CTの被曝は医療被曝の中で最も大きくて、その影響については医療提供側は
しっかり把握しておく必要があります。 以前に、英国医師に被曝量の測定単位を問う調査があり、ほとんどの医師が 答えられなかったという論文を読んだことがあります。 X線被曝に(比較的)無関心なのは日本だけに限らないようです。 日本のCT検査の増加 ●CT装置は最近11年間で2倍に増加しています ●年間CT検査は3.1倍に増加し、スキャン数は3.7倍になり、1件あたりのスキャン 数も増加しています。 CT検査の被曝とリスク ●CTの被曝(実効線量)は主なX線検査の中で最も高い部類に入ります。 ●CT検査は繰り返される傾向があり、臓器によっては、発癌が増加する吸収線量 に近いか、それを超えることがありうる。 ●小児は放射線に対する感受性が成人の数倍高い。 ●胎児に流産、奇形、知能障害などが発生する可能性のある最低被曝量は、 最も感受性の高い妊娠初期でも100mGyであり、通常のX線やCT検査では 子宮の吸収線量がこれを上回ることはありません。 従って中絶は全く必要なく、安心して妊娠を継続するよう指導すべきです。 (これは、妊娠に気づかずにCTを行った場合で、妊娠が事前に分かって いればCTを行わないのは当然です。) 実効線量: 組織の放射線感受性の違いを考慮して被曝のリスクを 比較する指標。 単位はSv(シーベルト)。 吸収線量: 単位質量当りの組織や臓器に蓄積するエネルギーを示す 指標。単位はGy(グレイ)。 参考 日本医師会雑誌 134;9:2005.2 p1732 千住博 コスモス シルク http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t49638832 <コメント> Medical Tribune2007.10.18に「CTコロノグラフィーによる大腸癌 スクリーニングの妥当性」という論文が紹介されていました。 CTコロノグラフィー(CTC)はマルチスライスCT画像をもとに大腸の 3次元像を得るものです(バーチャル大腸内視鏡)。 もちろん大腸内視鏡は被曝ゼロです。 CTCの方が大腸内視鏡よりラクだからといって患者さんに安易に すすめる風潮が今後起こるとすれば問題です。 患者さんには被曝については当然説明すべきです。 専門医の期待に応える64列MDCTの高画質 http://blog.m3.com/reed/20070930 (私の別のブログです。 冠動脈造影にMDCTが一部とって変わろうとしています。) 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed(循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy
| 2007-10-19 00:58
| その他
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