腹囲論争

メタボリックシンドロームの診断基準の必要条件としての腹囲。
11月に入ってからこの数字について急展開をしています。
十分な検討がなされないまま基準が決まった感がありますが、どの数字に落ち着くか目が離せません。

「メタボ腹」基準に異論 「男85センチは平均的」
おなかに脂肪がたまるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、通称メタボ)の診断基準を巡り、専門家から異論が相次いでいる。
基準の一つであるウエストサイズ(腹囲)が、女性で90センチ以上なのに対し、男性は85センチ以上と、諸外国に比べても厳しいなどが理由だ。
この症候群の人を見つける「特定健診・保健指導」が来年度に始まるが、「これでは健康な人まで『異常』と判定される」との指摘もあり、日本肥満学会などは今後、診断基準に関する委員会を開き、基準の見直しの必要性を検討するとしている。
この症候群は、腹囲に加え、血圧、空腹時血糖、血中脂質のうち2項目以上で異常があった場合に診断される。
特定健診・保健指導は、40〜74歳が対象で、現在の健診の項目に腹囲測定が新たに加わる。
内臓脂肪は、内臓の周りにたまる脂肪のこと。画像診断で、へその位置の胴回りの内臓脂肪面積が一定以上の場合、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす恐れが高まるとして、日本肥満学会などが、内臓脂肪面積を基に腹囲の基準を定めた。
だが、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけだ。
米国の指針では、男性102センチ超、女性88センチ超を腹囲の基準としている。 
約160の国と地域の医師らで作る国際糖尿病連合の基準では、欧州で男性94センチ以上、女性80センチ以上、中国・南アジアは男性90センチ以上、女性80センチ以上だ。日本人についても今年、男性90センチ以上、女性80センチ以上との基準を打ち出した。
同連合副会長で中部労災病院(名古屋市)の堀田饒(にぎし)院長は「男性の方が女性より厳しいのはおかしい。
腹囲が85センチぐらいの男性は平均的で最も多く、健康な人でも基準に引っかかる恐れが強い」と指摘する。
診断基準をまとめた住友病院(大阪市)の松沢佑次院長は「腹囲の基準を超えたら病気、基準以下なら健康ということではない。
女性の基準値が緩いのは皮下脂肪が多いため。
女性の方が心筋梗塞などは少なく、現時点では大きな問題はない」としながらも、異論があることを考慮し、「今後、診断基準の見直しの必要性を検討する」と話している。
(2007年10月14日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071014-OYT8T00078.htm

腹囲の数値先走り メタボ基準に十勝の医師も疑問の声
男性85センチ女性90センチ これでいいの? 一部学会に見直しの動き
来年度から国が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策を柱にした特定健診をスタートさせる。
これに合わせ専門家などからは男性85センチ、女性90センチ以上とするメタボ基準に異論が相次ぎ、十勝の医師らからも疑問の声が上がっている。
現場の医師は「腹囲基準だけが強調されるとメタボ自体が誤解される」などと指摘。
関連学会では基準を見直す動きもあり、論議はなお続きそうだ。

帯広厚生病院の吉川隆志副院長は16日の「とかち健康セミナー」で、「メタボ基準を見直さなければという機運がある」とし、メタボの基準となる腹囲測定値に疑問を投げかけた。

吉川副院長は同病院が昨年度行った健診受診者約1万3000人のデータを基に、基準以下の腹囲でも高脂血症、高血圧、高血糖のリスクを持つケースがあると指摘する。
その上で、「腹囲は絶対的なものではない。基準以下でもメタボとして対応しなければならない人もいる。
基準値ばかりをみるとメタボの趣旨が誤解される可能性がある」と強調している。

また、医療法人啓和会の前田修一理事長は「国が示す基準には根拠がある。身長の高い人が(健康でも)基準に該当することもあり、ただ、個人の意見としては身長180センチ以上の人の腹囲基準値は緩和されるべきだ」と話す。

帯広保健所の渡部正行所長も「腹囲が前面に出て数値だけが先走りするのは疑問」とする。現在の基準では中・高年男性のほぼ半数がメタボに該当する推計だが、「果たしてそれが妥当なのか。医療界からも異論が出ており、今後見直される可能性もある」とみる。

一部関連学会では基準値を見直す動きもあり、厚労省は「策定した8学会が見直せば、必要に応じて検討する」(生活習慣病対策室)としている。
メタボ基準 日本肥満学会など8団体が2005年に策定したものを厚労省が導入し、来年度からの特定健診の必須項目に盛り込む。腹囲基準を中心に、血中脂質、血圧、血糖の各基準値の該当数により、保健指導の支援内容が異なる。
十勝毎日新聞 - 2007年10月16日
http://www.tokachi.co.jp/WEBNEWS/071017.html

女性の腹囲は80センチを基準に メタボ診断、東北大発表 '07/10/19

東北大大学院薬学研究科の今井潤教授らのグループは18日、メタボリック症候群の診断基準になっているウエストサイズ(腹囲)について「男性87センチ、女性80センチが適切な基準値」と発表した。
厚生労働省は腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、さらに高脂血、高血圧、高血糖の2つ以上に当てはまるかどうかを基準としている。
女性の腹囲を男性よりも大きく設定していることには、異論も出ていた。研究グループは「女性の腹囲は引き下げが必要ではないか」と指摘。
25日から沖縄県で開かれる日本高血圧学会で発表する予定。
研究グループは、2000—06年にかけて、岩手県花巻市大迫町の男女約四百人(平均63歳)に健康診断を実施。血圧などの健診データを分析し、メタボリック症候群に該当する人を見つける上での最適な腹囲の値を導き出した。
 現行の診断基準は、日本高血圧学会などが作成、05年に発表した。
その後、国際糖尿病連盟が「男性90センチ、女性80センチ」を発表するなど諸説出ている。
中国新聞 - 2007年10月18日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710190102.html

メタボ腹基準、緩めません…男性85センチ  肥満学会が見解 
男性に厳しく女性に甘いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲による国内診断基準が、世界標準と大きく異なる点について、基準策定の中心となった日本肥満学会は19日、「基準を変える必要はない」との見解を公表した。
内臓の周りに脂肪がたまるメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が「男性85センチ以上、女性90センチ以上」の条件を満たした上で、血圧、血糖値、血中脂質の値のうち2項目が基準を上回ること。来年度から40歳以上を対象に始まる特定健診では、メタボリックシンドロームやその予備軍と診断された人は、生活習慣病予防のための特定保健指導を受けることになる。
しかし、米国の肥満基準は腹囲が「男性102センチ超、女性88センチ超」で、世界的には男性の方が緩いのが普通。特定健診の導入を半年後に控え、基準の妥当性を疑問視する声が出ていた。
これに対し同学会の松沢佑次理事長は、「内臓脂肪の量から腹囲基準を決めたのは日本だけ。単なる肥満基準とは違う」と診断基準の妥当性を訴えた。
(2007年10月20日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071020-OYT8T00067.htm

メタボ基準検証へ 厚労省研究班、2万4千人の腹囲分析
2007年11月08日23時01分
 生活習慣病を引き起こす原因ともされるメタボリック症候群の診断基準を見直すため、全国2万4000人を対象とした大規模調査を厚生労働省の研究班(主任研究者=門脇孝・東京大教授)が始める。「男性に厳しく、女性に甘い」といわれるウエストの数値を中心に、将来の心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスクを予測するのに最もふさわしい基準値をつくるのが狙いだ。
現在のウエストの基準は、日本肥満学会が中心となってつくった。男性85センチ、女性90センチ以上。健康障害にかかわる内臓脂肪の面積に対応する値として設定された。だが、心筋梗塞や脳卒中の発症との関係を直接調べているわけではないため、医学的な信頼性を疑う専門家も少なくなかった。
 また、国際糖尿病連合が今年、「リスクのある人をより正しく見分けられる」として、日本人について「男性90センチ、女性80センチ」とする独自基準を決めた。日本の基準とは男女が逆転しているが、国内の研究チームからもこれが最適とする報告が出ている。ただ、調査人数は2500人程度にとどまる。
茨城、大阪、福岡など全国7地域では、一般市民を対象にウエストを測り、その後の健康状態を長く追跡して心筋梗塞などとの関係を直接調べている。厚労省の研究班は、これらの研究をまとめて、ウエストの基準をどの値に設定すれば、心筋梗塞や脳卒中につながりやすい人を最も効率的に見分けられるか、といった点を検討する。
 基準値を探る調査としては最大規模の研究になる。今のウエスト値は2度にわたって検討されたが、いずれも調べた人数は1000人ほどだった。班のメンバーには肥満、血圧、血糖、脂質の専門家らが参加。2年後をめどに、新しい基準値をまとめる。
健康保険法改正で、来年度から40〜74歳の全国民を対象に導入されることになった特定健診は当面、現行の基準でスタートする。ただ、ウエスト基準に合致しない人を見落としたりしないよう、肥満度をみる別の基準も設けている。門脇教授は「医学的根拠の高い基準値をつくるため、一定の質を保っている研究だけを集めた。日本人の予防医学に役立てられるようにしたい」と話した。
 日本肥満学会の松澤佑次・理事長らは10月の記者会見で「当面はウエスト値を変える予定はない」と表明。ただ、信頼性の高いデータが明らかになれば、見直しは否定しないと述べている。
 《メタボリック症候群の診断基準》 腹部の内臓脂肪の面積100平方センチに相当するウエストの長さが男性85センチ、女性90センチとされる。これに加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうち二つ以上当てはまる場合。
 ウエストの基準は、米国は男性102センチ、女性88センチ、欧州では男性94センチ、女性80センチで、いずれも身長と体重をもとに計算した体格指数(BMI)に対応する値として決めている。
朝日新聞 - 2007年11月8日
http://www.asahi.com/life/update/1108/TKY200711080242.html


<コメント>
腹囲をめぐって百家争鳴。
真剣な論争ですが、よくわからない第三者からみれば滑稽にうつるかも知れません。
たかが腹囲、されど・・・。
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(持っているのはバイオリンなのに・・・)

他にこんなブログがあります。
井蛙内科開業医/診療録 
 http://wellfrog.exblog.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく 
http://blog.m3.com/reed/
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by esnoopy | 2007-11-16 00:05 | その他
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