足首-上腕血圧比と高齢者心血管系イベントリスク

足首-上腕血圧比は高齢者の心血管系イベントリスクを予測する
足首-上腕血圧比が低下または上昇している高齢者は心血管系イベントのリスクが高い。
特に、下肢動脈の硬化は脳卒中とうっ血性心不全の予測因子である。


足首-上腕血圧比が低下または上昇している高齢者は心血管系イベントのリスクが高く、特に下肢動脈の硬化(noncompressible leg arteries)は脳卒中とうっ血性心不全のリスク上昇を予測する因子であるとの研究結果が『Stroke』3月号に報告された。
「足首と上腕の収縮期血圧比が低い場合、死亡や心血管系イベントの発生が予測される」とピッツバーグ大学(ペンシルヴェニア州ピッツバーグ)のKim Sutton-Tyrrell, DrPHとThe Health, Aging, and Body Composition Studyの研究者らは書く。
「動脈の石灰化に伴う足首-上腕血圧比の上昇も死亡のリスクになる。足首-上腕血圧比の上昇と低下や下肢動脈硬化が高齢者の死亡や脳卒中などの心血管系イベントにどの程度関連しているかを中心に検討する」。

研究コホートは70~79歳の成人2,886名で、その生存状況と冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全にしぼった心血管系イベントについて追跡が行われた。
平均追跡年数は6.7年であった。

80%のコホートは足首-上腕血圧比が正常値(0.91±1.3)であった。
低値(≦0.9)は13%、高値(>1.3)は5%であった。
下肢動脈硬化は2%に認められた。

足首-上腕血圧比が1.0未満の低値あるいは1.4以上の高値に該当する場合、死亡率の上昇と関連があった。
足首-上腕血圧比が低い人、下肢動脈硬化が認められる人のイベント発生率は、すべてのエンドポイントに関して足首-上腕血圧比が正常な人より有意に高かった。
足首-上腕血圧比の低下、上昇および下肢動脈硬化に伴う冠動脈疾患のハザード比(HR)は、年齢、性別、人種、有病率の高い心血管疾患、糖尿病、主要な心血管系危険因子の調整後で、それぞれ1.4、1.5、1.7(すべてP<0.05)であった。
下肢動脈の硬化は、特に脳卒中(HR 2.1)およびうっ血性心不全(HR 2.4)のリスク上昇と関連した。

「高齢者では足首血圧の低下あるいは上昇が多くみられるが、そのような場合は心血管系イベントのリスクが高い」と著者らは結論する。
「下肢動脈が硬化した高齢者は、特に脳卒中、うっ血性心不全、心血管疾患による死亡のリスクが高い。今回のデータは、足首血圧からだけでも臨床的に非常に大きな情報が得られることを示している」。

Stroke. 2008;39:863-869.
Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape

http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=SPECIALTY&articleId=69822&articleLang=ja

足に動脈硬化が疑われる症状あっても8割が放置--ネット調査
足の血管が細くなったりつまったりする閉塞(へいそく)性動脈硬化症(PAD)が疑われる症状があっても、8割以上の人は医療機関を受診せずに放置していることが、「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(本社、東京都千代田区)のアンケートで分かった。

昨年12月、30-60代の男女800人を対象にインターネットで調査を実施。
「歩行中に足にしびれや痛みを感じて歩けなくなり、休むと解消する」というPADの典型的な症状を経験したことのある人は214人いたが、このうちPADを疑った人はわずか8人(3・7%)だった。
対処法は「安静にして様子を見る」が84人(39・3%)で最も多く、▽特に何もしない49人(22・9%)▽市販薬などで対処する16人(7・5%)--が続いた。「病院に行く」と回答したのは35人(16・4%)だった。

同社によると、国内のPAD患者は約600万-700万人。進行すると足の切断に至る恐れもあり、同社は「循環器科、血管外科などを受診することによる早期発見・治療が重要」と呼びかけている。
動脈硬化:足に症状、8割が放置-ネット調査
毎日新聞社 2008.3.25
版権 毎日新聞社

http://mainichi.jp/select/science/news/20080325ddm013100167000c.html

透析患者の心血管イベント予測に足首上腕血圧比が有用
心血管リスクの評価指標として、足首上腕血圧比(ABPI)のほか脈波伝搬速度(PWV)がしばしば用いられる。
日本人の透析患者を対象にした5年間の前向き研究の結果、動脈硬化による心・脳血管イベントに対する予測能は、ABPIの方が優れていることが明らかになった。
米国心臓協会・学術集会のポスターセッションで11月4日、名古屋共立病院循環器内科の青山徹氏が報告した。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aha2007/200711/504669.html



冠動脈病変を疑う患者における両上腕の血圧左右差と Ankle-Brachial Pressure Index の臨床的有用性
目 的:
両上腕の血圧測定は臨床上実用的であるが,冠動脈病変を疑う患者においての臨床的有用性は明らかではない.冠動脈病変を疑う患者における両上腕の血圧左右差とankle-brachial pressure index(ABI)の臨床的有用性を検討した.
結 論:
両上腕の血圧左右差はしばしば冠動脈病変が疑われる患者にみられ,有意な冠動脈病変と末梢動脈病変を持つ患者において関連がある.このように,両上腕の血圧左右差は冠動脈病変と末梢動脈病変の評価の簡便な指標として有用である.
JC Original Article Abstract 505-1J
50-5;281-289 2007.11
http://www.jcc.gr.jp/green/abstractJ/505-1J.html


<コメント>
他の内科開業医の先生方もそうでしょうが、当院も動脈硬化測定装置なるものを導入しています。
導入して2年近くになります。
患者さんの経過をみていくとPWV(当院の装置ではCAVI)の値が確実に増加していく方がいる一方、変化がないか逆に減少する方がみえます。

血圧脈波検査装置 VaSera VS-1000
http://was.fukuda.co.jp/medical/products/catalog/vascular_screening/vs_1000.html 
増加する方にはEPA製剤を処方するのですが、従来数値で動脈硬化を評価する方法がなかっただけに、かえって説明にとまどってしまうことがしばしばあります。
スタチンを投与してコレステロールの数字だけで話をしている分にはラクだったのですが・・・。
PWV,CAVIといった数値より足首上腕血圧比(ABPI)の方が心血管イベントの評価に有用であるという報告は皮肉な結果でもあります。


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-03-26 00:02 | 循環器科
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