解明進む蛋白尿の分子レベル発現機序

きょうは
第50回日本腎臓学会
の特別講演からの紹介です。

CKDの概念の喧伝(?)により、いまや心血管病変の原流には腎疾患があるという考え方までになってきています。
循環器専門医と腎臓病専門医との間には同床異夢の感もありますがそこは別にして、循環器、腎臓病、糖尿病専門医の共通の話題としての蛋白尿をとりあげてみました。

出典は
Medical Tribune 2007.6.28
です。

解明進む蛋白尿の分子レベル発現機序
スリット膜関連機能分子の同定から相互作用の研究へ

蛋白尿は,最も客観的かつ普遍的な腎臓病の指標として広く用いられてきたが、最近,尿細管間質障害を介して腎病変を進展させること、また心血管障害と密接に関連する重要な因子であることが明らかとなった。
このため、蛋白尿の発現機序を解明し、その発現をコントロールすることは,腎病変の進展とそれに伴う心血管障害の抑制につながると考えられ,腎臓病研究の最も重要な課題の1つとされている。
同学会では,蛋白尿発現の分子機構の解明,新しい腎病変モデルなどを通じて,蛋白尿研究の発展に大きく貢献してきた新潟青陵大学の清水不二雄学長(前新潟大学腎研究施設分子病態学分野教授)が特別講演を行い、分子レベルの蛋白尿発現機序における最近の知見を示した。

スリット膜の関与明らかに
蛋白尿はおもに,糸球体毛細血管壁の蛋白質透過性方;進によって発生する。したがって,蛋白尿の発現機を明らかにするには,まず糸球体が正常な透過性を保つ仕組みを把握する必要がある。
この仕組みに関して,蛋白質の粒子が大きいほど通しにくくするサイズバリアと,大きさが同じであれば陰性荷電が強い蛋白質ほど通しにくくするチヤージバリアの両者によって糸球体透過性が制御されていることが解明された。 
チヤージバリアでは,陰性荷電分子が糸球体毛細血管壁の構成成分に含まれるために,陰性荷電蛋白質の透過性が抑制される。
一方,サイズバリアについては、糸球体基底膜と糸球体上皮細胞(足細胞)足突起間スリット膜のどちらがおもに関与しているか、論争が続いている。
清水学長らは,スリット膜構成分子に対する単クローン抗体をラットに静注すると,著しい蛋白尿が現れることなどを明らかにし,スリット膜における分子機構の異常が蛋白尿発現の重要なメカニズムの1つであることを示唆した。
このことは,フィンランド型先天性ネフローゼ症候群の責任遺伝子産物であるネフリンを同定し,そのスリット膜局在を証明しTryggvasonらの研究によっても確認される形となった。

同定相次ぐスリット膜関連機能分子
スリット膜で機能する分子として,ネフリンに続き,CD2AP,ポド
シンなどが同定されたが,清水学長らも最近、ピュロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)腎症で減少している遺伝子の検索から、Synaptic Vesicle Protein 2B(SV2B)を新しい関連分子として同定した。
これらスリット膜関連機能分子は、機能的複合体を形成してシグナル伝達に働くことが推測されており,現在,こうしたスリット膜関連機能分子の相互作用に関する研究が盛んに進められている。同学長は,その成果として,ネフリンとポドシンの解離が蛋白尿をもたらすこと,あるいは既に蛋白尿抑制作用が明らかにされているステロイドやアンジオテンシンⅡ抑制薬の作用機序として機能分子の発現亢進が認められることなど、さらに新しい知見が蓄積されつつあるとした。
蛋白尿の発現機序において、以上のような分子レベルの異常の関与がわかってきたことから,同学長は「従来の免疫抑制薬や抗炎症薬といった,いわば非特異的な治療法とは異なる透過性障害が起きている現場での原因を問わない直接の修復,すなわち分子レベルでの制御による蛋白尿発現阻止の可能性が示される。
分子レベルの異常に対してどのような直接的な治療アプローチが可能なのか,in vitroの系も加味した今後のさらなる研究の進展が求められる」と指摘した(図)。

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腎臓病と高血圧については他のブログでとりあげさせていただきました。

腎機能低下例における降圧治療(1)
http://blog.m3.com/reed/20071105

腎機能低下例における降圧治療(2)
http://blog.m3.com/reed/20071106

腎機能低下例における降圧治療(3)
http://blog.m3.com/reed/20071107
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他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2007-11-08 00:05 | その他
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