腰痛・下肢痛

内科開業医は,かかりつけ医(家庭医)としての使命を担っています。
かかりつけ医という言葉はどうもお仕着せのようで好きにはなれませんが、
仕方がありません。
さて、内科開業医の醍醐味は、自分の専門分野は勿論のこと、正しくない
治療をされている他科の患者さんを救ったり、幅広い視野から医療の番人
が出来た時かも知れません。
ごく最近の経験ですが、腰痛の患者さんが来院され、患者さんの希望により
大学病院を含めて4か所の医療機関に紹介状を書く機会がありました。
いわゆるセカンドオピニオンです。
それぞれの返事は、椎間板ヘルニアでレーザー治療のため1か月入院
(入院施設のある開業医)、別の病院は脊柱管狭窄症のため即刻検査入院
が必要。後者の先生には、よく今まで放置してたねと言われたそうです。
経過は明らかに急性なのに。

残りの2施設は軽度のヘルニアのために自然に治るとのことでした。
私自身、椎間板ヘルニアの経験があり、9割は自然寛解するという知識を
持っていてので放っておいて治した過去があります。
患者さんにも、腰椎のMRI所見を見せていただいて放っておけばと話して
おいたのですが。

結局、本人は最終的に放置を選択したのですが、患者も私も、すっかり
整形外科医に不信感を持ってしまいました。

かくのごとく、患者を守るには内科開業医も他科の知識も大いに必要という
わけです。
同じ開業医として言いづらいことではありますが、収益優先の医師は直感で
わかってしまいます。
先週も、ひどい下肢静脈瘤の患者さんが相談にみえました。
半年間マッサージなどの理療に整形外科に通院していたとのことでした。
「時間とお金の無駄でしたねえ。」といって早速血管外科へ紹介しました。

診々連携とはいえそのような医師には、近いからといった理由などで決して紹介
しないのが私のスタンスです。
勿論すでに通院している場合には何も言いません。

さて、きょうは
日本醤事新報 NO4249(2005年10月1日)
の内容から勉強してみました。
埼玉医科大学 高橋啓介先生の監修です。

<b>1. はじめに
日本の総人口のうち、高齢者の人口は2020年頃までは増加するというまさに
高齢化社会がますます加速されようとしている。
高齢者に多くみられる症状に腰痛がある。
腰痛は、日常診療でよく経験する症状であり、成人の有訴者率の中でも最も多く、
特に高齢者(65歳以上)では約5人に1人の割合で認められる(図1)。

2. 腰痛の原因
腰痛を訴える患者さんの疾患は多岐わたっており、原因もさまざまである。
内臓疾患や心因性の疾患も腰痛の原因となり得るが、大部分は腰椎に何らかの
異常が生じたためと考えられる(図2)。

また年代によっても腰痛を起こす原因は異なっている。
若い世代では外傷やスポーツ障害などが主な原因であるが、加齢と共に腰椎の
退行性変化が生じて椎体、椎間板などの支持組織に変形が認められるようになる。
腰痛は、こうした変化を背景に現れてくることが多いといわれている(図3)。
腰痛にはさまざまな原因が考えられるが、今回は腰痛を訴える疾患の中でも
高齢者に多くみられ、腰椎の疾患である腰部脊柱管狭窄症を中心に概説する。


3. 腰部脊柱管狭窄症とは
腰椎は年齢と共にさまざまな加齢による変化(退行性変化)が生じる。
椎間板の変性・膨隆、椎間関節の変形・肥厚、黄色靱帯の肥厚などの変化は、
腰椎内部の脊柱管の狭窄を生じる(図4)。
このような脊柱管の狭窄により、その内部にある神経(馬尾や神経根)の圧迫障害を
生じている疾患を腰部脊柱管狭窄症という(図5、6)。

腰部脊柱管狭窄症における狭窄は、骨の部位(椎体部分)には認められず、
骨と骨との間(椎間板部分)に生じる。
この椎間板高位は腰椎の動く部分であり、狭窄の程度も腰椎の動きで変化する
ことになる(図7)。
つまり、腰部脊柱管狭窄症は姿勢や腰の動きにより狭窄の程度が変化する特徴
を有する。
通常、狭窄の程度は腰椎の後屈で増強し、前屈で軽快する。    
姿勢によって狭窄部の硬膜にかかる圧力も変化する(図8)。
症状のない臥位・座位・前屈位では、馬尾・神経根への圧迫力は低い。
しかし、症状が誘発される立位や腰椎の伸展では圧迫力は高くなる。

狭窄の強くなった時に症状が出現し、狭窄が軽減すると症状も軽快することから、
腰部脊柱管狭窄症の症状は、狭窄部での神経への圧迫力の動的な上昇によって
生じると考えられている。

4. 馬尾や神経根の血流障害
脊柱管の狭窄による馬尾、神経根の圧迫は同時に神経栄養血管の圧迫も招来し、
神経の血流障害からanoxiaを起こし、痛みやしびれ、間欠は行につながると
 考えられている。
馬尾は圧迫を受けると低い圧でも容易に血流の低下をきたし、栄養障害を起こす。
即ち腰部脊柱管狭窄症の症状発現の病態は、神経の血流障害と考えられる。
 


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by esnoopy | 2007-12-03 00:05 | その他
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