特定健診・保健指導制度

いよいよ特定健診・保健指導制度が4月から導入されます。
裁判員制度もそうですが、どのような経緯でどのレベル(どういった役人や有識者と称する人、そして誰がそういった人を選んでいるのか)でこういったことが制度化されて行くのかよくわかりません。

私は一開業医ですが、どのように関わっていけばいいのか、日本医師会に入会している立場ですが今もってよくわかりません。
私自身、生理的に受け付けなくて、知ろうとしないのかも知れません。

特定健診・保健指導制度,現場の声は第36回日本総合健診医学会

いよいよ今年(2008年)4月から特定健診・保健指導制度が始まる。
1月25,26日に神戸市で開かれた第36回日本総合健診医学会では,「セルフヘルスプロモーションをめざした総合健診」をスローガンに,4つのセッションを割いてこの制度を取り上げた。
会場は立ち見が出るほどの聴衆で埋まり,本テーマに対する関心の高さが伺えた。

保険者の指導による成果達成を義務付け
特定健診・保健指導制度は,保険者および健診関係施設が40~74歳の受診者に特定項目から成る健診を実施,メタボリックシンドロームあるいはその予備軍と見なされる人に対し,保健指導を行い,成果達成を義務付けるもの。
5年後の2012年にはメタボリックシンドローム保有者の増減率に応じて金銭的なインセンティブあるいはペナルティが課せられる。
特定健診は腹囲(男性85cm以上,女性90cm以上),もしくは腹囲が左の基準に満たない場合,body mass index(BMI)が25以上の,内臓脂肪蓄積リスク保有者をスクリーニングするステップ1,ステップ1の基準に達していた人を血糖・脂質・血圧・喫煙歴により階層化するステップ2,さらにリスクの多寡や年齢,服薬の有無に応じて「積極的支援」,「動機付け支援」といった保健指導の程度を階層化するステップ3と4から構成される。

対象年齢前からの指導も必要
メタボリックシンドロームを,喫煙を含めた複数の危険因子で包括的かつ階層的に評価するこれらの基準については,おおむね問題なしとの報告があった一方で,ステップ1の腹囲を中心とした階層化に問題があるとする報告もあった。
現在の健診データを用いた後ろ向き解析で,同制度の階層化によるシミュレーションを行った山梨県厚生連健康管理センターの一之瀬仁美氏は,現在の腹囲基準値が,特に女性において,必ずしも他の検査項目(血糖,血圧,脂質)と関連が見られないと報告。
「腹囲基準の見直し,あるいはBMIによる階層化が妥当ではないか」と指摘した。

進興会立川北口健診館の中島千枝氏は,40歳代のみならず,制度の対象となる前の30歳代からBMIが他の検査項目の異常と良好な相関を示したとの検討結果を報告し,制度対象外の年齢であっても,より早期からBMIに着目した健診・指導実施体制を整えていきたいとの発表を行った。

現制度では非肥満の糖尿病予備軍が取りこぼされる
また,現在の各指標の基準値による階層化そのものの落とし穴を指摘する報告もあった。
東海大学(医療情報学・医療統計学)教授の大櫛陽一氏は,同学会所属施設の特定健診対象者に関連するデータや各種コホート研究の結果から,同健診の検査項目の異常値が年齢・性差を反映していない上,「現行の制度では非肥満者の新規糖尿病発症が見落とされる危険性が高い」と述べた。

実際,日本人の糖尿病患者の過半数は非肥満者と言われており,そうした患者予備軍への介入が後手になれば,現在,医療費負担に占める割合の大きい糖尿病の罹患率減少には必ずしもつながらず,同制度の目的の1つである医療費適正化の障害ともなり得る。

特定保健指導の実践には大きな負担と課題
同制度の肝となるのが,保健指導対象となった人への実践だ。
指導対象者が多く見込まれる施設では,後ろ向き解析によるシミュレーションを実施,指導にあたる人員の確保・育成ならびに適正な配置が必要との報告も行われた。

また,健診・指導の一連の流れにおいては,膨大な個人データの管理・運用が発生することから,コンピュータによるネットワーク,インフラ整備が不可欠となる。
新虎ノ門会新浦安虎ノ門クリニックの滑田梨沙氏らは「健診指導にeメールを利用することで,双方向のやり取りができるだけでなく,可能なところは指導内容を定型化し,メールに添付することで,指導者の違いや連絡時間帯による指導内容の差を生じさせないメリットがあるのではないか」として導入を予定していると報告。

さらに,健診・指導システムの整備・運用については,外部委託保険者が業務の一部あるいは大部分を請け負う場合もある。
(株)ハーディ社長の矢後昭彦氏は「保健指導そのものは個別性を要する行為だが,同制度の管理・運用にあたっては,従来の方法論では人員・時間といった物理的困難が避けられない」と指摘。
不特定多数の対象者が時期や場所を問わず,厚生労働省のプログラムに沿った共通の健診あるいは指導を受けられるようにするには,マスプロダクションの概念の導入が必要とし,業務のオートメーション化・定型化への対応が鍵との提言を行った。

健診受診者に対する取り組みについても,既にメタボリックシンドローム健診を独自に実施,あるいは同様のプログラムを試行した数施設で報告があった。
メタボリックシンドロームの人はそうでない人に比べ,健康への関心は高いものの,実践にはなかなか踏み切れない傾向にあるようだ。
管理目標設定にあたって,たとえば初期にあまりに高い目標設定をすると,達成が困難になる。
そこで,対象者自身の自己評価の範囲をいかに設定していくか,効率的な集団指導の方法論や,指導が長期にわたる場合のフォローアップをどうすべきかなど,多くの課題や取り組みが示された。

国が保険者を介して疾病予防対策だけでなく,その成果達成を義務付けるという初の試みが,果たして実効性を発揮するか否かはもちろんだが,健診・医療ひいては公衆衛生の現場にどのような影響・変化が訪れるのか。
その動向が今後も注目される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080113.html


c0129546_8103230.jpg

シャガール 果実と花束
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s84077854?u=;meiseiitou60


日本人間ドック学会新ガイドラインの狙い
― 作成委員会委員長・山門實氏に聞く
特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分などを変更

 昨年(2007年)12月,日本人間ドック学会の「人間ドック健診成績判定及び事後指導に関するガイドライン」が5年ぶりに改訂された。そのポイントと狙いについて,同ガイドライン作成委員会委員長の山門實氏(三井記念病院総合健診センター所長)に聞いた。今回の改訂は,今年(2008年)4月に導入されるメタボリックシンドロームの概念に基づいた特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分や一部判定基準値を変更したもので,予防医学の立場に立つ同学会として,生活習慣指導を重視する基本姿勢を貫いている。
一方,薬物療法についてもきめ細かな開始基準を設け,個々人の特性に応じたオーダーメード感覚の保健・医療対応を提案している。

国の“受診勧奨値”を3分割し,きめ細かな薬物療法開始基準を提示

― “今回のガイドライン改訂の趣旨について教えてください。
「各専門領域の学会が作成しているガイドラインは,それぞれの疾患に対する診療・治療を中心とした指針だと言えます。
これに対して,予防医学の立場に立つ日本人間ドック学会のガイドラインでは,治療よりも生活習慣の改善を優先して考えており,質の高い保健指導が全国均一に行えることを目指しています。各検査値の判定基準もそのような観点から設定しており,それは本来,頻繁に変える必要のないものです。
しかし,今回,特定健診・保健指導制度が導入されることになりました。
人間ドックで行う健診は特定健診の内容をカバーしており,人間ドック受診者も特定保健指導の対象となります。
私たちの試算では,特定保健指導の対象者は人間ドック受診者の約2割です。このため,ガイドラインの体裁を国の新健診制度に対応したものに改める必要が出てきたのです。

― 改訂の大きなポイントは判定区分の変更ですね。
「特定健診制度では,メタボリックシンドロームの病態と関連する各種検査値について“保健指導判定値”と“受診勧奨値”を設定しています。私たちが慎重に対応しなければならないと考えたのは,後者についてです。
特定健診制度では,各専門学会が定めた診断基準値に基づいて“受診勧奨値”を設定しています。
例えば,高血圧については140/90mmHg以上です。
国は受診勧奨値について,それを超えた場合でも,軽度であれば直ちに薬物療法を導入するのではなく,生活習慣の改善を優先して行い,効果が認められなかった場合,必要に応じて薬物療法を行うべきであることを提唱しています。
その趣旨自体は私たちの考えと同じなのですが,具体的な基準を示していないのが問題だと思います。
どの程度の検査値であれば,どの程度の期間,生活習慣指導のみで対応すべきなのか,言い換えると薬物療法の開始基準が不明確なのです。
そこで,今回のガイドラインの改訂では,国の受診勧奨値を超えたレベルを3分割し,
「C1;積極的支援(1)」
「C2;積極的支援(2)」
「D;受診勧奨」
という3つの判定区分を設けました。
C1では6か月,C2では3か月の生活習慣指導を行い,それでも改善しない場合に薬物療法の導入を考慮します。
これらの基準は,さまざまな臨床試験の結果を吟味して決めました。

一方,Dでは生活習慣指導を継続しつつも,直ちに薬物療法の導入を考慮します。
旧ガイドラインと比較すると,A~Eの5段階を大きな判定区分としている点では同じですが,新ガイドラインでは,旧ガイドラインにおけるC区分を2つに細分化したことになります。
また,それぞれの区分名と定義を国の新制度に合致するものに改めました」

“受診勧奨値”を単純比較してはならない
― “受診勧奨”という言葉を単純比較すると誤解が生じるということですね。 「新健診制度の“受診勧奨値”は,日本人間ドック学会の新ガイドラインではC1またはC2の判定基準値に相当します。
新ガイドラインにおける“受診勧奨値”,すなわちD区分の判定基準値は,上述のように受診勧奨者のなかでも,直ちに薬物療法の導入を考慮するレベルを明示するという趣旨から,新健診制度の “受診勧奨値”より高い値を設定しているのです。
一部に,日本人間ドック学会が国に反旗を翻したかのような報道もありましたが,国の制度に沿いつつ,よりきめ細かな基準設定を行ったことを理解していただきたいと思います」

― 日本人間ドック学会が薬物療法に消極的な学会というのも誤解だと言えますね。
「繰り返しになりますが,“受診勧奨値”を単純比較して,日本人間ドック学会の値のほうが高いため,薬物療法導入に消極的と判断するのは早計です。
新ガイドラインの判定区分Dは,そのレベルに至らなければ薬物療法を行わなくてよいという意味ではありませんから。
もちろん,生活習慣指導をおろそかにして安易に薬物療法に走るのは問題ですが,生活習慣指導だけでは効果が得られない人が多いのも事実であり,薬物療法が必要な患者に対しては速やかに導入すべきです。
新ガイドラインにおける区分設定は,特定保健指導の対象者に対して適正な生活習慣指導とともに,適正な薬物療法が行われることを意図したものにほかなりません」

― “受診勧奨”を巡る混乱の背景には,診断基準と薬物療法開始基準が区別されていないことが影響している面もありますか。
「特定健診制度には,各専門学会のガイドラインが色濃く反映されていますが,学会によっては,診断基準は設定していても,薬物療法開始基準を明示していません。薬物療法の導入は医師が個々に判断すべきだという立場だと思いますが,薬物療法開始基準が明示されないことで,診断基準値を超えたら直ちに薬物療法を開始すべきだという誤解が生じる可能性も否定できません。現場の医師に判断材料を提供する意味で,専門学会としての見解を示すことも必要だと考えています」

脂質基準値の性差を撤廃した理由とジレンマ
― 5年前の改訂では,総コレステロール(TC)の基準値について,暫定処置ながら性差を設けていましたが,新ガイドラインでは男女同一基準としています(表3)。その理由を教えてください。
「TC値について旧ガイドラインでは男性の場合,220~239mg/dLを判定区分C,240mg/dL以上を判定区分Dとし,閉経後女性については暫定処置として,それぞれ240~259mg/dL,260mg/dL以上という男性より20mg/dL高い基準値を設定していました。それは男性に比べ閉経後女性では測定値が高く分布していること,2002年の段階ではわが国には脂質に関する大規模な介入試験の成績が存在しなかったためです。
しかし,その後,MEGAスタディの結果が発表されました。

MEGAスタディの結果を見ると,TC値の上昇に伴う心血管疾患リスクの上昇は男女で差がなく,260mg/dLを超えるレベルの人では,薬物療法を行わない場合,早期に心血管イベントが発生しやすくなることがわかりました。この結果から判断する限り,保健指導や薬物療法を導入する基準に性差を設けることは妥当ではありません。そこで,男女ともに220~239mg/dLを判定区分C1,240~259mgをC2,260mg/dL以上をDと改訂したのです」

― しかし,今回の改訂により,保健指導・医療の対象となる区分は男性では20mg/dL上方に,女性では20mg/dL下方に広がり, 220~259mg/dLという幅広いグレーゾーンが出現したことになります。この区分の人々にはどのように対応すればよいのでしょうか。
「上述のようにC区分は薬物療法を行わないのではなく,一定の期間,生活習慣指導を行った後に薬物療法の導入を考慮するという意味です。
その際,重要なのは個々人のリスクを考慮することです。
C区分の人々のなかには,220mg/dLに近いレベルでも早期に薬物療法の導入が必要な人もいますし, 260mg/dLに近いレベルでも生活習慣指導のみで対応できる人もいます。
脂質値だけで結論を出すのではなく,心血管疾患の既往や糖尿病などの合併症の有無も考慮して判断すべきだと思います」

― 閉経後女性の脂質値の問題を考えるうえでは,日本人間ドック学会主導で行われているPMHPS(閉経後高コレステロール血症予後調査研究)の結果も待たれますが,進捗状況はいかがですか。「PMHPSは全国の人間ドックを受診した閉経後女性をTC値220~239mg/dLと240~259mg/dL以上の2群に分けて5年間追跡し,予後を比較する観察研究で,約4,000例が登録されています。
試験は今年3月に終了し,2年後の2010年に結果を発表する予定ですが,中間解析のデータを見ると,両群の予後に差を見出すのは難しそうな状況です。
MEGAスタディに比べ低リスクの集団で,両群とも心血管イベントの発生がきわめて少ないのです。脂質以外に心血管疾患のリスクがない閉経後女性では,生活習慣指導のみで対応できる可能性もうかがわれ,やはり性差の存在が強く示唆されます。
ただし,現在あるエビデンスで判断しようとすると,新ガイドラインのように性差を撤廃せざるをえない。
なお,閉経後女性ではおもにHDLコレステロール(HDL-C)の上昇によって,TC値が高くなっている人が多いのが特徴です。日本動脈硬化学会も脂質異常症の診断や管理はTCではなく,LDLコレステロール(LDL-C)で行うことを推奨していますが,閉経後女性においては特に強調されるところだと思います」


http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080109.html

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

[PR]
by esnoopy | 2008-02-01 00:05 | その他
<< 野菜と果物と少しの酒 腸・第2の脳 その2(2/2) >>