きょうは脳卒中の2次予防について勉強しました。
一般的に医師も患者も一度起こった脳卒中のリハビリで頭がいっぱいになってしまいがちです。 一度あることは二度ある。 いったい脳卒中の再発率はどのぐらいなのでしょうか。 当然初発の確率より高いとは思うのですが。 小樽市 脳神経外科 島田脳神経外科 http://www.shimada-noushinkei.com/diseases3.html 脳卒中の再発の頻度は決して低いものではなく、発症後5年間で20~40%とされ、同期間の死亡率は45~61%とされています。多くの報告では発症1年以内の再発率が高く、脳梗塞は脳梗塞として再発することが90%、10%は出血として再発するといわれています。また、脳出血の再発率は年間2.9%で、半数近くは脳梗塞で再発すると報告されています。 とにかく脳卒中のリスクファクターがあって発作を起こしたわけですから、二次予防が重要であることには間違いありません。 患者への啓蒙も含めて医療側も心すべきテーマだと思います。 東京女子医科大学神経内科教授の内山真一郎氏 ―― 脳卒中の2次予防については、これまでにかなりの臨床成績が集積していると思いますが、現時点でエビデンスの確立している治療法についてご説明ください。 内山 ■脳卒中の予防対策として最初に行うべきことは、危険因子を適正に管理することです。 脳卒中の危険因子として知られているのは高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、心房細動、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)などですから、それらを食事、運動、禁煙、薬物により治療する必要があります。 特に2次予防では、既に脳卒中を発症しているハイリスクの人々が対象となるので、より厳格な管理が必要であり、一般に早期から薬物療法の適応になると考えていいでしょう。 危険因子の管理は脳卒中の病型(脳出血か脳梗塞か)にかかわりなく有益ですが、脳梗塞の2次予防では、危険因子管理とともに抗血栓療法が必要になります。 どのような抗血栓療法を行うかは、脳梗塞の病型によって異なります。 動脈にできる血小板血栓に起因する非心原性脳梗塞に対しては、抗血小板療法が適応になります。 一方、心臓から飛んだフィブリン血栓が脳血管を閉塞する心原性脳塞栓を予防するためには抗凝固療法が必要であり、経口抗凝固薬のワルファリンが広く使用されています。 脳梗塞の病型に応じてこれらの治療を適切に行えば、再発を有意に抑制しうることが証明されています。 ―― 抗血栓療法は出血性副作用を伴うため、予防効果を高めるために治療を強化すると出血リスクが増大するというジレンマをかかえています。最近の研究でこの問題を克服する展望は開けてきたのでしょうか。 内山 ■抗血小板療法についていえば、日本ではアスピリン、チクロピジン、シロスタゾールの3剤が使われてきましたが、昨年から新たにクロピドグレルが加わりました。 海外ではシロスタゾールと同じフォスフォジエステラーゼ(PDE)阻害薬に属するジピリダモールも使用され、アスピリンとの併用または合剤による治療が行われていますが、日本ではまだ、脳梗塞2次予防におけるジピリダモールの適応は認められていません。 最近の大規模臨床試験では、抗血小板薬の併用によって再発予防効果が改善するかどうかが検討されてきましたが、アスピリンとクロピドグレルに関しては、両者を併用してもそれぞれを単独で投与した場合に比べて明らかな上乗せ効果がみられず、出血性副作用が増加するという結果でした。 代わって今、注目されているのがアスピリンとジピリダモールの併用療法です。この併用療法については、PRoFESS(Prevention Regimen for Effectively Avoiding Second Stroke)という大規模試験が最近終了し、5月に最終結果が発表される予定です。 約2万人の脳梗塞既往例を対象に徐放性ジピリダモールとアスピリンの合剤の再発抑制効果をクロピドグレルと比較する研究です。 アスピリン・ジピリダモール併用がなぜ期待されているかというと、シロスタゾールを含むPDE阻害薬に関しては、アスピリンと併用しても出血性合併症が増加しないことが複数の臨床研究で示唆されているからです。 したがって、PRoFESSで合剤の有効性と安全性が証明されれば、両薬剤の併用が抗血小板療法を強化する有力な方法として確立することになります。 ―― PRoFESSでARBの脳梗塞予防効果が検証される意義についてお話しいただけますか。 内山 ■ARBは高血圧治療薬として広く使用されていますが、脳卒中の再発を抑えるためには血圧を厳格に管理する必要があります。特に高血圧が脳出血を引き起こすことを考えると、脳梗塞予防の目的で抗血栓療法を施す場合、出血リスクを増大させないためにも血圧を低くコントロールすることが重要です。 ですから、血圧管理の役割は極めて大きいのですが、脳卒中患者は糖尿病やCKD、心房細動、あるいはメタボリックシンドロームを合併していることが多く、そのような症例に対しては、降圧薬の中でも心血管保護作用をもつレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が有用といわれます。 PRoFESSでRA系阻害薬の1つであるARBの有用性が認められれば、その脳保護作用が臨床的に証明されることになります。 ちなみに、もう1つのRA系阻害薬であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬については、冠動脈疾患の2次予防効果は認められているものの、単独で脳梗塞再発を有意に抑制することを示したデータはありません。 また、脳梗塞の予防においてACE阻害薬とARBのどちらが優れているかについても、まだ結論は出ていないのですが、今年の春、結果発表が予定されている大規模試験ONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial)によってある程度明確になるだろうと思います。 ONTARGETは冠動脈疾患、脳卒中、末梢動脈疾患の既往例を含む脳心血管病のハイリスク患者約2万5000例を対象に、ARBのテルミサルタンとACE阻害薬のラミプリルを、それぞれ単独投与した場合と、両薬剤を併用した場合の脳心血管イベント抑制効果を比較する試験です。 この試験の興味深いところは、正常血圧の被験者が多数導入されていることです。 したがって、試験の結果、もしも正常血圧群でイベント抑制効果に差が生じれば、それは降圧を超えた血管・臓器保護作用の差を反映したものといえるでしょう。 主要評価項目は、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・入院を要するうっ血性心不全からなる複合エンドポイントの頻度ですが、症例数が多いので、脳血管イベントに関しても信頼性の高いデータが得られるだろうと期待しています。 ((日経メディカル別冊) 日経メディカル オンライン 版権 日経BP社 http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/special/stroke08/update/200803/505713_2.html <コメント> ONTARGETの結果は3月末に発表されました。 ONTARGETの結果を考察する http://blog.m3.com/reed/20080412/ONTARGET_ 注目の降圧薬臨床試験 ONTARGET http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) < 前のページ次のページ >
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