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カテゴリ:腎臓病( 2 )

CKDの早期発見・早期介入 その2(2/2)

年間8,000例が新規透析導入
台湾腎臓学会のCKD対策委員長を務めるカオシュン大学のShang-Jyh Hwang准教授は,台湾におけるCKD予防政策とその結果を紹介した。

ESRD発症率は長年,台湾が世界のトップを走っている。
ESRD有病率も同じく第 1 位だが,2004年から2005年にかけて有病率はやや減少。
日本のこれまでのESRD有病率の推移から考えると,日本がESRD有病率では世界トップになる可能性が高いという(図 2)。
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2005年末時点での台湾の透析患者は 4 万7,000人で,内訳は血液透析93 %,腹膜透析 7 %。年間8,000人近くが新たに透析導入されているため,死亡者(4,000人弱)や腎移植者(約500人),回復者(80人)を除いても,毎年3,000人余り増加していることになる。
同准教授は「糖尿病と高齢化がESRD増加の 2 大要因となっている。実際,ESRD患者の 4 割は糖尿病を合併している」と説明。
さらに,米国ではCKDに循環器疾患を合併することが多いが,台湾ではそうした合併が比較的少ないため,透析を受けていても長生きする傾向にあるのではないかとした。

台湾では年々増え続ける医療費よりも透析医療費のほうがさらに高い伸び率を示しており,2000~02年は毎年約10%ずつ透析医療費が伸びていた。
しかしその後,透析医療費の伸び率は徐々に鈍化し,2007年は 3 %を切るまでに落ち着いた。

1人当たりの医療費は2.7倍 
2002年に台湾で行われた全国調査では,対象者の6.43%がCKDと判明。
米国の調査データと比べると,いずれの年齢層でも台湾のほうがCKD有病率が高い。Hwang准教授は「台湾ではCKDはかなり深刻な公衆衛生上の問題になっている」と強調した。
また,近年,メタボリックシンドロームに注目が集まっているが,同シンドロームの構成要因の保有数が多くなるほどCKD(ステージ 3 ~5 )患者の割合も高くなるという。

CKD患者は非CKD患者に比べて外来受診回数が有意に多く,入院率も高い。
当然,かかる医療費もCKD患者のほうが高く,年間の患者 1 例当たりの医療費は非CKD患者の2.7倍(2004年データ)に及ぶ。

台湾では台湾腎臓学会および政府(保健医療当局)が協力してCKD予防プログラムを展開しており,同プログラムに参加する病院も年々増えている。
これらの病院は,(1)CKD患者用の統合ケアと専門医への紹介システムを整える(2)同学会が行っている教育コースを看護師や栄養士に受講させる(3)CKD予防や尿検査の意義を一般市民に啓発する―ことなどが求められるという。

最後に,同准教授は「台湾ではpre-ESRDケアにかかる費用が保険償還されており,これは幸いだが,まだやるべきことはたくさんある。
今が,台湾におけるCKD予防の歴史の幕開けであり,大々的に行動を起こすときだ」と締めくくった。

IKEAJ調査で23.8%がCKD 
わが国ではIKEAJがKEEPの一環として,北海道,関東,九州でCKD早期発見のための無料検査を実施している。
IKEAJの高橋進理事長が,その被検者1,163例(男性552例,女性611例)のデータを紹介した。

厚生労働省の職場検診データでは尿蛋白発見率は 3 %強だが,IKEAJ-KEEPでは6.7%と高かった。
NKF-KEEPのCKD分類〔糸球体濾過量推定値(eGFR)60mL/分/1.73m2未満または尿中アルブミン〕に従うと,今回の1,163例中277例(23.8%)がCKDとなった。
年齢が上がるほどCKD患者の割合も高くなり,65歳以上では37.6%,75歳以上では40.7%が該当した。
日本の人口を考えると,65歳以上で900万人,75歳以上では148万人がCKDと推計されるという。

高血圧や糖尿病,高尿酸血症,家族歴といった危険因子を持たない人でも9.9%がCKDであった。
さらに,糖尿病群のうち31.6%がCKDであり,この比率から,わが国では230万人の糖尿病患者がCKDを合併していると考えられた。
なお,KEEP被検者で糖尿病だった者のうち 4 割以上が血糖コントロール不良であった。

同理事長は「IKEAJ-KEEPで,CKDが予想以上に多いことがわかった。CKDを早く見つけるためには尿中アルブミン測定が必須である。公衆衛生の立場からハイリスク・グループを特定して検査し,健診で陽性だった参加者を早期介入につなげていくことが重要だ」と結んだ。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社


CKD診療ガイド PDF
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf#search='CKD'
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by esnoopy | 2008-02-19 00:06 | 腎臓病

CKDの早期発見・早期介入 その1(1/2)

CKDの早期発見・早期介入を 
慢性腎臓病(CKD)は進展すれば末期腎不全(ESRD)に至り,透析あるいは腎移植が必要となる。
また,CKD患者では心血管疾患(CVD)リスクが高いこともよく知られている。
このCKDが世界的に増加していることから,公衆衛生上の重要な問題と認識されるようになってきた。
東京都で開かれた特定非営利活動法人腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)の第 3 回年次講演会「慢性腎臓病―先進国および発展途上国における諸疾患のなかの意義と負担―」では,米国,台湾,日本それぞれの代表がCKDの現状と対策について報告し,早期発見・早期介入の重要性を訴えた。

2020年にはESRDが1.4倍に
CKDがいかに重要な問題かについて,米国腎臓財団(NKF)のAllan J. Collins理事長は「ESRDは人口に占める比率こそ少ないが,これら患者にかかる医療費は莫大だ」と指摘。ESRDは通常の疾患に比べて10~20倍の医療費がかかると言われている。
ちなみに,ESRDの毎年の新規発症率(人口100万人当たり)を見ると,台湾が最も高く,次いで米国,第 3 位が日本となっている。

米国の透析患者は約34万人(2006年データ)で,新規ESRD患者は10万7,000人ほど(2005年データ)と報告されている。
年間の新規ESRD発症率はここ数年横ばいに近い状態だが,これは人口集団全体に対しての新規発症率であるため,米国での人口の増加に比例して新規発症数は増えているのだという。そして,透析技術の進歩などにより透析患者が長生きするようになってきたため,ESRD有病率も年当たり 2 %ほど上昇している。

新規ESRD発症数に関しては,2020年は15万1,000人と予測されており,2005年からの15年間で40%余り増加することになる。
透析患者は2005年の34万人が2020年には53万人に,移植患者は14万人から25万人になると予測されている。

ESRDにかかる医療費はこれまで過去の予測通りに推移している。
それに従うと,2020年には年間536億ドル(約 6 兆円)必要との数値がはじき出されており,米国の政策決定者にとって大きな問題となっている。

同理事長は「ベビーブーマー世代が60歳代に入ってくると,ESRD発症の増加率が加速する。糖尿病もESRDの増加にインパクトを与えているが,人口の高齢化と比べればその寄与度は少ない」と説明した。

8 %が医療予算の28%を使う
米国では高齢者医療保険メディケアで3,100万人余り(2005年データ)がカバーされている。これらのなかで22.8%が糖尿病,12.4%が心不全,6.6%がCKD,1.2%がESRDと診断されている(複数の疾患を抱える患者もいるため重複あり)。
一方,総支出は2,169億ドル(約24兆円)だが,糖尿病と心不全がそれぞれ 4 割近くを占めるほか,CKDが19.4%,ESRDが8.2%となっている(前述と同じく重複あり)。
すなわち,メディケア対象者の 8 %でしかない腎疾患に対して予算の28%が費やされていることになるわけだ(図 1)。

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Collins理事長は「各国政府がCKDに関心を持つのは,1 つには医療費が増大するからだ。心疾患,糖尿病,腎疾患の 3 つでかなりの予算が使われる」と指摘した。

米国で行われている国民保健栄養調査(NHANES)のデータによると,CKD患者の割合は増加傾向にあり,1999~2004年では15.5%が該当した。
層別解析すると,いずれの年齢層においても男女ともCKD患者の割合が増加していたが,なかでも高齢者での増加幅が大きかった
さらに,ステージ 3 ~4 のCKDがより増えていることもわかったという。

CKDの有無で比較すると,CKD群のほうがあらゆる原因による入院率が高く,CKD群の肺炎による入院率は非CKD群のほぼ 2 倍であった。
同理事長は「CKD患者のうちインフルエンザワクチン接種を受けた者はそうでない者に比べ全体的な入院率および死亡率が減っている。しかし,現状ではワクチン接種率は低く,十分に活用されていない」と述べた。

米国では2000年からKEEP(Kidney Early Evaluation Program:腎臓早期評価プログラム)が実施されており,わが国でもIKEAJが同様のプログラムを採用。
2008年中に英国やメキシコ,オーストラリアでもKEEPが開始される予定という。

同理事長は「全世界的にCVDと糖尿病が主要死因になっているが,これらにCKDを合併するとイベント発生や死亡のリスクはさらに高まる。こうした患者には最優先で介入すべきであり,そのためにも早期発見プログラムが重要だ」と強調した。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
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by esnoopy | 2008-02-18 00:05 | 腎臓病