夜間頻尿の高齢者は骨折リスクが高い

日本泌尿器科学会の報告記事で勉強しました。

夜間頻尿の高齢者は骨折リスクが2.63倍
死亡リスクも2.68倍に

倒のリスクが2.63倍に上ることが明らかになった。
同様に、死亡リスクも2.68倍だった。これは、東北大大学院泌尿器科学講師の中川晴夫氏らが3年間追跡した調査で明らかにしたもので、第96回日本泌尿器科学会総会で発表した。

同調査は、仙台市郊外の鶴ヶ谷地区在住の70~97歳の高齢者(平均年齢74.9歳)のうち、調査を目的とした長期経過観察について文書で同意した788人(男性359人、女性429人、対象地居住高齢者の28.9%)を対象とし、2003年に開始された。

同意を得た高齢者について、入院レセプトと国民健康保険の脱退情報を基に「骨折」「死亡」のイベントついて調査し、排尿症状との関連を分析した。

骨折については、レセプト上で骨折病名を認めた場合に医療機関の診療録を調査し、骨折の原因、骨折部位、治療法を調べた。
また、死亡については、健康保険からの脱退情報の中で脱退理由が死亡であるものを集計し、検討した。

3年間の追跡調査の結果、骨折は788人中28人(3.6%)に発生していた。
うち23人は転倒による骨折だった。骨折部位は、上肢8人、下肢11人、骨盤および脊椎5人だった。

夜間頻尿と骨折との関連について検討した結果、夜間の排尿回数が1回以下の高齢者では426人中8人(1.9%)が骨折していたのに対し、2回以上の高齢者では362人中15人(4.1%)が骨折していた。
年齢や性別、MBIなどを背景因子として補正を行うと、2回以上の夜間頻尿高齢者では、1回以下の場合に比べ、3年以内で骨折のリスクが2.63倍(Cox Proportional Hazard modelによる解析)に上昇することが分かった。

また、夜間頻尿と死亡率との関係を調べた。3年間で死亡した高齢者は31人だったが、夜間の排尿回数が1回以下の高齢者は7人だったのに対し、夜間の排尿回数が2回以上だった高齢者は24人と、有意に死亡率が高かった。
各種疾患の既往、利尿薬や睡眠薬の内服、飲酒など、夜間頻尿と関連する可能性のある条件を背景因子として加えてリスク調整を行うと(Cox Proportional Hazard modelによる解析)、そのハザード比は2.68倍だった。

ただし、直接の死亡原因が、転倒による骨折と関連していたのは1例であり、他は脳血管疾患や心疾患、悪性腫瘍などだった。

中川氏は、「今回の調査では、転倒時間や男女差など、細かな因果関係にまでは踏み込めなかったが、2回以上の夜間頻尿は、転倒による骨折や死亡率を増加させる独立した危険因子であることが分かった。
夜間頻尿は加齢に伴い増加するが、高齢者のQOLを低下させるだけでなく、骨折や死亡とも関連するということを念頭に置く必要がある」とまとめた。

夜間頻尿と死亡率増加との関連については、1999年のスウェーデンでの疫学調査では1.34倍になるという結果が報告されている。夜間頻尿と骨折との関連についても、2006年のスウェーデンの調査で1.8倍のリスクになると報告されている。

同調査は、今年8月に5年間の追跡調査が終了するため、中川氏は「5年間のデータを解析する際には、骨折した時間帯についても詳しく調べたい」と話している。

出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29
版権 日経BP社

<コメント>
夜間頻尿と死亡率については、心不全の要素が完全に除外できるかということにいささか疑問を持ちました。
また「国民健康保険の脱退情報」が個人情報として保護されていないということにもいささか違和感を覚えました。

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by esnoopy | 2008-05-07 00:29 | 骨粗鬆症
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