特発性頭蓋内圧亢進症

きょうは
Medical Tribuneから「特発性頭蓋内圧亢進症」について面鏡しました。
偏頭痛との鑑別が必要ということで偏頭痛の患者をみる際には念頭に置くべき疾患のようです。
肥満女性に多いとのことで、鑑別のために腰椎穿刺をルーチンに行うわけにもいかないので
疑わしい場合にはまず非侵襲的な眼底検査がよいと思われます。

~特発性頭蓋内圧亢進症~ 片頭痛との鑑別と肥満の解消が重要
〔ベルリン〕
チューリヒ大学病院(チューリヒ)大学病院神経内科のPeter Sandor講師は、長年、
反復性発作性の頭痛を片頭痛と誤診されたまま治療効果を得られずにいた若年の
肥満女性患者について、当地で開かれたドイツ神経科学会の第80回会議で報告した。
この女性は一過性の軽度の視覚障害を生じて眼科を受診。
検眼の結果,両眼に乳頭浮腫と視野狭窄を伴う盲点拡大が認められ、この時点で初めて
特発性頭蓋内圧亢進症が疑われた。
腰椎穿刺により髄液圧の亢進が確認され、診断が確定した。

静脈洞血栓症の除外が必要
Sandor講師は「特発性頭蓋内圧亢進症が片頭痛と誤診されることは珍しくはない。患者はおもに女性で、頭部全体に中等度の頭痛を訴えるケースが多い」と説明。
頭痛は当初は反復発作性に生じるが数週間後には慢性化して毎日生じるようになる。
Valsalva操作により頭痛は増強する。
鑑別に際して重要な手がかりとなるのは,症状の変動の大きい視覚障害である。
腰椎穿刺では髄液圧の亢進が認められるが,それ以外の異常知見はない。
さらに特徴的なのは、他の患者が同検査を非常に不快に感じるのに対し,同疾患患者
は快適に感じるという点である。
 
診断確定に際しては、脳の画像診断により占拠性病変を除外するとともに、静脈洞血栓症を必ず除外しておかなければならない

頭蓋内圧亢進の原因はまだ明らかになっていない。
患者の7割はbody mass index (BMI)が26を超える肥満であるが、これは女性患者にのみ影響していると考えられている。 
肥満患者では、減量が頭蓋内圧を下げるのに有効であり、薬剤療法と しては、acetolamideまたはフロセミドを使用する。
また2~4週間にわたるステロイド投与が効果をもたらすこともある。

治療に十分に反応しない患者、あるいは視覚障害が進行した患者では、手術も検討対象となる。
ただし、以前よく行われていた腰椎穿刺の反復的施行は効果の持続が見込めないため、
現在では適用されていない。

一般に特発性頭蓋内庄亢進症の予後は比較的良好で、自然治癒に至ることも珍しくなく、
患者の約7割では3か月間の薬剤療法後に症状は消失する。
ただし、再発率は高い。

基本的に同症は良性の経過をたどるとはいえ、視力低下については例外で、未治療のままだと患者の5%が片眼の失明に至る。
したがって、早期の対処が重要であることに変わりはない。

(Copyright 2007 Doctors Guide.com)
Medical Tribune 2007.12.20
版権 (株)メディカル トリビューン


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「特発性頭蓋内圧亢進(IIH)による頭痛」の診断基準
* 以前に使用された用語:
良性頭蓋内圧亢進症(Benign intracranial hypertension : BIH)、偽性脳腫瘍(pseudotumor cerebri)、髄膜水腫(meningeal hydrops)、漿液性髄膜炎(serous meningitis)
* 診断基準:
* A. 以下の特徴のうち少なくとも1項目が該当する進行性頭痛で、CおよびDを満たす
o 1. 連日性
o 2. 頭部全体 および・または 持続性(非拍動性)の痛み
o 3. 咳 または 息みによって増悪する
* B. 次の基準を満たす頭蓋内圧亢進
o 1. 意識清明の患者で、神経所見が正常、または次の異常のうちいずれかを示す
+ a) 乳頭浮腫
+ b) 盲点拡大
+ c) 視野欠損(治療しなければ進行性)
+ d) 第6脳神経麻痺
o 2. 髄液圧上昇(肥満がない場合は200ミリ水柱超、肥満がある場合は250ミリ水柱         超)が、臥位腰椎穿刺による測定、あるいは硬膜外圧モニターまたは脳室内圧モ         ニターによる測定で示される
o 3. 髄液化学検査および細胞検査が正常(髄液蛋白低値は許容される)
o 4. 適切な検査で頭蓋内疾患(静脈洞血栓症を含む)が否定される
o 5. 頭蓋内圧亢進をきたす代謝、中毒 または 内分泌性の原因がない
* C. 頭痛は頭蓋内圧亢進と時期的に一致して起こる
* D. 頭痛は、髄液ドレナージにより120-170 mmH2Oに減圧後に軽減し、頭蓋内圧が持      続的に正常化してから72時間以内に消失する
* コメント:
o 特発性頭蓋内圧亢進(IIH)は、若年肥満女性で最も多く起こる。
o IIH患者の大半が乳頭浮腫を呈するが、乳頭浮腫のないIIHもみられる。
o IIHのその他の症候には、頭蓋内雑音、耳鳴、一過性霧視、複視がある。

頭蓋内圧亢進
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by esnoopy | 2008-01-11 00:14 | その他
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