大腸憇室症

最近、70代の女性で比較的鮮血に近い下血を起こした症例を経験しました。
腹痛はほとんどなく、実は2回目の下血でした。
(ある疾患で入院中の下血のため、検査を行い診断はすでについています。)
前回は高度の貧血が出たため退院後、当院外来で鉄剤の注射を行いました。
肛門病変がないため、念のため当院でも注腸検査を行いました。
ここで診断はもう思い浮かばれたことと思います。

バリウム検査の結果は全大腸、特に下行結腸、S状結腸に多い多発性大腸憇室
でした。
予想以上の数で、これでは出血も起こるだろうと想像されました。

実は同じような症例を病院に紹介したことがありました。
診察された医師が即座に診断を下し、患者さんには
「大腸憇室による出血です。確認をご希望なら念のため大腸ファイバーをやりましょう」
ということでした。
結果はやはり大腸憇室。
勤務医の診断力に敬意を表した記憶があります。

診断には、下血がある場合は別として内視鏡よりバリウム検査が有効の場合があります。
当院では、盲腸(虫垂炎)と憇室の鑑別が必要な方などには、後日検診の際に胃透視検査
があれば、その数日後に当院を受診するように勧めています。
その際の腹部単純写真で憇室によるバリウムのたまりが写っている場合が結構あるからです。
まことに持って簡単で「二番出し」的な効率のよい診断法です。

虚血性大腸炎などの鑑別もいると思いますが、これについてはまた機会を改めて書かせて
いただきます。
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以下、少しお勉強したことです。


大腸憇室症

単発憇室 diverticulum
多発憇室 diverticulosis

憇室症(diverticular disease)     憇室炎などにより症状のある場合

分類  真性憇室   (粘膜、筋層、漿膜という全層を有する)
     仮性憇室   (筋層を欠き、粘膜が固有筋層を通過して嚢状に突出)
●大腸に発生する憇室のほとんどは仮性憇室
●腸管内圧の上昇により、(腸管壁の抵抗源弱部である)血管が腸壁を貫く部位から粘膜
が漿膜側へ脱出
●欧米では大腸憇室は20〜40%に認められ、加齢とともに増加し、60歳以上では約半数
に認められる。
●我が国でも近年増加傾向にあり、20%を超えて認められるようになった。
加齢とともに増加し、60歳以上では40%を超えて認められるようになってきている。
●憇室の原因は
        1)大腸内圧の上昇
        2)腸管壁の脆弱性


<参考文献>
日本医事新報4349 2007.9.1 P92-93
ハリソン内科学 第16版


大腸けいしつとは・・・
http://daichou.com/div.htm
大腸憩室
http://www.gpro.com/knowledge/d2/d2_05.htm
大腸憩室症
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G31600.html
夫が大腸憩室炎 激痛何度も
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/soudan/20061119ik05.htm
(医療相談)
高齢者に多い大腸憇室炎、それを防ぐのは食物繊維
http://www.yokunaru.co.jp/kaihou/no2-1.pdf#search='
Diverticulosis - Topic Overview
http://www.webmd.com/digestive-disorders/tc/Diverticulosis-Topic-Overview高度直腸狭窄をきたした直腸憩室症の1例
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001351305/en/
Diverticulosis & Diverticulitis
http://gicare.com/pated/ecdgs02.htm

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2007-09-04 00:43 | 消化器科
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