L-FABPの臨床的意義

L-FABPがCKDの予後判定に有用であることを最近知りました。
このサイトを他の私のブログにリンクしようとしましたが、うまくいきませんでした。

CKD合併高血圧患者とL-FABP
http://blog.m3.com/reed/20071110

数少ないL-FABPの論文です。
L-FABPのアウトラインが把握できると思います。
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葛西四雄 雪の館 油彩画20号
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s75439804

最近の話題
尿中肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)の臨床的意義
聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
上 條 敦 子・木 村 健二郎
田辺製薬創薬研究所 菅 谷 健
栄研化学生物化学研究所 樋 川 明 久
Lab.Clin.Pract.,21(1):12-15(2003)

www.jaclap.org/LabCP/LabCP21_01/04kamijyo.pdf
(ダイレクトリンクできないためアドレスのC&Pでお願いします。)
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?ei=UTF-8&fr=slv1-snvaio&p=L-FABP&u=www.jaclap.org/LabCP/LabCP21_01/04kamijyo.pdf&w=l-fabp&d=LgvyUfL9Pun9&icp=1&.intl=jp
(ダイレクトリンクできないためアドレスのC&Pでお願いします。)


はじめに
慢性糸球体疾患の進行には,臨床的に高血圧や高脂血症,病理学的に
糸球体病変や間質尿細管障害と関係がある。
最近,慢性糸球体疾患の予後が,糸球体病変そのものよりは間質尿細管
障害の程度と強く相関する事が明らかになり,注目されている。
この糸球体障害に伴う間質尿細管障害の原因として,尿蛋白,尿蛋白
とともに糸球体から漏出した補体,トランスフェリン,酸化 LDLや腎硬化症
に伴う peritubular capillary(PTC)の障害などの関与が指摘されている。
特に尿蛋白は,従来,糸球体障害の存在を示すマーカーとして考えられて
いたが,尿蛋白自体が尿細管から MCP-1や RANTES等の炎症性サイト
カインの放出に関与し,間質尿細管障害の進行の mediator となる事が
明らかになってから,さまざまな施設で研究が進められている。
しかし,尿蛋白が間質尿細管障害の発症,進行に関与する詳細な機序は
あきらかではない。
血清のアルブミンには遊離脂肪酸が結合しており,慢性糸球体疾患で
尿蛋白が増加すると,近位尿細管には,アルブミンだけでなく脂肪酸も過剰
に負荷される。
過剰に負荷された脂肪酸は容易に過酸化を受けるため,このような状況では,
間質へマクロファージ遊走因子が放出される事が報告されており,そのため
間質尿細管障害が発症し腎疾患が進行すると考えられる。
実際,私たちは,蛋白負荷モデルを作成し,尿蛋白が間質尿細管障害を進行
させる機序の一つとして尿蛋白に結合した脂肪酸が重要である事を in vivo
の系で明らかにした。
そこで,ヒトの近位尿細管に発現し,細胞内の脂肪酸代謝に関与する肝臓型
脂肪酸結合蛋白(liver type fatty acid binding protein, L-FABP)に
注目した。
しかし,慢性腎疾患とL-FABPについて検討した報告はない。
ここでは,L-FABP についての最近の知見と L-FABP の尿中排泄の臨床的
意義について私たちの成績を紹介する。

2.脂肪酸代謝に関与する L-FABP
L-FABP はヒト近位尿細管に発現する分子量約14kd の低分子可溶性蛋白
で細胞質に存在し,腎臓以外に肝臓や小腸でも発現している。
肝臓において L-FABP は細胞内の脂肪酸と結合し,脂肪酸のβ酸化が行われ
るミトコンドリアやペルオキシソームへこれらの脂肪酸を輸送し,また脂肪酸
代謝に関与する遺伝子の転写調節に関与することで,細胞内の脂肪酸代謝に
関与することがわかっている。
近位尿細管に発現しているL-FABPにも同様な機能があると推測される。

3.L-FABP 染色体遺伝子導入(Tg)マウスを使用した検討
私たちは,野生型げっ歯類の近位尿細管には,L-FABP が発現していない
ため,L-FABP 染色体遺伝子導入(Tg)マウスを樹立した。
この Tg マウスには,ヒトの L-FABP 遺伝子の転写調節領域も含めて導入
しているため,マウスのヒト L-FABP 遺伝子の発現は,ヒトの同様の発現調節
を受けている徒考えられる.。
この Tg マウスを使用した腎症モデルの検討では,腎疾患では,腎臓におけ
る L-FABP遺伝子の発現が亢進し,尿中への L-FABP の排泄量が増加した。
この結果は,ヒトの病態においても,腎臓での L-FABP 発現は亢進し,
尿中への L-FABP の排泄が増加する可能性を示している。

4.慢性糸球体疾患における 尿中 L-FABP の臨床的意義の検討
a.L-FABP 測定法
L-FABP に対する特異的なモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ ELISA
法が開発され尿中L-FABP の安定した測定が可能となった。
b.臨床的意義
外来の慢性糸球体疾患患者を対象に尿中 L-FABP と臨床パラメーターとの
関係をステップワイズによる重回帰分析により検討した。
尿中 L-FABP と 相 関 が 高 い 因 子 と し て , 尿 蛋 白 (F =22.7),
尿α1-Mg(F=13.9),血清 Cre(F=11.4)が選ばれた。
さらに腎生検における間質尿細管障害の程度と尿中 L-FABP の関係を検討
した結果,間質尿細管障害を認めた群では,認めない群に比べて有意に
尿中 L-FABP が高値であった。
これらの結果より,尿蛋白は近位尿細管へのストレスになり,L-FABP の
尿中への排泄を促すことが示唆された。
患者を尿中 L-FABP の高値群(n=8)と低値群(n=6)にわけ血清クレアチ
ニンの経過を 1 年間みたところ,L-FABP の高値群では腎疾患が進行する
患者が有意に多いことが明らかになった。
また,腎疾患の進行度を血清 Cre の逆数(1/Cre)の時間経過における傾き
として定義し,腎疾患進行速度と関係のある臨床パラメーターをステップワイズ
法による重回帰分析で検討すると尿中 L-FABP(F=17.1)のみが有意な
パラメーターであることが明らかとなった。
これらの結果より,尿中 L-FABP は,従来の尿中α1-ミクログロブリンや尿中
NAG といった近位尿細管の構造的な障害により上昇する指標とは異なり,
近位尿細管に負荷されたストレスの程度を反映し腎疾患進行を予測すること
のできる重要な臨床指標であることが示された。
慢性腎疾患の進行は,尿蛋白や血圧と強く相関があることが,広く知られている。
しかし,私たちの検討では,その相関は低値であった。
腎疾患の進行には,尿蛋白や血圧以外にも薬剤や虚血といったさまざまな
ストレスが関与している。
尿中L-FABP は,そのようなストレスを反映している可能性が示唆される。
私たちは,近位尿細管に発現している L-FABPは,近位尿細管に尿蛋白などの
ストレスが負荷されると発現が増強し尿中への放出が増加する事を基礎実験で
明らかにした 。
この結果から,L-FABP は近位尿細管に過剰に負荷された脂肪酸に結合し
これらの脂肪酸をミトコンドリアやペルオキシソームに輸送すると同時に尿中
へ自らを放出することにより細胞内の脂肪酸レベルの恒常性に寄与している
可能性が示唆された。
ただし尿中へ排泄されるL-FABPが脂肪酸と結合しているかどうかはまだ
明らかにされていない。
慢性糸球体疾患で,尿蛋白が多い症例では,近位尿細管にアルブミンだけ
でなく,脂肪酸も過剰に負荷される.このような状況では,マクロファージ遊走
因子が間質に放出され,間質尿細管障害を進行させ,腎疾患が進行する。
L-FABPは,細胞内の脂肪酸と結合し,ミトコンドリアやペルオキシソームへ
輸送することで,また脂肪酸と結合し自ら尿中へ放出することにより,細胞内
の脂肪酸レベルの恒常性に関与すると考えられる。
私たちが従来の使用しているマーカーは,腎組織の構造上の障害の結果,
尿中への排泄が増加する。
例えば,尿蛋白は糸球体障害により,NAGは尿細管障害により,α1-Mg は
近位尿細管での再吸収低下により,尿中への排泄が増加する。
しかし,L-FABP は,近位尿細管に発現している蛋白で,ストレスにより発現
が増加し,尿中への排泄が増加するという今までのマーカーとはまったく異
なる特徴を持っている。

5.まとめ
尿中 L-FABP は,近位尿細管にかかるストレスの程度を反映し,腎疾患の
進行を予測する優れた臨床マーカーであり,さらに腎疾患のモニタリングと
して有効に利用されうると考えられる。
私たちは,尿中 L-FABP を測定することにより,間質尿細管障害の程度を
知ることができ,さらに近位尿細管にかかるストレスの程度を推測できると
思われる。
現在,私たちは,L-FABP の発現を増強することが,近位尿細管における
脂肪酸の負荷を軽減し,腎疾患の進行を抑制する可能性について検討を
行っている。



他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2007-11-12 00:05 | その他
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