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太りすぎの女性は癌リスクも高い


〔ロンドン〕 英国癌研究会が助成しているMillion Women Studyの参加者を追跡
した研究で,英国女性の子宮癌と食道癌患者の半数は過体重または肥満により引
き起こされていることがわかった
と,同研究会の疫学者でオックスフォード大学(英オッ
クスフォード)のGillian Reeves博士らがBMJ(2007; 335: 1134)に発表した。

5 %が過体重か肥満に起因 
今回の研究は,現在の英国女性における過体重・肥満とさまざまな癌との関連性に
ついて,信頼性の高いエビデンスを提供した初めての研究。
Million Women Studyは,女性の癌リスクを調べた研究としてはこれまでで最大
規模のものである。
 
今回の研究から,英国の中高年女性では,すべての癌の約 5 %,すなわち年間
6,000例の癌が過体重または肥満に起因することがわかった。
 
さらに,過体重または肥満が主要な危険因子となる癌として,子宮癌とある種の食道
癌だけでなく腎臓癌,白血病,多発性骨髄腫,膵癌,非ホジキンリンパ腫,卵巣癌,
さらに閉経後の年齢集団では乳癌,大腸癌にも関連することが明らかになった。
 

Million Women Studyにおいて 7 年間に追跡された女性は100万例余りで,この
うち発癌したのは 4 万5,000例,癌死亡は 1 万7,000例にのぼった。
 
筆頭研究者のReeves博士は「われわれの成績に基づいて推定すると,英国の中高
年女性における年間12万例の新規癌患者のうち,過体重者または肥満者はほぼ
6,000例を占める。
これらの癌患者の 3 分の 2 は子宮癌または乳癌である」と述べている。
 
過体重は,他の癌危険因子に比べて,いくつかの癌リスクにかなり大きな影響を及
ぼすことも示された。
しかし,body mass index(BMI)と癌との関連性は,女性が生涯のどの時期に
いるかによることもわかった。

例えば,閉経後に太っていると乳癌リスクが高くなり,大腸癌リスクは閉経前に太っ
ている場合のみ高くなる。
 
同研究所健康情報部のSara Hiom部長は「この研究は癌の発症と死亡に及ぼす
過体重・肥満の影響に関して,さらなるエビデンスを加えるものである。ほとんどの
人は余分な体重を背負っていることを一般的な健康リスクと関連付けているものの,
特定の癌と関連付けることはまずない。今回の結果は,既に確立している糖尿病や
心筋梗塞など癌以外の疾患と肥満との強い関連性と合わせて考察する必要がある」
とコメントしている。

Medical Tribune 2008.1.24
版権 メディカル・トリビューン誌


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肥満で、全がん死亡率が上昇
http://www.metamedica.com/news2003/2003050501.html
#90万人の米国民を16年間追跡したところ、肥満度が高くなるほど全がん死亡率
が高く、がん死亡全体のうち、男性では14%、女性では20%が、肥満が原因と
推計された。
#個別のがんについて見ると、BMIの増加で死亡率が有意に高くなったのは、食道・
胃(男のみ)・結腸・直腸・肝・胆・膵・腎・非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・前立腺・
乳房・子宮・卵巣におよんだ。つまり、ほとんどの部位のがんで、肥満による死亡率の
上昇を認めた。
#これまでも、(閉経後乳がんなど)一部のがんのリスクが、肥満によって上昇する
ことは知られていた。けれども今回の結果は、肥満によるリスク上昇が、一部のがん
に限られるものではなく、多くの部位のがんに共通するもので、むしろ「普遍的」な
現象である可能性をうかがわせるものだ。
#食生活によるがん予防を考える際に、「なにを食べるか」(どんな食物や栄養素が
有用か)に限らず、「どれだけ食べるか」(エネルギー摂取をどれだけ控えて肥満を
予防するか)を重視することの大切さを示すデータと言えそうだ
#人口に占める肥満者の割合や程度は、米国より日本のほうがずっと小さい。
そのため、おなじ推計を日本人で行えば、この割合もずっと小さくなるはずだ。


肥満女性にがんリスク
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_593.html
肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/17/obese_can.html
胆石症、肥満指数と胆道がんとの関連について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/61/bmi_biliarytract.html
肥満指数・身長と大腸がんリスクについて
http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news016.html
#肥満指数27以上で、男性の大腸がんリスク上昇
肥満ががんの最大要因に?~最新調査
http://www.usfl.com/Daily/News/08/02/0220_002.asp

#現在、肥満自体にがん発生の原因があると考えられるようになり、証拠となる研究
データが続々と増えている。

肥満はがんの要因 米大統領がん諮問委
http://mhlab.jp/calendar/seikatsusyukanbyo_01/2007/08/001722.php
#がんによる死亡率は、肥満のある男性では50パーセント、女性では60パーセント高くなるという。

肥満者ではPSAによる前立腺がん検診でがんが見落とされやすい
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/psa_4.html
#肥満者では、前立腺がんの発症リスクが高く、また 前立腺がんによる死亡リスクも高いことが既に明らかになっている。今回の研究から、肥満者ほど、PSA検査でがんが見逃される可能性があることが、肥満者の前立腺がん死亡リスクを高める一つの理由となる可能性が示されたといえる。
死亡数によるリスク表現 
http://www.yasuienv.net/RiskSortedbyDeath.htm 
(「リスク」についてのお話です)
がん予防に肥満対策が必要 世界がん研究基金 
http://mhlab.jp/calendar/pro/calendar1/2007/11/001964.php
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by esnoopy | 2008-02-29 00:18 | その他

抗菌薬使用前の皮内反応試験

昨日に続いて日経メディカル2月号特集連動企画「その処置、必要?」 からです。


抗菌薬使用前の皮内反応試験
「既往歴ある患者への類似投与時など、特別な場合に実施」 
「抗菌薬を静脈注射する前に行う皮内反応試験は、アナフィラキシーを完全には予知できない」。

2003年に日本化学療法学会が出したこの報告を受け、厚生労働省は04年、抗菌薬の添付文書から皮内反応試験の実施を行う旨の記述を削除するよう通知した。

同報告の主旨は、
1. アレルギーの既往がある患者のみ皮内反応を行う米国より、皮内反応の実施を基本としていた日本の方がアナフィラキシー発生の頻度が高い()、
2. 皮内反応陰性でもアナフィラキシーが発生している、
3. 皮内反応の陽性率がアナフィラキシー発生率より数十倍から数千倍高い
という3点。
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皮内反応試験では完全にショック発生を予知できない上に、偽陽性の発生によって本来抗菌薬を投与できた患者にまで投与を控えられていた可能性があるため、ルーチンで行う皮内反応試験はデメリットの方が大きいというわけだ。

04年に同学会が出した『抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン』では、「アナフィラキシーを確実に予知する方法はない」とした上で、問診を十分に行うこと、ショックへの対応を迅速に行える体制をとることを強調。
皮内反応試験の実施は、アナフィラキシー既往歴がある患者に類似薬を使うときなど、特別な場合に限られるとした。

訴訟対策にはならない
しかし、「実際にまだ皮内反応試験をルーチンで行っている医師はいる」と同学会・皮内反応検討特別部会委員長を務める国立病院機構東京医療センター統括診療部長の岩田敏氏は話す。

07年、同学会が皮内反応試験実施の有無を医療機関にアンケートしたところ、704施設中469施設で皮内反応試験を全面中止していたものの、「アレルギー体質の患者に限って実施」が121施設、「ルーチンで実施」が50施設、「一部の診療科では実施」が29施設存在した。
調査対象はインフェクションコントロールドクターが在籍する医療機関で大病院が中心。
中小の医療機関ではさらに多いことが予想される。

このアンケートでは、皮内反応試験に対する過信も浮き彫りとなった。
皮内反応試験を行う理由として、「訴訟対策」「注射後に十分な観察が困難」という答えがそれぞれ3割ずつを占めたのだ。
「アナフィラキシーへの対応がまずいと訴訟になるかもしれないが、皮内反応試験実施の有無は関係ない」と岩田氏。
最低限、皮内反応試験さえしていればいいという考え方は通用しない。

岩田氏は「十分な観察といっても、医師が観察し続けるのは不可能に近い。抗菌薬投与後30分程度、誰かの目が届く範囲にいてもらったり、リスクを職員に周知徹底するなど、現実的な対策をとるべきだ」と話す。アナフィラキシー対策ガイドラインについても、ショックへの対処法を中心に今年中に見直す方針だ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200802/505484.html


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by esnoopy | 2008-02-28 00:04 | その他

注射前のアルコール消毒

Nikkei Medical 2008.2の特集「その処置、必要?」では日常診療で何の疑い
もなく行っていることが、実は意外と根拠がないという事例が紹介されています。
「トリビアの泉」的で勉強になりました。
きょうはその中のひとつを紹介させていただきます。

注射前のアルコール消毒
「必要なのは関節注か体内に留置するとき」

注射や採血の前に、アルコール綿で皮膚をゴシゴシと消毒する・・・。
「この行為には全く根拠がない。むしろ、多くの医師は意味がないと感じながら、慣習
によって続けているだけではないか」。
こう話すのは、石岡第一病院(茨城県石岡市)傷の治療センター長の夏井睦氏だ。
米国の糖尿病患者が服の上からインスリン注射をしても、なんら問題になっていない
現状を考えれば、夏井氏の言うことももっともかもしれない。

アルコール消毒に根拠がない理由は、皮膚表面と体内の環境の違いにあると夏井氏
は指摘する。
正常な皮膚の上には常在菌が定着している。
常在菌は皮脂を栄養源としており、その代謝産物としてパルミチン酸やステアリン酸
などを生成、それIこよって皮膚表面はpH5.5の弱酸性に保たれる。
一方で体内はpH7.4の中性環境だ。

「皮膚常在菌が生存できるのはpH5.5の環境。pH7.4の環境では生存できない」と
夏井氏。
つまり、注射によって皮膚常在菌がいくら体内に入ったとしても、生息環境が異なる
ため増殖できない()。
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逆に、黄色ブドウ球菌など、pH7.4の体内で増殖する菌は、弱酸性の皮膚の上では
外部から通過菌として付着し、休眠状態で張り付いているのがやっと。
健常な皮膚の上では、感染を成立させるまで増殖することはない。

入る菌はわずか数個
では、このような通過菌が注射によって体内に入り込み、感染を引き起こすことは
ないのだろうか。
針の表面積などから、注射によって体内に持ち込まれる菌の数を推計すると、「わず
か数個」(夏井氏)と少ない。
常在菌より少ない通過菌では入り込む数はさらに減少する。
また、針は注射が終われば抜去されるため、菌はすぐに体内の免疫細胞に攻撃
されてしまう。

もちろん、注射前に皮膚を念入りに消毒すべき場合もある。
血管カテーテルや点滴など、感染源となる異物を体内に留置するとき、もしくは関節に
注射するときだ。
関節腔は本来無菌状態が保たれており、外部からの感染に弱いためだ。

ランダム化比較試験も実施
実は、注射前のアルコール消毒が本当に必要かどうか、二重盲検ランダム化比較
試験で厳密に検討した研究が存在する。
せたな町立国保病院瀬棚診療所(北海道)所長の吉岡和晃氏は2003年、インフル
エンザの予防接種の際に、673人をアルコール綿で拭く群と蒸留水綿で拭く群に
割り付け、注射による皮膚感染の有無を比較した。

接種2日後もしくは3日後に接種部位を確認した結果、アルコール綿群、蒸留水綿群
ともに、1例も感染は認められなかった。
「04年から、採血の際もアルコール綿、水道水綿、もしくは拭かないという3つの選択
肢から好きなように選んでもらっているが、全く感染は起きていない。
ただし、実施には住民への丁寧な説明が必要だ」と吉岡氏は話している。

Nikkei Medical 2008.2
版権 日経BP社


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注射部位のアルコール消毒は原則的に行いません
http://homepage3.nifty.com/elfaro/information/alcohol.htm
#アルコールの消毒効果が一番出るのは、アルコールが蒸発して皮膚面が乾燥する
瞬間である、と言われています(それでも無菌にはなりません)。
ところが、多くの病院ではアルコールが完全に乾く前に注射の針を皮膚に刺して
います。
でもそれで実際に「感染が起きた」と言う話は滅多に聞いた事がありません。
つまり、今まで消毒していたつもりでも、実際にはきちんと消毒の効果が得られて
いなかったと言う事になる訳です。
それでも感染が起きていないということは、「注射の前に消毒しなくても問題ない」
ということがこれまでの経験から既に実証されている、ということになります。
#アルコール綿の入れ物の中では、アルコールに耐性を持った細菌が繁殖している、
という報告があります。
汚染されたアルコール綿を注射部位の皮膚に使用することは、「何も使用しない」場合
よりもずっと危険である可能性があります。
常在菌は通常、その菌を保有している本人には何ら悪影響を与えませんが、外から
持ち込まれた細菌は病原性を示す可能性があるからです。
このような場合は、アルコール消毒は「無意味」と言うよりむしろ「有害」ということに
なってしまいます。
#アルコールには非常に強い粘膜刺激性があります。アルコールが乾かないうちに
注射の針を刺す事は、上記のように消毒効果が不十分になるだけではなく、針の刺入
により組織に痛みを生じさせる原因となります。
また、炎症や傷のある皮膚面にアルコールを使用すると非常に強い刺激性を示す
ため、このような皮膚には使用できません。


注射の前のアルコール消毒は必要か?
http://www.wound-treatment.jp/wound048.htm

薬液缶に大量に作っておいて時間が経った酒精綿は,消毒効果はかなり弱まって
いるらしい(アルコールが蒸発してしまうため)。
作り置きの酒精綿で細菌が繁殖していた,という報告もあったはず。
そのためアメリカでは「作り置きの酒精綿」は使用せず,1枚パックのものを使って
いるらしいことを,付け加えておく。


<コメント>
それでも当院では患者さんに説得する手間も考え、従来通りアルコール消毒は
続けるつもりです。
今回勉強できたのは、
1)酒精綿は最小限作り「作り置き」をしない
2)乾燥してから注射をする

この2つは守りたいと思います。
インスリン自己注射の患者さんには以前から1枚パックを渡しています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-02-27 00:06 | その他

アスピリンと大腸がんのリスク低下

Gastroenterologyの文献で少し勉強しました。

アスピリンによる大腸がんのリスク低下には長期・多量の服用が必要
アスピリンによる大腸がんのリスク低下を期待するには長期にわたってかなりの量
を服用する必要がある
ことを示すデータが,米ハーバード大学のグループに
より Gastroenterology の 1 月号に発表された。

同グループは,1986年に登録された40〜75歳の男性医療従事者 4 万7,363人
を前向きに追跡。
2 年ごとにアスピリンの使用,他の危険因子,大腸がんの診断に関するデータを収集
し,2004年までの大腸がんの全報告を確認した。

18年間の追跡で975人に大腸がんが確認された。
危険因子を調整後,アスピリンを週 2 回以上定期的に服用していた群は定期的に
服用していなかった群と比べて大腸がんのリスクが低く,相対リスク(RR)は0.79
だった。
しかし,有意なリスク低下には少なくとも 6 〜10年の服用が必要で(P=0.008),
4 年以内に服用を中止した場合にはリスクの低下は認められなかった。

累積の平均服用量が多いことがリスク低下と関係していた。
アスピリン非使用群と比較した大腸がんのRRは,標準的なアスピリン錠剤の 1 週間
の服用量が0.5〜1.5錠で0.94,2 〜 5 錠で0.80,6 〜14錠で0.72,14錠より
多い場合で0.30であった(P=0.004)。

同グループは「大腸がんに対するアスピリンの利点を得るには,少なくとも 6 年間の
継続服用が必要で,週14錠より多い用量で最大のリスク低下となる。

このような用量を長期に使用することによる有害な影響の可能性を考慮する必要がある」
と指摘している。
Chan AT, et al. Gastroenterology 2008; 134: 21-28.


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http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s86015889

アスピリンで大腸がん進行抑制
http://kumanichi.com/iryou/kiji/cancer/10.html
独バイエルグループのバイエルヘルスケア社は、鎮痛剤アスピリンの有効成分である
アセチルサルチル酸を、定期的に服用した大腸がん患者の再発率と致死率が有意に
低下した、と発表した。
アスピリンは既に大腸がんや膵臓(すいぞう)がん、乳がん、肺がんなどさまざまながん
の予防効果があるという研究成果が報告されている


アスピリンの大腸がん予防、効果上回る副作用
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050905ik03.htm
大腸がん予防の目的でアスピリンを長期間服用した場合、予防効果より、その数倍も
消化管出血の副作用の危険があることが、米国のマサチューセッツ総合病院
(マサチューセッツ州)などの研究チームの調査でわかった。
アスピリンは、炎症や腫瘍(しゅよう)の成長を助ける酵素の働きを止める作用があるが、
大量に服用(1日2錠以上)すると消化管出血などを起こす。試算では、大量服用で
1~2人の大腸がんが予防できた場合、8人に深刻な消化管出血が起きる可能性がある
という。


アスピリンによる大腸がん予防をどう思う?
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/plwc/10_15.html

シモツケspiraea plant
http://homepage2.nifty.com/uoh/gakubu/nougakubu.htm#shimotsuke
シモツケ(spiraea plant, spira=ねじれたもの)はバラ科の落葉低木で日本全土の
山野に生えています。
シモツケの抽出物にサリチル酸が含まれています。
(別の文献には「セイヨウナツユキソウ」とも記されている)
そこでサリチル酸はスピール酸(Spirsaeure)ともいわれます。
1853年Kolbeが、サリチル酸=スピール酸であることを証明しました。
魚の目とりのスピール膏はこれに由来します。
1853年ジェラールGerhart(仏)がアセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)を
合成しました。
バイエル社のホフマンHoffmanは、1897年10月、アセチルサリチル酸をリウマチの
薬として再開発しました。
その際、アセチルの「A」とspiraeをつけて、Aspirinと名づけたのです。以来、アスピリン
といえばバイエルという定評ができました。
つまりアスピリンはシモツケにちなみます。


他にもブログがあります。
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by esnoopy | 2008-02-26 00:10 | 消化器科

糖尿病合併例にどのスタチン?

昨年(2007年7月)の第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会の発表からの紹介です。

糖尿病合併例にどのスタチンを使うべきか
アトルバスタチンでの血糖上昇を示唆する報告も 

2型糖尿病を合併している高コレステロール血症の患者は少なくないが、こうした患者においても、心血管系イベントの予防のために、積極的な脂質低下療法を行うことが必要とされている。
だが、糖尿病を合併した高脂血症(脂質異常症)患者に、どの高脂血症治療薬を選択すべきかについては、まだコンセンサスが得られていないのが現状だ。
7月12~13日に大阪市で開催された第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会では、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の使い分けに関する研究結果が2題、報告された。

横浜市立大市民総合医療センターの山川正氏
ストロングスタチン間でも耐糖能への影響に差
1つは、横浜市立大市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科准教授の山川正氏による報告。
山川氏は、同院の外来に通院中の2型糖尿病患者のうち、プラバスタチン(Pr、商品名:メバロチンほか)、ピタバスタチン(Pi、商品名:リバロ)、アトルバスタチン(At、商品名:リピトール)のいずれかを服用している患者を後向きに調査し、投与開始後の耐糖能の変化を調べた。

同氏らはこれまでに、ストロングスタチンに分類されるAtと、マイルドスタチン(スタンダードスタチン)に分類されるPrを比較し、AtがPrに比べて血糖コントロールを悪化させる可能性があることを指摘している(高野達郎、山川正ら. J Atherosclerosis Thrombosis.2006;13:95-100.)。
今回は、このAtの血糖上昇作用が、ほかのストロングスタチンにも認められるかどうかを明らかにするため、検討対象にストロングスタチンのPiを加えて分析した。

調査対象は、2002年4月~2007年2月までにPr10mg、At10mg、Pi1~2mgのいずれかの投与を開始した糖尿病患者。
調査対象期間中に糖尿病薬の内容や投与量に変更があった患者などを除外し、At10mg投与群78人、Pr10mg投与群76人、Pi1~2mg投与群80人について、投与開始後3カ月間での随時血糖、HbA1c、脂質、体重の変化を分析した。

その結果、At群では、3カ月後に随時血糖およびHbA1cが有意に上昇した(随時血糖147mg/dL→177mg/dL、HbA1c6.80%→7.16%〔いずれもP<0.01〕)が、Pi群とPr群では有意な変動は見られなかった。
同じストロングスタチンでも、AtとPiでは、耐糖能に与える影響が異なることが示唆された。
なお、LDL-Cに関しては、すべての群で有意に低下したが、At群では他群に比べて有意に高いLDL-C低下作用を示していた。
このLDL-C低下作用の差について山北氏は、「At群ではマイルドスタチンからの切り替えが多かったのに対し、Pi群は同じストロングスタチンであるAtからの切り替えが多かったため、At群のLDL-C低下作用が高く出たのではないか」と分析していた。


関医院の関勝剛氏
アトルバスタチン投与でHbA1cが5.9%→6.8%
もう1つの発表は、2型糖尿病患者においてAtとPrの影響を比較したもの。
関医院(秋田県能代市)副院長の関勝剛氏が発表した。
同医院に通院中の2型糖尿病患者のうち、At投与患者66人(平均投与期間4.1年)とPr投与患者51人(同8.0年)について、空腹時血糖値、HbA1c、脂質などを投与前後で比較した。

その結果、どちらの薬剤でも脂質管理目標値は達成できていたが、やはりAt投与患者では糖尿病の状態が悪化していた。
具体的には、At投与患者の平均空腹時血糖値は111mg/dL→130mg/dL(p<0.0001)、平均HbA1cは5.9%→6.8%(p<0.0001)であり、Pr投与者では有意は変化はなかった。
関氏は「2年ほど前から、糖尿病患者にアトルバスタチンを投与するとやや血糖コントロールが悪化する印象を持っていたが、今回の分析でそのことを確認できた」と話す。

スタチンが糖代謝に与える影響は不明な部分も多いが、スタチン間で、脂肪細胞による糖の取り込みやβ細胞機能に対する影響に差があるとする基礎研究の結果も報告されている。
山川氏は、「糖尿病患者に高脂血症治療薬を使用する際には、薬剤によって耐糖能に与える影響が異なる可能性がある。
慎重に薬剤を選択するとともに、投与後の血糖値の変化にも注視した方がよい」と話している。

Nikkei Medical 2007.7
版権 日経BP社
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200707/503811.html

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by esnoopy | 2008-02-25 00:10 | 循環器科

坐位中心の生活で高血圧リスク倍増

〔スペイン・パンプローナ〕ナバラ大学(パンプローナ)予防医学・公衆衛生学の
Juan Jose Beunza博士は「コンピュータ操作や自動車の運転など坐位中心
の活動が大半を占めるライフスタイルの人は,そのような仕事に付随するストレス
も加わるため,高血圧の発症リスクが最高で50%高い」と American Journal
of Hypertension(2007; 20: 1156-1162)に発表した。

メタボリックシンドロームと共通した機序 
Beunza博士は,同大学・食事とライフスタイル追跡プログラム(SUN study)に
参加した 1 万例以上のライフスタイル,食事,運動を分析した。
既に高血圧,他の心血管疾患(CVD),糖尿病あるいはがんの罹患者を除く
6,742例のうち,291例が新規高血圧と同定された。

同博士は「坐位中心の生活は高血圧だけでなく,メタボリックシンドローム全体と
関連しており,このことは体重増加などに共通の機序が存在することを示唆する
ものである」と指摘。
「有酸素運動を行うことにより,高血圧患者の血圧は最大で6.9 mmHg低下させる
ことが可能である」と述べている。

さらに,同博士は「坐位中心の習慣を持つ割合が最も高いのは余暇にほとんど運動
をしない若年男性である。彼らはコレステロール値が高かったり,果物や野菜を
ほとんど食べずに,塩分やアルコールを頻繁に摂取する傾向がある」

坐位中心の生活で高血圧リスク倍増
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4107882&year=2008
Medical Tribune 2008.2.14
版権 メディカル・トルビューン社

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パブロ・ピカソ 「夢 -The Dream-」
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v45085141

<コメント>
まさしく私のような内科開業医にぴったりあてはまる内容の報告です。
往診や在宅もほとんどせず、1週間のうち大半は外出しない毎日です。
仕事はほとんど坐業。
動かしているのは口だけ。
(頭の中はほとんど動かしていません)
坐業がいけないのは痔だけと思っていましたが、最近ではDVTによる肺梗塞が起きる
のではとなかば真剣に心配しています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-02-22 00:07 | 循環器科

肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A. での発表です。
OAと肥満の関係は、発症には関係するが進行には関係しないというものです。
OA患者への減量指導は意味がないともとれるショッキングな内容です。

肥満は変形性膝関節症(OA)の強力なリスクファクターだが、OA発症後の進行リスクとしての影響は少ないことが示された。
米ボストン大学医療センターのJingbo Niu氏らが行ったMOST(Multicenter Osteoarthritis Study)試験により明らかになったもので、11月10日、米国リウマチ学会・学術集会の一般口演で報告された。


Niu氏らは、変形性膝関節症(OA)またはそのリスクが高い患者3026例(50~79歳)を登録し、2007年6月までに30カ月の追跡期間を満たした2307例(平均62.4歳)の解析を行った。平均BMIは30.5だった。

合計4481膝についてX線検査による膝変形度評価をした結果、試験開始時点でOA(K/Lグレード≧2)が認められたのは35.3%だった。
これらのうち、30カ月の追跡期間中にOAの進行が認められたのは52.6%で、その内訳は、内反膝の進行が41.1%、外反膝の進行が12.4%だった。
一方、開始時にOAの認められなかった膝では、6.0%が追跡期間中にOAを発症した。

BMI別に4段階の肥満度(正常体重群、過体重群、軽度肥満群、高度肥満群)に層別化して、肥満度とOA発症リスクとの関係を検討した結果、正常体重群に対する各群のOA発症の相対リスクは、過体重群が2.0、軽度肥満群が2.9、高度肥満群が4.7と、肥満度が高いほどOA発症リスクが増大することが分かった。
肥満に伴う発症リスクの増大は、内反膝、外反膝のいずれにも認められている。

これに対してOAの進行に関する相対リスクは、過体重群1.0、軽度肥満群1.0、高度肥満群1.2と、肥満による影響はあまり大きくないことが示された。
また肥満によるリスク増大がみられたのは内反膝のみで、その内反膝でさえも高度変形例では肥満が進行リスクの増大につながることはなかった。

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A.
Nikkei Medical ONLINE
肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2007/200711/504767.html
日経メディカル オンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/
2007. 11. 14

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by esnoopy | 2008-02-21 00:05 | その他

J-DOIT3の継続決まる

糖尿病患者の血糖は下げすぎてはいけない。
こんな衝撃的なニュースが走りました。

ACCORD試験の血糖管理強化療法中止で広がる不安,10日で“断” 
2型糖尿病患者に対する多因子強力介入の有効性を検証する厚生労働省主導の臨床試験J-DOIT3(研究リーダー=東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授・門脇孝氏)の継続が,2月15日に決まった。
同試験は,2月6日に米国で発表されたACCORD試験における血糖管理強化療法の中止を受け,8日から新規患者の登録などを一時停止していた。
ACOORD試験に関する突然の中間解析結果の発表は日本の糖尿病関係者の間でも大きな話題となり,厳格な血糖コントロールへの不安が広がる気配もあったが, 10日で“断”が下されたことになる。

HbA1c5.8%をめざすJ-DOIT3
J-DOIT3は,厚生労働省の糖尿病戦略研究J-DOITの1つで,高血圧または脂質異常症を合併する日本人2型糖尿病患者を対象に,血糖,血圧,脂質の3因子に対する強力な介入を行うことで,心血管イベントや死亡の発生を低減できるかどうかを検証する試験。
従来療法群,強化療法群1,500例ずつの登録を予定している。

同試験の治療目標値は,従来療法群では現行ガイドラインの推奨値を採用しているのに対し,強化療法群ではより厳格な値を設定している。
例えば,血糖については従来療法群6.5%未満,強化療法群5.8%未満である。強化療法群では目標値を達成するため,生活習慣や血糖・血圧などのきめ細かな自己管理と指導に加え,ステップアップ方式の薬物療法が行われる。

2月16日,高松市で行われた第42回糖尿病学の進歩におけるシンポジウム「糖尿病対策の現状」でJ-DOIT3について発表した研究リーダーの門脇氏によると,症例登録は2006年6月から始まり,現段階で約1,700例に達している。
20か月後の平均HbA1c値は従来療法群6.5%,強化療法群6.0%と治療目標値に近似したレベルにあり,入院を要する重篤な低血糖は強化療法群で1例発生したのみだという。

ACCORD試験の中間解析結果に考慮すべき問題点
このようななか,もたらされたのがACCORD試験の発表だった。
ACCORD試験もJ-DOIT3と同様,ハイリスク2型糖尿病に対する3因子強力介入の意義を問うもので,両者の試験デザインには類似点が多い。
それだけに,血糖管理強化療法の中止は「衝撃的だった」(門脇氏)という。

ACCORD試験の強化療法が中止されたのは,強化療法群の死亡例が257例(14件/1,000人・年)と従来療法群の203例(11件/1,000人・年)を上回ったための緊急処置だった(血圧・脂質に対する介入は継続される)。
なお,平均HbA1cは登録時の8.2%に対し,従来療法群7.5%,強化療法群6.4%のコントロールレベルにあった。
強化療法群で死亡が増加した理由については明らかにされていないが,ACCORD試験の研究グループは「ハイリスク2型糖尿病患者の血糖コントロールはHbA1c7%程度が推奨される」とコメントしている。

これに対し門脇氏は,
(1)ACCORD試験における死亡率は,同様の危険因子を有する米国の2型糖尿病患者における死亡率(50件/1,000人・年)よりかなり低い,
(2)研究グループは否定しているが,重症低血糖の増加が強化療法群における死亡増加に影響した可能性も払拭できない
ことを考慮すべき問題点として提起した。
米国糖尿病学会(ADA)も,ACCORD試験の中間解析結果をもとに,ガイドラインの血糖コントロール目標値(HbA1c7%未満)を変更することはないとして明言しており,逆に治療の変更を強く懸念するとの見解を発表しているという。

死亡の逐次モニターなどを条件に試験継続を承認 
ACCORD試験の中間解析結果発表後のJ-DOIT3研究の対応について,門脇氏は次のように説明した。

ACCORD試験の中間解析結果の解釈には上記のような疑問が残るものの,患者の安全性に万全を期すため,2月8日,新規患者の登録と血糖コントロールに関する新たなステップアップを一時停止することを決定。
参加医療機関などに連絡した。

一方,研究グループとは独立の試験評価委員会において,J-DOIT3の中間解析結果の評価を行い,
(1)現時点で強化療法群と従来療法群で一次エンドポイントの発生に有意差が認められない,(2)イベント発生時のHbA1cとイベントとの間に有意な関連が認められない,
(3)強化療法群においても重篤な低血糖はほとんど発生していない
ことを確認。
今後,一次エンドポイントのうち,死亡については年1回の中間解析だけでなく,可能な限り逐次モニターすることなどを条件に,患者の新規登録を含めた試験の継続が承認されたという。

J-DOIT3の継続決まる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0802/080210.html

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ACCORD試験~血糖値は下げすぎなほうが良い?
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-12.html
http://medicineblog.asablo.jp/blog/2008/02/10/2615727
(これらのブログでは開発中の薬剤や大規模臨床試験についてするどく斬り込んでいます。なぜか内容は同一です。)
治験論文が刊行され判断材料が揃うまでは軽率に判断しないほうが良い、また、この試験の組入れ条件を満たすのは二型糖尿病患者の一部に過ぎず二型糖尿病全般にあてはまるわけではない、というの賢者の知恵のようです。
ADA米国糖尿病学会はHbA1cを7%未満に下げることを目標とするよう推奨しています。AACE米国臨床内分泌学学会は6.5%以下が目標です。ACCORD試験の結果を額面通り受け止めるならば、AACEのガイドラインを遵守するのはリスクが高く、ADAのガイドラインも守らないほうが良いということになります。心血管リスクが低い患者には当てはまらないかもしれませんが、当てはまらないというしっかりとしたエビデンスもありません。
プライマリーケア医はリスク回避的なので学会のガイドラインを遵守していない人が多いでしょう。慌てる必要はないことになります。しかし、アグレッシブな治療を行う専門医は、今すぐにでも治療方針の正当性を再検討しなければならないでしょう。

<コメント>
糖降下強化療法と死亡リスク上昇の関連が示唆されたこのACCORD試験とは異なり、ACCORD試験と同様のデザインで実施されているADVANCE試験の途中解析では血糖レベルを現在の推奨レベル未満まで下げることを目標とした血糖降下強化治療と死亡リスク上昇に関連は認められないということです。


<参考>
For Safety, NHLBI Changes Intensive Blood Sugar Treatment Strategy in Clinical Trial of Diabetes and Cardiovascular Disease
http://public.nhlbi.nih.gov/newsroom/home/GetPressRelease.aspx?id=2551
J-DOIT
糖尿病診療のわが国発のエビデンス構築へ
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3929701&year=2006&type=article
2型糖尿病の発症を50%抑制へ         J-DOIT1
2型糖尿病患者の治療中断率を50%改善へ J-DOIT2
2型糖尿病の血管合併症を30%抑制へ  J-DOIT3

第40回糖尿病学の進歩
最近15年で血糖コントロール改善
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3910191&year=2006&type=article

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by esnoopy | 2008-02-20 00:05 | 糖尿病

CKDの早期発見・早期介入 その2(2/2)

年間8,000例が新規透析導入
台湾腎臓学会のCKD対策委員長を務めるカオシュン大学のShang-Jyh Hwang准教授は,台湾におけるCKD予防政策とその結果を紹介した。

ESRD発症率は長年,台湾が世界のトップを走っている。
ESRD有病率も同じく第 1 位だが,2004年から2005年にかけて有病率はやや減少。
日本のこれまでのESRD有病率の推移から考えると,日本がESRD有病率では世界トップになる可能性が高いという(図 2)。
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2005年末時点での台湾の透析患者は 4 万7,000人で,内訳は血液透析93 %,腹膜透析 7 %。年間8,000人近くが新たに透析導入されているため,死亡者(4,000人弱)や腎移植者(約500人),回復者(80人)を除いても,毎年3,000人余り増加していることになる。
同准教授は「糖尿病と高齢化がESRD増加の 2 大要因となっている。実際,ESRD患者の 4 割は糖尿病を合併している」と説明。
さらに,米国ではCKDに循環器疾患を合併することが多いが,台湾ではそうした合併が比較的少ないため,透析を受けていても長生きする傾向にあるのではないかとした。

台湾では年々増え続ける医療費よりも透析医療費のほうがさらに高い伸び率を示しており,2000~02年は毎年約10%ずつ透析医療費が伸びていた。
しかしその後,透析医療費の伸び率は徐々に鈍化し,2007年は 3 %を切るまでに落ち着いた。

1人当たりの医療費は2.7倍 
2002年に台湾で行われた全国調査では,対象者の6.43%がCKDと判明。
米国の調査データと比べると,いずれの年齢層でも台湾のほうがCKD有病率が高い。Hwang准教授は「台湾ではCKDはかなり深刻な公衆衛生上の問題になっている」と強調した。
また,近年,メタボリックシンドロームに注目が集まっているが,同シンドロームの構成要因の保有数が多くなるほどCKD(ステージ 3 ~5 )患者の割合も高くなるという。

CKD患者は非CKD患者に比べて外来受診回数が有意に多く,入院率も高い。
当然,かかる医療費もCKD患者のほうが高く,年間の患者 1 例当たりの医療費は非CKD患者の2.7倍(2004年データ)に及ぶ。

台湾では台湾腎臓学会および政府(保健医療当局)が協力してCKD予防プログラムを展開しており,同プログラムに参加する病院も年々増えている。
これらの病院は,(1)CKD患者用の統合ケアと専門医への紹介システムを整える(2)同学会が行っている教育コースを看護師や栄養士に受講させる(3)CKD予防や尿検査の意義を一般市民に啓発する―ことなどが求められるという。

最後に,同准教授は「台湾ではpre-ESRDケアにかかる費用が保険償還されており,これは幸いだが,まだやるべきことはたくさんある。
今が,台湾におけるCKD予防の歴史の幕開けであり,大々的に行動を起こすときだ」と締めくくった。

IKEAJ調査で23.8%がCKD 
わが国ではIKEAJがKEEPの一環として,北海道,関東,九州でCKD早期発見のための無料検査を実施している。
IKEAJの高橋進理事長が,その被検者1,163例(男性552例,女性611例)のデータを紹介した。

厚生労働省の職場検診データでは尿蛋白発見率は 3 %強だが,IKEAJ-KEEPでは6.7%と高かった。
NKF-KEEPのCKD分類〔糸球体濾過量推定値(eGFR)60mL/分/1.73m2未満または尿中アルブミン〕に従うと,今回の1,163例中277例(23.8%)がCKDとなった。
年齢が上がるほどCKD患者の割合も高くなり,65歳以上では37.6%,75歳以上では40.7%が該当した。
日本の人口を考えると,65歳以上で900万人,75歳以上では148万人がCKDと推計されるという。

高血圧や糖尿病,高尿酸血症,家族歴といった危険因子を持たない人でも9.9%がCKDであった。
さらに,糖尿病群のうち31.6%がCKDであり,この比率から,わが国では230万人の糖尿病患者がCKDを合併していると考えられた。
なお,KEEP被検者で糖尿病だった者のうち 4 割以上が血糖コントロール不良であった。

同理事長は「IKEAJ-KEEPで,CKDが予想以上に多いことがわかった。CKDを早く見つけるためには尿中アルブミン測定が必須である。公衆衛生の立場からハイリスク・グループを特定して検査し,健診で陽性だった参加者を早期介入につなげていくことが重要だ」と結んだ。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
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CKD診療ガイド PDF
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf#search='CKD'
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by esnoopy | 2008-02-19 00:06 | 腎臓病

CKDの早期発見・早期介入 その1(1/2)

CKDの早期発見・早期介入を 
慢性腎臓病(CKD)は進展すれば末期腎不全(ESRD)に至り,透析あるいは腎移植が必要となる。
また,CKD患者では心血管疾患(CVD)リスクが高いこともよく知られている。
このCKDが世界的に増加していることから,公衆衛生上の重要な問題と認識されるようになってきた。
東京都で開かれた特定非営利活動法人腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)の第 3 回年次講演会「慢性腎臓病―先進国および発展途上国における諸疾患のなかの意義と負担―」では,米国,台湾,日本それぞれの代表がCKDの現状と対策について報告し,早期発見・早期介入の重要性を訴えた。

2020年にはESRDが1.4倍に
CKDがいかに重要な問題かについて,米国腎臓財団(NKF)のAllan J. Collins理事長は「ESRDは人口に占める比率こそ少ないが,これら患者にかかる医療費は莫大だ」と指摘。ESRDは通常の疾患に比べて10~20倍の医療費がかかると言われている。
ちなみに,ESRDの毎年の新規発症率(人口100万人当たり)を見ると,台湾が最も高く,次いで米国,第 3 位が日本となっている。

米国の透析患者は約34万人(2006年データ)で,新規ESRD患者は10万7,000人ほど(2005年データ)と報告されている。
年間の新規ESRD発症率はここ数年横ばいに近い状態だが,これは人口集団全体に対しての新規発症率であるため,米国での人口の増加に比例して新規発症数は増えているのだという。そして,透析技術の進歩などにより透析患者が長生きするようになってきたため,ESRD有病率も年当たり 2 %ほど上昇している。

新規ESRD発症数に関しては,2020年は15万1,000人と予測されており,2005年からの15年間で40%余り増加することになる。
透析患者は2005年の34万人が2020年には53万人に,移植患者は14万人から25万人になると予測されている。

ESRDにかかる医療費はこれまで過去の予測通りに推移している。
それに従うと,2020年には年間536億ドル(約 6 兆円)必要との数値がはじき出されており,米国の政策決定者にとって大きな問題となっている。

同理事長は「ベビーブーマー世代が60歳代に入ってくると,ESRD発症の増加率が加速する。糖尿病もESRDの増加にインパクトを与えているが,人口の高齢化と比べればその寄与度は少ない」と説明した。

8 %が医療予算の28%を使う
米国では高齢者医療保険メディケアで3,100万人余り(2005年データ)がカバーされている。これらのなかで22.8%が糖尿病,12.4%が心不全,6.6%がCKD,1.2%がESRDと診断されている(複数の疾患を抱える患者もいるため重複あり)。
一方,総支出は2,169億ドル(約24兆円)だが,糖尿病と心不全がそれぞれ 4 割近くを占めるほか,CKDが19.4%,ESRDが8.2%となっている(前述と同じく重複あり)。
すなわち,メディケア対象者の 8 %でしかない腎疾患に対して予算の28%が費やされていることになるわけだ(図 1)。

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Collins理事長は「各国政府がCKDに関心を持つのは,1 つには医療費が増大するからだ。心疾患,糖尿病,腎疾患の 3 つでかなりの予算が使われる」と指摘した。

米国で行われている国民保健栄養調査(NHANES)のデータによると,CKD患者の割合は増加傾向にあり,1999~2004年では15.5%が該当した。
層別解析すると,いずれの年齢層においても男女ともCKD患者の割合が増加していたが,なかでも高齢者での増加幅が大きかった
さらに,ステージ 3 ~4 のCKDがより増えていることもわかったという。

CKDの有無で比較すると,CKD群のほうがあらゆる原因による入院率が高く,CKD群の肺炎による入院率は非CKD群のほぼ 2 倍であった。
同理事長は「CKD患者のうちインフルエンザワクチン接種を受けた者はそうでない者に比べ全体的な入院率および死亡率が減っている。しかし,現状ではワクチン接種率は低く,十分に活用されていない」と述べた。

米国では2000年からKEEP(Kidney Early Evaluation Program:腎臓早期評価プログラム)が実施されており,わが国でもIKEAJが同様のプログラムを採用。
2008年中に英国やメキシコ,オーストラリアでもKEEPが開始される予定という。

同理事長は「全世界的にCVDと糖尿病が主要死因になっているが,これらにCKDを合併するとイベント発生や死亡のリスクはさらに高まる。こうした患者には最優先で介入すべきであり,そのためにも早期発見プログラムが重要だ」と強調した。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
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by esnoopy | 2008-02-18 00:05 | 腎臓病