無症候性脳血管腫・脳出血

東海大学医学部講師 高橋若生先生    日医雑誌 136:4 2007.7 より


MRIの普及に伴い,無症候性脳病変が見つかる機会が増えているが,脳血管腫
もその1つである.

MRIでは、静脈性血管腫が0.6%、海綿状血管腫が0.4%、脳動静脈奇形が
0.2~0.3%程度の発見率
とされる。
山中湖クリニックの成績では、脳ドックを受診した3、780名(平均年齢55±10歳)
のうち16例(0.4%)にいずれかの無症候性脳血管奇形が認められた。
比較的まれな病変であるが、脳血管奇形の種類によっては脳出血を来す場合
があり、無視できない病変の1つである。
一方、上述の検討では、血管腫に伴うものを除いた無症候性脳出血は2例
(0.05%)のみであった

また、何らかの神経疾患を有する例のMRIについて検討した成績によると、
2、757例中高血圧性脳内出血が12例、脳血管腫などの二次性脳出血が
5例にみられた。
したがって、通常のT1,T2強調画像で認められる無症候性脳出血は,
慢性期の高血圧性脳内出血もしくは脳血管奇形が主体と考えられるが,
その頻度はきわめてまれである。
最近、磁性体を鋭敏に捕えるsusceptibility‐weighted MR sequences
と呼ばれる撮影法が実用化され、無症候性の脳微小出血microbleeds
(MBs,図1矢印)が想像以上に高頻度に存在することが明らかとなった。
Gradient-echoT2*強調画像
を用いた検討では、脳内出血例の
66~71%、ラクナ梗塞例の62%にMBSが認められたという。
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MBS
は,脳内出血の再発、アスピリン内服中や血栓溶解療法後の
脳出血と関連するとした報告が相次ぎ、その存在意義が注目されている


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マヌキャン リトグラフ 「母子」
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<コメント>
従来のMRIでは無症候性脳出血はほとんどみられない。
しかし、susceptibility‐weighted MR sequencesという新手法を用いると
脳微小出血は決して珍しいものではないということです。
さらに、脳内出血例やラクナ梗塞例の多くに脳微小出血を伴っていたということです。
出血性梗塞の概念とは異なるかも知れませんが、理論上も多いにありうることと思い
ます。
脳梗塞の二次予防やTIAに対して安易に(?)抗血小板療法が行われますが、一つ
の警告とも思われるデータです。
私も常々、これらの症例に対して抗血小板療法を行うことについて、再発時に梗塞
とは限らず出血(つまり初発が脳梗塞、2回目が脳出血)という場合もありうると危惧
しながらも抗血小板療法を行っていました。
なかなか抗血小板療法も一筋縄ではいかないようです。


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by esnoopy | 2007-11-17 00:10 | その他
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