高血圧で通院中の患者さんに「先生、アルコールはのんでいいでしょうか」と聞かれた場合、「適量のアルコールは鎮静作用も期待できていいですよ」と答えると思います。
私もそう指導してきました。 そんな中、こんな記事がを見かけました。 飲酒と血圧の関連は定説より強力 英ブリストル〕ブリストル大学社会医学科のSarah Lewis博士らは,最近実施された研究のアナリシスの結果,過度の飲酒と高血圧の関連はこれまで考えられていたよりも強いことが示唆されるとPLoS Medicine(2008; 5: e52)に発表した。 分解酵素の遺伝的変異に注目 過去の観察研究から,過度の飲酒は高血圧の危険因子の 1 つであることが示されているが,これらの研究には食事,喫煙,運動レベル,社会経済状況などの交絡因子が存在している可能性がある。 飲酒と高血圧の関連性を解明する臨床試験の実施は困難で,フォローアップ期間が限られている。 今回の研究は,身体のアルコール分解能に影響を与える遺伝子に変異がある者に注目するという以前と異なるアプローチを採用した。 体内に摂取されたアルコールは,アセトアルデヒドという中間化合物を介して酢酸になり体外へ排出される。 アルコールの分解にかかわるおもな酵素は,アルデヒド・デヒドロゲナーゼ2(ALDH2)である。 一部の人は遺伝的変異によりアセトアルデヒドの代謝ができないため,アルコールを摂取すると体内にアセトアルデヒドが蓄積する。 このような変異は一部のアジア人では一般的で,飲酒後に顔面紅潮,強い悪心,眠気,頭痛などの不快な症状が発生する。 この遺伝的変異を有する者は,有さない者に比べてアルコールの許容量がはるかに低い。 Lewis博士らはALDH2の遺伝子型に注目し,変異を有する者(遺伝子型*2*2)の血圧と,変異を有さない者(遺伝子型*1*1)の血圧を比較した。 その結果,遺伝子型*1*1の者は1 日当たりおよそ 3 単位のアルコールを摂取しており,飲酒量がきわめて少ないかゼロであった遺伝子型*2*2の者と比べて,血圧が著しく高いことがわかった。 同博士は「たとえ適量であっても,飲酒はこれまで考えられていたよりもはるかに大きく血圧を上昇させる可能性があることがわかった。われわれの知見を追認し,推測の精度を上げるためには,大規模な研究が必要である」と述べている。 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 <参考サイト> 24時間血圧への影響 href="http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html" target="_blank">http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html アルコールが日中の血圧を上げることは事実ですが、夜の血圧(飲酒後数時間)は逆に下げるように働きます。 アルコールと高血圧の関係は、これまで過大に評価されてきたのではないでしょうか。 別の見方をすれば、高血圧の患者さんが飲酒を控えた場合には、日中の血圧は下がりますが、1日の平均血圧でみれば、期待するほどの降圧効果はなさそうです。 (結論として高血圧患者への節酒や禁酒はあまり効果がない) 飲酒、喫煙と循環器病 http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/text/pamph/pamph_32/panfu32_text.html アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間、飲み続けると、血圧を上げ、高血圧症の原因になると考えられています。多くの研究で、日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がって、高血圧症になるリスクも高まることがはっきりしてきました。 では、1日にどれくらい飲んでいると、血圧に影響するのでしょうか。日々の摂取量が多くなればなるほど、血圧が高くなっています。 「日本酒1合、ビール大瓶1本、ウイスキーシングル2杯、ワイン2杯」のそれぞれに含まれるアルコールは、約30ミリ・リットルですが、これまでの研究をまとめますと、アルコール1日30ミリ・リットルあたり、血圧は3ミリほど上がることが認められています。 こうした飲酒による血圧の上昇は、人種や、アルコール飲料の種類にかかわりなく認められていますから、あの酒だと影響が少ないといったことはありません。 アルコールで血圧が上がる理由については、血管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経の活動、腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われるため、などと考えられています。アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えることや、塩辛いつまみをとることも関係するでしょう。 健診で高血圧を指摘されたのですが、お酒はやめたくありません。 http://www.nikkeibp.co.jp/archives/339/339066.html 高血圧の人がお酒を飲むときは、男性は1日30ミリリットル以内(ビール大びん1本、または日本酒1合まで)、女性はその半分までにしましょう。また、お酒を飲むときは塩辛いつまみを食べることが多いのですが、血圧が高い人は、塩分制限の点からも特に アルコールと高血圧 http://www2.health.ne.jp/library/0600/w0600022.html 福岡県久山町で40歳以上の一般住民を対象にした調査を行いました。すると、日本酒1合未満の少量飲酒者でも全くお酒を飲まない人に比べると、高血圧の割合が高いことが分かりました。その上、正常血圧の人でも10年間のうち、少しでもお酒を飲み続けている人は飲んでいない人よりも、高血圧になりやすいことも分かりました。 ですから、日本人の場合、1日1合未満の少量のお酒でも、血圧が上昇する可能性が高いようです。どうして、アルコールが血圧を上げるかについては、いろいろ研究されていますが、まだよく分かっていません。
by esnoopy
| 2008-04-10 00:35
| 高血圧症
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