飛行機や新幹線に乗っていてドクターコールを受けた先生方もおみえになると思います。
私は開業医のため、あまりそんな状況に遭遇する機会はありません。 しかし久しぶりに乗った新幹線で「お客様で具合の悪い方がおみえになります。お医者さんはいませんか」コールを受けてしまいました。 お医者さんはいませんか? http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/22 そんな時、先生方はどうされますか。 最近読んだエッセイで「飛行機に搭乗した時にまず祈るのは墜落しないようにということは勿論だが、乗客に病人がでないようにということ」。 そんなことが書かれていました。 少し古い記事ですが、ちょっと紹介させていただきます。 航空機内での急病人発生等で、医師をはじめとした医療関係者への協力を求める機内アナウンスについて、航空会社では「ドクターコール」と呼んでいる。 質問者の意図が医師法が適用される国内航空会社機内を想定していると思われるので、これを前提としたい。 ドクターコールの呼びかけに応じた医師の責任については、まず、機内での傷病発生に対する航空会社の責任について記述する必要がある。 航空会社は機内で発生した事故、事件が原因となった以外の発病や負傷については責任がない。 しかし、航空会社は機内での管理者として旅客の安全を確保する注意義務を負っており、傷病が発生した旅客について可能な範囲内での適切な措置をとる必要がある。 航空会社は、この管理者としての注意義務の観点から、機内で発生した傷病者に対応する具体的措置として、医師等の同情の有無を確認して援助を求めるためにドクターコールを行っている。 また、医師が自発的に治療を申し出た時に使用してもらう主旨から医師用医薬品(ドクターキット)を搭載している。 航空機内に限らず一般的な診療行為での医師の責任については、通常の医師等に期待される程度の注意を怠った時に、民事上の損害賠償責任が生じると考えられる。 さらに、注意義務違反の軽重によっては業務上過失罪等の刑事上の責任も追及される可能性がある。 しかし、機内でドクターコールに応じた医師にかかる責任については、飛行中の航空機内という特殊な状況下で行われる診療行為であることからも明らかなように、診療を行う場所が医療施設ではない上に、利用できる医療器具、医薬品も限られることから、医師に要求される注意義務違反は、通常の医療施設における診療行為に対する注意義務違反とは異なり、相当に軽減されると解される。 また、医師法一九条一項は「診療に従事する医師は、診療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と、医師の応召義務を規定している。 だが、医師法では「診療に従事する医師」と規定していることから、たまたま航空機に乗客としている搭乗している医師には応召義務は生じないと考えられ る。 機内には医師のほかにも看護師や救急救命士といった有資格者が同乗している可能性があり、コメディカルにも呼びかけるアナウンス内容に変更してもよいではないか、という質問者からのアドバイスについては、国内航空会社大手三社からの返答を紹介したい。 現在の大手国内航空会社がドクターコールで呼びかける対象は、日本航空が「お医者様、看護師の方」、全日本空輸「お医者様、または医療関係の方」、日本エアシステム「医師、看護師、または医療関係の方」と呼びかけており、救急救命士に直接援助は呼びかけていない。 しかし、救急救命士が手伝いを申し出る例は多くある(日本航空広報部)という。 また、各航空会社によると、現在、機内での除細動器の取り扱いについて、客室乗務員だけではなく、救急救命士にも求める声が挙がっており、もし取り扱いが可能になるようであれば、医師や看護師のほかに救急救命士の援助を求めるように検討したいとの回答があったことを付記する。 最後に、急病人に対しその病態を診断し治療を行う診療行為の主体はやはり医師であろう。 このことから、もしドクターコールのアナウンスがあった場合には、人道上の立場から積極的な援助をお願いしたいと考えている。 日本医事新報 No.4094 2002.10.12 ドクター・コール http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_1014.html 機内のお医者様アナウンスに戸惑う http://mainichi.jp/life/health/hitokoto/news/20080227ddn041070031000c.html 3万フィートの先進医療 http://www.jstm.gr.jp/mebio200102_3.pdf 3万フィートの心停止 http://www.jstm.gr.jp/mebio200102_2.pdf 飛行機内でのドクターコール http://www.kanoya-travelmedica.com/DrCall.html 以下はスレのネタです。 ■飛行機にお医者さんが乗り合わせる確立は7割だそうです ■この頃除細動器載せてる航空会社あるらしいけど それってなんか有ったら医者にただ働きさせる気って事? ■機内でのドクターコールはご存知の通り任意ですよね。 こちらが事前に手にしているpassenger informationで、 職業や勤務先が記載されていますので(Cクラス以上ですが)お医者様が どの席にいるか、私どもがわかっている場合でも、名乗り出ない方もいらっしゃいます。 それはそれで.... もし、本当に一人もいらっしゃらない場合は、コックピットから 無線で地上のお医者様とやりとりをして、指示をうけながら措置を行わなければ ならないので本当に大変です。 ■この前、ドクターコールを致しましたところ、6名ものお医者様が 載っていらっしゃいました。わたくしが知っている限りでは 6名は最高記録です。 大抵は必ずお一人はいらっしゃいます。 ■新幹線で1度ある。その時、もう一人若い医者が来た。 気分悪くなった本人が「私、過換気症候群です。」と言ったので 紙袋を口に当てて、しばらく様子をみて席に戻った。若い医者は 英雄気取りで、「それは最後に下す結論です。」とか言って最後まで 付き添っていたみたい。降りるときに住所と名前をきかれた。 後で、時刻表と絵はがきが送られてきた。 ■私が新幹線の中で倒れた人をちょっと見たときは、 その10日後に丁寧な礼状(もちろん印刷済のやつ)と オレンジカード3000円分が送られてきたよ ■日経メディカルの飛鳥田一朗(日本航空宇宙環境医学会理事長)の論文上の データから国際線国内線別にドクターコールに当たる確率を計算してみました. 98年度の日本航空の1日あたりの運航実績は,国際線243便,国内線129便, 1年間で国際線88695便,国内線44895便.それに対してドクターコールは 国際線年平均88.6件,国内線年平均18.4件.つまり1回の搭乗で ドクターコールに当たる確率は, 国際線88.6/88695 × 100 = 0.1% 国内線18.4/44895 × 100 = 0.04% 言い換えると国際線では1001フライトに1回,国内線では2440回に 1回という低確率になります. ■98年度の日本航空の1日あたりの運航実績は,国際線243便,国内線129便, 合わせて376便.1年間で137240便.それに対してドクターコールは 年平均107件.つまり1回の搭乗でドクターコールに当たる確率は, 107/1371240 × 100 = 0.078%, 言い換えると1283フライトに1回という低確率になります. 確かにこのタイミングで偽造した医者の名刺を持っている人は いないかも. 引用 飛鳥田一朗(2000)航空機内での医療.日経メディカル,1,127-131 ■参考までに,1999年度全日空機内での急病人発生状況を記します. 急病人発生件数223件(うち,ドクターコール件数152件) 国内線()内は人数 意識障害(39),気分不快(31),痙攣発作(19),呼吸困難(14), 腹痛,背部痛(12),下痢,嘔吐(7),胸痛,胸部不快(6), 打撲,捻挫,骨折,切創(5),熱傷(2), 頭痛(2),急性アルコール中毒(2),発熱(1),その他(8), 国際線 意識障害(16),腹痛,背部痛(12),呼吸困難(10), 打撲,捻挫,骨折,切創(6),気分不快(6),胸痛,胸部不快(5), 痙攣発作(5),発熱(2),急性アルコール中毒(2),頭痛(1), 下痢,嘔吐(1),婦人科関連(1),その他(7), ■ユナイテッド航空 輸液セット,エピネフリン注射液,ジフェンヒドラミン注射液, ニトログリセリン錠,血圧計,聴診器,エアウエイ,注射器,注射針, 駆血帯,消毒綿棒,手袋, ■ルフトハンザドイツ航空 輸液セット,エピネフリン注射液,エホチール注射液,アダラートカプセル, ベラパミル注射液,ブスコパン注射液,ジアゼパム座剤,ジゴキシン注射液, ネオフィリン注射液,アトロピン注射液,ラシックス注射液, プレドニゾロン注射液・座剤,タベジール注射液,カルシウム注射液, キシロカイン注射液,ニトログリセリン錠,メテルギン注射液,血圧計, 聴診器,注射器,エアバッグ,マスク(大,中,小,小児用),吸引器,喉頭鏡, 小外科セット(メス,鋏,鉗子,糸,針),消毒綿,気管挿管セット,導尿セット, 体温計,手袋 ■私の調べた印象では,機内搭載医薬品・医療器具の充実度は 豪州>日系≧欧州>>>>>>>米系 です.米系では名乗り出てもろくな医薬品がないので, 知らん振りをした方が無難に思えます ■米国では「良きサマリア人」を保護する連邦法(Good Samaritan Law) が制定されており,故意もしくは重過失の場合を除き緊急に機内急病人治療に 当たった医療従事者及び航空会社は米国内の裁判所にて損害賠償責任を免れる, とされています(4). ■しかしながら,この問題に関して患者側から医療従事者への訴訟が 世界で一例も起こされていないので,どこまでが重過失に問われるかは 線が引かれていないのが現状です.実際の所,欧米のように 国民に「良きサマリア人」の概念が染みとおっていない日本でこそ 「良きサマリア人」を保護する法律が必要だと思います. 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy
| 2008-03-11 00:09
| その他
|
カテゴリ
全体 循環器科 呼吸器科 消化器科 高血圧症 糖尿病 その他 新薬発売 高尿酸血症 がん治療 メンタルケア 感染症 腎臓病 脳血管障害 小児科 骨粗鬆症 認知症 神経内科 メタボリック・シンドローム 耳鼻科 泌尿器科 リハビリテーション 未分類 以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||