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カテゴリ:高血圧症( 4 )

頚椎性頭痛

治療の柱は理学療法とコルチゾン
〔独ウィースバーデン〕 エッセン大学病院(エッセン)神経内科のHans-Christoph Diener教授は,一側性の頭痛を訴える患者に対する頸椎性頭痛の除外診断,片頭痛と持続性片側頭痛との鑑別,そしてその治療法について,ドイツ神経科学会で説明した。

局所麻酔を用いて診断を確定 
頸椎性頭痛の診断基準は“痛みが常に一側性で,特定の頭の動きや姿勢により誘発されること”である。
例えば,「パソコンのモニターを特定の位置に置くと,頭と頸部にひどい痛みを生じる」との訴えが典型的な例で,この現象は再現性が高く,医師の目の前で患者が繰り返し再現することも可能である。
大後頭神経もしくは後頭部の腱起始部を圧迫した場合にも同様の症状を誘発できる。
この場合,片頭痛発作時のような拍動性の痛みを訴えることはない。
 
診断確定の方法は原則的に 1 つで,プラセボ対照下で局所麻酔薬注射を行う。
大後頭神経の出口,C2神経根およびC2/C3の椎間関節部に麻酔薬を注入すると,実薬投与では無痛状態が48時間持続するが,プラセボでは無痛とならないことから,診断を確定できる。
 
X線像では,多くの患者で頸椎の変形が認められるが,変形の程度と頸椎性頭痛との間に相関関係がないため,X線撮影は診断の役には立たない。
これに対して,MRIでは神経根における変化をより明確に描出することができる。


薬剤療法のエビデンスはない 
Diener教授は「evidence-based medicine(EBM)の観点からすると,臨床試験データのない頸椎性頭痛の治療は悪夢のようだ。
非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と三環系抗うつ薬の鎮痛用量での投与が推奨されているが,これは単に実用主義的観点から勧められているだけで科学的根拠を欠いている。
細胞膜安定薬についても同様で,私自身,例えばバルプロ酸ナトリウムの効果を確認したことはない」と指摘した。
これに対して,理学療法に関するデータは数多く存在する。
頸部の筋肉トレーニングと穏やかな徒手療法の治療効果は既に実証されており,これらの治療法は,必要に応じて筋弛緩薬と組み合わせながら積極的に行うべきであるという。
 
大後頭神経とC2/C3椎間関節の局所ブロックには,診断上の重要性だけでなく治療効果も認められる。
プラセボ対照下の局所麻酔により頸椎性頭痛であることが確認された患者には,作用期間の長いコルチゾンを投与すべきで,頭痛を 6 ~8 週間抑える効果が期待できるという。
同教授は「コルチゾンで疼痛の消失が認められなければ,診断が正しかったかどうかを再検討する必要がある」と助言した。
 
同教授は外科的治療には反対の立場であり,「神経根切断術,微小血管減圧術,ラジオ波焼灼療法など,これまで試みられてきた外科的手技は患者に有益でないばかりか,高いリスクを伴うこともあるため,絶対に適用すべきではない」と強調した。


頸椎性頭痛の除外診断と診断基準
〈除外診断〉
・発作性片側頭痛または持続性片側頭痛はインドメタシン(25,50もしくは75mgを 1 日 3 回,3 日間投与)で除外する。片頭痛はインドメタシンによく応答するが,頸椎性頭痛は応答しない
・後頭神経の神経痛(わずかな接触で誘発される短時間の疼痛発作も含む)は臨床的に除外できる
・群発頭痛には酸素とトリプタンが有効で,片頭痛もトリプタンで除外できる
・軽度の頸椎性頭痛が疑われ,軽い自律神経系の随伴症状(眼の充血,一側性の鼻閉など)がある場合も,トリプタン試験を実施する。トリプタンで効果が認められる場合は非典型的な片頭痛で,片頭痛予防薬を処方すべきである
・緊張性頭痛は必ず両側性に発現する
〈おもな診断基準〉
(1)頸部と項部の臨床症状
・疼痛が頸部の動きや頭の位置,もしくは同側上頸部または後頭部の圧迫により再現可能
・頸椎の可動性制限
・同側の頸部,項部,肩または腕の痛み(腕の痛みは非根性であるが,まれに根性であることも)
(2)局所麻酔ブロックによる確認
(3)一側性の頭痛で,痛みのある側は変わらない
(4)頭痛の特徴
・中等度〜重度の非拍動性の痛みで,刺すような痛みでもなく,頸部から始まる
・発作の持続時間がばらついている,あるいは変動する持続性の頭痛
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M3929071&year=2006

出典 Medical Tribune 2006.7.20
版権 メディカル・トリビューン社


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-05-13 00:19 | 高血圧症

飲酒と血圧

高血圧で通院中の患者さんに「先生、アルコールはのんでいいでしょうか」と聞かれた場合、「適量のアルコールは鎮静作用も期待できていいですよ」と答えると思います。
私もそう指導してきました。
そんな中、こんな記事がを見かけました。

飲酒と血圧の関連は定説より強力
英ブリストル〕ブリストル大学社会医学科のSarah Lewis博士らは,最近実施された研究のアナリシスの結果,過度の飲酒と高血圧の関連はこれまで考えられていたよりも強いことが示唆されるとPLoS Medicine(2008; 5: e52)に発表した。

分解酵素の遺伝的変異に注目
過去の観察研究から,過度の飲酒は高血圧の危険因子の 1 つであることが示されているが,これらの研究には食事,喫煙,運動レベル,社会経済状況などの交絡因子が存在している可能性がある。
飲酒と高血圧の関連性を解明する臨床試験の実施は困難で,フォローアップ期間が限られている。
今回の研究は,身体のアルコール分解能に影響を与える遺伝子に変異がある者に注目するという以前と異なるアプローチを採用した。

体内に摂取されたアルコールは,アセトアルデヒドという中間化合物を介して酢酸になり体外へ排出される。
アルコールの分解にかかわるおもな酵素は,アルデヒド・デヒドロゲナーゼ2(ALDH2)である。

一部の人は遺伝的変異によりアセトアルデヒドの代謝ができないため,アルコールを摂取すると体内にアセトアルデヒドが蓄積する。
このような変異は一部のアジア人では一般的で,飲酒後に顔面紅潮,強い悪心,眠気,頭痛などの不快な症状が発生する。
この遺伝的変異を有する者は,有さない者に比べてアルコールの許容量がはるかに低い。

Lewis博士らはALDH2の遺伝子型に注目し,変異を有する者(遺伝子型*2*2)の血圧と,変異を有さない者(遺伝子型*1*1)の血圧を比較した。

その結果,遺伝子型*1*1の者は1 日当たりおよそ 3 単位のアルコールを摂取しており,飲酒量がきわめて少ないかゼロであった遺伝子型*2*2の者と比べて,血圧が著しく高いことがわかった。

同博士は「たとえ適量であっても,飲酒はこれまで考えられていたよりもはるかに大きく血圧を上昇させる可能性があることがわかった。われわれの知見を追認し,推測の精度を上げるためには,大規模な研究が必要である」と述べている。

出典 Medical  Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社


<参考サイト>
24時間血圧への影響
href="http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html" target="_blank">http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_32/panfu32_04.html
アルコールが日中の血圧を上げることは事実ですが、夜の血圧(飲酒後数時間)は逆に下げるように働きます。
アルコールと高血圧の関係は、これまで過大に評価されてきたのではないでしょうか。
別の見方をすれば、高血圧の患者さんが飲酒を控えた場合には、日中の血圧は下がりますが、1日の平均血圧でみれば、期待するほどの降圧効果はなさそうです。
(結論として高血圧患者への節酒や禁酒はあまり効果がない)

飲酒、喫煙と循環器病
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/text/pamph/pamph_32/panfu32_text.html
アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間、飲み続けると、血圧を上げ、高血圧症の原因になると考えられています。多くの研究で、日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がって、高血圧症になるリスクも高まることがはっきりしてきました。
では、1日にどれくらい飲んでいると、血圧に影響するのでしょうか。日々の摂取量が多くなればなるほど、血圧が高くなっています。
「日本酒1合、ビール大瓶1本、ウイスキーシングル2杯、ワイン2杯」のそれぞれに含まれるアルコールは、約30ミリ・リットルですが、これまでの研究をまとめますと、アルコール1日30ミリ・リットルあたり、血圧は3ミリほど上がることが認められています。
こうした飲酒による血圧の上昇は、人種や、アルコール飲料の種類にかかわりなく認められていますから、あの酒だと影響が少ないといったことはありません。

アルコールで血圧が上がる理由については、血管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経の活動、腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われるため、などと考えられています。アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えることや、塩辛いつまみをとることも関係するでしょう。

健診で高血圧を指摘されたのですが、お酒はやめたくありません。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/339/339066.html
高血圧の人がお酒を飲むときは、男性は1日30ミリリットル以内(ビール大びん1本、または日本酒1合まで)、女性はその半分までにしましょう。また、お酒を飲むときは塩辛いつまみを食べることが多いのですが、血圧が高い人は、塩分制限の点からも特に


アルコールと高血圧
http://www2.health.ne.jp/library/0600/w0600022.html
福岡県久山町で40歳以上の一般住民を対象にした調査を行いました。すると、日本酒1合未満の少量飲酒者でも全くお酒を飲まない人に比べると、高血圧の割合が高いことが分かりました。その上、正常血圧の人でも10年間のうち、少しでもお酒を飲み続けている人は飲んでいない人よりも、高血圧になりやすいことも分かりました。
ですから、日本人の場合、1日1合未満の少量のお酒でも、血圧が上昇する可能性が高いようです。どうして、アルコールが血圧を上げるかについては、いろいろ研究されていますが、まだよく分かっていません。




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by esnoopy | 2008-04-10 00:35 | 高血圧症

血圧測定法について

Medical Tribune 2007.8.9号にJIKEI HEART Studyの特別企画が掲載されていました。
今後7回にわたって順次掲載される予定です。

今号では私にとって興味深いエピソードが載っていました。

それはLancetに掲載される際の査読に関する苦労話です。

「本質的な質問があったのも確かですが、それ以上に多かったのはテクニカルなものです。血圧計は何を使ったのか、血圧はどう測定したかといった類です。」

常日頃からLancetの英文は難解(?)で、余り原文では読んでいません。勿論私の英語読解力という個人的な問題ですが・・・。

Lancetの論文の検査項目の単位もモル表示だったりして私は今一つピンと来ません。

この度、原文と著者監修の和訳が手に入ったので読んでみました。

私の関心は血圧測定法だったのですが、その点については8月22日の他のブログに紹介させていただきました。

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葦の髄から循環器の世界をのぞく   http://blog.m3.com/reed/


SI単位
http://blog.m3.com/reed/

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by esnoopy | 2007-08-22 07:11 | 高血圧症

高齢者高血圧

今日は高齢者の高血圧の治療について少しまとめていました。


ひとことでいえば、高齢者に対する高脂血症の治療と同様に、動脈硬化が完成された高齢者の治療意義があるかどうかということになります。
高血圧の治療の場合には、脳出血や既存も動脈瘤の破裂などを含む別の予防効果が期待できます。
その点は高齢者に対する高脂血症の治療の意味があるかどうかということと異なります。


以前は、高齢者は血圧の自動調節機能が低下しているため、血圧を下げすぎると脳血流が減って脳梗塞の危険性があると考えられていました。
こういうことから降圧の目標が高めに設定される経口にありました。
それが今は年齢に関係なく、きちんと血圧を下げる利点が強調され、降圧目標は収縮期血圧が130〜140mmHg、拡張期血圧で90mmHg未満(正常高値血圧値)となっています。

高齢者高血圧を放置すると
 大動脈瘤などの血管の病気の原因になります
 心肥大の結果心不全を起こします
 狭心症や心筋梗塞を起こしやすくなります
 脳出血、脳梗塞の原因になります
 腎不全が合併しやすくなります

また高齢者ほど夜間高血圧が多いというデータがあり、そういった例に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞の発症が多いという結果が出ています。

降圧剤の服用により血圧をコントロールすれば、高齢者の脳卒中、心不全、心筋梗塞の発症を抑えたという結果があります。

また最近では、高齢者の高血圧治療と認知症予防についての研究も進んでいる。



そこでJATOSの紹介です

すでにご存知のように、わが国で最初の高齢者高血圧治療に関するエビデンス・JATOS(The Japanese Trial to Access Optimal Systolic Blood Pressure in Elderly Hypertensive Patients)の最終解析結果が,昨年10月の第21回国際高血圧学会(ISH)で発表されました。
 (語呂合わせとはいえキーワードのEがはいっていないのがちょっ と残念です)

以下簡単に紹介させていただきます。

目的
高齢者高血圧の治療における収縮期血圧(SBP)の至適降圧レベルの検討。

方法
SBPが160mmHg以上の65〜85歳の本態性高血圧外来患者さんを対象に,SBPを140mmHg未満に維持する群(A群)と140mmHg以上160mmHg未満に維持する群(B群)に無作為に割り付け,Ca拮抗薬の塩酸エホニジピン(エホニジピン,商品名:ランデル®)を基礎薬として 2 年間降圧治療。脳心血管疾患および腎機能障害の発症率および死亡率(第 1 次評価項目),総死亡率,有害事象と副作用の発現率,脈拍数への影響など(第 2 次評価項目)を比較検討。

結果
●高齢高血圧患者に対すSBP140mmHg未満への降圧に関する安全性が確認されました。
●高齢者の降圧目標値を140/90mmHg未満とした国際的ガイドラインを支持するわが国で初めてのエビデンスが得られました。

その他の興味深い点
このスタディからは、人種差のためか欧米と比較して心疾患の発症率が7.1/千人・年と,非常に低いことがわかります。

JATOS
http://www.jatos.jp/top.html



ところで高齢者高血圧を考えるにはまず高齢者の定義を考えなければなりません。
  高齢者についてWHOによる高齢者の分類は、
  65歳以上  前期高齢者
  75歳以上  後期老齢者
  80歳以上  超高齢者

高齢者高血圧について
http://www.jmcnet.co.jp/kouketuatu/koure1.html


高齢者における高血圧基準値の背景
     〜疫学的には、いろいろなデータがある!?
http://www.jmcnet.co.jp/kouketuatu/kourei5.html
   (H16.9時点ということで最近の考えとは若干異なるかも知れません)

日本心臓財団 
  高齢者の高血圧治療について教えてください   より
http://www.jhf.or.jp/senmoni/q&a/koreitiryo.html



高齢者の高血圧と認知症
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/ketu3.htm

以下は 
 Hypertension in the Elderly: Too Little, Too Late      より
http://www.thedoctorwillseeyounow.com/articles/heart/elderlyht_13/
 (高齢者高血圧についての総説。簡潔に纏められています)

●BP should be checked in both arms; the arm with the higher reading should be used for later readings. (注1)
●Pseudohypertension?----One common cause of false high blood pressure
   readings occurs because compression of the brachial artery in the arm, which
   is common in the elderly, requires using a higher cuff pressure when taking
   blood pressure. This will produce systolic and diastolic pressure readings that
   are 10 mm Hg too high or higher.
●The Syst-Eur trial also demonstrated a link between dementia and systolic
   hypertension.
   These findings indicate that if 1000 people with systolic hypertension were
    treated for 5 years, 19 cases of dementia might be prevented.
●Although dietary restrictions can be helpful, they need to be used with care in
   the elderly because appetite declines with age, and salt restriction can lead to
   weight loss, which can create further blood pressure complications.
(このような考えは、腎不全の際の過度な塩分や蛋白制限による弊害と同様です)


最終的結論

懸念すべきは過度の降圧より不十分な血圧管理
https://www.healthcare.omron.co.jp/medical/seminar/pdf/20031129.pdf

ということでしょうか?


(注1)
血圧の測定という方法論について、もう少し深く考える必要があります。
そのことについては、また後日に書かせていただきます。

ご意見をお聞かせ下さい。




一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
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by esnoopy | 2007-08-12 01:00 | 高血圧症