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抗癌効果のある食事はあるのだろうか?

ある種の果物と野菜を食べると癌のリスクが低下しその増殖が止まる可能性すらある
ある種の果物と野菜が癌のリスクを低下させ、その通過路に発生する癌を抑制するのに役立つ可能性があると、新規研究は示唆する。

「抗癌作用をもつ食事」が現実に存在するわけではないが、ある種の果物と野菜を多量に摂取することは、発癌リスクを低下させるのに役立つと、研究者らは米国癌研究学会の第6回国際癌予防研究フロンティア年次会議(フィラデルフィア)で報告した。

その知見は、果物と野菜の摂取量が多いことが癌リスクの低下と関連することを明らかにした、以前の研究を確認および補強するものである。

最新の「A」リストには、ブラックラズベリーが食道癌の予防、およびブロッコリーのようなアブラナ科の生野菜が膀胱癌の予防に推奨されている。

新しい知見にもかかわらず、「魔法のような効果のある」食物はないと、オハイオ州立大学総合癌センター(コロンブス)の栄養学の准教授であり、演者のひとりであったLaura Kresty, PhDは述べている。
「この研究から学ぶべき重要なことは、多様な[果物と野菜]を食べよ、旬のものを食べよということである。本当に目指すべきことは、果物と野菜の総摂取量を増やし、野菜中心の食事を摂るように努めることである」。

ブラックラズベリーが食道癌のリスクを低下させる可能性がある
ブラックラズベリーを食べることが、食道癌になるリスクの高い人々を保護する可能性があることを、Kresty博士らは見出した。
博士らは以前に動物実験において、ブラックラズベリーが口腔、食道、および結腸の癌を抑制することを見出していた。

果物はおそらく、酸化ストレス、すなわちフリーラジカルによる細胞破壊を減らすこと、およびDNA損傷と細胞増殖速度を軽減することによって、そのような作用をするのであろうと、博士は述べている。
博士らは、バレット食道と呼ばれる食道の前癌病変を有する高リスク患者に研究対象を拡大することにした。
バレット食道患者は食道癌のリスクが30 - 40倍高いと、Kresty博士は述べている。食道癌は致死的であり、5年生存率は15%しかない。

研究では、20例の患者が、凍結乾燥したブラックラズベリーを1日に1オンス(28.3g)または1.5オンス(42.5g)(男性はより多く)、26週間摂取した。
「我々は酸化ストレスのマーカーを測定した」とKresty博士は述べている。
そのひとつが、尿中に排出される8-イソプラスタンという物質である。

「研究終了時に、58%の患者は8-イソプラスタンが顕著に減少しており」、これは酸化ストレスの減少を反映していた。

研究者らは、発癌物質の無毒化を促進するGSTpiという酵素の組織内レベルも検討した。
37%の患者においてはこの保護作用を有する酵素が増加していたことが明らかになった。

研究では実際に癌が発生した人々が減少したかどうかを調べる長期追跡調査は行われなかったが、Kresty博士は、果物には「保護作用があるように思われる」とWebMDに語っている。

ブラックラズベリーは食料品店で売っていると博士は述べる。
「通常、少しずつ食べるような種類のものである」と博士は述べている。

膀胱癌の予防のための野菜
ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ、およびカリフラワーのようなアブラナ科の生野菜は、膀胱癌のリスクを約40%低下させるようであると、Roswell Park癌研究所(ニューヨーク州バッファロー)の研究者らは学会で報告した。
それは、それらの野菜に含まれている、膀胱癌に対する保護効果を有すると考えられるイソチオシアン酸塩すなわちITCという化合物によるものである。

「生のアブラナ科の野菜は加熱調理した野菜よりも良い。
なぜなら調理中にイソチオシアン酸塩の量が60% - 90%減少するからである」と、研究のひとつを率いたRoswell Park研究所の博士研究員であるLi Tang, MD, PhDは述べている。

博士のチームは膀胱癌と診断された275例の被験者および825例の健康な被験者の食習慣を調査した。診断前の生および加熱調理済みの野菜の摂取、喫煙習慣、ならびに他のリスクファクターについて質問した。

1カ月にそれらの野菜を3食分以上摂取した非喫煙者は、1カ月に3食分未満しか摂取しなかった喫煙者と比較して、膀胱癌になる可能性が約73%低かった。(3食未満しか摂取していない非喫煙者のデータが示されておらず比較できない。)

ブロッコリースプラウトは膀胱癌の予防に、より優れている可能性があると、動物におけるブロッコリースプラウトの効果を研究したRoswell Park癌研究所の腫瘍学の教授Yuesheng Zhang, MD, PhDは述べた。
博士のチームは4群の動物を用いて検討を行った。1つの群には膀胱癌を誘発することが知られている溶液を飲ませブロッコリースプラウトの凍結乾燥抽出物を摂取させた;その他の群には、ブロッコリー抽出物のみか、または発癌物質のみを摂取させた。もう1つの群は対照群とし、何もしなかった。

10カ月後の時点で「発癌物質[のみ]を摂取した動物の96%に腫瘍が発生した」と博士は述べている。発癌物質とブロッコリー抽出物の両方を摂取した動物のうち、癌が発生したのは37匹のみであった。(曝露した動物数が示されておらず比較できない。)

この場合も、保護効果を示すと考えられるのはITCである。ブロッコリースプラウトは発癌物質を無毒化する上で重要な2つの酵素を活性化することによって効果を発揮するようであると博士は述べている。

American Association for Cancer Research's Sixth Annual International Conference on Frontiers in Cancer Prevention Research, Philadelphia, Dec. 5-8, 2007. Laura Kresty, PhD, assistant professor of nutrition, Comprehensive Cancer Center, Ohio State University, Columbus. Yuesheng Zhang, MD, PhD, professor of oncology, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y. Li Tang, MD, PhD, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y.


http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=SPECIALTY&articleId=64059&articleLang=ja

提供:Medscape

<コメント>
魅力的なタイトルでつい飛びついてしまいました。
日本発の報告ではないので食生活の違いからからか何だかピンと来ません。
洋の東西を問わず医食同源の考え方があることだけは理解できました。


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by esnoopy | 2007-12-17 00:05 | がん治療
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