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基礎インスリン補充の意義 その2(2/2)

昨日の
基礎インスリン補充の意義 その1(1/2)
http://wellfrog.exblog.jp/pg/blog.asp?dif=d&acv=2007-12-27&nid=wellfrogの後半です。

1日にわたり安定した血糖降下作用を示すグラルギン
最近、グラルギンの作用持続時間について正常血糖クランプ法により検討した成績が
Diabetes Care誌に掲載されました。
本試験は内因性インスリン分泌がゼロのⅠ型糖尿病患者に二重盲検クロスオーバー
法によりグラルギンまたはインスリン デテミルを2週間にわたり投与した後、正常血糖
クランプ法により、インスリン製剤の作用の強さと降下の持続時間を検討したものです。
この試験ではインスリンの血糖降下作用が消失し、血糖値が150mg/dLを超えるまで
の時間をエンドポイントとしています(24時間で試験終了)が、グラルギンは血糖降下
作用が24時間持続したのです(図③)。
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つまり、以前の報告と同様にグラルギンは作用のピークをきたすことなく、1日1回の
投与で24時間にわたり安定した血糖降下作用
を示し、基礎インスリン補充に適した
製剤であることが確認されました。

SU薬効果不十分例におけるグラルギンの上乗せ効果
我々はSU薬を服用している2型糖尿病でコントロール不良(HbA1c 7.5%以上が1年
以上継続)の44例の患者に朝食直前あるいは眠前にグラルギン皮下注射を追加し、
18ヵ月にわたり治療効果を検討しました。
その結果、18ヵ月解析可能例(n=27)ではHbA1cが開始時の9.7±1.8%から
18カ月後に7.7±1.3%に低下しました。
全体では十分な結果とはいえないかもしれません。
しかし、SU薬を十分量用いてもコントロール不良という患者に1日1回投与という最小限
の負担で達成できた結果としては意義があり、インスリン導入に抵抗感の強い患者や
頻回注射が困難な患者への選択肢としてまず考慮されるべき方法ではないかと考え
られます。

また、最初の6カ月間でHbA1c7.0%以下を達成した改善群(n=11、平均HbA1c
6.7%)では18ヵ月後もグラルギンの増量なく良好なコントロールを継続している症例が
大部分を占め(図④)、SU薬効果不十分例におけるグラルギンを用いた
基礎インスリン補充の有効性が認められました。
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(図をクリックすると大きくなります)
一方、それほどまで顕著な改善がみられなかった群は朝食前血糖値が正常域に到達
したにもかかわらず、毎食後高血糖が持続した例でした。
この結果から、開始数ヵ月以内で判断し、食後血糖コントロールに追加インスリン注射が
必要と考えられた際には、積極的に夕食前に超速効型インスリンを用いるべきであることも
示唆されました。

明らかなピークをきたすことなく24時間にわたり安定した血糖降下作用を示す基礎
インスリン製剤グラルギンの登場により、2型糖尿病の治療体系は変化しつつあります。
SU薬を含む経口薬のみでは十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に
おいて、経口糖尿病薬を使用しながら基礎インスリンを追加するこの方法は最近BOT
( Basal supported Oral Therapy )
と呼ばれ、血管障害の発症・進展を阻止する
ためのインスリン導入の有用な方法の1つとして注目されているのです。
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サルボ シルク『プランテーションへの道』
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p90763819?u=;artfolio11


<引用文献>
l) Yki-Jarvinen H, et al、Diabeles Care23:1130-1136、2000
2) Porcellati F, et al. Djabetes Care 30:2447-2452, 2007
3) 後藤広目,ほか, 糖尿病50: 591-597, 2007

<参考>
カートリッジ型のインスリン製剤(ランタス注オプチクリック300)及び
専用の手動式医薬品注入器(オプチクリック)に関する注意喚起について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/09/h0930-7.html
持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタス」発売へ
http://www.yakubutsuryoho-center.jp/yakubutsu/detail.php?id=150サノフィ・アベンティス株式会社の「ランタス」の新規患者への発売開始について
http://www.saga-cs.org/IDDM/20071114.pdf

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)


皆様、よいお年をお迎え下さい。
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by esnoopy | 2007-12-28 11:10 | 糖尿病

基礎インスリン補充の意義 その1(1/2)

持効型溶解インスリンアナログ製剤 ランタス注オプチクリック300
(製造販売サノフィ・アベンティス)、一般名インスリン グラルギン
が薬価収載されて4年経過しました。
糖尿病専門医でない私としては使用経験のない薬剤ですが、日経メディカル
最新号に紹介され興味深く勉強させていただきました。
きょうはその記事を転載させていただきます。
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ギヤマン 水彩画15号『コンサート』
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v36889791?u=;artfolio11


我が国では40歳以上の3人に1人が糖尿病または糖尿病予備群であることが、平成18年国民健康・栄養調査速報で発表された。
2型糖尿病患者の血糖コントロールを良好に保ち、血管障害の発症・進展を阻止することは医療経済においても重要な課題である。
我が国で初めての持効型溶解インスリン製剤であるインスリングラルギンが発売されてから4年が経過し、臨床的知見も蓄積されてきた。
今回「増えゆく2型糖尿病へのアプローチ」シリーズの第1回として、血糖コントロール改善のための基礎インスリン補充療法の意義について、順天堂大学教授の河盛降造先生にお話を伺った。

2型稲尿病における高血糖の病態生理は?
健康な人では夜半の内因性基礎インスリン分泌率は1時間当た1単位弱であり、その結果、朝食前空腹時血中インスリン値が5~7μUノmLとなります。
インスリンによる全身糖取り込み率と肝糖放出率が一致し、血糖値は100mg/mlL以下に維持されています。

一方、摂食後には1回の食事あたり10~20単位ものインスリンが分泌され、肝糖放出率を0とし、かつ肝糖取り込み率が高まり、さらに筋糖取り込み率が増え、血糖値は速やかに食前値に復します。
2型糖尿病は、インスリン分泌量が少ないという遺伝表現型を有するところに、ライフスタイルの乱れから内臓脂肪蓄積、脂肪肝、脂肪筋が起こり、インスリン感受性を軽度であれ低下させることにより、発症してくるのが一般的です。
 
病初期においては、主に肝のインスリン感受性が低下し食後の肝への急激なブドウ糖流入に対して、わずかなインスリン分泌では肝糖取り込み率を十分高めることができなくなっており、食後血糖の異常な上昇とその遷延となって表れます(図①A)。
さらに病期が進み基礎インスリン分泌までが低下してくると、SU薬を含む経口薬を使っていても朝食前空腹時血糖値が140mg/dLを超えるようになってきます。
食後血糖値はより一層高くなります(図①B)。
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したがって、こうした2型糖尿病の血糖コントロール改善には基礎インスリン補充が必要になります。

基礎インスリン補充による血糖プロファイルの是正
上昇している朝食前空腹時血糖値を基礎インスリン補充により、適切にコントロールすれば、血糖プロファイル全体を押し下げることが可能と考えられます。
実際にSU薬を含む経口薬を使用しても十分な血糖コントロールが得られなかった2型糖尿病患者を対象に、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)(以下グラルギン)を1日1回就寝前に52週にわたり投与したところ、朝食前空腹時血糖値だけでなく、食後血糖値も含めた1日の血糖プロファイルが全体に40~60mg/dl低下したことが示されています(図②)。
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(図をクリックすると大きくなります)

基礎インスリン補充に適した薬剤の条件
高用量のSU薬に加え、他の経口糖尿病薬が長期間使用されているにもかかわらず、高血糖状態(HbA1c 8%以上)が持続している2型糖尿病患者では、機を逸することなくインスリン療法を導入すべきです。
「患者がインスリン注射を嫌がるから」といって放置すべきではないでしょう。
外来でインスリン療法を導入する際には、それまで使用していたSU薬を含む経口薬を継続しながら、基礎インスリン製剤を1日1回だけ追加するという方法は、こうした患者にとっても受け入れやすいものとなるでしょう。

それでは2型糖尿病患者の基礎インスリン補充に適した製剤の条件とは何でしょうか。
1日1回の投与により基礎インスリン分泌を模倣するには、何よりも24時間にわたり安定した効果が得られることが第一条件です。

出典  日経メディカル 2007.12
版権  日経BP社


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by esnoopy | 2007-12-27 00:47 | 糖尿病

胆石とNASH,Mets

胆石は非アルコール性脂肪肝炎とメタボリックシンドロームに関連
〔米ルイジアナ州ニューオーリンズ〕
アジア消化器病学研究所(インド・ハイデラバード)病理学顧問医師のAnurada Sekaran博士らは,症候性胆石症患者は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の有病率が高く、メタボリックシンドロームと有意な関連がられるとする前向き研究の結果を、米国臨床病理学会(ASCP)年次集会で報告した。

胆嚢切除術中に肝生検を実施
NASHは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)がさらに進展した疾患であり、肝細胞障害と線維化に関連している。
症候性胆石はしばしば肥満、高卜リグリセライド血症、インスリン抵抗性、2型糖尿病と関連しており、それらがNASHと関連することもある。
メタボリックシンドロームは、ウエスト周囲径の増加、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、高血圧、高血糖の基準のうち3点を有するものと定義されている。

Sckaran博士らは、腹腔鏡下胆嚢切除術を行った症候性胆石症患者88例を対象に、NASHとメタボリックシンドロームの有病率を評価した。
また、2006~07年に実施された胆嚢除術中に同時に肝生検を行った。
なお、術後合併症は見られなかった。

多量の飲酒、ウイルス陽性のB型・C型肝炎、自己免疫疾患とウィルソン病の患者は除外した。

NASH患者とNASHでない患者で、人口的特徴、身体的数値、肝機能検査、脂質プロフィール、超音波所見を比較した。
NASH診断後、肝生検所見を修正Brunt線維化スコアにより評価し、NAFLD Activity Score(NAS)を用いて脂肪化、すなわち脂肪変性、小葉性肝炎、バルーニングを評価した。

単変量解析の結果、生検時NASH患者では、脂肪化(P<0.0001)、肝細胞性のバルーニング(P<0.0001)、小葉性肝炎(P=0.0128)、繊維化((P<0.0001)との有意な関連が認められない。
また、多変量解析ロジスティック回帰分析の結果、脂肪化(P=0.027)、肝細胞性のバルーニング(P=0.16)、小葉性肝炎(P=0.002)でNASHとの関連が示された。

NASH患者はNASHでない患者に比べて糖尿病の有病率が高く(31.8%対17.9%)、血清コレステロール値が高く(53%対33.1%)、血清トリグリセライド値も高かった(29.4%対18.5%)ことから,NASHはメタボリックシンドロームと関連することが示唆された。
症候性胆石症患者はNASHの有病率も高かった。
同博士らは、NASHを早期診断すれば、患者がライフスタイルを改善し、同疾患の進行を予防する動機付けになる可能性があると結論付けた。

また同博士らは、腹腔鏡下胆嚢切除術中に肝生検を安全に行え、さらに組織学的評価が肝硬変の早期診断に役立つとしている。
同博士は「NASHを早期診断すれば、これらの患者を追跡し、肝硬変に進展するか否かを観察することが可能となる。
つまり、ライフスタイルを修正してNASHのさらなる進展を予防することができる」と付け加えた。
   (Copyright 2007 Doctors Guide.com)
Medical Tribune 2007.12.20
版権 (株)メディカル トリビューン


<コメント>
医学生の頃、胆石症の診断の糸口として「4S」を習った記憶があります。
その中の一つがFattyですから、NASHやMetsとの関連は首肯するところです。

文中に「症候性胆石はしばしば肥満、高卜リグリセライド血症、インスリン抵抗性、2型糖尿病と関連」と出てきます。

ここでどうして「症候性」なのかという点はよくわかりませんでした。
Metsの概念は、欧米ではどの程度の取り扱いなのでしょうか。
日本ほどではないように思うのですが、その点も興味のあるところです。

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by esnoopy | 2007-12-26 00:10 | 高尿酸血症

α-グルコシダーゼ阻害薬による消化管症状

日経メディカル2007.12に掲載されたα-グルコシダーゼ阻害薬の副作用に関する記事です。
私は個人的には夕食1回から開始して、患者さんに腹満などの副作用について説明しながら
漸増しています。
正しいやり方かどうか自信はありません。
この手を使うのは、糖尿病治療薬の「持ち球」を減らしたくないという気持ちがあるからです。
患者さんはいきなりいやな副作用が出ると、もうその手の薬は服用してもらえないことがしばしばあります。
このことはカルシウム拮抗剤などでもしばしば経験することです。

消化管症状は副作用というより主作用
HECサイエンスクリニック
(横浜市磯子区)理事長    平尾 紘

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)が発売されて10年以上になる。
欧米では、発売当初から血糖があまり下がらないとの評判が多かったが、日本では食後血糖低下薬として受け入れられた。
現在、わが国では、アカルボース(商品名グルコバイ)、ボグリボース(ベイスン)、ミグリトール(セイブル)の3剤が使用されている。

α-GIは、小腸粘膜上皮細胞に存在する二糖類加水分解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害することにより、二糖類の消化・吸収を遅延させ、食後の異常な血糖値の上昇を抑える。
そのため、食事の中の炭水化物の割合が50~60%以上でなければ効果がはっきりしない。
欧米で評判が悪いのは、蛋白質や脂質の多い食事をしているからで、炭水化物の多い日本では理にかなった薬といえよう。

副作用が強いほど効果が高い
近年、食後2時間の血糖値が高くなると膵β細胞の疲弊が進み、次第に空腹時血糖も上昇して明らかな糖尿病になることや、食後2時間血糖値が高いと心血管疾患にかかりやすいことなどが明らかになり、α-GIの重要性が指摘されるようになった。

食後2時間血糖値を下げることができる経口薬は、グリニド系とα-GIのみである。
そのうちα-GIは、インスリンを含む他の血糖降下薬と併用しやすいことが特徴である。

α-GIは、発売当初はインスリンとの併用が認められていなかった。
しかし、食後血糖値は病状が悪化するほど上がりやすくなる。
そのため、筆者は、むしろインスリン治療者こそα-GIを併用すべきだと考え、早い時期から1型糖尿病の患者を含む糖尿病の患者に積極的に使用してきた。
インスリンにα-GIを併用すると、HbA1cが0.8%程度改善することも報告した。

また、食後血糖を低下させることでインスリン抵抗性も改善するのではないかと考え、インスリンクランプ法でインスリン抵抗性を改善することも報告した(表1、図1)。
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    (クリックしていただくと大きくなります)

ただ現在は、超速効型インスリンアナログが発売されたことにより、食後高血糖の管理のためにα-GIを使う必要がなくなり、特に1型糖尿病については、α-GIを併用することは少なくなっている。

α-GIの副作用としては、腹部膨満感、放屈、下痢、腹鳴などの消化管症状がよく知られているが、筆者はこれらの症状は大なり小なり起こるものとして使用すべきと考えている。

通常、炭水化物は小腸の上部半分でほぼ100%吸収されるが、α-GIを投与することによって小腸の上部での吸収は50%に抑えられ、小腸の下半分で40%程度吸収されるようになる。
つまり、炭水化物の半分が2~3時間程度消化されない形で存在するということで、消化管症状は、消化・吸収されなかった糖質が下部消化管へ大量に流入することで起こる。
筆者は、α-GIによる消化管症状は副作用というより主作用であると考えている。

逆に、消化管症状が少ないのは、目指す主作用(食後過血糖の抑制)も弱いことを意味している可能性がある。
筆者の独断と偏見で述べると、食後血糖抑制作用が最も弱いのはボグリポース0.2mgで、続いて、アカルボース50mg、ボグリポース0.3mg、アカルボース100mgの順で食後血糖抑制効果が強くなる。
消化管症状はその逆の順で強い。

これらの2剤により便が柔らかくなることもあるが、下痢はめったに見られない。
筆者は、アカルボースが発売されたころ、ある患者さんに、「先日出してくれた便秘の薬を下さい」と言われて処方せんを調べたところ、便秘薬は1回も処方したことがなく、困った経験がある。

最近発売されたミグリトールは上記2剤とは作用機序が異なるため、副作用も若干異なるように思われる。頻度はそれほど多くないが、消化管症状の中で特に下痢の症状が目立つ印象がある。
なお、開発段階では摂取した炭水化物のうち10%が吸収されないのであれば、「やせ薬」になるのではないかと考えられたが、残念ながら残りの10%は大腸で吸収されることが判明している。

低血糖は起こりにくい
私のデータではないが、α-GIは低血糖を少なくするという学会発表がある。
1型糖尿病の患者に聞いてみても、低血糖は少なくなったという声が多い。
α-GIを服用すると、食後1~2時間の血糖上昇が抑えられ、その後、糖がゆっくり吸収されることにより、食後3~4時間の血糖が底上げされる。
そのために低血糖を起こしにくくなるのではないかと考えられる。

ところでα-GIを服用して低血糖を起こした場合には、砂糖では回復しないので、必ずブドウ糖を服用するようにいわれているが、本当にそうだろうか。
筆者は以前から、低血糖を起こす食後3~4時間には、α‐GIの作用は消えているのではないだろうかとの考えを持っており、実際、1型糖尿病の十数人の患者から、砂糖で十分回復するという体験談も聞いている。

新薬の使用に際しては、メーカーからの情報だけに頼ることなく、患者の意見もよく聞きながら、自分の考えをしっかり持って対応することが肝要である。

出典 NIKKEI MEDICAL 2007.12
版権 日経BP社

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上利 真永  湿原に
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s78509358?u=edelcoltd

<コメント>
ある講演会でこんな話がありました。
「炭水化物の摂取量の少ない欧米ではα-GIは効かない経口糖尿病薬と位置づけられている。
日本人は炭水化物の摂取量が多いので、有効例が多い。」


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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by esnoopy | 2007-12-25 00:04 | 糖尿病

PK/PDパラメータ

最近、キノロン系経口抗菌剤で「PK/PD超えて叩く」をキャッチフレーズにした新薬が発売されました。
私自身古い部類の医師になります。
薬理学は少しは学生時代勉強しましたが(当時の教授が結構売れ筋の教科書の著者でした)、臨床薬理学の概念があまりない時代でした。
きょうは(株)SAFEのSAFE-DI「薬効シリーズ」の記事でPK/PDを勉強してみました。
生体内に投与された抗菌薬は、薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)の過程で刻々と変化していくため、臨床における抗菌薬の評価では、抗菌力の他に、薬物動態を考慮することが必要となります。
そこで、抗菌薬の投与計画を立てる際には、薬物動態(PK)の指標と抗菌力(PD)の指標を組み合わせて考えることで、臨床効果の予測や評価を行うことができ、また、副作用や耐性菌発現の抑制が可能になります。
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版権 (株)SAFE

<参考>
TDM、薬物動態関連の専門用語解説
薬物動態(ファーマコキネティックス) 
体内動態ともいう。薬物の吸収、分布、代謝、排泄を包括した表現である。「生体が薬物に対して何をするか(What the body does to the drug)」という簡明な説明もされる。TDMの領域では、主に薬物の血液(血漿、血清)中濃度推移を意味することが多い。PKと略記されるが、吸収、分布、代謝、排泄を表すADMEも用いられる。

力学(ファーマコダイナミックス) 
薬動力学ともいうが、「ファーマコダイナミックス」の表現が比較的多く用いられるようである。
薬物の作用の観点から、薬物動態と対比させて用いられる。「薬物が生体に対して何をするか(What the drug does to the body)」という簡明な説明もされる。PKに対して、PDと略記される。

PK-PD
以前は「PK/PD」と表記されることが多かったが、英語圏では“/”が“or”の意味で用いられ、誤解を呼ぶ不適切な表記法であることから「PK-PD」と表記されるようになってきている。薬物のPKとPDを関連させて解析することにより、薬物の作用をより理論的・合理的に解釈・説明する方法論を総括的にPK-PDと呼ぶ。PK-PDは、狭義には、個体内の血中濃度の時間変化(PD)と薬理作用の時間変化(PD)をモデル解析により関連付けて解析するものを指す。より広義には、薬物投与による長期的な曝露(Exposure)と臨床反応(Response)の関係(E-R)も含めてPK-PDと呼ぶこともある。 FDAからE-Rに関するガイダンスが出ている。(Exposure-Response Relationships: Study Design, Data Analysis, and Regulatory Applications)

細菌感染症の領域では、PDの指標である起炎菌の薬物感受性(MIC)と薬物動態パラメータを組み合わせ、AUC/MIC比、Cmax/MIC比、T>MICなどの指標をPK-PDパラメータ(PK-PD index)と呼んで用いている。International Society of Anti-Infective PharmacologyはPK-PD用語の標準化を提言している(Standardization of Pharmacokinetic/harmacodynamic(PK/PD)terminology for anti-infective drugs: an update)

ピーク値(濃度) 
最高濃度(Cmax)ともいう。投与後、吸収過程の大部分が終了し、血漿中濃度が最も高くなった時点の濃度(図1)。臨床効果や副作用との関連で評価が必要な場合があるが、吸収速度が一定しない場合には評価が困難である。

トラフ値(濃度) 
最小濃度(Cmin)ともいう。反復投与時の投与直前の血漿(血清)中濃度(図1)。血漿中濃度の経時的推移の中で、変動の小さい時点であるため、血漿中濃度のモニタリングに最も適し評価時点である。

AUC、濃度―時間曲線下面積 
「血中濃度-時間曲線下面積」という表現もあるが、「AUC」が広く用いられている。通常、添え字を用いて、AUCの時間範囲を表記する。単回投与後の無限時間までのAUC(AUC0-∞、AUCinf)や反復投与時の1投与間隔のAUC(AUCτ)あるいは24時間のAUC(AUC24h)などが多く用いられるが、non-conpartment解析(NCA)では、最終測定点までのAUC(AUC0-T)も汎用される。Introduction to the Pharmacokinetic Equationsには、AUCをはじめ、多くのPKパラメータの算出式が多数掲載されている。

ベイズ推定(値)
TDM、薬物動態の領域では、PPK解析でよく用いられるパラメータの推定方法で、事前確率分布(母集団パラメータ)に加えて、観察値(個体の濃度値)が得られたとき、その観察値に基づく事後確率分布を推定の確信度とし、その個体の最も確からしいパラメータを推定する方法をベイズ推定と呼び、その値をベイズ推定値という。

文中の図は以下のサイトでご確認下さい。

TDM、薬物動態関連の専門用語解説
http://jstdm.umin.jp/yogo/yogo.html
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by esnoopy | 2007-12-21 00:03 | その他

コレステロール低値の脳卒中死リスクは必ずしも低くない

観察研究のメタ解析としては最も信頼性の高いProspective Studies Collaboration(PSC)が、血清脂質と心血管系イベントに関する解析をLancet誌12月1日号で公表した。
虚血性心疾患死のリスクは予想通り、血清総コレステロール(TC)低値例で年齢を問わず低かった。
一方、脳卒中死では、TC高値がリスクとなっていたのは、相対的若年者と収縮期血圧がほぼ正常である場合のみだった。

約90万例、1千万例・年のデータを解析
解析対象となったのは、観察開始時に心血管系疾患の既往がなかった40~89歳の89万2,337人。
前向きコホート研究61件のデータが集められた。わが国からのデータも含まれているが、主として欧米人の成績である。
また一般的なメタ解析と異なり、PSC解析では原則として、オリジナルデータが入手可能だった。

1,160万人・年のサンプル(平均追跡期間13年)中、55,262例が血管系イベントで死亡していた。
内訳は「虚血性心疾患死」が33,744例、「脳卒中死」11,663例、「その他の血管死」が9,855例である。

虚血性心疾患リスクはTC低値に従い減少
性別、年齢と参加した試験で補正後、血清脂質と死亡リスクの関係を検討すると、以下が明らかになった。

まず虚血性心疾患死のリスクだが、リスク対数値とTC値の間に正の相関を認めた。
年齢の高低、性別を問わず、TC値が37.8mg/dL(1mmol/L)低いと虚血性心疾患死のリスクも有意に低かったが、相対リスクの減少率は若年者で顕著であり、高齢になるに従ってTC低値による相対リスク減少率は小さくなっていた。

また、このTC低値における虚血性心疾患リスクの減少は、収縮期血圧の高低、喫煙習慣の有無、BMIの高低を問わず認められた。

脳卒中リスクは血圧145mmHg以上では有意に大きい
一方、脳卒中死リスク(対数値)とTC値は、40~59歳で弱い正の相関が認められるのみで、それより高齢では相関していなかった。

試験開始時の収縮期血圧別に検討すると、「145mmHg未満」ではTC値が37.8mg/dL低値であれば脳卒中死リスクは有意に低くなっていたが、「145mmHg以上」であった場合、リスクは逆に有意に大きくなっていた。
この脳卒中と総コレステロールの関係については、更に検討する必要があると著者らは記している。

なお本コホートにおける「非血管系死亡」は42,865例。TCが37.8mg/dL低値だとリスクは相対的に10%有意に増加していた(95%信頼区間:1.08~1.11)。
この結果を著者らは、TCを低下させる基礎疾患などによりリスクが増加した結果であろうと記している。

TC値と総死亡の関係は示されていないが、TC低値は「虚血性心疾患死」のリスクは低いが、血圧コントロール不良例では「脳卒中」抑制に注力が必要であり、また一般的にTC低値例では続発性の低コレステロール血症を除外する重要性が示された。

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=1644
2007/12/13(木)No.J000209

Prospective Studies Collaboration et al. Blood cholesterol and vascular mortality by age, sex, and blood pressure: a meta-analysis of individual data from 61 prospective studies with 55,000 vascular deaths. Lancet. 2007 Dec 1; 370(9602): 1829-39.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=18061058&ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

<コメント>
タイトルほどにはインパクトに欠ける内容です。
コレステロール低値で総死亡が増加するというエビデンスは以前からあるようです
が、スタチンの学術集会などでは、そのことは一切取り上げられません。
コレステロール値のLower the betterという考え方。
どうも私自身受け入れることが出来ませんでしたが、少なくともこの論文は心強い
味方になりそうです。
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by esnoopy | 2007-12-20 00:05 | 循環器科

超音波内視鏡下穿刺吸引法

米ルイジアナ州ニューオーリンズ
ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部ノースウェスタン記念病院(NMH、シカゴ)細胞病理学Songlin Zhang博士らは、超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FFNA)法が、多数の臓器病変の評価精度を有意に改善し、侵襲的な診断・病期分類施行数を減らすとする試験結果を、米国臨床病理学会(ASCP)の年次集会で報告した。

5年間に951例を再検討
EUS-FNA法は、癌の診断、病期分類、治療に用いられていたこれまでの方法に徐々に取って代わりつつある。
同法は食道、胃、膵臓、直腸、縦l隔の腫瘍における病期分類の精度がきわめて高いことが、多数の試験
で報告されている。
また、穿刺吸引時の生検針やブラシの新たな開発に
より、腫瘤の壁内や嚢胞から十分な標本材料を得ることも可能となっている。

Zhang博士らは、NMHでEUS-FNA法を用いて採取した過去5年間のサンプルを検討し、文献の現行法による知見と比較した。
2002~06年のEUS-FNA症例951例について細胞学的・組織学的な相関性を見直し、生じた矛盾については細胞学的検査または手術時に得られた標本を検討することで究明した。

感度、特異度、正診率とも良好
今回のEUS-FNA症例の病変部位は、膵臓465例、リンパ節249例、胃腸粘膜下111例、肝臓32例、その他94例であった。
偽陰性は3例で,偽陽性はなかった。
EUS-FNA法による細胞診は、悪性30.9%、異型性3.8%、腫瘍性12.9%、陰性37.9%,判定不能10.2%,その他4.3%であった。
 
全症例の37.5%について外科的追跡を行った。
おもに病期分類を検討したリンパ節は、判定不能例となる率が5.6%と最も低く、膵嚢胞病変では23.8%と最も高かった。
悪性と異型性を細胞診陽性、その他を陰性とすると、感度91.6%,特異度96.6%,正診率93.2%であった。
 
今回の知見から、NMHにおいてEUS-FNA法で、最も多く検出された病変を有する臓器は膵臓(48%)、次がリンパ節(26%)であった。
同法の全体としての感度は85~95%、特異度95~100%、正診率85~95%で、病変の位置と性状に左右された。
すなわち、膵臓の充実性病変の感度は95%であるのに対し、膵嚢胞では4.7%であった。

以前の試験で報告きれたように、適切な標本検体が得られるかどうかは専門医の経験に左右される。
Zhang博士は「EUS-FNA法は、有力な診断・病期分類ツールである。
今回の試験では、きわめて高い感度、特異度、正診率が得られた」と結論付けた。
(Copy light 2007 Doctors Guide.com)

Medical Tribune 2007.12.13
版権 (株) メディカル トリビューン

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by esnoopy | 2007-12-19 00:10 | がん治療

呼吸器感染症への抗菌薬投与

呼吸器感染症への抗菌薬投与 ハイリスク高齢者にはメリット

肺炎のリスクが大きい高齢者への抗菌薬の投与は、呼吸器感染症後の肺炎リスクを
有意に低減するため、メリットが大きいことが示唆された。
英国ロンドン大学の研究グループが、研究結果をBritish Medical Journal(BMJ)誌
10月20日号で報告した。

162カ所のプライマリケア施設から集めた、呼吸器感染症の症例336万件を対象
とした。

主要アウトカム指標は、抗菌薬の処方を受けた患者と受けなかった患者それぞれの、
診断から1カ月間の重症合併症リスクとした。

処方なし群と比べた場合の、処方あり群の調整オッズ比は、上気道感染後の肺炎発症
で0.68(95%信頼区間0.58-0.79)、中耳炎後の乳様突起炎で0.56(0.37-0.86)、
喉の痛み後の化膿性扁桃腺炎で0.840.84(0.73-0.97)で、いずれも有意にリスクを
低減していた。

ただしこれらの重症合併症の発症はまれであり、NNT(治療効果を1人増やすために
何人治療しなければならないかを示す値)はいずれの場合も4000を超えていた。
従って、抗菌薬投与の利益は大きいとはいえない。

胸部感染後の肺炎発症も、抗菌薬投与により有意に減少した。
処方なし群と比べた場合の、処方あり群の調整オッズ比は、0~4歳で0.22(0.17-0.27)、5~15歳で00.18(0.13-0.24)、16~64歳で0.27(0.23-0.32)、65歳以上で0.35(0.33-0.38)だった。
NNTはそれぞれ101(85-125)、96(73-137)、119(105-136)、39(36-42)だった。
65歳以上の高齢者に限れば、39人への投薬で1人の重要感染症が回避できる計算になり、投薬の利益は大きいといえる。
(I Petersen et al、BMJ published online 18 0ct 2OO7.)
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友成晴雄 作品名:高台の聖堂 マルセーユ
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<番外編>
2007年認定内科医・認定内科専門医のためのセルフトレーニング問題集(B) 
~解答と解説~ より
原発性アルドステロン症
*原発性アルドステロン症(PA)はこれまで高血圧患者の0.1~1%とされていたが、最近は内分泌性高血圧の中で最も頻度の高い疾患であると考えられており、高血圧患者の5%以上を占めるとの報告もある。
*PAの原因疾患で最も多いのはアルドステロン産生腺腫(APA)であり、PAのおよそ75%を占める。
*さらにAPAの半数近くがマイクロアデノーマであるとされる。
*両側副腎皮質過形成による特発性アルドステロン症(IHA)はPAの20%を占める。
*PAで明らかな低K血症をきたす例は半数以下である。
*血清K値が正常で血圧上昇も顕著ではない軽症例が多数存在しており、すべての高血圧患者においてPAを疑いPRA、PACを測定することが望ましい。
*アルドステロン/レニン比(ARR:PAC/PRA)が300~500(PACの単位pg/ml)以上の場合にPAを疑うという報告が多い。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

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by esnoopy | 2007-12-18 00:05 | 感染症

抗癌効果のある食事はあるのだろうか?

ある種の果物と野菜を食べると癌のリスクが低下しその増殖が止まる可能性すらある
ある種の果物と野菜が癌のリスクを低下させ、その通過路に発生する癌を抑制するのに役立つ可能性があると、新規研究は示唆する。

「抗癌作用をもつ食事」が現実に存在するわけではないが、ある種の果物と野菜を多量に摂取することは、発癌リスクを低下させるのに役立つと、研究者らは米国癌研究学会の第6回国際癌予防研究フロンティア年次会議(フィラデルフィア)で報告した。

その知見は、果物と野菜の摂取量が多いことが癌リスクの低下と関連することを明らかにした、以前の研究を確認および補強するものである。

最新の「A」リストには、ブラックラズベリーが食道癌の予防、およびブロッコリーのようなアブラナ科の生野菜が膀胱癌の予防に推奨されている。

新しい知見にもかかわらず、「魔法のような効果のある」食物はないと、オハイオ州立大学総合癌センター(コロンブス)の栄養学の准教授であり、演者のひとりであったLaura Kresty, PhDは述べている。
「この研究から学ぶべき重要なことは、多様な[果物と野菜]を食べよ、旬のものを食べよということである。本当に目指すべきことは、果物と野菜の総摂取量を増やし、野菜中心の食事を摂るように努めることである」。

ブラックラズベリーが食道癌のリスクを低下させる可能性がある
ブラックラズベリーを食べることが、食道癌になるリスクの高い人々を保護する可能性があることを、Kresty博士らは見出した。
博士らは以前に動物実験において、ブラックラズベリーが口腔、食道、および結腸の癌を抑制することを見出していた。

果物はおそらく、酸化ストレス、すなわちフリーラジカルによる細胞破壊を減らすこと、およびDNA損傷と細胞増殖速度を軽減することによって、そのような作用をするのであろうと、博士は述べている。
博士らは、バレット食道と呼ばれる食道の前癌病変を有する高リスク患者に研究対象を拡大することにした。
バレット食道患者は食道癌のリスクが30 - 40倍高いと、Kresty博士は述べている。食道癌は致死的であり、5年生存率は15%しかない。

研究では、20例の患者が、凍結乾燥したブラックラズベリーを1日に1オンス(28.3g)または1.5オンス(42.5g)(男性はより多く)、26週間摂取した。
「我々は酸化ストレスのマーカーを測定した」とKresty博士は述べている。
そのひとつが、尿中に排出される8-イソプラスタンという物質である。

「研究終了時に、58%の患者は8-イソプラスタンが顕著に減少しており」、これは酸化ストレスの減少を反映していた。

研究者らは、発癌物質の無毒化を促進するGSTpiという酵素の組織内レベルも検討した。
37%の患者においてはこの保護作用を有する酵素が増加していたことが明らかになった。

研究では実際に癌が発生した人々が減少したかどうかを調べる長期追跡調査は行われなかったが、Kresty博士は、果物には「保護作用があるように思われる」とWebMDに語っている。

ブラックラズベリーは食料品店で売っていると博士は述べる。
「通常、少しずつ食べるような種類のものである」と博士は述べている。

膀胱癌の予防のための野菜
ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ、およびカリフラワーのようなアブラナ科の生野菜は、膀胱癌のリスクを約40%低下させるようであると、Roswell Park癌研究所(ニューヨーク州バッファロー)の研究者らは学会で報告した。
それは、それらの野菜に含まれている、膀胱癌に対する保護効果を有すると考えられるイソチオシアン酸塩すなわちITCという化合物によるものである。

「生のアブラナ科の野菜は加熱調理した野菜よりも良い。
なぜなら調理中にイソチオシアン酸塩の量が60% - 90%減少するからである」と、研究のひとつを率いたRoswell Park研究所の博士研究員であるLi Tang, MD, PhDは述べている。

博士のチームは膀胱癌と診断された275例の被験者および825例の健康な被験者の食習慣を調査した。診断前の生および加熱調理済みの野菜の摂取、喫煙習慣、ならびに他のリスクファクターについて質問した。

1カ月にそれらの野菜を3食分以上摂取した非喫煙者は、1カ月に3食分未満しか摂取しなかった喫煙者と比較して、膀胱癌になる可能性が約73%低かった。(3食未満しか摂取していない非喫煙者のデータが示されておらず比較できない。)

ブロッコリースプラウトは膀胱癌の予防に、より優れている可能性があると、動物におけるブロッコリースプラウトの効果を研究したRoswell Park癌研究所の腫瘍学の教授Yuesheng Zhang, MD, PhDは述べた。
博士のチームは4群の動物を用いて検討を行った。1つの群には膀胱癌を誘発することが知られている溶液を飲ませブロッコリースプラウトの凍結乾燥抽出物を摂取させた;その他の群には、ブロッコリー抽出物のみか、または発癌物質のみを摂取させた。もう1つの群は対照群とし、何もしなかった。

10カ月後の時点で「発癌物質[のみ]を摂取した動物の96%に腫瘍が発生した」と博士は述べている。発癌物質とブロッコリー抽出物の両方を摂取した動物のうち、癌が発生したのは37匹のみであった。(曝露した動物数が示されておらず比較できない。)

この場合も、保護効果を示すと考えられるのはITCである。ブロッコリースプラウトは発癌物質を無毒化する上で重要な2つの酵素を活性化することによって効果を発揮するようであると博士は述べている。

American Association for Cancer Research's Sixth Annual International Conference on Frontiers in Cancer Prevention Research, Philadelphia, Dec. 5-8, 2007. Laura Kresty, PhD, assistant professor of nutrition, Comprehensive Cancer Center, Ohio State University, Columbus. Yuesheng Zhang, MD, PhD, professor of oncology, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y. Li Tang, MD, PhD, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y.


http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=SPECIALTY&articleId=64059&articleLang=ja

提供:Medscape

<コメント>
魅力的なタイトルでつい飛びついてしまいました。
日本発の報告ではないので食生活の違いからからか何だかピンと来ません。
洋の東西を問わず医食同源の考え方があることだけは理解できました。


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太尾芳生 日本画4号『山と小川の風景』
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by esnoopy | 2007-12-17 00:05 | がん治療

脳梗塞の再発予防・LDL−C100mg/dL目標も視野に

TIA患者の脂質管理でスタチン投与の意義
脳梗塞の再発を防ぐためには、LDLコレステロール100mg/dLを目指した積極的な
薬物療法を考慮して欲しい
−。
九州医療センターの岡田靖統括診療部長(脳血管センター脳血管内科部長)はこう話す。
脳卒中やTIA(一過性脳虚血発作)の既往がある患者は、動脈硬化性疾患の発症率が
高いことが知られている。

岡田氏は、動脈硬化性疾患の発症を抑制する上で求められる治療として、積極的な
脂質低下療法や血圧コントロールなどの全身管理を挙げる。
また、患者の全身管理を行うプライマリケア医と専門医との連携体制を構築する
ことが重要との考えだ。

再発予防で求められるプライマリケア医の役割
動脈硬化性疾患予防ガイドライン(GL)2007年版では、脳梗塞の既往がある人
に対する治療法として、冠動脈疾患の既往の有無により、治療方針を分けて明記
している。

冠動脈疾患の既往がある患者は、2次予防に位置付け、LDLコレステロール100mg/dLを目標値とした。
その一方で、脳梗塞の既往以外に危険因子がない患者は、1次予防のうち、高リスク群に
位置付けた。

LDLコレステロールの目標値は、120mg/dL。
これに対し、AHA(米国心臓病協会)では、目標とするLDLコレステロール値を100mg/dLとし、さらに脳梗塞の既往以外に危険因子を持つ高リスク群では70mg/dLを目標とした積極的な介入を推奨する声明を公表している。

岡田氏は、日本でも特に動脈硬化性疾患の発症リスクが高い患者では、LDL
コレステロール値100mg/dLを目指した積極的な治療を考慮しても良いとの考えを示す。

特に、脳梗塞を50〜60代で発症した患者背景に加え、喫煙・高血圧・糖尿病・
高LDLコレステロール血症のうち複数を合併するなど冠動脈疾患のリスクが高い
患者では、積極的な治療を考慮すべきという。
この理由として岡田氏は、「動脈硬化性疾患の危険因子の中から、加齢を取り除くことは
できない。
それ以外の危険因子をできるだけ厳格にコントロールしたほうが良い」との考えを示す。

脂質を厳格にコントロールする上で欠かせない薬物療法は、「脳卒中を発症した
段階ですでに動脈硬化の所見があって、LDLコレステロールが120mg/dLを
超える患者では、スタチンの投与を検討しても良いのではないか
」と話す。

TIA患者へのスタチン投与の意義
岡田氏がこのような治療を進める上で、裏付けとなるエビデンスが欧米で行われた
「SPARCL」試験の結果だ。
この試験は、冠動脈疾患の既往がない脳卒中、TIA患者を対象に行ったのが特徴。
①アトルバスタチン80mg/日投与群
②プラセボ投与群
の2群に分け、5年間追跡し、治療効果を比較した。主要評価項目は、割り付け後
最初に起きた非致死性または致死的な脳卒中。

その結果、脳卒中の発症率は、プラセボ投与群で13.1%だったのに対し、
アトルバスタチン投与群では11.2%で、アトルバスタチンの投与により脳卒中の
発症が有意に16%抑制された。

この試験結果から岡田氏は、日本との承認用量の違いこそあるものの、冠動脈疾患
の既往のない脳卒中患者に対してスタチンを使う意義は見いだすことができたとの
見解を示した。

一方でストロングスタチンの投与で懸念される脳出血については、「血圧など危険因子を十分にコントロールすれば十分安全」との考えを示した。

脳梗塞の発症を抑制する上で、発症リスクが高い患者を長期間フォローアップする
プライマリケア医の担う役割は大きい。

岡田氏も、「特に脳梗塞の2次予防において、プライマリケア医は主役」と話す。
脳梗塞の前駆症状とも言えるTIAの段階で見つけ出すことで、脳梗塞の発症を抑制する
ことができる)。

九州医療センターは、プライマリケア医との連携体制を構築している。

連携体制では、プライマリケア医が脳梗塞のリスクが高いと判断した患者を、
急性期病院である九州医療センターに患者を紹介する。その一方で、頸動脈内膜
剥離術(CEA)や頸動脈ステントを行う必要性がない患者は、プライマリケア医
に逆紹介している。

岡田氏は、「患者さんが脳梗塞を発症していることに気付かないケースでは、プライマリ
ケア医を訪れることも多い」と指摘。
「プライマリケア医にもぜひ治療の基本を知ってもらい、適切な生活指導・薬物指導を
継続して欲しい」と強調する。

特に、脳梗塞を発症している可能性が高い患者として岡田氏は、
①60歳以上 
②脳卒中の危険因子を持つ 
③いつ発症したか明確に分かる 
④半身の脱力、言語障害など局所の症状がある場合
の4点を挙げる。
該当する患者については、できるだけ早く患者を専門医に紹介して欲しいと
強調した。
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200711/series2.html


<コメント>
文中の「ストロングスタチンの投与で懸念される脳出血」。
ここが一番気になるところです。
そして、Lancet誌に掲載された以下の論文では、低コレステロールと脳卒中のリスク
について言及しています。

Prospective Studies Collaboration et al. Blood cholesterol and vascular mortality by age, sex, and blood pressure: a meta-analysis of individual data from 61 prospective studies with 55,000 vascular deaths. Lancet. 2007 Dec 1; 370(9602): 1829-39.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=18061058&ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

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箕輪春秋 湖畔風景 日本画6号
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by esnoopy | 2007-12-14 00:10 | 循環器科