肝硬変とエルトロンボパグ

肝硬変患者では血小板数が減少します。
そのような患者にインターフェロン/リバピリン併用療法は行いにくいのが
現状です。
エルトロンボパグ(Eltrombopag)は、国内で未承認の薬剤ですが、この
薬剤を使用することによってインターフェロン/リバピリン併用療法の適用
患者を増やすことが出来るという報告です。

血小板減少症合併の肝硬変 新薬候補併用で治療が容易に
血小板減少症が合併している場合、C型肝炎ウイルス(HCV)感染による
肝硬変患者へのインターフェロン/リバピリン併用療法は慎重に行う必要
がある。
米国デューク大学のグループは、トロンボポエチン受容体作動薬エルトロン
ボパグ(日本未承認)を用いると血小板数が上昇し、抗ウイルス治療が容易
になることを示した。
New England Journal of Medicine(NEJM)誌2007年11月29日号
で報告した。

欧米22カ所の医療機関で、18歳以上のHCV関連肝硬変患者74人(年齢
の中央値は51歳、男性が3分の2以上)を、エルトロンボパグ30mg/日投与
群(14人)、50mg/日投与群(19人)、75mg/日投与群(23人)、プラセボ
投与群(18人)に割り付けた。
主要エン ドポイントは、4週時の血小板数が10万個/mm3以上の患者の
割合とした。
4週時に血小板数が10万個/mm3以上となった患者の割合は、エルトロン
ボパグの用量が多いほど高く、プラセボ群では17人中0人、30mg群では
12人中9人(75%)、50mg群では19人中15人(79%)、75mg群では
21人中20人(95%)(p<0.001)だった。

血小板数が5万個未満になった患者にはペグインターフェロンの用量低減
が勧告されることになっていたが、この試験のどの時点でも、エルトロン
ボパグ投与群の血小板数は5万個のレベルを超えていた。
(John G McHutchison et al. NEJM 2OO7; 357: 2227-36.)

Nikkei Medical 2008.1
版権(翻訳) 日経BP社

エルトロンボパグで抗ウイルス治療対象患者が増加:日経メディカル オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200712/505006.html

Eltrombopag for Thrombocytopenia in Patients with Cirrhosis Associated with Hepatitis C
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/357/22/2227

慢性特発性血小板減少性紫斑病治療のためのエルトロンボパグ
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/357/357nov/xf357-22-2237.htm
GlaxoSmithKline社 特発性血小板減少性紫斑病患者を対象にしたPROMACTAの第3相試験で良好な結果が得られた
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=20251

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

<2008.4.1追加>
EltrombopagでC型肝炎患者の血小板数が増加
〔ニューヨーク〕ニューヨーク長老派教会病院肝疾患・移植センターの肝臓専門医でコーネル大学Weill医療センター(ともにニューヨーク)消化器病学と肝臓学部門のSamuel Sigal助教授は,新薬のeltrombopagがC型肝炎患者の血小板数を顕著に増加させ,効果的な治療法への道を開いたとNew England Journal of Medicine(NEJM,2007; 357: 2227-2236)に発表した。

30mg投与で患者の74%で血小板数が増加
C型肝炎患者では,しばしば疾患の進展に伴って血小板数が減少する。
この問題は,標準的な抗ウイルス療法が血小板数を危険なレベルにまで減少させることがあるため,結果として患者が必要な治療を受けられなくなることから複雑化している。

Sigal助教授は「今回の研究では,eltrombopagが血小板数を用量依存的に増加させ,重要な治療目標である最初の12週間の抗ウイルス療法を終了できた患者が増加した」と述べている。
同センターは22施設ある研究拠点の 1 つである。

第II相プラセボ対照試験では,C型肝炎ウイルス(HCV)感染により血小板数が少なく,肝硬変を呈する74例を追跡調査した。
対象をeltrombo-pagの投与量別の3群とプラセボ群にランダム化割り付けしたところ,同薬30mg/日投与の最低用量群では患者の74%で血小板数が有意に増加し,50mgまたは75mg/日投与群はそれぞれ79%,95%で増加した。
12週間に及ぶ抗ウイルス療法は3群でそれぞれ36%,53%,65%の患者が完遂した。プラセボ群でこの治療法を完遂できたのは 4 分の 1 未満であった。

副作用としては頭痛,ドライマウス,腹痛,悪心が確認されたが,いずれも治療を中断させるほど重度なものではなかった。

免疫性血小板減少性紫斑病にも有効
また,同センターのJames Bussel博士は,eltrombopagは血中の血小板数が著しく減少する自己免疫疾患である免疫性血小板減少性紫斑病(Immune Thrombocytopenic Pur-pura;ITP)患者で血小板数を増加させ,出血を減少させることに成功したと同誌(2007; 357: 2237-2247)に発表した。
今回の研究はeltrombopagを開発しているGlaxoSmithKline社から助成を受けている。同薬は血小板を産生する細胞の増殖と分化を誘導する研究段階の経口非ペプチド血小板増殖因子で,米国ではPromacta®,欧州ではRevolade®として販売されている。正常な血小板機能を回復させる他の薬剤は注入剤または注射剤であるが,同薬は 1 日1回投与の錠剤である。

米国では400万人,世界中では 1 億7,000万人がHCVのキャリアであると推定されている。
HCVはおもに輸血と血液製剤により感染する。感染患者の大多数は,輸血用血液のHCVスクリーニングが開始された1990年以前に輸血を受けるか静注の麻薬を使用していた。
また,かなりまれではあるが,性交渉時と周産期に感染することがある。

HCVは肝臓に炎症と瘢痕化を起こし,患者の約半数が治癒可能であるが,それ以外の患者では重度の肝損傷,肝がんが生じ,死亡することもある。HCV感染は肝硬変,肝移植の最も一般的な原因である。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4109131&year=2008
Medical Tibune 2008.2.28
版権 メディカル・トリビューン社
[PR]
by esnoopy | 2008-01-23 00:04 | 消化器科
<< 感染症臨床の最大の問題点「抗菌... インスリン分泌「膵島」移植に新技術 >>