PNALT

PNALTはPersistently Normal ALTの略です。
この概念は
HCVの無症候性キャリアは「肝臓正常」とは言えない
という事実から云われるようになりました。
臨床上、大切な点はALTが30IU/Lを越える場合は、C型肝炎に準じて診療を行う
必要があるということです。
1.「ALT正常例(基準値以下)」HCVキャリアの方からも発癌があります。
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2.ALT持続正常(基準値以下)C型肝炎症例への取り組み
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3.C型肝炎(HCV RNA陽性)の経過観察において推奨される検査

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(図をクリックすると拡大されます。)

以下、「特別企画座談会」からPNALT関連箇所のみ転載させていただきました。
[PDF] 特別企画座談会
http://www.ims.gr.jp/shinmatsudo/patient/patient03/zadankai.pdf
文中のについてはこのPDFでご確認下さい。

藤瀬
■次に、従来無症候性キャリアと呼ばれてきたALT持続正常症例(PNALT:Persistently Normal ALT)に対するIFN治療について、ご意見をうかがいます。
北村
■PNALTに対してIFN治療を行うか否かは、古くて新しいテーマだと思います。
B型肝炎ウィルスキャリアにおける無症候性キャリアと同様の状態がC型肝炎ウィルス感染者においても存在するかという議論は、C型肝炎ウィルスが発見された当初よりなされてきましたが、無症候性キャリアという概念は肝炎がウィルス自体による肝細胞傷害ではなく宿主の免疫応答によるものであるという根拠のひとつにもなっているわけですし、慢性肝炎の病態や定義にもかかわる大きな問題といえると思います。
このPNALTに対する治療が、再び議論されてきた背景には、おそらくPEG-IFNα-2b/RBV併用療法によってウィルス排除の可能性が飛躍的に高まったためと思われます。そこで、PNALTに対して治療を行うべきか否かを議論する前に、いくつかの問題点を整理しておきたいと思います。
1つはPNALTの定義です。
ALTが基準値内で持続しているかを確認するのはなかなか困難ですが、そもそもALTの基準値自体が施設によってばらつきがあります。
おそらく本邦における多くの施設は、HCVが発見される以前の基準値を用いていると思われます。
したがって、ALTが基準値内にあると判断している患者さんの中には、肝の線維化が進展している例も多いと思われます。
実際、PNALTでも約30%の症例で肝の線維化が進展しているという報告もあります。
2つ目の問題点は、従来、PNALTにはIFN治療が効きにくいといわれた点です。
また、PNALTはIFN治療で肝炎が悪化するという懸念も従来から議論されていました。実際、1997年のNIHにおけるConsensus Development Conferenceの声明文では「PNALT症例には、臨床試験以外でIFNを使用すべきでない」という勧告がなされています。
しかし、その5年後の2002年におけるConsensus Development Conferenceでは「PNALTにおけるIFN単独療法の有効性は、ALT値異常症例とほぼ同等であり、さらにジェノタイプ1のPNALTに対するIFNα/RBV併用療法はALT値異常症例と比較して遜色ない効果が期待できる」と指摘しています。
また、治療による肝炎の増悪はみられないという結果が報告されています。
そして最後の問題点は、すべてのPNALTにPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を行った方がよいのか、という点です。
ジェノタイプ2に関しては高ウィルス量症例であっても半年の治療で90%の治癒率が得られますので、私は積極的に治療すべきだと考えています。
問題はジェノタイプ1かつ高ウィルス量のPNALTです。
この点については、欧米ではあまり議論されていませんが、本邦では「肝炎が肝炎で終われば病気でない」という考え方が浸透しています。
この考え方は基本的に正しいと思いますが、果たして肝炎が肝炎で終わることがかるのか、という疑問もあり、この点については今後大規模な検討は必要と考えています。
藤瀬
■北村先生に問題点を整理していただきましたので、次にPNALTに対する実際の治療についてご意見をうかがいますが、まず、米国肝臓学会(AASLD)のガイドラインについて説明してください。
(図6 )
横須賀
■AASLDは、「血清トランスアミラーゼ値に関係なく、合併症の有無、著効が得られる可能性、重篤な副作用発現の可能性、肝生検による肝疾患進行の程度をもとにインターフェロンとリバビリンの治療を始めるかどうかの決定がされるべきである」と勧告しています(図6)。
ALT値が正常範囲でも肝生検を行うと、実際には8割強の症例に軽度の肝炎が認められるといわれていますので、肝障害の進展の程度で治療を行うか否かを決めることが現実的だと思います。
藤瀬
■PNALTに対する治療については、この3月に厚生労働省の治療標準化研究班から「血清ALT正常C型肝炎症例に対する抗ウィルス治療ガイドライン」が示されています。
それをみると、ALT値が30IU/L以下の症例でも血小板数が15万未満の場合は、線維化進展例がかなり存在するため、可能なら肝生検を施行し、F2A2以上の症例には抗ウィルス療法を考慮する、と記されています。一方、ALT値が31〜40IU/Lの症例は血小板数が15万以上の場合は65歳以下は抗ウィルス療法の適応、15万未満の場合は慢性肝炎治療に準ずる、と勧告しています(図7)
そこで、PNALTに対してPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を行うメリットについてコメントしてください。
横須賀
■PNALTに対する治療を考えた場合、従来のIFN単独療法でも、ある程度のSVR率は得られていますが、同時に治療後にALT値が急激に上昇する症例を経験した方も多いと思います。
しかし欧米の報告をみますと、48週間のRBV併用療法で、通常の慢性肝炎症例と同等あるいはそれ以上の有効性が期待でき、仮に治癒しなくてもALT値が急激に上昇する症例は非常に少ないことが明らかになっています(図8)
一方、本邦におけるPNALTにはジェノタイプ2の症例が多いため、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法によって、かなり良好な成績が得られるかと思われます。したがって、PNALTの長期予後を考慮すると、今後は積極的に治療すべきだと思います。
藤瀬
■実際、PNALTにたいしてPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を導入された先生はいらっしゃいますか。
北村
■当院においてPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を導入したPNALT症例を改めて検討したところ、その数が意外に少ないことに気付きました。
その理由は、導入以前にすでに肝庇護剤が投与されている場合が多く、正確な評価ができないためです。
そこで、これらを除外し、なおかつ投与開始24週まで観察可能であったジェノタイプ1の4症例をみると、2例がEVRで、残り2例も24週までにウィルス陰性化がみられています。
また、投与開始4週まで観察可能であったジェノタイプ2の2例では、2例とも4週でウィルス陰性化がみられており、PNALTであるからウィルスの消失が明らかに遅いということは、少なくともなさそうな印象です。
島田
■当院の成績をみると、ジェノタイプ2の6例は、治療開始4週時に全例でウィルス陰性化がみられています。
一方、ジェノタイプ1の8例では、治療開始12週時にウィルス陰性化がみられたのは4例です。
古くはPNALTにIFN治療を行うと「寝た子を起こす」と言われましたが、そのような印象は全くなく、ALT値が上昇した症例は経験していません。
三上
■先ほどお示しした66例のうち、8例がPNALTですが、決してそれらの症例の成績は悪くなく、むしろ他の症例より早めにウィルス陰性化がみられました。
一般に、線維化が進展している症例や高齢者ではSVR率が低くなりますので、PNALTの方が治療効果は得やすいのではないでしょうか。


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by esnoopy | 2007-11-30 00:10 | 消化器科
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