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PNALT

PNALTはPersistently Normal ALTの略です。
この概念は
HCVの無症候性キャリアは「肝臓正常」とは言えない
という事実から云われるようになりました。
臨床上、大切な点はALTが30IU/Lを越える場合は、C型肝炎に準じて診療を行う
必要があるということです。
1.「ALT正常例(基準値以下)」HCVキャリアの方からも発癌があります。
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2.ALT持続正常(基準値以下)C型肝炎症例への取り組み
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3.C型肝炎(HCV RNA陽性)の経過観察において推奨される検査

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(図をクリックすると拡大されます。)

以下、「特別企画座談会」からPNALT関連箇所のみ転載させていただきました。
[PDF] 特別企画座談会
http://www.ims.gr.jp/shinmatsudo/patient/patient03/zadankai.pdf
文中のについてはこのPDFでご確認下さい。

藤瀬
■次に、従来無症候性キャリアと呼ばれてきたALT持続正常症例(PNALT:Persistently Normal ALT)に対するIFN治療について、ご意見をうかがいます。
北村
■PNALTに対してIFN治療を行うか否かは、古くて新しいテーマだと思います。
B型肝炎ウィルスキャリアにおける無症候性キャリアと同様の状態がC型肝炎ウィルス感染者においても存在するかという議論は、C型肝炎ウィルスが発見された当初よりなされてきましたが、無症候性キャリアという概念は肝炎がウィルス自体による肝細胞傷害ではなく宿主の免疫応答によるものであるという根拠のひとつにもなっているわけですし、慢性肝炎の病態や定義にもかかわる大きな問題といえると思います。
このPNALTに対する治療が、再び議論されてきた背景には、おそらくPEG-IFNα-2b/RBV併用療法によってウィルス排除の可能性が飛躍的に高まったためと思われます。そこで、PNALTに対して治療を行うべきか否かを議論する前に、いくつかの問題点を整理しておきたいと思います。
1つはPNALTの定義です。
ALTが基準値内で持続しているかを確認するのはなかなか困難ですが、そもそもALTの基準値自体が施設によってばらつきがあります。
おそらく本邦における多くの施設は、HCVが発見される以前の基準値を用いていると思われます。
したがって、ALTが基準値内にあると判断している患者さんの中には、肝の線維化が進展している例も多いと思われます。
実際、PNALTでも約30%の症例で肝の線維化が進展しているという報告もあります。
2つ目の問題点は、従来、PNALTにはIFN治療が効きにくいといわれた点です。
また、PNALTはIFN治療で肝炎が悪化するという懸念も従来から議論されていました。実際、1997年のNIHにおけるConsensus Development Conferenceの声明文では「PNALT症例には、臨床試験以外でIFNを使用すべきでない」という勧告がなされています。
しかし、その5年後の2002年におけるConsensus Development Conferenceでは「PNALTにおけるIFN単独療法の有効性は、ALT値異常症例とほぼ同等であり、さらにジェノタイプ1のPNALTに対するIFNα/RBV併用療法はALT値異常症例と比較して遜色ない効果が期待できる」と指摘しています。
また、治療による肝炎の増悪はみられないという結果が報告されています。
そして最後の問題点は、すべてのPNALTにPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を行った方がよいのか、という点です。
ジェノタイプ2に関しては高ウィルス量症例であっても半年の治療で90%の治癒率が得られますので、私は積極的に治療すべきだと考えています。
問題はジェノタイプ1かつ高ウィルス量のPNALTです。
この点については、欧米ではあまり議論されていませんが、本邦では「肝炎が肝炎で終われば病気でない」という考え方が浸透しています。
この考え方は基本的に正しいと思いますが、果たして肝炎が肝炎で終わることがかるのか、という疑問もあり、この点については今後大規模な検討は必要と考えています。
藤瀬
■北村先生に問題点を整理していただきましたので、次にPNALTに対する実際の治療についてご意見をうかがいますが、まず、米国肝臓学会(AASLD)のガイドラインについて説明してください。
(図6 )
横須賀
■AASLDは、「血清トランスアミラーゼ値に関係なく、合併症の有無、著効が得られる可能性、重篤な副作用発現の可能性、肝生検による肝疾患進行の程度をもとにインターフェロンとリバビリンの治療を始めるかどうかの決定がされるべきである」と勧告しています(図6)。
ALT値が正常範囲でも肝生検を行うと、実際には8割強の症例に軽度の肝炎が認められるといわれていますので、肝障害の進展の程度で治療を行うか否かを決めることが現実的だと思います。
藤瀬
■PNALTに対する治療については、この3月に厚生労働省の治療標準化研究班から「血清ALT正常C型肝炎症例に対する抗ウィルス治療ガイドライン」が示されています。
それをみると、ALT値が30IU/L以下の症例でも血小板数が15万未満の場合は、線維化進展例がかなり存在するため、可能なら肝生検を施行し、F2A2以上の症例には抗ウィルス療法を考慮する、と記されています。一方、ALT値が31〜40IU/Lの症例は血小板数が15万以上の場合は65歳以下は抗ウィルス療法の適応、15万未満の場合は慢性肝炎治療に準ずる、と勧告しています(図7)
そこで、PNALTに対してPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を行うメリットについてコメントしてください。
横須賀
■PNALTに対する治療を考えた場合、従来のIFN単独療法でも、ある程度のSVR率は得られていますが、同時に治療後にALT値が急激に上昇する症例を経験した方も多いと思います。
しかし欧米の報告をみますと、48週間のRBV併用療法で、通常の慢性肝炎症例と同等あるいはそれ以上の有効性が期待でき、仮に治癒しなくてもALT値が急激に上昇する症例は非常に少ないことが明らかになっています(図8)
一方、本邦におけるPNALTにはジェノタイプ2の症例が多いため、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法によって、かなり良好な成績が得られるかと思われます。したがって、PNALTの長期予後を考慮すると、今後は積極的に治療すべきだと思います。
藤瀬
■実際、PNALTにたいしてPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を導入された先生はいらっしゃいますか。
北村
■当院においてPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を導入したPNALT症例を改めて検討したところ、その数が意外に少ないことに気付きました。
その理由は、導入以前にすでに肝庇護剤が投与されている場合が多く、正確な評価ができないためです。
そこで、これらを除外し、なおかつ投与開始24週まで観察可能であったジェノタイプ1の4症例をみると、2例がEVRで、残り2例も24週までにウィルス陰性化がみられています。
また、投与開始4週まで観察可能であったジェノタイプ2の2例では、2例とも4週でウィルス陰性化がみられており、PNALTであるからウィルスの消失が明らかに遅いということは、少なくともなさそうな印象です。
島田
■当院の成績をみると、ジェノタイプ2の6例は、治療開始4週時に全例でウィルス陰性化がみられています。
一方、ジェノタイプ1の8例では、治療開始12週時にウィルス陰性化がみられたのは4例です。
古くはPNALTにIFN治療を行うと「寝た子を起こす」と言われましたが、そのような印象は全くなく、ALT値が上昇した症例は経験していません。
三上
■先ほどお示しした66例のうち、8例がPNALTですが、決してそれらの症例の成績は悪くなく、むしろ他の症例より早めにウィルス陰性化がみられました。
一般に、線維化が進展している症例や高齢者ではSVR率が低くなりますので、PNALTの方が治療効果は得やすいのではないでしょうか。


Main Article:
Hot Topics In Hepatitis C 
http://www.idcronline.org/archives/jun04/article.html

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by esnoopy | 2007-11-30 00:10 | 消化器科

癌5年生存率

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朝比奈文雄 セーヌ川
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内科開業医も外科のことはある程度知っておく必要があります。
それは手術が必要な患者が発生した場合、どこへ紹介すれば本人に良い結果が
もたらされるかという場面がしばしばあるからです。
そういった場面は外科医以外の他科に紹介する場合も事情はまったく同じです。
周囲の病院が限られている場合にはこういった悩みも少ないのですが、問題は
選択肢が多い場合です。
病院選びといってもドクターのマンパワーが一番大切ですから、時々刻々と変わる
可能性があります。
絶えずアンテナを張り巡らしておくことが必要なことは論を待ちません。
外科系については手術数や5生率が一つの指標となっています。
どちらの指標も問題点は指摘されていますが、今日は5生率についての話をとりあげて
みまた。

出典はNIKKEI MEDICAL 2007.11です。

患者の重症度を考慮し評価へ
癌の5年生存率は、癌の治療成績を計る代表的な指標だ。
ところが、集計や公表の基準が定まっておらず、各病院が独自のルールで
算出したデータをホームページで開示することも広がってきた。
「生存率が高ければ良い病院」と患者は単純に考えがちのため、基準を明確
にすることが望まれていた。

そんな状況の中、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)は10月4日、
胃、肺、乳、大腸の4つの癌について病期別5年生存率を「全がん協加盟施設の
生存率協同調査」として公表した。
厚生労働省の研究班(主任研究者:群馬県立がんセンター手術部長、猿木信裕氏)
が集計したもの。
施設名を明らかにして開示したのもさることながら、「生存率の公表基準」を
示したことでも注目される。

生存率について、従来は「頑張っている病院が損をする」側面があった。
すなわち
①データ精度が低い
②早期癌診療の比率が高い
③合併症のある患者の診療の比率が低い
場合、生存率は上がるからだ。

①の精度に関しては、患者の予後を追跡する調査をおろそかにした方が、死亡者が
十分に捕捉されず、生存率が高くなる傾向がある。今回の調査では、追跡率90%
以上の施設のみ公表された。

②の病期に関しては、1期や2期の比率が高く、3期や4期が少ない施設が全体
生存率で良い数字を出しやすい。
そこで今回は、病期別の症例数と生存率を出すと同時に、「1期/4期比」を
表示した。
この値が低い方が、進行した癌を積極的に診療する姿勢を取っている可能性
が高い。

例えば胃癌に関し、国立がんセンター中央病院では1期症例数が381で4期
症例数が31なので、この比率は12.3。
茨城県立中央病院では1期82、4期37で2.2となる。
扱っている患者がかなり違うことがわかる。

③は、今の生存率が、患者の合併症など予後に影響する要因を考慮した数値
でないため、癌以外に心臓病や糖尿病などを持たない患者を選べば、成績を
上げられるという問題。
今回は「手術率」が示されたので、手術率が低い施設については、「全身状態が
悪く手術が困難な患者の比率が高い可能性がある」と見ることもできる。
患者の重症度による調整を十分に行った生存率を算出することは、今後の課題
となる。

このように比較的公平に成績を比較できる土俵を整えたことから、主任研究者
の猿木氏は「他の施設と比べることで、自分たちの治療に関する反省や検証を
する意識も生まれてきた」と指摘する。

厚労省が指定する地域がん診療連携拠点病院(286カ所)では、全国統一定義
によってデータを集める院内がん登録が義務付けられており、数年後には同じ
基準で生存率が分析できるようになる。
今回の全がん協による公表は、それまでの過渡期のモデル。
これにより、公表が一般となる時代に備え、患者も医療従事者も5年生存率の
意味を深く理解することが期待される。



手術はどの病院でしましょうか?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/4379412.html(以前にとりあげた私のブログです。)

<コメント>
近くの病院でも意外と患者さんを紹介していいのかどうか迷う時があります。
それは紹介先の先生の顔(人となり)がわからないためかも知れません。
病院主催の研究会や講演に積極的に参加するのも一つの解決策と思います。
しかし、なかなか時間がとれないのが開業医の現実です。
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by esnoopy | 2007-11-29 00:02 | メンタルケア

コーンバーグ博士 その2(2/2)

昨日の
コーンバーグ博士 その1(1/2)
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-11-27
の続きです。

迷いのない89年の人生
こうした親子の話を聞いただけでは、優れた業績を上げるために何が最も重要な
要素なのかは分からない。
ただ、アーサー・コーンバーグが繰り返し語ってきた科学という営みの素晴らしさは、
子供の価値観にも影響を与えたに違いない。

01年のインタビューでは、「孫が8人いますが、科学者としてのキャリアを持たせたい
かと聞かれれば、もちろんイエスです」と力強く話していた。
科学のキャリアは、ビジネスや政治、法律などとは比べものにならないほどの満足
が得られます。
芸術さえもかないません
」という言葉には、科学への熱い信頼感が溢れ、思わず
「同感です」と言いたい気分になった。
迷いのない信念は、そのまま、子供たちにも伝わったはずだ。

もう1つ、アーサー・コーンバーグが繰り返し語ったのは、「科学は、最初から何かの
役に立つことをめざしてやるのではない」ということだ。
「必要は発明の母」なのではなく、「発明が必要の母」だというのが、彼の持論だった。
つまり、なんの役に立つか分からないが、好奇心で行う基礎科学が、結果的に役に
立つことにつながるという構図だ。
これもまた、「同感です」と言いたくなる言葉だ。

最近の曰本の科学技術政策は、「役に立つ」ことに重きが置かれている。
「イノベーション」もそうだろう。
曰本だけではない。
米国でも、そうした傾向は強まっていると聞く。
だが、やはり、コーンバーグがいうように 科学は、ビジネスや政治、法律とは違う。
好奇心に根ざす基礎科学の素晴らしさを、コーンバーグのように訴え続ける人は、
これからますます欠かせないのではないだろうか。
(毎日新聞社論説委員 青野由利氏)

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千住 博 リトグラフ「水の惑星#11 月下」
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<コメント>
「職業に貴賎はない」というのは昔から言われている言葉です。
自分でどんな職業(この場合は進む道、一生の仕事と表現したほうがいいかも知れ
ませんが)より科学者を選んでよかった。
これは成功者だからこそ言える言葉かも知れません。
しかし成功云々の定義自体も怪しいですし、何よりも今やっていることに充実感を
(ささいなことでいいから)見出すことが大切かも知れません。
最近、私の体にはワインが流れているといった女優が婚約しました。
相手は東京で手広くレストランを経営しているオーナーシェフとのことですが、彼いわく
「大好きな料理を作ってお客様に喜んでいただく。世界一の仕事と思っています。」
それはそれで素晴らしいことです。
素敵な女性を手に入れたわけですからなおさらです。
毎晩二人で、どんなワインをあけるんでしょうか。

       そんなのカンケイナイ
                   

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by esnoopy | 2007-11-28 00:10 | その他

コーンバーグ博士 その1(1/2)

あるノーベル賞受賞者のインタビュー記事です。

昨今、医療をとりまく環境は悪化の一途をたどっています。
悪化と言い切るのは、私自身ある程度長い間、勤務医や開業医に携わってきて
その変化を目の当たりにして実感しているからでもあります。
私自身、医学生の時、そして医師になってからも医師としての職業を天職と考え
夢と希望に胸を膨らませていました。
しかるに、医療現場を知らない厚労省の役人により医療改悪が続き医師の生気
はすっかり抜けてしまいました。
やる気も社会的地位もプライドもすべてなくなりつつあります。
この点は先生方も同感と思いますし、M3のブログに不平不満が渦巻いています。


さて私事で恐縮ですが、私の子供2人が現在医学生です。
親として勧めた道でもなかったのですが、卒後は将棋の駒のように労働力として
いいように(厚労省に)あしらわれる姿を想像すると可哀相になってしまいます。
そしてそのことに激しい憤りを感じます。
まるで学徒動員です。
法的にも問題があります。


厚労省は医学部の定員を増やせば臨床医もそのまま増えると皮算用しています。
以下のコーンバーグ博士のインタビューを読むと、これからは基礎医学が優秀な
医学生の進む道かと思ってしまいます。
生活が臨床医と同様に保障されて、場合によってはベンチャーや特許で巨万の富
を得る(?)。
そんなことが可能なら基礎医学へ進むという医学生も多いのではないでしょうか。
このままでは臨床医に未来はないと思ってしまうのは私だけではないと思います。
厚労省もへたこいてると基礎に優秀な医学生は行ってしまいますよ。

最近プライマリケア実習に来た5年の医学生に以下の記事を見せました。

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ポール・アイズピリ “楽団” リトグラフ
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さて本題です。御一読下さい。
MMJ November 2007 VoL 3 No.11
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コーンバーグの言葉   「発明が必要の母」
アーサー・コーンバーグ博士にインタビューしたのは、2001年のことだ。
ある企画で、米カリフォルニアにあるスタンフォード大学に博士の研究室を訪れた。

RNAポリメラーゼの発見で59年にノーベル医学生理学員を受賞したコーンバーグ
博士は、当時すでに88歳。
それでも、自分のラボを持つ現役の研究者で、年齢を感じさせなかった。
親日家で、今夏にも来日して講演会に出席しており、なんだかい
つまでも元気で研究を続けているよな気がしていた。

だからだろう、この10月に呼吸不全のため亡くなったとの計報にびっくりした。
89歳で亡くなるまで研究への情熱を失わなかった博士は、稀有な存在であり
「幸福な科学者」だったのではないかと感じる。

息子も昨年ノーベル賞受賞
米国でのインタビューでは、印象に残ったことがいくつかあった。
1つは、「研究者ほどすばらしい職業はほかにない」という確固たる信念。
もう1つは、3人の息子のうち2人が科学者に、1人が研究室をデザインする
建築家になったという話だっ
た。

科学者になった2人の息子のうち、長男のロジャーは、昨年のノーベル化学賞
を受賞している。
新聞社の机の前でノーベル賞発表を待ち構えていたところへ「コーンバーグ」
の名前が飛び込んできた時には、どこかで聞いた名前だなあと思ったものの
ぴんとこなかった。
アーサー・コーンバーグの2度目の受賞はありえないだろう、などと思って
プレスリリースを見て、ようやく親子受賞と気づいたくらいだ。

めずらしいこともあると思ったが、調べてみると親子でのノーベル賞受賞はすでに
6組に上リ、 コーンバーグで7組目だった。

そのとき、思わず頭をよぎったのは、遺伝か、環境か」という言葉だ。
ノーベル賞を受賞するほどの能力には、生物学的な要素が無関係とはいえない
のか、それとも家庭環境などのなせるわざなのだろうかという素朴な疑問である。

3人の息子と7月に来日
アーサーコーンバーグと3人の息子は、今年7月に東京に集まった。
東京大学が主催した講演会「独創的研究の真髄:コーンバーグ親子から学ぶ」
というイベントに招かれたためだった。
□ジャーと次男のトムが科学者、三男のケンが建築家という顔ぶれだ。
東京大学のねらいもまた、それぞれの分野で活躍する親子を生んだ環境は
いったいなんだったのかというところにあったのだろう。

ただ、科学者になった2人の息子も、それぞれ科学に対する思いは違ったようだ。
ロジャーは、子供のころからの科学好きで、好きな場所を聞かれると「実験室」
と答えたという。
9歳の時にクリスマスに何が欲しいか聞かれ、「実験室での1週間」とお願いした
そうだから「筋金入り」だ。

次男のトムは、子供のころからチェロの演奏家をめざし、ジュリアード音楽院に
進んだ。
同時に、コロンビア大学の学生にもなった。
当時、父親のアーサーの研究成果に対する批判の声があり、その正当'性を
示すための研究がきっかけで科学者の道からへ進んだという。
そういう意味では、□ジャーとは異なる道を歩んだこと
になる。
 「トムが私の名誉を挽回した」というアーサー自身は、どちらかといえば、
後から科学にめざめたトムのタイプらしい。

講演会で家庭環境などについて聞かれたアーサーは、「子どもたちに科学を
押しつけようとは思わなかったが、自分の仕事を認めてほしいと願っていた」
と語った。
結果的に、ロジャーもトムも、父親と同じ分野で業績を上げた。
やはり「親の背中を見て育つ」ということはあるのか
もしれない。
一方、□ジャーは「家では科学の話はあまりしない」と語っている。


酵素に恋して
http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no44/
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by esnoopy | 2007-11-27 00:05 | その他

COPD  (その1)1/2

NIKKEI MEDICAL 2007.11の
「外来で診るやっかいな咳」という特集からです。
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清水達三(院展同人・評議員) 幻想風景 10号
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s75281708?u=artwahaha

数日前から続く咳、咽頭痛、微熱、息苦しさを訴えて来院した67歳の男性。
問診により、30歳から65歳まで1日10本の喫煙歴があること、また10年以上前から、
息切れのため坂道や階段を最後まで一気に上れなかったり、空咳や痰に悩まされて
いたことが分かった。


胸部単純X線正面像に明らかな肺炎の所見は見られなかった。
だが
側面像では横隔膜が平低化しており、気腫性病変の存在が疑われた。
そこでCTを撮ったところ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に特徴的な所見である気道壁
の肥厚や小さな低吸収領域(LAA)が認められ、ウイルス感染に伴う急性上気道炎を
きっかけとしたCOPDの急性増悪と診断できた。

この患者を担当した藤沢市民病院(神奈川県藤沢市)呼吸器科医長の西川正憲氏は、
「COPDの患者の半数は、本症例のように急性上気道炎をきっかけに受診する。
特に中年以上で喫煙歴がある上気道炎患者では、COPDが隠れていないか-度は
疑ってほしい」と指摘する。

本例は前立腺肥大症による排尿障害があったため、西川氏は抗コリン薬を避け、
長時間作用型β2刺激薬のサルメテロール(商品名セレベント)とフルチカゾン
(フルタイド)を処方した。
その結果、持続していた息切れや咳などの自覚症状は数日間で消失し、初診時には
0.63Lだった1秒量は治療4週間後には0.94Lまで改善した。

不定愁訴からも常に疑う
COPDは、喫煙などで起こる肺の炎症反応が原因で気道の閉塞や肺胞の破壊が起き、
進行性の気流制限を呈する疾患だ。
2001年に発表されたわが国の疫学調査では推定患者数530万人、現時点では700万
人という数字もある。
だが厚生労働省の患者調査(05年)では、病院でCOPDと診断された患者は22万人。
多くの患者がいまだ治療の対象になっていないとみられる。

その背景には、医師・患者双方で「COPDは治らない病気」という旧来の認識がまだ
改まっていないことが一因という。
だが治療法は確実に進歩している。
世界保健機関(WHO)も06年、「COPDは治療でき、予防できる病気」と宣言、早期介入
の重要性を訴えた。

日本医大呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏は「より早期の段階で患者を拾い
上げることが求められており、第一線の臨床医の役割がより重要な時代になってきた」
と強調する。

代表的なCOPDの症状は、冒頭の症例のように慢性の咳嗽や喀痰、労作時の
呼吸困難など。
長期間の喫煙歴があればなおさらだ。
もっとも、全例でこの症状が前面に出るわけではない。
木田氏が診た72歳男性のケースでは、「朝着替えるときに動悸がした」「疲れやすく
なって外に出ることもなく1日中テレビを見ていた」「1-2年で10kg近くもやせた」
といった訴えが中心だった。

「COPDの初期症状は実に多彩が必要だ」と木田氏は指摘する。
質問表で診断につなげる
COPDを疑った場合に、必須となる検査はスパイロメーターによる肺機能検査だ。
気管支拡張薬を投与した後で、1秒率(1秒量/努力性肺活量)が70%未満ならば
気流制限があるとされ、気管支喘息や気管支拡張症といった気流制限を来す疾患を
除外した上で診断される。

だが、一般の診療所におけるスパイロメーターの普及率はいまだ10数%と低く、
患者の拾い上げに結びつきにくいのが実情だった。
そんな中、実地医家による拾い上げに有用な手段として注目されているのが、
「COPD簡易質問表」(表2)だ。
この簡易質問表は、国際家庭医学会のワーキンググループが05年に発表した
「IPAG診断・治療ハンドブック」の日本語版にある。
久留米大呼吸器・神経・膠原病内科主任教授の相澤久道氏らが翻訳した。

咳や喘鳴、息切れなどが慢性かどうかを確認し、呼吸器以外の疾患や急性の感染症
を除外した上で使用する。
質問項目の合計点数が17点以上で、「COPDの疑い」となる。

実際に相澤氏が和歌山県立医大呼吸器・アレルギー内科教授の一ノ瀬正和氏らと
協力、呼吸器科受診患者など169人にこの質問表を使ったところ、93.9%が
「COPDの疑い」と判定され、そのうちの40.4%が最終的にCOPDと診断された。

相澤氏は「スクリーニングを目的とした場合、この質問表の有用性は非常に高い。
スパイロメーターを持たない実地の先生方が使いこなし、未治療の患者の掘り起
こしに役立ててほしい」と期待する。


<コメント>
文中にあるようにスピリーバの使用の際には抗コリン作用の副作用に注意が必要
となります。
COPDが高齢の男性に多いことから、使用例が制限されてしまいます。
吸入でどのくらい血中濃度が上がるのか、一度調べてみたいと思います。そして
どのくらいこの副作用に気を使わなければならないかを。

スピリーバ吸入用カプセル18μg
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by esnoopy | 2007-11-26 00:06 | 呼吸器科

意外に多い高齢者のRSウイルス感染

NIKKEI MEDICAL 2007.11 にこんな記事が載っていました。


発熱と呼吸器症状を訴える高齢患者にインフルエンザを疑い、ウイルスの迅速検査を
実施したが「陰性」。
だが、「単なる風邪」と決めつけてしまうのは早計かもしれない。
RSウイルス感染症が、乳幼児だけでなく高齢者でも散見されることが分かってきたからだ。
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班が昨シーズン、インフルエンザの迅速検査
キットで陰性だった77人の検体について、RSウイルスの有無を迅速検査キットと
PCR法で調査。
すると70歳以上の患者9人のうち4人からRSウイルスが見付かった(表3)。
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外来患者に対するRSウイルスの迅速検査は、今のところ保険適用が認められていない
ので、日常診療でこのような検査を実施するのは現実的ではないが、「高齢者にもRS
ウイルス感染症が少なくないことを頭に入れ、咳が長引くときなどには疑ってみる必要
がある」と同研究班の班長で河合内科医院(岐阜市)院長の河合直樹氏は話す。
海外では、高齢者がRSウイルス感染から肺炎を発症したり、死亡に至った事例も
報じられている。
「今回は重症化した事例はなかったが、さらに調査が必要だ」(河合氏)。


<コメント>
RSウイルスと診断がついた場合、さてどうするかということでしょう。
さてどうしたらいいのか。

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by esnoopy | 2007-11-22 00:05 | 呼吸器科

咳喘息 (その2)2/2

昨日の
咳喘息 (その2)2/2
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-11-20
の続きです。

NIKKEI MEDICAL 2007.11の
「外来で診るやっかいな咳」という特集からです。

喘息との鑑別を念頭に
咳喘息の治療方針は、基本的にはβ2刺激薬などの気管支拡張薬を第1選択とし、
効果が不十分であれば吸入ステロイドを追加ないしは同薬剤に変更するという
もの(図3)。
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一部ではあるが咳喘息から喘息への移行が知られていることから、気管支拡張薬
や吸入ステロイドで症状が改善した後も、治療を1カ月程度は継続した方がよい。

実際の薬物選択に当たっては、それぞれの専門医の工夫がある。
「小児喘息の既往があったり、既往はなくても風邪の後に同様の咳を繰り返すという
訴えがあれば、咳優位型の気管支喘息と考える。
その場合は初回から気管支拡張薬と吸入ステロイドの併用を行っている」と田中氏。

咳喘息では「診察時には咳は出ないが夜になると出る」という訴えをよく聞く。
その場合に札幌医大の藤井偉氏は、長時間作用型のβ2刺激薬とともに、夜に使用
するための短時間作用型β2刺激薬を処方している。

また、木原呼吸器アレルギー科クリニック(東京都大田区)院長の木原令夫氏は
「一向に改善しないという患者によくよく聞いてみると、実は正しく吸入できていなかった
というケースがままある。
改善したかどうかだけでなく、きちんと吸入できているかも確認してほしい」と強調する。

なお、どちらも吸入の気管支拡張薬とステロイドを併用している場合、
最近発売されたサルメテロールとフルチカゾンの合剤(アドエア)を使えば1剤で済む。
コンプライアンスの向上が期待できることはメリットだ
が、「喘息を鑑別せずに安易に使うことは避けたい」と山崎内科医院(東京都小金井市)
院長の山崎博臣氏は注意を促す。
喘息ならばそれに応じた患者管理が必要となるためだ。

もっとも、喘息患者を多く診ていない医師には、吸入薬の煩雑な服薬指導がハードル
となる。
これに対して山崎氏は、「β2刺激薬であるプロカテロールの内服または貼付に加えて、
ヒスタミンH1拮抗薬のアゼラスチンで治療を開始、その後1週間ごとに受診してもらい、
症状が改善していれば咳が消失するまで治療を継続する」というプロトコールを提案
する。
アゼラスチンを使うのは、ヒスタミンH1拮抗薬が第1選択となるアトピー咳嗽も念頭に
置いた選択だ。
「吸入薬を使わなくても咳喘息の治療は可能なので、多くの先生方に取り組んで
いただきたい。
ただ、この治療を1カ月間行い改善が見られない場合は喘息など他疾患との鑑別が必
要になるので、専門医に紹介してほしい」 と山崎氏は話す。

詳細な問診で手掛かりを
このような鑑別点に注意を払っても、目の前の患者の咳が、単なる感染後の咳で自然
軽快するのか、感染をきっかけとした咳喘息ないしアトピー咳嗽なのか、副鼻腔気管支
症候群などまったく別の疾患なのか、判断に迷うケースは少なくない。

その場合、藤井氏は、問診による患者の病歴に注目している。
例えば「いつも同じ時期に咳が出る」と言ったり、他にアトピー性皮膚炎や花粉症など
があり、アトピー素因が明らかな場合は、アトピー咳嗽である可能性が高い。
一方、風邪の後で膿性痰があるというなら、副鼻腔気管支症候群がまず疑わしい疾患
となろう(注)。

なお、咳喘息とアトピー咳嗽ともに吸入ステロイドに反応するため、両疾患の鑑別に
迷ったときは同薬剤を最初から使用するという方針も成り立つ。
その場合 喘息も治療に反応してしまうだけに、「吸入ステロイドで改善したが再発した
といった場合は、一度は肺機能検査をすべき」(藤井氏)とのことだ。

(注)
副鼻腔気管支症候群以外に気管支拡張症でも膿性痰と遷延性咳嗽がみられます。

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by esnoopy | 2007-11-21 00:05 | 呼吸器科

咳喘息 (その1)1/2

NIKKEI MEDICAL 2007.11の
「外来で診るやっかいな咳」という特集からです。

私個人としては、咳喘息やアトピー咳嗽などのアレルギー性咳嗽がそんなに多い
ものかという疑問もあります。
なお文中のT氏は昭和大の田中一正先生、F氏は金沢大の藤村政樹先生です。


1カ月以上前から「コンコン」という乾いた咳が続き、明け方にひどくなり目覚める
こともあるという30歳代の女性患者。
近医で風邪と診断され、感冒薬と鎮咳薬を処方されたが改善しないとのことだった。
アレルギー疾患の既往歴、喫煙歴ともになく、肺機能検査も正常。
強制呼出時の聴診でも喘鳴は認められなかった。

この患者を診察したS大のT氏は咳喘息を疑い、明け方の咳も考慮して長時間
作用型β2刺激薬のツロブテロール(商品名ホクナリンテープ)を処方した。
長引く咳の既往はなく喘息も否定できた場合、T氏は咳がひどいときに使いづらい
吸入を避け、まずテープ剤を処方するようにしている。
1週間後、患者の症状に改善が見られたため吸入ステロイドのブデソニド
(パルミコート)を追加、咳は治まった。

「長引く咳」の6割が該当

咳喘息とは、喘鳴や呼吸困難を伴わず、呼吸機能も正常、咳だけを主徴とする
好酸球性の気管支炎で、気管支拡張薬が有効な病態と定義される。
多くの場合は1カ月程度の治療で治癒するが、適切な治療を行わないと-部が
喘息に移行するとの報告があるので、その拾い上げが重要となる。

一方、咳喘息と類似した疾患にアトピー咳嗽がある。K大のF氏が提唱したもので、
咳が主体となる症状や好酸球性の気管支炎という病態は咳喘息と同じ。
どちらもアレルギー性咳嗽と分類されているが、
①気道過敏性は正常
②咳受容体の感受性が亢進
③多くの患者にアトピー素因がある
④放置していても喘息には移行しない
など細部で咳喘息と異なる。
本症なら気管支拡張薬は効かずヒスタミンH1拮抗薬が第1選択となるが、
有効率が約6割と低いため、吸入ステロイドとの併用が行われている。

「長引く咳」で、咳以外にあまり所見がないという患者の中には、このような咳喘息、
アトピー咳嗽が多く含まれている。
実際、F氏らが、8週間以上続く咳を主訴として来院し
た患者の原因疾患を調べたところ、咳喘息とアトピー咳嗽で6割を占めていた。

咳喘息については、F氏が世話人を務める曰本咳嗽研究会が診断基準を発表
している。
だが「講演会などを通じ広く普及を図っているが、残念ながら日常診療へ浸透する
までにはまだ至っていない」(F氏)。

その理由の一つが、診断基準では気道過敏性亢進の確認を求めていること。
「非専門医が日々の外来で気道過敏性を調べるのは難しいのが実情」とT氏も話す。

日常診療では簡易基準

そこで同研究会では、簡易診断基を作成した。
それによれば喘鳴や呼吸困難を伴わない咳が8週間または3週間以上続き、
気管支拡張薬を投与して改善すれば咳喘息と診断できる。
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咳の持続期間が「8週間(3週間)」となっているが、これは咳喘息などが含まれる
「慢性咳嗽」の定義が8週間以上続く咳となっているため、簡易診断基準でも基本は
8週間以上とされた。
だが曰常診療の現場ではそこまで待てないという声が多いため、実質的には3週間
以上続いていれば基準の項目を満たすと考えてよいそうだ。

簡易診断基準を使う場合の注意点としてF氏は、「気管支拡張薬の投与は診断的
治療という側面があるので、1週間以内に再診し、気管支拡張薬の効果を確認して
ほしい。
1週間程度の使用で、咳は止まらないまでも軽減しているはず」と話す。

<コメント>
マイコプラズマ肺炎、インフルエンザ感染後、百日咳などで咳が1か月(4週)ぐらい
は続く場合もあるかと思います。
したがって3週ではなく8週間以上続くという定義の方がいいかとも思います。
読んでいて少し疑問だったのは、感染後咳嗽とアレルギー性咳嗽とがクリアカットに
分類できるのかということです。
そして、気管支拡張剤(吸入、貼付、内服)が有効な場合はすべて喘息という治療診断
法も少し気になります。
ステロイドは理論的に感染後咳嗽にも有効と思われますし、感染型の喘息で
感染後咳嗽が主体の場合にも効きそうな気がします。
そしてホクナリンテープは保険上は急性気管支炎にも適応が現にあります。

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by esnoopy | 2007-11-20 00:10 | 呼吸器科

新型インフルエンザ対策

Nikkei Medical 2007.11の
  インフルエンザ治療 今年はどうする?
という特集からの紹介です。
大部分は先週紹介させていただきました。

新型対策が着々、迅速診断キットの開発も進む
北里研究所と阪大微生物病研究会が承認申請していた「沈降新型インフルエンザ
ワクチンH5N1」が10月19日、承認された。
新型インフルエンザに対する感染予防が期待される国内初のプロトタイプワクチンだ。

2000万人分ワクチン備蓄へ
承認前から備蓄が進められおり、すでに1000万人分が原液でメーカーに保管され
ている。
パンデミック(世界的な大流行)のリスクが高まったら、厚労省の指示で製剤化され、
医療従事者や社会機能維持者に優先的に接種される。
第1相試験で突発性難聴が1例あったが、ほかには重大な副作用は報告されておらず、
安全性は高そうだ。

現在、備蓄されているプロトタイプワクチンはベトナム株(クレード1)500万人分、
インドネシア株(クレード2)500万人分。厚労省はさらに備蓄を進める方針で、
中国株(クレード2)のプロトタイプワクチンを、ワクチンメーカーにとって製造の端境期
に当たる10月から3月まで作らせる。
ウイルスの増殖性にもよるが、来春には合計約2000万人分が備蓄できそうだ。
プロトタイプワクチンのウイルス株を多様化させているのは、どのウイルス株が新型
インフルエンザに変異するか分からないためだ。

鳥インフルのみ検出するキット
ワクチンと並んで、医師が気がかりなのは、新型インフルエンザの迅速診断キットの
開発状況だろう。
大阪府立公衆衛生研究所元副所長の奥野良信理事)、感染症部総括研究員の
高橋和郎氏らは、鳥インフルエンザウイルスを特異的に検出する迅速キットの開発
に成功。
体外診断薬としての承認を目指している。

鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスでは、核蛋白質のアミノ酸
配列が3%程度異なることに目を付け、鳥インフルエンザウイルスに特異的な
モノクローナル抗体を作製。
この抗体を利用した検査キットを開発した。

ヒトインフルエンザは「陰性」、鳥インフルエンザのみが「陽性」となる。
感度と特異性は、通常のインフルエンザ迅速診断キットと同等という。


<コメント>
医師は紛れもない医療従事者です。
優先的にワクチンを打っていただけることは有難いのですが、流行した際には矢面に
立たせられると思うと複雑な心境になります。

「社会機能維持者」・・・・こんな言葉があるとは。
どんな職種が該当するんでしょうか?事前に定義づけをしたら問題が起きそうです。
該当しない人は社会機能非維持者?
そして有事(?)の際には高齢者はどうなるんでしょうか?


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by esnoopy | 2007-11-19 00:05 | 感染症

無症候性脳血管腫・脳出血

東海大学医学部講師 高橋若生先生    日医雑誌 136:4 2007.7 より


MRIの普及に伴い,無症候性脳病変が見つかる機会が増えているが,脳血管腫
もその1つである.

MRIでは、静脈性血管腫が0.6%、海綿状血管腫が0.4%、脳動静脈奇形が
0.2~0.3%程度の発見率
とされる。
山中湖クリニックの成績では、脳ドックを受診した3、780名(平均年齢55±10歳)
のうち16例(0.4%)にいずれかの無症候性脳血管奇形が認められた。
比較的まれな病変であるが、脳血管奇形の種類によっては脳出血を来す場合
があり、無視できない病変の1つである。
一方、上述の検討では、血管腫に伴うものを除いた無症候性脳出血は2例
(0.05%)のみであった

また、何らかの神経疾患を有する例のMRIについて検討した成績によると、
2、757例中高血圧性脳内出血が12例、脳血管腫などの二次性脳出血が
5例にみられた。
したがって、通常のT1,T2強調画像で認められる無症候性脳出血は,
慢性期の高血圧性脳内出血もしくは脳血管奇形が主体と考えられるが,
その頻度はきわめてまれである。
最近、磁性体を鋭敏に捕えるsusceptibility‐weighted MR sequences
と呼ばれる撮影法が実用化され、無症候性の脳微小出血microbleeds
(MBs,図1矢印)が想像以上に高頻度に存在することが明らかとなった。
Gradient-echoT2*強調画像
を用いた検討では、脳内出血例の
66~71%、ラクナ梗塞例の62%にMBSが認められたという。
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MBS
は,脳内出血の再発、アスピリン内服中や血栓溶解療法後の
脳出血と関連するとした報告が相次ぎ、その存在意義が注目されている


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マヌキャン リトグラフ 「母子」
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<コメント>
従来のMRIでは無症候性脳出血はほとんどみられない。
しかし、susceptibility‐weighted MR sequencesという新手法を用いると
脳微小出血は決して珍しいものではないということです。
さらに、脳内出血例やラクナ梗塞例の多くに脳微小出血を伴っていたということです。
出血性梗塞の概念とは異なるかも知れませんが、理論上も多いにありうることと思い
ます。
脳梗塞の二次予防やTIAに対して安易に(?)抗血小板療法が行われますが、一つ
の警告とも思われるデータです。
私も常々、これらの症例に対して抗血小板療法を行うことについて、再発時に梗塞
とは限らず出血(つまり初発が脳梗塞、2回目が脳出血)という場合もありうると危惧
しながらも抗血小板療法を行っていました。
なかなか抗血小板療法も一筋縄ではいかないようです。


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by esnoopy | 2007-11-17 00:10 | その他