍治療の質 胃潰瘍において,治癒の状態を平坦型と非平坦型とに分けて再発率を見ると,平坦型は再発しにくく,また潰瘍瘢痕局所の炎症が抑制されていることが明らかにされている。 平坦型の治癒を促すためには,PG産生作用や抗炎症作用のある薬剤が適していると考えられる。 H2ブロッカーのなかで,ラニチジンは,好中球浸潤抑制,好中球の活性酸素産生能抑制および好中球エラスターゼ放出抑制作用が認められることが,動物実験により証明されている。そこで実際にヒトの潰瘍について多施設で検討したところ(図1)12週目の胃潰瘍の治癒率はほぼ95%以上であったが,ラニチジンでは平坦型瘢痕治癒率が63%であり,潰瘍治癒の質(QOUH)が優れていることが示された。 例えばHelicobacter pylori(H.pylori)除菌後の治療においても,ラニチジンは,抗炎症作用による除菌後の再発抑制効果が期待されること,偽陽性などの問題も少ないため,除菌終了1か月後のH.pylori除菌判定がラニチジン内服中でも可能,PPI(Proton Pump Inhibitor)に比べマイルドで日本人に合った酸分泌抑制作用,さらにPPIよりも安価,というメリットがあると考えられた。 食道用,大腸用のカプセル内視鏡と今後の課題 食道用のカプセル内視鏡は,仰臥位で飲み込んだ後,徐々に頭を上げていくことで,食道内をゆっくりと写真をとるもので,海外では逆流性食道炎やバレット,食道静脈瘤などのフォローアップに用いられている。 ただし,今後これまでの内視鏡所見との比較検討が必要と考えられる。 大腸用のカプセル内視鏡は,前後にレンズが付いているためヒダの後方も撮影でき,憩室や腫瘍,ポリープなどが明瞭に描出できるのが特徴である。 すべての部位に共通するカプセル内視鏡の今後の課題としては,自立して動くカプセル,病変を認識しリアルタイムで観測できるシステム,体外からの電力供給,消化管内への治療薬・試薬の散布,腸液や腸内ガスの採取,および病変の自動認識システムなどが挙げられよう。 日本初の自走式カプセル内視鏡 われわれは現在,日本初の"自走式カプセル内視鏡"を龍谷大学理工学部・大塚尚武教授のグループと共同開発している。 構造が簡単であること,動力を非接触で供給できること,また遠隔制御が可能であることをコンセプトとし,磁場を利用した駆動制御を採用した(図2)。 磁石に交流磁場を与え磁石を振動させてカプセルの"ヒレ"に伝えることにより,ヒレが振動を推進力に変え自力で移動するもので,交流磁場の波形を変化させることにより速度や進行方向を制御でき(図3),バックや回転も可能である。現在,胃の模型に,ポリープに見立てたビーズを入れてカプセルを実際に動かし,撮像させる実験を行っている。 焦点距離や明るさなどの課題はあるものの,撮像可能な段階まできている。 以上,ここに紹介したのはほんの一部であり,最近注目されているNOTESと呼ばれる胃や子宮からの内視鏡下腹腔内手術をはじめ,内視鏡分野は今後さらなる進歩が期待される。 出典 Medical Tribune 2008.2.28 版権 メディカル・トリビューン社 画像メモリの都合で本日をもって 井蛙内科開業医/診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp に引っ越します。
レビー小体型認知症については昨年2007年9月28日のこのブログでとりあげました。
レビー小体型認知症(DLB) http://wellfrog.exblog.jp/7065699 第26回日本認知症学会でのレビー小体型認知症の記事がたまたま目にとまりました。 きょうは認知症で勉強しました。 レヴィ小体型認知症 精神症状としては幻覚が最も多い レヴィ小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病に次いで多い神経変性認知症である。 滋賀県立成人病センター老年神経内科の長濱康弘氏らはDLB患者の精神症状を因子分析を用いて客観的に分類し,症状としては幻覚が78%と最も高頻度に見られたことを,第26回日本認知症学会で報告した。 妄想は女性性と正の相関 対象は,同科もの忘れ外来を受診した患者のうち,DLB国際合意基準に従って診断されたDLB患者100例(probable:臨床的確診96例,possible:臨床的疑診4例)である。 男性31例,女性69例と女性が多く,平均年齢は77.2歳。 それぞれの精神症状の有無を明らかにするため,患者とその主介護者に,精神症状(幻覚,妄想,誤認)と気分障害(気分変調)に関して構成された質問表を用いた半構造化面接を行った。 解析の結果,4因子解が得られた。 因子1~4の固有値はそれぞれ2.58,1.77,1.59,1.40であり,因子間の相関は非常に低かった。 因子1は,人物や場所の誤認,カプグラ症候群(既知の人が"そっくりの人物"に置き換わったと確信する錯覚),"幻の同居人",人物や場所の重複記憶錯誤が含まれる。 因子2は,人物の重複記憶錯誤,死亡した身内が生存していると信じている,来訪していない身内が家のなかにいると信じているというもの。 因子3は,動物や虫の幻視,物体の幻視,要素幻視。 因子4は,人物の幻視や実体意識性(実際はいないのに背後に人がいる気配を感じる)である。 なお,物盗られ妄想や迫害妄想は上記因子とは独立したものだった。 DLBの精神症状は表のように分類された。78%が幻覚カテゴリーの症状を,56%が誤認カテゴリーの症状を,25%が妄想症状を有していた。 幻覚や誤認は,性,教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度と関連しなかったが,幻覚のある患者はない患者よりも有意に年齢が高かった(78.2±6.4歳 vs. 73.5±5.3歳,P=0.0019)。 妄想の存在と女性性とには正の相関が見られた(妄想患者25例中22例と妄想のない患者75例中47例が女性,χ2=4.50,P=0.034)。また,この女性優位は特に物盗られ妄想において顕著であった(14例中13例)。 年齢や教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度に関しては,妄想の有無に有意差は認められなかった。 以上から,長濱氏は「DLBの基礎にある病態生理および精神病理を理解するうえで,幻覚,誤認,妄想は分けて考える必要がある」 と結論付けた。 なお,同研究の論文はAm J Geriatr Psychiatryの11月号(2007; 15: 961-967)に掲載されている。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007 出典 Medical Tribune 2007.12.13 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> AD治療薬ドネペジル 中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度 アルツハイマー病(AD)の治療にはコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルが用いられているが,名古屋大学大学院老年科学の梅垣宏行氏らは,同薬の中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度であることを明らかにした。 重症例では無効がおもな理由 対象は,2003年7月~05年6月に同科外来を訪れ,精神疾患の分類と診断の手引き第 4 版(DSM-IV)基準に従ってADと診断された患者である。 薬物治療はドネペジル3mg/日で開始し,1~2週間服用して耐容性が認められたら,5mg/日まで増量するというもの。 認知症の重症度は臨床認知症評価尺度(CDR)により評価した。 ドネペジルを処方されたのは264例(平均年齢79.6±6.5歳,男性87例,女性177例)で,内訳はCDR0.5が9例,同 1 が165例,同2が58例,同3が32例。ちなみにCDRは数値が大きくなるほど重症度が増す。 観察期間中に同薬を中止したのは140例(53.1%)で,継続群と中止群の平均年齢に差はなかった(それぞれ79.5±6.7歳,79.8±6.4歳)。 Kaplan-Meier解析の結果,認知機能障害がより重症な患者ほど,より早期に中止し,中止率も高いことがわかった。 中止理由は,治療している医師の交替が71例,薬剤の無効が16例,消化器系の副作用が11例などであった。 年齢で補正してロジスティック回帰分析を行ったところ,中止に関連する変数として,年齢,性,CDR,独居が抽出されたが,そのうち中止に有意な影響を及ぼしているのはCDRだけであった(オッズ比1.654,95%信頼区間1.122~2.439,P=0.011)。 CDR 1~2の患者では医師の交替が中止理由として圧倒的に多かったが,CDR 3の重症患者では医師の交替と薬剤の無効がほぼ同数でおもな中止理由となっていた。 梅垣氏は「大学病院のもの忘れ外来においてドネペジルはわれわれが予想したよりも高い頻度で中止されており,とりわけ認知症が進展した患者で高かった。薬物治療をとぎれなく行っていくという観点からは,認知症が進展した患者への効果的な薬剤が切望される」と締めくくった。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007 出典 Medical Tribune 2007.12.13 版権 メディカル・トリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
スクリーニング間隔をめぐる問題
神代 スクリーニングの間隔についてはいかがですか。 工藤先生が紹介されたように日本では,超高リスク群は3~4か月毎に経過観察するとしていますが。 Bruix 間隔はリスクのレベルではなく,腫瘍の成長速度に基づくべきだと考えています。 なかには腫瘍の発症リスクが非常に高い患者もいますが,一般に腫瘍はそれほど早くは成長しません。 欧米のガイドラインでは6か月毎としていますが,これは6か月毎の超音波検査で経過観察を実施した研究を踏まえています。 中国で実施された研究であり,唯一の研究です。 肝硬変患者は6か月毎に1.5%を超える頻度で肝細胞癌を発症することが示されました。 正常肝や慢性肝炎の人ではこれよりも低い頻度で発症します。 現在,フランスでも6か月毎と3か月毎の経過観察を比較する無作為化比較試験が進められています。 工藤 しかし,C型肝硬変からの肝発癌の頻度は日本と欧米では違います。日本では毎年7~8%と高率です。 Bruix 確かに高いと思いますが,それはコホートのリスクに依存します。 工藤 高リスク群では間隔を短くすべきだと思います。 Bruix 現在,欧州の肝細胞癌のほとんどはアルコール性肝炎によるもので,多少の差はあるものの男性が多く,50歳より高齢です。 他の新たなパラメータを見出すことは困難ですし,検査間隔の短縮はさほど重大な事項とは考えていません。 Han 腫瘍の倍化時間に基づいて経過観察の間隔を決定するというBruix先生の考えに同意しますが,診断の感度や特異度を上げるという意味で日本の先生方の意見にも同意します。 やはり超音波検査だけでは一部の腫瘍を見逃すことがあります。 特に大結節性肝細胞癌に類似した多結節性患者を見るのは困難ですので,こうした症例では診断ミスを避けるため頻回のスクリーニングが推奨されます。 Bruix 確かにそうです。 Han 私たちは肝細胞癌の進行を予測するためのソフトを作成しています。 高リスク群,中リスク群,低リスク群の3群に分けていますが,おそらく高リスク群は日本での超高リスク群に含まれます。 ただ,いくつかの問題点があります。 例えば,代償性肝硬変の一部はキャリアーまたは単なる肝炎として過小評価されており,日常臨床で医師が患者に代償性肝硬変かどうか尋ねることはなく,データ集積が難しいのです。 最近,FibroScanRを用いて患者が高スコアか低スコアかをスクリーニングしています。 しかし,B型肝硬変はC型肝硬変と違い,評価がやや難しいのが難点です。 欧州の各国では低リスク群をスクリーニングから除外していますが,肝炎はゆっくり進行します。 それらの一部は肝硬変患者のリスク群に移行しますので早期からの注意深い観察が必要です。 現在私たちは高リスク群で3か月間隔と6か月間隔,低リスク群で1年間隔と6か月間隔の経過観察による予後の差を比較する無作為化比較試験を計画しています。 神代 病理の立場からは,B型肝硬変患者により注意を払うようにといつもアドバイスしています。 B型肝硬変とC型肝硬変では再性結節の大きさが有意に異なります。 ご存じのようにB型肝硬変は大結節性ですが,C型肝硬変は2~3mmの小結節性です。 そのため,C型肝硬変では,より小さな肝癌が診断され,B型肝硬変では進行した段階で診断される傾向があり,外科切除例で見るとC型肝硬変では腫瘍径がB型肝硬変に比べ有意に小さい結果が出ています。 こうした傾向は韓国でも見られますか。 Han はい。 B型肝硬変を6か月毎に経過観察していて,肝臓に腫瘍を見つけたとき,すでに肺に転移していた患者を最近経験しました。 B型肝炎ウイルスが関係する腫瘍は予測しにくいことがありますので特に注意すべきです。 Bruix 米国のガイドラインでも,最低限注意すべきこととして,B型肝炎ウイルスと家族歴を挙げています。 肝細胞癌の治療 欧州では外科切除,韓国,日本ではアブレーション治療が第一選択 神代 次に肝細胞癌の治療に話題を移します。 2cm未満の小さい腫瘍に対してどのような治療を選択されますか。 Han 韓国では,一般にまず外科切除が勧められていますが,私たちはアブレーション治療のような内科的治療を勧めています。 治療の適応は患者の年齢や肝機能に応じて決めますが,アブレーション治療で十分な有効性が認められない場合には外科切除を勧めます。 神代 アブレーション治療として何を選択されますか。 Han ほとんどは経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA)です。 Bruix 欧州では,ほとんどの施設の第一選択は外科切除です。 最近は2cm未満の腫瘍も切除できるようになっています。 外科切除では,腫瘍の血管浸潤をチェックできます。 これは再発や播種のリスクを予測する最もよい方法です。 再発が予測される患者には肝移植を勧めます。 再発リスク予測因子が認められない患者は通常のスクリーニングで経過観察し,必要に応じてアブレーション治療で対応します。 ただ,最近,腫瘍が2cm以上で,移植の候補にならない患者には,最初にアブレーション治療を行うことが増えつつあります。 私たちは90%以上の患者で腫瘍の完全壊死を達成しています。 アブレーションでは血管浸潤に関する情報が得られませんが,その生命予後は外科切除とほぼ同等です。 イタリアではこうしたアプローチが多く行われており,全国規模の研究も進められています。 アブレーション治療としてはRFAがよく用いられます。 RFAが十分でない場合にはエタノール注入が行われることが多いようです。 工藤 日本のガイドラインでは,肝機能のステージ,数,大きさを考慮した治療が推奨されています。 肝障害度(Child)A?Bの患者に対しては,単発であれば,まず外科切除,次にアブレーションを行います。 しかし,結節が2cm未満のchildB患者であれば,まずアブレーションを行います。 ただ,実際には,2cm程度の結節の患者にはほとんどの肝臓専門医がRFAを行っていると思います。 RFA後の壊死率はほとんどの文献が80~90%壊死としていますが,日本ではどの施設も壊死面積が100%になるまでRFAを繰り返しています。 CTによる評価で腫瘍周囲のマージンの完全な壊死が認められて初めてRFAを終了します。 Bruix CTはいつ行うのですか。 工藤 翌日です。 2cm程度であれば,通常,1セッションで十分です。 神代 日本でも,手術よりもアブレーションを希望する患者が増える傾向にありますね。 治療成績比較の問題 外科切除とアブレーションのステージングに違い 神代 ただ,外科切除とアブレーションの選択をめぐっては議論もありますね。 工藤 日本肝癌研究会の報告で,門脈浸潤を伴わない2cm径の腫瘍ではエタノール注入よりも手術のほうが生存率がよいことを示しましたが,最近のデータでは同追跡調査報告で,手術よりもRFAのほうが5年生存率がよいという成績も報告しています。 Han 外科医と非外科医の間にはステージングに乖離があるように思います。 つまり,腫瘍径が同じであっても,病理学的には別のステージに分類されることがあります。 ですから,ステージングを同じにして比較すべきだと思います。 Bruix ステージの乖離は病理学の後ろ向き評価ではしばしば起こりますが,RFA後24時間以内にCTを実施してその所見をチェックする必要があります。 私たちはhypervascular spotがRFAによる炎症性変化を反映しやすいことを見出しました。 治療による炎症性変化を反映したものであればこのspotは3~4 週間で消失します。 ですから,アブレーションの種類にかかわらず,1週間後に造影剤検査あるいは超音波検査を行い,それで問題がなければCTあるいはMRIにより腫瘍の壊死を経過観察します。 治療の成否はこの経過観察で判明します。 それから,RFAの施行回数については,私たちは2回までとしています。 それで残った病変に対しては通常エタノール注入を行います。 神代 韓国ではいつCTで治療効果をチェックしますか。 Han 治療担当医の経験によります。完全と感じたら1か月後にCTスキャンを行いますが,不完全と感じたら2~3日後を勧めます。 Bruix 効果判定の時期はアブレーションを試みた腫瘍の種類に依存するように思います。 小さい腫瘍であれば壊死していない病変はまず残っていないでしょうからCTを頻繁に行う必要はありませんが,より大きい腫瘍であれば,すべての腫瘍を除去できないことがわかっているわけですから,次の治療で標的とする病変の情報を得るためにCTでチェックする必要があります。 神代 本日の議論からも,肝細胞癌の診断と治療をめぐる欧州,アジア,日本の一致点や相違点を垣間見ることができたと思います。 診断面では腫瘍マーカーの位置付けや経過観察の頻度に違いがあることがわかりました。 治療面では,進行病変については議論できませんでしたが,各国ともアブレーションを行うことが増える傾向にあるということでした。 今後もこうした情報交換の場をもち,肝細胞癌の診療の向上につなげることができれば幸いです。 ![]() 出典 日経新聞・朝刊 2008.5.14 版権 日経新聞社 (画像をクリックすると拡大します) <コメント> またまたやってくれました。 「女医は・・・産婦人科などで特に必要とされ・・・」 きついからただでさえ成り手がないのに、女医がよりによって産婦人科医になると いう幻想。 厚労省の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」の構成員は一体? 矢崎義雄氏 循環器内科学の重鎮 野中 博氏 日本医師会常任理事(専門は内科) 辻本好子氏 学歴や経歴不詳 女医はメンバーに入っていない。 こうやって当事者を抜きにして物事が決まっていく。 <参考サイト> 「安心と希望の医療確保ビジョン」第1回会議の開催について 平成19年12月21日 出席予定者 舛添要一厚生労働大臣 松浪健太厚生労働政務官 矢崎義雄(独立行政法人国立病院機構理事長) 野中 博(野中医院院長) 辻本好子(NPOささえあい医療人権センターCOML理事長) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/s0107-1.html 野中医院 http://www.myclinic.ne.jp/nonaka/pc/doctor.html 野中博常任理事,介護保険制度を語る http://www.med.or.jp/nichinews/n160805a.html いのちの主人公、からだの責任者 http://www.lifence.ac.jp/goto/weblifence/inta/inta6.html 厚生省「医者にかかる10箇条」のここに学べ http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/Isyanikakaru10kajyou.html 患者情報室の設置を――NPOささえあい医療人権センターCOML理事長 辻本好子氏 http://health.nikkei.co.jp/forum/index.cfm?i=2004042602345pe 辻本好子 http://www.u-shimane.ac.jp/01topics/file/kyakuin.pdf 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
肝癌の診断と治療法も国によって違うようです。
特別企画 座談会 日本・アジア・欧州における肝癌の診断と治療 現在,肝細胞癌による死亡者は世界中で年間60万人から70万人に及ぶとされ,東南アジア,アフリカだけでなく欧米でも増加傾向にある。 10~20年前には関心の低かった欧米でも近年,肝細胞癌が注目されるようになった。 しかし,長年経験を重ねてきた日本やアジアとの間には,診断や治療に対する考え方やアプローチにまだかなり異なる点がある。 その背景には肝細胞癌のほとんどがウイルス性肝炎から発症する日本と違い,欧米ではアルコール性肝障害や原因不明の非ウイルス性の肝細胞癌が大部分であり,こうした疫学の違いが少なからず関係しているようだ。 本座談会では「日本・アジア・欧州における肝癌の診断と治療」と題して,日本,韓国,スペインの肝細胞癌の専門家4氏が,診断や治療をめぐる各国の状況について討議した。 司会 神代 正道 氏 久留米大学名誉教授,柳川病院特別顧問 出席者(発言順) Jordi Bruix 氏 バルセロナ大学内科教授,Barcelona Clinic Liver Cancer Group主任 Kwang-Hyub Han 氏 延世大學校医科大學消化器内科教授 工藤 正俊 氏 近畿大学医学部消化器内科学教授 肝細胞癌の診断 欧米:腫瘍マーカーによらず画像検査で 神代 まず肝細胞癌の診断をめぐる状況についてお伺いします。 Bruix先生は欧州肝臓学会(EASL)および米国肝臓学会(AASLD)の肝細胞癌に関するガイドライン作成の中心的な役割を担っておられますが,まず欧米の状況についてお聞かせください。 Bruix 欧州と米国ではガイドライン内容の統一を図ろうとしています。 欧米では肝細胞癌に関する疫学や治療等の決定因子の多くは共通していますが,欧州では肝細胞癌の診断・治療に関する研究に長年取り組んでいること,スクリーニングプログラムの実施等で米国をかなりリードしていると言えます。 一方,米国では従来の知見が軽視され,画像診断技術に関心が向きがちでしたが,最近ではこうした問題も改善されつつあるようです。 ガイドラインについてですが,肝細胞癌の診断は腫瘍径の大きな病変/進行性の病変と早期の病変の2つに大別できます。欧州および米国のガイドラインでは,径が2cm以上の病変において,画像検査で動脈性のhypervascularityの後に静脈相でwashoutが認められれば,それが肝硬変でも肝細胞癌と確定診断できるとしています。 早期の病変については,一致したデータが得られていないため議論が続いていますが,私たちは前向き研究で欧州の基準の有用性を確認しました。 1~2cmの病変があり,動脈濃染と静脈のwashoutが認められれば,肝細胞癌と診断されます。 ただ,この診断方法だけでは偽陽性の可能性もあり,例えば,画像上の確認が難しい10mm未満の腫瘍の場合には,診断や経過観察を完全に行う方法はなく,課題が残ります。 次に治療レベルですが,欧州では肝移植だけでなく効果的な内科治療を受けられる施設がごく一部しかありません。 市中病院の技術は最適とはいえず,進行性の肝細胞癌に対しても頻繁に生検やCT,MRIを行うことはありません。 神代 スペイン,イタリア,フランスは他の国よりもレベルが高いとされていますが,同じ欧州でも国により診断レベルに大きな違いがあるようですね。 韓国:腫瘍マーカーの有用性にも期待 神代 韓国の状況はいかがですか。日本と似ていると思いますが。 Han 欧州のガイドラインに基本的に同意しますが,一部,異なる点があります。 1 つは生検です。 これまで論文を投稿しても生検をしていないという理由で却下されることが多かったのですが,私たちは必ずしも生検は必要ないと考えています。 この点については,2001年のバルセロナのコンセンサス会議で生検によらない診断が支持されましたので評価しています。 もう1つは腫瘍マーカーです。 AFPやPIVKA-IIが有用だと考えています。 私たちは長期にわたる経過観察中に新たに認められた腫瘍について調査していますが,一部の腫瘍ではPIVKA-IIと腫瘍径の拡大の間に強い関係が認められます。 そうした腫瘍は2cm未満のこともあり,生検は必要ありません。 腫瘍マーカーは,すべての症例でというわけではありませんが,肝細胞癌の早期診断の感度や特異度を高める可能性があります。 韓国では腫瘍マーカーは非常に安価ですので,スクリーニング実施の観点からも有用性にも期待しています。 それに対して,超音波検査は非常に高価なため,スクリーニングのネックになっています。 画像診断については,私たちは通常,CTスキャンを行い,それで結論が得られなければMRIを使用します。 しかし,バルセロナのコンセンサスでは,診断ツールとしての血管撮影使用が否定されました。 ですから,血管造影の有用性を検討する前向き無作為化試験を実施する必要があると考えています。 血管造影は欧州では非常に高価な方法ですが,韓国ではそれほどではなく,MRIとほぼ同じぐらいです。 また,最近,私たちの施設ではPETスキャンを導入しました。 診断ではなく,治療経過をモニタリングするためです。 他の方法ではわからない腫瘍の変化も捉えられるものと期待しています。 日本:高リスク群は6か月毎の超音波と腫瘍マーカーで 神代 工藤先生,日本における肝細胞癌の診断について紹介していただけますか。 工藤 日本では20年前に全国的なスクリーニングプログラムが確立されました。 最近発表されたわが国のガイドラインでは,超高リスク群としてB型肝硬変およびC型肝硬変が示されています。 これらの患者に対しては3~4か月毎の超音波,3~4か月毎の腫瘍マーカー,12か月毎のダイナミックCTあるいはダイナミックMRIが推奨されています。 腫瘍マーカーはAFP,AFPL-3およびPIVKA-IIの3種類です。 また,<span style="color:rgb(255,0,0);">高リスク群としてはC型肝炎,B型肝炎,および非ウイルス性肝硬変が示され,6か月毎の超音波検査,6か月毎の腫瘍マーカー測定が推奨されています。 こうしたスクリーニングが日本では全国のほとんどの病院で行われています。 欧米のガイドラインと日本のガイドラインでは,腫瘍マーカーとスクリーニングの間隔が異なります。 日本では画像診断には偽陽性や偽陰性の問題があるため,画像診断だけで検討することはほとんどありません。 APシャントや不規則なhyper-enhancing areaを有する症例ではAFP,AFPL-3,およびPIVKA-IIが肝細胞癌の診断に役立ちます。 2001年のEASLガイドラインはAFPを含めましたが,2006年の改訂版(EASL2006)では,肝細胞癌の診断・治療において推奨される腫瘍マーカーのうち,陽性率や特異度が低いことを理由として,AFPが除外されました。 おそらく日本の肝臓専門医の多くは,なぜAFPを除外したのか理解できないと思います。 この点は欧米と日本のきわめて大きな違いです。 さらにEASL2006と日本のガイドラインのもう1つの違いはダイナミックスタディーです。 EASL2006では,1~2cmの結節に対して2つのダイナミック画像による診断を同時に行う必要があるとされています。 しかし,肝癌結節ではhypervascularityと静脈相のwashoutが典型的ですので,1つのダイナミックスタディーの画像診断で十分と考えられます。 腫瘍マーカーの位置付け神代 欧米とアジアの違いとして,腫瘍マーカーの位置付けやスクリーニングの間隔などが指摘されました。 Bruix先生,欧米のガイドラインではなぜ腫瘍マーカーが除外されたのですか。 日本では25~30年前までは肝癌の多くは進行した状態で診断され,平均生存期間は3~6か月でした。 しかし,高リスク集団が確立され,AFPを含めスクリーニングプログラムの全国実施により診断能が劇的に改善しました。 この点についてどうお考えですか。 Bruix 欧米にも腫瘍マーカーが有用なツールであると考えている人たちもいます。 私も腫瘍マーカーの有用性を否定するわけではありませんが,ガイドラインで診断ツールの1つとして取り上げるためには,その有用性を証明するデータが必要です。 とりわけ米国ではそれが強く求められます。 20年ほど前,私が肝癌の研究を始めた頃,欧米では肝癌は存在しないと思われていました。 私は最初の論文を米国の雑誌に投稿しましたが,その論文も受理されませんでした。 ところが,1990年に日本に来たとき,ここでは肝臓病が先進的な病理学者によって適切に分類され,超音波で肝癌が見つけられていました。 もちろんコホートやリスクファクターは違うのですが,基本的なところは欧州と同じでした。 当時,画像診断の感度や特異度は十分ではなく,腫瘍マーカーが非常に有用でした。 しかし,画像診断技術が格段に進歩した現在,腫瘍マーカーの使い方は難しくなっています。 hypervascularityが確認された場合,腫瘍マーカーの異常の有無にかかわらず肝細胞癌と診断できます。 一方,hypervascularityが確認されない腫瘍に対しては,腫瘍マーカーの有用性を検討した研究が非常に少ないため,現時点では肝生検を実施せざるを得ないと考えています。 ですから,腫瘍マーカーがガイドラインで取り上げられるためには,実際の臨床における腫瘍マーカーの役割を明らかにするため大規模コホート研究などを実施し,そこで有用性を証明する必要があります。ただ,近い将来,画像診断を補完する新たな腫瘍マーカーが出てくる可能性はあります。 工藤 一般臨床でAFPを測定しないのですか。 Bruix 測定しません。 最近,肝硬変患者をAFPやPIVKA-IIなどの生化学検査と超音波検査で1年毎に経過観察する研究を終了したところですが,AFPもPIVKA-IIも有効性は認められませんでした。 米国立衛生研究所(NIH)もアラスカで同様の研究を実施しましたが,有効性は認められませんでした。 神代 AFP-L3についてはどうですか Bruix 腫瘍マーカーに可能性があるとすれば,それは再発や急速な進展のリスクの予測だろうと思います。 例えば,肝移植の優先度を決定するパラメータの1つになる可能性があります。もしAFPが100を超える腫瘍であれば,それはAFPを産生しない腫瘍に比べてリスクが高いとみなされます。AFP-L3およびPIVKA-IIについても,そういう状況での可能性はあると思います。
骨粗鬆症治療の際に、「いつまでこのお薬は飲み続けるのですか」という質問を受けられた先生も多いのではないでしょうか。
ビスホスホネート剤のアレンドロネートでの研究で、5年飲み続ければ大丈夫という結果が出(てしまい)ました。 メーカー主催の講演会では取り上げてもらえない内容です。 これからの診療現場で患者さんに正直にこのことを説明するかしないかは「自由だ~!!」ということでしょうか。 それにしても米国の研究者って面白い研究をするもんですね。 まさか製薬メーカーが背景にいて、こんな結果が出てしまって困っているということではないでしょうね。 ちょうどゼチーアのENHANCE試験を思い出させる結果です。 ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2) http://blog.m3.com/reed/20080428/1 ENHANCE試験をめぐる論争 その2(2/2) http://blog.m3.com/reed/20080429 5年で投与中断しても骨折リスクの有意な上昇見られず 閉経女性の骨粗鬆症に対する治療期間はどの程度にすべきか。 これまで、最適な治療期間を検討した大規模研究はなかった。 米California大学San Francisco校のDennis M. Black氏らは、アレンドロネートを約5年間使用、その後5年間治療を継続した場合と、後半の5年間に偽薬を投与された場合の骨量や骨折リスクを比較した。 その結果、多くの症例で、5年で治療を中止しても骨折リスク上昇に結びつかない可能性が示された。 研究成果はJournal of American Medical Association(JAMA)誌2006年12月27日号に報告された。 閉経後女性の骨粗鬆症治療に最も広く用いられているのは、骨の再吸収を抑制するビスホスホネート剤だ。 なかでもアレンドロネートは骨粗鬆症女性の骨代謝を抑制、骨密度を高めて、骨折リスクを減らすことが示されている。 薬物動態学的研究によると、ビスホスホネートは骨に蓄積される期間が長い。 骨基質に取り込まれた薬剤は不活性化され、骨吸収時に徐々に放出されて活性を現すという。末梢での半減期は骨ミネラルと同等の約10.5年という報告もあり、骨への影響は治療中止後も数年間継続する可能性が示されている。 著者らは、ビスホスホネート治療をリスク上昇なしに中断できるかどうかを調べるため、Fracture Intervention Trial(FIT)の被験者の一部を対象に、Fracture Intervention Trial Long-term Extension (FLEX)試験を実施した。 FITは、二重盲検の無作為割付比較対照試験で、骨密度低値の閉経女性を対象に骨密度と骨折リスクに対するアレンドロネートの影響を調べた。 アレンドロネート5mg/日を2年間投与し、その後10mg/日に増量して治療を継続(3236人)した患者と、偽薬群(3223人)を比較した。平均追跡期間は3.8年だった。 FLEX試験では、これらの患者の中から、少なくとも3年間アレンドロネートを使用した女性を選び、その他の条件も満たした1099人を被験者として、アレンドロネート5mg/日(329人)、10mg/日(333人)、または偽薬(437人)に割り付け、5年間投与を継続した。カルシウム(500mg)とビタミンD(250U)を含むサプリメントも投与した。 主要アウトカム評価指標は大腿骨近位部の骨密度、2次評価指標は、他の部位の骨密度と骨の再構築を示す生化学的マーカーを測定、予備的な評価指標として骨折の発生率も調べた。 その結果、アレンドロネート使用群と偽薬を使用した中断群で、各部位の骨密度の差は有意だったが、FLEX終了時、中断群の骨密度の平均値は、10年前の治療開始前と同等かそれ以上の値を維持していた。 5年を超えて治療を継続した場合、腰椎の骨密度はさらに増加したが、大腿骨においては、最初の5年間に増加した骨密度の値が維持されるに留まった。 中断群では血清中の骨代謝マーカー値は治療群に比べ、55.6%(1型コラーゲンC-テロペプチド:1CTP)、59.5%(1型コラーゲンN末プロペプチド:pro N)、28.5%(骨特異的アルカリホスファターゼ)などと有意に上昇していたが、FIT試験開始時点よりも低い値を維持していた。 5年間の非脊椎骨折の累積発生率は、治療群で19%、中断群では18.5%で、リスクに有意差はなかった。疼痛のある骨折を臨床骨折、疼痛がないものを形態骨折に分類すると、治療群では、脊椎の臨床骨折リスクは有意に低かった(中断群5.3%、治療群2.4%、相対リスクは0.45)。 しかし、脊椎の形態骨折には、有意な減少は見られなかった(中断群11.3%、治療群9.8%、相対リスク0.86)。 以上のように、5年間のアレンドロネート治療後、使用を中止した女性の骨密度は減少し、生化学的マーカー値は徐々に上昇したが、治療継続群に比べ、骨折リスクが有意に増大したのは、脊椎の臨床骨折のみだった。 臨床骨折の発生率は中断群でも5.3%程度であるため、臨床骨折リスクが高い女性を除く多くの女性については、5年間の治療後、最高5年間投与を中断しても、骨折リスクは上昇しないのではないか、と著者らは考えている。 本論文の原題は「Effects of Continuing or Stopping Alendronate After 5 Years of Treatment: The Fracture Intervention Trial Long-term Extension (FLEX): A Randomized Trial」。 骨粗鬆症へのビス剤投与は5年で十分か 5年で投与中断しても骨折リスクの有意な上昇見られず http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/200701/502270.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 <参考ブログ> アレンドロネートの骨折抑制効果(FIT試験) http://fosamac.jp/secure/related_data/fit.html <ココメント> 製薬メーカーのサイトで検索しましたが、この研究報告の内容はのっていませんでした。 当然といえば当然です。 メーカー主催の講演会の話の内容もそういった気持ちで聞かなければいけませんね。 私もメーカーから講演を頼まれたら(そんな機会はありませんが)、きっと都合の悪い話はしないと思います。 テレビや新聞の報道も公平なようにみえて決してそうではないわけですから。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
ビス剤中断例は他のビス剤への切り替えで半数以上が継続可能
横浜市立大学附属市民総合医療センターリウマチ膠原病センターの大野滋氏 関節リウマチ(RA)患者は骨粗鬆症を合併しやすく、骨折の頻度も一般人口に比べて高いことが知られている。 このため、骨粗鬆症の治療はより重要な意味を持つ。 現在、骨粗鬆症治療薬として最も広く使用されているのはビスフォスフォネート製剤だが、服薬アドヒアランスをどう向上するかが課題となっている。 横浜市立大学附属市民総合医療センターリウマチ膠原病センターの大野滋氏らは、服薬困難などの理由でビス剤を中断しても、別のビス剤にスイッチングすることにより、治療を継続できる症例が多いことを明らかにし、第52回日本リウマチ学会のポスターセッションで報告した。 骨粗鬆症は自覚症状に乏しいため、服薬アドヒアランスが悪い。 なかには、1年継続率が20%を切るという報告さえある。ビス剤を中断した患者には、もう一度同じビス剤の服用を再開してもらうと、継続可能となる患者が少なくないことが報告されている。例えば、消化器症状のために1日1回アレンドロネート(ALN)を中断した患者にALNを再処方したところ、消化器症状で再び中断する割合は15%に留まり、プラセボ群の17%と有意差がなかったという成績だった。また、1日1回リセドロネート(RIS)の中断例でも、再処方により、47%が服用を再開・継続できたことが報告されている。 ビス剤間でのスイッチングという方法も試みられており、大野氏らは今回、スイッチングの状況や効果を検討した。 2000年1月~2005年6月の間、横浜市大市民総合医療センターでビス剤を処方した1307例のうち、中断が認められたのは497例(38%)だった。 このうちビス剤間のスイッチングが行われた146例(29%)を対象とした。ALNやRISは現在、1日1回製剤に加え、週1回製剤も使用できるようになっているが、今回の対象はいずれも、週1回製剤が登場する前の症例だ。 中断の理由は、副作用22%、服薬困難6%、処方忘れ30%、その他41%。副作用のほとんどは消化器症状だった。 また、処方忘れが中断理由となった症例はすべて、3カ月ごとに処方するエチドロネート(ETD)の服用例であった。 スイッチングした2剤目の継続率を検討すると、3年継続率は65%で、1剤目の3年継続率45%より有意に高かった。 スイッチングが行われた症例の背景を見ると、若年、女性、産婦人科やリウマチ膠原病科など内科系の患者、1剤目がETD、ステロイド薬併用といった患者が有意に多かった。 スイッチングした2剤目を再び中断してしまう症例も認められたが、そのリスクファクターを検討すると、高齢、副作用によるスイッチング、男性、2剤目がETDといった要因が浮かび上がった。 1剤目を副作用のためにスイッチングした症例では、2剤目も副作用で中断するリスクが4.2倍高く、中断要因としての副作用の重要性が改めて強調される形となった。 大野氏は「服薬困難などの理由で1剤目のビス剤治療の継続が困難な場合でも、別のビス剤へのスイッチングを行うことで治療を継続できることが多い。 連日製剤の服用が困難な場合はETDへの変更、また処方忘れの多いETDで服用継続困難な場合は連日製剤への変更により、治療継続が可能になりうると推測される。 現在では週1回製剤も使用できることから、中断例に対しては、患者の状況に合わせてスイッチングを積極的に試みることが望まれる」と話していた。 ビス剤中断例は他のビス剤への切り替えで半数以上が継続可能 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcr2008/200804/506294.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社
治療の柱は理学療法とコルチゾン
〔独ウィースバーデン〕 エッセン大学病院(エッセン)神経内科のHans-Christoph Diener教授は,一側性の頭痛を訴える患者に対する頸椎性頭痛の除外診断,片頭痛と持続性片側頭痛との鑑別,そしてその治療法について,ドイツ神経科学会で説明した。 局所麻酔を用いて診断を確定 頸椎性頭痛の診断基準は“痛みが常に一側性で,特定の頭の動きや姿勢により誘発されること”である。 例えば,「パソコンのモニターを特定の位置に置くと,頭と頸部にひどい痛みを生じる」との訴えが典型的な例で,この現象は再現性が高く,医師の目の前で患者が繰り返し再現することも可能である。 大後頭神経もしくは後頭部の腱起始部を圧迫した場合にも同様の症状を誘発できる。 この場合,片頭痛発作時のような拍動性の痛みを訴えることはない。 診断確定の方法は原則的に 1 つで,プラセボ対照下で局所麻酔薬注射を行う。 大後頭神経の出口,C2神経根およびC2/C3の椎間関節部に麻酔薬を注入すると,実薬投与では無痛状態が48時間持続するが,プラセボでは無痛とならないことから,診断を確定できる。 X線像では,多くの患者で頸椎の変形が認められるが,変形の程度と頸椎性頭痛との間に相関関係がないため,X線撮影は診断の役には立たない。 これに対して,MRIでは神経根における変化をより明確に描出することができる。 薬剤療法のエビデンスはない Diener教授は「evidence-based medicine(EBM)の観点からすると,臨床試験データのない頸椎性頭痛の治療は悪夢のようだ。 非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と三環系抗うつ薬の鎮痛用量での投与が推奨されているが,これは単に実用主義的観点から勧められているだけで科学的根拠を欠いている。 細胞膜安定薬についても同様で,私自身,例えばバルプロ酸ナトリウムの効果を確認したことはない」と指摘した。 これに対して,理学療法に関するデータは数多く存在する。 頸部の筋肉トレーニングと穏やかな徒手療法の治療効果は既に実証されており,これらの治療法は,必要に応じて筋弛緩薬と組み合わせながら積極的に行うべきであるという。 大後頭神経とC2/C3椎間関節の局所ブロックには,診断上の重要性だけでなく治療効果も認められる。 プラセボ対照下の局所麻酔により頸椎性頭痛であることが確認された患者には,作用期間の長いコルチゾンを投与すべきで,頭痛を 6 ~8 週間抑える効果が期待できるという。 同教授は「コルチゾンで疼痛の消失が認められなければ,診断が正しかったかどうかを再検討する必要がある」と助言した。 同教授は外科的治療には反対の立場であり,「神経根切断術,微小血管減圧術,ラジオ波焼灼療法など,これまで試みられてきた外科的手技は患者に有益でないばかりか,高いリスクを伴うこともあるため,絶対に適用すべきではない」と強調した。 頸椎性頭痛の除外診断と診断基準 〈除外診断〉 ・発作性片側頭痛または持続性片側頭痛はインドメタシン(25,50もしくは75mgを 1 日 3 回,3 日間投与)で除外する。片頭痛はインドメタシンによく応答するが,頸椎性頭痛は応答しない ・後頭神経の神経痛(わずかな接触で誘発される短時間の疼痛発作も含む)は臨床的に除外できる ・群発頭痛には酸素とトリプタンが有効で,片頭痛もトリプタンで除外できる ・軽度の頸椎性頭痛が疑われ,軽い自律神経系の随伴症状(眼の充血,一側性の鼻閉など)がある場合も,トリプタン試験を実施する。トリプタンで効果が認められる場合は非典型的な片頭痛で,片頭痛予防薬を処方すべきである ・緊張性頭痛は必ず両側性に発現する 〈おもな診断基準〉 (1)頸部と項部の臨床症状 ・疼痛が頸部の動きや頭の位置,もしくは同側上頸部または後頭部の圧迫により再現可能 ・頸椎の可動性制限 ・同側の頸部,項部,肩または腕の痛み(腕の痛みは非根性であるが,まれに根性であることも) (2)局所麻酔ブロックによる確認 (3)一側性の頭痛で,痛みのある側は変わらない (4)頭痛の特徴 ・中等度〜重度の非拍動性の痛みで,刺すような痛みでもなく,頸部から始まる ・発作の持続時間がばらついている,あるいは変動する持続性の頭痛 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M3929071&year=2006 出典 Medical Tribune 2006.7.20 版権 メディカル・トリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
飲酒の量と頻度は死亡リスクに影響
〔米メリーランド州ベセズダ〕米国立衛生研究所(NIH)の一機関である米国アルコール乱用・アルコール依存研究所(NIAAA)疫学・予防研究部のRosalind A. Breslow博士らは,1988年に実施された全米健康調査に参加した4万4,000例のデータを用いて飲酒習慣と死亡との関係を検討し,飲酒の量と頻度はともに死亡リスクに独立した影響を及ぼすとの知見をAlcoholism: Clinical and Experimental Research(2008; 32: 513-521)に発表した。 飲酒パターンに着目すべき Breslow博士は,米国立がん研究所(NCI)がん研究センターがん疫学遺伝学部門の統計専門家であるBarry I. Graubard博士とともに,1988年の全米健康調査のデータを検討した。調査に参加した約4万4,000例のうち約半数が1998年時点で飲酒習慣があった。 このうち,2002年末までに2,500例以上が死亡した。 同博士らは,死因と飲酒状況を比較した結果,男性では飲酒の頻度と量が心血管疾患による死亡率に影響を及ぼすことを明らかにした。 1回の飲酒量が多いほど心血管疾患死のリスクが高く,例えば1回に5杯以上飲む男性は1回に1杯しか飲まない男性に比べて心血管疾患死のリスクが30%高かった。 また,飲酒量は男性のがんによる死亡率の上昇と関連した。 これに対し,飲酒頻度は,男性では心血管疾患死亡率の低下と関連した。 飲酒頻度が120~365日/年の男性は,1~36日/年の男性と比べて心血管疾患死亡率が20%低かった。 しかし,今回の研究は,頻繁な飲酒による心血管疾患への影響の解明のためにはデザインされていない。 女性では,頻繁な飲酒は発がんリスクの増加と有意に関連し,飲酒量の増加が全死亡率の上昇と関連した。 NIAAAのTing-Kai Li所長は「われわれの知見は,適度な飲酒が重要であることを強調する内容となった。米国の飲酒者の大部分を占めるアルコール依存のない飲酒者にとり,飲酒の量と頻度は死亡に関する制御可能な危険因子と考えられる。今回の知見はアルコールに関連する健康アウトカムを調査する際は,飲酒のパターンも検討することが重要であることを示している」と述べている。 平均値の検討では不十分 過去の研究では,中等度の飲酒は心血管疾患死のリスクを低下させ,多量の飲酒は死亡率の上昇をもたらすことが明らかにされている。 しかし,Breslow博士は,このような研究の多くでは被験者の平均飲酒量を検討しており,このアプローチではたまに深酒をする人と継続的に軽く飲む人の区別が付かないという欠点があると指摘。 「平均飲酒量では,週に1回7杯飲む人と,毎日1杯ずつ飲む人を区別することができない。 われわれの研究は,米国民を代表するコホートにおいて,飲酒の量と頻度がともに死因別死亡率に独立した影響を及ぼすことを示した初の研究である」と述べている。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41190283&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.5.8 版権 メディカル・トリビューン社 <コメント> 個人的な話で恐縮です。 私は週4日の休肝日、すなわち3日が飲酒日です。 飲酒日はつい飲みすぎてしまいます。 我慢していたという「自分へのご褒美」気分と、次の日が飲めないからという「のん兵衛」の屁理屈からです。 この論文を読んでしまったからには飲酒の仕方を変えなければなりません。 毎日少量飲んで、週3日は少しだけメリハリをつけるとか。 以前、休肝日は意味がないという研究報告をみた覚えがあります。 たしか休肝日を作るとALDHの酵素活性が低下するといった内容でした。 さがしてみましたがネット上では検索できませんでした。 夢だったのかも知れません。 <参考ブログ> アルコール性肝障害 http://www.kusuriyasan.org/byoukitoyobou/arukorusei-kanen.htm 休肝日をつくろう http://www.health-net.or.jp/kenkozukuri/healthnews/050/050/k140/index.html アルコール脱水素酵素2の遺伝子の個人差によって男性の脳梗塞の危険性は2倍にはねあがる http://www.mitos.co.jp/jigyo/adh.html 日本人はお酒に弱いというのは本当か? http://www2.health.ne.jp/library/0600/w0600001.html ![]() 田崎広助 富士(紫) リトグラフ http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x33501214 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
赤沈(血沈)、ESR。
なんだかレトロで懐かしい言葉の響きです。 私は本来の専門は循環器内科なのですが、大学の方針で結核療養所へ派遣されていた関係もあって赤沈大好き医者です。 最近も赤沈をきっかけに多発性骨髄腫の診断が出来ました。 さて今時珍しい赤沈検査の記事が載っていました。 赤沈検査の今日的意義を再検討 医師により重要度の認識にばらつき 〔スイス・クール〕 赤血球沈降速度(赤沈)の中等度亢進の原因を解明するのはきわめて困難である。 また,急性疾患の診断法としては,赤沈よりC反応性蛋白質(CRP)のほうがはるかに優れていることも知られている。 赤沈検査に対する評価は専門家の間でも分かれているが,クール州立病院のWalter H. Reinhart教授は,同検査の今日的意義についてTherapeutische Umschau(2006; 63: 108-112)で発表した。 急性期診断ではCRPに軍配 赤沈はフィブリノーゲンや免疫グロブリンといった高分子蛋白質の血漿中濃度を反映するため,炎症経過に対する生体の急性期反応をきわめてよく示すとされる。 しかし,赤沈の亢進が認められるのは炎症開始から約48時間後のことで,迅速検査と言えるものではない。 これに対して,CRPは炎症開始から数時間以内に上昇する。 また,炎症の消失が検査値に反映されるまで,赤沈では最長 7 日間かかるのに対し,CRPでは最長でも 2 日間しかかからない。 このため,例えば抗菌薬投与の成否の判定にはCRPが有用で,同薬投与が奏効していれば48時間以内にCRPは半減する。 したがって,急性期診断ではCRPを選択すべきである。 Reinhart教授は「赤沈の特異性も,特に中等度亢進の場合には問題で,原因を解明するための試みは徒労に終わることが多い」と述べている。 しかし,高度亢進(>80mm/h)となると話は別で,人工透析患者以外では常に,解明されるべき基礎疾患の存在を示しているという。 さらに,同教授は「赤血球増加症や重度の白血球増加症など,赤血球の沈降を抑制する影響因子は多く存在するため,赤沈が正常であっても健常者であることの証明とはならない」と指摘。 「このため,赤沈は無症候の患者に対するスクリーニング検査としては適しておらず,ルーチン検査や健康診断のパラメータとしての使用も控えるべきである」と強調している。 しかし,特定の疾患においては,赤沈検査がきわめて重要であることに変わりはない。 例えば,リウマチ性多発筋痛症や側頭動脈炎の診断では赤沈検査は欠かせないもので,IgGやIgAなどのM-蛋白質により血沈が高度に亢進する多発性骨髄腫でも同様である。 さらに,赤沈は慢性炎症性疾患の経過を示すパラメータとして価値があり,リウマチ性多発筋痛症や側頭動脈炎ではステロイド療法の管理に適している。 また,エリテマトーデスではCRPは正常値を示す可能性があるが,赤沈は疾患活動性を示す指標として適切である。 最後に,同教授は「赤沈は疾患の予後評価に有用だということも忘れてはならない。例えば,ホジキン病患者でひとまず治療が奏効した後の赤沈亢進は早期再発の警告信号と捉えるべきで,新たに診断された前立腺癌や腎細胞癌における赤沈亢進は,生存期間が短いことを示唆している。さらに虚血性脳卒中などの非悪性疾患においても,急性期の赤沈亢進は予後の悪化を示唆している」と説明した。 ルーチン検査として評価する声も Reinhart教授の報告とは異なる意見も存在する。 独ハンブルクの内科医,Thomas Menzel博士は「赤沈をルーチンなパラメータとして使用しないとの考えには反対だ。私自身は,赤沈が正常であれば,患者には炎症が生じていないと説明している」と語った。 同博士は赤沈の中等度亢進が認められた場合,まず,比較的最近の感染の有無や胆汁が関与する問題についての問診を行っており,それが慢性胆嚢炎などの発見につながることも多いという。 さらに,患者が喫煙者であれば,胸部X線撮影,赤沈の再測定を実施することにより,比較的多くの症例で疾患の同定が可能である。 同博士は「以前,大学病院に勤務していたころに赤沈の解明のみを理由として患者を検査漬けにした事例を数多く見てきたが,これは当然,無意味で,やみくもに臨床検査を指示するつもりは全くない」と付け加えた。 独ベヒテルスバッハの一般医,Carl Nickel博士は「私自身は赤沈を相変わらずルーチン検査として,健康診断でもCRPと併せて利用している。 私にとって,赤沈は診断精度を高めるために欠かせないもので,中等度亢進が認められたら,特に血液像,白血球百分率,さらには甲状腺,腎臓と肝臓の検査値を重点的に調べている」と説明。 「これにより,約50~60%の症例で,それまで見つからずにいた疾患を発見できており,それが悪性疾患であることも珍しくない。 つい最近も,赤沈の中等度亢進が認められた患者から副腎腫が見つかった。 CRPが境界値かつ赤沈が中等度亢進の症例において,悪性疾患が発見されることは少なくない」と述べた。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M3929072&year=2006 出典 Medical Tribune 2006.7.20 版権 メディカル・トリビューン社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
骨粗鬆症の多くはビスホスホネート製剤投与という内科的治療によってなされているのが現状です。
そんな中、ビスホスホネート製剤の長期投与に問題があるということもわかってきました。 長期使用患者に特徴的なX線画像 ビスホスホネート製剤アレンドロネートを長期投与されていた閉経女性で、大腿骨骨折を起こした患者について分析した結果、アレンドロネートの長期投与と非定型の低エネルギー損傷(立位またはそれよりも低い体位からの転倒)による大腿骨骨折の間に関係が存在することが示唆された。 米国Weill Cornell医科大学のBrett A. Lenart氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年3月20日号に掲載された。 ビスホスホネートを用いた骨粗鬆症治療の長期的な安全性に疑問を唱える声がある。 これまでに、2件の症例集積がビスホスホネート長期使用と非定型の低エネルギー損傷による骨折との関係を示唆していた。 骨折した患者の骨生検の結果は、アレンドロネートの長期投与を受けていた患者では骨代謝が著しく抑制されていることを示した。 骨折の治癒には時間を要し、回復が見られないケースもあった。 ビスホスホネートは骨代謝を抑制するため、骨の中に微小なダメージの蓄積を引き起こす可能性はあるが、ビスホスホネート使用者の骨に微小損傷の蓄積が見られるという報告はなかった。 著者らは、ビスホスホネートの長期投与が骨の強度を変えるのではないかと考え、アレンドロネートの長期投与を受けていて、非定型の低エネルギー損傷による骨折を起こした閉経女性15人について分析した。 アレンドロネート投与期間の平均は5.4年。全員が大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折だった。 閉経女性の大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折は比較的まれで、著者らの病院を訪れる骨粗鬆症性大腿骨頸部骨折の女性患者の6%を占めるに過ぎない。 また、低エネルギー損傷による大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折で受診した患者の37%はビスホスホネートを使用していたという。 分析の対象となった15人の患者のうち、10人に特徴的なX線画像が見られた。 横方向または斜め(30度以下)の単純な骨折で、皮質骨が壊れていた。 また、近位大腿骨骨幹の皮質が広範に肥厚していた。皮質の肥厚は対側にも見られた。 これらの特徴を示す10人では、アレンドロネート使用期間の平均は7.3年だった。 ところが、X線画像にこうした特徴が見られなかった残りの5人の患者の平均使用期間は2.8年だった(P<0.001)。15人の中に椎骨骨折歴のある患者はいなかった。 なお、骨折治療中にビタミンD、副甲状腺ホルモンレベルと、骨密度の測定を行わなかったため、代謝性骨疾患の有無については不明だ。 「今後、前向き研究などによる確認が必要だが、今回得られたデータは、アレンドロネートの使用と低エネルギー損傷による大腿骨骨折の関係を示唆するエビデンスを追加した」と著者らは述べている。 原題は「Atypical Fractures of the Femoral Diaphysis in Postmenopausal Women Taking Alendronate」。 アレンドロネート長期使用が大腿骨骨折に関与? 長期使用患者に特徴的なX線画像 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200804/506323.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 ![]() ポール・ギアマン 水彩画5号「バイオリン」 http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s94670525?u=;ginza_kaigakan <参考サイト> 理解を深めよう更年期障害 http://www.page.sannet.ne.jp/yoshiki-s/part2.html 骨粗鬆症 http://minds.jcqhc.or.jp/G0000129_0038.html 大腿骨頚部/転子部骨折 薬物療法は予防に有効か http://minds.jcqhc.or.jp/G0000042_0035.html アレンドロネートの骨折抑制効果(FIT試験) http://fosamac.jp/secure/related_data/fit.html 骨粗鬆症治療薬アレンドロネート http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/web_pressroom/product_information/alendronate.html 骨密度改善効果が10年間持続 骨粗鬆症治療薬アレンドロネートを用いた臨床試験の結果が New England Journal of Medicineに掲載 http://medical.teijin-pharma.co.jp/top/top/WhatsNew/pdf/BNT0404.pdf 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
日本泌尿器科学会の報告記事で勉強しました。
夜間頻尿の高齢者は骨折リスクが2.63倍 死亡リスクも2.68倍に 倒のリスクが2.63倍に上ることが明らかになった。 同様に、死亡リスクも2.68倍だった。これは、東北大大学院泌尿器科学講師の中川晴夫氏らが3年間追跡した調査で明らかにしたもので、第96回日本泌尿器科学会総会で発表した。 同調査は、仙台市郊外の鶴ヶ谷地区在住の70~97歳の高齢者(平均年齢74.9歳)のうち、調査を目的とした長期経過観察について文書で同意した788人(男性359人、女性429人、対象地居住高齢者の28.9%)を対象とし、2003年に開始された。 同意を得た高齢者について、入院レセプトと国民健康保険の脱退情報を基に「骨折」「死亡」のイベントついて調査し、排尿症状との関連を分析した。 骨折については、レセプト上で骨折病名を認めた場合に医療機関の診療録を調査し、骨折の原因、骨折部位、治療法を調べた。 また、死亡については、健康保険からの脱退情報の中で脱退理由が死亡であるものを集計し、検討した。 3年間の追跡調査の結果、骨折は788人中28人(3.6%)に発生していた。 うち23人は転倒による骨折だった。骨折部位は、上肢8人、下肢11人、骨盤および脊椎5人だった。 夜間頻尿と骨折との関連について検討した結果、夜間の排尿回数が1回以下の高齢者では426人中8人(1.9%)が骨折していたのに対し、2回以上の高齢者では362人中15人(4.1%)が骨折していた。 年齢や性別、MBIなどを背景因子として補正を行うと、2回以上の夜間頻尿高齢者では、1回以下の場合に比べ、3年以内で骨折のリスクが2.63倍(Cox Proportional Hazard modelによる解析)に上昇することが分かった。 また、夜間頻尿と死亡率との関係を調べた。3年間で死亡した高齢者は31人だったが、夜間の排尿回数が1回以下の高齢者は7人だったのに対し、夜間の排尿回数が2回以上だった高齢者は24人と、有意に死亡率が高かった。 各種疾患の既往、利尿薬や睡眠薬の内服、飲酒など、夜間頻尿と関連する可能性のある条件を背景因子として加えてリスク調整を行うと(Cox Proportional Hazard modelによる解析)、そのハザード比は2.68倍だった。 ただし、直接の死亡原因が、転倒による骨折と関連していたのは1例であり、他は脳血管疾患や心疾患、悪性腫瘍などだった。 中川氏は、「今回の調査では、転倒時間や男女差など、細かな因果関係にまでは踏み込めなかったが、2回以上の夜間頻尿は、転倒による骨折や死亡率を増加させる独立した危険因子であることが分かった。 夜間頻尿は加齢に伴い増加するが、高齢者のQOLを低下させるだけでなく、骨折や死亡とも関連するということを念頭に置く必要がある」とまとめた。 夜間頻尿と死亡率増加との関連については、1999年のスウェーデンでの疫学調査では1.34倍になるという結果が報告されている。夜間頻尿と骨折との関連についても、2006年のスウェーデンの調査で1.8倍のリスクになると報告されている。 同調査は、今年8月に5年間の追跡調査が終了するため、中川氏は「5年間のデータを解析する際には、骨折した時間帯についても詳しく調べたい」と話している。 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 <コメント> 夜間頻尿と死亡率については、心不全の要素が完全に除外できるかということにいささか疑問を持ちました。 また「国民健康保険の脱退情報」が個人情報として保護されていないということにもいささか違和感を覚えました。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 出典 朝日新聞・朝刊 2008.5.4 版権 朝日新聞社 (画像クリックにて拡大出来ます) ■(医師は)他の医療関係者の働き方と比べ余りにも過酷ではないか。 何故医師は労働基準法にもとづいた働き方を要求して来なかったのだろうか。 ■世の中は経済(市場原理主義)と政治(選挙)で動いている。その中で医療界は小舟のように振り回されている。 Medical Tribune 2008.5.1(リレーエッセイ・稗田慶子先生) 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
どうなる? 新・高血圧治療ガイドライン
焦点は「正常高値」、当落線上の降圧薬の行方は… ガイドライン作成委員会の荻原俊男委員長に聞く 「高血圧治療ガイドライン2004」(JSH2004)の発表から4年。 日本高血圧学会は現在、ガイドラインの改訂に向けて作業を進めている。 ガイドライン作成委員会の委員長を務める大阪府立急性期・総合医療センター院長の荻原俊男氏に、改訂に向けた議論の方向性と、改訂作業のスケジュールを聞いた。 ―― 新しいガイドラインは、今秋の日本高血圧学会でシンポジウムが開かれた後、来年早々には公開される見込みと聞いています。今改訂のポイントを幾つか教えてください。 まず、高血圧患者のリスクの評価と治療方針についてはいかがですか。 荻原 現在は、日本、米国、欧州で、リスクの評価方法が異なっている。 特に血圧が130~140mmHgの「正常高値」の人の扱いは、今回の改訂で1つのポイントになるだろう。 ―― 2004年のガイドラインでも、糖尿病や腎障害を合併している場合には、正常高値でも治療対象にすることにされていましたね。 荻原 今回のガイドラインで正常高値の治療対象をどこまで広げて記述するかが課題になる。 正常高値の患者さんが、どのようなリスクを持っていた場合に、どのような対処をするかという具体的な方法が書かれていた方が、日常診療にメリットが大きいと考えている。 ただ、メタボリックシンドロームで正常高値の患者のリスク評価をどうするかなど、まだ議論すべき点が残っている。 ―― 血圧の測定方法についてはどうですか。 荻原 今春の診療報酬改定で、「24時間自由行動下血圧測定」(ABPM)が保険適用になった。 普及が進むとみられるので、これについてはガイドラインに盛り込むつもりだ。 ただし、どのような場合を適応とするか、得られた数値をどう解釈するか、診療にどう生かすかなど、まだはっきりしていない部分もある。 ガイドラインでは、あいまいな部分をできるだけなくすようにしたい。 ―― 目標血圧についてはどうですか。 特に、後期高齢者については、議論があると聞いています。 荻原 確かに、75歳以上の高齢者の降圧で、「中間目標」を置くべきかどうかについては議論がある。 2004年のガイドラインでは、中等症・重症高血圧の患者は「140/80mmHg以下を最終降圧目標とするものの、150/90mmHgを暫定的降圧目標とする慎重な降圧が必要」としたが、中間目標を置くと医師や患者が降圧に消極的になるのではないか、という意見もある。 一方で、前回のガイドライン以後に結果が判明した大規模臨床試験「JATOS」では、75歳以上の患者では、厳格な降圧を行うことが心血管系イベントの増加につながる可能性が示唆されている。 従って、最終目標は140mmHgとするが、慎重な降圧が必要という基本的な内容は2004年のガイドラインを踏襲することになりそうだ。 どのような表現にするかについては議論が必要だ。 ※JATOS:The Japanese Trial to Assess Optimal Systolic Blood Pressure in Eldrly Hypertensive Patients ―― 主要な薬剤については、いかがですか。 特にβ遮断薬、α遮断薬の扱いは国際的に変わってきています。 荻原 α遮断薬は、主要薬からは外れそうだ。エビデンスが得られる前に、大規模臨床試験「ALLHAT」が中止された影響が大きい。 ただし早朝高血圧など、条件によっては引き続き有用な薬であることに変わりない。 早朝高血圧の診療に関する項目を設け、そこでα遮断薬の使用を推奨することになるだろう。 β遮断薬は、引き続き主要薬として残る可能性が高い。 大規模臨床試験の「LIFE」や「ASCOT」で、他の主要薬に比べて同等あるいは劣っているとの結果が出たことを受けて、英国のガイドラインでは主要薬から外された。 しかし欧州ガイドラインには残っているし、国際的にまだ解釈が定まっていないので、日本のガイドラインでは今回は残ることになると思う。 「LIFE」や「ASCOT」で使われていたβ遮断薬が古いタイプのものだったという問題もある。 代謝面に悪影響を及ぼさない新しいタイプのβ遮断薬は試験を実施すれば、結果が異なる可能性もある。 ※ALLHAT:Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial ※LIFE: Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension ※ASCOT:Cardiovascular event reduction in the Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial ―― 2006年末に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と利尿薬の合剤が発売されました。 現在、承認申請中のものも幾つかありますが、合剤の位置付けはガイドラインに盛り込まれますか。 荻原 まずは、降圧薬の2剤併用をどのように位置付けるかだ。2004年のガイドラインでも、中等症以上なら、2剤を併用して厳格に降圧することを推奨していたが、これをさらに踏み込んだ形にする可能性がある。米国のガイドラインであるJNC7では、中等症以上なら最初から併用療法を考慮することを推奨している。 2剤併用の代わりに合剤という選択肢が出てきたので、その位置付けも議論になるだろう。 既に日本でも発売されているロサルタンカリウムとヒドロクロロチアジドの配合剤は、添付文書に「原則として、ロサルタンカリウム50mgで効果不十分な場合に本剤の使用を検討すること」と書かれているが、ガイドラインが一歩先行して、厳格な降圧が必要な場合には治療開始時から合剤の使用を考慮する旨を盛り込んでもいいのではないかと思っている。 ―― ガイドラインの改訂について、作業手順と今後のスケジュールを教えてください。 荻原 ガイドラインの作成委員会は35人で構成されている。 内訳は日本高血圧学会内からの24人と、関連学会からの代表者11人だ。 高血圧学会の理事のほぼすべてが、ガイドライン作成委員会に含まれている。 関連学会とは、具体的には日本循環器学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本脳卒中学会などだ。 ガイドラインは12章構成の予定で、主要な項目には、学会内から「査読者」を複数割り当てた。 査読者は、作成委員やほかの査読者からの意見を盛り込んで、責任を持って担当項目の項目のたたき台を作る役割を担う。 作成委員のみならず、ほかの項目の査読者も、E-mailなどですべての項目に対して自分の意見を提出することができる。 たたき台の原稿は、既に3月14日にできあがっている。 たたき台を基に、作成委員会のメンバーと査読者(合計100人程度)がさらに議論を重ねる。E-mailのやり取りは毎日行われているが、加えて、今年5月には改訂委員と査読者、および評価委員が大阪で一堂に会して議論する。 その内容を踏まえてガイドラインの原案を作成し、インターネットで、日本高血圧学会の会員に公開する。 会員は原案に対して「パブリックコメント」を提出することができる。 また、日本医師会の代表を介して、一般医にモニターしていただくことも考えている。 9月に札幌で開催される学会では、ガイドラインの改訂についてシンポジウムを開く。事前に寄せられた学会員からのコメントと、シンポジウムでの議論を踏まえて、最終案を作成する。 完成したガイドラインの公表は、来年の年明けになる見込みだ。 どうなる? 新・高血圧治療ガイドライン http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t005/200804/506248_3.html 出典 日経メディカル オンライン 版権 日経BP社 <コメント> つい最近、高血圧治療ガイドラインが出たと思っていたらもう4年も経っていたんですね。 ガイドラインの作成過程が詳しく述べられており、その点を特に興味深く読ませていただきました。 ![]() 神戸文子 「ばら」 F8 日展特選画家 http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u24340627 <番外編> 医療関係者も必読!「さらば財務省!」 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200804/506334.html「御用学者たちの情けない実態」 霞が関が、これまで官僚主導の政策立案を継続できた最大のからくりは、審議会システムにある。(中略)審議会のメンバーの人選は事実上、担当省庁が行う。 閣僚はそんな細かなことにまで関わっていられないので、役所から推薦された人物を承認してメンバーが決まる。 役所は当然、自分たちとは反対の意見を持つ人間は、初めから排除する。 <コメント> 以前から「審議会」という存在を胡散臭く思っていました。 「御用学者」とはよくぞ言ってくれました。 少しだけすっきりしました。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) Tags:#新高血圧治療ガイドライン
ごく最近、インプラントを予定している患者さんが歯医者さんに当院で処方しているビスホスホネートを中止するように言われたということで来院されました。
特に文書はなく口頭での指示でした。 自由診療のために保険診療を一方的に中止するように口頭で患者に指示する。 しっくりしませんが何を説明しても時間の無駄のような雰囲気でした。 こちらとしては何も言わずに結果的に骨粗鬆症の治療打ち切りの形になりました。 インプラントは長期間にわたります。 ビスホスホネート打ち切りによる骨粗鬆症の進行について、歯科医が責任をとるわけでもありません。 今後同じようなケースが先生方にも発生すると思います。 抜歯の場合にも歯科側で主治医に断りなくビスホスホネートの一方的な打ち切りが出て来そうです。 同じようなことが抗血小板剤や抗凝固剤についても起こっています。 ビスホスホネート:歯科処置に関連した顎骨壊死に注意 北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部 2007年1月中旬以降、ビスホスホネート(BP)系薬剤を製造・販売する製薬会社から、歯科処置に関連した顎骨壊死・顎骨骨髄炎の副作用に関する注意喚起文書が、医療機関や薬局に配布されている。 これに先立つ2006年10月には、厚生労働省医薬食品局安全対策課が製薬企業に添付文書の改訂を指示しており、各BP系薬剤の添付文書には、顎骨壊死に関する注意が追記されている。 BP系薬剤では、従来から主な副作用として消化器症状(経口剤)や発熱(注射剤)が知られていたが、近年、BP系薬剤投与との関連性が疑われる重篤な顎骨壊死・顎骨骨髄炎が報告されている。 これらの副作用症例の多くは、抜歯などの侵襲的歯科処置や局所感染に関連して発現しており、抜歯した場合にはその部位の付近で発現することが明らかになっている。 このことから、配布されている文書および添付文書では、歯科または口腔外科で治療する際の注意点として、 (1)歯科処置の前にBP系薬剤が投与されていないかを確認すること、 (2)投与している場合には、侵襲的歯科処置をできるだけ避けるか、患者の状態とリスク因子を十分考慮し判断すること、 (3)口腔内を清潔に保つように指導すること ―― などが記載されている。 BP系薬剤は、長期の臨床試験で骨粗鬆症に対する有用性が認められており、現在国内外の骨粗鬆症ガイドラインでは第1選択薬として位置付けられている。 また、癌領域においても、悪性腫瘍における高カルシウム血症や固形癌の骨転移、多発性骨髄炎などで有用性が認められ、ガイドライン上では癌の支持療法薬として積極的な使用が推奨される薬剤でもある。 このほかにも、骨パジェット病、小児骨形成不全といった骨代謝異常疾患でも有用性が報告されている。 現在、BP系薬剤は、主に骨粗鬆症の適応を有する経口剤として3成分、悪性腫瘍における高カルシウム血症に適応を有する注射剤として4成分が臨床使用されている。 主なビスホスホネート製剤(カッコ内は主な商品名) 【経口剤】 エチドロン酸二ナトリウム(ダイドロネル) アレンドロン酸ナトリウム水和物(フォサマック、ボナロン) リセドロン酸ナトリウム水和物(アクトネル、ベネット) 【注射剤】 パミドロン酸二ナトリウム(アレディア) アレンドロン酸ナトリウム水和物(オンクラスト、テイロック) インカドロン酸二ナトリウム水和物(ビスフォナール) ゾレドロン酸水和物(ゾメタ) これまで顎骨壊死は、重金属・リン・放射線への曝露、凝血障害、循環器系障害、慢性的な免疫抑制状態の患者などで報告例があり、近年は主に放射線骨壊死として報告されてきた。 しかし最近になって、米国口腔外科学会などで、BP系薬剤投与との関連が疑われる症例が散見されるようになっている。 現時点で、BP系薬剤による顎骨壊死については、発症機序、予防法、対処法などは明らかになっていない。 今のところ癌患者に投与された注射剤で多く報告され、報告症例から顎骨壊死・顎骨骨髄炎のリスク因子として、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、侵襲的歯科処置(抜歯、インプラントなど)が考えられている。 今後、骨粗鬆症や癌の治療でBP系薬剤を処方する場合には、歯科処置の有無を確認し、必要に応じて歯科医・歯科口腔外科医と連携をとるとともに、投与する患者には口腔内を清潔に保つように指導する必要があるだろう。 ビスホスホネート:歯科処置に関連した顎骨壊死に注意 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200801/505413.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 <参考ブログ> 抜歯,歯周手術時の抗血栓療法 その1(1/2) http://blog.m3.com/reed/20080310/1 抜歯,歯周手術時の抗血栓療法 その2(2/2) http://blog.m3.com/reed/20080311 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
やっかいな修飾麻疹、症状だけでは診断困難
修飾麻疹とは、麻疹に対する不完全な免疫を持っている人が麻疹ウイルスに感染した場合に発症する、軽症の不全型麻疹のことをいう。 修飾麻疹では、 (1)最高体温が37℃台にとどまる、 (2)発熱が3〜4日で終わってしまう、 (3)コプリック斑(連載第1回を参照)が認められない、 (4)発疹が手足だけに出現する —など、典型的な麻疹とは異なる経過をとるため、臨床症状だけで麻疹と診断するのは極めて困難である。 各種ウイルス学的検査を行わない限り診断が付かないため、風疹や他の発疹症と間違われることも少なくない。 修飾麻疹を発症するのは、母体からの移行免疫が残っている乳児や、ヒトγグロブリンを投与されている患者に加え、secondary vaccine failure(ワクチン接種後、年数を経たために抗体が低下した二次性ワクチン不全)の人たちに多い。 2008年は、3月16日までに診断された麻疹患者4212人のうち、7.9%が修飾麻疹であることが分かっている。 修飾麻疹は通常より感染力は弱いものの、診断が付かないまま周りへの感染源となり得るので、やっかいな存在である。 修飾麻疹を拾い上げるためには、通常の感冒様症状の患者にも、必ず麻疹患者との接触歴を聞く姿勢が重要である。 修飾麻疹では潜伏期間が通常より数日長めになることが多いので、麻疹患者との接触が疑われるエピソードから発症までの期間も参考になる。 急性期のIgGが高値でも麻疹を除外しない 修飾麻疹の患者は、多少は麻疹の免疫を持っているため、急性期から麻疹特異的IgG抗体価が高値となることが多い。 これを持って、「麻疹の免疫あり=当該疾患は麻疹ではない」と判断せずに、必ず回復期のペア血清ならびにIgM抗体を確認してほしい。 発症中に咽頭ぬぐい液あるいは血液から麻疹ウイルスゲノムを検出することが確定診断に役立つことも多い。 ただし、修飾麻疹では、IgM陰性例や麻疹ウイルスゲノムが検出できない例もあるので、複数の結果を総合的に見ることが診断に結び付く。 わが国では、幼児期の麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種を2回に増やし、さらに2008年4月から5年間の期限付きで、中学1年相当年齢の者(13歳になる年度)と高校3年相当年齢の者(18歳になる年度)に対する追加接種が導入された。 これは、ワクチン未接種者を拾い上げつつ、修飾麻疹を発症しやすいsecondary vaccine failureの人たちへの免疫増強効果、primary vaccine failure(ワクチン接種で免疫を獲得できなかった一次性ワクチン不全)の人たちへの免疫付与を狙ったものである。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taya/200804/505943.html 出典 日経メディカルオンライン 2008. 4. 3 版権 日経BP社 <参考ブログ>麻疹 その1(1/4) http://wellfrog.exblog.jp/8666694/ 麻疹 その2(2/4) http://wellfrog.exblog.jp/8668091/ <番外編> たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり 今年のはじめにこんな事故があったのをご記憶でしょうか? 2008年1月14日、午前9時半ころ、山形県鶴岡市の国道112号線月山第2トンネル内で高速バスの男性運転手(52歳)が意識もうろう状態に陥りました。異常に気が付いた乗客の男性がとっさにハンドルを操作して、バスは、タイヤを道路左側の縁石にこすらせ、ノッキングを起こして停車しました。乗客26人は無事だったとはいえ、一つ間違えば大惨事となるところでした。 バス会社によると、この運転手は前日から風邪気味で前日と事故当日の朝に風邪薬を飲んだということです。事故当日の朝には37度台の熱があったそうですが、事故後の受診でインフルエンザと診断されています。 従来から「インペアード・パフォーマンス」(気づきにくい能力ダウン)の研究を続けている東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田代学准教授(核医学)らのグループは、このバス事故を受けて、次のような実験結果を発表し、抗ヒスタミン薬の服用と運転危険について警鐘を鳴らしています。 実験の方法は、14名の健常若年成人男子に、抗ヒスタミン薬(d-クロルフェニラミン 6mg 複効錠:長い時間をかけてゆっくり吸収されるタイプ)とプラセボ(乳酸菌製剤)を内服させ、約2時間後に自動車運転シミュレーションシステム上で運転をしてもらい、そのときの主観的眠気、運転パフォーマンスを記録し、さらにPETを使って運転中の脳血流の変化を調べるというものです。 実験結果は、主観的眠気の強さは、プラセボと鎮静性抗ヒスタミン薬の条件の間にほとんど差が認められませんでしたが、抗ヒスタミン薬内服時に、プラセボ内服時にくらべて、蛇行運転回数が大幅に増加し、PET画像解析の結果、安静閉眼状態と比較して運転操作中には、一次運動-感覚野、運動前野、視覚野、頭頂葉、帯状回、側頭葉、小脳、中脳、視床など、非常に多くの部位に有意な局所脳血流量増加が認められています。 研究グループは以下のように考察をまとめています。 今回の研究では、抗ヒスタミン薬を服用した本人がはっきりした眠気を感じてはいなかったのに、運転中の蛇行運転の頻度が大きく増えていた。また、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の運転操作中に脳の反応がとくに抑制された視覚野、頭頂葉、側頭葉、小脳などは、動きをともなう視覚情報を処理して次の瞬間の最適な動作を決めていくための情報伝達経路とだいたい一致していた。 以上のことから、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の視覚系の情報処理機能の抑制が、運転に必要な神経回路の活動を不十分なものにしてしまったために運転パフォーマンスの低下をひきおこした可能性が高いと考えられた。この研究成果は薬理学の専門誌(Human Psychopharmacology:タイトル和訳は「ヒト精神薬理学雑誌」)の2008年3月号に掲載された。 研究グループは、PETを駆使して、抗ヒスタミン薬が脳の情報伝達をブロックする強さ(脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率)の測定も実施してきた。 また、鎮静性抗ヒスタミン薬の服用後の自動車運転中にブレーキペダルを踏むのが遅れること、携帯電話通話による遅れと相乗効果があることを実車運転試験によって初めて報告していた(プレスリリース2005年6月23日)。 こうした研究の蓄積の結果、将来、さらに総合的な研究成果が報告されることが期待される。 以前から抗ヒスタミン薬を服用すると眠くなるということはよく知られています。 より眠くならない抗ヒスタミン剤の開発もされているわけですが、そもそも本人が感じる眠気には個人差と変動がありますから、交通事故に限らず眠気がトラブルを誘発しかねないと危惧すれば風邪薬を服用したり、処方するのも容易なことではありません。 この実験では、風邪を引いたり、花粉症の状態の被験者ではなかったのでしょうが、実際の患者さんでは風邪で発熱していたり、花粉症で鼻水ズーズーで体内にもヒスタミンたっぷり、そのような状態自体で眠たい、倒れ込みたいというケースも少なくありません。 たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/takenaka/200804/506312.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
Peter T. Scardino
スローン・ケタリング記念がんセンター(MSKCC)外科部長 コーネル大学泌尿器科教授。ニューヨーク州立大学Downstate医療センター教授。 前立腺がんの早期発見,予後,治療について高い見識を持つ前立腺がん専門の外科医。MSKCCの前立腺がんプログラム長。Nature Clinical Practice Urology誌編集長。 食生活の欧米化など生活習慣の変化に伴い,日本では前立腺がんが増加の一途をたどっている。 2020年には前立腺がんが男性のがん罹患率の2位に浮上すると予測される なか,その早期発見と治療対策の重要性が増している。 スローン・ケタリング記念がんセンター外科のPeter T. Scardino部長に,「前立腺がん先進国」とも言える米国における前立腺がん医療の最新事情について聞いた。 米政府はPSA検診を容認 日本では,PSA(前立腺特異抗原)検査の集団検診について,厚生労働省研究班と日本泌尿器科学会から正反対の指針が出されている状態なのですが,米国ではどのような状況ですか。 日本と同様に米国でも,政府は前立腺がんのためのPSAスクリーニングを奨励していません。 これは, PSAスクリーニングが長期予後を改善するという「明確な」裏づけとなる長期大規模ランダム化臨床試験がまだ完了していないためです。 国の指針として正式に推奨するには,長期検討試験の結果が必要だということです。 しかし, PSAスクリーニングが前立腺がんの早期発見をもたらし,予後改善に役立つことは,既に多くのランダム化臨床試験で明らかにされています。 例えば,オーストリアの大規模コホート研究では,住民に対するPSAスクリーニングを実施した地域では,12年間の前立腺がん死亡リスクが,スクリーニングを行っていない地域より50%以上低いことが示されていますし,米国では, PSAスクリーニングが徹底されるようなった過去12~14年に前立腺がん死亡率が30%以上減少しました。 このようにPSAスクリーニングの有用性を支持する十分なエビデンスがあるため,日本と同様に米国でも,学会や医師はPSAスクリーニングを強く推奨していますし,政府もPSAスクリーニングを容認しています。 前立腺がんには多くの治療選択肢があり,そのなかから最適な治療法を選択するのは容易でないと思われますが,米国では治療選択の際,患者にどのように説明しているのでしょうか。 確かに前立腺がんの治療選択は容易でないかもしれません。 しかし別の見方をすれば,前立腺がんには効果的な治療法がそれだけ多く存在するということです。 そこでわれわれは,主要な治療法について個々のリスクとベネフィットを説明し,患者が自分に最も適した治療法を選択する手助けをしています。 例えば局所前立腺がんの場合, 第 1 に進行度,悪性度,PSA値の高い局所前立腺がんに対しては,無治療のままより治療をしたほうがよいということ, 第 2 に,手術療法と放射線療法のどちらがよいかは明らかではないが,いずれも満足な成績が期待できる治療法であり,どの治療法を選択するかよりも,むしろ熟達した医師に施術してもらうことのほうが好成績を得るには重要であること, 第 3 に,合併症のある患者や高齢患者などで,手術療法も放射線療法も適用できない場合には,ホルモン療法を行うが,根治療法にはならないので,通常の局所前立腺がんに対しては勧められないこと などを説明します。 患者の年齢や進行度に応じて,選択肢は変わってくるわけですね。 その通りです。 例えば70歳以上の高齢者では,尿失禁や性機能障害など手術合併症のリスクが高まりますから,放射線療法を勧めるのが一般的です。 一方,70歳未満の場合は,余命が長く,手術療法のほうがより良好な腫瘍抑制効果が期待できること,万が一,治療に失敗した場合も放射線療法を行えることから,手術療法を勧めることが多いのですが,放射線療法も選択肢の 1 つであることに変わりはありません。 また局所進行型で悪性度の高い前立腺がんでは,単独療法では十分な治癒率が期待できないため,放射線療法とホルモン療法の併用などの方法が取られます。 つまり,T1~T2の低分化の前立腺がんに対しては,患者の好みと年齢に応じて手術療法と放射線療法のどちらを選択してもよいのですが,T3の局所進行型の患者に対しては,放射線療法後にホルモン療法を併用し,その後ホルモン療法を継続していくことが多いと言えます。 ホルモン療法不応例はどう治療すればよいのでしょうか。 ホルモン療法不応例の治療は難題ですが,1 つの選択肢として化学療法が挙げられます。 現時点では,タキサン系の化学療法薬が生存延長をもたらすことが証明されていますし,化学療法薬については多くの有望薬が登場しており,これらのいずれかがホルモン療法不応例の治療に一石を投じてくれるかもしれません。 もう 1 つは,別のホルモン療法への変更です。 ホルモン療法不応例は一切のホルモン薬が奏効しないわけではなく,例えば最初の抗アンドロゲン薬に失敗した後,第 2,第 3 の異なる抗アンドロゲン薬に変更しながら腫瘍をコントロールしていくことが可能です。 いずれにせよこの領域では,現在,興味深い治療法が開発され,臨床試験が活発に進められています。 長期成績に優れた密封小線源法 日本では,まだ局所療法として放射線療法の行われる比率が低いのですが,先生は同療法についてどのような見解を持っておられますか。 米国では近年,組織内照射療法(密封小線源療法)の 1 つであるseed implant法が多く行われるようになってきました。 しかし,線源の埋め込みには熟達した技術が必要で,施術する医師の技量により成功率,副作用発現率が大きく異なります。 一方,外照射法の治療成績は装置に委ねられるところが大きいため,密封小線源療法ほど施術者の技量が影響することはありません。 特に手術療法による合併症リスクの高い高齢者にとっては,たいへん有効な治療法だと考えます。 1 つ問題となるのは,局所前立腺がんに対して十分な効果を得るためには,70Gy以上の高線量の照射が必要な点です。高線量を用いた場合の有効性は高く,正常組織への安全性を確保しながら目標部位のみへの高線量照射が可能な強度変調放射線療法(IMRT)を用いた最近の研究では,81Gy,86Gyという高線量照射により,90%の患者でがん細胞の完全消失が確認されました。 米国では密封小線源療法の普及などにより待機療法を選択する比率が減少していると聞きます。 確かに70歳未満の患者では待機療法が減り,手術療法または放射線療法の比率が増えてきています。 しかし,75歳以上の高齢者にとっては重要な治療法であり,これらの患者の半数以上には待機療法が勧められると考えます。 私自身は,待機療法はたいへん重要な治療戦略の 1 つだと考えています。 待機療法は決して「転移するまで放っておく」ということではありませんから,待機療法より最近よく使われる「Active Surveillance」という言葉のほうが適切かもしれません。 6 か月ごとに患者を診察して,PSAのモニタリング,生検によりがんの増殖・進展の有無を確認し,必要に応じて治療を行うのです。 米国ではPSAスクリーニングが徹底されたことで,生命リスクの低い小さな前立腺がんが多く発見されるようになりました。 10~15%を占めるこれらの患者は,治療の必要性が低い患者と言えます。 待機療法は,不必要な治療を回避するためのたいへん重要な治療法です。 Comment 日本人独特の精神的感覚も 国立がんセンター名誉総長 垣添 忠生 まずPSA検査については,わが国では厚労省研究班と日本泌尿器科学会の指針が対立しているような形にはなっていますが,両者の指針の本質は同じだと思います。 すなわち,PSA検査を行えば,前立腺がんが多く発見されることは間違いありません。 しかし,そのなかに臨床的に必ずしも重要でないがんが含まれるため,PSA検査により前立腺がんの死亡率が下がるかどうかが明らかではないということです。 現在,欧米で進められている大規模臨床試験の結果でPSA検査の意義はあるという結論が得られれば,わが国でも対策型の検診としてPSA検査を取り入れる可能性はおおいにあるでしょう。 現状ではその判断ができないということで,基本的に日米の考えは同じだと思います。 また,最適な治療法の選択についても,基本的に日米の考え方は同じです。 ただし,日本人には,"みそぎ"という独特の感覚があるのか,体のなかにがんがあるのを知っていながら,それに手を付けないことをとても嫌がるところがある気がしています。 そのため,いったん待機療法を選択しても,途中で不安になられる患者さんも多い。 そういう精神的な問題が日米では少し違うかもしれません。 そういった問題を抜きにすれば,80歳以上の高齢者(75歳だと迷う症例もありますが)については,間違いなくかなりの症例において待機療法でいけるでしょう。 前立腺がんは,非常に多様性に富んだがんであり,さまざまな治療法から何を選択するかは,医師にとっても患者さんにとっても,非常に難しい作業です。患者さんが決心が付かない場合は,医師側から「私だったら(あるいは自分の家族だったら),この治療法を選択します」といった患者の肩を少し押してあげるようなことも必要ではないかと思います。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41141131&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 <自由時間> 週末に学術講演会に行って来ました。 気になったのはあちらこちらから大きな音で鳴る携帯の呼び出しの音です。 同じ先生に数回かかってくる場合もありました。 とても社会的地位(今はそんなものはなくなって同情さえされている?)医者 の集まりとも思えない光景でした。 (衣食足りて礼節を知る) 呼び出し音はもともとご法度ですが、一度大きな音でなったらマナーモードに 切り替える、後ろの席に座るが最低のマナー。 こんな先生は来なくてよろし。 そして「DASH食とは具体的にどんなもので何の略ですか」という質問者。 何の略かも答えられない演者。 自分で調べればいいのに「DASH食」も知らない自分を皆の前にさらけ出し ている。 どこの研究会、講演会にもいるKY。 少し後味の悪い講演会でした。 <参考サイト> PSA集団検診 http://wellfrog.exblog.jp/6944888 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノブレス・オブリージュ dash食 http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt6/salt6-04-01.html 高血圧を防ぐDASH食って? http://allabout.co.jp/health/healthfood/closeup/CU20070122A/index3.htm # by esnoopy | 2008-04-28 00:10
ピオグリタゾンは2型糖尿病患者の冠動脈プラークの進展を抑制する:PERISCOPE試験
インスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾン(アクトス(R))は、スルホニル尿素薬グリメピリドに比べ2型糖尿病患者の冠動脈プラークの進展を有意に抑制することが、北米と南米で実施された多施設共同二重盲検無作為化試験PERISCOPE(Pioglitazone Effect on Regression of Intravascular Sonographic Coronary Obstruction Prospective Evaluation)により明らかにされた。 冠動脈プラークの進展に対する抑制効果が示された糖尿病治療薬はこれまでなかった。 ピオグリタゾン群とグリメピリド群の冠動脈プラークの進展をIVUSで評価 2003年8月~2006年3月に、冠動脈疾患を有する2型糖尿病患者543例が、北米および南米の97施設から登録された。全例に冠動脈血管内超音波(IVUS)が施行され、ピオグリタゾン(15~45mg)群(270例)あるいはグリメピリド(1~4mg)群(273例)に無作為に割り付けられた。 18ヵ月の治療期間に、認容性がある場合は最大用量まで漸増した。冠動脈プラークの進展は試験終了時のIVUSで測定し、360例(ピオグリタゾン群:179例、グリメピリド群:181例)が検査を受けた。主要評価項目は、%プラーク体積(PAV:Percent Atheroma Volume)のベースラインから試験終了までの変化とした。 結果 省略 結論 ピオグリタゾンは、グリメピリドに比べ2型糖尿病患者の冠動脈プラークの進展を有意に抑制した。 ピオグリタゾン治療を受けた患者では、広範なサブグループにおいて冠動脈プラークの進展が抑制された。 これらの知見は、動脈硬化進展リスクの高い2型糖尿病患者に対する治療戦略の決定において大きな意義をもつ可能性がある。 監修者のコメント 本試験は、インスリン分泌を増加させるスルホニル尿素系抗糖尿病薬グリメピリドと比較して、インスリン抵抗性を改善しインスリン分泌低下に働くチアゾリジンジオンであるピオグリタゾンの方が、冠動脈プラークの進展を抑制することを、直接的な血管内エコー検査(IVUS)を用いて証明した。 これまでに、同様の研究プロトコールで、グリメピリドとピオグリタゾンの頚動脈内膜中膜肥厚の進展抑制効果を比較したCHICAGO試験(Carotid intima-media tHICkness in Atherosclerosis using pioGlitazOne)があるが、この研究においてもピオグリタゾンの方が有意に頸動脈肥厚の進展を抑制している。 PERISCOPE試験とCHICAGO試験に共通している脂質への影響として、グリメピリドとピオグリタゾンのLDLコレステロールに対する効果には差がない。 しかし、ピオグリタゾン群ではトリグリセリドが低下し、HDLコレステロールが増加している。 これらのメタボリックシンドロームに関連する脂質代謝異常への影響は、一部はピオグリタゾンのアディポネクチン上昇とインスリン抵抗性改善作用によると考えられる。 今回のPERISCOPE試験では、実際に血漿インスリンレベルの低下もみられている。 これらグリメピリドとピオグリタゾンを比較した2つの研究でみられた糖尿病患者の動脈硬化進展抑制効果は、どのような薬剤で血糖を低下させるか、すなわち血糖低下療法の“質”の重要性を示している。 糖尿病を合併する高血圧患者にはレニンアンジオテンシン系抑制薬が推奨される。 基礎実験において、カンデサルタンとピオグリタゾンの併用が心血管保護につながることが示されており(2008年1月28日掲載「ピオグリタゾンの糖代謝を介さない直接的臓器保護作用。カンデサルタンで増強」、Nakamura T et al. Hypertension. 2008; 51: 296-301.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18158350?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum)、日常臨床でもカンデサルタンとピオグリタゾンの併用が、更なる臓器保護作用をもたらす可能性がある。 ([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣) 原著 Nissen SE et al. JAMA. 2008; 299: 1561-1573. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18378631?ordinalpos=22&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum出典 ピオグリタゾンは2型糖尿病患者の冠動脈プラークの進展を抑制する:PERISCOPE試験 http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=3548 (パスワードが必要です) 版権 CareNet.com ![]() 神戸 文子 「ばら」 F8 日展特選画家http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u24340627 <番外編> m3.comニュースより 日本医師会の唐澤祥人会長は18日、2期目続投以降初めて本紙の単独インタビューに応じ、社会保障費の伸びを毎年2200億円圧縮する抑制策について、「医療費が伸びる伸びると言うが、もうそれほど伸びないはずだ。伸びるからと過度の抑制策を継続すれば、日本の医療を本当に壊してしまう」と訴えた。 その上で「この素晴らしい医療提供体制を絶対に壊すべきではない。私も助けられた。恩返しがしたい」とも語り、小脳出血から自身を救ってくれた日本の医療提供体制を守るためにも、政府に対して医療費抑制策の転換を強力に要請していく考えを示した。 唐澤会長は道路特定財源をめぐる議論を引き合いに、「道路財源を一般財源化する方向を考えているようだが、そうすると2200億円はどうなるのかということもある。なぜ、これほどまで社会保障費を圧縮しようとするのか分からない」と指摘。 その上で、「道路の40兆円、50兆円と比べれば、2200億円は大した額ではない。行政にとっては、これぐらいわずかだから抑えようということかもしれないが、われわれにとっては大問題だ。与党の皆さんには、われわれの立場を理解してほしいと思っている」と述べ、継続的にロビー活動を展開する意気込みを示した。 医療の主体は国民 今年度の診療報酬改定で創設され、地域医師会で届け出拒否を呼び掛ける動きが出ている「後期高齢者診療料」については、「主治医とか担当医とか、これまでなじみのない制度が導入されたかのように言われているが、選択肢の1つとして、こうしたやり方もあるというメニューが出されたにすぎない」と説明。 その上で「医療の主体は国民」と強調し、「制度が先にあって医療を決めていくのではなく、社会の疾病構造や人口の変化、産業・経済の状況などを踏まえて、国民が選択した方式に従って取り組んでいくことが重要だ」と述べた。 また、厚生労働省が構想している「総合科」についても、「行政サイドが制度で医師を枠にはめていくという体制は、われわれにはなじまないし国民も喜ばない」と批判。 日医が検討している「総合医」については、「医師の進む道を根本的に考える、あるいは考える機会としての研修と位置付けている」とした。 http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=717712008年4月23日 <コメント> 老齢者が増え、(偏在は別問題として)医師が増えれば当然医療費は伸びるはず。 「もうそれほど伸びないはず」という発言。 そんなこと言っていて本当に大丈夫だろうか。 小脳出血を起こしたこと自体、脳動脈硬化があることを証明したみたいなもの。 しかし、「なぜ、これほどまで社会保障費を圧縮しようとするのか分からない」というところは医師の誰もが同意見です(自民党べったりの会長としては矛盾に満ちた発言ではありますが)。 「医療破れて道路あり」 日医会長に唐沢氏が再選 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080401-OYT8T00437.htm任期満了に伴う日本医師会の会長選は1日、投開票が行われ、現職で東京都医師会所属の唐沢祥人(からさわよしひと)氏(65)が、新人で兵庫県医師会所属の下間秀晃(しもつまひであき)氏(47)を大差で下し、再選された。任期は2年。 投票は全国の都道府県医師会から選ばれた代議員352人が行い、白票などを除き、唐沢氏が304票、下間氏が27票を獲得した。 (2008年4月1日 読売新聞) 日医会長に唐沢氏再選 診療報酬プラス改定で「無風」 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/science/134373/唐沢氏は与党と緊密に連携する路線をとり、本年度の診療報酬改定では医師の技術料などの「本体部分」を8年ぶりにプラス改定に導いた。こうした路線が会員に支持されたとみられ、選挙戦はほぼ無風だった。 <コメント> 「本体部分」を8年ぶりにプラス改定 「無風」再選の理由はそういうことだったのか。 内科医は4月からみんな泣いているというのに。 私のようなシモジモには今までどのような実績を残された会長かはわかりませんが、これから2年この会長に託すことになったんですね。 2年前の会長就任時、小泉政権と積極的に関係を改善することを公約としたようです。 ご存知のように後期高齢者医療制度は小泉政権の時に法案可決されたものです。 以下は読売新聞の「解説」からです。 唐沢氏の対抗馬として立候補した下間(しもつま)秀晃(ひであき)氏(47)は、立候補の理由として「現場の医師はいろんな意味で疲弊しており、安心して医療に従事できていない。政府との協調路線を取るだけでは問題は解決しない。弱体化した医師会を戦える組織として立て直したい」と語り、政府・与党との関係を巡る路線論争を挑んだ。 2月の大阪府医師会長選でも、政府・自民党との距離の取り方が最大の争点となり、日医執行部と歩調を合わせる現会長と、執行部を批判し、前日医会長の植松氏が支援する元副会長の一騎打ちとなった。結果は、135票対134票のわずか1票差で現会長が辛勝するなど、火種はくすぶっている。 次期衆院選で票の見返りを期待する自民党厚労族からは「今の日医は自民党の言うことに素直に従う。唐沢氏を会長選で落選させるわけにはいかない」という声も聞こえるが、唐沢執行部が自民党との蜜月(みつげつ)関係を強調することが、投票にどう反映されるのかは不透明だ。 08年度予算案では、診療報酬のプラス改定の財源を捻出(ねんしゅつ)するため、大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合などが、1000億円の負担増となる法案が提出された。 一方で、医師不足や地域医療の立て直しの効果的な策は見えず、今年1月以降全国で77の医療機関が分娩(ぶんべん)の中止・制限を予定している。 日本の医療体制が崩壊の危機を迎えようとしている。 政府との距離争点に 協調路線の現職に新人挑む http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080327-OYT8T00167.htm?from=goo <コメント> 医師会員は大阪府医師会長選でみるように割れています。 開業医は日々の診療に汲々です。 しかし死に体の自民党にべったりで本当にいいのかという素朴な疑問が湧きます。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
「日本内科学会総会2008. 4. 17」の記事で勉強しました。
専門性や経験年数で糖尿病治療はこんなに違う 2型糖尿病の治療では、患者特性とは独立して、医師によって処方内容に違いがあるといわれている。薬物治療を受けている2型糖尿病患者と医師を対象に行った調査の結果、糖尿病の非専門医で経験年数が長いほど、1患者当たりのスルホニル尿素薬(SU薬)の投与量が多く、インスリン治療の導入割合が低いことが分かった。川崎市立川崎病院糖尿病内分泌内科の津村和大氏が、第105回日本内科学会総会で発表した。 調査対象は、同院で2007年4月~7月の間に経口血糖降下薬またはインスリン製剤を処方された全糖尿病患者2597人(年齢64.2±13.1歳、BMIは24.7±4.6、調査時のHbA1c値平均6.8±1.2)と、糖尿病患者を管理している医師32人(糖尿病外来を担当する専門医3人、非専門医29人)。 対象患者のうち、SU薬を処方されている患者の割合は54.3%。α-GI薬は43.5%、メトホルミンは29.9%、インスリンは27.7%、チアゾリジン薬は12.4%、グリニド薬は6.4%だった。 各種経口血糖降下薬とインスリンの投与状況(投与の有無、投与量)に関して、患者の特性(年齢、性別、BMI、合併症、HbA1c値、栄養指導受講歴の有無、腎機能障害の程度など)と、処方する医師の特性(経験年数、専門分野など)の両面から解析し、分析した。 ステップワイズ線形重回帰分析(有意確率5%)により、有意な関係があったものについて考察した。 その結果、患者特性とは独立して、医師の専門が糖尿病以外で、経験年数が長い方が、患者1人当たりのSU薬の投与量が多く、インスリン治療を導入している割合が低かった。 また、メトホルミンの処方状況(投与割合と投与量)について、比較的使用が促進されると思われるBMI25以上を対象に検討したところ、特に用量において、医師が糖尿病の専門性を持つことと経験年数が浅いことが関連していた。「肥満患者に高用量のメトホルミンを積極的に処方するのは、若い医師か糖尿病の専門性を有する医師だった」(津村氏)。 チアゾリジン薬については、糖尿病の専門性を持つ医師で使用頻度が高かったものの、用量には有意な差が見られなかった。 津村氏は、「現在、DPCデータによる診療プロセスのベンチマーキングが行われているが、一見同一疾患でも個々の患者特性を勘案するため、単純な治療内容の比較検討が難しいという問題点がある」と指摘する。そういった観点から「今回の調査では、糖尿病患者の特性とは独立して、医師個人の専門領域や経験年数によって投薬傾向が見られた。あくまで治療プロセスを検討したもので、治療内容の良し悪しなどのアウトカムの評価はこれからの課題だが、今後、糖尿病治療の均てん化のために有用なデータだと考える」(津村氏)と語っている。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200804/506160.html ![]() 東山魁夷 「行く春」 http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t70648408 <番外編> 名ばかり管理職と是正勧告 滋賀県立病院に労基署 「医師不足が要因」 出典 共同通信社2008.4.23 滋賀県守山市の県立成人病センター(河野幸裕(こうの・ゆきひろ)病院長)で、管理職の医師が、権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」の状態に置かれているとして、大津労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告をしていたことが23日、分かった。 名ばかり管理職をめぐっては、未払い残業代の支払いを求める訴訟や労働審判が相次いでいる。公立病院にも同様の問題があることが明らかになったが、センターを運営する県病院事業庁関係者は「医師不足が要因となっている」と説明している。 大津労基署は内部告発を受け、今月11日、センターに立ち入り調査。同事業庁から事情を聴き、勤務日誌など関係書類を調べた。 この結果、部長以上の管理職の医師で、勤務終了後5?6時間の残業が常態化。月数回の夜間当直では、夜間診療や急患対応に追われ、当直が明けても深夜まで連続勤務する場合も多かったが残業代は支払われていなかった。 さらに一般の医師も同様の勤務状態にあったが、1日8時間の法定労働時間を超える残業をさせる場合、労使協定を結んで労基署に届け出なければならないとの労働基準法の規定も守られていなかった。 同事業庁の谷口日出夫(たにぐち・ひでお)庁長は「勧告を受けたのは誠に遺憾。今後、専門家を交えて協議し早急に対応したい」と話している。 http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=GENERAL&articleId=71765&articleLang=ja<コメント> この新聞記事の内容が一事が万事。 医師に時間外手当をきちんとつけさせれば多くの病院は潰れます。 今の医療は医師の、なかばボランティア(時間外無給労働)によって成り立っているのです。 そこんとこ厚労省の方お役人、わかっていますか? 包括医療ならぬ包括給与? こんなこと労働基準局が認めるわけがありません。 内部告発で告発された病院は一発退場。 すべての病院が日本からなくなります。 まともに医師に給料が払える診療報酬額ではないからです。 日本の医療はこんなきわどい状態なのです。 医療崩壊の音が聞こえます。
Medical Tribune誌の"世界の権威に聞く"という特集号で、Michael W. Weiner先生へのインタビューで勉強しました。
Michael W. Weiner カリフォルニア大学サンフランシスコ校放射線科学および精神科,神経内科教授,サンフランシスコ在郷軍人病院神経変性疾患画像センター長 ジョンズホプキンス大学(BA)卒業。スタンフォード大学にてNMRの研究に取り組み,1980年に生存動物体内臓器の代謝の観察に成功。その後MRIを心臓や脳に応用。現在は軽度認知異常(MCI),認知症,アルツハイマー病など神経変性疾患における画像による病態解明や診断の第一人者。 人口の高齢化に伴いアルツハイマー病(AD)の患者数は世界的に増加している。 病態の解明は進みつつあるが,根本的な治療法確立への道のりはまだ遠い。 新薬開発のトップを行く米国では,画像診断を中心とする大規模臨床研究が2004年に始まった。 その責任者であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael W. Weiner教授にAD克服のポイントについて聞いた。 認知障害がないAD動物モデル ADの病態はどこまで解明されていますか。 ADは,脳の神経細胞外にβアミロイド蛋白(Aβ)が蓄積した老人斑と,神経細胞内にタウ蛋白が糸くず状に蓄積した神経原線維変化が関与して,多くの神経細胞の死を引き起こし,認知機能障害を示す疾患です。 壮年期発症や高齢発症に関与する遺伝子が発見されていますが,なぜ一部の人だけに発症するかはまだわかっていません。 危険因子としては,幼小児期の脳の強打や脳震とう,低学歴,加齢,低精神的・社会的活動性のほか,運動不足,糖尿病,高血圧,高コレステロール血症などが挙げられます。 脳卒中を起こした人もADリスクが高いのですが,これらの危険因子がいかにAD発症に関与するのか,そのメカニズムは明らかではありません。 多くの研究者は,ADの主要原因はAβで,その産生抑制や,蓄積したアミロイドの分解によって疾患の改善が可能と考えており,それらを標的とした新薬の開発が行われています。 ADの動物モデルはヒトのAD病態解明や治療法開発にどの程度役立っていますか。 ADマウスの存在によって病態の解明は進み,神経細胞のなかのアミロイド前駆体蛋白(APP)がβセクレターゼとγセクレターゼという蛋白分解酵素によって切断されAβが産生されるメカニズムがわかりました。 しかし,マウスではAβの蓄積は生じますが,神経細胞の変性は起こらず,Aβの蓄積がどのように神経細胞死を起こすか,そのメカニズムはわかっていません。 ヒトのADはAβの蓄積開始から20年近い年月を経て認知障害が発現し重症化しますが,マウスの寿命は短いため同様の病態は得られず,またマウスでの認知障害の計測はきわめて困難です。 同様に治療薬の開発でも,Aβの産生抑制や分解についてはマウスで実験可能ですが,その認知障害に対する影響を知ることはできません。 つまり,動物モデルは有用ですが十分とは言えません。 AD治療薬の開発はどの程度進んでいますか。 現在開発が進められているAD治療薬は大きく 3分類されます。 第 1 はAβの産生抑制を狙ったもので,βセクレターゼ阻害薬とγセクレターゼ阻害薬です。 第 2 は免疫療法,つまりAβプラークを特異抗体を用いて分解するもので,数種類がフェーズ I,II の段階です。 第 3 はAβ以外を標的とするものです。いずれも副作用や効果判定の難しさもあり,それらの薬剤が臨床的に有用かが判明するには 5 年くらいかかるのではないでしょうか。 イメージング(画像)とバイオマーカーは診断と治療法の確立に不可欠 イメージングは新薬開発に役立ちますか。 脳は堅強な骨に包まれているため内部は容易に見られず,またADの臨床症状は患者のその日の精神や身体状況によって大きなばらつきが見られます。 他疾患に比べ病状の進行が長期にわたり,病状の進行状況も個人差が大きいなどの理由から,薬剤の有効性を判定するのは非常に難しいとされています。 このため,ADの進行状況や薬剤の有効性を客観的に評価できる画像やバイオマーカーの標準を確立することは,とても意味があることなのです。 また画像は早期診断や進行度評価の標準化にも役立ち,さらによりよい臨床試験の開発にもつながります。 こうしたことから,われわれは画像やバイオマーカーによる客観的評価がADの診断と治療,また新薬開発に不可欠と考え,大規模な観察研究ADNI(Alzheimer's disease Neuroimaging Initiative) を計画・実行しています。 ADNIとは具体的にどのようなものですか。 ADNIは米国立衛生研究所(NIH)から4,000万ドルとアルツハイマー協会や製薬企業からの協賛金併せて総額6,700万ドル(約74億円)の予算で,2004年10月にスタートしました。 米国内の50施設で,55~90歳の軽度AD患者200人,軽度認知障害(MCI)患者400人,正常者200人を対象とし,半年ごとに記憶テストや面接などによる臨床症状の評価,MRI,FDG-PETなどの画像検査,血液・尿検査,症例によっては脳脊髄液検査,PIB-PET(Aβの画像検査;図)を 2 ~3 年間にわたって行うものです。 2007年 9 月には全被験者登録が終了し,2009?10年に全試験が完了の予定です。 被験者登録の終了時点で,既に興味深い傾向が見られています。平均年齢は各群とも約75歳ですが,男性の割合はMCI 群65%,AD群53%,対照群52%で,MCI群での男性の比率が高いのです。 また高校卒業後の教育年数は対照群の 4 年に対し,AD群では 2 年で,やはりADの危険因子となっていたのです。 これらの研究の終了後にはMCIからADへの変換率,MRIによる各群の脳全体,海馬,大脳皮質などの量的変化率,各種バイオマーカーの変化率,PETによるグルコース代謝やAβ蓄積の各部位における変化などを知ることができるでしょう。 これらのデータに基づき臨床試験方法の改善や臨床試験結果の信頼性の向上が期待されます。 ADNIは,日本,オーストラリア,欧州でも同様の試験が開始されています。 これらすべての研究により,今後ますます早期診断や新治療法の開発などが飛躍的に進むことが期待されます。 Comment 画像や体液で治療法開発へ 東京大学大学院神経病理学分野教授 岩坪 威 高齢化社会の本格化に伴い,ADの予防・治療の必要性が世界的に高まる一方で,ADの病態解明が飛躍的に進み,アミロイドワクチン療法,セクレターゼ阻害薬などの根本的治療法が開発され,欧米では既に臨床試験も開始され始めています。 根本治療薬の有効性を確実に評価し,速やかに実用化するには, (1)従来の症候改善薬の治験で用いられてきた認知機能検査や行動観察結果に基づいた方法は,結果に大きなばらつきを生じ,効果判定が不確実 (2)初期の患者,すなわち軽度認知障害(MCI)や軽症ADは進行が緩徐であるため,従来方式の治験は巨大な規模と長い観察期間,莫大な治験費用が必要 (3)根本治療薬の効果判定には,疾患(病態)の本質過程に直結したサロゲートマーカーが不可欠 ―などの問題の解決が必須です。 この目的で,ADに進行する率の高い健忘型軽度認知障害(amnestic MCI),軽症AD,健常者総計800人について,MRIによる精密な脳容積測定,PETによる脳糖代謝画像,βアミロイドイメージングなどの画像マーカーと,脳脊髄液,血液などの体液生化学マーカーを経時的に検索し,そこに臨床・神経心理学評価を組み合わせてADの発症・進行モニター法を策定しようとする大規模縦断臨床観察研究としてADNIが開始されました。 ADNIはWeiner教授の先駆的なアイデアが,故・Leon Thal教授により築き上げられた米国AD臨床試験の全国ネットワーク組織ADCSとClifford Jack教授らメイヨー・クリニックの神経放射線グループ,Arthur Toga教授率いるUCLAのLAβoratory of Neuroimagingデータベースなどの強力な支援により結実したものです。 わが国でもADNIプロトコルに沿った全国臨床研究J-ADNIが立ち上がり,総計600人の被験者募集が2008年初頭から開始されたところで,欧州,オーストラリアでも同様の動きがあります。世界的に見ても,今後のAD臨床研究と根治薬の治験はADNIの成果を基盤に展開することは確実であり,ADの制圧に向けて,確実な道筋が開かれつつあるものと言えます。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41141161&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 <参考サイト> アリセプト(塩酸ドネペジル) http://3.csx.jp/kenta_k/drugs/020ariseputo.html アリセプト(塩酸ドネペジル) http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1190012.html 認知症の進行度が中程度までなら20~30%ぐらいの有効率があるとされ、症状を数カ月~1年ほど前の状態まで回復できます。ただし、対症療法薬ですので、病気そのものの進行を遅らせることはできません。薬を飲むのをやめれば飲まなかったときと同じレベルまで急速に悪化することがあります。(中止により急速に悪化というかなり恫喝的な表現が用いられています。) 河野和彦先生の、医療講演 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/Kouno0228.shtml (アリセプト3mgは消化器症状などの副作用チェックのための用量であり、効果のない量ということになっています。以前から薬価がついていることに疑問を持っていました。一体アリセプト3mgは薬剤なのか薬剤でないのかどちらなんでしょうか。) 痴ほう症新薬、過剰期待は禁物 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AriceptAsahi991124.html しかしその効果の発現は2~3割程度で、進行を遅らせる効果は1年弱程度といわれています。すなわち、症状を1年程前の状態に改善し進行を遅らせるのですが、脳の萎縮そのものを抑制する薬ではないので、やがて重症化するのです。また、効果の発現は2~3割程度ですから、効果が発現するかどうかは何とも言えません。(個人的にはアリセプトとの著効例は残念ながら経験していません。 中止にて、アリセプトによると思われる興奮などが改善する例は多く経験しています。先生方はいかがでしょうか。また進行を遅らせるといわれてもなかなか実感できるものでもありません。) あきらめないで痴呆治療 http://www.junposha.co.jp/guide/3fuk/etc/aki.htm (同じく河野先生の著作の紹介です) 私の経験では半年飲めば約6割の方が一時的にせよ症状が改善するのです。 学会でも多施設から報告があり、改善率はやはり六割を越します。 さらに、外見上改善していない患者も脳内では進行抑制をしているらしく、アリセプトを飲んだことのない患者とは差がつくとのことです。 (ちょっと私のアリセプトに対する印象とは異なるようです) トラミプロセート http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/Toramipuroseto.shtml (70%ほどの患者で進行が抑えられたという触れ込みですが実際は?) 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
麻疹シリーズ
麻疹 その1(1/4)http://wellfrog.exblog.jp/8666694/ の続きです。 麻疹をカタル期に拾い上げるには カタル期の患者は最も感染力が強いにもかかわらず、症状は非特異的で診断が難しい。 実際、上気道炎や気管支炎などの診断で抗菌薬を処方され、その後出現した発疹が薬疹と誤診された例も多い。病院でスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)と診断され、救命救急センターに搬送された麻疹患者の例もある。 まずは患者接触歴の確認から カタル期に麻疹を拾い上げるには、常に麻疹の可能性を頭の片隅に置いておくことが大切である。 そして、症状が出現する10〜12日前に、麻疹患者との接触があったかどうかを必ず尋ねてほしい。 明らかに麻疹と診断された人との接触歴がなくても、麻疹の流行時期に卒業式や入学式、コンサート会場など、大勢の人が集まる場所へ行ったというエピソードがあれば、麻疹の疑いを強められる。 2008年に報告された症例では、成人式の会場で感染したと見られるケースがあった。 麻疹患者との接触歴を聞く際に、麻疹の罹患歴や予防接種歴も忘れずに確認したい。もし罹患歴、接種歴ともになければ、麻疹をより強く意識する必要があるだろう。 また、予防接種歴があっても、まれに免疫を獲得できなかったり(primary vaccine failure)、一度獲得した免疫が年余を経て低下する(secondary vaccine failure)ことがあるため、必ずしも麻疹を否定できないことも念頭に置いておきたい。 コプリック斑は期間限定の大ヒント 麻疹特有のコプリック斑は診断的価値が高いので、カタル期の症状を診たら必ず口腔内をチェックしてほしい。 見慣れた咽頭周辺ではなく、奥歯の対面の粘膜に注目し、白い小斑点を発見したら、翌日か翌々日には発疹が出現してくる可能性が高い。 コプリック斑は発疹出現後2日ほどで消えてしまう「期間限定の大ヒント」なので、ぜひとも見逃さないようにしてほしい。 このほか、血液検査では (1)高熱の割に白血球数が少なく(2000~3000/μL前後)、CRPもそれほど高値にならない、 (2)成人では肝機能異常を示すことが多い、 (3)LDHが高い——という特徴にも留意したい。 2001年の流行時には、肝機能の低下から急性肝炎を疑われた麻疹患者が、病院の消化器科に次々と入院してきた、というケースもある。 なお、小児と成人で臨床症状に差はないが、症状をうまく訴えられず、ぐったりとしてしまう小児に対し、成人は「のどが痛い」「つらくて眠れない」「死ぬかと思った」といった重症感のある訴えが多い印象がある。 発疹出現から4日以内は、IgMが陰性でも再検査を 確定診断のためのウイルス学的検査では、 (1) 急性感染を示す麻疹特異的IgM抗体が陽性(EIA法) (2) 急性期と回復期のペア血清で麻疹特異的IgG抗体価の陽転(EIA法) (3) 同じくペア血清でIgG抗体価の有意上昇(CF法、HI法、PA法、NT法で4倍以上) (4) 咽頭ぬぐい液または血液からの麻疹ウイルス分離または検出(麻疹ウイルスゲノムはRT-PCR法やリアルタイムPCR法などで検出する) のいずれかが確認できれば麻疹と検査診断できる。 ここで注意すべきは、麻疹特異的IgM抗体は、発疹出現後5日以降の採血であれば確実に陽性となるが、発疹出現から4日以内の場合は偽陰性となる場合があることだ。 発疹出現から4日以内で、症状や麻疹患者との接触歴から麻疹が強く疑われるにもかかわらず、IgMが陰性となった場合は、自分の医師としての直感を信じて、5日目以降に再検査を行ってほしい。 また、迅速診断が必要な場合は、麻疹ウイルスゲノムの検出を最寄りの保健所に相談すれば、地方衛生研究所と連携して対応してもらえることが多い。 国立感染症研究所でも対応可能である。 すべての医師は麻疹を診たら届け出を! 2007年の流行を受けて、2008年1月1日から、麻疹は従来の定点サーベイランスの対象疾患から全数把握疾患へと変更された。 すべての医師は、麻疹あるいは修飾麻疹と診断した場合、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられている。 臨床診断のみでも届け出の対象となるが、可能な限り検査診断を実施し、その結果を追加報告していただきたい。 麻疹患者発生の情報を医療関係者や行政、学校関係者などが共有することが、麻疹流行を封じ込める上での大きな武器となる。 麻疹に関する各種情報や保健所への届け出様式は、感染症情報センターのホームページに掲載されている。 http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/taya/200803/505833_2.html <自遊時間> 米国で著名ブロガー死亡相次ぐ 日本でも「ドクターストップ」発生 米国で著名ブロガーの死亡が相次ぎ、「デジタル時代の労働搾取」と話題になっている。 ブログがメディアに匹敵する存在に成長、24時間労働を強いられているケースも多い。日本国内でも「ドクターストップ」が出た著名ブロガーもいる。今やブログ運営はハードワークなのだ。 中略 「ドクターストップ」がかかった著名ブロガーが国内にもいた。 自身のブログのページビューが年間950万ほどにまで成長した経済学者の池田信夫さんは、「プレッシャーはありますよ。月間100万アクセスを超えた辺りから、寝られない日が続き、医者にブログをやめろと言われて…。もう、どうしようもないコメントやスパムとかノイズが凄く飛んでくるんですよ。私はこういったものについて気にしない方なんですが、さすがにストレスになってきています」と明かす。 池田さんは、ストレスを抱えながらも、雑誌に掲載されるよりも社会的に影響力のある情報をいち早く掲載できるメリットがあるとして、ブログの運営は続けていく意向だ。ただ、米国のブロガーがストレスを抱える現象について、次のようにも指摘する。 「日本と米国ではカルチャーが違います。米国ではブログに対して『言論』としての意識が高い。 日本ではカットペーストしてページランクを上げようとする変てこなブログばっかりですが、米国では、例えばSNSの『Facebook』の様に実名で写真まで載せています。 匿名でスパムブログをやってもストレスにならないでしょうが、米国では緊張感が高いんです」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000001-jct-sci (危ない危ない。ブログもほどほどにしないと・・・) 新型インフル発生時、ワクチン検査不要・厚労省、素早い接種可能 厚生労働省は新型インフルエンザの発生時に政府が備蓄しているワクチンを国民に素早く接種できるようにするため、薬事法で定める品質などの出荷前検査である「国家検定」を例外的に不要にすることを決めた。近く薬事法の施行規則などを改正する。 政府は新型インフルエンザの発生に備え、毒性の強い鳥インフルエンザのウイルスをもとに製造した「プレパンデミック・ワクチン」を2000万人分備蓄し、追加も検討している。新型ウイルスの発生後には、より効果の高い「パンデミック・ワクチン」の製造にも着手する方針だ。 http://health.nikkei.co.jp/news/top/ <コメント> インフルエンザワクチンの効果も不確かな現状で、新型インフルエンザワクチンが有効と考えるのは幻想ではないでしょうか。 例年のインフルエンザワクチンの有効性について、シーズン終了後の発表ははたしてされているのでしょうか。 少なくとも私は検索方法や知る手だてを持ち合わせていません。 この新型インフルエンザワクチンとやらはどの医療機関で誰が接種するのでしょうか。 『「国家検定」を例外的に不要にする』といわれても・・・。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
Medical Tribune誌の"世界の権威に聞く"という特集号で、Thomas G. Brottメイヨー・クリニック医科大学神経科教授 へのインタビューで勉強しました。
Thomas G. Brott メイヨー・クリニック医科大学神経科教授 シンシナティ大学を経て1998年から現職。メイヨー・クリニックジャクソンビル研究ディレクター兼任。米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)作成を主導し,NINDS rt-PA Stroke Studyではシンシナティ大学の主任研究者を務める。米国脳卒中協会(ASA)のガイドライン執筆委員などを歴任。 脳梗塞急性期に対する遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA;一般名アルテプラーゼ)静注療法は,それまで積極的な治療法のなかった脳梗塞治療を大きく変えた。 その有用性を証明したのは,米国立神経疾患脳卒中研究所(NINDS)が主導したランダム化臨床試験(N Engl J Med 1995; 333: 1581-1587)である。 NINDS試験に参加したThomas G. Brott教授に,同試験およびその後の脳卒中医療について聞いた。 脳梗塞急性期に対するrt-PA静注療法の有用性を証明 脳梗塞急性期に対するrt-PA静注療法は,現在,標準治療として確立されています。この治療法の有用性を証明したNINDS試験についてお聞かせください。 当時,脳梗塞による脳神経障害を軽減する治療はありませんでしたが,梗塞が完成する前に閉塞した脳血管を血栓溶解薬で再開通させることができれば,障害を軽減できるだろうということは多くの人が考えていました。 しかし,血栓溶解療法は出血リスクを伴うため,そのリスクとベネフィットのバランスがとても重要です。 この問題の克服を可能にしたのはCTとrt-PAです。 CTによる画像検査は脳出血の診断を可能にし,それにより脳出血例への血栓溶解療法は避けられるようになりました。 rt-PAはいわゆる第二世代の血栓溶解薬で,ウロキナーゼやストレプトキナーゼのような第一世代薬に比べて,血栓溶解作用が強く全身への影響が少ないという特徴があります。 脳梗塞急性期に対するrt-PA静注療法の安全性は, 2 つの用量設定試験で検討しました。 それらの試験では,出血リスクを最小限に抑えて最大限の効果を得るには,脳梗塞発症後 3 時間以内のごく早期に治療を開始することが重要であることが明らかになりました。 また,rt-PAの用量については,体重 1 kg当たり0.95mg未満のアルテプラーゼ静注が比較的安全で,かなりの患者で早期の神経学的改善が得られることがわかりました。 その結果を踏まえてNINDS試験を実施されたわけですね。 そうです。 NINDS試験では,発症後 3 時間以内の脳梗塞急性期患者624例に,アルテプラーゼ0.9mg/kgまたはプラセボを投与して比較しました。 対象は,発症時刻が特定でき,NIHSSの評価が可能で,CTで頭蓋内出血の所見が認められない患者としました。 その結果,発症 3 か月後の転帰良好例(modified Rankin Scale 0 ~1 )は,アルテプラーゼ群39%,プラセボ群26%で,アルテプラーゼ群で有意に多く認められました。 一方,懸念された安全性については,36時間以内の症候性頭蓋内出血がアルテプラーゼ群6.4%,プラセボ群0.6%で,アルテプラーゼ群のほうが有意に多かったのですが,全体としてはベネフィットがリスクを上回りました。 この結果を踏まえて,翌1996年に米食品医薬品局(FDA)は脳梗塞急性期に対するrt-PA静注療法を承認しました。 rt-PA静注療法導入で脳卒中医療は劇的に変化 脳梗塞急性期に対するrt-PA静注療法が導入されて,米国の脳卒中医療はどう変わりましたか。 もちろん,rt-PA静注療法ですべての脳梗塞急性期患者を救えるわけではないのですが,少なくとも一部の患者は確実に救うことができるようになりました。 それまでは全身管理に終始していましたから,そのインパクトは非常に大きく,脳卒中医療は劇的に変化しました。 rt-PA静注療法は時間の制約を受ける治療です。 ですから,脳卒中が疑われる患者には一刻も早く,この治療が可能な施設に来てもらわなければなりません。 そこで,米国心臓協会(AHA)を中心にブレインアタック連合が結成され,「脳卒中を起こしたら一刻も早く救急車を呼ぼう」と,ブレインアタックキャンペーンが展開されました。 2000年には一次脳卒中センター(PSC)のガイドラインも発表されました。 ただ,rt-PA静注療法の実施率を高めるのは容易ではありません。 2004年にはヘルスケア評価機構であるJoint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations(JCAHO)がPSCの認定を開始しました。 もちろん,認定の条件にはrt-PA静注療法が実施可能であることも含まれます。一方,2005年には米国脳卒中協会(ASA)が施設の質を向上させるためのプログラムを開始しました。 米国では,脳卒中が疑われた患者をPSCに搬送することを救急隊員に義務付ける法律がつくられている州もあるようですね。 フロリダ州は,脳卒中が疑われる患者を,JCAHO認定のPSCへ搬送するように求めた最初の州です。 地域の脳卒中救急医療体制を整備するため,AHAやフロリダ病院協会などが共同でFlorida Stroke Act(FSA)を制定し,これが2004年に法制化され,翌年施行されました。 FSAは脳梗塞患者でのrt-PA静注療法実施率を増加させるのに有効でした。 2 つのPSCで,FSA施行前後の各 6 か月間における実施率を調査したところ,FSA施行前8.4%,施行後10.5%と,有意に増加しました。 やはり最も重要なことはより早期の治療開始 rt-PA静注療法以外の新しい治療法についてはいかがですか。 米国でrt-PA静注療法が認可されてから約12年が経過しましたが,その間に脳卒中への適応が認可された薬剤はありません。 唯一,認可されたのは血栓除去用デバイスMerci clot retrieverで,2004年のことです。 このデバイスの先端はコルクの栓抜きのようにらせん状になっており,その部分で血栓を捕捉して機械的に除去します。 このデバイスについて,FDAは患者の転帰を改善するエビデンスがあるとは明言していませんが,脳梗塞急性期患者の血栓除去に有用であるとしました。 rt-PA静注療法のtherapeutic window(治療時間枠)を広げられる可能性はありますか。 その可能性がある治療法として,脳組織における酸素・糖代謝率を抑える低体温療法,脳保護薬の投与などが候補に上がっています。 例えば,脳保護薬については,脳梗塞発症 6 ~24時間後からミノサイクリンを 5 日間経口投与すると,90日後の転帰が改善することが確認されています。 とはいえ,脳卒中治療で最も重要なことはやはり,発症後できるだけ早期に治療を開始することです。 その重要性はより強く認識されるようになっています。 これはrt-PA静注療法に限らず,どのような治療法にも言えることです。 治療開始までの時間が短いほど,より安全に治療できますし,より高い有効性が期待できます。 PSCの認定にせよFSAの制定にせよ,rt-PA静注療法の導入後に私たちが取り組んできたことはすべて,より早期の治療開始につながっていると言っても過言ではありません。 世界の権威に聞く 脳梗塞 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view? <参考サイト> ミノサイクリンが急性脳梗塞患者の予後を改善 http://wellfrog.exblog.jp/7216931/ 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
Medical Tribune誌の"世界の権威に聞く"という特集号で、Bartolome R. Celli タフツ大学内科教授 へのインタビューで勉強しました。
Bartolome R. Celli タフツ大学内科教授 カリタス聖エリザベス医療センター肺・救命救急診療・睡眠医療科部長,COPD患者の診断および治療に関する基準を確立した米国胸部学会および欧州呼吸器学会の委員会副議長,The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Desease(GOLD)執行委員会の元メンバー。 COPDは,気道や肺の炎症によりもたらされる慢性の気流閉塞性疾患であるが最近の研究からは全身性疾患との認識が広まっており,COPDがもたらす合併症や生命予後への影響について注目されている。 タフツ大学内科のBartolome R. Celli教授は,多次元的評価法による予測死亡率の有用性など,患者の個別性に応じた全身性症状の改善に着目して研究している。 COPD患者の予後に明るい兆し,BODE指数が死亡リスクの予測に有用 米国ではCOPDはどのような現状ですか。 米国では現在,COPDがおもな死因の第 4 位で,年間13万人以上が亡くなっています。 18歳以上でCOPDと診断されているのは1,100万人以上です。最近のCOPDによる死亡数は,男性に比べて女性のほうが多くなっています。ただし,多くの症例がいまだ正確に診断されずにいます。 しかしその一方で,現時点では喫煙率が低下していることや,多数の新しい診断・治療法が実用化されていることから,COPDリスクのある人の予防や患者の予後について明るい希望を持ってよいとする理由が十分にあるということを,最初にお伝えしたいと思います。 COPDの生命予後や死亡リスクを決定する因子について最近の知見をお聞かせください。 まず,COPDを新しいパラダイムを通して見る必要があります。 つまりCOPDを単なる呼吸器疾患ではなく,評価可能な全身への影響(合併症)を伴う重要な疾患でもあると考えられます。 また,このパラダイムによると,COPDは予防や治療が可能な疾患であると考えるのです。 したがって,COPD患者の全死因や呼吸器系の原因による死亡リスクを予測するBODE指数は重要な意味を持ってくるのです。BODEは肥満指数(BMI;B),気流閉塞度(the degree of airflow obstruction;O),呼吸困難(dyspnea;D),6 分間の歩行テストで測定する運動能力(exercise capa-city;E)を意味します。 この 4 つの変数を使用して,スコアが高いほど死亡リスクが高くなる多次元的10点満点方式の評価法を作成しました。 われわれは,COPD患者の全死因や呼吸器系の原因による死亡リスクを予測するという点で,BODE指数が 1 秒量(FEV1.0)よりも優れていることを明らかにしました。 これ以外にも重要で補完的なアプローチが,研究や新しい治療法の開発に重要な道を開いています。 最大吸気量/全肺気量比(inspiratory-to-total lung capacity ratio;IC/TLC)は,COPD患者の全死因死亡率や呼吸器系の原因による死亡率に関して有効で独立した予測因子です。 携帯型酸素飽和度測定器で24時間測定すると,COPD患者の日常生活動作と夜間のいずれにも影響を及ぼす,頻発する潜在的に重要な酸素飽和度の低下を確認できます。蛋白質マイクロアレイプラットホーム(PMP)技術により,重要な臨床予後予測因子に関係する血清中の選択マーカーが確認されています。 心不全や心筋梗塞,不整脈,肺塞栓症はいずれもCOPD増悪に似た症状を呈するため,COPDの増悪と思われる症状を慎重に診断することがきわめて重要です。増悪の程度に伴い健康状態の悪化や肺機能の低下,死亡が生じるため,増悪の予防と適切な治療が非常に重要です。遷延性低酸素血症や不均一に分布する肺気腫による過膨張,末梢性筋機能障害など,特定の臨床表現型の検出における最近の進歩により,それぞれの患者に最適な治療を提供できるようになっています。 肺の過膨張が治療で重要な標的 最近の大規模試験によってどのようなことが明らかになったのでしょうか。 COPD患者6,112例を対象にしたTORCH試験では,サルメテロール/フルチカゾン配合剤群の全死因死亡率が12.6%,プラセボ群では15.2%であることが明らかになりました。 事前に決めた統計学的有意水準には至りませんでしたが,サルメテロール/フルチカゾン配合剤群では,死亡リスクがプラセボ群に比べて2.6%低下したほか,QOLの改善,増悪の程度の軽減,肺機能低下速度の遅延という成績が得られました。 UPLIFT試験では,チオトロピウムの長期投与により肺機能低下速度や健康状態,増悪の頻度に対する有用性を示すかどうかを明らかにしようとしています。 今年には報告されるでしょう。 われわれは以前,短時間および長時間作用型の気管支拡張薬もともにCOPD患者の肺過膨張を軽減することを明らかにしました。 というのも,肺の過膨張が治療上重要な標的になるからです。 GOLDは新たな病期分類,増悪の管理,包括的医療チーム確立を推奨 患者管理についてGOLDレポートからわかることは何でしょうか。 最新のGOLDレポートには,COPDの診断,管理,予防に関する新しい基準,重症度を明らかにする新たな病期分類のガイドライン,増悪の管理に関する推奨事項,連携治療に必要な包括的医療チーム確立に関する推奨事項が記載されています。 GOLDの2007年追補版も発表されました(詳細はhttp://www.goldcopd.com/で閲覧可能)。 COPDの増悪を抑えることが重要な治療目標ですから,増悪例の自宅管理では現在実施している気管支拡張薬療法の用量や回数を増やすことが必要です。 さらに,COPD増悪時ではコルチコステロイドの全身投与も推奨されています。 病院で管理する場合は,酸素療法,非侵襲的呼吸管理,抗菌薬投与も役割を果たします。 患者個々に合った包括的アプローチで延命可能 多次元的評価法による死亡率予測の有用性,また最少の費用で最善の転帰を得て最大の治療効果を上げる活用法について教えてください。 多次元的評価法により,医師が患者 1 人 1 人に必要な診療について焦点を絞りやすくなります。 予測死亡率に目を向けることによって,延命のために何をすべきかという問題にも容易に焦点を定めることができます。 COPDは全身症状を伴う疾患であるため,患者それぞれの特性に合わせて介入することによりQOL改善,延命,死亡率低下が期待できると考えています。 呼吸リハビリテーションにより,転帰不良に関係する運動能力,呼吸困難などの変数とともに,多次元的BODE指数も改善します。 将来,全身性炎症の改善または正常化を目指した介入が実施されるでしょう。 われわれは,気流制限の程度に直接的には関係しないCOPDに伴う全身性疾患に着目することにより,同症の罹患率や死亡率の低下が可能かどうかを検討しています。 現在,COPDを生涯にわたって管理するには,包括的なアプローチが重要です。多くの患者では,COPDのさまざまな症状に対して複合的な治療を同時に展開することが必要なのです。 ![]() 竹内敏彦 「ヨットハーバー」 F10 http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c172042187 Comment COPDは全身性疾患として 予防と治療が可能な時代に 順天堂大学呼吸器内科客員教授 福地 義之助 COPDについて世界的に最も広く引用されているGOLDの2006年改訂版に導入された,"COPDは予防と治療が可能な疾患である"という疾患概念をかねてから強調してきたのはCelli教授です。 COPD治療に対する,医師と患者の長年にわたる無力感や悲観論にとらわれることなく,今や積極的に治療を展開すべきだという確固たる信念が,Celli教授のインタビューからもよく伝わってきます。 有効な治療が可能になったのは,長時間作用型気管支拡張薬が普及してきたことや,呼吸リハビリテーションの早期導入が広まったことなどが貢献しています。 さらに,COPDの全身的影響としてGOLDに挙げられている動脈硬化症,骨粗鬆症,筋萎縮性変化などは,一般臨床においても高齢者診療では日常的に多く診療していますが,その適切な管理が一般臨床医にとっても重要な診療内容となることは必至でしょう。 このためには,COPDが全身性疾患であることを十分に理解し,Celli教授が提唱したBODE指数に即して,体重(BMIなど)の維持に直結する栄養管理,気流制限(obstructive disturbance),呼吸困難(dyspnea)の改善を図る気管支拡張薬の投与,運動能力(exercise capacity)を向上させる運動療法などを標的とした治療戦略を立てることが重要です。 TORCH,INSPIRE,UPLIFTなどの大規模臨床試験においてCOPDの予後の改善,増悪の防止,患者QOLの向上とともに肺機能の低下を改善することが示されれば,COPDをさらに早期から治療することの意義が確認できると期待されます。 わが国で発刊されている『呼吸リハビリテーションマニュアル』の「運動療法」(2003年)と「患者教育の考え方と実践」(2007年)に関するガイドラインは,COPD患者の診療を行ううえでおおいに役立つ情報を満載しているので,広く参照していただければ幸いです。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41141021&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社
Medical Tribune誌の特集号で、ピロリ菌の発見者であるMarshall先生へのインタビューで勉強しました。
Barry Marshall先生の紹介 西オーストラリア大学微生物学教授,同大学Marshall感染症研究・研修センター所長 1951年,オーストラリア生まれ。 Helicobacter pyloriの発見により,元王立パース病院の病理学者Robin Warren博士とともに2005年度のノーベル生理学・医学賞を受賞。 自ら菌を飲んで,H. pyloriと胃潰瘍の因果関係を実証したエピソードが話題となった。大の親日家で,日本との共同研究にも力を入れている。 H. pyloriの発見とH. pylori 除菌治療の導入は消化器疾患の臨床に大きな改革をもたらした。 潰瘍予防・治療への貢献から胃がん予防の可能性までその期待は大きい。 2005年のノーベル生理学・医学賞受賞後,「世界中の人たちに医学研究の魅力を伝えていけるという受賞者の特権を楽しんでいる」と語る西オーストラリア大学のBarry Marshall教授に,除菌の現状と研究の今後について聞いた。 H.pylori発見により上部消化管疾患の概念や診療方針は大きく変貌しました。 H.pylori除菌治療に対する医師の認識の変化についてどう思われますか。 H.pylori除菌治療の受け入れは徐々に進んできました。 特にH.pylori感染率の高い国では受け入れに慎重な姿勢が取られてきたのですが,それはよいことだったと思います。 例えば,H.pylori陽性者の比率が高い国で全員に除菌治療を行うことになれば,医師の負担や医療費の増大などさまざまな問題が生じると想定されたからです。 少しずつH.pylori除菌療法が受け入れられて,世界的に浸透してきたのはたいへんよいことだと思います。 H.pylori陽性なら除菌すべき すべての感染者を除菌すべきなのでしょうか。 H.pylori感染者の 9 割には潰瘍が見られず,日本では保険診療外となっていますが,このような感染者の除菌についてどう考えられますか。 私はH.pylori陽性であれば除菌すべきだと考えます。 オーストラリアでもつい最近まで症状のない患者への除菌治療は保険診療外とされていましたが,医師は除菌の重要性を認識していましたから,患者にも行政にも重要性を働きかけてきました。 その結果,今もH.pylori除菌が義務付けられているわけではありませんが,多くの患者が除菌治療を受けるようになっています。 10代以降であればH.pylori検査をして対処するのがよいと思います。 クラリスロマイシンへの耐性菌の出現などで,H.pyloriの除菌成功率は70%程度にまで低下しています。 除菌の効率を上げるにはどうしたらよいのでしょうか。 確かに,H.pylori除菌法として広く用いられてきたプロトンポンプ阻害薬(PPI)+アモキシシリン+クラリスロマイシンの 3 剤併用療法では,以前ほどの除菌効果が得られなくなっており,新しい除菌法の模索が続けられています。 しかし,この 3 剤併用療法でもPPIや抗菌薬を増量したり,通常は 7 日間の除菌治療期間を10日間に延長するといったわずかな調整で,除菌率を80?90%まで回復させることが可能です。このように,最初の除菌法が失敗しても,わずかに異なる治療選択肢が 3 〜4 種類は存在します。 除菌治療後には呼気検査などで除菌効果を正しく把握し,失敗であれば次の除菌法を行うようにするのが肝心です。 除菌にはデメリットを超えるメリットあり 日本人はH.pylori感染率が高く,胃がんも多いのですが,胃がん予防のために除菌をしたほうがよいのでしょうか。 除菌はすべきだと思います。 H.pylori除菌の胃がん予防効果を証明するために臨床試験を行うことはできませんが,日本には大勢のH.pylori陽性者がいますから,例えば80歳以上の高齢者のみで除菌治療を徹底するところから始めて,半年〜1 年ごとに対象年齢を 5 歳ずつ下げていく方法でH.pylori除菌を普及させていけば,5 年後には日本の胃がん発症率は下がり始めるはずです。 結果が出るまでにある程度の時間は必要ですが,除菌療法の成果は必ず現れると思います。 胃がんが減少すれば内視鏡検査の施行数も減少するでしょうし,除菌療法の費用を考えても,結果的には医療費の削減につながるのではないでしょうか。 除菌によるメリットとデメリットについてはどのように考えられていますか。 除菌のデメリットがやや強調されすぎているように感じます。 確かに薬剤耐性の問題はあり,H.pyloriだけでなく他の細菌にもクラリスロマイシン耐性菌が増える危険性が指摘されていますし,抗菌薬による副作用も除菌のデメリットと言えます。 ただし,長年の除菌治療経験から,いったん除菌に成功した患者は,その後H.pylori陽性に転じることなく大きな健康メリットを受けられることは明らかです。除菌にはデメリットを超えるメリットがあると考えます。 無毒化H.pyloriを利用した経口ワクチン 先生が取り組んでおられるH.pyloriを利用したワクチン開発の現状と実用化のめどについてお話しいただけますか。 私が進めているのは,H.pylori感染予防のためのワクチン開発ではなく,H.pyloriを種々のワクチンのドラッグデリバリーシステム(DDS)として利用するという新しい概念のワクチン研究です。 無毒化したH.pyloriに,例えばインフルエンザウイルスの遺伝子を導入して胃内に運ばせ,H.pyloriが胃内で数週間生息している間に,インフルエンザに対する免疫を獲得させるというものです。 この研究が完成すれば,いわゆるプロバイオティクスのような働きのH.pyloriができ,インフルエンザだけでなく種々のワクチンを経口的に接種できるようになります。 既にH.pyloriの無毒化とワクチン遺伝子の導入は可能であり,現在は動物実験で種々の遺伝子の検討を進めているところです。 今後はできるだけ早い時期にボランティアによるヒトへの検討に入りたいと考えています。 実用化までには10年以上かかるかもしれませんが,このワクチンが実現すれば,スーパーマーケットでインフルエンザの予防ワクチンを購入できる日がやってくるかもしれません。 また,黄熱病やマラリアなどさまざまなタイプのワクチンに応用できますから,使い捨て針や消毒,冷蔵の必要がなくなり,アフリカなどの貧しい国々でも広くワクチン接種が可能になるでしょう。素晴らしいブレークスルーになるはずです。 最近のH.pylori研究で注目されているものがありましたら教えてください。 第 1 に免疫学的研究です。 私自身のワクチン研究もそうですが,H.pyloriに対するワクチンの研究に興味を持っています。 また,日本で進められているH.pylori毒素についての研究も非常に重要なものです。 今後,H.pylori研究はどのような方向に進んでいくのでしょうか。 まず,数年以内に胃がんの発症機序が解明されるだろうと思います。 また,10年程度の時間が必要かもしれませんが,H.pyloriの研究を介して腸内免疫機構が解明されていくことでしょう。 それによりH.pyloriを利用した免疫疾患や食物アレルギーのコントロール,さらにはさまざまな疾患に対するワクチン接種が可能になると思っています。 Comment 除菌の普及で胃がんはマイナー疾患に 北海道大学大学院消化器内科学教授 浅香 正博 ノーベル賞受賞以来,精力的に講演やマスコミ出演をこなしているMarshallは目立っていますが, Warrenはほとんどマスコミにも出演せず地味な生活を保っているようです。 H.pyloriの発見はまさに動と静の全く性格の異なる 2 人が出会ったことによりなされた世紀の偉業です。 当時,世界中で最も胃炎の標本を見ていたであろう大勢の日本人病理学者はだれもH.pyloriに気が付かず,ノーベル賞を取る機会を逃したと言えます。 1990年に世界消化器病会議で胃炎の原因としてH.pyloriが認定され,94年には米国立衛生研究所(NIH)が胃・十二指腸潰瘍でH.pylori陽性なら除菌するよう勧告を出しましたが,日本の厚生省は反応が鈍かったですね。 われわれが日本ヘリコバクター学会を設立し,H.pylori診断・治療のガイドラインを作成したりして行政に働きかけ,2000年にようやくわが国でも胃・十二指腸潰瘍に対して除菌が保険適用になりました。 除菌によって 9 割以上の患者は維持療法なしでも潰瘍を再発しなくなります。 クラリスロマイシン耐性菌のため除菌治療に失敗することもありますが,そうした患者でも昨年新たに保険適用が認められたメトロニダゾールを使用した二次除菌を行え ば 8 〜9 割で成功します。 原因療法である除菌治療が進むにつれて,わが国の胃潰瘍や十二指腸潰瘍は確かに減ってきていると思います。 日本消化器病学会と日本ヘリコバクター学会は合同で,「ヘリコバクター感染症」に対して保険で除菌治療が受けられるよう,厚生労働省と交渉を始めています。 除菌治療自体は安価ですし,陽性者のうち希望者全員に除菌を行ってもトータルで考えれば医療費の削減につながると思います。 例えば,20歳の成人を迎えたときに全員がH.pylori検査を受け陽性だったら除菌するシステムを導入すれば,数十年後には日本では胃がんがほとんどなくなるでしょう。 われわれが最大のテーマとして取り組んできた胃がん抑制の研究がまとまり,今夏前に発表されますが,かなりのインパクトを与えると思います。除菌治療が普及した暁にはわが国でも胃がんはマイナーな疾患となっているでしょう。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41141141&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.4.3(創刊40周年記念特集号) 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 「医学英検」を創設・日本医学英語教育学会 日本医学英語教育学会は、医療現場での英語の運用能力を評価する「医学英語検定」を創設した。 13日に初の試験を実施する。 英語を使った診療や、国際的に医療技術を伝えられる医師・通訳者などの育成が狙い。 初回は3、4級の試験を東京や兵庫などの会場で実施し、医学部生や通訳者ら約660人が受験する予定だ。 3級は筆記とリスニング試験、4級は筆記試験で判定する。 日経新聞•夕刊 2008.4.4 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080404AT1G0302D04042008.html <コメント> 「日本医学英語教育学会」・・・そんな学会があったんですね。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/(循環器科関係の専門的な内容)
厚生労働省は昨年(H19年)8月に策定した「麻疹排除計画」が、本格的に動き出します。
目標は、2012年までに「はしかをなくす」、つまり麻疹患者の発生を100万人に1人未満にする排除(elimination)です。 翻って現在の医療現場はどうでしょうか。 現時点で当院には麻疹ワクチンがまったく入手できません。 薬剤卸業者に確認したところ、公費負担の麻疹ワクチンの接種のため地方自治体が確保しており一般市場(無床診療所)には出回らないとのこと。 この4月から中1と高3のMRワクチン接種が始まりました。 大学生などが接種希望するのは麻疹(単独)ワクチンであり、第一線の無床診療所にこそこの単独ワクチンを供給して欲しいものです。 麻疹ワクチンを希望する大学生には仕方なく高価なMRワクチンで代用しているのが現状です。 麻疹抗体の測定は昨年は完全にストップしました。 昨年は検査も接種も出来ない状態でした。 現場を知らない厚労省、そしてそのことに対して全く動かない医師会。 われわれ現場の医師は、厚労省は勿論のこと、医師会からも心が離れているのが現状ではないでしょうか。 長寿医療制度の新保険証のゴタゴタに関する枡添大臣の「医療機関への通達云々」。 私には未だ持って何も通達が届きません。 さて4回にわたって麻疹を勉強してみます。 教材は「日経メディカルオンライン」です。 麻疹は子供の病気にあらず 「はしかなんて子供の病気だろう」。 一般市民はもとより、第一線の医師であっても、つい最近までそう思っていた人は多いのではないだろうか。 しかし、現在のわが国における麻疹の流行状況は、一昔前とは全く様相が異なる。 2007年、日本全国を席巻した麻疹流行の中心となったのは、乳幼児ではなく、10代、20代の若年者だった。 感染症発生動向調査における15歳以上の「成人麻疹」の流行は、1999年以降で最大規模となり、学校閉鎖が相次いだことは記憶に新しい。 流行は春から夏にピークを越えたものの、全数把握疾患となった2008年は、第1週から報告数が増え続け、3月9日までの累積患者数は3600人を突破した(最新情報は感染研のホームページを参照)。 感染症情報センター(麻疹) http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html#info2 年齢別では、やはり10代、20代が多く、7割近くを占めている。 麻疹をほぼ制圧している先進諸国の手前、恥ずかしい話ではあるが、いまや日本では、麻疹は小児科医に限らず、臨床医の誰もが遭遇する疾患だと考えた方がよいだろう。 たまたま当直をした日に、麻疹患者が救急外来を訪れることも十分あり得る。 そこでうっかり麻疹を見落とすと、非常に強い感染力を持つ麻疹ウイルスが、診断が付くまでの間に周囲の人間に次々とまき散らされることになる。 二次感染を最小限に抑えるためにも、第一線の臨床医が麻疹をいかに拾い上げられるかが重要となる。 麻疹の典型的な臨床経過をおさらいしておこう。 【カタル期】 麻疹は麻疹ウイルスの感染後、10〜12日の潜伏期間を経て発症する。まず38?前後の発熱、倦怠感、上気道炎症状(咳、鼻汁、くしゃみ)、結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が出現し、2〜4日間続く。 この時期はカタル期と呼ばれ、麻疹の経過中で最も感染力が強い。 また、カタル期の後半、発疹出現の1〜2日前には、口腔粘膜の奥歯の対面に、やや隆起した径1mmほどの白色の小斑点(コプリック斑)が認められる。 【発疹期】 カタル期の発熱が1℃ほど下降した後、半日ほどして再び高熱(多くは39℃以上)が出現する(二峰性発熱)。 それと共に特有の発疹が出てくる。 発疹は耳後部、頸部、前額部から始まり、翌日には顔面、体幹部、上腕に及び、2日後には四肢末端にまで及ぶ。 初めは鮮紅色で扁平だが、徐々に皮膚面より隆起し、融合して不整形な斑状(斑丘疹)となる。 指で押すと退色し、一部には健常な皮膚も残る。 発疹が全身に広がるまで、39℃〜40℃台の発熱が3〜4日間続き、カタル症状も一層強くなる。 一方コプリック斑は、発疹出現後2日目の終わりまでに急速に消失する。 発疹は次第に暗赤色となり、出現順序に従って退色する。 【回復期】 発疹出現後3〜4日すると回復期に入る。 解熱し、全身状態やカタル症状も改善してくる。 発疹は退色するが、しばらくの間は色素沈着が残り、わずかな粃糠様落屑も認められる。 合併症がなければ、発症から7〜10 日後には回復するが、その後数週間は免疫機能低下状態が続くため、各種感染症に注意が必要となる。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taya/200803/505832.html 出典 日経メディカルオンライン 版権 日経BP社 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
Medical Tribune 2008.4.3号には「世界の権威に聞く」という特集記事があります。
きょうは糖尿病研究に関する最新の動向を勉強しました。 C. Ronald Kahn ハーバード大学教授,ジョスリン糖尿病センター前所長 2000年から2007年までジョスリン糖尿病センター所長。 インスリン受容体チロシンキナーゼを発見。 2型糖尿病や肥満におけるインスリン抵抗性状態のネットワークの変化やこれらシグナルの遺伝的・環境的要因の解明に努める。 日本だけでなく世界的に糖尿病患者数は増加傾向にあり,それに伴う合併症の増加も予想される。 そのため,糖尿病治療の成功は臨床的転帰の改善にとどまらず,社会的・医療経済的にも希求されているのが現状である。 ここでは,糖尿病研究を約40年リードしてきたジョスリン糖尿病センター前所長で,ハーバード大学のC. Ronald Kahn教授に,これからの糖尿病克服の鍵について聞いた。 増加を続ける糖尿病患者 ―― 米国における糖尿病患者の現状はいかがでしょうか。 今,私たちは糖尿病,特に 2 型糖尿病の世界的流行に直面しており,これは肥満やメタボリックシンドロームと関連付けられています。 米国では現在,18歳以上の糖尿病患者が2,100万人を数えており,毎年約100万人のペースで増加し続けています。 これは公衆衛生上,非常に憂慮すべき統計学的な数値です。また,小児や若年者においても 2 型糖尿病患者は急速に増加していることも懸念されるところです。 米国の糖尿病患者の増加は多くの要因が複雑に絡み合ってもたらされています。 要因の 1 つは明らかに生活習慣の変化であり,幼児の間でさえ肥満が増大しており,由々しき事態です。 また,米国におけるこのような増加の背景には,他の要因も関与している可能性があります。 例えば,米国のさまざまな民族集団,ヒスパニック系,アフリカ系米国人,アジア系米国人,米国先住民ではいずれも糖尿病リスクが増加しています。 求められるインスリン抵抗性関与のメカニズム解明 ―― 肥満,メタボリックシンドローム増加による影響,またアディポサイトカインやインスリン抵抗性といった病理学的原因についてはどのようにお考えですか。 2 型糖尿病発症率の増加は肥満とインスリン抵抗性が複雑に関与しています。 メタボリックシンドロームには 2 型糖尿病,すなわち耐糖能異常だけでなく,脂肪肝,脂質異常症,高トリグリセライド血症,低HDLコレステロールおよびVLDLコレステロール血症などの脂質異常症やアテローム動脈硬化症,高血圧のリスク増大も含まれます。 胆石や女性の生殖障害との関係,さらにはアルツハイマー病といった神経変性疾患との関係など多くの問題が含まれています。 未解決の最重要な課題の 1 つは,こうした症候群の根本原因の解明です。 確かにメタボリックシンドロームの基盤にはインスリン抵抗性がありますが,いまだこの原因は明らかにされていません。 脂肪細胞は多くのアディポカインを分泌し,腫瘍壊死因子(TNF)αなどのインスリン抵抗性を高めるものもあります。 ここで,日本の門脇教授らはアディポネクチン受容体を発見したことでもよく知られていますが,そのアディポネクチンなどインスリン感受性を高めるものとインスリン抵抗性を高めるものの関係を理解する必要があるのです。 しかし,これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのかは未解決のまま残されています。 また,非常に興味ある分野の 1 つに炎症と脂肪組織内の炎症細胞が挙げられます。 インスリン抵抗性と肥満を発現する場合,リンパ球と単球が脂肪組織に侵入してリンホカインを放出し,脂肪細胞がアディポカインを放出し,これらが一緒になるとインスリン抵抗性を高める可能性があります。 ―― 糖尿病治療において,インスリン抵抗性改善薬と,米国で最近普及してきたGLP-1,DPP-4阻害薬はどう位置付けたらよいのでしょうか。 疾患の多くはインスリン抵抗性を基盤とするため,インスリン感受性を改善する薬剤は治療上基本となります。 メトホルミン,チアゾリジンジオン誘導体(ロシグリタゾン,ピオグリタゾン)などが挙げられますが,これらはすべての患者で,また糖尿病の全期間にわたって効果的というわけではありません。 そのため,新しいインスリン感受性改善薬を探求し続ける必要性があります。 例えば,サーチュインと呼ばれる蛋白質ファミリーを活性化する可能性を有する新薬の開発が注目を集めています。 これらの蛋白質は多くの代謝経路を制御しており,その活性が増強するときにインスリン感受性を改善する可能性があり,現在,製薬会社の数社がこの分野の研究・開発に取り組んでいます。 当然ながら,糖尿病の究極の原因となるのはなんらかのβ細胞不全であるためスルホニル尿素薬が用いられてきましたが,現在ではGLP-1やexenatide,DPP-4阻害薬と呼ばれるGLP-1プロテアーゼ阻害薬による新たな治療薬が開発されており,これらはインスリン分泌を改善するうえで非常に効果的だと思います。 問題はGLP-1とexenatideの剤形が依然として注射剤であることです。 経口剤であるDPP-4阻害薬は注射剤と同程度の体重減少はもたらしません。 今後,こうした分野でのよりいっそうの研究が続けられることを期待しています。 治療よりも予防を目指して ―― 糖尿病研究をリードしてきた立場から,今後の糖尿病治療・研究の方向性をお示しください。 過体重は,将来的には日本でも問題となると予測されます。 将来のために私たちが行うべきことの 1 つは,環境が自分の身体に及ぼす影響を制御する方法を見出すことです。 糖尿病や肥満をもたらす環境的な刺激は,われわれが考える以上に複雑化します。 米ワシントン大学のJeffrey Gordon博士の研究所から発表された興味深い新しい研究分野があり,彼は肥満の人の腸内細菌がやせた人とは異なることを見出しました。 やせたマウスから腸内細菌を抽出して肥満マウスに注入すると,肥満マウスはやせ,またその逆の現象も起こることを発見したのです。 そのため,例えば,私たちが食べる量以外にも相違をもたらす多くの要素が存在する可能性があることを示しています。 未知の環境的要素があるかもしれません。 ですから,私たちは,インスリン作用や分泌の基本的なメカニズムだけでなく,糖尿病に関与している他の環境的因子の存在やそれらを変化させられるかという研究に取り組む必要があります。 また,自己免疫型であり,2 型糖尿病よりも発症頻度がまれな 1 型糖尿病の問題もあります。免疫系は 1 型および 2 型糖尿病双方に影響を及ぼすと考えられますし,これら 2 つのタイプの糖尿病に影響する将来的な共通の研究分野です。 最後に,私にとって糖尿病の最も重要な面は治療ではなく予防です。 糖尿病専門医の数が非常に不足しており,さらに栄養学や運動のスペシャリストも不足しているのが現状です。 今後,集学的な糖尿病予防研究に力を注ぎ,予防策を見出さなければならないでしょう。 Comment 基礎・臨床両面からの解明に鍵 日本独自のエビデンス集積に期待 東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授 門脇 孝 日本の糖尿病の現状は,2002年の糖尿病実態調査から患者数740万人,予備軍880万人と報告されており,最近の統計では40歳以上の実に 3 人に1 人が糖尿病または予備軍であるという驚くべき結果が示されています。 日本人は欧米人に比べてインスリン分泌量が 2 分の 1 であるにもかかわらず,高脂肪食,運動不足といった欧米型の生活習慣が浸透したことがこの背景に挙げられます。 米国ではbody mass index(BMI)30以上が成人人口の約 3 分の 1 以上を占めるのに対し,日本ではわずか 4 %前後です。しかし,インスリン分泌低下の体質のため,わが国ではBMI 25程度であっても米国のBMI 30以上と同程度の糖尿病リスクを有する点に注意を払う必要があります。 こうした糖尿病・肥満患者の激増や,2005年 4 月の内科学会を中心とした 8 学会によるメタボリックシンドロームの診断基準の策定を契機に,わが国でも肥満や内臓脂肪蓄積を背景とした糖尿病・心血管イベントリスクを増加させる疾患への認識が高まり,基礎研究からの解明が強く求められています。 なかでも,膵β細胞からのインスリン分泌およびインスリン抵抗性に対するβ細胞の代償性過形成メカニズムの解明や,アディポカインに関する研究は世界でも注目を集める成果を得ています。 今後,内臓脂肪特異的なアディポカインやインスリン抵抗性だけでなくインスリン分泌不全を惹起するアディポカインの同定などが,メタボリックシンドロームや糖尿病の発症機序を考えるうえで重要となる可能性があります。 臨床的な面からは次の 3 点に注目しています。 まず,今年 4 月には,メタボリックシンドロームに焦点を当てた特定健診・保健指導制度が開始されます。 生活習慣病の予防対策として世界に誇れる取り組みとなることに期待しています。 次は,GLP-1やDPP4阻害薬などの臨床導入です。 これらの薬剤は糖尿病治療改善に大きく貢献すると思われます。 最後に,HbA1c,血圧,LDLコレステロール値などの治療目標達成の改善です。 厚生労働省が2005年度に開始したJ-DOIT3研究は糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法を研究しており,わが国の糖尿病治療のエビデンスが示せることにおおいに期待しています。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41140991&year=2008 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 <参考サイト> J-DOIT3 Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment Study for 3 Major Risk Factors of Cardiovascular Diseases 2型糖尿病において,血糖,血圧,脂質代謝治療のうち糖尿病合併症予防の点で優れた治療法は何であるかを検討。 http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0054.html <コメント> 文中の「これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのか・・・」。 まさしく本質的な提言と思います。 たとえば動脈硬化と種々の脂質が相関するからといって直接な因果関係、つまり高脂血症が真の動脈硬化の原因ではない(サロゲートマーカー)のではないかと、ふと思ってしまうことが私の心の奥底にはあります。 先生方はいかがでしょうか。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
きょうは脳卒中の2次予防について勉強しました。
一般的に医師も患者も一度起こった脳卒中のリハビリで頭がいっぱいになってしまいがちです。 一度あることは二度ある。 いったい脳卒中の再発率はどのぐらいなのでしょうか。 当然初発の確率より高いとは思うのですが。 小樽市 脳神経外科 島田脳神経外科 http://www.shimada-noushinkei.com/diseases3.html 脳卒中の再発の頻度は決して低いものではなく、発症後5年間で20~40%とされ、同期間の死亡率は45~61%とされています。多くの報告では発症1年以内の再発率が高く、脳梗塞は脳梗塞として再発することが90%、10%は出血として再発するといわれています。また、脳出血の再発率は年間2.9%で、半数近くは脳梗塞で再発すると報告されています。 とにかく脳卒中のリスクファクターがあって発作を起こしたわけですから、二次予防が重要であることには間違いありません。 患者への啓蒙も含めて医療側も心すべきテーマだと思います。 東京女子医科大学神経内科教授の内山真一郎氏 ―― 脳卒中の2次予防については、これまでにかなりの臨床成績が集積していると思いますが、現時点でエビデンスの確立している治療法についてご説明ください。 内山 ■脳卒中の予防対策として最初に行うべきことは、危険因子を適正に管理することです。 脳卒中の危険因子として知られているのは高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、心房細動、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)などですから、それらを食事、運動、禁煙、薬物により治療する必要があります。 特に2次予防では、既に脳卒中を発症しているハイリスクの人々が対象となるので、より厳格な管理が必要であり、一般に早期から薬物療法の適応になると考えていいでしょう。 危険因子の管理は脳卒中の病型(脳出血か脳梗塞か)にかかわりなく有益ですが、脳梗塞の2次予防では、危険因子管理とともに抗血栓療法が必要になります。 どのような抗血栓療法を行うかは、脳梗塞の病型によって異なります。 動脈にできる血小板血栓に起因する非心原性脳梗塞に対しては、抗血小板療法が適応になります。 一方、心臓から飛んだフィブリン血栓が脳血管を閉塞する心原性脳塞栓を予防するためには抗凝固療法が必要であり、経口抗凝固薬のワルファリンが広く使用されています。 脳梗塞の病型に応じてこれらの治療を適切に行えば、再発を有意に抑制しうることが証明されています。 ―― 抗血栓療法は出血性副作用を伴うため、予防効果を高めるために治療を強化すると出血リスクが増大するというジレンマをかかえています。最近の研究でこの問題を克服する展望は開けてきたのでしょうか。 内山 ■抗血小板療法についていえば、日本ではアスピリン、チクロピジン、シロスタゾールの3剤が使われてきましたが、昨年から新たにクロピドグレルが加わりました。 海外ではシロスタゾールと同じフォスフォジエステラーゼ(PDE)阻害薬に属するジピリダモールも使用され、アスピリンとの併用または合剤による治療が行われていますが、日本ではまだ、脳梗塞2次予防におけるジピリダモールの適応は認められていません。 最近の大規模臨床試験では、抗血小板薬の併用によって再発予防効果が改善するかどうかが検討されてきましたが、アスピリンとクロピドグレルに関しては、両者を併用してもそれぞれを単独で投与した場合に比べて明らかな上乗せ効果がみられず、出血性副作用が増加するという結果でした。 代わって今、注目されているのがアスピリンとジピリダモールの併用療法です。この併用療法については、PRoFESS(Prevention Regimen for Effectively Avoiding Second Stroke)という大規模試験が最近終了し、5月に最終結果が発表される予定です。 約2万人の脳梗塞既往例を対象に徐放性ジピリダモールとアスピリンの合剤の再発抑制効果をクロピドグレルと比較する研究です。 アスピリン・ジピリダモール併用がなぜ期待されているかというと、シロスタゾールを含むPDE阻害薬に関しては、アスピリンと併用しても出血性合併症が増加しないことが複数の臨床研究で示唆されているからです。 したがって、PRoFESSで合剤の有効性と安全性が証明されれば、両薬剤の併用が抗血小板療法を強化する有力な方法として確立することになります。 ―― PRoFESSでARBの脳梗塞予防効果が検証される意義についてお話しいただけますか。 内山 ■ARBは高血圧治療薬として広く使用されていますが、脳卒中の再発を抑えるためには血圧を厳格に管理する必要があります。特に高血圧が脳出血を引き起こすことを考えると、脳梗塞予防の目的で抗血栓療法を施す場合、出血リスクを増大させないためにも血圧を低くコントロールすることが重要です。 ですから、血圧管理の役割は極めて大きいのですが、脳卒中患者は糖尿病やCKD、心房細動、あるいはメタボリックシンドロームを合併していることが多く、そのような症例に対しては、降圧薬の中でも心血管保護作用をもつレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が有用といわれます。 PRoFESSでRA系阻害薬の1つであるARBの有用性が認められれば、その脳保護作用が臨床的に証明されることになります。 ちなみに、もう1つのRA系阻害薬であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬については、冠動脈疾患の2次予防効果は認められているものの、単独で脳梗塞再発を有意に抑制することを示したデータはありません。 また、脳梗塞の予防においてACE阻害薬とARBのどちらが優れているかについても、まだ結論は出ていないのですが、今年の春、結果発表が予定されている大規模試験ONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial)によってある程度明確になるだろうと思います。 ONTARGETは冠動脈疾患、脳卒中、末梢動脈疾患の既往例を含む脳心血管病のハイリスク患者約2万5000例を対象に、ARBのテルミサルタンとACE阻害薬のラミプリルを、それぞれ単独投与した場合と、両薬剤を併用した場合の脳心血管イベント抑制効果を比較する試験です。 この試験の興味深いところは、正常血圧の被験者が多数導入されていることです。 したがって、試験の結果、もしも正常血圧群でイベント抑制効果に差が生じれば、それは降圧を超えた血管・臓器保護作用の差を反映したものといえるでしょう。 主要評価項目は、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・入院を要するうっ血性心不全からなる複合エンドポイントの頻度ですが、症例数が多いので、脳血管イベントに関しても信頼性の高いデータが得られるだろうと期待しています。 ((日経メディカル別冊) 日経メディカル オンライン 版権 日経BP社 http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/special/stroke08/update/200803/505713_2.html <コメント> ONTARGETの結果は3月末に発表されました。 ONTARGETの結果を考察する http://blog.m3.com/reed/20080412/ONTARGET_ 注目の降圧薬臨床試験 ONTARGET http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
肥満の有無は予後に影響を及ぼさず
東京慈恵会医科大学外科学講座の坪井一人氏らは,胃食道逆流症(GERD)に対する 腹腔鏡下噴門形成術は,「body mass index(BMI)30以上の肥満患者では 手術時間の延長と術中出血量の増加傾向は認められるものの,重篤な合併症もなく, 再発率も非肥満症例と同等であることから,安全に施行可能と考えられる」と報告した。 肥満では手術時間のみが延長 現在,腹腔鏡下噴門形成術はGERDの標準術式として確立しているが,肥満はGERD の増悪因子の 1 つと考えられており,肥満GERD患者の手術では腹腔内脂肪の増加 が視野不良を来し,手術難度が増すと一般的に捉えられている。 このため坪井氏らはBMI 30以上の肥満を有するGERD患者で,手術関連因子や術後 経過などを非肥満GERD患者と比較した。 対象症例は1996年 6 月~2007年 5 月に腹腔鏡下噴門形成術を施行したGERD症例 170例(男性104例,女性66例,平均年齢53.2±15.7歳)。 このうちBMI 30以上の肥満GERD患者は11例で,残りの非肥満GERD患者159例との 間で病態,術式などの患者背景に有意差は認められなかった。 手術時間は肥満GERD患者185.7±36.1(140~280)分,非肥満群155.7±47.3 (70~303)分と,肥満症例で有意な手術時間の延長が確認された。 一方,術中出血量は肥満GERD患者65.5±140.8mL,非肥満GERD患者53.7±327.3mLであり,肥満GERD患者で増加傾向を示したが,統計学的に有意差 はなかった。 術中合併症は肥満GERD患者では食道損傷 1 例のみであり,非肥満GERD患者では 横隔膜脚損傷 4 例,胃壁損傷 2 例,気胸,食道損傷がともに 1 例ずつ発生したが, 両群とも開腹術へ移行した症例はなく,術後の食道炎再発率に関しては,肥満GERD 患者で9.1%に対し非肥満GERD患者で8.8%と,統計学的に有意差は認められ なかった。 同氏は「検討前は肥満の有無で手術成績に差が認められると予想していたが,実際 には手術時間以外に明確な差は認められず,腹腔鏡下噴門形成術の安全性の高さ が示された」と述べた。 <番外編>■ <長寿医療制度> 新保険証未着、全国で6万件超 大阪で最多1万6000件 今月スタートした長寿(後期高齢者)医療制度の保険証が届かないケースが多発している問題で、対象者に届かずに自治体に返送された件数が全国で約6万件(推定含む)に上ることが9日、毎日新聞の調べで分かった。 担当窓口には苦情が殺到し、保険料の誤徴収などのミスも相次いで発覚している。新制度は開始当初から混乱が続いている。 新制度の対象は、75歳以上と、65~74歳の障害認定を受けた計約1300万人。 多くの自治体が保険証を郵送する際、本人の手に確実に届くよう「転送不要」とした。 このため住民票の届け出と異なる場所に住む対象者らに保険証が届かず、自治体に返送されるケースが多いとみられる。 都道府県ごとに制度を運用する後期高齢者医療広域連合などに取材した結果、未着分は計6万3469件に上る。 都道府県別では、大阪府が1万6000件で最多。神奈川県1万3700件、愛知県9450件、東京都7600件――が続く。 未着を把握しているが、集計できていない県も多数あった。 秋田県の広域連合によると、対象者から「中身を確認せずに捨てた」との申告があった。福島市でも「ダイレクトメールと勘違いし捨てた」というケースがあり、制度周知が徹底していなかったことがうかがえる。 制度自体への苦情も多い。 75歳以上の高齢者の負担増になるケースもあるため、「年寄りに死ねというのか」(福岡)、「『消えた年金』問題が解決していないのに、年金から徴収するとは何事か」(長崎)などの抗議が寄せられている。 各広域連合は電話増設などをして対応しているが、追いつかないのが現状だ。 長野では3月中旬、電話回線を4回線から7回線に増設した。 千葉は1日以降、電話が一日中鳴りっぱなしといい「職員3人で対応しているが間に合わない」と悲鳴を上げている。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080410ddm041010168/ 出典 毎日新聞 2008.04.10 版権 毎日新聞社 <コメント> 予想どおりのドタバタです。 得体のしれない「広域連合」という組織も不気味です。 どんな人がやっていてどこからお金がでているのでしょうか。 調べるのも面倒くさいことですが。 広域連合 http://www.soumu.go.jp/kouiki/kouiki1.html ■ 新たな保険証がないまま受診すると、いったん医療機関の窓口でかかった医療費の全額支払いを求められる。 新制度の窓口自己負担率はこれまでと同様、原則1割だが、新しい保険証がないため突然高額な医療費を請求され、支払いに困るケースもあった。 こうしたトラブルが各地で相次いだことを受け、厚労省は、国民健康保険証など、高齢者が3月まで利用してきた保険証を当分の間「代用」として使えるようにすることを決め、こうした古い保険証で受診しても、原則1割負担とするよう医療機関に要請した。 古い保険証も持っていない人には、運転免許証など住所や生年月日を確認できる書類があれば従来通りに受診できるようにする。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000971-san-soci <コメント> 「医療機関に要請」? 私は要請された覚えはありません。 一方的な通達のはずですが、「古い保険証でも1割負担」というのは、従来からの保険証提示確認によって保険診療が始まるという不可侵の大原則を自ら破っていませんか? 正式な通知が今日にでも医師会からわれわれ日本医師会会員に届くんでしょうか? それがなければ「要請」ではありません。 9割分の回収不能が生じたとき泥をかぶるのは医療機関ですか? なぜ医療機関が尻拭いをさせられるのですか? 4月中に患者が新保険証を持って来院しない場合、4月分の保険請求はどうなるんですか? 昨夜の報道ステーションの古館も、医療側の困惑は一切伝えませんでした。 <参考ブログ> 旧保険証も有効? http://blog.m3.com/BH/20080411/2 お気楽な厚労省官僚たち http://blog.m3.com/BackToTheStreet/20080410/1 同じ考えの先生がいて意を強くしました。 まったくもって厚労省ってのは・・・ 医師会もなにやってんだか・・・ 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
高血圧で通院中の患者さんに「先生、アルコールはのんでいいでしょうか」と聞かれた場合、「適量のアルコールは鎮静作用も期待できていいですよ」と答えると思います。
私もそう指導してきました。 そんな中、こんな記事がを見かけました。 飲酒と血圧の関連は定説より強力 英ブリストル〕ブリストル大学社会医学科のSarah Lewis博士らは,最近実施された研究のアナリシスの結果,過度の飲酒と高血圧の関連はこれまで考えられていたよりも強いことが示唆されるとPLoS Medicine(2008; 5: e52)に発表した。 分解酵素の遺伝的変異に注目 過去の観察研究から,過度の飲酒は高血圧の危険因子の 1 つであることが示されているが,これらの研究には食事,喫煙,運動レベル,社会経済状況などの交絡因子が存在している可能性がある。 飲酒と高血圧の関連性を解明する臨床試験の実施は困難で,フォローアップ期間が限られている。 今回の研究は,身体のアルコール分解能に影響を与える遺伝子に変異がある者に注目するという以前と異なるアプローチを採用した。 体内に摂取されたアルコールは,アセトアルデヒドという中間化合物を介して酢酸になり体外へ排出される。 アルコールの分解にかかわるおもな酵素は,アルデヒド・デヒドロゲナーゼ2(ALDH2)である。 一部の人は遺伝的変異によりアセトアルデヒドの代謝ができないため,アルコールを摂取すると体内にアセトアルデヒドが蓄積する。 このような変異は一部のアジア人では一般的で,飲酒後に顔面紅潮,強い悪心,眠気,頭痛などの不快な症状が発生する。 この遺伝的変異を有する者は,有さない者に比べてアルコールの許容量がはるかに低い。 Lewis博士らはALDH2の遺伝子型に注目し,変異を有する者(遺伝子型*2*2)の血圧と,変異を有さない者(遺伝子型*1*1)の血圧を比較した。 その結果,遺伝子型*1*1の者は1 日当たりおよそ 3 単位のアルコールを摂取しており,飲酒量がきわめて少ないかゼロであった遺伝子型*2*2の者と比べて,血圧が著しく高いことがわかった。 同博士は「たとえ適量であっても,飲酒はこれまで考えられていたよりもはるかに大きく血圧を上昇させる可能性があることがわかった。われわれの知見を追認し,推測の精度を上げるためには,大規模な研究が必要である」と述べている。 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 <参考サイト> 24時間血圧への影響 href="http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html" target="_blank">http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html アルコールが日中の血圧を上げることは事実ですが、夜の血圧(飲酒後数時間)は逆に下げるように働きます。 アルコールと高血圧の関係は、これまで過大に評価されてきたのではないでしょうか。 別の見方をすれば、高血圧の患者さんが飲酒を控えた場合には、日中の血圧は下がりますが、1日の平均血圧でみれば、期待するほどの降圧効果はなさそうです。 (結論として高血圧患者への節酒や禁酒はあまり効果がない) 飲酒、喫煙と循環器病 http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/text/pamph/pamph_32/panfu32_text.html アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間、飲み続けると、血圧を上げ、高血圧症の原因になると考えられています。多くの研究で、日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がって、高血圧症になるリスクも高まることがはっきりしてきました。 では、1日にどれくらい飲んでいると、血圧に影響するのでしょうか。日々の摂取量が多くなればなるほど、血圧が高くなっています。 「日本酒1合、ビール大瓶1本、ウイスキーシングル2杯、ワイン2杯」のそれぞれに含まれるアルコールは、約30ミリ・リットルですが、これまでの研究をまとめますと、アルコール1日30ミリ・リットルあたり、血圧は3ミリほど上がることが認められています。 こうした飲酒による血圧の上昇は、人種や、アルコール飲料の種類にかかわりなく認められていますから、あの酒だと影響が少ないといったことはありません。 アルコールで血圧が上がる理由については、血管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経の活動、腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われるため、などと考えられています。アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えることや、塩辛いつまみをとることも関係するでしょう。 健診で高血圧を指摘されたのですが、お酒はやめたくありません。 http://www.nikkeibp.co.jp/archives/339/339066.html 高血圧の人がお酒を飲むときは、男性は1日30ミリリットル以内(ビール大びん1本、または日本酒1合まで)、女性はその半分までにしましょう。また、お酒を飲むときは塩辛いつまみを食べることが多いのですが、血圧が高い人は、塩分制限の点からも特に アルコールと高血圧 http://www2.health.ne.jp/library/0600/w0600022.html 福岡県久山町で40歳以上の一般住民を対象にした調査を行いました。すると、日本酒1合未満の少量飲酒者でも全くお酒を飲まない人に比べると、高血圧の割合が高いことが分かりました。その上、正常血圧の人でも10年間のうち、少しでもお酒を飲み続けている人は飲んでいない人よりも、高血圧になりやすいことも分かりました。 ですから、日本人の場合、1日1合未満の少量のお酒でも、血圧が上昇する可能性が高いようです。どうして、アルコールが血圧を上げるかについては、いろいろ研究されていますが、まだよく分かっていません。
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