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予期せぬところに疾患リスク

米オハイオ州クリーブランド〕これまであまり想定されていなかったリスクが,最近いくつか報告された。

コンピュータからノロウイルス感染 
ノロウイルスは感染力が強く,米疾病管理センター(CDC)は,感染者が使用したコンピュータのキーボードやマウスから感染が拡大する恐れがあると Morbidity and Mortality Weekly Report(2008; 56: 1340-1343)に発表し,新たに注意を呼びかけている。

今回の警告は,ワシントンの小学校(教職員66人,児童314人)で発生した103例のノロウイルス感染の調査結果を受けたもの。CDCの疫学者Shua Chai博士によると,コンピュータのキーボードやマウスがノロウイルスの感染源になりうることを示した報告は今回が初めてという。

同博士は「コンピュータ使用後に手を洗うことが予防につながる。また,コンピュータのキーボードやマウスは希釈した漂白剤で定期的に消毒すべきである。ノロウイルス感染は,米国の感染性嘔吐下痢症のおもな原因であり,こうした予防措置が感染拡大の防止に役立つはずだ」と述べている。


脚の軽度外傷が血栓形成に関与 

ライデン大学(オランダ・ライデン)臨床疫学のKarlijn J. van Stralen博士らは,1999?2004年に静脈血栓症を発症した2,471例と,非患者群3,534例を比較した結果,患者群では血栓症発症前 3 か月間の軽度外傷の受傷率が11.7%(289例)であったのに対し,非患者群の同時期の受傷率は4.4%(154例)であったと Archives of Internal Medicine(2008; 168: 21-26)に発表した。

同博士は「手術やギプス包帯,長期の就床安静の必要がない軽度外傷により,血栓症の相対リスクは 3 倍に増加した。
相関は血栓症発症 4 週間前の受傷で最も強く,10週間前の受傷では顕著でなかったため,一過性の影響であることが示唆された。
また,血栓症の遺伝的リスクを保有していた患者では,さらに相関が強かった」と述べている。

さらに,「血栓症を発症した患者は,おそらく最初に家庭医を受診したと思われる。
したがって,家庭医が静脈血栓症発症リスクの高い患者を同定し,予防的措置を講じられるようにすることが重要な課題である」と指摘している。


水分大量摂取で低Na血症に 
マラソン競技中には多くの水分を補給し,体内の水分を維持する必要があることは,ほとんどのランナーが知っている。
しかし,水分の過剰摂取に重大な危険が潜んでいることは,おそらくあまり知られていない。これに関してメソジスト病院(テキサス州ヒューストン)内科のJames Muntz部長らは「水分を大量摂取するランナーに見られる低ナトリウム(Na)血症は,緊急治療を行わないと死亡するケースもある。
高血圧でない限り,大量の水ではなく塩分を多く含むスポーツドリンクを摂取すべきである」と忠告している。

同部長によると,ボストンマラソン参加者を対象とした最近の研究で,完走者の13%が低Na血症を呈していた。ランナーが悪心や脱力を感じている場合,大量の水分補給を続けると,こうした症状が悪化する場合もある。


ホルモン含有補助食品に前立腺がん進行リスク 
テキサス大学サウスウェスタン校(UTS,テキサス州ダラス)泌尿器科学のClaus Roehrborn主任教授らとベイラー医科大学(テキサス州ヒューストン)の研究者らは医師に「前立腺がん患者に対するホルモン製剤を含む栄養補助食品の使用は前立腺がんの進行を加速させ,抗がん治療の有効性を低下させる恐れがあることを警告すべきである」と Clinical Cancer Research(2008; 14: 607-611)に発表した。

このような栄養補助食品には,実際には含まれていない成分が容器ラベルに表示されていたり,抗がん治療に悪影響を及ぼす成分が含まれている場合もあった。

今回の研究では,テストステロンとエストラジオールを含有する栄養補助食品の摂取で,ヒト前立腺がん細胞の増殖が促進されることがわかった。
処方薬と異なり,こうした栄養補助食品に対する監視は不十分であるため,同教授らは米食品医薬品局(FDA)に改善要求を提出。
これにより,メーカーへの警告と当該製品の市場からの回収が行われた。

筆頭研究者でUTSのShahrokh Shariat博士は「米国の現行法では,栄養補助食品に流布されているような薬理学的効果が実際にあるのか,製品のラベルが消費者に正確な情報を提供しているかに関する監視や確認をほとんど行っていない」と指摘している。

米国では,成人の42?69%がなんらかの栄養補助食品を摂取していると推算されている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4110542&year=2008

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by esnoopy | 2008-03-13 01:35 | その他

航空機内におけるドクターコールと医師の責任

飛行機や新幹線に乗っていてドクターコールを受けた先生方もおみえになると思います。
私は開業医のため、あまりそんな状況に遭遇する機会はありません。
しかし久しぶりに乗った新幹線で「お客様で具合の悪い方がおみえになります。お医者さんはいませんか」コールを受けてしまいました。

お医者さんはいませんか?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/22

そんな時、先生方はどうされますか。
最近読んだエッセイで「飛行機に搭乗した時にまず祈るのは墜落しないようにということは勿論だが、乗客に病人がでないようにということ」。
そんなことが書かれていました。
少し古い記事ですが、ちょっと紹介させていただきます。

航空機内での急病人発生等で、医師をはじめとした医療関係者への協力を求める機内アナウンスについて、航空会社では「ドクターコール」と呼んでいる。
質問者の意図が医師法が適用される国内航空会社機内を想定していると思われるので、これを前提としたい。

ドクターコールの呼びかけに応じた医師の責任については、まず、機内での傷病発生に対する航空会社の責任について記述する必要がある。
航空会社は機内で発生した事故、事件が原因となった以外の発病や負傷については責任がない。
しかし、航空会社は機内での管理者として旅客の安全を確保する注意義務を負っており、傷病が発生した旅客について可能な範囲内での適切な措置をとる必要がある。
航空会社は、この管理者としての注意義務の観点から、機内で発生した傷病者に対応する具体的措置として、医師等の同情の有無を確認して援助を求めるためにドクターコールを行っている。
また、医師が自発的に治療を申し出た時に使用してもらう主旨から医師用医薬品(ドクターキット)を搭載している。

航空機内に限らず一般的な診療行為での医師の責任については、通常の医師等に期待される程度の注意を怠った時に、民事上の損害賠償責任が生じると考えられる。
さらに、注意義務違反の軽重によっては業務上過失罪等の刑事上の責任も追及される可能性がある。

しかし、機内でドクターコールに応じた医師にかかる責任については、飛行中の航空機内という特殊な状況下で行われる診療行為であることからも明らかなように、診療を行う場所が医療施設ではない上に、利用できる医療器具、医薬品も限られることから、医師に要求される注意義務違反は、通常の医療施設における診療行為に対する注意義務違反とは異なり、相当に軽減されると解される。

また、医師法一九条一項は「診療に従事する医師は、診療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と、医師の応召義務を規定している。
だが、医師法では「診療に従事する医師」と規定していることから、たまたま航空機に乗客としている搭乗している医師には応召義務は生じないと考えられ
る。

機内には医師のほかにも看護師や救急救命士といった有資格者が同乗している可能性があり、コメディカルにも呼びかけるアナウンス内容に変更してもよいではないか、という質問者からのアドバイスについては、国内航空会社大手三社からの返答を紹介したい。

現在の大手国内航空会社がドクターコールで呼びかける対象は、日本航空が「お医者様、看護師の方」、全日本空輸「お医者様、または医療関係の方」、日本エアシステム「医師、看護師、または医療関係の方」と呼びかけており、救急救命士に直接援助は呼びかけていない。

しかし、救急救命士が手伝いを申し出る例は多くある(日本航空広報部)という。
また、各航空会社によると、現在、機内での除細動器の取り扱いについて、客室乗務員だけではなく、救急救命士にも求める声が挙がっており、もし取り扱いが可能になるようであれば、医師や看護師のほかに救急救命士の援助を求めるように検討したいとの回答があったことを付記する。

最後に、急病人に対しその病態を診断し治療を行う診療行為の主体はやはり医師であろう。
このことから、もしドクターコールのアナウンスがあった場合には、人道上の立場から積極的な援助をお願いしたいと考えている。

日本医事新報 No.4094 2002.10.12


ドクター・コール
http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_1014.html

機内のお医者様アナウンスに戸惑う
http://mainichi.jp/life/health/hitokoto/news/20080227ddn041070031000c.html

3万フィートの先進医療
http://www.jstm.gr.jp/mebio200102_3.pdf

3万フィートの心停止
http://www.jstm.gr.jp/mebio200102_2.pdf

飛行機内でのドクターコール
http://www.kanoya-travelmedica.com/DrCall.html

以下はスレのネタです。


■飛行機にお医者さんが乗り合わせる確立は7割だそうです

■この頃除細動器載せてる航空会社あるらしいけど
それってなんか有ったら医者にただ働きさせる気って事?

■機内でのドクターコールはご存知の通り任意ですよね。
こちらが事前に手にしているpassenger informationで、
職業や勤務先が記載されていますので(Cクラス以上ですが)お医者様が
どの席にいるか、私どもがわかっている場合でも、名乗り出ない方もいらっしゃいます。
それはそれで....
もし、本当に一人もいらっしゃらない場合は、コックピットから
無線で地上のお医者様とやりとりをして、指示をうけながら措置を行わなければ
ならないので本当に大変です。

■この前、ドクターコールを致しましたところ、6名ものお医者様が
載っていらっしゃいました。わたくしが知っている限りでは
6名は最高記録です。
大抵は必ずお一人はいらっしゃいます。

■新幹線で1度ある。その時、もう一人若い医者が来た。
気分悪くなった本人が「私、過換気症候群です。」と言ったので
紙袋を口に当てて、しばらく様子をみて席に戻った。若い医者は
英雄気取りで、「それは最後に下す結論です。」とか言って最後まで
付き添っていたみたい。降りるときに住所と名前をきかれた。
後で、時刻表と絵はがきが送られてきた。

■私が新幹線の中で倒れた人をちょっと見たときは、
その10日後に丁寧な礼状(もちろん印刷済のやつ)と
オレンジカード3000円分が送られてきたよ

■日経メディカルの飛鳥田一朗(日本航空宇宙環境医学会理事長)の論文上の
データから国際線国内線別にドクターコールに当たる確率を計算してみました.
98年度の日本航空の1日あたりの運航実績は,国際線243便,国内線129便,
1年間で国際線88695便,国内線44895便.それに対してドクターコールは
国際線年平均88.6件,国内線年平均18.4件.つまり1回の搭乗で
ドクターコールに当たる確率は,
国際線88.6/88695 × 100 = 0.1%
国内線18.4/44895 × 100 = 0.04%
言い換えると国際線では1001フライトに1回,国内線では2440回に
1回という低確率になります.

■98年度の日本航空の1日あたりの運航実績は,国際線243便,国内線129便,
合わせて376便.1年間で137240便.それに対してドクターコールは
年平均107件.つまり1回の搭乗でドクターコールに当たる確率は,
107/1371240 × 100 = 0.078%,
言い換えると1283フライトに1回という低確率になります.
確かにこのタイミングで偽造した医者の名刺を持っている人は
いないかも.
引用
飛鳥田一朗(2000)航空機内での医療.日経メディカル,1,127-131

■参考までに,1999年度全日空機内での急病人発生状況を記します.

急病人発生件数223件(うち,ドクターコール件数152件)

国内線()内は人数
意識障害(39),気分不快(31),痙攣発作(19),呼吸困難(14),
腹痛,背部痛(12),下痢,嘔吐(7),胸痛,胸部不快(6),
打撲,捻挫,骨折,切創(5),熱傷(2),
頭痛(2),急性アルコール中毒(2),発熱(1),その他(8),

国際線
意識障害(16),腹痛,背部痛(12),呼吸困難(10),
打撲,捻挫,骨折,切創(6),気分不快(6),胸痛,胸部不快(5),
痙攣発作(5),発熱(2),急性アルコール中毒(2),頭痛(1),
下痢,嘔吐(1),婦人科関連(1),その他(7),

■ユナイテッド航空
輸液セット,エピネフリン注射液,ジフェンヒドラミン注射液,
ニトログリセリン錠,血圧計,聴診器,エアウエイ,注射器,注射針,
駆血帯,消毒綿棒,手袋,

■ルフトハンザドイツ航空
輸液セット,エピネフリン注射液,エホチール注射液,アダラートカプセル,
ベラパミル注射液,ブスコパン注射液,ジアゼパム座剤,ジゴキシン注射液,
ネオフィリン注射液,アトロピン注射液,ラシックス注射液,
プレドニゾロン注射液・座剤,タベジール注射液,カルシウム注射液,
キシロカイン注射液,ニトログリセリン錠,メテルギン注射液,血圧計,
聴診器,注射器,エアバッグ,マスク(大,中,小,小児用),吸引器,喉頭鏡,
小外科セット(メス,鋏,鉗子,糸,針),消毒綿,気管挿管セット,導尿セット,
体温計,手袋

■私の調べた印象では,機内搭載医薬品・医療器具の充実度は
豪州>日系≧欧州>>>>>>>米系
です.米系では名乗り出てもろくな医薬品がないので,
知らん振りをした方が無難に思えます

■米国では「良きサマリア人」を保護する連邦法(Good Samaritan Law)
が制定されており,故意もしくは重過失の場合を除き緊急に機内急病人治療に
当たった医療従事者及び航空会社は米国内の裁判所にて損害賠償責任を免れる,
とされています(4).

■しかしながら,この問題に関して患者側から医療従事者への訴訟が
世界で一例も起こされていないので,どこまでが重過失に問われるかは
線が引かれていないのが現状です.実際の所,欧米のように
国民に「良きサマリア人」の概念が染みとおっていない日本でこそ
「良きサマリア人」を保護する法律が必要だと思います.



他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-03-11 00:09 | その他

太りすぎの女性は癌リスクも高い


〔ロンドン〕 英国癌研究会が助成しているMillion Women Studyの参加者を追跡
した研究で,英国女性の子宮癌と食道癌患者の半数は過体重または肥満により引
き起こされていることがわかった
と,同研究会の疫学者でオックスフォード大学(英オッ
クスフォード)のGillian Reeves博士らがBMJ(2007; 335: 1134)に発表した。

5 %が過体重か肥満に起因 
今回の研究は,現在の英国女性における過体重・肥満とさまざまな癌との関連性に
ついて,信頼性の高いエビデンスを提供した初めての研究。
Million Women Studyは,女性の癌リスクを調べた研究としてはこれまでで最大
規模のものである。
 
今回の研究から,英国の中高年女性では,すべての癌の約 5 %,すなわち年間
6,000例の癌が過体重または肥満に起因することがわかった。
 
さらに,過体重または肥満が主要な危険因子となる癌として,子宮癌とある種の食道
癌だけでなく腎臓癌,白血病,多発性骨髄腫,膵癌,非ホジキンリンパ腫,卵巣癌,
さらに閉経後の年齢集団では乳癌,大腸癌にも関連することが明らかになった。
 

Million Women Studyにおいて 7 年間に追跡された女性は100万例余りで,この
うち発癌したのは 4 万5,000例,癌死亡は 1 万7,000例にのぼった。
 
筆頭研究者のReeves博士は「われわれの成績に基づいて推定すると,英国の中高
年女性における年間12万例の新規癌患者のうち,過体重者または肥満者はほぼ
6,000例を占める。
これらの癌患者の 3 分の 2 は子宮癌または乳癌である」と述べている。
 
過体重は,他の癌危険因子に比べて,いくつかの癌リスクにかなり大きな影響を及
ぼすことも示された。
しかし,body mass index(BMI)と癌との関連性は,女性が生涯のどの時期に
いるかによることもわかった。

例えば,閉経後に太っていると乳癌リスクが高くなり,大腸癌リスクは閉経前に太っ
ている場合のみ高くなる。
 
同研究所健康情報部のSara Hiom部長は「この研究は癌の発症と死亡に及ぼす
過体重・肥満の影響に関して,さらなるエビデンスを加えるものである。ほとんどの
人は余分な体重を背負っていることを一般的な健康リスクと関連付けているものの,
特定の癌と関連付けることはまずない。今回の結果は,既に確立している糖尿病や
心筋梗塞など癌以外の疾患と肥満との強い関連性と合わせて考察する必要がある」
とコメントしている。

Medical Tribune 2008.1.24
版権 メディカル・トリビューン誌


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肥満で、全がん死亡率が上昇
http://www.metamedica.com/news2003/2003050501.html
#90万人の米国民を16年間追跡したところ、肥満度が高くなるほど全がん死亡率
が高く、がん死亡全体のうち、男性では14%、女性では20%が、肥満が原因と
推計された。
#個別のがんについて見ると、BMIの増加で死亡率が有意に高くなったのは、食道・
胃(男のみ)・結腸・直腸・肝・胆・膵・腎・非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・前立腺・
乳房・子宮・卵巣におよんだ。つまり、ほとんどの部位のがんで、肥満による死亡率の
上昇を認めた。
#これまでも、(閉経後乳がんなど)一部のがんのリスクが、肥満によって上昇する
ことは知られていた。けれども今回の結果は、肥満によるリスク上昇が、一部のがん
に限られるものではなく、多くの部位のがんに共通するもので、むしろ「普遍的」な
現象である可能性をうかがわせるものだ。
#食生活によるがん予防を考える際に、「なにを食べるか」(どんな食物や栄養素が
有用か)に限らず、「どれだけ食べるか」(エネルギー摂取をどれだけ控えて肥満を
予防するか)を重視することの大切さを示すデータと言えそうだ
#人口に占める肥満者の割合や程度は、米国より日本のほうがずっと小さい。
そのため、おなじ推計を日本人で行えば、この割合もずっと小さくなるはずだ。


肥満女性にがんリスク
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_593.html
肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/17/obese_can.html
胆石症、肥満指数と胆道がんとの関連について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/61/bmi_biliarytract.html
肥満指数・身長と大腸がんリスクについて
http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news016.html
#肥満指数27以上で、男性の大腸がんリスク上昇
肥満ががんの最大要因に?~最新調査
http://www.usfl.com/Daily/News/08/02/0220_002.asp

#現在、肥満自体にがん発生の原因があると考えられるようになり、証拠となる研究
データが続々と増えている。

肥満はがんの要因 米大統領がん諮問委
http://mhlab.jp/calendar/seikatsusyukanbyo_01/2007/08/001722.php
#がんによる死亡率は、肥満のある男性では50パーセント、女性では60パーセント高くなるという。

肥満者ではPSAによる前立腺がん検診でがんが見落とされやすい
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/psa_4.html
#肥満者では、前立腺がんの発症リスクが高く、また 前立腺がんによる死亡リスクも高いことが既に明らかになっている。今回の研究から、肥満者ほど、PSA検査でがんが見逃される可能性があることが、肥満者の前立腺がん死亡リスクを高める一つの理由となる可能性が示されたといえる。
死亡数によるリスク表現 
http://www.yasuienv.net/RiskSortedbyDeath.htm 
(「リスク」についてのお話です)
がん予防に肥満対策が必要 世界がん研究基金 
http://mhlab.jp/calendar/pro/calendar1/2007/11/001964.php
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by esnoopy | 2008-02-29 00:18 | その他

抗菌薬使用前の皮内反応試験

昨日に続いて日経メディカル2月号特集連動企画「その処置、必要?」 からです。


抗菌薬使用前の皮内反応試験
「既往歴ある患者への類似投与時など、特別な場合に実施」 
「抗菌薬を静脈注射する前に行う皮内反応試験は、アナフィラキシーを完全には予知できない」。

2003年に日本化学療法学会が出したこの報告を受け、厚生労働省は04年、抗菌薬の添付文書から皮内反応試験の実施を行う旨の記述を削除するよう通知した。

同報告の主旨は、
1. アレルギーの既往がある患者のみ皮内反応を行う米国より、皮内反応の実施を基本としていた日本の方がアナフィラキシー発生の頻度が高い()、
2. 皮内反応陰性でもアナフィラキシーが発生している、
3. 皮内反応の陽性率がアナフィラキシー発生率より数十倍から数千倍高い
という3点。
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皮内反応試験では完全にショック発生を予知できない上に、偽陽性の発生によって本来抗菌薬を投与できた患者にまで投与を控えられていた可能性があるため、ルーチンで行う皮内反応試験はデメリットの方が大きいというわけだ。

04年に同学会が出した『抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン』では、「アナフィラキシーを確実に予知する方法はない」とした上で、問診を十分に行うこと、ショックへの対応を迅速に行える体制をとることを強調。
皮内反応試験の実施は、アナフィラキシー既往歴がある患者に類似薬を使うときなど、特別な場合に限られるとした。

訴訟対策にはならない
しかし、「実際にまだ皮内反応試験をルーチンで行っている医師はいる」と同学会・皮内反応検討特別部会委員長を務める国立病院機構東京医療センター統括診療部長の岩田敏氏は話す。

07年、同学会が皮内反応試験実施の有無を医療機関にアンケートしたところ、704施設中469施設で皮内反応試験を全面中止していたものの、「アレルギー体質の患者に限って実施」が121施設、「ルーチンで実施」が50施設、「一部の診療科では実施」が29施設存在した。
調査対象はインフェクションコントロールドクターが在籍する医療機関で大病院が中心。
中小の医療機関ではさらに多いことが予想される。

このアンケートでは、皮内反応試験に対する過信も浮き彫りとなった。
皮内反応試験を行う理由として、「訴訟対策」「注射後に十分な観察が困難」という答えがそれぞれ3割ずつを占めたのだ。
「アナフィラキシーへの対応がまずいと訴訟になるかもしれないが、皮内反応試験実施の有無は関係ない」と岩田氏。
最低限、皮内反応試験さえしていればいいという考え方は通用しない。

岩田氏は「十分な観察といっても、医師が観察し続けるのは不可能に近い。抗菌薬投与後30分程度、誰かの目が届く範囲にいてもらったり、リスクを職員に周知徹底するなど、現実的な対策をとるべきだ」と話す。アナフィラキシー対策ガイドラインについても、ショックへの対処法を中心に今年中に見直す方針だ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200802/505484.html


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by esnoopy | 2008-02-28 00:04 | その他

注射前のアルコール消毒

Nikkei Medical 2008.2の特集「その処置、必要?」では日常診療で何の疑い
もなく行っていることが、実は意外と根拠がないという事例が紹介されています。
「トリビアの泉」的で勉強になりました。
きょうはその中のひとつを紹介させていただきます。

注射前のアルコール消毒
「必要なのは関節注か体内に留置するとき」

注射や採血の前に、アルコール綿で皮膚をゴシゴシと消毒する・・・。
「この行為には全く根拠がない。むしろ、多くの医師は意味がないと感じながら、慣習
によって続けているだけではないか」。
こう話すのは、石岡第一病院(茨城県石岡市)傷の治療センター長の夏井睦氏だ。
米国の糖尿病患者が服の上からインスリン注射をしても、なんら問題になっていない
現状を考えれば、夏井氏の言うことももっともかもしれない。

アルコール消毒に根拠がない理由は、皮膚表面と体内の環境の違いにあると夏井氏
は指摘する。
正常な皮膚の上には常在菌が定着している。
常在菌は皮脂を栄養源としており、その代謝産物としてパルミチン酸やステアリン酸
などを生成、それIこよって皮膚表面はpH5.5の弱酸性に保たれる。
一方で体内はpH7.4の中性環境だ。

「皮膚常在菌が生存できるのはpH5.5の環境。pH7.4の環境では生存できない」と
夏井氏。
つまり、注射によって皮膚常在菌がいくら体内に入ったとしても、生息環境が異なる
ため増殖できない()。
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逆に、黄色ブドウ球菌など、pH7.4の体内で増殖する菌は、弱酸性の皮膚の上では
外部から通過菌として付着し、休眠状態で張り付いているのがやっと。
健常な皮膚の上では、感染を成立させるまで増殖することはない。

入る菌はわずか数個
では、このような通過菌が注射によって体内に入り込み、感染を引き起こすことは
ないのだろうか。
針の表面積などから、注射によって体内に持ち込まれる菌の数を推計すると、「わず
か数個」(夏井氏)と少ない。
常在菌より少ない通過菌では入り込む数はさらに減少する。
また、針は注射が終われば抜去されるため、菌はすぐに体内の免疫細胞に攻撃
されてしまう。

もちろん、注射前に皮膚を念入りに消毒すべき場合もある。
血管カテーテルや点滴など、感染源となる異物を体内に留置するとき、もしくは関節に
注射するときだ。
関節腔は本来無菌状態が保たれており、外部からの感染に弱いためだ。

ランダム化比較試験も実施
実は、注射前のアルコール消毒が本当に必要かどうか、二重盲検ランダム化比較
試験で厳密に検討した研究が存在する。
せたな町立国保病院瀬棚診療所(北海道)所長の吉岡和晃氏は2003年、インフル
エンザの予防接種の際に、673人をアルコール綿で拭く群と蒸留水綿で拭く群に
割り付け、注射による皮膚感染の有無を比較した。

接種2日後もしくは3日後に接種部位を確認した結果、アルコール綿群、蒸留水綿群
ともに、1例も感染は認められなかった。
「04年から、採血の際もアルコール綿、水道水綿、もしくは拭かないという3つの選択
肢から好きなように選んでもらっているが、全く感染は起きていない。
ただし、実施には住民への丁寧な説明が必要だ」と吉岡氏は話している。

Nikkei Medical 2008.2
版権 日経BP社


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注射部位のアルコール消毒は原則的に行いません
http://homepage3.nifty.com/elfaro/information/alcohol.htm
#アルコールの消毒効果が一番出るのは、アルコールが蒸発して皮膚面が乾燥する
瞬間である、と言われています(それでも無菌にはなりません)。
ところが、多くの病院ではアルコールが完全に乾く前に注射の針を皮膚に刺して
います。
でもそれで実際に「感染が起きた」と言う話は滅多に聞いた事がありません。
つまり、今まで消毒していたつもりでも、実際にはきちんと消毒の効果が得られて
いなかったと言う事になる訳です。
それでも感染が起きていないということは、「注射の前に消毒しなくても問題ない」
ということがこれまでの経験から既に実証されている、ということになります。
#アルコール綿の入れ物の中では、アルコールに耐性を持った細菌が繁殖している、
という報告があります。
汚染されたアルコール綿を注射部位の皮膚に使用することは、「何も使用しない」場合
よりもずっと危険である可能性があります。
常在菌は通常、その菌を保有している本人には何ら悪影響を与えませんが、外から
持ち込まれた細菌は病原性を示す可能性があるからです。
このような場合は、アルコール消毒は「無意味」と言うよりむしろ「有害」ということに
なってしまいます。
#アルコールには非常に強い粘膜刺激性があります。アルコールが乾かないうちに
注射の針を刺す事は、上記のように消毒効果が不十分になるだけではなく、針の刺入
により組織に痛みを生じさせる原因となります。
また、炎症や傷のある皮膚面にアルコールを使用すると非常に強い刺激性を示す
ため、このような皮膚には使用できません。


注射の前のアルコール消毒は必要か?
http://www.wound-treatment.jp/wound048.htm

薬液缶に大量に作っておいて時間が経った酒精綿は,消毒効果はかなり弱まって
いるらしい(アルコールが蒸発してしまうため)。
作り置きの酒精綿で細菌が繁殖していた,という報告もあったはず。
そのためアメリカでは「作り置きの酒精綿」は使用せず,1枚パックのものを使って
いるらしいことを,付け加えておく。


<コメント>
それでも当院では患者さんに説得する手間も考え、従来通りアルコール消毒は
続けるつもりです。
今回勉強できたのは、
1)酒精綿は最小限作り「作り置き」をしない
2)乾燥してから注射をする

この2つは守りたいと思います。
インスリン自己注射の患者さんには以前から1枚パックを渡しています。

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by esnoopy | 2008-02-27 00:06 | その他

肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A. での発表です。
OAと肥満の関係は、発症には関係するが進行には関係しないというものです。
OA患者への減量指導は意味がないともとれるショッキングな内容です。

肥満は変形性膝関節症(OA)の強力なリスクファクターだが、OA発症後の進行リスクとしての影響は少ないことが示された。
米ボストン大学医療センターのJingbo Niu氏らが行ったMOST(Multicenter Osteoarthritis Study)試験により明らかになったもので、11月10日、米国リウマチ学会・学術集会の一般口演で報告された。


Niu氏らは、変形性膝関節症(OA)またはそのリスクが高い患者3026例(50~79歳)を登録し、2007年6月までに30カ月の追跡期間を満たした2307例(平均62.4歳)の解析を行った。平均BMIは30.5だった。

合計4481膝についてX線検査による膝変形度評価をした結果、試験開始時点でOA(K/Lグレード≧2)が認められたのは35.3%だった。
これらのうち、30カ月の追跡期間中にOAの進行が認められたのは52.6%で、その内訳は、内反膝の進行が41.1%、外反膝の進行が12.4%だった。
一方、開始時にOAの認められなかった膝では、6.0%が追跡期間中にOAを発症した。

BMI別に4段階の肥満度(正常体重群、過体重群、軽度肥満群、高度肥満群)に層別化して、肥満度とOA発症リスクとの関係を検討した結果、正常体重群に対する各群のOA発症の相対リスクは、過体重群が2.0、軽度肥満群が2.9、高度肥満群が4.7と、肥満度が高いほどOA発症リスクが増大することが分かった。
肥満に伴う発症リスクの増大は、内反膝、外反膝のいずれにも認められている。

これに対してOAの進行に関する相対リスクは、過体重群1.0、軽度肥満群1.0、高度肥満群1.2と、肥満による影響はあまり大きくないことが示された。
また肥満によるリスク増大がみられたのは内反膝のみで、その内反膝でさえも高度変形例では肥満が進行リスクの増大につながることはなかった。

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A.
Nikkei Medical ONLINE
肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2007/200711/504767.html
日経メディカル オンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/
2007. 11. 14

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by esnoopy | 2008-02-21 00:05 | その他

体重と全死因死亡率

まずは肥満と過体重の違いを理解することから始まります。
「ちょいデブ」はやはり悪くはなかったようです


やや過体重のほうが好結果 全死因死亡率の有意な低下に関連

〔ニューヨーク〕最も理想的な体重とはどのくらいなのか。
米国立保健統計センター(NCHS)のKatherine M. Flegal博士らは国民保健栄養調査の大規模データを用いた研究から,過体重は糖尿病と腎疾患の組み合わせによる死亡率の有意な増加に関連するとはいえ,がんまたは心血管疾患(CVD)による死亡率とは関連しなかったとJAMA(2007; 298: 2028-2037)に発表した。

適正体重が最良ではない
 Flegal博士らは,肥満ではない過体重の人について「最終結果として,過体重は全体的に全死因の死亡率の有意な低下に関連した。低体重と肥満はいずれも死亡率に負の影響を及ぼすことが判明した」と結論している。
 肥満ではない過体重の人は,アルツハイマー病,パーキンソン病,感染症,肺疾患などを含めた一連の疾患による死亡の可能性が低かった。
 この発見に対して専門家は,理想体重をどのようにして決めればよいかと問うだろう。
カリフォルニア大学サンディエゴ校(カリフォルニア州ラホヤ)家庭・予防医学のElizabeth Barrett-Connor教授は New York Times の記事で,「私はこのデータを信頼する。過体重範囲のbody mass index(BMI)25〜30がおそらく最適だろう」と述べている。
 また,フロリダ州立大学(フロリダ州タラハシー)統計学のDaniel McGee教授は同紙で「死亡率という基準を用いるのであれば,過体重(over-weight)という表現は誤りと言える」と指摘している。
一方,ハーバード大学Brigham and Women's病院(ボストン)予防医学のJoAnn Manson教授は同紙で「健康は単に死亡率だけの問題ではない」としている。
 研究責任者で米国立がん研究所(NCI)のMitchell H. Gail博士は,医師と研究者としての個人的な意見であると断ったうえで,「きわめて健康かつ元気で,かなりの運動をしているうえ,検査値などが適正とされるような人は,減量しなくてはならない緊急性があるとは思えない」と同紙の読者に助言を呈している。

若干の過体重では生存率増加
 Flegal博士らが分析したデータは,NCHSが行った米国の大規模な代表的全国調査である第 1 次〜第 3 次国民保健栄養調査(NHANES)によるものである。
実際に参加者の身長と体重を測定したため,数値は正確である。
各参加者を死亡まで追跡したが,死因は死亡証明書を参照して決定された。
2000年までのフォローアップ期間の死亡率は57万1,042人/年であった。
また,米国の25歳以上の成人230万人について内在的な死因の情報も調査した。
 同博士らは「一部のエビデンスは,多くの状況において若干体重が多いほうが生存率が上昇することを示唆しており,過体重に関するわれわれの発見を部分的に説明する可能性がある。過体重はがんやCVDリスク増加と強く関連せず,感染症や医療処置などによる有害状態からの回復や生存率向上,一部の疾患の予後改善に関連する可能性がある」と述べている。
 今回の知見は,他の最近の研究結果と類似する。
同博士らは「測定した身長と体重や,われわれの研究で使用したBMI分類基準と同じ正常体重範囲を用いたいくつかの最近の研究で,CVD死亡率はハザード比0.9〜1.1で過体重とほとんど関連しないことが判明している」とし,さらに「がん死亡率に関するわれわれの知見は,いくつかの最近の報告と一致する」と付け加えている。
 興味深い知見として,肥満の人は大腸がん,乳がん,食道がん,子宮がん,卵巣がん,腎臓がん,膵がんによる死亡リスクが高いが,肺がんなどの数種のがんによる死亡リスクは低い。
ただし,糖尿病関連死はCVDに起因するとされることが多いため,正しく記録されていない可能性がある。
 論文はBMIと死亡率の関係は死因により異なると結論し,「これらの結果は,BMIと全死因の死亡率との関係を明確化するうえで有益である」としている。
 今回の結果は,同博士らによる以前の研究(Flegal KM, et al. JAMA 2005; 293: 1861-1867)に基づいている。

肥満と活動障害に新研究
 ペンシルベニア大学(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のDawn E. Alley博士とVirginia W. Chang助教授は,代表的な全米調査であるNHANESの1988〜94年(第 3 次)と1999〜2004年のデータを分析し,「長い間には肥満に関連する死亡率の低下は,肥満になる年齢の低下と相まって,高齢の肥満人口における活動障害の増加につながる可能性がある」との結論をJAMA(2007; 298: 2020-2027)に発表した。
 この知見は,系統的な身体活動と減量プログラムは一般的に認識されているより多くの便益をもたらす可能性を示唆している。
 肥満の成人における心血管の状態は最近改善しているが,Alley博士らは「最近の心血管の改善は高齢の肥満人口における障害低下を伴っていない。
むしろ1999〜2004年に調査された肥満の参加者では,1988〜94年に調査された肥満の参加者より多くの機能障害を有する傾向があり,肥満ではない高齢者で認められた日常生活動作(ADL)障害の低下は肥満の高齢者では認められなかった」と述べている。
  2 つのアウトカムの測定が今回の研究の焦点であった。
1 つは400m歩行,階段を10段上がる,前屈,4.5kgの重量挙げ,部屋間の歩行,肘かけのないいすから立ち上がるといった機能制限であった。
もう 1 つのアウトカム測定は摂食,着衣,起床と就寝といったADLにおける制限であった。
 ADL障害の有病率は 2 つの調査で差がなかったが,機能障害の有病率は36.8%から42.2%に5.4%増加した(P=0.03)。
 1988〜94年の調査では,肥満の参加者に関する機能障害オッズ比は標準体重の参加者の1.78倍〔95%信頼区間(CI)1.47〜2.16〕,1999〜2004年の調査では同2.75倍(95%CI 2.39〜3.17)であった。

過体重は障害に影響せず 
重要な点として,肥満ではない高齢者に関してADL障害のオッズ比は1990年代に有意に低下した。
しかし,肥満の高齢者については有意な変化は見られなかった。
 Alley博士らは「極度の障害を有する少数の人々に対して医療費の偏重を是正するため,ADL障害に関するデータは重要である」と指摘。さらに「この研究と他の研究で認められた肥満と障害との関連性の強さは,慢性症状と障害との関連性と同様である」と述べている。
 対照的に,能力障害に対する過体重の影響は認められず,これは高齢者の健康に対する過体重の影響が小さいことを示唆する他の研究結果と一致する。
BMIが40以上の人は,30〜35の人より能力障害になる可能性がはるかに高かった。
 米疾病管理センター(CDC)のEdward W. Gregg博士と米国立衛生研究所(NIH)のJack M. Guralnik博士は,JAMAの付随論評(2007; 298: 2066-2067)で 2 型糖尿病の関連性を含めてこの問題の諸相を検討し,「ライフスタイルへの介入は高リスクの過体重の人で 2 型糖尿病の発症率を低下させるが,そのようなプログラムの効果的な実施は遅々として進んでいない」と述べている。
 論評では「系統的な身体活動と減量は 2 型糖尿病の予防に役立ち,関節炎の症状を低減し,身体機能を改善すると思われる。
つまり,長期間にわたり持続している肥満の各アウトカムを低減できるため,最も可能性のある統合的な介入かもしれない。
したがって,これらの発見は,効果的なライフスタイルと運動プログラムを保健システムと地域共同体に統合するうえでの障壁を克服するだけの説得力のあるエビデンスとなる」としている。

Medical Tribune 2008.2.14
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
BMIの正常値が決まった経緯はよく知りません。
このBMIの正常値を少し緩(ゆる)くすればこの論文の意味もなくなってしまうという考えは乱暴でしょうか。
いずれにしろ興味深くこの論文を読ませていただきました。

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パステル 中尾彬「パリ」ⅠF4号
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(俳優の、あの中尾彬さんの絵です)


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by esnoopy | 2008-02-15 00:05 | その他

65歳からでも健康改善可能

「言うは易く行なうは難し」
まさにそんな論文です。
〔米オハイオ州クリーブランド〕 医師も患者も65歳を過ぎると健康状態は下降の
一途をたどる−などと悲観する必要はない。
ニューヨーク長老派教会病院・コーネル大学Weill医学部(ニューヨーク)内科学
のRichard S. Rivlin教授らは,高齢者はそれまでに不健康な生活を送っていた
としても,簡単な食事療法や運動プログラムにより,健康状態を著しく改善できる
とする研究結果をAmerican Journal of Clinical Nutrition(2007; 86: 1572S-1576S)に発表した。

身体組成を改善して疾患を予防
Rivlin教授らは「65歳以上の高齢者は,シンプルで現実的なライフスタイルに変えることで,がんや心血管疾患,骨粗鬆症などを含めた疾患リスクを減少できる」
とし,「これはきわめて重要かつ肯定的なメッセージである。多くの高齢者は健康状態
を改善するにはもはや手遅れであると思っているが,決してそのようなことはない」と
述べている。

同教授によると,高齢者はまず体脂肪を減らし,筋肉量を増やして身体組成を改善
すれ
ば,疾患を食い止めることができる。
加齢に伴う疾患の予防には,定期的な運動プログラムを実践しながら低脂肪,低カロリーで野菜とフルーツの摂取量を増やす食事を守ることが重要であるとしている。

同教授は「60歳代,70歳代からでも慢性疾患対策を始めれば,まだ確実に効果が
得られる。
ただし,高齢者に手っ取り早い方法などはなく,ライフスタイルを改善しなければならない
ことを認識させるべきである」と指摘している。

同研究チームが高齢患者に推奨する具体的なライフスタイルの改善案は次の通り。
(1)高血圧の人は血圧を下げる。血圧が下がれば男性における冠動脈疾患の 5 分
の 1 を,女性では30%を予防できる可能性がある
(2)低カロリーの食事を取り,定期的な運動を行うことでがんを予防できる可能性がある。
同教授らによると,ある研究ではがんの発症率が50%低下した
(3)ウエートトレーニングをする。ウエートレーニングは,カロリー燃焼と骨粗鬆症の予防
に効果がある
(4)カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取する。これらのサプリメントは骨量減少
と骨折の予防に効果がある

Medical Tribune 2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社


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シャガール 「ロミオとジュリエット」
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<コメント>
要するに
「思い立ったが吉日」
ということでしょうか。

この論文に関連した言葉
「事を行うにあたって、
いつから始めようかなどと考えているときには、すでに遅れをとっているのだ」
クインティリアヌス (ローマの修辞学者・教育家)

苦労なくして、得られるものはない
No pain, No gain

今現在のような時(好機)はない
There is no time like the present.

今日出来ることを明日に延ばすな
Never put off until tomorrow what you can do today.

過ちを改めるに憚るなかれ
It is never too late to mend.

医学雑誌斜め読み(1)
□「先人の跡を師とせず、先人の心を師とすべし」 志賀 潔
日本医事新報No.4370 2008.1.26 P71
□50歳以下の年齢ではBMIと心血管死の関係は希薄となり、85歳以上の男性、
75歳以上の女性ではBMIが増えても心血管死率の増加はみられていない。
日本医事新報No.4370 2008.1.26 P89
(Stevens J,N Engl J Med 338:1,1998))


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by esnoopy | 2008-02-13 00:13 | その他

老化進める環境

長寿の双子といえば誰もが「きんさん、ぎんさん」を思い浮かべられることと思います。
今回の研究は「老化を抑制する遺伝子の働き方」が生活習慣や環境の違いによって異なるだろうという仮説にもとづいた研究のようです。
   成田きんさん  双子の姉。2000年1月23日に死去。享年107。 死因は心不全。
   蟹江ぎんさん  双子の妹。2001年2月28日に死去。享年108。 死因は老衰。

老化進める環境、高齢の双子で探れ 阪大が研究へ
70~80歳代の一卵性双生児で、生活習慣や環境の違いが老化にどのような影響を及ぼすのかを探る研究を、大阪大医学系研究科の早川和生教授(健康増進学)の研究グループが始める。
09年3月までの研究期間に全国の50組の双子を調べる。
阪大の倫理委員会が5日研究を承認した。

一卵性双生児はゲノム(全遺伝情報)が基本的に同じ。
老け方が違うのは、生活習慣や環境に差があり、老化を抑制する遺伝子の働き方が異なるためとみている。

早川教授らは、約30年前から1万2000組の高齢の双子を追跡調査し、生活習慣病にかかわるライフスタイルなどについて研究してきた。
今回は1万2000組の中から体力や脳、腎臓の機能、聴力などで老化の差が大きい一卵性の50組を調査対象とする。

双子から唾液(だえき)を採り、クロトー、サート1という代表的な老化関連遺伝子の働きの程度を調べる。同時に食生活や運動量、仕事内容、ストレスの程度などの生活習慣、生活環境をアンケートし、どのような要因が、老化関連遺伝子の働きを促進するのかをみる。

asahi.com 老化進める環境、高齢の双子で探れ 阪大が研究へ
2008年02月06日
http://www.asahi.com/health/news/OSK200802050099.html
版権 朝日新聞社

<コメント>
研究成果を早く知りたいものですが来年以降のお楽しみとなります。

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老化基礎科学
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/102/p10216.html
DNA損傷チェックポイント機構、細胞老化(Cellular Senescence)、細胞死誘導機構、酸化ストレス応答、IL-1ファミリー遺伝子、HZF、TARSH

国立長寿医療センター研究所
http://www.nils.go.jp/index.html
(長寿科学をlongevity sciencesというようです)

Klotho遺伝子と老化
http://www.kmu.ac.jp/~butsuri/student06/klotho.htm

寿命の限界を探る
http://www.healthist.jp/news/159_01/01_03.html

神経老化の最前線
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsn/JOURNAL/journal38-4/Gakkai_tokusyuu/mimori.html

遺伝からみた老化
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000500/hpg000000478.htm
私たちのからだの機能をつかさどる酵素などのタンパク質は染色体DNAの遺伝子(設計図)に従って作られます。これらのタンパク質が中心となって生物の形や性質などを決めていますが、老化も遺伝子によって決定されているかどうかはまだわかっていません。

不老不死への科学
http://genetics.fc2web.com
(多分野へリンクできます)

Klotho遺伝子と老化のメカニズム
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/KlothoCN01.html

「老化遺伝子」操作で、簡単に長寿を実現?
http://wiredvision.jp/archives/200402/2004021006.html
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by esnoopy | 2008-02-08 00:30 | その他

野菜と果物と少しの酒

野菜と果物と少しの酒でより健康な心臓に
〔スウェーデン・ストックホルム〕カロリンスカ研究所(ストックホルム)栄養疫学
のAgneta Akesson博士らは,スウェーデンの閉経後女性2万5,000人に
食習慣調査を実施し,全粒穀物・魚・豆と少量のアルコールとともに,野菜・
果物を毎日摂取する食習慣で心血管疾患の発症リスクが半減するとの知見
をArchives of Internal Medicine(2007; 167: 2122-2127)に発表
した。

心筋梗塞リスクが57%低下
食習慣と心血管疾患の関連が検討されるのは今に始まったことではなく,これ
までにも食事と心停止リスクの関連などが研究されてきた。
今回の研究は,あらかじめどのような食品を調査するのか決めずに,全体的
な食習慣を調査した点が斬新である。
この方法により,明らかに心血管疾患の低減に関連する 2 つの食事パターン
を同定できた。

Akesson博士は「第1のパターンは野菜と果物の多量摂取,第2のパターン
少量の飲酒が特徴的である。
1 日に摂取する目安は野菜4皿,果物2個,そしてグラス半分のワイン
である」と説明している。

全粒穀物,魚,豆を常に食べているか質問したところ,被験女性のほぼ3分の
1が食べていると答え,健康的な食習慣を維持していることがわかった。
さらに,この健康的な食習慣はそれらの食品摂取の少ない食習慣に比べ心筋
梗塞リスクが57%低下することが示された。

この健康的な食習慣を基本的質問項目としたうえで,健康的な体重の維持,
禁煙,定期的な運動(1日40分以上のウオーキングかサイクリング,週1時間
以上のより高い強度の運動)の有無について質問した。
その結果,これらすべてを行っていた女性は20人に 1 人で,その心筋梗塞
リスクは,喫煙し過体重,不健康な食習慣,運動習慣のない女性に比べ92%
も下回った


同博士は「すべての女性が今回の健康的食習慣群のような生活をするなら,
心筋梗塞の75%は予防できるだろう」とし,「わが国の公衆衛生を向上させる
にはスウェーデンの状況に基づくデータを導き出すことが重要である」と指摘
している。

今回の研究は,スウェーデンコホートの被験女性のうち,1914~48年に
ウプサラと近郊のベストマンランド郡で生まれた閉経後女性2万5,000例から
得られたデータに基づいている。
これらの女性は心筋梗塞発症リスクに関して97年から追跡されている。
今回の研究は健康な女性のデータをもとにしているため,健康的な食習慣を
持つ女性の割合が50歳以上のスウェーデン女性の間で予想される20%未満
という数値より高くなっている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4105062&year=2008TOPICS
FROM EUROPE
出典 Medical Tribune2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
なぜ閉経後女性だけが対象かという疑問は残ります。
そしてなんだか運動や禁煙の改善効果が一番大きいようにも思えました。
運動と食生活の両者のガチンコはどうなんでしょうか。

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