アスピリンによる大腸癌抑制

アスピリンの長期投与によって大腸癌抑制の発生を抑制することができるかどうか?

アスピリンを処方されている先生方は勿論、脳心血管系疾患で服用されている患者
さんには多いに興味の湧くテーマです。
大腸がんが増加しつつある日本でも看過できないテーマということで国内で試験が
始まるようです。
まずは海外の論文の紹介をしてみます。
結論としてはある程度の投与量が必要で、その量では癌抑制は出来ても副作用も
出てしまうということのようです。
意味合いは異なりますが、ある意味での「アスピリンジレンマ」ということが出来ます。


●大腸がん予防におけるアスピリンの効果を評価し、より高用量を長期間摂取すると、
大腸がんリスクは半減することを示した。一方で、消化管の大出血のリスクは2倍
になるという。
●直腸がんについては有意な効果は認められなかった。
●有意なリスク減少は、服用が10年を超えた時点で見られるようになった。
アスピリン、より高用量の長期使用で大腸がんリスクが低下する
ただし消化管出血リスクは上昇——米国の研究
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200508/394239.htmlJAMA 2005年8月24/31日
Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs
and Risk of Colorectal Cancer
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/8/914
●300mg/日以上のアスピリンを約5年間使用すると、10〜14年後の大腸癌
リスクは、アスピリン非使用者に比べ74%も低くなる
●一般に、腺腫性のポリープが癌化するまでに10年以上かかることに注目、
20年以上にわたって追跡する無作為化試験を2件行った
アスピリン300mg/日を5年使用すると大腸癌リスク7割減
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200706/503391.html(Lancet誌2007年5月12日号)
「Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory
Drugs and Risk of Colorectal Cancer」
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/8/914
http://kumanichi.com/iryou/kiji/cancer/10.html

●独バイエルグループのバイエルヘルスケア社は、鎮痛剤アスピリンの
有効成分であるアセチルサルチル酸を、定期的に服用した大腸がん患者
の再発率と致死率が有意に低下した、と発表した。
研究結果は5月の米国がん治療学会(ASCO)で発表されたが、同学会
ではアスピリンの大量投与が、放置するとがんになるタイプの大腸ポリープ
の罹患(りかん)率を下げるという報告もあった。
● アスピリンは既に大腸がんや膵臓(すいぞう)がん、乳がん、肺がんなど
さまざまながんの予防効果があるという研究成果が報告されている。

アスピリンで大腸がん進行抑制
http://kumanichi.com/iryou/kiji/cancer/10.html
(熊本日日新聞2005年7月27日付「夕刊メディカル」)


●大腸がん予防の目的でアスピリンを長期間服用した場合、予防効果より、
その数倍も消化管出血の副作用の危険がある
10年以上にわたりアスピリンを1日2錠(成分量325ミリ・グラム)以上服用
した女性は、服用しない女性に比べ、大腸がんになる確率が53%低かった。
しかし1日1〜2錠を服用した場合は22%の低下にとどまり、服用量が少ない
ほど効果は小さかった。
試算では、大量服用で1〜2人の大腸がんが予防できた場合、8人に深刻な
消化管出血が起きる可能性がある

アスピリンの大腸がん予防、効果上回る副作用
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050905ik03.htm

●これまで、アスピリンが大腸がん発症予防に有用かどうか、海外で複数の
臨床試験が行われているが、結果はさまざま。そこで、厚生労働省第3次
対がん総合戦略研究事業の一つとして、大腸腫瘍患者を対象にアスピリン
を投与する、日本で初めての試験が行われることになった。

アスピリンによる大腸がん予防試験がまもなく開始
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_176.html<コメント>
2年間の投与後、2〜3年追跡とのこと。短期間の試験のためはたして
結果はどうでるか?


●2007年5月に、アスピリンによる大腸癌の抑制に関する論文が、NEJMと
ランセットにそれぞれ載った。
Aspirin and the Risk of Colorectal Cancer in Relation to the
Expression of COX-2. N Engl J Med 2007;356:2131-2142
アスピリンの常用により,COX-2 を過剰発現する大腸癌のリスクは低下するが,
COX-2 発現の弱いまたは認められない大腸癌のリスクは低下しないとの
結論が得られたとのこと。

Effect of aspirin on long-term risk of colorectal cancer:
consistent evidence from randomised and observational studies.
Lancet 2007; 369:1603-1613

45歳以上の健康な女性を対象にしたWomen's Health Study WHSでは、
否定的な結果が出ている。
Low-dose aspirin did not prevent cancer in healthy women.
ACP Journal Club. 2006 Jan-Feb;144:8.
Cook NR, Lee IM, Gaziano JM, et al. Low-dose aspirin in the primary
prevention of cancer: the Women's Health Study: a randomized
controlled trial. JAMA. 2005;294:47-55. [PubMed ID: 15998890]

NEJM, Lancet拾い読み
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/clnjc.htmlという過激なサイトを見つけました。とても小気味よい切り口です。
論理の展開が難しくて私には理解出来ないところが多々ありますが。
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マルクシャガール 「Romeo and Juliet」
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n53220157


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2007-09-27 00:35 | 消化器科
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