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腸・第2の脳 その2(2/2)

昨日の続きです。

これからの時代の炎症性腸疾患診療に求められるもの

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
消化・代謝内科/消化器内科  
渡辺 守 教 授

脳と深く関係する
腸の組織としての重要性はそれに止まらない。
腸に関係した「腹が立つ」「腹が煮えくりかえる」という言葉があるが,例えば,精神的にイライラしたり,緊張すると,トイレに行きたくなる人もいる。
この事実は,腸が腸だけで働いているのではなく、脳との深い関係があることを意味している。
それどころか,最近の研究では,首から下の神経の
約50%を腸が持っているという,ヒトの体の中で最大の末梢神経組織であるといったことまでがわかってきた。

また,うつ病などの薬の標的になっているセロトニンは,現在,最も注目されている脳内物質で,このセロトニン関係物質が脳の代謝に関わっていることはよく知られているが,生体内のセロトニンの90%以上は脳ではなく腸にあることがわかっている。
もちろん,活性は脳に存在するものが大部分を占めるものの,セロトニン量としては脳には5%程度しかないのである。
したがって,セロトニン関係の物質が脳 - 腸の働きの問題と密接に関わっていると考えられる。

上記以外にも腸管自体のホルモンがかなり明らかになってきている。
例えば,グレリンという満腹ホルモンが胃から分泌されることが証明され,その他にも腸から分泌されるホルモンの多くが脳の中に存在するということがわかっ
てきた。
したがって腸にはヒトの体中で最大の内分泌系・ホルモン組織ともいえるのである。

さらに,腸にはヒトの生体内の微小な血管の約55%が存在し,最大の末梢血管系組織でもあることがわかっている。(図4)。

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非常に高い再生能力を有する
腸の上皮は機能維持のためヒト生体内において最も短いサイクルで細胞を更新し続けている。
腸陰窩底部に幹細胞が存在し,絶えず長軸方向に分化・増殖して,数日単位で絨毛先端から脱落するとされ,生体内でも最もターンオーバーが早い組織である。
したがって,消化管上皮は最も再生能力の高い組織の1つであると認識されるが,重篤な放射線腸炎や難治性炎症性腸疾患でその粘膜上皮の修復が傷害きれる場合,生体にとって大きな問題となる。
難治性クローン病における再発性潰瘍はそのよい例である。
また,再生のオーバーシュートは発癌に結びつくのではないかと指摘されており,潰瘍性大腸炎における炎症を母地とした癌化にはその可能性がある(図5)。
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最近になって腸はその特殊性が解明され,今や単なる管,ではなく”第2の脳”と呼ばれるほど,また脳も腸を守るために発達してきたことから「腸は脳より複雑な組織であるはず」という研究者もいるほど,腸は複雑で重要な組織であることが明らかになったのである.
 

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by esnoopy | 2008-01-31 08:12 | 消化器科

腸・第2の脳 その1(1/2)

ちょっと前、それも5年近く前の医学雑誌を捲(めく)っていたら興味深い総説が載っていました。
消化器専門の先生方にとっては当たり前の内容かもしれません。
しかし循環器が専門だった一開業医にとっては新鮮な内容だったので2回にわたって紹介させていただきます。
(各図はクリックしていただくと大きくなります)

これからの時代の炎症性腸疾患診療に求められるもの
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
消化・代謝内科/消化器内科  
渡辺 守 教 授

炎症性腸疾患の病態解明の進歩,それに基づくまったく新しい考え方,治療への展開には,腸の特殊性を理解する必要がある.
腸疾患がにわかに注目されてきたのも,1990年代に入り腸の特殊性が解明されつつあることが大きい。
本稿では,腸管の他の組織とは異なる性質について,最近解明されてきた事実を中心に概説する.

腸は単なる管ではない
腸は発生学的に,最も古い組織であると考えられている。
かなり下等な動物にも消化・吸収を行う腸管(原腸)は存在する。
すなわち,脳のない下等動物でも栄養分を吸収する
腸は必要であり,脳も消化管を保つために発達してきたとも考えられる。
脳神経系のみならず,血管系,免疫系,内分泌系も,実は,消化・吸収を行う腸の機能を保つために発達
してきた可能性が高い。
したがって,腸管は単なる”上皮細胞からできた管”ではないのである(図1)。
他の組織の移植に比し,小腸移植の成功例がきわめて少ないことも,腸の組織としての複雑さを物語っているといえよう。
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最大の面積で外界と接する
腸は,単に古い}臓器であるばかりではなく,体の外側に一番多く面している組織である。
普通,皮膚が一番多く外に面していると考えがちであるが,腸は皮膚の何と200倍,テニスコート1.5面分,300㎡ もの表面積で外界に接しているのである。
したがって,ウイルス,細菌などの微生物,食餌に含まれる抗原,異物の最大の侵入口であり,常にいろいろな物質に曝されている。

特に,腸には腸内細菌が常在し,その種類はこれまでわかっているだけでも400種類といわれており,それでも今なお,半数以上の菌が未同定であると推定されている。
ヒト1人の体内には100~200種類,10~100兆個の腸内細菌がいると考えられているが,その中には生体に必要な細菌も,毒素を産生する有害な細菌もいる。
健康なヒトの体内でも,腸と細菌は互いに毎日のようにダイナミックな戦い(生体側では細菌の殺傷・排出,細菌側では増殖・死滅を繰り返している。
そしてヒトの便の1/3はそれら細菌および腸粘膜細胞の死骸なのである(図2)。
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複雑な生体防御機能を持つ
ここで大きな疑問がある。
腸はもともと栄養分を消化・吸収するところであり,すなわち,良いものはどんどん取り入れたいと思っている.
しかしながら,有害なもの,不要なもの,細菌などの異物が一番侵入しやすい環境として生体防御の最前線である腸は,これら悪いものを排除したいとも思っている.
腸は良いもの,悪いものをどうやって見分け,どうやって処理しているのであろうか?

実は,その識別をする装置,監視をする装置として「免疫」が発達したと考えられている。
体外からの細菌,ウイルス,食餌抗原をはじめ,さまざまな異物に対する免疫は,腸から発達してきたと考えられているのである.

最近の研究により,通常は末梢血液中,リンパ節,骨髄等に多いと考えられているリンパ球の約60%が腸に存在し,gut-associated lymphoid tissue (GALT)と呼ばれる特殊な腸管粘膜免疫機構が存在していることがわかり,腸はヒトの生体内で最大のリンパ組織であることが証明されている。
抗菌ペプチド,Toll - like受容体 (TLR),樹状細胞(DC),γδT細胞など自然免疫に働く機構,免疫グロブリン,サイトカインなどといった獲得免疫に働く機構の両方が腸には備わっており,生体内で最も複雑な免疫統御を行っているのである(図3
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日本医事新報  2003年5月3日
版権 日本医事新報社


腸管における免疫機構
http://www.healthist.jp/special/150_03/03_03.html
慶應義塾大学医学部 消化器内科学教室 下部消化管(腸管免疫グループ)
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/medicine/ibd/study.html

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by esnoopy | 2008-01-30 00:23 | 消化器科

横紋筋融解症・診断基準

スタチン投与中のCK上昇はしばしば経験するところです。
β遮断剤の中でもISAのあるタイプではCK上昇も有名な副作用でした。
CK上昇イコール横紋筋融解症ではもちろんありませんが、この横紋筋融解症も意外と定義ははっきりしていないようです。
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CK基準値上限の10倍以上とミオグロビン尿を診断基準として提案

近年,薬剤の重大な副作用として横紋筋融解症が注目されているが,報告例間で検査値などに大きなばらつきが見られている。
笠岡第一病院(岡山県)内科の原田和博氏は,

①クレアチンキナーゼ(CK)基準値上限の10倍以上
②ミオグロビン尿を認める

との診断基準を提案した。

半数がCK値10倍未満で診断
原田氏は「横紋筋融解症は場合によっては薬剤の生命にもかかわりうる重大な名称であり,どのレベルでこの有害事象名を付けるかが問題になる」と指摘。
厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」では,横紋筋融解症の項に具体的な診断基準や検査値についての記載はない。
一方,米国心臓病学会/米国心臓協会/米国立心肺血液研究所の「スタチンによる筋障害の定義」によると,横紋筋融解症はCK標準値上限の10倍以上ならびにクレアチニン上昇を伴う筋肉の症状で,通常,褐色尿と尿ミオグロビンを伴うとされている。

同氏は,製薬会社に報告された筋肉関連有害事象65例について検討。
うち33例(51%)が横紋筋融解症だったが,血清CK値が基準値上限の10倍以上を示したのは17例(52%)で,5~10倍未満6例(18%),5倍未満と記載なしが各5例(15%)。ミオグロビン尿または尿潜血陽性を示したのは33例中13例(39%)にとどまった。
その一方で,「血清CK値上昇」との有害事象名で報告された11例中4例(35%)は同値が基準値上限の110倍以上であった。
同氏は「『横紋筋融解症』と「血中CK上昇」における血清CK値は実際には違いはほとんどなく,横紋筋融解症と報告された症例には重篤度で大きなばらつきがあった」と述べた。

続いて,臨床試験の担当医(医師)23人と製薬会社222社の安全管理担当者を対象としたアンケートの結果を紹介。
横紋筋融解症の診断に際して血清CK値は基準値上限の10倍以上は医師で37%,製薬会社で56%,同21倍以上がそれぞれ21%,11%,値は基準に入れていないが37%,22%,ミオグロビン尿を診断基準に入れているのは医師で68%,製薬会社で22%,ミオグロビン尿の確認がなくても褐色尿または尿潜血陽性で代用しうるのはそれぞれ16%,56%,筋肉症状(脱力,筋肉痛など)を診断基準に入れているのは65%,78%,腎機能障害を診断基準に入れているのは37%,44%であった。

以上の調査結果や文献などの検討を踏まえて,同氏は横紋筋融解症の診断基準を

①CK基準値上昇の10倍以上
②ミオグロビン尿を認める。
検査していない場合,尿潜血陽性や褐色尿があったり血清クレアチニン値の上昇があれば同義とみなす

とし,筋肉症状や腎障害は参考基準にとどめることを提案。
また同氏は,横紋筋融解症に至らないレベルの有害事象は,具体的な筋肉症状や検査値異常をそのまま記すのが現実的との考えを示したうえで,『これを機会に横紋筋融解症の具体的診断基準が設定される動きになればと思う」と締めくくった。

Medical Tribune 2008.1.24
版権 (株)メディカル・トリビューン


[2005年2月3日 (VOL.38 NO.5) p.53]
横紋筋融解症
スタチン単剤ではリスクは低い

〔ニューヨーク〕 米食品医薬品局(FDA)のDavid J. Graham博士らは「アトルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチンなどのスタチン系抗高脂血症薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が横紋筋融解症を引き起こすリスクは比較的低いが,スタチン・フィブラート系薬併用療法中の高齢糖尿病患者ではそのリスクが上昇し,cerivastatin・フィブラート系薬の併用では年間10例につき約 1 例という過度の高リスクが生じる」とJAMA(2004; 292: 2585-2590)に発表した。
主要 3 剤のリスクは低い
今回の調査では,全米11の健康保険制度に登録された患者のうち,スタチン単剤療法とスタチン・フィブラート系薬併用療法を受けた25万2,460例のデータが解析された。著者の一部にFDA職員もいたが,調査実施に当たり「FDAからの指示や干渉はなかった」と記している。
Graham博士らは「スタチン療法を受ける患者が今後数年間で大幅に増加する可能性を考えて今回の調査を行ったが,処方頻度の高いスタチン系薬 3 剤による横紋筋融解症のリスクは比較的低いことが再確認された」と結論している。
しかし調査では,医師は一部の患者に対して横紋筋融解症のリスクに関する特別な指示を与えるべきであることも明らかにされている。コレステロール値とトリグリセライド値が上昇した糖尿病患者らにスタチン・フィブラート系薬併用療法を行う場合,リスクが上昇するため,横紋筋融解症と思われる症状が出現したら服薬を中止して検査を受けるよう患者に指示しておく必要がある。
併用でリスク5.5倍に
1998年初頭から2001年半ばまでにスタチン療法を受けた25万2,460例中24例が横紋筋融解症のため入院した。全例とも添付文書に示された推奨用量の範囲内でスタチンを投与されていた。アトルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチンによる横紋筋融解症の発症率は同等であった。スタチン単剤療法を受けた患者では,同症の発症率は年間 2 万2,727例に 1 例であったが,スタチン・フィブラート系薬併用療法を受けた65歳以上の高齢糖尿病患者では,484例に 1 例となっていた。スタチン単剤療法による同症発症率は 1 万患者年当たり平均0.44例,フィブラート系薬単剤療法では2.82例であった。
横紋筋融解症のため入院した24例(平均年齢64.6歳)のうち,13例はスタチン単剤療法,3 例はgemfibrozil併用療法,8 例はスタチン・フィブラート系薬併用療法を受けていた。23例には入院前に筋痛または筋力低下の症状が出現し,入院前の症状持続期間は平均6.9日(うち 1 例は30日)であった。18例は重度の横紋筋融解症を発症した。
スタチン単剤療法を受けた患者では,発症までのアトルバスタチンまたはシンバスタチンの平均投与期間が348日(21~1,050日の範囲)で, gemfibrozil併用療法では77日(21~179日),スタチン・フィブラート系薬併用療法では32日(18~78日)であった。スタチン・フィブラート系薬併用療法のリスクは,スタチン単剤療法の5.5倍,フィブラート系薬単剤療法の 2 倍となっていた。
FDAに提出された症例報告としては,これまでに 2 件の独立した解析が行われており,横紋筋融解症の報告数はアトルバスタチンまたはプラバスタチンよりもシンバスタチンとcerivastatinで多いとされていた。これはテキサス大学(テキサス州オースティン)のM. A. Omar博士らによる所見(Annals of Pharmacotherapy 2002; 36: 288-295)で,今回の所見とは異なっている。
Graham博士らは,ランダム化比較試験におけるミオパシーの発生率を0.1~0.5%と推定している。血清クレアチンキナーゼ濃度が正常上限値の10 倍を上回る場合,ミオパシーと定義する。スタチン系薬剤は,横紋筋融解症のほかにも無症候性のクレアチンキナーゼ上昇などの筋障害を引き起こすことがある。安全上の問題のため,cerivastatinは米国市場から回収された。
実際のリスクはさらに高い
一方,ユトレヒト大学(オランダ・ユトレヒト)のRonald H. B. Meyboom博士と世界保健機関(WHO)国際医薬品モニタリングセンター(スウェーデン・ウプサラ)のRalph Edwards博士は「WHO国際医薬品モニタリングプログラムでは,現在までに各種スタチン(他剤併用も含む)の使用中に致命的な横紋筋融解症,ミオパシー,またはその両方を生じた症例を338例把握している」と Lancet(2004; 364: 1997-1999)に発表している。このデータベースには,市場から回収されたスタチンに関連する所見が含まれていることに当然注意すべきであろう。
同博士らは,この統計データに関して「スタチン系薬剤は,使用者が多いことや,心筋梗塞・脳卒中の予防による救命率の高さと比較すると,この数字は小さなものと言える。しかし,このデータはスタチン使用にはある程度のリスクが伴うことを示しており,医薬品の副作用が疑われても報告されないケースも非常に多いため,さらにリスクは高いと考えられる」と述べている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E6%A8%AA%E7%B4%8B%E7%AD%8B&perpage=0&order=0&page=0&id=M3805531&year=2005&type=allround

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横紋筋融解症をどのように診断するか
中谷 鈴木先生はミオパシーと横紋筋融解症の診断をどのように区別されていますか。
鈴木 まず筋肉痛とCK(CPK)を診ることになりますが,激しい運動をした場合には,当然,筋肉痛は出ますし,CPKが2,000~ 3,000 IU/Lまで上昇することも珍しくありません。ですから,横紋筋融解症の目安としては,このような筋肉痛が持続して徐々に増悪するかどうか,さらに必ず尿の色にも注意しています。また,他の薬剤を服用していないかどうかも重要です。
 実際に私が経験した横紋筋融解症は,3例とも尿の色で気付きました。筋肉痛を訴える患者さんの尿を調べるとオレンジ色を呈しており,ミオグロビン尿の可能性が高いと考え,採血を行ったところ,すでにCPKが4,000~5,000IU/Lまで上昇していたことから,すぐに入院させ,血漿交換や大量補液などの治療を行いました。
中谷 確かにミオパシーでも筋肉痛とCPKの上昇は起こりますので,横紋筋融解症と診断するには構造蛋白であるミオグロビンの上昇が重要で,尿の色は一つのポイントでしょう。
木下 症状がどう伴うかは非常に重要な問題ですが,ミオパシーなのか横紋筋融解症なのかは判断が難しい場合があります。横紋筋融解症だった場合は,薬をやめるタイミングを逃してしまうと,重篤な症状に陥る可能性もあるので,怪しいと思ったらスタチンを一度中止するという選択も必要かと思います。
 逆に申しますと,高脂血症治療薬をしばらく休薬したことで,著しいデメリットを引き起こすような事態にはなりにくいという判断を,一般の先生方には持っていただきたいと思います。
石神 私の経験でも,筋肉痛とCPKは必ずしも相関が認められません。ですから,筋肉痛などがあって日常生活に悪影響を及ぼす時は,CPK が正常であっても,やはり一旦スタチンを中止します。ただ,せっかくコレステロールを良好にコントロールしている時に,多少 CPKが上昇したからと,すぐにスタチン投与を止めてしまうことも問題です。私自身はCPKが2倍以上に上昇した場合に中止を考慮するようにしています。
中谷 最近,厚生労働省では,スタチンを投与している人に筋肉痛がある場合には,すぐに主治医に相談するように注意を喚起していますが,患者さんの判断で,筋肉痛があるからといってすぐに服用を止めてしまう場合もあるので,その点は注意が必要ですね。
石神 やはり患者さんにコレステロールを下げる意味を十分説明することと,最低1カ月に1回は受診していただくようにすることが,いちばん大切だと思います。

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by esnoopy | 2008-01-29 00:05 | 循環器科

胃がんの腹腔鏡下手術

王監督も受けた高度な手術。
患者の負担が軽く回復も早い。


減る傾向にあるといわれながら、年間1万人が新たに患者になっている胃がん。
発見が早ければ口から入れた内視鏡で切除できるが、それが無理なら手術が
検討される。
手術といえばお腹を20センチも開ける開腹手術が一般的だったが、ソフトバンク・
王貞治監督の手術で注目された腹腔鏡下手術も徐々に普及している。

もともと診断用具であった腹腔鏡が手術に初めて用いられたのは1990年。
胆石による胆嚢摘出に際してだが、翌年には慶應大学外科の故大上正裕医師が
世界に先駆けて胃切除に導入。
以来、20年近い歴史があり、先端を行く医師たちは高度な技術を駆使して優れた
手術を行っている。

「腹腔鏡下手術は、腹部に4~5カ所開けた切開口(穴)から手術用具を挿入し、
これを駆使して行う手術です。
一つの穴から入れた内視鏡を通して内部をモニターに映し出し、別の切開口から
挿入した特殊なメスで、がんのできている胃壁の部分または胃全体を切除し、
転移が想定されるリンパ節もはがしとります」
と手法を説くのは、王監督の手術を執刀した藤田保健衛生大学病院消化器外科の
宇山一朗教授。
食道と胃の上部消化管を専門とし、胃がんの腹腔鏡下手術だけで既に600例ほどを
実施。
上部消化管に対する鏡視下手術の国際的権威だ。

「当院の胃がん手術件数は年間約180例で、うち開腹手術は20例前後、残りが
腹腔鏡下手術です。
ガイドラインでは、その対象を早期がんと一部の進行がんと規定していますが、
腹腔鏡下手術で取りきれないものは開腹しても取れない。
そういう場合こそ軽負担に意味があるでしょう。
術前に化学療法を行って効果を確認した後で腹腔鏡下手術にかかるなど、個別に
判断して治療方針を立てています」

近県からの患者が中心だが、進行胃がんにも対処することを知った患者が遠方からも
やってくるという。

患者にとってのこの手術の利点は、身体負担が軽く、早期回復が望めること。
手術所要時間は通常3~6時間かかるが(開腹手術の1.5倍ほど)、翌日には自力歩行
が可能だ。

「医師にとっては内視鏡を用いるので肉眼では見えない鮮明な拡大視が得られることが
利点。
確実性の高い切除には欠かせない特徴です。
他分野の医師の声として、遠隔操作ゆえに執刀医の触感が鈍るという懸念もありますが、
経験を積むことで触感も磨かれます」

また、腹腔鏡下手術に適さないのは、がんが大きすぎる場合や重い心臓病などがある人。
この手法では、手術を容易にするため腹腔内にガスを注入して膨らませるので、心臓に
負担がかかるからだ。

使い捨て器具類が多く、病院側の出費がかさむのも欠点だろう。
消耗機器類代の十分な上乗せも医師の技術料もない一方、診療点数は胃がん手術
として一律に設定されているのだ。

なお、胃全摘をした後は、10キロ前後体重が落ちてなかなか戻らず、このことが患者
を再発の不安に陥らせたりするという。

「ものは考えようで、術後は肥満や生活習慣病が遠のきます。
特に男性は肥満と無縁の体形の人でも、内臓脂肪を溜め込んでいますが、これも
軽減します」

この手術の執刀医選びだが、身近な施設で受けたいという考えは時に、医者余りと
それゆえの熟練不足をもたらす。
未熟な手術を避ける意味からも、症例数の多い執刀医に患者を集中させるエ夫が
必要だろう。

週刊文春 2008.1.17
版権 文芸春秋社

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http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t60928971

腹腔鏡下胃がん・大腸がん手術ってどんな手術?
http://www.toyota-kai.or.jp/information/front/08.html

腹腔鏡下手術について
http://www.city.tsugaru.aomori.jp/seijinbyou/abdominal_cavity.html
腹腔鏡による胃がん・大腸がん手術について
従来行われてきた開腹による胃がんや大腸がん手術は、現在も広く一般的に
行われております。
しかしながらこれらの方法では、おなかに約25から30cm にわたる皮膚切開が
必要で、手術は成功しても腸閉塞症などの術後後遺症で苦しむ人も少なくありません。
そこで最近では、胆石症の手術などに使われる腹腔鏡を用いた手術が胃がんや
大腸がん手術にも応用され、より小さい傷口で手術が可能になりました。
この様な新しい治療により次のような利点がもたらされると期待されています。
(1)術後の腸の動きの回復が早く、早期に食事が摂れる。
(2)痛みが少ないため翌日から歩行可能である。そのため肺炎などの合併症が少ない。
(3)手術中の出血量が少ない。
(4)傷口が小さいため術後の腸閉塞(イレウス)などの発生頻度が少ない。
(5)体への負担が少なく、手術後の回復が早く、入院期間が短くて済む。

早期胃癌だが手術が必要と言われた方へ
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/surgery2/laparo_m/1_top.html

腹腔鏡胃がん手術
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/surg2/www/cancer/i/souki/index.html

早期胃癌に対する腹腔鏡下手術(1)
http://www.nagahama.jrc.or.jp/sinryouka/geka/laparo4.htm

胃がん 回復早い腹腔鏡手術
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/jitsuryoku/20060807ik09.htm

治療:腹腔鏡下胃切除術
http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestive-organ/stomach-cancer/sc_043.html

胃癌に対する腹腔鏡補助下手術
http://www.academic-surgery.jp/clinic_02_01_06.html

胃がんに対する鏡視下手術の成績と実績
http://www.city-hosp.naka.hiroshima.jp/k-net/k08/8-01-1.pdf

腹腔鏡下胃癌・大腸癌手術に対するマルチスライスCTによる手術支援
http://www.jsrtkinki.jp/bukai/item/df214aeb0f/78.pdf

腹腔鏡下胃切除
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/stomach/treatment_05.html
2004年版の胃がん治療ガイドラインでは、胃がんの腹腔鏡手術はステージIの胃がんへの臨床研究として行うべき治療として位置づけられています。

当科で行っている腹腔鏡下胃手術と臨床試験
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/surgery2/laparo_m/5_bunsho.html

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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by esnoopy | 2008-01-28 00:05 | 消化器科

血糖自己測定(SMBG)と血糖コントロール

きょうは「血糖自己測定(SMBG)」について勉強してみました。
最近の文献からの紹介とその解説です。
結論は、インスリン治療中でない糖尿病患者の管理における有用性はみられないというものです。
以前、他のブログで
測るだけダイエット法
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/20
というのを紹介したことがありました。

要するに、毎日体重を測るだけでやせられるというものです。
SMBGも意識を持って測ればいいのでしょうが、ただ惰性で測るだけではダメということなのでしょう。
どんなことをするにしても問題意識を持つ大切さを教訓として与えてくれる文献なのかも知れません。

いずれにしろ経口糖尿病剤服用中の方で、低血糖が疑われる場合にはSMBGが確認に役立つことは間違いないところです。

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自己測定による血糖コントロールの改善効果は疑問
血糖自己測定がインスリン治療中でない糖尿病患者の管理に及ぼす影響:無作為化オープンパラレル群間比較試験

非インスリン治療下の2型糖尿病で血糖自己測定は無効か
Impact of self monitoring of blood glucose in the management of patients with non-innsulin treated
diabetes: open parallel group randomised trial
BMJ Farmer A. et al.2007;335:132-135
University of Oxford,UK
<目的>
インスリンを使わない治療を受けている2型糖尿病患者において、血糖自己測定(モニタリング)の単独あるいは測定結果を自己管理に生かす方法を指導した場合、通常治療に比べ、血糖コントロールの改善効果が優れているかどうか明らかにする。
<結論>
非インスリン治療で血糖が比較的良好なコントロール状態にある2型糖尿病患者において、血糖自己測定は、測定結果を
自己管理へ活用するための指導の有無に関係なく、通常治療に比べ、血糖
コントロールの改善効果が優れているとしる確実な証拠を見いだせなかった。


<解説>
慈医大内科 田崎嶼尚子教授
わが国で血糖自己測定(SMGB)が糖尿病患者の血糖コントロールの手段として日常臨床に導入されるようになったのは1970年半ばのことである。
従前から血糖管理の手段とされてきた在宅検尿に限界があることは明白であったが、簡便な機器がないことや患者自身による血糖測定に対する批判など、SMBGのスタートは障害も多かった。
30年あまりを経てSMBGは1型糖尿病、糖尿病妊婦、そしてインスリン治療中の糖尿病患者にとって欠くことのできない治療の一手段となっている。
一方、2型糖尿病におけるSMBGの有用性はまだ定まっていない。

今回のDiGEM研究では、インスリンを使用していない2型糖尿病患者453人(男性57%)を通常治療群(3カ月ごとに受診、SMBGなし)、中等度介入群(SMBG1日3回以上、週に2日間測定・記録し、3カ月ごとに指導)および強化介入群(SMBG+結果の説明と食事・運動へのフィードバックに関する指導)に分けて12カ月追跡した。
12カ月後における各群のHbA1c値低下を、試験開始時のHbA1c値で補正して比較した結果、介入群は通常治療群に対してそれぞれ-0.14%および-0.17%と有意な変化ではなかった。
一般的にHbA1c値で-0.5%以上の差異をもって血糖コントロール改善と判断されるところから、著者らは非インスリン治療下の2型糖尿病患者におけるSMBGの有用性に疑問を投げかけている。

SMBGはたとえ1型糖尿病であろうと、ただ測定すればよいというものではない。
得られた情報をインスリン量の微調整や食事・運動にフィードバックすることではじめて血糖改善の効果が現れる。
特に非インスリン治療2型糖尿病においては、患者と医療スタッフが記録された血糖値をもとに、日常生活のどこを改善すればよいか話し合い、それを通じて患者の自己管理に関するモチベーションを向上させ、その結果として患者の行動に変化を促し継続させる、という過程が最も重要である。
したがって、これらの過程を経ない場合、SMBGの有用性にはおのずから限界がある。
Schwedesらは非インスリン治療下の2型糖尿病を対象に同様の検討をし、SMBG群で-0.46%の有意なHbA1c低下があったと報告している。
著者らは、SMBG群にのみ生活習慣改善指導を行ったためだと論じているが、基本的にSMBGの生活指導への反映を切り雛すことはできない。

一方、インスリン治療2型糖尿病におけるSMBGの有用性を示す論文は散見され、メタアリシスを用いた研究においてSMBG群では非SMBG群に比べ有意な低下が報告されている。

また、非インスリン治療中の患者も含め、SMBG群では非SMBG群に比べ全死亡率および糖尿病関連イベント発生率の低下が示されている。

非インスリン治療下の2型糖尿病におけるSMBGの有用性について結論を下すためには、さらなるエビデンスの蓄積が必要と思われる。

出典 MMJ 2007Vol.3 No12
版権 毎日新聞社


SMBGに関するお薦めサイト
http://www.sugawara.or.jp/link/smbg.htm

血糖自己測定(SMBG)について
http://www.toshiba.co.jp/hospital/culture/023.htm

SMBG Basics
http://www.club-arkraysp.net/basics/index.htmlSMBGの保険適用は、現時点ではインスリン自己注射症例に限定されています。

糖尿病NET―血糖自己測定(SMBG)
http://dmnet785.rsjp.net/smbg30/

血糖自己測定
http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/smbg.htm
■ 血糖自己測定のメリット
糖尿病治療の動機付け
治療法へのフィードバック
   食事量、食事内容の見直し
   インスリン投与量の変更
低血糖への不安感の解除
日々の糖尿病治療への励み
シックデイへの対処、重症高血糖の回避
血糖値予測訓練
■ 血糖自己測定のデメリット
コストがかかる
採血に伴う疼痛
数字恐怖症


<自遊時間>
1月25日朝刊の朝日新聞朝刊のトップ記事。
「司法試験合格3000人」見直しへ
法務省 質低下懸念受け

心配したとおりになりました。
またまた行き当たりばったりの国策の失敗が見え隠れします。

ある時期から医師も概略4000人から8000人と倍増されました。
そしてこれからも暫定措置として増えます。
はたして医師の質の検証はされているのでしょうか。

質を保つにはそれなりの環境整備が必要です。
診療報酬を含めた改善をしないと質の低下は必定です。

教育界も同様じことがいえます。
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by esnoopy | 2008-01-25 00:07

感染症臨床の最大の問題点「抗菌薬の保険適応」

「医療制度による悲劇」
先生方ももちろんそうでしょうが、日本の医療がよい方向に向かっているとは決して思えません。
私自身もだんだんくたびれてやる気はどんどんなくなって来ています。
それは齢を重ねたばかりではありません。
医学や医療に燃えた医学生時代、そして研修医時代が懐かしくてなりません。
医療が、なんの医療の資格も持たず医療現場も知らない(決して優秀とも思えない厚労省の)官僚にどんどん崩されていくのです。
きょう紹介する記事も「医療現場の悲鳴」としてお読みいただければと思います。

今回は、私の専門領域の感染症診療に関する最大の問題点を議論したい。
私は、2005年4月から、国内の大学病院に勤務を始めたが、赴任当初から、最大の問
題点であると感じているのが、「曰本の抗菌薬の保険適応」である。
この「保険適応」は、本来、患者が普遍的によりよい診療を受けることができるために設定されたものであろう。
世界的にもまれである「国民皆保険制度」を持つ日本は、非常に恵まれている。
国内でも公開された米国医療制度に対する批判を描いた映画にも代表されるような「医療制度による悲劇」は、多くの国で、後を絶たない気がする。
つまり、「お金がなければ、医療を受けられない」状況が「ふつう」の国が圧倒的に多いか
らだ。

ところが、その「日本の保険適応」にも、さまざまな限界があり、残念ながら、欧米の最新治療には追いついていない、サイエンスに追いついていないところが多々認められる。
私は、曰本で、日本の患者さんにも、欧米先進国で「あたりまえ」になっている診療を「普通に実現、提供したいとこころから願っているが、「保険適応」が、その大きな壁になっている。

欧米の常識と異なる適応や投与方法
抗菌薬は、種類、1回投与量、投与頻度(投与間隔)、投与期間が、「適切」であるときはじめて「臨床的な効果」が最大限認められる。
このうちの1つでも不適切であれば、患者にとっては「熱が下がらない、治らない」、微
生物学的には「耐性菌の発生」という悪循環が起こることになる。
曰本の薬事法で規定され、保険診療が認め
られている抗菌薬は、その適応微生物や投与方法(1回投与量、投与頻度)が、欧米での常識、コンセンサスと大きく異なるものが多いのは否めない事実である。
頻繁に使用するベータラクタム薬はその最たる例である。

国内のふつうの病院では、点滴の抗菌薬は「朝夕2回点滴」、経口薬は「朝、昼、晩」の3回服用といった根拠のない「慣習」でなされている。
実際には、薬物動態というサイエンスがあり、抗菌薬は、その観点から大きく2種類に分けられる。
つまり、効果が、最高血中濃度に依存する抗菌薬(アミノグリコシド、ニユーキノロン)
と、最小抑制濃度(MIC)より高い濃度に、いかに長い時間細菌をさらすか、その時間に依存する抗菌薬(ベータラクタム)に分けられる。

成人での投与方法の比較をしてみたい。
頻用される抗菌薬の代表のアンピシリン・サルバクタムは、欧米では、1回3gを6時間ごと(1日12g)、日本では、1回1.5~3gを1曰2回点滴(1日6g)となっている。
レボフロキサシンも、欧米では1回500~750mgを1日1回投与が一般的であるが、国内では、100~200mgを1日
3回、または1回200mgを1日2回となっており大きく異なる。
実際、国内でのレボフロキサシンの使用は外来で頻繁であり、少量の頻回投与という薬物動態を生かしていない投与法であり、耐性菌をつくる高リスクの状態である。

欧米の当たり前が実行できるインフラが必要
今後、日本で「よりよい医学部教育、研修医教育、生涯教育」を実現していくためには、少なくとも、このグローバリゼーションの時代においては、欧米先進国での「あたりまえ」の診療は、日常において実行できるインフ
ラ整備が必須である、と感じている。
同じ先進国にいるにもかかわらず、患者さんにとって、「日本で診療を受けるがゆえに、助からない」といった状況は、ぜひ、減らしたい、と強く願っている。
        
(自治医科大学感染症科准教授五味晴美)

MMJ January 2008 Vol.4 No.1
版権 毎日新聞社

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by esnoopy | 2008-01-24 00:05 | 感染症

肝硬変とエルトロンボパグ

肝硬変患者では血小板数が減少します。
そのような患者にインターフェロン/リバピリン併用療法は行いにくいのが
現状です。
エルトロンボパグ(Eltrombopag)は、国内で未承認の薬剤ですが、この
薬剤を使用することによってインターフェロン/リバピリン併用療法の適用
患者を増やすことが出来るという報告です。

血小板減少症合併の肝硬変 新薬候補併用で治療が容易に
血小板減少症が合併している場合、C型肝炎ウイルス(HCV)感染による
肝硬変患者へのインターフェロン/リバピリン併用療法は慎重に行う必要
がある。
米国デューク大学のグループは、トロンボポエチン受容体作動薬エルトロン
ボパグ(日本未承認)を用いると血小板数が上昇し、抗ウイルス治療が容易
になることを示した。
New England Journal of Medicine(NEJM)誌2007年11月29日号
で報告した。

欧米22カ所の医療機関で、18歳以上のHCV関連肝硬変患者74人(年齢
の中央値は51歳、男性が3分の2以上)を、エルトロンボパグ30mg/日投与
群(14人)、50mg/日投与群(19人)、75mg/日投与群(23人)、プラセボ
投与群(18人)に割り付けた。
主要エン ドポイントは、4週時の血小板数が10万個/mm3以上の患者の
割合とした。
4週時に血小板数が10万個/mm3以上となった患者の割合は、エルトロン
ボパグの用量が多いほど高く、プラセボ群では17人中0人、30mg群では
12人中9人(75%)、50mg群では19人中15人(79%)、75mg群では
21人中20人(95%)(p<0.001)だった。

血小板数が5万個未満になった患者にはペグインターフェロンの用量低減
が勧告されることになっていたが、この試験のどの時点でも、エルトロン
ボパグ投与群の血小板数は5万個のレベルを超えていた。
(John G McHutchison et al. NEJM 2OO7; 357: 2227-36.)

Nikkei Medical 2008.1
版権(翻訳) 日経BP社

エルトロンボパグで抗ウイルス治療対象患者が増加:日経メディカル オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200712/505006.html

Eltrombopag for Thrombocytopenia in Patients with Cirrhosis Associated with Hepatitis C
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/357/22/2227

慢性特発性血小板減少性紫斑病治療のためのエルトロンボパグ
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/357/357nov/xf357-22-2237.htm
GlaxoSmithKline社 特発性血小板減少性紫斑病患者を対象にしたPROMACTAの第3相試験で良好な結果が得られた
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=20251

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

<2008.4.1追加>
EltrombopagでC型肝炎患者の血小板数が増加
〔ニューヨーク〕ニューヨーク長老派教会病院肝疾患・移植センターの肝臓専門医でコーネル大学Weill医療センター(ともにニューヨーク)消化器病学と肝臓学部門のSamuel Sigal助教授は,新薬のeltrombopagがC型肝炎患者の血小板数を顕著に増加させ,効果的な治療法への道を開いたとNew England Journal of Medicine(NEJM,2007; 357: 2227-2236)に発表した。

30mg投与で患者の74%で血小板数が増加
C型肝炎患者では,しばしば疾患の進展に伴って血小板数が減少する。
この問題は,標準的な抗ウイルス療法が血小板数を危険なレベルにまで減少させることがあるため,結果として患者が必要な治療を受けられなくなることから複雑化している。

Sigal助教授は「今回の研究では,eltrombopagが血小板数を用量依存的に増加させ,重要な治療目標である最初の12週間の抗ウイルス療法を終了できた患者が増加した」と述べている。
同センターは22施設ある研究拠点の 1 つである。

第II相プラセボ対照試験では,C型肝炎ウイルス(HCV)感染により血小板数が少なく,肝硬変を呈する74例を追跡調査した。
対象をeltrombo-pagの投与量別の3群とプラセボ群にランダム化割り付けしたところ,同薬30mg/日投与の最低用量群では患者の74%で血小板数が有意に増加し,50mgまたは75mg/日投与群はそれぞれ79%,95%で増加した。
12週間に及ぶ抗ウイルス療法は3群でそれぞれ36%,53%,65%の患者が完遂した。プラセボ群でこの治療法を完遂できたのは 4 分の 1 未満であった。

副作用としては頭痛,ドライマウス,腹痛,悪心が確認されたが,いずれも治療を中断させるほど重度なものではなかった。

免疫性血小板減少性紫斑病にも有効
また,同センターのJames Bussel博士は,eltrombopagは血中の血小板数が著しく減少する自己免疫疾患である免疫性血小板減少性紫斑病(Immune Thrombocytopenic Pur-pura;ITP)患者で血小板数を増加させ,出血を減少させることに成功したと同誌(2007; 357: 2237-2247)に発表した。
今回の研究はeltrombopagを開発しているGlaxoSmithKline社から助成を受けている。同薬は血小板を産生する細胞の増殖と分化を誘導する研究段階の経口非ペプチド血小板増殖因子で,米国ではPromacta®,欧州ではRevolade®として販売されている。正常な血小板機能を回復させる他の薬剤は注入剤または注射剤であるが,同薬は 1 日1回投与の錠剤である。

米国では400万人,世界中では 1 億7,000万人がHCVのキャリアであると推定されている。
HCVはおもに輸血と血液製剤により感染する。感染患者の大多数は,輸血用血液のHCVスクリーニングが開始された1990年以前に輸血を受けるか静注の麻薬を使用していた。
また,かなりまれではあるが,性交渉時と周産期に感染することがある。

HCVは肝臓に炎症と瘢痕化を起こし,患者の約半数が治癒可能であるが,それ以外の患者では重度の肝損傷,肝がんが生じ,死亡することもある。HCV感染は肝硬変,肝移植の最も一般的な原因である。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4109131&year=2008
Medical Tibune 2008.2.28
版権 メディカル・トリビューン社
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by esnoopy | 2008-01-23 00:04 | 消化器科

インスリン分泌「膵島」移植に新技術

糖尿病患者への人工膵島移植。
開業医には遠い存在と思っていたため興味も持っていませんでしたが、
臨床応用も現実のものとなってきているようです。
研究においてもiPS細胞と同様に熾烈な競争(先陣争い)が行われています。
昨日の新聞に3つの研究が同時に紹介されていました。

糖尿病治療へ不足補う
人工的に大量培養  横浜市立大マウス実験で

重症の糖尿病患者にインスリンを分泌する膵島(すいとう)を移植する治療に
役立つ新技術が相次ぎ開発された。
まだ動物実験など基礎的な段階だが、横浜市立大学は人工的に膵島を大量
に作ることに成功。
広島大学と京都大学はそれぞれ、移植の効果を高める技術を開発した。
移植用の膵島は不足しているが、新技術が人で実用化できれば、移植を増
やせる可能性がある。

横浜市立大大学院の谷口英樹教授はマウスの膵臓(すいぞう)にある
インスリンを分泌する細胞や血管のもととなる細胞などを専用装置に入れる。
装置は宇宙飛行士が前後左右などに回転させられる訓練機器を小型にした
ような構造で、二つの軸で回転する。

回転の遠心力で重力を相殺するように細胞の入った容器を動かすことで、
膵島を大量に培養することに成功した。
数日で数百個の膵島ができ、従来のシャーレの中で培養する方法では重力
の影響で一個しか作れなかった。
新装置の規模を大きくすれば、移植に必要な1万個も作れる見込みという。

糖尿病の実験用マウスに注射したところ、血糖値が正常に戻った。
インスリンの分泌も確認した。
今後は人の細胞で人工膵島を作製する計画。

膵島は提供してくれる人(ドナー)が不足している。
人工膵島ができれば、新たな治療法として広がる可能性がある。
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効果向上
炎症防止へ抗酸化 広島大
膜で血液凝固緩和 京大

広島大やループがそれぞれ開発した技術は、少ない膵島提供でも移植を受
けられる患者を増やせる可能性がある。

膵島移植は直後に炎症などが起き細胞がダメージを受け機能が低下する。

従来、うまく働く膵島が定着する割合(定着率)は三 ― 四割にとどまり、
患者一人に対し二 ― 三人から採取した膵島を移植する必要があった。

広島大の檜山英三教授は、分離した膵島細胞が移植時に弱くなるのは体内
で過酸化作用を受けるのが原因の一つと考え、抗酸化作用を持つ薬剤を使う
手法を開発した。
この薬剤に移植前の膵島細胞を浸すとともに、その物質を移植の前後に患者
にも投与する。

ラットの実験では生着率が従来の約二倍の六割超に上昇した。
二匹分必要だった膵島細胞も一匹分で済んだ。
今後、倫理委員会などの承認を経て、一 ― 二年後に臨床研究を始める
方針だ。

京大の岩田博夫教授らは移植用の膵島を薄い膜で覆い、移植直後の炎症や
血液が固まる現象を和らげる技術を開発した。
膜は脂質とポリエチレングリコールの複合体で、膜表面には血栓を溶かす
ウロキナーゼという薬剤を付着させた。

試験管での実験では血液が固まる現象を抑える効果を確認した。
現在の膵島移植法にそのまま応用できるので三 ― 四年後には実用化
したい考え。

膵島移植法では移植した細胞が異物とみなされ攻撃される拒絶反応も起こる。
細胞を覆う膜は「拒絶反応を防ぐ役割も持っており、免疫抑制剤の使用量低減
にもつながるはず」と岩田教授は指摘している。
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<膵島>
膵臓(すいぞう)のの一つで、インスリンを分泌するβ細胞などが集まった百 ―
二百五十マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルほどの塊。
膵臓内に点々と浮かぶ島のように多数分布している。
インスリンは血糖値を下げるホルモン。
糖尿病のうち、これがほとんど分泌されないタイプの患者などは死の危険が
あるため、インスリンの注射が欠かせない。
他人の膵臓から膵島細胞を分離し、肝臓の門脈などに注入する膵島移植を
すれば、インスリン注射を不要にできる。

日経新聞・朝刊 2008.1.21
版権  日経新聞社

糖尿病の膵島移植
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20051107ik12.htm
膵島移植について
http://www.hosp.go.jp/~chibae2/ishokuj/suitou/suitou1.html
京都大学医学部附属病院膵島移植のホームページ
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~transplant/islet/index.html
神戸大学医学部附属病院 膵・膵島移植
http://www.med.kobe-u.ac.jp/suitou/

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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by esnoopy | 2008-01-22 00:34 | 糖尿病

女性の自然なやせは骨粗鬆症リスクを高める

〔仏サンテティエンヌ〕サンテティエンヌ大学病院(CHU)のBruno Estour博士は,体質的にやせている,言い換えれば自然に極度にやせている若年女性は骨質が劣り、骨粗鬆症リスクが高まる恐れがあるとする研究を,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(JCEM,2007;オンライン版)に発表した。

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http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v40537884

骨粗鬆症は食欲不振症と同等
体質的なやせとは,摂食障害がないにもかかわらずbody mass index(BMI)が16.5未満で,しかも体脂肪率は正常に近く,月経周期もエネルギー代謝も正常である若年女性を指す。

Estour博士は「体質的なやせはきわめてまれなため,食欲不振症と誤診されることが多い。
この領域の研究はきわめて限られており,これまでのところ,若年女性における低体重に関連する骨密度(BMD)低下は神経性食欲不振症患者においてのみ記述されてきた」と述べている。

今回の研究は18〜30歳の体質的なやせ女性25例と食欲不振症女性44例を追跡したものである。
大腿骨頚部と腰椎のBMD値を二重エネルギーX線吸収法(DXA)値で,また遠位とう骨と遠位脛骨は3次元周辺定量CTで測定した。
体脂肪と除脂肪体重も同じくDXAで測定した。

同博士は「食欲不振症患者のほぼ50%は骨量が低下し、骨折リスクがきわめて高いが,これはさまざまな内分泌・栄養異常で説明できる。
体質的にやせた若年女性でも,同等の比率で骨量が低下していたが,これは予想外のことで,内分泌,エネルギー,骨代謝回転が正常な状況では説明し難い」と指摘している。

骨粗鬆症は閉経後女性に多く見られるが,BMD値が一定範囲まで低下すると若年女性でも同等の骨粗鬆症が生じる。
今回研究者らは,健康な若年女性のBMD値についてメーカーから提供された参考データセットを用い,Zスコア(年齢を一致させた対照の平均値からの標準偏差で表示されるスコア)が−2.0未満であれば骨粗鬆症とみなした。
今回の研究では,体質的にやせている女性の44%はZスコアが−2.0未満であった。

同博士らは,遺伝および/または体重を支える中心的な骨領域への荷重の不足に関連する機序が,体質的にやせた若年女性における骨質の劣化の原因かもしれないと推察している。

Medical Tribune 2008.1.3
版権 メディカル トリビューン社


<コメント>
要するにやせている女性は年齢に関係なく骨粗鬆症のリスクが大きいということなのでしょうか。
文中に「体質的なやせはきわめてまれ」とのことですが、本当なのでしょうか。
若い女性が、若いうちから骨折の可能性があるのか将来的に骨折のriskが高くなるのかが、翻訳からははっきりしません。
また研究自体がどこまでoriginalityがあるのかも門外漢としてはわかりません。

骨粗鬆症の発症に関与する遺伝子の解明
http://www.giib.or.jp/giib/Index/press/20010416.htm
骨粗鬆症
http://www.naruoseikei.com/AAOS/Osteoporosis/Osteoporosis.html
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by esnoopy | 2008-01-21 03:17 | 骨粗鬆症

小腸用カプセル内視鏡

m3のネタで恐縮です。
Nikkei Medical2008.1の「”見えてきた”小腸疾患」の記事も含めて勉強してみました。


小腸用カプセル内視鏡 暗黒の臓器「小腸」が見える
カプセル内視鏡承認のインパクト 小腸疾患への関心高まる
出血源不明消化管出血の診断を可能とする小腸用カプセル内視鏡が(昨年)10月から保険適用となった。
これにより、これまで暗黒の臓器といわれていた小腸の全域を容易に見ることができるようになる。
適応患者は、大きめのビタミン剤サイズのカプセルを飲み込むだけという低侵襲性も大きな特長で、小腸疾患の診断治療への貢献が期待されている。

保険償還価格は7万7200円
薬事承認された小腸用カプセル内視鏡「ギブン画像診断システム」(以下、カプセル内視鏡)は、イスラエルで開発され、2000年にネイチャー誌で紹介された。
翌2001年には米国で販売され、2003年には日本でも独協医科大のグループを中心に治験が開始されていた。
それが07年4月になって、ようやく薬事承認を受け、5月から販売開始されている。

保険収載はこの10月で、カプセル(PillCam SB)の保険償還価格は7万7200円、技術料は1700点となった。

カプセル内視鏡の特長は、
①従来の内視鏡では観察することが困難だった小腸の全域について直接視覚化できる
②麻酔などの前処置やバリウムなどの造影剤なしに26×11mm大のカプセル型カメラを飲み込むだけで検査が可能で、患者への負担が極めて少ない
③約8時間の検査期間中、患者は通常の生活を送ることができ、肉体的負担が少ない
④高い病変検出率(出血継続症例では92.3%)
などが挙げられる。

カプセル内視鏡は嚥下後、毎秒2枚の画像を撮り、約8時間で約5万5000画像を撮像できる。同システムを扱うギブン・イメージングによれば、現在までに60カ国以上の60万人以上に使用されている。

カプセル内視鏡の適応は、原因不明の消化管出血で、欧米では上部・下部消化管内視鏡で出血原因が不明の場合に実施される。
しかし、日本では上部・下部消化管検査で出血原因が不明な場合、つまり胃透視検査や注腸検査で原因が特定できない場合に、カプセル内視鏡検査を実施できる(日本ではクローン病は適応外)。

承認治験を行った独協医科大消化器内視鏡センター長の中村哲也教授は、「従来、消化管内視鏡学の分野では胃がんや大腸がん、食道がんなどが主な研究対象だったが。
しかし、ダブルバルーン小腸内視鏡やカプセル内視鏡の登場で、小腸疾患への関心が一気に高まり、学会報告が顕著に増えている」と話す。

5月に都内で開かれた日本内視鏡学会では、前月に薬事承認を受けたばかりのカプセル内視鏡のセッションに、多くの参加者が詰めかけた。

中村教授はさらに「原因不明の貧血や下血がある患者にとって、早い段階で疾患が発見され、治療が受けられるようになった」と強調する。

小腸の視覚的検査は、カプセル内視鏡に先行したダブルバルーン小腸内視鏡でも実施されている。
しかし、これらの検査法がなかった03年秋頃までは、出血シンチグラフィー検査で小腸出血を確認した後に試験開腹を行い、術中内視鏡により病変を探していた。
それでも、病変を発見できずに閉腹することもあったという。

軽い消化管出血の患者に対しては鉄剤が投与されるが、長期投与により肝臓に鉄が沈着しヘモジデローシスを起こし、肝硬変になることもある。
そのような患者の早期発見にもつながる。

原因不明消化管出血のうち、小腸の出血は「恐らく5%前後だろう」と中村教授は言う。
中村教授らの研究では、カプセル内視鏡で確定診断になった症例(70例)のうち、潰瘍・びらんが34.3%と最も多く、血管性病変25.7%、腫瘍性病変17.1%、クローン病10.0%、小腸外病変8.6%、ベーチェット病2.9%、その他2.9%という結果だった。

プライマリケアでは
①明らかな消化管出血・下血
②貧血の持続
③便潜血が陽性でやや貧血
といった患者について、胃カメラや大腸内視鏡を最初に行い、異常がなかった場合にはカプセル内視鏡検査を勧めるべきだろうと中村教授は話す。

カプセル内視鏡とダブルバルーンで小腸疾患の解明進む
ただし、カプセル内視鏡の画像読影だけでは、確定診断になるものとならないものがある。
形態だけで診断できる良性ポリープなどは確定診断ができるが、組織所見が必要な腫瘍などは推定の範囲にとどまる。

潰瘍については、NSAIDsが原因の医原性潰瘍の場合は、NSAIDs休薬後に再検査が必要だ。
血管性病変についても形態的な診断は可能だが、出血の原因かどうかを判断するには、「ダブルバルーン小腸内視鏡による治療で出血が止まるか」あるいは「ダブルバルーン小腸内視鏡で採取した組織を確認する」必要がある。

ダブルバルーン小腸内視鏡は、検査と同時に治療を行えることが最大の強みだが、まれに穿孔や感染性炎症などの合併症が生じることがある。

症例にもよるが、読影に要する時間はカプセル内視鏡では、出血や病変が1カ所の場合、症例当たり20~30分でできる。
診断支援ソフトによって約8時間の画像を約45秒~約3分に短縮して見てることで大まかな見当を付けられるためだ。

一方のダブルバルーン小腸内視鏡は多くの場合、医師2名、看護師2名、放射線技師1名で行われ、検査およびその前後を合わせて約2時間かかる。

カプセル内視鏡は、鎮静剤や送気が不要であることもメリットだ。
ダブルバルーン小腸内視鏡の場合、送気の圧力によって、一時的に出血が止まり出血源を見逃すこともあるからだ。

スクリーニング効果の高いカプセル内視鏡と治療まで可能なダブルバルーン小腸内視鏡によって、小腸疾患の検査・診断技術は格段に向上した。
出血病変の検出には両者の併用が有用だとする報告もある。
「今後の課題は治療薬開発だ」(中村教授)。


小腸用カプセル内視鏡
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200712/special2.html
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http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v39959174


<参考>   Nikkei Medical 2008.1 より。
*小腸は内視鏡の挿入が困難なため”暗黒大陸”とまで呼ばれていた。
*ダブルバルーン内視鏡; 2003年にフジノン東芝ESシステムが発売
*シングルバルーン内視鏡; 2007年6月にオリンパスが発売
*消化管出血の30~50%が上部および下部内視鏡で出血源を判定できない。
  消化管出血全体の5%程度が小腸からの出血。(Gastroenterology 200;118:201-
221)
このデータは小腸内視鏡が開発される前のもの。小腸出血は実際にはもっと多い。
*出血源が不明だった135例中70例でカプセル内視鏡などで小腸病変を確認したというデ
ータもある。
*クローン病は狭窄を引き起こしやすく、滞留の可能性があるカプセル内視鏡は禁忌になって
いる。
*小腸の腫瘍性病変は良性が大半。
*稀に、原発性小腸癌、消化管間葉系腫瘍(GIST)や悪性リンパ腫などが報告されている。
*小腸は壁が薄く、出血や穿孔など、内視鏡挿入による合併症のリスクは高いと予測される。
*小腸のNSAIDS潰瘍についての治療薬については議論がある。


<コメント1>
随分昔のことです。
研修医時代にメッケル憩室の症例を、部長先生に言われるまま学会発表しました。
小腸二重造影の写真を提示しましたが、発表している自分自身もよく納得できなかったことを思い出します。
<コメント2>
便潜血反応陽性例で胃と大腸のチェックをして異常のない症例によく遭遇します。
仕方がないので便潜血の再検と、血液検査で貧血の出現や進行がみられないかを定期チェックすることになります。
案外歯肉出血や痔が原因だったりするのかも知れませんが。
<コメント3>
数多くの画像をチェックするのは大変なことと思われます。
<コメント4>
免疫学的測定法は「上部消化管(胃、十二指腸など)に出血がある場合、胃酸や消化液のどの影響によりヘモグロビンが変性し、陽性と出にくい」ということになっていますが、空回腸の出血の場合、化学的測定法とどちらが感度、特異度が高いのでしょうか。
一般的に上部消化管は、食道・胃・十二指腸、下部消化管は大腸ということで、今まで小腸は恣意的に、診断からはずされていた感は否めません。

便潜血検査について
http://www.toshiba.co.jp/hospital/culture/014.htm


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ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-01-18 00:05 | 消化器科