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工藤分類

私は消化器が専門ではありません。
したがって恥ずかしながら工藤先生の名も初めて聞きました。
消化器専門、特に大腸専門の先生には知らない人がいない
という有名な先生だそうです。
WHOでの分類にKudo's Classificationという名前を冠した
分類もあるそうです。
最近、たまたま新聞にその工藤先生が紹介されており、
臨床医としての執念に感動を覚えました。
最初、評価されなかった点ではピロリ菌発見物語にも通じる
ものがあります。

まずは大腸がんについての勉強をしてみました。

06/1/17 上毛新聞
http://takisan.fc2web.com/gan5.htmlの記事からです。

増え続ける大腸がん 10年後 がんのトップに?
定期検査で臓器発見を!
大腸がんになる人が増えている。欧米型の病気とされ、国内
の年間罹患者数は1990年に約6万人だったが、99年には
9万人を超えるなど増加が際立っている。2015年には
胃がんを抜いて、ガンのトップになるとの予測もある。
治療には定期的な検査による早期発見が重要だ。
 
遺伝が原因も
大腸がんが増えているのは高脂肪、高カロリーの食事が増えた
からと言うのが定説だ。
脂肪が肝臓で分解されると、胆汁酸などさまざまな酸が出る。
その酸が腸内細菌と絡んで発がんに至ると考えられてきた。

「しかし動物実験からは、それが原因だと言い切れず、環境的
因子は本当のところ、よく分かっていない」と大腸がんの研究
で世界的に知られる昭和大横浜市北部病院消化器センター長、
工藤進英教授は指摘する。

遺伝が原因だとはっきりしている大腸がんもある。
そうした「家族性」の大腸がんは全体の5〜10%を占めると
みられ、確実に遺伝する。
工藤教授によると、大量のポリープができ、何度も手術を繰り
返さねばならない場合もあるという。

「陥凹型」発見
工藤教授は秋田赤十字病院に勤務していた1985年、
早期の大腸がんの中に隆起型のポリープではなく、隆起はなく
進行とともにえくぼのように潜っていく「陥凹型」があることを
見つけた。
陥凹型は1センチ以下の大きさでも、その45%が大腸の粘膜
下層に浸潤しているという極めて悪性度の高いがんだ。

小さいとエックス線撮影やPET(陽電子断層撮影装置)では
分からず、内視鏡でもうっすら赤く見えるだけで。インジゴ
カルミンという色素をかけると、内視鏡でも見えるようになる。

工藤教授は陥凹型を詳しく調べるため、工学機器メーカー
のオリンパスと倍率百倍の拡大内視鏡を共同開発。
粘膜の凹凸や模様から、ガンかどうかや、ガンの進行を正確
に判定する。「ピットパターン分類」を確立した。

現在は倍率が千倍まで上がる高性能の拡大内視鏡を開発中。
実現すれば、ガンになると細胞の核が大きくなる現象を利用
して、より精密な診断が可能になる。

無駄のない治療
小さなポリープは誰でもあり、中にはがんでないものもある。
「しかしポリープは“がんの目”だと思っているから、内視鏡
の検査のときに、すべて取った後で、病理で検査する。
意味のないことを世界中でやったわけです」と工藤教授。

ポリープを一個取るのにかかる医療費は5、6万円。
拡大内視鏡とピットパターン分類の登場によって無駄が
なくなった。

現在、国内の約半数の施設でこの治療が実施されている。
早期発見のため工藤教授は拡大内視鏡による検査を勧める。
検査にかかる時間は慣れた医師なら20分から30分。
工藤教授は5分で済ませる。


「無症状でも50歳以上になったら1年から3年に1回、
定期的に内視鏡検査を受けた方がいい」。
手軽な便潜血検査では進行がんしか見つからないと言う。


工藤分類_c0129546_8213477.jpg

朝比奈隆「風景」油彩
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x26430091


拡大内視鏡によるsm癌の特徴的所見
http://masumitsu.or.jp/research/3.html

大腸内視鏡治療の新しいパラダイム 大腸内視鏡治療
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2001dir/
n2432dir/n2432_05.htm


大腸内視鏡治療
http://www.igaku-shoin.co.jp/prd/review/
0000305.html


大腸腫瘍に対する拡大内視鏡観察─
V 型 pit pattern 診断の問題点
http://ej.islib.jp/ejournal/1403100457.html

大腸腫瘍性病変における腺口構造の診断学的意義の
解明に関する研究
http://ganjoho.ncc.go.jp/pro/mhlw-cancer-grant
/2005/keikaku/14-11.pdf


V 型 pit pattern 診断の現状と問題点─V 型亜分類に焦点
を当てた多施設アンケート結果から
http://ej.islib.jp/ejournal/1403100460.html


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy | 2007-10-30 00:05 | 消化器科
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