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吸入薬ザナミビル リレンザ(1)1/3

インフルエンザアワクチンの接種も終盤に入りました。
いよいよインフルエンザ流行のシーズンに突入します。
内科開業医にとってはインフルエンザの診断治療を避けて通るわけには
いけません。
勤務医の先生にはあまり興味のない内容かもしれませんが3回にわたって
「リレンザ」をとりあげてみました。
2007.12の日経CMEに掲載された座談会からです。
吸入薬ザナミビル   リレンザ(1)1/3_c0129546_23452532.jpg

山本彪一   バラ 油彩6号http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t54200546?u=;artfolio11



インフルエンザ対策
吸入薬ザナミビルの臨床的有用性
~日本臨床内科医会研究報告を踏まえて~    その1


司会 福岡県赤十字血液センター所長 
       柏木征三郎氏
岩城内科医院(金沢市)          
       岩城紀男氏
河合内科医院(岐阜市)
       河合直樹氏
原土井病院臨床研究部
       池松秀之氏
廣津医院(川崎市)
       廣津伸夫氏

柏木 
わが国におけるインフルエンザ診療は、インフルエンザウイルス迅速診断キットの普及や抗インフルエンザウイルス薬の登場などにより、この数年間で大きく変化してきました。
そこで本日は、日本臨床内科医会のインフルエンザ全国調査研究(FLU STUDY)に携わっている先生方にお集まりいただき、インフルエンザの流行状況や治療方針、診療に際しての留意点などを討論していただきたいと思います。

最初に、日本臨床内科医会のインフルエンザ研究班の活動内容について紹介していただけますか。

岩城
日本臨床内科医会は2000/2001年シーズンから、インターネットを活用した全国多施設研究を実施しており、7シーズン目を迎えました。
インフルエンザの流行状況、インフルエンザワクチンや抗インフルエンザウイルス薬の有効性、迅速診断キットの有用性などについて経年的に調査し、報告を行っています。
本研究の特徴としては、小児から高齢者を含む幅広い年齢層の豊富な症例を有すること、インターネットを利用しているので迅速なデータ集計や解析が行えることなどが挙げられます。

臨床症状からだけでは鑑別が難しいインフルエンザ
柏木 
今シーズン(2006/2007年)のインフルエンザの流行状況の特徴を簡単に説明していただけますか。

河合 
わが国では、インフルエンザは例年12月から4月にかけて流行し、そのピークは1月あるいは2月です。
しかし、今シーズンは例年より約1カ月遅れ、2月から3月がピークでした。

日本臨床内科医会の調査研究で今シーズン収集できたデータは、A型インフルエンザが1325人、B型が618人でした。
ただ、若年者ではB型が、高齢者ではA型がそれぞれ多く認められました。
流行の中央日については、A型が3月11日、B型が3月13日でした。
A型、B型ともに、きちんとしたデータが報告できるようになった過去6シーズンの中で最も遅く、またB型インフルエンザが同時に広く流行したことも今シーズンの特徴といえます(図1)。

柏木 
インフルエンザ診療における迅速診断キットの役割については、いかがでしょうか。

池松
インフエンザルエンザに非典型的な症状を呈する症例も少なくありません。
また、日本臨床内科医会のデータでは、厚生労働省の感染症発生動向調査の報告基準である
①突然の発症
②38℃を超える発熱
③上気道炎症状
④全身倦怠感
などの全身症状という4項目をすべて満たす症例はインフルエンザ感染者の7割程度でした。
つまり、臨床症状だけからインフルエンザと正確に診断するのは難しいといえるでしょう。

そのため、インフルエンザウイルス抗原を検出する迅速診断キットが、わが国の臨床現場で広く普及しています。
しかし、発症初日といった非常に早期においては、陽性とならないケースがあるので、注意が必要です。

河合 
初回の迅速診断において陰性であっても、インフルエンザが疑われる患者に対しては、半日~1日後にもう一度、迅速診断を行ったほうがよいと思います。
また、一般に検体としては、鼻腔ぬぐい液い液のほうが咽頭ぬぐい液よりも検出率は高いようです。

柏木
廣津先生は小児を診察することが多いと思いますが、小児における鼻腔ぬぐい液の採取については、いかがですか。

廣津
最初は鼻腔からの採取に慣れていなかったため、咽頭から採取していたのですが、慣れてくると、鼻腔ぬぐい液あるいは鼻腔洗浄液のほうが容易になってきました。
私も陽性率は鼻腔のほうが高いように思います。

柏木
迅速診断キットの陽性化時間についてはどうでしょうか。

岩城 
ウイルス培養やPCRで確認すると、陽性ラインが早く出れば出るほど、インフルエンザウイルス抗原の検出率が高いことがわかっています。

池松 
私どもの施設における調査でも結果は同様でした。
ウイルス量が多いほど、つまりウイルス増殖が盛んなほど判定時間は短くて済むわけですから、早く陽性になった症例ほどインフルエンザ感染の割合が高くなるのは、理屈に合っていると考えられます。

日経CME 日経メディカル同封別冊 2007.12
版権     日経メディカル開発



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by esnoopy | 2007-12-12 00:03 | 感染症
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