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骨粗鬆症へのビス剤投与は5年で十分か

骨粗鬆症治療の際に、「いつまでこのお薬は飲み続けるのですか」という質問を受けられた先生も多いのではないでしょうか。
ビスホスホネート剤のアレンドロネートでの研究で、5年飲み続ければ大丈夫という結果が出(てしまい)ました。
メーカー主催の講演会では取り上げてもらえない内容です。
これからの診療現場で患者さんに正直にこのことを説明するかしないかは「自由だ~!!」ということでしょうか。
それにしても米国の研究者って面白い研究をするもんですね。
まさか製薬メーカーが背景にいて、こんな結果が出てしまって困っているということではないでしょうね。
ちょうどゼチーアのENHANCE試験を思い出させる結果です。
ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080428/1
ENHANCE試験をめぐる論争 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080429

5年で投与中断しても骨折リスクの有意な上昇見られず
閉経女性の骨粗鬆症に対する治療期間はどの程度にすべきか。
これまで、最適な治療期間を検討した大規模研究はなかった。
米California大学San Francisco校のDennis M. Black氏らは、アレンドロネートを約5年間使用、その後5年間治療を継続した場合と、後半の5年間に偽薬を投与された場合の骨量や骨折リスクを比較した。
その結果、多くの症例で、5年で治療を中止しても骨折リスク上昇に結びつかない可能性が示された。
研究成果はJournal of American Medical Association(JAMA)誌2006年12月27日号に報告された。

閉経後女性の骨粗鬆症治療に最も広く用いられているのは、骨の再吸収を抑制するビスホスホネート剤だ。
なかでもアレンドロネートは骨粗鬆症女性の骨代謝を抑制、骨密度を高めて、骨折リスクを減らすことが示されている。

薬物動態学的研究によると、ビスホスホネートは骨に蓄積される期間が長い。
骨基質に取り込まれた薬剤は不活性化され、骨吸収時に徐々に放出されて活性を現すという。末梢での半減期は骨ミネラルと同等の約10.5年という報告もあり、骨への影響は治療中止後も数年間継続する可能性が示されている。

著者らは、ビスホスホネート治療をリスク上昇なしに中断できるかどうかを調べるため、Fracture Intervention Trial(FIT)の被験者の一部を対象に、Fracture Intervention Trial Long-term Extension (FLEX)試験を実施した。

FITは、二重盲検の無作為割付比較対照試験で、骨密度低値の閉経女性を対象に骨密度と骨折リスクに対するアレンドロネートの影響を調べた。
アレンドロネート5mg/日を2年間投与し、その後10mg/日に増量して治療を継続(3236人)した患者と、偽薬群(3223人)を比較した。平均追跡期間は3.8年だった。

FLEX試験では、これらの患者の中から、少なくとも3年間アレンドロネートを使用した女性を選び、その他の条件も満たした1099人を被験者として、アレンドロネート5mg/日(329人)、10mg/日(333人)、または偽薬(437人)に割り付け、5年間投与を継続した。カルシウム(500mg)とビタミンD(250U)を含むサプリメントも投与した。

主要アウトカム評価指標は大腿骨近位部の骨密度、2次評価指標は、他の部位の骨密度と骨の再構築を示す生化学的マーカーを測定、予備的な評価指標として骨折の発生率も調べた。

その結果、アレンドロネート使用群と偽薬を使用した中断群で、各部位の骨密度の差は有意だったが、FLEX終了時、中断群の骨密度の平均値は、10年前の治療開始前と同等かそれ以上の値を維持していた。
5年を超えて治療を継続した場合、腰椎の骨密度はさらに増加したが、大腿骨においては、最初の5年間に増加した骨密度の値が維持されるに留まった。

中断群では血清中の骨代謝マーカー値は治療群に比べ、55.6%(1型コラーゲンC-テロペプチド:1CTP)、59.5%(1型コラーゲンN末プロペプチド:pro N)、28.5%(骨特異的アルカリホスファターゼ)などと有意に上昇していたが、FIT試験開始時点よりも低い値を維持していた。

5年間の非脊椎骨折の累積発生率は、治療群で19%、中断群では18.5%で、リスクに有意差はなかった。疼痛のある骨折を臨床骨折、疼痛がないものを形態骨折に分類すると、治療群では、脊椎の臨床骨折リスクは有意に低かった(中断群5.3%、治療群2.4%、相対リスクは0.45)。
しかし、脊椎の形態骨折には、有意な減少は見られなかった(中断群11.3%、治療群9.8%、相対リスク0.86)。

以上のように、5年間のアレンドロネート治療後、使用を中止した女性の骨密度は減少し、生化学的マーカー値は徐々に上昇したが、治療継続群に比べ、骨折リスクが有意に増大したのは、脊椎の臨床骨折のみだった。
臨床骨折の発生率は中断群でも5.3%程度であるため、臨床骨折リスクが高い女性を除く多くの女性については、5年間の治療後、最高5年間投与を中断しても、骨折リスクは上昇しないのではないか、と著者らは考えている。

本論文の原題は「Effects of Continuing or Stopping Alendronate After 5 Years of Treatment: The Fracture Intervention Trial Long-term Extension (FLEX): A Randomized Trial」。

骨粗鬆症へのビス剤投与は5年で十分か
5年で投与中断しても骨折リスクの有意な上昇見られず
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/200701/502270.html
出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29
版権 日経BP社



<参考ブログ>
アレンドロネートの骨折抑制効果(FIT試験)
http://fosamac.jp/secure/related_data/fit.html

<ココメント>
製薬メーカーのサイトで検索しましたが、この研究報告の内容はのっていませんでした。
当然といえば当然です。
メーカー主催の講演会の話の内容もそういった気持ちで聞かなければいけませんね。
私もメーカーから講演を頼まれたら(そんな機会はありませんが)、きっと都合の悪い話はしないと思います。

テレビや新聞の報道も公平なようにみえて決してそうではないわけですから。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-05-15 00:25 | 骨粗鬆症
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