抗菌薬使用前の皮内反応試験

昨日に続いて日経メディカル2月号特集連動企画「その処置、必要?」 からです。


抗菌薬使用前の皮内反応試験
「既往歴ある患者への類似投与時など、特別な場合に実施」 
「抗菌薬を静脈注射する前に行う皮内反応試験は、アナフィラキシーを完全には予知できない」。

2003年に日本化学療法学会が出したこの報告を受け、厚生労働省は04年、抗菌薬の添付文書から皮内反応試験の実施を行う旨の記述を削除するよう通知した。

同報告の主旨は、
1. アレルギーの既往がある患者のみ皮内反応を行う米国より、皮内反応の実施を基本としていた日本の方がアナフィラキシー発生の頻度が高い()、
2. 皮内反応陰性でもアナフィラキシーが発生している、
3. 皮内反応の陽性率がアナフィラキシー発生率より数十倍から数千倍高い
という3点。
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皮内反応試験では完全にショック発生を予知できない上に、偽陽性の発生によって本来抗菌薬を投与できた患者にまで投与を控えられていた可能性があるため、ルーチンで行う皮内反応試験はデメリットの方が大きいというわけだ。

04年に同学会が出した『抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン』では、「アナフィラキシーを確実に予知する方法はない」とした上で、問診を十分に行うこと、ショックへの対応を迅速に行える体制をとることを強調。
皮内反応試験の実施は、アナフィラキシー既往歴がある患者に類似薬を使うときなど、特別な場合に限られるとした。

訴訟対策にはならない
しかし、「実際にまだ皮内反応試験をルーチンで行っている医師はいる」と同学会・皮内反応検討特別部会委員長を務める国立病院機構東京医療センター統括診療部長の岩田敏氏は話す。

07年、同学会が皮内反応試験実施の有無を医療機関にアンケートしたところ、704施設中469施設で皮内反応試験を全面中止していたものの、「アレルギー体質の患者に限って実施」が121施設、「ルーチンで実施」が50施設、「一部の診療科では実施」が29施設存在した。
調査対象はインフェクションコントロールドクターが在籍する医療機関で大病院が中心。
中小の医療機関ではさらに多いことが予想される。

このアンケートでは、皮内反応試験に対する過信も浮き彫りとなった。
皮内反応試験を行う理由として、「訴訟対策」「注射後に十分な観察が困難」という答えがそれぞれ3割ずつを占めたのだ。
「アナフィラキシーへの対応がまずいと訴訟になるかもしれないが、皮内反応試験実施の有無は関係ない」と岩田氏。
最低限、皮内反応試験さえしていればいいという考え方は通用しない。

岩田氏は「十分な観察といっても、医師が観察し続けるのは不可能に近い。抗菌薬投与後30分程度、誰かの目が届く範囲にいてもらったり、リスクを職員に周知徹底するなど、現実的な対策をとるべきだ」と話す。アナフィラキシー対策ガイドラインについても、ショックへの対処法を中心に今年中に見直す方針だ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200802/505484.html


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by esnoopy | 2008-02-28 00:04 | その他
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