慢性腎不全患者の蛋白制限は本当に有効か?

今や腎臓病の領域はCKD一色です。
当地での毎月のようにCKDに関する研究会が開催されています。
また心腎連関もトピックスです。
なんだか腎臓病学会と高血圧学会と循環器学会と糖尿病学会
の相乗り、もしくは相互乗り入れの感があります。
開業医が腎不全患者に直面して一番困惑するのは食事指導です。
蛋白制限が有効と従来教えられ、そのままそのことを信じていれば
何の問題も起きません。
蛋白制限は無効かも知れないという雑音(?)を耳にした途端、
自分の食事指導は正しいのだろうか、患者さんの食事の楽しみを
無駄に奪ったりしてないだろうかと悩んでしまうのです。

さて、2007年7月に入手した「CKD診療ガイド」には「蛋白質摂取制限
(0.8〜0.6g/kg/日)はステージ3以上においてCKDに有益である」
と明記されています。
病期3は換算GFR値30〜59mL/分/1.73㎡に相当します。裏を返せば
病期ステージ1、2では蛋白制限は不要ということにもなります。

たまたま昨日「日本医事新報No.4352 2007.9.22」が郵送
れてきました。
「腎不全の食事療法−最近の知見」という総説(p53〜58)が載って
いましたので読んでみました。
例によって1982年のBrennerらの「hyperfiltration theory
(糸球体過剰濾過仮説)」の紹介から始まっています。
しかし、その後の話の展開がどうも歯切れが悪いのです。

少し紹介させていただきます。

「米国ではMDRD研究(Modification of Diet in Renal Disease Study)
で、低蛋白食の臨床的効果が疑問視された。
Levey AS,et al:Am J Kidney Dis27:652,1996

しかし、最近のメタアナリシスではその有用性を認める趨勢もある。
Pedrini MT,et al:Ann Intern Med124:627,1996」

あれっ、最近といっても10年以上前です。

「腎不全保存期治療としての低蛋白血症の有用性に関しては、
文献的には肯定的意見と否定的意見がある。Johnsonは、蛋白制限の
臨床的研究では有効性が証明されないと結論している。
Johnson DW:Intern Med J34:50;2006」

えっ。
昨年の新しい論文でこんな結果が。

しかし、医事新報の総説では
「腎機能悪化阻止には蛋白制限、塩分制限などの食事療法が最も
重要である」
と4つある結論の最初に書かれている。

図5として「食事療法による腎機能の変化」という自験例が出されて、
腎機能悪化速度が蛋白0.7g/kg/日未満で有意に遅くなるとしているが、
SDかSEか分からずt検定の結果も書かれていない。一見して有意差は
いようにみえるのですが。


腎臓病学会としては食事療法の限界は重々分かっていながら、
CKDという新しい概念で、ACEI,ARBなどの降圧剤やスタチン系薬剤
による治療に活路を見い出そうとしているといったら怒られてしまいますね。

腎臓病学会は低蛋白食の有用性のエビデンスをきちんと示して
いただきたい。
すでに公表してみえればごめんなさい。

追記
日本医師会雑誌 平成18年3月号の「(特集)慢性腎疾患」では
食事療法にはほとんど触れられていません。
実際に食事指導を担当する実地医家にとってはまさに
隔靴掻痒です。

CKD診療ガイド
http://wellfrog.exblog.jp/6716781/
CKD診療ガイド2
http://wellfrog.exblog.jp/6719821/

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by esnoopy | 2007-09-25 00:31 | その他
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