〔ロンドン〕 英国癌研究会が助成しているMillion Women Studyの参加者を追跡 した研究で,英国女性の子宮癌と食道癌患者の半数は過体重または肥満により引 き起こされていることがわかったと,同研究会の疫学者でオックスフォード大学(英オッ クスフォード)のGillian Reeves博士らがBMJ(2007; 335: 1134)に発表した。 5 %が過体重か肥満に起因 今回の研究は,現在の英国女性における過体重・肥満とさまざまな癌との関連性に ついて,信頼性の高いエビデンスを提供した初めての研究。 Million Women Studyは,女性の癌リスクを調べた研究としてはこれまでで最大 規模のものである。 今回の研究から,英国の中高年女性では,すべての癌の約 5 %,すなわち年間 6,000例の癌が過体重または肥満に起因することがわかった。 さらに,過体重または肥満が主要な危険因子となる癌として,子宮癌とある種の食道 癌だけでなく腎臓癌,白血病,多発性骨髄腫,膵癌,非ホジキンリンパ腫,卵巣癌, さらに閉経後の年齢集団では乳癌,大腸癌にも関連することが明らかになった。 Million Women Studyにおいて 7 年間に追跡された女性は100万例余りで,この うち発癌したのは 4 万5,000例,癌死亡は 1 万7,000例にのぼった。 筆頭研究者のReeves博士は「われわれの成績に基づいて推定すると,英国の中高 年女性における年間12万例の新規癌患者のうち,過体重者または肥満者はほぼ 6,000例を占める。 これらの癌患者の 3 分の 2 は子宮癌または乳癌である」と述べている。 過体重は,他の癌危険因子に比べて,いくつかの癌リスクにかなり大きな影響を及 ぼすことも示された。 しかし,body mass index(BMI)と癌との関連性は,女性が生涯のどの時期に いるかによることもわかった。 例えば,閉経後に太っていると乳癌リスクが高くなり,大腸癌リスクは閉経前に太っ ている場合のみ高くなる。 同研究所健康情報部のSara Hiom部長は「この研究は癌の発症と死亡に及ぼす 過体重・肥満の影響に関して,さらなるエビデンスを加えるものである。ほとんどの 人は余分な体重を背負っていることを一般的な健康リスクと関連付けているものの, 特定の癌と関連付けることはまずない。今回の結果は,既に確立している糖尿病や 心筋梗塞など癌以外の疾患と肥満との強い関連性と合わせて考察する必要がある」 とコメントしている。 Medical Tribune 2008.1.24 版権 メディカル・トリビューン誌 鎮西直秀 「こころのスケッチ」 油彩3号 http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c157314336 肥満で、全がん死亡率が上昇 http://www.metamedica.com/news2003/2003050501.html #90万人の米国民を16年間追跡したところ、肥満度が高くなるほど全がん死亡率 が高く、がん死亡全体のうち、男性では14%、女性では20%が、肥満が原因と 推計された。 #個別のがんについて見ると、BMIの増加で死亡率が有意に高くなったのは、食道・ 胃(男のみ)・結腸・直腸・肝・胆・膵・腎・非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・前立腺・ 乳房・子宮・卵巣におよんだ。つまり、ほとんどの部位のがんで、肥満による死亡率の 上昇を認めた。 #これまでも、(閉経後乳がんなど)一部のがんのリスクが、肥満によって上昇する ことは知られていた。けれども今回の結果は、肥満によるリスク上昇が、一部のがん に限られるものではなく、多くの部位のがんに共通するもので、むしろ「普遍的」な 現象である可能性をうかがわせるものだ。 #食生活によるがん予防を考える際に、「なにを食べるか」(どんな食物や栄養素が 有用か)に限らず、「どれだけ食べるか」(エネルギー摂取をどれだけ控えて肥満を 予防するか)を重視することの大切さを示すデータと言えそうだ #人口に占める肥満者の割合や程度は、米国より日本のほうがずっと小さい。 そのため、おなじ推計を日本人で行えば、この割合もずっと小さくなるはずだ。 肥満女性にがんリスク http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_593.html 肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/17/obese_can.html 胆石症、肥満指数と胆道がんとの関連について http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/61/bmi_biliarytract.html 肥満指数・身長と大腸がんリスクについて http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news016.html #肥満指数27以上で、男性の大腸がんリスク上昇 肥満ががんの最大要因に?~最新調査 http://www.usfl.com/Daily/News/08/02/0220_002.asp #現在、肥満自体にがん発生の原因があると考えられるようになり、証拠となる研究 データが続々と増えている。 肥満はがんの要因 米大統領がん諮問委 http://mhlab.jp/calendar/seikatsusyukanbyo_01/2007/08/001722.php #がんによる死亡率は、肥満のある男性では50パーセント、女性では60パーセント高くなるという。 肥満者ではPSAによる前立腺がん検診でがんが見落とされやすい http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/psa_4.html #肥満者では、前立腺がんの発症リスクが高く、また 前立腺がんによる死亡リスクも高いことが既に明らかになっている。今回の研究から、肥満者ほど、PSA検査でがんが見逃される可能性があることが、肥満者の前立腺がん死亡リスクを高める一つの理由となる可能性が示されたといえる。 死亡数によるリスク表現 http://www.yasuienv.net/RiskSortedbyDeath.htm (「リスク」についてのお話です) がん予防に肥満対策が必要 世界がん研究基金 http://mhlab.jp/calendar/pro/calendar1/2007/11/001964.php
by esnoopy
| 2008-02-29 00:18
| その他
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