カテゴリ:感染症( 15 )

麻疹 その3(3/4)

やっかいな修飾麻疹、症状だけでは診断困難
修飾麻疹とは、麻疹に対する不完全な免疫を持っている人が麻疹ウイルスに感染した場合に発症する、軽症の不全型麻疹のことをいう。

修飾麻疹では、
(1)最高体温が37℃台にとどまる、
(2)発熱が3〜4日で終わってしまう、
(3)コプリック斑(連載第1回を参照)が認められない、
(4)発疹が手足だけに出現する
—など、典型的な麻疹とは異なる経過をとるため、臨床症状だけで麻疹と診断するのは極めて困難である。
各種ウイルス学的検査を行わない限り診断が付かないため、風疹や他の発疹症と間違われることも少なくない。

修飾麻疹を発症するのは、母体からの移行免疫が残っている乳児や、ヒトγグロブリンを投与されている患者に加え、secondary vaccine failure(ワクチン接種後、年数を経たために抗体が低下した二次性ワクチン不全)の人たちに多い。
2008年は、3月16日までに診断された麻疹患者4212人のうち、7.9%が修飾麻疹であることが分かっている。

修飾麻疹は通常より感染力は弱いものの、診断が付かないまま周りへの感染源となり得るので、やっかいな存在である。
修飾麻疹を拾い上げるためには、通常の感冒様症状の患者にも、必ず麻疹患者との接触歴を聞く姿勢が重要である。
修飾麻疹では潜伏期間が通常より数日長めになることが多いので、麻疹患者との接触が疑われるエピソードから発症までの期間も参考になる。

急性期のIgGが高値でも麻疹を除外しない
修飾麻疹の患者は、多少は麻疹の免疫を持っているため、急性期から麻疹特異的IgG抗体価が高値となることが多い。
これを持って、「麻疹の免疫あり=当該疾患は麻疹ではない」と判断せずに、必ず回復期のペア血清ならびにIgM抗体を確認してほしい。
発症中に咽頭ぬぐい液あるいは血液から麻疹ウイルスゲノムを検出することが確定診断に役立つことも多い。
ただし、修飾麻疹では、IgM陰性例や麻疹ウイルスゲノムが検出できない例もあるので、複数の結果を総合的に見ることが診断に結び付く。

わが国では、幼児期の麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種を2回に増やし、さらに2008年4月から5年間の期限付きで、中学1年相当年齢の者(13歳になる年度)と高校3年相当年齢の者(18歳になる年度)に対する追加接種が導入された。
これは、ワクチン未接種者を拾い上げつつ、修飾麻疹を発症しやすいsecondary vaccine failureの人たちへの免疫増強効果、primary vaccine failure(ワクチン接種で免疫を獲得できなかった一次性ワクチン不全)の人たちへの免疫付与を狙ったものである。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taya/200804/505943.html

出典 日経メディカルオンライン 2008. 4. 3
版権 日経BP社


<参考ブログ>麻疹 その1(1/4)
http://wellfrog.exblog.jp/8666694/
麻疹 その2(2/4)
http://wellfrog.exblog.jp/8668091/

<番外編>
たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり 
今年のはじめにこんな事故があったのをご記憶でしょうか?
2008年1月14日、午前9時半ころ、山形県鶴岡市の国道112号線月山第2トンネル内で高速バスの男性運転手(52歳)が意識もうろう状態に陥りました。異常に気が付いた乗客の男性がとっさにハンドルを操作して、バスは、タイヤを道路左側の縁石にこすらせ、ノッキングを起こして停車しました。乗客26人は無事だったとはいえ、一つ間違えば大惨事となるところでした。
 
バス会社によると、この運転手は前日から風邪気味で前日と事故当日の朝に風邪薬を飲んだということです。事故当日の朝には37度台の熱があったそうですが、事故後の受診でインフルエンザと診断されています。

従来から「インペアード・パフォーマンス」(気づきにくい能力ダウン)の研究を続けている東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田代学准教授(核医学)らのグループは、このバス事故を受けて、次のような実験結果を発表し、抗ヒスタミン薬の服用と運転危険について警鐘を鳴らしています。

実験の方法は、14名の健常若年成人男子に、抗ヒスタミン薬(d-クロルフェニラミン 6mg 複効錠:長い時間をかけてゆっくり吸収されるタイプ)とプラセボ(乳酸菌製剤)を内服させ、約2時間後に自動車運転シミュレーションシステム上で運転をしてもらい、そのときの主観的眠気、運転パフォーマンスを記録し、さらにPETを使って運転中の脳血流の変化を調べるというものです。

実験結果は、主観的眠気の強さは、プラセボと鎮静性抗ヒスタミン薬の条件の間にほとんど差が認められませんでしたが、抗ヒスタミン薬内服時に、プラセボ内服時にくらべて、蛇行運転回数が大幅に増加し、PET画像解析の結果、安静閉眼状態と比較して運転操作中には、一次運動-感覚野、運動前野、視覚野、頭頂葉、帯状回、側頭葉、小脳、中脳、視床など、非常に多くの部位に有意な局所脳血流量増加が認められています。
研究グループは以下のように考察をまとめています。

今回の研究では、抗ヒスタミン薬を服用した本人がはっきりした眠気を感じてはいなかったのに、運転中の蛇行運転の頻度が大きく増えていた。また、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の運転操作中に脳の反応がとくに抑制された視覚野、頭頂葉、側頭葉、小脳などは、動きをともなう視覚情報を処理して次の瞬間の最適な動作を決めていくための情報伝達経路とだいたい一致していた。
以上のことから、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の視覚系の情報処理機能の抑制が、運転に必要な神経回路の活動を不十分なものにしてしまったために運転パフォーマンスの低下をひきおこした可能性が高いと考えられた。この研究成果は薬理学の専門誌(Human Psychopharmacology:タイトル和訳は「ヒト精神薬理学雑誌」)の2008年3月号に掲載された。
研究グループは、PETを駆使して、抗ヒスタミン薬が脳の情報伝達をブロックする強さ(脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率)の測定も実施してきた。
また、鎮静性抗ヒスタミン薬の服用後の自動車運転中にブレーキペダルを踏むのが遅れること、携帯電話通話による遅れと相乗効果があることを実車運転試験によって初めて報告していた(プレスリリース2005年6月23日)。
こうした研究の蓄積の結果、将来、さらに総合的な研究成果が報告されることが期待される。

以前から抗ヒスタミン薬を服用すると眠くなるということはよく知られています。
より眠くならない抗ヒスタミン剤の開発もされているわけですが、そもそも本人が感じる眠気には個人差と変動がありますから、交通事故に限らず眠気がトラブルを誘発しかねないと危惧すれば風邪薬を服用したり、処方するのも容易なことではありません。

この実験では、風邪を引いたり、花粉症の状態の被験者ではなかったのでしょうが、実際の患者さんでは風邪で発熱していたり、花粉症で鼻水ズーズーで体内にもヒスタミンたっぷり、そのような状態自体で眠たい、倒れ込みたいというケースも少なくありません。

たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/takenaka/200804/506312.html
出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29
版権 日経BP社


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by esnoopy | 2008-04-30 00:31 | 感染症

麻疹 その2(2/4)

麻疹シリーズ
麻疹 その1(1/4)http://wellfrog.exblog.jp/8666694/
の続きです。

麻疹をカタル期に拾い上げるには
カタル期の患者は最も感染力が強いにもかかわらず、症状は非特異的で診断が難しい。

実際、上気道炎や気管支炎などの診断で抗菌薬を処方され、その後出現した発疹が薬疹と誤診された例も多い。病院でスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)と診断され、救命救急センターに搬送された麻疹患者の例もある。


まずは患者接触歴の確認から 
カタル期に麻疹を拾い上げるには、常に麻疹の可能性を頭の片隅に置いておくことが大切である。
そして、症状が出現する10〜12日前に、麻疹患者との接触があったかどうかを必ず尋ねてほしい。

明らかに麻疹と診断された人との接触歴がなくても、麻疹の流行時期に卒業式や入学式、コンサート会場など、大勢の人が集まる場所へ行ったというエピソードがあれば、麻疹の疑いを強められる。
2008年に報告された症例では、成人式の会場で感染したと見られるケースがあった。

麻疹患者との接触歴を聞く際に、麻疹の罹患歴や予防接種歴も忘れずに確認したい。もし罹患歴、接種歴ともになければ、麻疹をより強く意識する必要があるだろう。

また、予防接種歴があっても、まれに免疫を獲得できなかったり(primary vaccine failure)、一度獲得した免疫が年余を経て低下する(secondary vaccine failure)ことがあるため、必ずしも麻疹を否定できないことも念頭に置いておきたい。


コプリック斑は期間限定の大ヒント 
麻疹特有のコプリック斑は診断的価値が高いので、カタル期の症状を診たら必ず口腔内をチェックしてほしい。

見慣れた咽頭周辺ではなく、奥歯の対面の粘膜に注目し、白い小斑点を発見したら、翌日か翌々日には発疹が出現してくる可能性が高い。
コプリック斑は発疹出現後2日ほどで消えてしまう「期間限定の大ヒント」なので、ぜひとも見逃さないようにしてほしい。
このほか、血液検査では
(1)高熱の割に白血球数が少なく(2000~3000/μL前後)、CRPもそれほど高値にならない、
(2)成人では肝機能異常を示すことが多い、
(3)LDHが高い——という特徴にも留意したい。
2001年の流行時には、肝機能の低下から急性肝炎を疑われた麻疹患者が、病院の消化器科に次々と入院してきた、というケースもある。

なお、小児と成人で臨床症状に差はないが、症状をうまく訴えられず、ぐったりとしてしまう小児に対し、成人は「のどが痛い」「つらくて眠れない」「死ぬかと思った」といった重症感のある訴えが多い印象がある。


発疹出現から4日以内は、IgMが陰性でも再検査を
確定診断のためのウイルス学的検査では、
(1) 急性感染を示す麻疹特異的IgM抗体が陽性(EIA法)
(2) 急性期と回復期のペア血清で麻疹特異的IgG抗体価の陽転(EIA法)
(3) 同じくペア血清でIgG抗体価の有意上昇(CF法、HI法、PA法、NT法で4倍以上)
(4) 咽頭ぬぐい液または血液からの麻疹ウイルス分離または検出(麻疹ウイルスゲノムはRT-PCR法やリアルタイムPCR法などで検出する)
のいずれかが確認できれば麻疹と検査診断できる。

ここで注意すべきは、麻疹特異的IgM抗体は、発疹出現後5日以降の採血であれば確実に陽性となるが、発疹出現から4日以内の場合は偽陰性となる場合があることだ。
発疹出現から4日以内で、症状や麻疹患者との接触歴から麻疹が強く疑われるにもかかわらず、IgMが陰性となった場合は、自分の医師としての直感を信じて、5日目以降に再検査を行ってほしい。

また、迅速診断が必要な場合は、麻疹ウイルスゲノムの検出を最寄りの保健所に相談すれば、地方衛生研究所と連携して対応してもらえることが多い。
国立感染症研究所でも対応可能である。


すべての医師は麻疹を診たら届け出を!  
2007年の流行を受けて、2008年1月1日から、麻疹は従来の定点サーベイランスの対象疾患から全数把握疾患へと変更された。
すべての医師は、麻疹あるいは修飾麻疹と診断した場合、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられている。
臨床診断のみでも届け出の対象となるが、可能な限り検査診断を実施し、その結果を追加報告していただきたい。

麻疹患者発生の情報を医療関係者や行政、学校関係者などが共有することが、麻疹流行を封じ込める上での大きな武器となる。
麻疹に関する各種情報や保健所への届け出様式は、感染症情報センターのホームページに掲載されている。

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/taya/200803/505833_2.html

<自遊時間>
米国で著名ブロガー死亡相次ぐ 日本でも「ドクターストップ」発生
米国で著名ブロガーの死亡が相次ぎ、「デジタル時代の労働搾取」と話題になっている。
ブログがメディアに匹敵する存在に成長、24時間労働を強いられているケースも多い。日本国内でも「ドクターストップ」が出た著名ブロガーもいる。今やブログ運営はハードワークなのだ。

中略

「ドクターストップ」がかかった著名ブロガーが国内にもいた。
自身のブログのページビューが年間950万ほどにまで成長した経済学者の池田信夫さんは、「プレッシャーはありますよ。月間100万アクセスを超えた辺りから、寝られない日が続き、医者にブログをやめろと言われて…。もう、どうしようもないコメントやスパムとかノイズが凄く飛んでくるんですよ。私はこういったものについて気にしない方なんですが、さすがにストレスになってきています」と明かす。
池田さんは、ストレスを抱えながらも、雑誌に掲載されるよりも社会的に影響力のある情報をいち早く掲載できるメリットがあるとして、ブログの運営は続けていく意向だ。ただ、米国のブロガーがストレスを抱える現象について、次のようにも指摘する。

「日本と米国ではカルチャーが違います。米国ではブログに対して『言論』としての意識が高い。
日本ではカットペーストしてページランクを上げようとする変てこなブログばっかりですが、米国では、例えばSNSの『Facebook』の様に実名で写真まで載せています。
匿名でスパムブログをやってもストレスにならないでしょうが、米国では緊張感が高いんです」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000001-jct-sci

(危ない危ない。ブログもほどほどにしないと・・・)

新型インフル発生時、ワクチン検査不要・厚労省、素早い接種可能 
厚生労働省は新型インフルエンザの発生時に政府が備蓄しているワクチンを国民に素早く接種できるようにするため、薬事法で定める品質などの出荷前検査である「国家検定」を例外的に不要にすることを決めた。近く薬事法の施行規則などを改正する。
 政府は新型インフルエンザの発生に備え、毒性の強い鳥インフルエンザのウイルスをもとに製造した「プレパンデミック・ワクチン」を2000万人分備蓄し、追加も検討している。新型ウイルスの発生後には、より効果の高い「パンデミック・ワクチン」の製造にも着手する方針だ。
http://health.nikkei.co.jp/news/top/

<コメント>
インフルエンザワクチンの効果も不確かな現状で、新型インフルエンザワクチンが有効と考えるのは幻想ではないでしょうか。
例年のインフルエンザワクチンの有効性について、シーズン終了後の発表ははたしてされているのでしょうか。
少なくとも私は検索方法や知る手だてを持ち合わせていません。

この新型インフルエンザワクチンとやらはどの医療機関で誰が接種するのでしょうか。
『「国家検定」を例外的に不要にする』といわれても・・・。

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by esnoopy | 2008-04-22 00:27 | 感染症

麻疹 その1(1/4)

厚生労働省は昨年(H19年)8月に策定した「麻疹排除計画」が、本格的に動き出します。
目標は、2012年までに「はしかをなくす」、つまり麻疹患者の発生を100万人に1人未満にする排除(elimination)です。

翻って現在の医療現場はどうでしょうか。
現時点で当院には麻疹ワクチンがまったく入手できません。
薬剤卸業者に確認したところ、公費負担の麻疹ワクチンの接種のため地方自治体が確保しており一般市場(無床診療所)には出回らないとのこと。
この4月から中1と高3のMRワクチン接種が始まりました。
大学生などが接種希望するのは麻疹(単独)ワクチンであり、第一線の無床診療所にこそこの単独ワクチンを供給して欲しいものです。
麻疹ワクチンを希望する大学生には仕方なく高価なMRワクチンで代用しているのが現状です。
麻疹抗体の測定は昨年は完全にストップしました。
昨年は検査も接種も出来ない状態でした。

現場を知らない厚労省、そしてそのことに対して全く動かない医師会。
われわれ現場の医師は、厚労省は勿論のこと、医師会からも心が離れているのが現状ではないでしょうか。
長寿医療制度の新保険証のゴタゴタに関する枡添大臣の「医療機関への通達云々」。
私には未だ持って何も通達が届きません。

さて4回にわたって麻疹を勉強してみます。
教材は「日経メディカルオンライン」です。

麻疹は子供の病気にあらず
「はしかなんて子供の病気だろう」。
一般市民はもとより、第一線の医師であっても、つい最近までそう思っていた人は多いのではないだろうか。
しかし、現在のわが国における麻疹の流行状況は、一昔前とは全く様相が異なる。

2007年、日本全国を席巻した麻疹流行の中心となったのは、乳幼児ではなく、10代、20代の若年者だった。
感染症発生動向調査における15歳以上の「成人麻疹」の流行は、1999年以降で最大規模となり、学校閉鎖が相次いだことは記憶に新しい。

流行は春から夏にピークを越えたものの、全数把握疾患となった2008年は、第1週から報告数が増え続け、3月9日までの累積患者数は3600人を突破した(最新情報は感染研のホームページを参照)。
   感染症情報センター(麻疹)
   http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html#info2

年齢別では、やはり10代、20代が多く、7割近くを占めている。

麻疹をほぼ制圧している先進諸国の手前、恥ずかしい話ではあるが、いまや日本では、麻疹は小児科医に限らず、臨床医の誰もが遭遇する疾患だと考えた方がよいだろう。
たまたま当直をした日に、麻疹患者が救急外来を訪れることも十分あり得る。

そこでうっかり麻疹を見落とすと、非常に強い感染力を持つ麻疹ウイルスが、診断が付くまでの間に周囲の人間に次々とまき散らされることになる。
二次感染を最小限に抑えるためにも、第一線の臨床医が麻疹をいかに拾い上げられるかが重要となる。
麻疹の典型的な臨床経過をおさらいしておこう。

【カタル期】
麻疹は麻疹ウイルスの感染後、10〜12日の潜伏期間を経て発症する。まず38?前後の発熱、倦怠感、上気道炎症状(咳、鼻汁、くしゃみ)、結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が出現し、2〜4日間続く。
この時期はカタル期と呼ばれ、麻疹の経過中で最も感染力が強い。
また、カタル期の後半、発疹出現の1〜2日前には、口腔粘膜の奥歯の対面に、やや隆起した径1mmほどの白色の小斑点(コプリック斑)が認められる。

【発疹期】
カタル期の発熱が1℃ほど下降した後、半日ほどして再び高熱(多くは39℃以上)が出現する(二峰性発熱)。
それと共に特有の発疹が出てくる。

発疹は耳後部、頸部、前額部から始まり、翌日には顔面、体幹部、上腕に及び、2日後には四肢末端にまで及ぶ。
初めは鮮紅色で扁平だが、徐々に皮膚面より隆起し、融合して不整形な斑状(斑丘疹)となる。
指で押すと退色し、一部には健常な皮膚も残る。

発疹が全身に広がるまで、39℃〜40℃台の発熱が3〜4日間続き、カタル症状も一層強くなる。
一方コプリック斑は、発疹出現後2日目の終わりまでに急速に消失する。
発疹は次第に暗赤色となり、出現順序に従って退色する。

【回復期】
発疹出現後3〜4日すると回復期に入る。
解熱し、全身状態やカタル症状も改善してくる。
発疹は退色するが、しばらくの間は色素沈着が残り、わずかな粃糠様落屑も認められる。

合併症がなければ、発症から7〜10 日後には回復するが、その後数週間は免疫機能低下状態が続くため、各種感染症に注意が必要となる。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taya/200803/505832.html
出典 日経メディカルオンライン
版権 日経BP社

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by esnoopy | 2008-04-16 00:03 | 感染症

感染症臨床の最大の問題点「抗菌薬の保険適応」

「医療制度による悲劇」
先生方ももちろんそうでしょうが、日本の医療がよい方向に向かっているとは決して思えません。
私自身もだんだんくたびれてやる気はどんどんなくなって来ています。
それは齢を重ねたばかりではありません。
医学や医療に燃えた医学生時代、そして研修医時代が懐かしくてなりません。
医療が、なんの医療の資格も持たず医療現場も知らない(決して優秀とも思えない厚労省の)官僚にどんどん崩されていくのです。
きょう紹介する記事も「医療現場の悲鳴」としてお読みいただければと思います。

今回は、私の専門領域の感染症診療に関する最大の問題点を議論したい。
私は、2005年4月から、国内の大学病院に勤務を始めたが、赴任当初から、最大の問
題点であると感じているのが、「曰本の抗菌薬の保険適応」である。
この「保険適応」は、本来、患者が普遍的によりよい診療を受けることができるために設定されたものであろう。
世界的にもまれである「国民皆保険制度」を持つ日本は、非常に恵まれている。
国内でも公開された米国医療制度に対する批判を描いた映画にも代表されるような「医療制度による悲劇」は、多くの国で、後を絶たない気がする。
つまり、「お金がなければ、医療を受けられない」状況が「ふつう」の国が圧倒的に多いか
らだ。

ところが、その「日本の保険適応」にも、さまざまな限界があり、残念ながら、欧米の最新治療には追いついていない、サイエンスに追いついていないところが多々認められる。
私は、曰本で、日本の患者さんにも、欧米先進国で「あたりまえ」になっている診療を「普通に実現、提供したいとこころから願っているが、「保険適応」が、その大きな壁になっている。

欧米の常識と異なる適応や投与方法
抗菌薬は、種類、1回投与量、投与頻度(投与間隔)、投与期間が、「適切」であるときはじめて「臨床的な効果」が最大限認められる。
このうちの1つでも不適切であれば、患者にとっては「熱が下がらない、治らない」、微
生物学的には「耐性菌の発生」という悪循環が起こることになる。
曰本の薬事法で規定され、保険診療が認め
られている抗菌薬は、その適応微生物や投与方法(1回投与量、投与頻度)が、欧米での常識、コンセンサスと大きく異なるものが多いのは否めない事実である。
頻繁に使用するベータラクタム薬はその最たる例である。

国内のふつうの病院では、点滴の抗菌薬は「朝夕2回点滴」、経口薬は「朝、昼、晩」の3回服用といった根拠のない「慣習」でなされている。
実際には、薬物動態というサイエンスがあり、抗菌薬は、その観点から大きく2種類に分けられる。
つまり、効果が、最高血中濃度に依存する抗菌薬(アミノグリコシド、ニユーキノロン)
と、最小抑制濃度(MIC)より高い濃度に、いかに長い時間細菌をさらすか、その時間に依存する抗菌薬(ベータラクタム)に分けられる。

成人での投与方法の比較をしてみたい。
頻用される抗菌薬の代表のアンピシリン・サルバクタムは、欧米では、1回3gを6時間ごと(1日12g)、日本では、1回1.5~3gを1曰2回点滴(1日6g)となっている。
レボフロキサシンも、欧米では1回500~750mgを1日1回投与が一般的であるが、国内では、100~200mgを1日
3回、または1回200mgを1日2回となっており大きく異なる。
実際、国内でのレボフロキサシンの使用は外来で頻繁であり、少量の頻回投与という薬物動態を生かしていない投与法であり、耐性菌をつくる高リスクの状態である。

欧米の当たり前が実行できるインフラが必要
今後、日本で「よりよい医学部教育、研修医教育、生涯教育」を実現していくためには、少なくとも、このグローバリゼーションの時代においては、欧米先進国での「あたりまえ」の診療は、日常において実行できるインフ
ラ整備が必須である、と感じている。
同じ先進国にいるにもかかわらず、患者さんにとって、「日本で診療を受けるがゆえに、助からない」といった状況は、ぜひ、減らしたい、と強く願っている。
        
(自治医科大学感染症科准教授五味晴美)

MMJ January 2008 Vol.4 No.1
版権 毎日新聞社

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by esnoopy | 2008-01-24 00:05 | 感染症

鳥インフルエンザ 人から人に感染 

1月12日と13日の2日間、NHKで新型インフルエンザの特集をやっていました。
先生方もご覧になった方も多いのではないかと思います。
数日後にはNHKサイトからも消えてしまうと思いますのでまずは番組のあらすじを紹介させていただきます。

シリーズ 最強ウイルス 第1夜 ドラマ  感染爆発~パンデミック・フルー
008年1月12日(土) 午後9時00分~10時29分 総合テレビ
2008年11月。日本海に面する寒村で「H5N1型新型インフルエンザ」の患者が相次いで確認された。東京・港川区の大澤病院副院長・田嶋哲夫(三浦友和)は、そのニュースを食い入るように見つめていた。その村はかつて田嶋が捨てた故郷・与田村だったのだ。画面には訣別した父・石五郎(佐藤慶)が村の医師として必死に診察にあたる姿が写っていた。

一方、いち早く与田村にとんだ感染症予防研究所の奥村薫(麻生祐未)は感染源らしき木造船を与田村の海岸で発見する。村を徹底的に封じ込め、根絶を図る政府。しかし、予想もしない形で包囲網は破られ、東京でついに1例発覚。“最強ウイルス”の名にふさわしく、新型インフルエンザは信じられないスピードで東京中に蔓延。社会システムの停滞、モラルの低下、医療現場の崩壊…。ウイルスに侵された人々が行き場をなくす中、田嶋は自分の病院に新型インフルエンザの患者を受け入れることを進言する。

殺到する患者たちを次々と診察する田嶋だが、病院はあっという間に患者であふれかえる。そしてベッドも足りなくなってしまったとき、出産を間近に控えた重症の女性(占部房子)が運び込まれてくる。しかし病院に数台しかない人工呼吸器は全て塞がっていた。田嶋は大きな決断を迫られる――。
※港川区、与田村は架空の地名。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080112.html

シリーズ 最強ウイルス 第2夜 調査報告 新型インフルエンザの恐怖
2008年1月13日(日) 午後9時00分~9時53分 総合テレビ
肺や気管だけでなく全身の臓器に感染、そして死…。
世界を震撼させている、あの新型インフルエンザの世界流行が秒読み段階に入った。「爆弾の導火線に火がついた状態。『もしも』ではなく、時間の問題だ。」と専門家たちは警告を発している。
厚生労働省は日本の死者数を64万人と試算しているが、日本だけでも200万人、世界中で1億人を超えると指摘する専門家もいる。
番組では、新型インフルエンザ発生の可能性が極めて高いとされるインドネシアでの取材をもとに、危機はどこまで迫っているのか、その時どんな事が起きるのかを詳細に描き出す。
また、どこかの国で新型インフルエンザウイルスが出現すれば1週間で全世界に拡大、未曽有の悲劇が人類を襲うことになる。ひとたび日本国内に入れば、だれも免疫を持たないため、瞬く間に感染が広がり、医療機関、交通機関、食料供給など社会は大混乱に陥る危険性がある。私たちはどんな対応を取ればよいのか、医療現場や行政の備えはどこまで進んでいるのか、国内外の対策を徹底的にチェックし、残された課題や日本のとるべき道を提示する。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080113.html
<コメント>
国(厚労省)の愚策に勤務医も開業医も疲弊しています。
私自身、(その前に医師としてですが)内科医でありながら新型インフルエンザが流行(パンデミック)した場合、積極的に治療に取り組むかというとクエスチョンです。
もっとも無床診療所の一開業医では、診断もつけれませんし、治療についても無力です。
感染拡大を防ぐ術(すべ)もありません。
何より診察すること自体が怖いのです。
東京都の、ある区の医師会の会員の意識調査をテレビでやっていましたが同じような見解でした。

これだけ医療現場を荒廃させた政府の思い通りに我々医師が動くとでも、彼らは思っているのでしょうか。
私自身、政府から何の補助金も受けていませんし、保護も恩恵も受けているという実感もありません。
医師としてはこの考え方は間違っているはずなんですが、この感情が先にたってしまいます。

現時点で政府からも日本医師会からも、われわれ医師会員に対して新型インフルエンザ流行時の具体的対処法の積極的な指示は何もありません。
私自身10年、20年前と比べて医療に対する情熱も愚策のため随分醒めてしまいました。
ある程度歳を重ねた、多くの先生方も同様だと思うのですが思い過ごしでしょうか。

番組の中で米国ではレスピレーターを備蓄しているとのこと。
そして老人より年少者を治療を優先させるというトリアージにも取り組んでいるようです。
ひるがえって日本では効くかどうかもわからないタミフルをせっせと備蓄しています。
タミフルを服用しても無効だった人が多く出ることが容易に予想されます。
問題は、それらの人達への対策がどこまで講じられているかということです。

感染症に対する対策に彼我の差を感じた印象的な特集でした。
人から人に感染と発表 中国初、鳥インフルエンザ 遺伝子の変異なし 

記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2008年1月11日】

【北京10日共同】
中国衛生省は10日の記者会見で、江蘇省南京市の父子が先月、鳥インフルエンザ
ウイルス(H5N1型)に感染した問題について「家庭内での密接な接触によって感染
した」と発表、先に発症して死亡した息子から父親に感染したことを明らかにした。
中国で人から人への感染が確認された
のは初めて。


一方で、人から人に感染しやすい新型インフルエンザへのウイルスの遺伝子の変異についてはあらためて否定した。
この父子は、病死した家禽(かきん)類との接触はなく、息子の感染ルートについては
判明していない。

衛生省報道官は、父子と接触のあった約80人には異常が見つかっていないこと
などから「今回の事態は既にコントロールしている」と強調。
さらに冬から春にかけて鳥インフルエンザが多発するとして、予防対策を徹底する
考えを示した。

日本の厚生労働省は先月、南京市に滞在歴のある日本入国者に対し、検査を行う
などの検疫体制を一時強化した。

国連などによると昨年11月時点で、2003年以降、12カ国の300人以上が感染し、
約200人が死亡。
インドネシアで人から人への感染が確認された例がある。
南京市では先月2日、24歳の男性がH5N1型に感染して死亡。
その後、男性の父親も発症し、中国当局が感染ルートを調べていた。

鳥インフルエンザ
インフルエンザウイルスによる鳥類の病気。
感染が拡大しているのは毒性が強いH5N1型。
鶏などが感染すると呼吸器、消化器に症状が現れ、大量死することもある。
鶏肉や鶏卵を食べて人に感染した例は報告されていないが、生きた鳥との
接触による人への感染が起きている。
人から人への感染も確認されている。
ウイルスの遺伝子が変異して人から人への感染力が高い新型インフルエンザ
になると、世界的に流行する恐れがある。

人から人に感染と発表 中国初、鳥インフル 遺伝子の変異なし
http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=GENERAL&articleId=65631&articleLang=ja


鳥及び新型インフルエンザ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
新型インフルエンザに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
新型インフルエンザについて
http://www.pref.aichi.jp/kenkotaisaku/newflu/index.html
新型インフルエンザはなぜ怖い?
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/415/415437.html
文部科学省における新型インフルエンザ対策について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/11/05112500.htm
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by esnoopy | 2008-01-17 00:10 | 感染症

呼吸器感染症への抗菌薬投与

呼吸器感染症への抗菌薬投与 ハイリスク高齢者にはメリット

肺炎のリスクが大きい高齢者への抗菌薬の投与は、呼吸器感染症後の肺炎リスクを
有意に低減するため、メリットが大きいことが示唆された。
英国ロンドン大学の研究グループが、研究結果をBritish Medical Journal(BMJ)誌
10月20日号で報告した。

162カ所のプライマリケア施設から集めた、呼吸器感染症の症例336万件を対象
とした。

主要アウトカム指標は、抗菌薬の処方を受けた患者と受けなかった患者それぞれの、
診断から1カ月間の重症合併症リスクとした。

処方なし群と比べた場合の、処方あり群の調整オッズ比は、上気道感染後の肺炎発症
で0.68(95%信頼区間0.58-0.79)、中耳炎後の乳様突起炎で0.56(0.37-0.86)、
喉の痛み後の化膿性扁桃腺炎で0.840.84(0.73-0.97)で、いずれも有意にリスクを
低減していた。

ただしこれらの重症合併症の発症はまれであり、NNT(治療効果を1人増やすために
何人治療しなければならないかを示す値)はいずれの場合も4000を超えていた。
従って、抗菌薬投与の利益は大きいとはいえない。

胸部感染後の肺炎発症も、抗菌薬投与により有意に減少した。
処方なし群と比べた場合の、処方あり群の調整オッズ比は、0~4歳で0.22(0.17-0.27)、5~15歳で00.18(0.13-0.24)、16~64歳で0.27(0.23-0.32)、65歳以上で0.35(0.33-0.38)だった。
NNTはそれぞれ101(85-125)、96(73-137)、119(105-136)、39(36-42)だった。
65歳以上の高齢者に限れば、39人への投薬で1人の重要感染症が回避できる計算になり、投薬の利益は大きいといえる。
(I Petersen et al、BMJ published online 18 0ct 2OO7.)
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<番外編>
2007年認定内科医・認定内科専門医のためのセルフトレーニング問題集(B) 
~解答と解説~ より
原発性アルドステロン症
*原発性アルドステロン症(PA)はこれまで高血圧患者の0.1~1%とされていたが、最近は内分泌性高血圧の中で最も頻度の高い疾患であると考えられており、高血圧患者の5%以上を占めるとの報告もある。
*PAの原因疾患で最も多いのはアルドステロン産生腺腫(APA)であり、PAのおよそ75%を占める。
*さらにAPAの半数近くがマイクロアデノーマであるとされる。
*両側副腎皮質過形成による特発性アルドステロン症(IHA)はPAの20%を占める。
*PAで明らかな低K血症をきたす例は半数以下である。
*血清K値が正常で血圧上昇も顕著ではない軽症例が多数存在しており、すべての高血圧患者においてPAを疑いPRA、PACを測定することが望ましい。
*アルドステロン/レニン比(ARR:PAC/PRA)が300~500(PACの単位pg/ml)以上の場合にPAを疑うという報告が多い。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

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by esnoopy | 2007-12-18 00:05 | 感染症

リレンザ

インフル治療薬 リレンザで少年が異常行動
インフルエンザ治療薬リレンザ(一般名ザナミビル)を服用した横浜市の少年(12)
が無意識のまま歩いて外に出たり、意味不明な話をしたりする異常行動を起こして
いたことが7日、わかった。
診察した病院は「因果関係が否定できない」とし、国に副作用として報告することを
決めた。

病院側によると、少年は6日に医院を受診、インフルエンザと診断された。
同日午後5時ごろ、処方されたリレンザなどを服用。直後から意味不明の言葉を発し、
約4時間後には家族が目を離したすきに自宅外に出た。
無意識のまま寝床を出て歩いたとみられる。少年は病院に運ばれ入院したが、夜中
にベッド上で立ち上がり、壁をなでるなど異常行動が続いた。

服用後の異常行動はタミフルで問題となり、国は今年3月、10代患者への投与を
原則禁止した。
リレンザも同じくウイルスの増殖を抑えるタイプの治療薬。
タミフルの使用制限を受けて今季の供給量は昨季の6倍にあたる300万人分に
増える見通し。異常行動の報告は00年の発売以来、計10件あるが、行動の詳細
が明らかになるのは初めて。

菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長は「異常行動はインフルエンザそのもので
起きる可能性もある。
薬の服用にかかわらず発症2日間は子どもから目を離さないで」と呼びかけている。
http://www.asahi.com/life/update/1207/TKY200712070329.html

2007年12月08日11時22分

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症例が増えればリレンザによる(ただし可能性)異常行動が取り沙汰されることは
想像される、いわゆる想定内のことではありました。
早速そんな報告がされました。
まさに「前門の虎、後門の狼」です。
早々とリレンザを買いだめしてしまいましたが、院内処方の当院としてはちょっぴり
不安です。


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by esnoopy | 2007-12-13 00:02 | 感染症

吸入薬ザナミビル リレンザ(1)1/3

インフルエンザアワクチンの接種も終盤に入りました。
いよいよインフルエンザ流行のシーズンに突入します。
内科開業医にとってはインフルエンザの診断治療を避けて通るわけには
いけません。
勤務医の先生にはあまり興味のない内容かもしれませんが3回にわたって
「リレンザ」をとりあげてみました。
2007.12の日経CMEに掲載された座談会からです。
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インフルエンザ対策
吸入薬ザナミビルの臨床的有用性
~日本臨床内科医会研究報告を踏まえて~    その1


司会 福岡県赤十字血液センター所長 
       柏木征三郎氏
岩城内科医院(金沢市)          
       岩城紀男氏
河合内科医院(岐阜市)
       河合直樹氏
原土井病院臨床研究部
       池松秀之氏
廣津医院(川崎市)
       廣津伸夫氏

柏木 
わが国におけるインフルエンザ診療は、インフルエンザウイルス迅速診断キットの普及や抗インフルエンザウイルス薬の登場などにより、この数年間で大きく変化してきました。
そこで本日は、日本臨床内科医会のインフルエンザ全国調査研究(FLU STUDY)に携わっている先生方にお集まりいただき、インフルエンザの流行状況や治療方針、診療に際しての留意点などを討論していただきたいと思います。

最初に、日本臨床内科医会のインフルエンザ研究班の活動内容について紹介していただけますか。

岩城
日本臨床内科医会は2000/2001年シーズンから、インターネットを活用した全国多施設研究を実施しており、7シーズン目を迎えました。
インフルエンザの流行状況、インフルエンザワクチンや抗インフルエンザウイルス薬の有効性、迅速診断キットの有用性などについて経年的に調査し、報告を行っています。
本研究の特徴としては、小児から高齢者を含む幅広い年齢層の豊富な症例を有すること、インターネットを利用しているので迅速なデータ集計や解析が行えることなどが挙げられます。

臨床症状からだけでは鑑別が難しいインフルエンザ
柏木 
今シーズン(2006/2007年)のインフルエンザの流行状況の特徴を簡単に説明していただけますか。

河合 
わが国では、インフルエンザは例年12月から4月にかけて流行し、そのピークは1月あるいは2月です。
しかし、今シーズンは例年より約1カ月遅れ、2月から3月がピークでした。

日本臨床内科医会の調査研究で今シーズン収集できたデータは、A型インフルエンザが1325人、B型が618人でした。
ただ、若年者ではB型が、高齢者ではA型がそれぞれ多く認められました。
流行の中央日については、A型が3月11日、B型が3月13日でした。
A型、B型ともに、きちんとしたデータが報告できるようになった過去6シーズンの中で最も遅く、またB型インフルエンザが同時に広く流行したことも今シーズンの特徴といえます(図1)。

柏木 
インフルエンザ診療における迅速診断キットの役割については、いかがでしょうか。

池松
インフエンザルエンザに非典型的な症状を呈する症例も少なくありません。
また、日本臨床内科医会のデータでは、厚生労働省の感染症発生動向調査の報告基準である
①突然の発症
②38℃を超える発熱
③上気道炎症状
④全身倦怠感
などの全身症状という4項目をすべて満たす症例はインフルエンザ感染者の7割程度でした。
つまり、臨床症状だけからインフルエンザと正確に診断するのは難しいといえるでしょう。

そのため、インフルエンザウイルス抗原を検出する迅速診断キットが、わが国の臨床現場で広く普及しています。
しかし、発症初日といった非常に早期においては、陽性とならないケースがあるので、注意が必要です。

河合 
初回の迅速診断において陰性であっても、インフルエンザが疑われる患者に対しては、半日~1日後にもう一度、迅速診断を行ったほうがよいと思います。
また、一般に検体としては、鼻腔ぬぐい液い液のほうが咽頭ぬぐい液よりも検出率は高いようです。

柏木
廣津先生は小児を診察することが多いと思いますが、小児における鼻腔ぬぐい液の採取については、いかがですか。

廣津
最初は鼻腔からの採取に慣れていなかったため、咽頭から採取していたのですが、慣れてくると、鼻腔ぬぐい液あるいは鼻腔洗浄液のほうが容易になってきました。
私も陽性率は鼻腔のほうが高いように思います。

柏木
迅速診断キットの陽性化時間についてはどうでしょうか。

岩城 
ウイルス培養やPCRで確認すると、陽性ラインが早く出れば出るほど、インフルエンザウイルス抗原の検出率が高いことがわかっています。

池松 
私どもの施設における調査でも結果は同様でした。
ウイルス量が多いほど、つまりウイルス増殖が盛んなほど判定時間は短くて済むわけですから、早く陽性になった症例ほどインフルエンザ感染の割合が高くなるのは、理屈に合っていると考えられます。

日経CME 日経メディカル同封別冊 2007.12
版権     日経メディカル開発



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by esnoopy | 2007-12-12 00:03 | 感染症

入院患者へのタミフル投与で死亡リスクが大幅に低減



インフルエンザで入院した成人
患者へのリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)の投与が、死亡率の低減に
つながることが示唆された。
カナダのトロント大学のグループが実施した前向きコホート研究の結果が、
11月8日のClinical Infectious Diseases(CID)誌電子版に掲載された。

対象としたのは、2005年1月から06年5月までに入院し、検査でインフルエ
ンザ感染が確定した512人。
15歳未満が185人いたが、死者はおらず抗インフルエンザ薬投与を受けた
患者もいなかったので解析からは除外した。

残りの患者は327人(15歳以上、年齢の中央値は77歳、男性51%)となっ
た。245人(75%)が慢性の基礎疾患を持ち、216人(71%)がインフル
エンザワクチンの接種を受けていた。
抗ウイルス薬を処方された患者は106人(32%)。
3人がアマンタジン、103人がリン酸オセルタミピル(75mgを1日2回、5日間)
を投与されていた。

主要アウトカム指標である、「症状の発現から15日以内の死亡」に該当した
のは27人(8.2%)だった。
死因はインフルエンザが5人、肺炎その他の呼吸器感染症が11人、心筋梗塞
が3人など。
25人がインフルエンザ関連死であると判断された。

多変量解析の結果、リン酸オセルタミビル投与群の死亡率は、非投与群
に比べて有意に低かった(調節オッズ比0.21、95%信頼区間0.06-0.80、
P=0.03)。
ただし、生存者の入院期間には影響しなかった。
(AIlison McGeer et al CIDpubIished on 1ine Nov 2OO7)

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NIKKEI MEDICAL 2007.12 「今月の注目論文」より。
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<コメント>
インフルエンザで入院ということもそうですが、15歳未満の185人のいずれも抗
インフルエンザ薬を投与されなかったということも驚きです。

日本でも10歳台のタミフル投与は原則禁止となりました。
カナダでは15歳未満での投与が当時から禁止されていたのかと考えてしまいます。

トロント大学といえばウイリアム・オスラー博士やインスリン発見で有名なバンティング
博士で有名な名門校です。
日本では大学病院にこんなにインフルエンザで入院することは考えられないことです。
何か特殊な事情でもあるのでしょうか。

母集団数の問題もあるかも知れませんが、15歳以上の年代別の傾向も知りたい
ところです。


インスリン発見を1ドルで売った男
http://wellfrog.exblog.jp/7143672

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by esnoopy | 2007-12-10 00:05 | 感染症

上気道感染症と抗生物質

かぜ症候群に抗生剤を使用するかどうか。
以前から議論の多いところです。
実は「かぜ」の診断は意外と難しいものです。
そのことは開業して初めて知りました。
それは勤務医時代はかぜの患者を診察する機会がほとんどなかったためです。

開業後は、会社員で社内の診療所に受診した後に当院を受診される方が時々みえます。
大抵の方はPL顆粒のみを処方されており、大学からのネーベンの先生の診察と推察出来ます。

そのこと自体は正しいことも多いでしょうが、中には逆に溶連菌感染症や細菌性扁桃炎や副鼻腔炎などのように抗生剤が必要な場合もあるわけです。

私自身は細菌感染が疑われるような場合には、出来るだけ院内で白血球数をチェックして抗生剤の要否を決定するようにしています。

さて、きょうはプライマリケアでの抗生剤投与について勉強してみました。


上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への
配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。
イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎
には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。
また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨
されている。

I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、
抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの
程度低下させられるかについて検討した。

BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。
重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較
本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。

336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを
抗生物質投与群と非投与群において比較した。

主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、
上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質
による治療コース数とした。

重篤な合併症の続発はまれ高齢者の肺炎リスクは高い
中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、
個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要
であった。

肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質
治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと
高齢者で実質的な予防効果が認められた。

肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されない
Petersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、
上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは
正当化されない」
と結論している。

また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに
肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は
特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=1304nws_c=1304

Petersen I et al. Protective effect of antibiotics against serious complications of common respiratory tract infections: retrospective cohort study with the UK General Practice Research Database. BMJ. 2007 Nov 10; 335(7627): 982. Epub 2007 Oct 18.


医師を適切に教育することで無駄な抗生剤の処方を減らせる(全文閲覧可)
Effectiveness of a multiple intervention to reduce antibiotic prescribing for respiratory tract symptoms in primary care: randomised controlled trial.
BMJ. 2004 Aug 21;329(7463):431. Epub 2004 Aug 05

http://www.bmj.com/cgi/content/full/329/7463/431?linkType=FULL&journalCode=bmj&resid=329/7463/431
医師にグループミーティングで疾患に応じた抗生剤必要性と適応となる抗生剤の種類について議論し、患者教育用の資料を提供することによって、上気道症状への抗生剤投与を減らせるか検討した。
医師に適切な教育を行ったグループでは行わなかったグループと比較し抗生剤投与を減らすことができた。

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千住博  水の惑星  シルク
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by esnoopy | 2007-12-07 00:13 | 感染症