「ほっ」と。キャンペーン

注射前のアルコール消毒

Nikkei Medical 2008.2の特集「その処置、必要?」では日常診療で何の疑い
もなく行っていることが、実は意外と根拠がないという事例が紹介されています。
「トリビアの泉」的で勉強になりました。
きょうはその中のひとつを紹介させていただきます。

注射前のアルコール消毒
「必要なのは関節注か体内に留置するとき」

注射や採血の前に、アルコール綿で皮膚をゴシゴシと消毒する・・・。
「この行為には全く根拠がない。むしろ、多くの医師は意味がないと感じながら、慣習
によって続けているだけではないか」。
こう話すのは、石岡第一病院(茨城県石岡市)傷の治療センター長の夏井睦氏だ。
米国の糖尿病患者が服の上からインスリン注射をしても、なんら問題になっていない
現状を考えれば、夏井氏の言うことももっともかもしれない。

アルコール消毒に根拠がない理由は、皮膚表面と体内の環境の違いにあると夏井氏
は指摘する。
正常な皮膚の上には常在菌が定着している。
常在菌は皮脂を栄養源としており、その代謝産物としてパルミチン酸やステアリン酸
などを生成、それIこよって皮膚表面はpH5.5の弱酸性に保たれる。
一方で体内はpH7.4の中性環境だ。

「皮膚常在菌が生存できるのはpH5.5の環境。pH7.4の環境では生存できない」と
夏井氏。
つまり、注射によって皮膚常在菌がいくら体内に入ったとしても、生息環境が異なる
ため増殖できない()。
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逆に、黄色ブドウ球菌など、pH7.4の体内で増殖する菌は、弱酸性の皮膚の上では
外部から通過菌として付着し、休眠状態で張り付いているのがやっと。
健常な皮膚の上では、感染を成立させるまで増殖することはない。

入る菌はわずか数個
では、このような通過菌が注射によって体内に入り込み、感染を引き起こすことは
ないのだろうか。
針の表面積などから、注射によって体内に持ち込まれる菌の数を推計すると、「わず
か数個」(夏井氏)と少ない。
常在菌より少ない通過菌では入り込む数はさらに減少する。
また、針は注射が終われば抜去されるため、菌はすぐに体内の免疫細胞に攻撃
されてしまう。

もちろん、注射前に皮膚を念入りに消毒すべき場合もある。
血管カテーテルや点滴など、感染源となる異物を体内に留置するとき、もしくは関節に
注射するときだ。
関節腔は本来無菌状態が保たれており、外部からの感染に弱いためだ。

ランダム化比較試験も実施
実は、注射前のアルコール消毒が本当に必要かどうか、二重盲検ランダム化比較
試験で厳密に検討した研究が存在する。
せたな町立国保病院瀬棚診療所(北海道)所長の吉岡和晃氏は2003年、インフル
エンザの予防接種の際に、673人をアルコール綿で拭く群と蒸留水綿で拭く群に
割り付け、注射による皮膚感染の有無を比較した。

接種2日後もしくは3日後に接種部位を確認した結果、アルコール綿群、蒸留水綿群
ともに、1例も感染は認められなかった。
「04年から、採血の際もアルコール綿、水道水綿、もしくは拭かないという3つの選択
肢から好きなように選んでもらっているが、全く感染は起きていない。
ただし、実施には住民への丁寧な説明が必要だ」と吉岡氏は話している。

Nikkei Medical 2008.2
版権 日経BP社


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注射部位のアルコール消毒は原則的に行いません
http://homepage3.nifty.com/elfaro/information/alcohol.htm
#アルコールの消毒効果が一番出るのは、アルコールが蒸発して皮膚面が乾燥する
瞬間である、と言われています(それでも無菌にはなりません)。
ところが、多くの病院ではアルコールが完全に乾く前に注射の針を皮膚に刺して
います。
でもそれで実際に「感染が起きた」と言う話は滅多に聞いた事がありません。
つまり、今まで消毒していたつもりでも、実際にはきちんと消毒の効果が得られて
いなかったと言う事になる訳です。
それでも感染が起きていないということは、「注射の前に消毒しなくても問題ない」
ということがこれまでの経験から既に実証されている、ということになります。
#アルコール綿の入れ物の中では、アルコールに耐性を持った細菌が繁殖している、
という報告があります。
汚染されたアルコール綿を注射部位の皮膚に使用することは、「何も使用しない」場合
よりもずっと危険である可能性があります。
常在菌は通常、その菌を保有している本人には何ら悪影響を与えませんが、外から
持ち込まれた細菌は病原性を示す可能性があるからです。
このような場合は、アルコール消毒は「無意味」と言うよりむしろ「有害」ということに
なってしまいます。
#アルコールには非常に強い粘膜刺激性があります。アルコールが乾かないうちに
注射の針を刺す事は、上記のように消毒効果が不十分になるだけではなく、針の刺入
により組織に痛みを生じさせる原因となります。
また、炎症や傷のある皮膚面にアルコールを使用すると非常に強い刺激性を示す
ため、このような皮膚には使用できません。


注射の前のアルコール消毒は必要か?
http://www.wound-treatment.jp/wound048.htm

薬液缶に大量に作っておいて時間が経った酒精綿は,消毒効果はかなり弱まって
いるらしい(アルコールが蒸発してしまうため)。
作り置きの酒精綿で細菌が繁殖していた,という報告もあったはず。
そのためアメリカでは「作り置きの酒精綿」は使用せず,1枚パックのものを使って
いるらしいことを,付け加えておく。


<コメント>
それでも当院では患者さんに説得する手間も考え、従来通りアルコール消毒は
続けるつもりです。
今回勉強できたのは、
1)酒精綿は最小限作り「作り置き」をしない
2)乾燥してから注射をする

この2つは守りたいと思います。
インスリン自己注射の患者さんには以前から1枚パックを渡しています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
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# by esnoopy | 2008-02-27 00:06 | その他

アスピリンと大腸がんのリスク低下

Gastroenterologyの文献で少し勉強しました。

アスピリンによる大腸がんのリスク低下には長期・多量の服用が必要
アスピリンによる大腸がんのリスク低下を期待するには長期にわたってかなりの量
を服用する必要がある
ことを示すデータが,米ハーバード大学のグループに
より Gastroenterology の 1 月号に発表された。

同グループは,1986年に登録された40〜75歳の男性医療従事者 4 万7,363人
を前向きに追跡。
2 年ごとにアスピリンの使用,他の危険因子,大腸がんの診断に関するデータを収集
し,2004年までの大腸がんの全報告を確認した。

18年間の追跡で975人に大腸がんが確認された。
危険因子を調整後,アスピリンを週 2 回以上定期的に服用していた群は定期的に
服用していなかった群と比べて大腸がんのリスクが低く,相対リスク(RR)は0.79
だった。
しかし,有意なリスク低下には少なくとも 6 〜10年の服用が必要で(P=0.008),
4 年以内に服用を中止した場合にはリスクの低下は認められなかった。

累積の平均服用量が多いことがリスク低下と関係していた。
アスピリン非使用群と比較した大腸がんのRRは,標準的なアスピリン錠剤の 1 週間
の服用量が0.5〜1.5錠で0.94,2 〜 5 錠で0.80,6 〜14錠で0.72,14錠より
多い場合で0.30であった(P=0.004)。

同グループは「大腸がんに対するアスピリンの利点を得るには,少なくとも 6 年間の
継続服用が必要で,週14錠より多い用量で最大のリスク低下となる。

このような用量を長期に使用することによる有害な影響の可能性を考慮する必要がある」
と指摘している。
Chan AT, et al. Gastroenterology 2008; 134: 21-28.


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アスピリンで大腸がん進行抑制
http://kumanichi.com/iryou/kiji/cancer/10.html
独バイエルグループのバイエルヘルスケア社は、鎮痛剤アスピリンの有効成分である
アセチルサルチル酸を、定期的に服用した大腸がん患者の再発率と致死率が有意に
低下した、と発表した。
アスピリンは既に大腸がんや膵臓(すいぞう)がん、乳がん、肺がんなどさまざまながん
の予防効果があるという研究成果が報告されている


アスピリンの大腸がん予防、効果上回る副作用
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050905ik03.htm
大腸がん予防の目的でアスピリンを長期間服用した場合、予防効果より、その数倍も
消化管出血の副作用の危険があることが、米国のマサチューセッツ総合病院
(マサチューセッツ州)などの研究チームの調査でわかった。
アスピリンは、炎症や腫瘍(しゅよう)の成長を助ける酵素の働きを止める作用があるが、
大量に服用(1日2錠以上)すると消化管出血などを起こす。試算では、大量服用で
1~2人の大腸がんが予防できた場合、8人に深刻な消化管出血が起きる可能性がある
という。


アスピリンによる大腸がん予防をどう思う?
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/plwc/10_15.html

シモツケspiraea plant
http://homepage2.nifty.com/uoh/gakubu/nougakubu.htm#shimotsuke
シモツケ(spiraea plant, spira=ねじれたもの)はバラ科の落葉低木で日本全土の
山野に生えています。
シモツケの抽出物にサリチル酸が含まれています。
(別の文献には「セイヨウナツユキソウ」とも記されている)
そこでサリチル酸はスピール酸(Spirsaeure)ともいわれます。
1853年Kolbeが、サリチル酸=スピール酸であることを証明しました。
魚の目とりのスピール膏はこれに由来します。
1853年ジェラールGerhart(仏)がアセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)を
合成しました。
バイエル社のホフマンHoffmanは、1897年10月、アセチルサリチル酸をリウマチの
薬として再開発しました。
その際、アセチルの「A」とspiraeをつけて、Aspirinと名づけたのです。以来、アスピリン
といえばバイエルという定評ができました。
つまりアスピリンはシモツケにちなみます。


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# by esnoopy | 2008-02-26 00:10 | 消化器科

糖尿病合併例にどのスタチン?

昨年(2007年7月)の第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会の発表からの紹介です。

糖尿病合併例にどのスタチンを使うべきか
アトルバスタチンでの血糖上昇を示唆する報告も 

2型糖尿病を合併している高コレステロール血症の患者は少なくないが、こうした患者においても、心血管系イベントの予防のために、積極的な脂質低下療法を行うことが必要とされている。
だが、糖尿病を合併した高脂血症(脂質異常症)患者に、どの高脂血症治療薬を選択すべきかについては、まだコンセンサスが得られていないのが現状だ。
7月12~13日に大阪市で開催された第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会では、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の使い分けに関する研究結果が2題、報告された。

横浜市立大市民総合医療センターの山川正氏
ストロングスタチン間でも耐糖能への影響に差
1つは、横浜市立大市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科准教授の山川正氏による報告。
山川氏は、同院の外来に通院中の2型糖尿病患者のうち、プラバスタチン(Pr、商品名:メバロチンほか)、ピタバスタチン(Pi、商品名:リバロ)、アトルバスタチン(At、商品名:リピトール)のいずれかを服用している患者を後向きに調査し、投与開始後の耐糖能の変化を調べた。

同氏らはこれまでに、ストロングスタチンに分類されるAtと、マイルドスタチン(スタンダードスタチン)に分類されるPrを比較し、AtがPrに比べて血糖コントロールを悪化させる可能性があることを指摘している(高野達郎、山川正ら. J Atherosclerosis Thrombosis.2006;13:95-100.)。
今回は、このAtの血糖上昇作用が、ほかのストロングスタチンにも認められるかどうかを明らかにするため、検討対象にストロングスタチンのPiを加えて分析した。

調査対象は、2002年4月~2007年2月までにPr10mg、At10mg、Pi1~2mgのいずれかの投与を開始した糖尿病患者。
調査対象期間中に糖尿病薬の内容や投与量に変更があった患者などを除外し、At10mg投与群78人、Pr10mg投与群76人、Pi1~2mg投与群80人について、投与開始後3カ月間での随時血糖、HbA1c、脂質、体重の変化を分析した。

その結果、At群では、3カ月後に随時血糖およびHbA1cが有意に上昇した(随時血糖147mg/dL→177mg/dL、HbA1c6.80%→7.16%〔いずれもP<0.01〕)が、Pi群とPr群では有意な変動は見られなかった。
同じストロングスタチンでも、AtとPiでは、耐糖能に与える影響が異なることが示唆された。
なお、LDL-Cに関しては、すべての群で有意に低下したが、At群では他群に比べて有意に高いLDL-C低下作用を示していた。
このLDL-C低下作用の差について山北氏は、「At群ではマイルドスタチンからの切り替えが多かったのに対し、Pi群は同じストロングスタチンであるAtからの切り替えが多かったため、At群のLDL-C低下作用が高く出たのではないか」と分析していた。


関医院の関勝剛氏
アトルバスタチン投与でHbA1cが5.9%→6.8%
もう1つの発表は、2型糖尿病患者においてAtとPrの影響を比較したもの。
関医院(秋田県能代市)副院長の関勝剛氏が発表した。
同医院に通院中の2型糖尿病患者のうち、At投与患者66人(平均投与期間4.1年)とPr投与患者51人(同8.0年)について、空腹時血糖値、HbA1c、脂質などを投与前後で比較した。

その結果、どちらの薬剤でも脂質管理目標値は達成できていたが、やはりAt投与患者では糖尿病の状態が悪化していた。
具体的には、At投与患者の平均空腹時血糖値は111mg/dL→130mg/dL(p<0.0001)、平均HbA1cは5.9%→6.8%(p<0.0001)であり、Pr投与者では有意は変化はなかった。
関氏は「2年ほど前から、糖尿病患者にアトルバスタチンを投与するとやや血糖コントロールが悪化する印象を持っていたが、今回の分析でそのことを確認できた」と話す。

スタチンが糖代謝に与える影響は不明な部分も多いが、スタチン間で、脂肪細胞による糖の取り込みやβ細胞機能に対する影響に差があるとする基礎研究の結果も報告されている。
山川氏は、「糖尿病患者に高脂血症治療薬を使用する際には、薬剤によって耐糖能に与える影響が異なる可能性がある。
慎重に薬剤を選択するとともに、投与後の血糖値の変化にも注視した方がよい」と話している。

Nikkei Medical 2007.7
版権 日経BP社
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200707/503811.html

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# by esnoopy | 2008-02-25 00:10 | 循環器科

坐位中心の生活で高血圧リスク倍増

〔スペイン・パンプローナ〕ナバラ大学(パンプローナ)予防医学・公衆衛生学の
Juan Jose Beunza博士は「コンピュータ操作や自動車の運転など坐位中心
の活動が大半を占めるライフスタイルの人は,そのような仕事に付随するストレス
も加わるため,高血圧の発症リスクが最高で50%高い」と American Journal
of Hypertension(2007; 20: 1156-1162)に発表した。

メタボリックシンドロームと共通した機序 
Beunza博士は,同大学・食事とライフスタイル追跡プログラム(SUN study)に
参加した 1 万例以上のライフスタイル,食事,運動を分析した。
既に高血圧,他の心血管疾患(CVD),糖尿病あるいはがんの罹患者を除く
6,742例のうち,291例が新規高血圧と同定された。

同博士は「坐位中心の生活は高血圧だけでなく,メタボリックシンドローム全体と
関連しており,このことは体重増加などに共通の機序が存在することを示唆する
ものである」と指摘。
「有酸素運動を行うことにより,高血圧患者の血圧は最大で6.9 mmHg低下させる
ことが可能である」と述べている。

さらに,同博士は「坐位中心の習慣を持つ割合が最も高いのは余暇にほとんど運動
をしない若年男性である。彼らはコレステロール値が高かったり,果物や野菜を
ほとんど食べずに,塩分やアルコールを頻繁に摂取する傾向がある」

坐位中心の生活で高血圧リスク倍増
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4107882&year=2008
Medical Tribune 2008.2.14
版権 メディカル・トルビューン社

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パブロ・ピカソ 「夢 -The Dream-」
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v45085141

<コメント>
まさしく私のような内科開業医にぴったりあてはまる内容の報告です。
往診や在宅もほとんどせず、1週間のうち大半は外出しない毎日です。
仕事はほとんど坐業。
動かしているのは口だけ。
(頭の中はほとんど動かしていません)
坐業がいけないのは痔だけと思っていましたが、最近ではDVTによる肺梗塞が起きる
のではとなかば真剣に心配しています。

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# by esnoopy | 2008-02-22 00:07 | 循環器科

肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A. での発表です。
OAと肥満の関係は、発症には関係するが進行には関係しないというものです。
OA患者への減量指導は意味がないともとれるショッキングな内容です。

肥満は変形性膝関節症(OA)の強力なリスクファクターだが、OA発症後の進行リスクとしての影響は少ないことが示された。
米ボストン大学医療センターのJingbo Niu氏らが行ったMOST(Multicenter Osteoarthritis Study)試験により明らかになったもので、11月10日、米国リウマチ学会・学術集会の一般口演で報告された。


Niu氏らは、変形性膝関節症(OA)またはそのリスクが高い患者3026例(50~79歳)を登録し、2007年6月までに30カ月の追跡期間を満たした2307例(平均62.4歳)の解析を行った。平均BMIは30.5だった。

合計4481膝についてX線検査による膝変形度評価をした結果、試験開始時点でOA(K/Lグレード≧2)が認められたのは35.3%だった。
これらのうち、30カ月の追跡期間中にOAの進行が認められたのは52.6%で、その内訳は、内反膝の進行が41.1%、外反膝の進行が12.4%だった。
一方、開始時にOAの認められなかった膝では、6.0%が追跡期間中にOAを発症した。

BMI別に4段階の肥満度(正常体重群、過体重群、軽度肥満群、高度肥満群)に層別化して、肥満度とOA発症リスクとの関係を検討した結果、正常体重群に対する各群のOA発症の相対リスクは、過体重群が2.0、軽度肥満群が2.9、高度肥満群が4.7と、肥満度が高いほどOA発症リスクが増大することが分かった。
肥満に伴う発症リスクの増大は、内反膝、外反膝のいずれにも認められている。

これに対してOAの進行に関する相対リスクは、過体重群1.0、軽度肥満群1.0、高度肥満群1.2と、肥満による影響はあまり大きくないことが示された。
また肥満によるリスク増大がみられたのは内反膝のみで、その内反膝でさえも高度変形例では肥満が進行リスクの増大につながることはなかった。

第71回米国リウマチ学会・年次集会 2007年11月6日~11日 Boston U.S.A.
Nikkei Medical ONLINE
肥満は変形性膝関節症の大きな進行リスクにならず
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2007/200711/504767.html
日経メディカル オンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/
2007. 11. 14

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# by esnoopy | 2008-02-21 00:05 | その他

J-DOIT3の継続決まる

糖尿病患者の血糖は下げすぎてはいけない。
こんな衝撃的なニュースが走りました。

ACCORD試験の血糖管理強化療法中止で広がる不安,10日で“断” 
2型糖尿病患者に対する多因子強力介入の有効性を検証する厚生労働省主導の臨床試験J-DOIT3(研究リーダー=東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授・門脇孝氏)の継続が,2月15日に決まった。
同試験は,2月6日に米国で発表されたACCORD試験における血糖管理強化療法の中止を受け,8日から新規患者の登録などを一時停止していた。
ACOORD試験に関する突然の中間解析結果の発表は日本の糖尿病関係者の間でも大きな話題となり,厳格な血糖コントロールへの不安が広がる気配もあったが, 10日で“断”が下されたことになる。

HbA1c5.8%をめざすJ-DOIT3
J-DOIT3は,厚生労働省の糖尿病戦略研究J-DOITの1つで,高血圧または脂質異常症を合併する日本人2型糖尿病患者を対象に,血糖,血圧,脂質の3因子に対する強力な介入を行うことで,心血管イベントや死亡の発生を低減できるかどうかを検証する試験。
従来療法群,強化療法群1,500例ずつの登録を予定している。

同試験の治療目標値は,従来療法群では現行ガイドラインの推奨値を採用しているのに対し,強化療法群ではより厳格な値を設定している。
例えば,血糖については従来療法群6.5%未満,強化療法群5.8%未満である。強化療法群では目標値を達成するため,生活習慣や血糖・血圧などのきめ細かな自己管理と指導に加え,ステップアップ方式の薬物療法が行われる。

2月16日,高松市で行われた第42回糖尿病学の進歩におけるシンポジウム「糖尿病対策の現状」でJ-DOIT3について発表した研究リーダーの門脇氏によると,症例登録は2006年6月から始まり,現段階で約1,700例に達している。
20か月後の平均HbA1c値は従来療法群6.5%,強化療法群6.0%と治療目標値に近似したレベルにあり,入院を要する重篤な低血糖は強化療法群で1例発生したのみだという。

ACCORD試験の中間解析結果に考慮すべき問題点
このようななか,もたらされたのがACCORD試験の発表だった。
ACCORD試験もJ-DOIT3と同様,ハイリスク2型糖尿病に対する3因子強力介入の意義を問うもので,両者の試験デザインには類似点が多い。
それだけに,血糖管理強化療法の中止は「衝撃的だった」(門脇氏)という。

ACCORD試験の強化療法が中止されたのは,強化療法群の死亡例が257例(14件/1,000人・年)と従来療法群の203例(11件/1,000人・年)を上回ったための緊急処置だった(血圧・脂質に対する介入は継続される)。
なお,平均HbA1cは登録時の8.2%に対し,従来療法群7.5%,強化療法群6.4%のコントロールレベルにあった。
強化療法群で死亡が増加した理由については明らかにされていないが,ACCORD試験の研究グループは「ハイリスク2型糖尿病患者の血糖コントロールはHbA1c7%程度が推奨される」とコメントしている。

これに対し門脇氏は,
(1)ACCORD試験における死亡率は,同様の危険因子を有する米国の2型糖尿病患者における死亡率(50件/1,000人・年)よりかなり低い,
(2)研究グループは否定しているが,重症低血糖の増加が強化療法群における死亡増加に影響した可能性も払拭できない
ことを考慮すべき問題点として提起した。
米国糖尿病学会(ADA)も,ACCORD試験の中間解析結果をもとに,ガイドラインの血糖コントロール目標値(HbA1c7%未満)を変更することはないとして明言しており,逆に治療の変更を強く懸念するとの見解を発表しているという。

死亡の逐次モニターなどを条件に試験継続を承認 
ACCORD試験の中間解析結果発表後のJ-DOIT3研究の対応について,門脇氏は次のように説明した。

ACCORD試験の中間解析結果の解釈には上記のような疑問が残るものの,患者の安全性に万全を期すため,2月8日,新規患者の登録と血糖コントロールに関する新たなステップアップを一時停止することを決定。
参加医療機関などに連絡した。

一方,研究グループとは独立の試験評価委員会において,J-DOIT3の中間解析結果の評価を行い,
(1)現時点で強化療法群と従来療法群で一次エンドポイントの発生に有意差が認められない,(2)イベント発生時のHbA1cとイベントとの間に有意な関連が認められない,
(3)強化療法群においても重篤な低血糖はほとんど発生していない
ことを確認。
今後,一次エンドポイントのうち,死亡については年1回の中間解析だけでなく,可能な限り逐次モニターすることなどを条件に,患者の新規登録を含めた試験の継続が承認されたという。

J-DOIT3の継続決まる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0802/080210.html

Medical Tribune
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ACCORD試験~血糖値は下げすぎなほうが良い?
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-12.html
http://medicineblog.asablo.jp/blog/2008/02/10/2615727
(これらのブログでは開発中の薬剤や大規模臨床試験についてするどく斬り込んでいます。なぜか内容は同一です。)
治験論文が刊行され判断材料が揃うまでは軽率に判断しないほうが良い、また、この試験の組入れ条件を満たすのは二型糖尿病患者の一部に過ぎず二型糖尿病全般にあてはまるわけではない、というの賢者の知恵のようです。
ADA米国糖尿病学会はHbA1cを7%未満に下げることを目標とするよう推奨しています。AACE米国臨床内分泌学学会は6.5%以下が目標です。ACCORD試験の結果を額面通り受け止めるならば、AACEのガイドラインを遵守するのはリスクが高く、ADAのガイドラインも守らないほうが良いということになります。心血管リスクが低い患者には当てはまらないかもしれませんが、当てはまらないというしっかりとしたエビデンスもありません。
プライマリーケア医はリスク回避的なので学会のガイドラインを遵守していない人が多いでしょう。慌てる必要はないことになります。しかし、アグレッシブな治療を行う専門医は、今すぐにでも治療方針の正当性を再検討しなければならないでしょう。

<コメント>
糖降下強化療法と死亡リスク上昇の関連が示唆されたこのACCORD試験とは異なり、ACCORD試験と同様のデザインで実施されているADVANCE試験の途中解析では血糖レベルを現在の推奨レベル未満まで下げることを目標とした血糖降下強化治療と死亡リスク上昇に関連は認められないということです。


<参考>
For Safety, NHLBI Changes Intensive Blood Sugar Treatment Strategy in Clinical Trial of Diabetes and Cardiovascular Disease
http://public.nhlbi.nih.gov/newsroom/home/GetPressRelease.aspx?id=2551
J-DOIT
糖尿病診療のわが国発のエビデンス構築へ
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3929701&year=2006&type=article
2型糖尿病の発症を50%抑制へ         J-DOIT1
2型糖尿病患者の治療中断率を50%改善へ J-DOIT2
2型糖尿病の血管合併症を30%抑制へ  J-DOIT3

第40回糖尿病学の進歩
最近15年で血糖コントロール改善
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3910191&year=2006&type=article

他にもブログがあります。
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# by esnoopy | 2008-02-20 00:05 | 糖尿病

CKDの早期発見・早期介入 その2(2/2)

年間8,000例が新規透析導入
台湾腎臓学会のCKD対策委員長を務めるカオシュン大学のShang-Jyh Hwang准教授は,台湾におけるCKD予防政策とその結果を紹介した。

ESRD発症率は長年,台湾が世界のトップを走っている。
ESRD有病率も同じく第 1 位だが,2004年から2005年にかけて有病率はやや減少。
日本のこれまでのESRD有病率の推移から考えると,日本がESRD有病率では世界トップになる可能性が高いという(図 2)。
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2005年末時点での台湾の透析患者は 4 万7,000人で,内訳は血液透析93 %,腹膜透析 7 %。年間8,000人近くが新たに透析導入されているため,死亡者(4,000人弱)や腎移植者(約500人),回復者(80人)を除いても,毎年3,000人余り増加していることになる。
同准教授は「糖尿病と高齢化がESRD増加の 2 大要因となっている。実際,ESRD患者の 4 割は糖尿病を合併している」と説明。
さらに,米国ではCKDに循環器疾患を合併することが多いが,台湾ではそうした合併が比較的少ないため,透析を受けていても長生きする傾向にあるのではないかとした。

台湾では年々増え続ける医療費よりも透析医療費のほうがさらに高い伸び率を示しており,2000~02年は毎年約10%ずつ透析医療費が伸びていた。
しかしその後,透析医療費の伸び率は徐々に鈍化し,2007年は 3 %を切るまでに落ち着いた。

1人当たりの医療費は2.7倍 
2002年に台湾で行われた全国調査では,対象者の6.43%がCKDと判明。
米国の調査データと比べると,いずれの年齢層でも台湾のほうがCKD有病率が高い。Hwang准教授は「台湾ではCKDはかなり深刻な公衆衛生上の問題になっている」と強調した。
また,近年,メタボリックシンドロームに注目が集まっているが,同シンドロームの構成要因の保有数が多くなるほどCKD(ステージ 3 ~5 )患者の割合も高くなるという。

CKD患者は非CKD患者に比べて外来受診回数が有意に多く,入院率も高い。
当然,かかる医療費もCKD患者のほうが高く,年間の患者 1 例当たりの医療費は非CKD患者の2.7倍(2004年データ)に及ぶ。

台湾では台湾腎臓学会および政府(保健医療当局)が協力してCKD予防プログラムを展開しており,同プログラムに参加する病院も年々増えている。
これらの病院は,(1)CKD患者用の統合ケアと専門医への紹介システムを整える(2)同学会が行っている教育コースを看護師や栄養士に受講させる(3)CKD予防や尿検査の意義を一般市民に啓発する―ことなどが求められるという。

最後に,同准教授は「台湾ではpre-ESRDケアにかかる費用が保険償還されており,これは幸いだが,まだやるべきことはたくさんある。
今が,台湾におけるCKD予防の歴史の幕開けであり,大々的に行動を起こすときだ」と締めくくった。

IKEAJ調査で23.8%がCKD 
わが国ではIKEAJがKEEPの一環として,北海道,関東,九州でCKD早期発見のための無料検査を実施している。
IKEAJの高橋進理事長が,その被検者1,163例(男性552例,女性611例)のデータを紹介した。

厚生労働省の職場検診データでは尿蛋白発見率は 3 %強だが,IKEAJ-KEEPでは6.7%と高かった。
NKF-KEEPのCKD分類〔糸球体濾過量推定値(eGFR)60mL/分/1.73m2未満または尿中アルブミン〕に従うと,今回の1,163例中277例(23.8%)がCKDとなった。
年齢が上がるほどCKD患者の割合も高くなり,65歳以上では37.6%,75歳以上では40.7%が該当した。
日本の人口を考えると,65歳以上で900万人,75歳以上では148万人がCKDと推計されるという。

高血圧や糖尿病,高尿酸血症,家族歴といった危険因子を持たない人でも9.9%がCKDであった。
さらに,糖尿病群のうち31.6%がCKDであり,この比率から,わが国では230万人の糖尿病患者がCKDを合併していると考えられた。
なお,KEEP被検者で糖尿病だった者のうち 4 割以上が血糖コントロール不良であった。

同理事長は「IKEAJ-KEEPで,CKDが予想以上に多いことがわかった。CKDを早く見つけるためには尿中アルブミン測定が必須である。公衆衛生の立場からハイリスク・グループを特定して検査し,健診で陽性だった参加者を早期介入につなげていくことが重要だ」と結んだ。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
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CKD診療ガイド PDF
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf#search='CKD'
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# by esnoopy | 2008-02-19 00:06 | 腎臓病

CKDの早期発見・早期介入 その1(1/2)

CKDの早期発見・早期介入を 
慢性腎臓病(CKD)は進展すれば末期腎不全(ESRD)に至り,透析あるいは腎移植が必要となる。
また,CKD患者では心血管疾患(CVD)リスクが高いこともよく知られている。
このCKDが世界的に増加していることから,公衆衛生上の重要な問題と認識されるようになってきた。
東京都で開かれた特定非営利活動法人腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)の第 3 回年次講演会「慢性腎臓病―先進国および発展途上国における諸疾患のなかの意義と負担―」では,米国,台湾,日本それぞれの代表がCKDの現状と対策について報告し,早期発見・早期介入の重要性を訴えた。

2020年にはESRDが1.4倍に
CKDがいかに重要な問題かについて,米国腎臓財団(NKF)のAllan J. Collins理事長は「ESRDは人口に占める比率こそ少ないが,これら患者にかかる医療費は莫大だ」と指摘。ESRDは通常の疾患に比べて10~20倍の医療費がかかると言われている。
ちなみに,ESRDの毎年の新規発症率(人口100万人当たり)を見ると,台湾が最も高く,次いで米国,第 3 位が日本となっている。

米国の透析患者は約34万人(2006年データ)で,新規ESRD患者は10万7,000人ほど(2005年データ)と報告されている。
年間の新規ESRD発症率はここ数年横ばいに近い状態だが,これは人口集団全体に対しての新規発症率であるため,米国での人口の増加に比例して新規発症数は増えているのだという。そして,透析技術の進歩などにより透析患者が長生きするようになってきたため,ESRD有病率も年当たり 2 %ほど上昇している。

新規ESRD発症数に関しては,2020年は15万1,000人と予測されており,2005年からの15年間で40%余り増加することになる。
透析患者は2005年の34万人が2020年には53万人に,移植患者は14万人から25万人になると予測されている。

ESRDにかかる医療費はこれまで過去の予測通りに推移している。
それに従うと,2020年には年間536億ドル(約 6 兆円)必要との数値がはじき出されており,米国の政策決定者にとって大きな問題となっている。

同理事長は「ベビーブーマー世代が60歳代に入ってくると,ESRD発症の増加率が加速する。糖尿病もESRDの増加にインパクトを与えているが,人口の高齢化と比べればその寄与度は少ない」と説明した。

8 %が医療予算の28%を使う
米国では高齢者医療保険メディケアで3,100万人余り(2005年データ)がカバーされている。これらのなかで22.8%が糖尿病,12.4%が心不全,6.6%がCKD,1.2%がESRDと診断されている(複数の疾患を抱える患者もいるため重複あり)。
一方,総支出は2,169億ドル(約24兆円)だが,糖尿病と心不全がそれぞれ 4 割近くを占めるほか,CKDが19.4%,ESRDが8.2%となっている(前述と同じく重複あり)。
すなわち,メディケア対象者の 8 %でしかない腎疾患に対して予算の28%が費やされていることになるわけだ(図 1)。

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Collins理事長は「各国政府がCKDに関心を持つのは,1 つには医療費が増大するからだ。心疾患,糖尿病,腎疾患の 3 つでかなりの予算が使われる」と指摘した。

米国で行われている国民保健栄養調査(NHANES)のデータによると,CKD患者の割合は増加傾向にあり,1999~2004年では15.5%が該当した。
層別解析すると,いずれの年齢層においても男女ともCKD患者の割合が増加していたが,なかでも高齢者での増加幅が大きかった
さらに,ステージ 3 ~4 のCKDがより増えていることもわかったという。

CKDの有無で比較すると,CKD群のほうがあらゆる原因による入院率が高く,CKD群の肺炎による入院率は非CKD群のほぼ 2 倍であった。
同理事長は「CKD患者のうちインフルエンザワクチン接種を受けた者はそうでない者に比べ全体的な入院率および死亡率が減っている。しかし,現状ではワクチン接種率は低く,十分に活用されていない」と述べた。

米国では2000年からKEEP(Kidney Early Evaluation Program:腎臓早期評価プログラム)が実施されており,わが国でもIKEAJが同様のプログラムを採用。
2008年中に英国やメキシコ,オーストラリアでもKEEPが開始される予定という。

同理事長は「全世界的にCVDと糖尿病が主要死因になっているが,これらにCKDを合併するとイベント発生や死亡のリスクはさらに高まる。こうした患者には最優先で介入すべきであり,そのためにも早期発見プログラムが重要だ」と強調した。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103601&year=2008

Medical Tribune2008.1.17
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# by esnoopy | 2008-02-18 00:05 | 腎臓病

体重と全死因死亡率

まずは肥満と過体重の違いを理解することから始まります。
「ちょいデブ」はやはり悪くはなかったようです


やや過体重のほうが好結果 全死因死亡率の有意な低下に関連

〔ニューヨーク〕最も理想的な体重とはどのくらいなのか。
米国立保健統計センター(NCHS)のKatherine M. Flegal博士らは国民保健栄養調査の大規模データを用いた研究から,過体重は糖尿病と腎疾患の組み合わせによる死亡率の有意な増加に関連するとはいえ,がんまたは心血管疾患(CVD)による死亡率とは関連しなかったとJAMA(2007; 298: 2028-2037)に発表した。

適正体重が最良ではない
 Flegal博士らは,肥満ではない過体重の人について「最終結果として,過体重は全体的に全死因の死亡率の有意な低下に関連した。低体重と肥満はいずれも死亡率に負の影響を及ぼすことが判明した」と結論している。
 肥満ではない過体重の人は,アルツハイマー病,パーキンソン病,感染症,肺疾患などを含めた一連の疾患による死亡の可能性が低かった。
 この発見に対して専門家は,理想体重をどのようにして決めればよいかと問うだろう。
カリフォルニア大学サンディエゴ校(カリフォルニア州ラホヤ)家庭・予防医学のElizabeth Barrett-Connor教授は New York Times の記事で,「私はこのデータを信頼する。過体重範囲のbody mass index(BMI)25〜30がおそらく最適だろう」と述べている。
 また,フロリダ州立大学(フロリダ州タラハシー)統計学のDaniel McGee教授は同紙で「死亡率という基準を用いるのであれば,過体重(over-weight)という表現は誤りと言える」と指摘している。
一方,ハーバード大学Brigham and Women's病院(ボストン)予防医学のJoAnn Manson教授は同紙で「健康は単に死亡率だけの問題ではない」としている。
 研究責任者で米国立がん研究所(NCI)のMitchell H. Gail博士は,医師と研究者としての個人的な意見であると断ったうえで,「きわめて健康かつ元気で,かなりの運動をしているうえ,検査値などが適正とされるような人は,減量しなくてはならない緊急性があるとは思えない」と同紙の読者に助言を呈している。

若干の過体重では生存率増加
 Flegal博士らが分析したデータは,NCHSが行った米国の大規模な代表的全国調査である第 1 次〜第 3 次国民保健栄養調査(NHANES)によるものである。
実際に参加者の身長と体重を測定したため,数値は正確である。
各参加者を死亡まで追跡したが,死因は死亡証明書を参照して決定された。
2000年までのフォローアップ期間の死亡率は57万1,042人/年であった。
また,米国の25歳以上の成人230万人について内在的な死因の情報も調査した。
 同博士らは「一部のエビデンスは,多くの状況において若干体重が多いほうが生存率が上昇することを示唆しており,過体重に関するわれわれの発見を部分的に説明する可能性がある。過体重はがんやCVDリスク増加と強く関連せず,感染症や医療処置などによる有害状態からの回復や生存率向上,一部の疾患の予後改善に関連する可能性がある」と述べている。
 今回の知見は,他の最近の研究結果と類似する。
同博士らは「測定した身長と体重や,われわれの研究で使用したBMI分類基準と同じ正常体重範囲を用いたいくつかの最近の研究で,CVD死亡率はハザード比0.9〜1.1で過体重とほとんど関連しないことが判明している」とし,さらに「がん死亡率に関するわれわれの知見は,いくつかの最近の報告と一致する」と付け加えている。
 興味深い知見として,肥満の人は大腸がん,乳がん,食道がん,子宮がん,卵巣がん,腎臓がん,膵がんによる死亡リスクが高いが,肺がんなどの数種のがんによる死亡リスクは低い。
ただし,糖尿病関連死はCVDに起因するとされることが多いため,正しく記録されていない可能性がある。
 論文はBMIと死亡率の関係は死因により異なると結論し,「これらの結果は,BMIと全死因の死亡率との関係を明確化するうえで有益である」としている。
 今回の結果は,同博士らによる以前の研究(Flegal KM, et al. JAMA 2005; 293: 1861-1867)に基づいている。

肥満と活動障害に新研究
 ペンシルベニア大学(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のDawn E. Alley博士とVirginia W. Chang助教授は,代表的な全米調査であるNHANESの1988〜94年(第 3 次)と1999〜2004年のデータを分析し,「長い間には肥満に関連する死亡率の低下は,肥満になる年齢の低下と相まって,高齢の肥満人口における活動障害の増加につながる可能性がある」との結論をJAMA(2007; 298: 2020-2027)に発表した。
 この知見は,系統的な身体活動と減量プログラムは一般的に認識されているより多くの便益をもたらす可能性を示唆している。
 肥満の成人における心血管の状態は最近改善しているが,Alley博士らは「最近の心血管の改善は高齢の肥満人口における障害低下を伴っていない。
むしろ1999〜2004年に調査された肥満の参加者では,1988〜94年に調査された肥満の参加者より多くの機能障害を有する傾向があり,肥満ではない高齢者で認められた日常生活動作(ADL)障害の低下は肥満の高齢者では認められなかった」と述べている。
  2 つのアウトカムの測定が今回の研究の焦点であった。
1 つは400m歩行,階段を10段上がる,前屈,4.5kgの重量挙げ,部屋間の歩行,肘かけのないいすから立ち上がるといった機能制限であった。
もう 1 つのアウトカム測定は摂食,着衣,起床と就寝といったADLにおける制限であった。
 ADL障害の有病率は 2 つの調査で差がなかったが,機能障害の有病率は36.8%から42.2%に5.4%増加した(P=0.03)。
 1988〜94年の調査では,肥満の参加者に関する機能障害オッズ比は標準体重の参加者の1.78倍〔95%信頼区間(CI)1.47〜2.16〕,1999〜2004年の調査では同2.75倍(95%CI 2.39〜3.17)であった。

過体重は障害に影響せず 
重要な点として,肥満ではない高齢者に関してADL障害のオッズ比は1990年代に有意に低下した。
しかし,肥満の高齢者については有意な変化は見られなかった。
 Alley博士らは「極度の障害を有する少数の人々に対して医療費の偏重を是正するため,ADL障害に関するデータは重要である」と指摘。さらに「この研究と他の研究で認められた肥満と障害との関連性の強さは,慢性症状と障害との関連性と同様である」と述べている。
 対照的に,能力障害に対する過体重の影響は認められず,これは高齢者の健康に対する過体重の影響が小さいことを示唆する他の研究結果と一致する。
BMIが40以上の人は,30〜35の人より能力障害になる可能性がはるかに高かった。
 米疾病管理センター(CDC)のEdward W. Gregg博士と米国立衛生研究所(NIH)のJack M. Guralnik博士は,JAMAの付随論評(2007; 298: 2066-2067)で 2 型糖尿病の関連性を含めてこの問題の諸相を検討し,「ライフスタイルへの介入は高リスクの過体重の人で 2 型糖尿病の発症率を低下させるが,そのようなプログラムの効果的な実施は遅々として進んでいない」と述べている。
 論評では「系統的な身体活動と減量は 2 型糖尿病の予防に役立ち,関節炎の症状を低減し,身体機能を改善すると思われる。
つまり,長期間にわたり持続している肥満の各アウトカムを低減できるため,最も可能性のある統合的な介入かもしれない。
したがって,これらの発見は,効果的なライフスタイルと運動プログラムを保健システムと地域共同体に統合するうえでの障壁を克服するだけの説得力のあるエビデンスとなる」としている。

Medical Tribune 2008.2.14
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
BMIの正常値が決まった経緯はよく知りません。
このBMIの正常値を少し緩(ゆる)くすればこの論文の意味もなくなってしまうという考えは乱暴でしょうか。
いずれにしろ興味深くこの論文を読ませていただきました。

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パステル 中尾彬「パリ」ⅠF4号
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(俳優の、あの中尾彬さんの絵です)


他にもブログがあります。
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# by esnoopy | 2008-02-15 00:05 | その他

呼吸器感染と心疾患・脳卒中リスク

呼吸器感染症が心臓発作と脳卒中の引き金や悪化の原因となりうることは、医学的
にも容易に想像できることです。
肺炎球菌ワクチンの接種が1回限りと定められている国内では、どのタイミングで
接種するかも臨床医の頭を悩ませています。
きょうはこのあたりの論文紹介で勉強しました。

〔ワシントン〕 ロンドン大学衛生学・熱帯医学部(ロンドン)統計ユニットのTim Clayton,
Tom Meadeの両氏らは,近年の呼吸器感染症は冬季により多くなる心臓発作と脳卒
中リスクを高めることを示す強いエビデンス
が得られたとEuropean Heart Journal
(2008; 29: 96-103)に発表した。

感染翌週にはリスクが倍増
冬季に呼吸器疾患が死亡の直接的な原因となる患者に加えて,冠動脈性心疾患
(CHD)と脳卒中による死亡が増加することは,ここ数年間,死亡診断書の情報により
認識されてきたが,より確実なエビデンスが必要とされていた。

Clayton氏らは「呼吸器疾患が脳卒中の強い危険因子である」とする一般診療から得られた情報に基づいて以前の研究の知見を確認または反論するため,さらなる研究を行えるよう英国心臓財団に資金を申請した。

同氏らは,疫学研究で広く用いられる一般診療データベースIMS Disease
Analyzer Mediplus database(IMS)により臨床症例対照研究を実施。
IMSには約500人のプライマリケア医に登録された患者約200万例の詳細なデータが
含まれている。

呼吸器感染症を発症した翌週には心臓発作と脳卒中リスクが倍増したが,次第に低下
して1 か月後には過剰なリスクはほとんど見られなかった。
リスクは年齢や性に関係なく,心臓発作に関しては低リスクから高リスクまですべての
レベルで認められた。
また,最近の尿路感染症とその後の心臓発作または脳卒中との関連を示すエビデンスも
得られた。

確実に免疫能を高めるか,感染症を治療または予防することにより呼吸器感染症を減らす
便益はかなり大きいと見られる。

同氏は「呼吸器感染症とその後の心血管イベントを関連付けるエビデンスが増加しており,
これらのデータはそれに新たに加えられるものとなる。しかし,これらのイベントに対する
呼吸器感染症患者の絶対リスクは低いままである」とコメントしている。

英国心臓財団予防治療部のMike Knapton博士は「われわれは心疾患患者がインフル
エンザワクチン接種を受けることを推奨している。インフルエンザは特に心不全患者などの
心疾患患者にとって深刻な疾患であり,心臓発作の要因となることがある。インフルエンザ
は死亡原因となることから,心疾患患者は年齢にかかわらず無料でインフルエンザワクチ
ン接種を受けることができる。患者はインフルエンザに対する自衛策として,この措置を受
けるように強く推奨する」と述べている。

Medical Tribune 2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社

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シャガール [ロミオとジュリエット」
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同じような論文はすでに発表されていました。
呼吸器感染で心筋梗塞と脳卒中リスク上昇
診断後3日間が最も高い

〔ニューヨーク〕 ロンドン大学衛生学・熱帯医学部(ロンドン)のLiam Smeeth博士らは,
500万例以上の電子カルテの分析から,呼吸器感染症に罹患すると心筋梗塞(MI)と
脳卒中のリスクが著しく上昇すること,特に診断後 3 日間のリスクが最も高いことを
見出し,New England Journal of Medicine(NEJM,2004; 351: 2611-2618)
に発表した。

ワクチン接種では上昇しない
Smeeth博士らは,一般的なワクチン接種後ならびに感染症罹患後のMIと脳卒中の
発症リスクを検討するため,英国一般診療研究データベース(GPRD)に登録されている
500万例以上の成人のカルテを,個人内で比較する方法とケースシリーズ法を用いて
分析した。
初回MIまたは脳卒中の発作を起こした患者は,それぞれ 2 万486例,1 万9,063例
であった。予防接種を受けた者あるいは感染症に罹患した者のみを対象として主要な
解析を行った。

同博士らは「今回の所見は,急性感染症が血管イベントリスクを一時的に高めるという
考えを裏づけている。
感染症罹患後 3 日間のMI発症比は4.95(95%信頼区間4.43~5.53),脳卒中は
3.19(同2.81~3.62)であった。
その後の 1 週間は発症リスクが漸減した。
尿路感染症の診断後もMIと脳卒中のリスクが有意に上昇したが,呼吸器感染後ほど
ではなかった」と述べている。

一方,一般的な予防接種後にこれらの疾患が増加することはなく,インフルエンザや
破傷風,肺炎などのワクチンを接種しても,明らかな血管イベントリスクの上昇は認め
られなかった。
また,MIと脳卒中発作の再発でも初発時と同様な所見であった。

同博士らは「初発MIは夏季より冬季に多い傾向が見られたが,発症時期を夏季に
限って分析した場合でも,この呼吸器感染後のリスク上昇は明らかであった。さらに,
感染プロセスが一過性ではあるものの心血管イベントの有意なリスク上昇に関係して
いたことは,全身性の炎症自体が血管イベント発生率を変えるという考えを強力に支持
している」と述べている。

リスク上昇の機序は不明
今回の研究からは,リスク上昇の直接原因は特定できなかった。血管内皮細胞機能の
短期変化,プラーク組成の変化,白血球の活性化,脱水症,床上安静などいくつかの
機序が,単独あるいは共同して働いていると考えられる。

これまでに血管内皮細胞の機能不全が,MIや脳卒中に対する従来の危険因子に関連
するリスク上昇の特徴であることは,ハーバード大学(ボストン)のScott Kinlay博士ら
の研究(American Journal of Cardiology 1997; 80: 11I-16I)やロンドン大学
のN. Norman Chan博士らの研究(Journal of the American College of Cardiology 2001; 38: 1814-1820)などで既に知られている。Smeeth博士らは
ケースシリーズ法には個人内比較を行うことにより,例えば治療前心血管リスクといった
被験者ごとに異なる因子の影響を排除できる利点があることを指摘している。

それとは別に,白血球数増加が脳卒中リスク上昇の指標となることも,ハイデルベルク
大学(独ハイデルベルク)のArmin J. Grau博士らの研究(Stroke 2004; 35: 1147-1152)で指摘されている。

さらに,多くの小規模試験が,感染症とMIリスクの一過性上昇を関連付けている。
ボストン大学医療センター(マサチューセッツ州レキシントン)のChristoph R. Meier
博士らが急性呼吸器感染とMIの関係を調べた症例対照研究(Lancet 1998; 351:
1467-1471)は,同様にGPRDを利用し,MI発症前の12か月間に呼吸器感染に罹患
した475例を分析し,MI発症前10日間の呼吸器感染によりMIリスクが約 3 倍増大した
ことを明らかにした。同博士らは「症例交差分析で,指標日(最初に発作を起こした日)
前10日間の急性呼吸器感染に関する急性MIの相対リスクは 2.7であった」と述べている。
この初期の研究では,MIと尿路感染症の間に関連は見られなかった

Medical Tribune 2005.3.31
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他にもブログがあります。
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# by esnoopy | 2008-02-14 00:05 | 呼吸器科

65歳からでも健康改善可能

「言うは易く行なうは難し」
まさにそんな論文です。
〔米オハイオ州クリーブランド〕 医師も患者も65歳を過ぎると健康状態は下降の
一途をたどる−などと悲観する必要はない。
ニューヨーク長老派教会病院・コーネル大学Weill医学部(ニューヨーク)内科学
のRichard S. Rivlin教授らは,高齢者はそれまでに不健康な生活を送っていた
としても,簡単な食事療法や運動プログラムにより,健康状態を著しく改善できる
とする研究結果をAmerican Journal of Clinical Nutrition(2007; 86: 1572S-1576S)に発表した。

身体組成を改善して疾患を予防
Rivlin教授らは「65歳以上の高齢者は,シンプルで現実的なライフスタイルに変えることで,がんや心血管疾患,骨粗鬆症などを含めた疾患リスクを減少できる」
とし,「これはきわめて重要かつ肯定的なメッセージである。多くの高齢者は健康状態
を改善するにはもはや手遅れであると思っているが,決してそのようなことはない」と
述べている。

同教授によると,高齢者はまず体脂肪を減らし,筋肉量を増やして身体組成を改善
すれ
ば,疾患を食い止めることができる。
加齢に伴う疾患の予防には,定期的な運動プログラムを実践しながら低脂肪,低カロリーで野菜とフルーツの摂取量を増やす食事を守ることが重要であるとしている。

同教授は「60歳代,70歳代からでも慢性疾患対策を始めれば,まだ確実に効果が
得られる。
ただし,高齢者に手っ取り早い方法などはなく,ライフスタイルを改善しなければならない
ことを認識させるべきである」と指摘している。

同研究チームが高齢患者に推奨する具体的なライフスタイルの改善案は次の通り。
(1)高血圧の人は血圧を下げる。血圧が下がれば男性における冠動脈疾患の 5 分
の 1 を,女性では30%を予防できる可能性がある
(2)低カロリーの食事を取り,定期的な運動を行うことでがんを予防できる可能性がある。
同教授らによると,ある研究ではがんの発症率が50%低下した
(3)ウエートトレーニングをする。ウエートレーニングは,カロリー燃焼と骨粗鬆症の予防
に効果がある
(4)カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取する。これらのサプリメントは骨量減少
と骨折の予防に効果がある

Medical Tribune 2008.1.31
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シャガール 「ロミオとジュリエット」
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<コメント>
要するに
「思い立ったが吉日」
ということでしょうか。

この論文に関連した言葉
「事を行うにあたって、
いつから始めようかなどと考えているときには、すでに遅れをとっているのだ」
クインティリアヌス (ローマの修辞学者・教育家)

苦労なくして、得られるものはない
No pain, No gain

今現在のような時(好機)はない
There is no time like the present.

今日出来ることを明日に延ばすな
Never put off until tomorrow what you can do today.

過ちを改めるに憚るなかれ
It is never too late to mend.

医学雑誌斜め読み(1)
□「先人の跡を師とせず、先人の心を師とすべし」 志賀 潔
日本医事新報No.4370 2008.1.26 P71
□50歳以下の年齢ではBMIと心血管死の関係は希薄となり、85歳以上の男性、
75歳以上の女性ではBMIが増えても心血管死率の増加はみられていない。
日本医事新報No.4370 2008.1.26 P89
(Stevens J,N Engl J Med 338:1,1998))


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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# by esnoopy | 2008-02-13 00:13 | その他

糖尿病患者へのスタチン療法

糖尿病患者に対するスタチン処方の有用性に関する報告がLancet誌に掲載されました。

糖尿病患者に対するスタチン療法のベネフィットは明らか
糖尿病患者の大部分はスタチン療法により明らかなベネフィットが得られることを示すCholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaboratorsのメタ解析結果が,Lancetの 1 月12日号に発表された。

このメタ解析にはスタチン療法に関するランダム化比較試験14件が含まれた。
対象は糖尿病患者 1 万8,686例( 1 型1,466例,2 型 1 万7,220例)と非糖尿病患者 7 万1,370例で,LDLコレステロール(LDL-C)値1.0mmol/L(38.67mg/dL)低下当たりの臨床アウトカムへの影響を評価した。

平均4.3年の追跡で,糖尿病群の3,247例に大血管イベントが発生した。
糖尿病群のLDL-C値1.0mmol/L低下当たりの全死亡の減少は 9 %(P=0.02),血管死の減少は13%(P=0.008)で,非糖尿病群でもほぼ類似したリスク低下が見られた。
非血管死については,両群においてLDL-C値低下による有意な影響は認められなかった。

糖尿病群のLDL-C値1.0mmol/L低下当たりの大血管イベントの減少は21%(P<0.0001),心筋梗塞または冠動脈死の減少は21%(P<0.0001),冠動脈血行再建術の減少は25%(P<0.001),脳卒中の減少は21%(P=0.0002)だった。
非糖尿病群の結果もほぼ同等であった。

糖尿病群のスタチン療法の効果は,心血管疾患既往の有無や血清脂質値を含むベースライン特性に関係なく,同じように認められた。
スタチン療法を受けた患者では,5 年後の大血管イベント発生が1,000例当たり42例減少すると推定された。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4106422&year=2008
Cholesterol Treatment Trialists' (CTT)Collaborators. Lancet 2008; 371: 117-125.
日経メディカル 2008.2.7
版権 (株)日経BP社

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黒澤 信男 「待春(戸隠山麓)」  油彩画 キャンヴァス SM
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<コメント>
元来のLDL-C値がどのくらいだったのか、そして糖尿病患者で特に有用であったのか原著をつぶさに読んでみないとよく分からない抄録です。
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# by esnoopy | 2008-02-12 00:42 | 糖尿病

老化進める環境

長寿の双子といえば誰もが「きんさん、ぎんさん」を思い浮かべられることと思います。
今回の研究は「老化を抑制する遺伝子の働き方」が生活習慣や環境の違いによって異なるだろうという仮説にもとづいた研究のようです。
   成田きんさん  双子の姉。2000年1月23日に死去。享年107。 死因は心不全。
   蟹江ぎんさん  双子の妹。2001年2月28日に死去。享年108。 死因は老衰。

老化進める環境、高齢の双子で探れ 阪大が研究へ
70~80歳代の一卵性双生児で、生活習慣や環境の違いが老化にどのような影響を及ぼすのかを探る研究を、大阪大医学系研究科の早川和生教授(健康増進学)の研究グループが始める。
09年3月までの研究期間に全国の50組の双子を調べる。
阪大の倫理委員会が5日研究を承認した。

一卵性双生児はゲノム(全遺伝情報)が基本的に同じ。
老け方が違うのは、生活習慣や環境に差があり、老化を抑制する遺伝子の働き方が異なるためとみている。

早川教授らは、約30年前から1万2000組の高齢の双子を追跡調査し、生活習慣病にかかわるライフスタイルなどについて研究してきた。
今回は1万2000組の中から体力や脳、腎臓の機能、聴力などで老化の差が大きい一卵性の50組を調査対象とする。

双子から唾液(だえき)を採り、クロトー、サート1という代表的な老化関連遺伝子の働きの程度を調べる。同時に食生活や運動量、仕事内容、ストレスの程度などの生活習慣、生活環境をアンケートし、どのような要因が、老化関連遺伝子の働きを促進するのかをみる。

asahi.com 老化進める環境、高齢の双子で探れ 阪大が研究へ
2008年02月06日
http://www.asahi.com/health/news/OSK200802050099.html
版権 朝日新聞社

<コメント>
研究成果を早く知りたいものですが来年以降のお楽しみとなります。

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米田整弘 [情景ヴェネツィア]http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v42944324


老化基礎科学
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/102/p10216.html
DNA損傷チェックポイント機構、細胞老化(Cellular Senescence)、細胞死誘導機構、酸化ストレス応答、IL-1ファミリー遺伝子、HZF、TARSH

国立長寿医療センター研究所
http://www.nils.go.jp/index.html
(長寿科学をlongevity sciencesというようです)

Klotho遺伝子と老化
http://www.kmu.ac.jp/~butsuri/student06/klotho.htm

寿命の限界を探る
http://www.healthist.jp/news/159_01/01_03.html

神経老化の最前線
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsn/JOURNAL/journal38-4/Gakkai_tokusyuu/mimori.html

遺伝からみた老化
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000500/hpg000000478.htm
私たちのからだの機能をつかさどる酵素などのタンパク質は染色体DNAの遺伝子(設計図)に従って作られます。これらのタンパク質が中心となって生物の形や性質などを決めていますが、老化も遺伝子によって決定されているかどうかはまだわかっていません。

不老不死への科学
http://genetics.fc2web.com
(多分野へリンクできます)

Klotho遺伝子と老化のメカニズム
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/KlothoCN01.html

「老化遺伝子」操作で、簡単に長寿を実現?
http://wiredvision.jp/archives/200402/2004021006.html
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# by esnoopy | 2008-02-08 00:30 | その他

喫煙者で糖尿病発症リスクが上昇

非喫煙者に比べて喫煙者で糖尿病発症リスクが上昇
ローザンヌ大学(スイス・ローザンヌ)外来治療・地域医療のCarole Willi博士らは,以前に行われた複数の試験を再検討した結果,喫煙者が 2 型糖尿病を発症するリスクは非喫煙者より高いとする結論をJAMA(2007; 298: 2654-2664)に発表した。

リスクは非喫煙者より44%高い 
喫煙とグルコース代謝異常との関連が多数の試験で検討され,喫煙が耐糖能異常,空腹時耐糖能異常,2 型糖尿病と独立して関連し,2 型糖尿病を修飾する危険因子であることが示唆されている。
しかし,この関連性を研究したこれまでの試験の質と臨床的特徴については十分に評価されていなかった。

Willi博士らは,喫煙と糖尿病などのグルコース代謝異常との関連を示す試験を体系的に再検討し,メタアナリシスを実施した。
データベースの調査から,1992〜2006年に発表された25の試験を抽出。
1試験当たりの被験者数は630〜70万9,827例で,合計120万例であった。
5〜30年にわたる追跡期間中に,合わせて4万5,844例の糖尿病症例が新たに報告された。

今回のデータ解析から,喫煙者が 2 型糖尿病を発症するリスクは非喫煙者より44%高いことが示された。
また,喫煙と糖尿病との間に用量依存性が示唆され,ヘビースモーカー(1日当たり20本以上;61%のリスク上昇)は軽喫煙者(29%のリスク上昇)より強く関連していた。
その関連性は,喫煙者より元喫煙者(23%のリスク上昇)のほうが弱かった。

同博士は「もはやこの関連の有無ではなく,この確立された関連の因果関係を問題にすべきだ」と結論している。

また,「これまでの主要な観察試験では因果関係を証明できなかったが,今回再検討した試験は因果関係を証明するのに必要な基準のいくつかに合致する」としている。

用量依存的な関係 
Willi博士らは「まず,いずれの試験でも被験者は糖尿病の発症前に喫煙していたという明確な経時的関係が見られた。
次に,喫煙と糖尿病との間に用量依存的な関係があり,軽喫煙者よりヘビースモーカーとの関連が強く,元喫煙者に比べて喫煙者との関連が強かった。
3番目に,複数の試験からではあるが,喫煙がインスリン抵抗性または不十分な代償性インスリン分泌反応をもたらす可能性があるという生物学的な因果関係が確認された」と述べている。

同博士らは「逆に,この関連には因果関係がない可能性もある。なぜなら,喫煙は体重増加や糖尿病をもたらす不健康な行動(運動不足,果物・野菜の摂取不足,多量飲酒)と関連することが多いからだ」と指摘。
また「喫煙との関係が原因かどうかを確認するためには,試験に詳細な測定と交絡因子(社会経済状態,教育,運動)の調整を含める必要がある」と付け加えている。

禁煙してライフスタイルの変更を 
ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)栄養学・疫学科のEric L. Ding,Frank B. Huの両博士は,同誌の付随論評(2007; 298: 2675-2676)で禁煙と糖尿病の予防に関していくつかの段階を経る必要があると指摘している。

Ding博士らは「2型糖尿病発症予防の推奨事項として,喫煙を避けるとともにライフスタイルを変更する必要がある。たびたびの禁煙により体重は増加するが,運動量を適度に増やすことにより,禁煙に伴う体重増加(約2kg)を抑えることができると思われる。大規模集団における 2 型糖尿病の予防は喫煙を避け,健康な体重調整,規則正しい運動,適量の飲酒,適度なダイエットを組み合わせてライフスタイル因子を変えることにより達成できる」と述べている。

[2008年1月31日(VOL.41 NO.5) p.11]
Medical Tribune 2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M4105112&year=2008
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久保輝秋 「大地の記憶」
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<コメント>
「この関連には因果関係がない可能性もある・・・」
患者に禁煙をすすめる際に、糖尿病になりやすいということを説明するかどうかも微妙です。
喫煙者に「不健康な行動」が多いかどうかという研究から始める必要がありそうです。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/(循環器科関係の専門的な内容)
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# by esnoopy | 2008-02-07 00:05 | 認知症

インスリン放出調節に新たな機序

2型糖尿病に広く用いられているスルフォニル尿素(SU)薬の多くが,当初有効であったにもかかわらず,長期間の連用によって減弱または消失する、いわゆる二次無効をしばしば経験します。
処方する側としては、患者さんの不摂生に原因を求めがちです。
最近といっても数年経ちますが、速効型インスリン分泌促進剤と称する経口糖尿病剤が使用されています。はたして二次無効はないのでしょうか。
分泌刺激による膵そのものの疲弊の懸念を考えると悩みながらの処方となります。
発売当初のパンフでも1年後のデータはあまりなかったように記憶しています。

以下の発表がピカ新の経口糖尿病薬の開発につながることを期待するばかりです。

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坂口紀良 「果物の静物」油彩8号
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〔スウェーデン・ストックホルム〕 カロリンスカ研究所(ストックホルム)糖尿病・内分泌研究Rolf LuftセンターのPer-Olof Berggren教授らは,膵β細胞からのインスリン放出を調節する新たな機序をScience(2007; 318: 1299-1302)に発表した。
この知見は糖尿病とその合併症治療にとって重要な意義を有する可能性がある。

新薬開発にも希望
糖尿病は最も一般的な慢性疾患で,患者に著しい苦痛を与えるだけでなく,社会的コストもきわめて高い。
Berggren教授らは,膵β細胞がインスリンを血中に放出する際の新たな調節機序を見出した。

今回新たに発見された機序には,InsP7と呼ばれる分子が関与している。
InsP7は,細胞の機能に重要な役割を果たす化学物質リン酸化イノシトールファミリーに属する。
同教授らは,InsP7がインスリンの放出を調節する重要なシグナル伝達物質であることを見出した。
「この発見により,新たな糖尿病治療薬を開発する希望が持てるようになった」と期待している。

同教授らは,膵β細胞でInsP7の合成を調節する遺伝子が,2 型糖尿病の先天性疾患素因がある日本人家族で変異している可能性に注目してきた。
この遺伝子を欠損しているマウスでは,ヒトの糖尿病と関連する障害が多く認められる。

同教授は「膵β細胞で同定したシグナル伝達経路は,糖尿病を理解し治療しようとするわれわれの試みにとって戦略上きわめて重要である」と述べている。

TOPICS FROM EUROPE
インスリン放出調節に新たな機序
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4104072&year=2008
Medical Tribune 2008.1.24
版権 メディカル・トリビューン社


<参考>
InsP7とインシュリンの放出(InsP7 and Insulin Release)
イノシトール1,4,5-三リン酸は、細胞のシグナル伝達における良く知られた二次メッセンジャーである。
この分子の更に高度にリン酸化された形態であるイノシトール・ピロリン酸もまた、細胞調節に機能している。
Illiesたちはこのたび、マウスの膵臓細胞からのインシュリンの完全な開口分泌放出にとって、InsP7(二リン酸イノシトール 五リン酸;diphosphoinositol pentakisphosphate) が必要であるということを示している。
InsP7を産生するキナーゼが欠乏すると開口分泌が抑制され、一方このキナーゼが過剰発現するとインシュリンの開口分泌が刺激される。
膵臓細胞は代謝の要求に応答してのインシュリン放出を確実なものにするために、多くのInsP7を維持している可能性がある。
Requirement of Inositol Pyrophosphates for Full Exocytotic Capacity in Pancreatic β Cells
http://www.ricoh.co.jp/abs_club/Science/Science-2007-1123.html


New mechanism of insulin release discovered
http://ki.se/ki/jsp/polopoly.jsp?l=en&d=2637&a=44439&newsdep=2637
(今回の研究に関連した論文です)
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# by esnoopy | 2008-02-06 01:35 | 糖尿病

魚,ω-3系油脂,果物,野菜と認知症

魚,ω-3系油脂,果物,野菜で認知症リスクが低下
〔米ミネソタ州セントポール〕仏国立衛生医学研究所(INSERM,仏ボルドー)のPascale Barberger-Gateau博士らは食事パターンと認知症リスクの関係を調べるコホート調査を行い,魚やω-3系油脂,果物,野菜が豊富な食事は認知症やアルツハイマー病(AD)リスクを低下させるが,ω-6系油脂の摂取はこれらのリスクを高めるとNeurology(2007; 69: 1921-1930)に発表した。

アポE4非保有者に限られる
対象は,試験開始時に認知症を発症していなかった65歳以上の男女8,085例。
4 年間の追跡期間中,183例がADを,98例がAD以外のタイプの認知症を発症した。

食事パターンを見ると,菜種油や亜麻仁油(フラックスシードオイル),くるみ油などのω-3系油脂を常時摂取している人はそうでない人に比べ認知症リスクが60%,果物や野菜を毎日取っている人ではそうでない人に比べ認知症リスクが30%低くなった。
1週間に 1 回以上魚を摂取すると,ADリスクが35%,認知症リスクが40%低下することもわかったが,これは,アポリポ蛋白質E4(アポE4)というADリスクを高める遺伝子を持たない人に限られた。

Barberger-Gateau博士は「ほとんどの人がアポE4遺伝子を持たないことを考慮すれば,これらの結果は公衆衛生の観点から大きな意味を持つ。しかし,魚やω-3系油脂,果物,野菜の摂取を推奨する前に,認知症を予防しうるこれら栄養素の最適の組み合わせ,至適量を確認する必要がある」と述べている。

さらに,アポE4遺伝子がなく,ω-6系油脂が多くω-3系油脂や魚介類が少ないという脂肪酸バランスが悪い食事を取っている人は,認知症の発症リスクがω-6系油脂の少ない食事を取っている人の 2 倍になることがわかった。
ω-6系油脂にはヒマワリ油やグレープシード油がある。
今回の試験では,コーン油,ピーナツ油,ラード,肉,ワインの摂取と認知症リスク低下との関連は認められなかった。

同博士は「認知症またはADリスク低下と関連する食事パターンを見出したとはいえ,これらの食品の認知症予防機序をよりよく理解するにはさらに研究が必要である」としている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4105113&year=2008

出典 Medical Tibune 2008年1月31日
版権 メディカル・トリビューン社


運動するとアルツハイマーになりにくいhttp://www.tomatolife.com/pino/arutu.html
アルツハイマーの発症率は、ベースラインで週3回以上運動していた人で1000人年あたり13人、運動頻度が週3回未満の高齢者では1000人年あたり19.7人で、年齢と性別で調整したハザード比は0.62(p=0.004)となった。交絡因子として、アポリポ蛋白質E4の遺伝子型、糖尿病、高血圧、心血管疾患、自己申告の健康状態、身体機能、鬱、認知機能で調整したところ、ハザード比は0.68で有意(p=0.030)となった。

アルツハイマー病の分子医学
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/ALZidensi.html
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として,これまでにアミロイドβ蛋白質前駆体,プレセニリン1及び2,アポリポ蛋白質Eの4つの遺伝子が明らかにされている.


他にもブログがあります。
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葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
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# by esnoopy | 2008-02-05 00:05 | メンタルケア

野菜と果物と少しの酒

野菜と果物と少しの酒でより健康な心臓に
〔スウェーデン・ストックホルム〕カロリンスカ研究所(ストックホルム)栄養疫学
のAgneta Akesson博士らは,スウェーデンの閉経後女性2万5,000人に
食習慣調査を実施し,全粒穀物・魚・豆と少量のアルコールとともに,野菜・
果物を毎日摂取する食習慣で心血管疾患の発症リスクが半減するとの知見
をArchives of Internal Medicine(2007; 167: 2122-2127)に発表
した。

心筋梗塞リスクが57%低下
食習慣と心血管疾患の関連が検討されるのは今に始まったことではなく,これ
までにも食事と心停止リスクの関連などが研究されてきた。
今回の研究は,あらかじめどのような食品を調査するのか決めずに,全体的
な食習慣を調査した点が斬新である。
この方法により,明らかに心血管疾患の低減に関連する 2 つの食事パターン
を同定できた。

Akesson博士は「第1のパターンは野菜と果物の多量摂取,第2のパターン
少量の飲酒が特徴的である。
1 日に摂取する目安は野菜4皿,果物2個,そしてグラス半分のワイン
である」と説明している。

全粒穀物,魚,豆を常に食べているか質問したところ,被験女性のほぼ3分の
1が食べていると答え,健康的な食習慣を維持していることがわかった。
さらに,この健康的な食習慣はそれらの食品摂取の少ない食習慣に比べ心筋
梗塞リスクが57%低下することが示された。

この健康的な食習慣を基本的質問項目としたうえで,健康的な体重の維持,
禁煙,定期的な運動(1日40分以上のウオーキングかサイクリング,週1時間
以上のより高い強度の運動)の有無について質問した。
その結果,これらすべてを行っていた女性は20人に 1 人で,その心筋梗塞
リスクは,喫煙し過体重,不健康な食習慣,運動習慣のない女性に比べ92%
も下回った


同博士は「すべての女性が今回の健康的食習慣群のような生活をするなら,
心筋梗塞の75%は予防できるだろう」とし,「わが国の公衆衛生を向上させる
にはスウェーデンの状況に基づくデータを導き出すことが重要である」と指摘
している。

今回の研究は,スウェーデンコホートの被験女性のうち,1914~48年に
ウプサラと近郊のベストマンランド郡で生まれた閉経後女性2万5,000例から
得られたデータに基づいている。
これらの女性は心筋梗塞発症リスクに関して97年から追跡されている。
今回の研究は健康な女性のデータをもとにしているため,健康的な食習慣を
持つ女性の割合が50歳以上のスウェーデン女性の間で予想される20%未満
という数値より高くなっている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4105062&year=2008TOPICS
FROM EUROPE
出典 Medical Tribune2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
なぜ閉経後女性だけが対象かという疑問は残ります。
そしてなんだか運動や禁煙の改善効果が一番大きいようにも思えました。
運動と食生活の両者のガチンコはどうなんでしょうか。

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ジム・バックルス   「シュバル」 シルクスクリーン
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# by esnoopy | 2008-02-04 00:05 | その他

特定健診・保健指導制度

いよいよ特定健診・保健指導制度が4月から導入されます。
裁判員制度もそうですが、どのような経緯でどのレベル(どういった役人や有識者と称する人、そして誰がそういった人を選んでいるのか)でこういったことが制度化されて行くのかよくわかりません。

私は一開業医ですが、どのように関わっていけばいいのか、日本医師会に入会している立場ですが今もってよくわかりません。
私自身、生理的に受け付けなくて、知ろうとしないのかも知れません。

特定健診・保健指導制度,現場の声は第36回日本総合健診医学会

いよいよ今年(2008年)4月から特定健診・保健指導制度が始まる。
1月25,26日に神戸市で開かれた第36回日本総合健診医学会では,「セルフヘルスプロモーションをめざした総合健診」をスローガンに,4つのセッションを割いてこの制度を取り上げた。
会場は立ち見が出るほどの聴衆で埋まり,本テーマに対する関心の高さが伺えた。

保険者の指導による成果達成を義務付け
特定健診・保健指導制度は,保険者および健診関係施設が40~74歳の受診者に特定項目から成る健診を実施,メタボリックシンドロームあるいはその予備軍と見なされる人に対し,保健指導を行い,成果達成を義務付けるもの。
5年後の2012年にはメタボリックシンドローム保有者の増減率に応じて金銭的なインセンティブあるいはペナルティが課せられる。
特定健診は腹囲(男性85cm以上,女性90cm以上),もしくは腹囲が左の基準に満たない場合,body mass index(BMI)が25以上の,内臓脂肪蓄積リスク保有者をスクリーニングするステップ1,ステップ1の基準に達していた人を血糖・脂質・血圧・喫煙歴により階層化するステップ2,さらにリスクの多寡や年齢,服薬の有無に応じて「積極的支援」,「動機付け支援」といった保健指導の程度を階層化するステップ3と4から構成される。

対象年齢前からの指導も必要
メタボリックシンドロームを,喫煙を含めた複数の危険因子で包括的かつ階層的に評価するこれらの基準については,おおむね問題なしとの報告があった一方で,ステップ1の腹囲を中心とした階層化に問題があるとする報告もあった。
現在の健診データを用いた後ろ向き解析で,同制度の階層化によるシミュレーションを行った山梨県厚生連健康管理センターの一之瀬仁美氏は,現在の腹囲基準値が,特に女性において,必ずしも他の検査項目(血糖,血圧,脂質)と関連が見られないと報告。
「腹囲基準の見直し,あるいはBMIによる階層化が妥当ではないか」と指摘した。

進興会立川北口健診館の中島千枝氏は,40歳代のみならず,制度の対象となる前の30歳代からBMIが他の検査項目の異常と良好な相関を示したとの検討結果を報告し,制度対象外の年齢であっても,より早期からBMIに着目した健診・指導実施体制を整えていきたいとの発表を行った。

現制度では非肥満の糖尿病予備軍が取りこぼされる
また,現在の各指標の基準値による階層化そのものの落とし穴を指摘する報告もあった。
東海大学(医療情報学・医療統計学)教授の大櫛陽一氏は,同学会所属施設の特定健診対象者に関連するデータや各種コホート研究の結果から,同健診の検査項目の異常値が年齢・性差を反映していない上,「現行の制度では非肥満者の新規糖尿病発症が見落とされる危険性が高い」と述べた。

実際,日本人の糖尿病患者の過半数は非肥満者と言われており,そうした患者予備軍への介入が後手になれば,現在,医療費負担に占める割合の大きい糖尿病の罹患率減少には必ずしもつながらず,同制度の目的の1つである医療費適正化の障害ともなり得る。

特定保健指導の実践には大きな負担と課題
同制度の肝となるのが,保健指導対象となった人への実践だ。
指導対象者が多く見込まれる施設では,後ろ向き解析によるシミュレーションを実施,指導にあたる人員の確保・育成ならびに適正な配置が必要との報告も行われた。

また,健診・指導の一連の流れにおいては,膨大な個人データの管理・運用が発生することから,コンピュータによるネットワーク,インフラ整備が不可欠となる。
新虎ノ門会新浦安虎ノ門クリニックの滑田梨沙氏らは「健診指導にeメールを利用することで,双方向のやり取りができるだけでなく,可能なところは指導内容を定型化し,メールに添付することで,指導者の違いや連絡時間帯による指導内容の差を生じさせないメリットがあるのではないか」として導入を予定していると報告。

さらに,健診・指導システムの整備・運用については,外部委託保険者が業務の一部あるいは大部分を請け負う場合もある。
(株)ハーディ社長の矢後昭彦氏は「保健指導そのものは個別性を要する行為だが,同制度の管理・運用にあたっては,従来の方法論では人員・時間といった物理的困難が避けられない」と指摘。
不特定多数の対象者が時期や場所を問わず,厚生労働省のプログラムに沿った共通の健診あるいは指導を受けられるようにするには,マスプロダクションの概念の導入が必要とし,業務のオートメーション化・定型化への対応が鍵との提言を行った。

健診受診者に対する取り組みについても,既にメタボリックシンドローム健診を独自に実施,あるいは同様のプログラムを試行した数施設で報告があった。
メタボリックシンドロームの人はそうでない人に比べ,健康への関心は高いものの,実践にはなかなか踏み切れない傾向にあるようだ。
管理目標設定にあたって,たとえば初期にあまりに高い目標設定をすると,達成が困難になる。
そこで,対象者自身の自己評価の範囲をいかに設定していくか,効率的な集団指導の方法論や,指導が長期にわたる場合のフォローアップをどうすべきかなど,多くの課題や取り組みが示された。

国が保険者を介して疾病予防対策だけでなく,その成果達成を義務付けるという初の試みが,果たして実効性を発揮するか否かはもちろんだが,健診・医療ひいては公衆衛生の現場にどのような影響・変化が訪れるのか。
その動向が今後も注目される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080113.html


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日本人間ドック学会新ガイドラインの狙い
― 作成委員会委員長・山門實氏に聞く
特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分などを変更

 昨年(2007年)12月,日本人間ドック学会の「人間ドック健診成績判定及び事後指導に関するガイドライン」が5年ぶりに改訂された。そのポイントと狙いについて,同ガイドライン作成委員会委員長の山門實氏(三井記念病院総合健診センター所長)に聞いた。今回の改訂は,今年(2008年)4月に導入されるメタボリックシンドロームの概念に基づいた特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分や一部判定基準値を変更したもので,予防医学の立場に立つ同学会として,生活習慣指導を重視する基本姿勢を貫いている。
一方,薬物療法についてもきめ細かな開始基準を設け,個々人の特性に応じたオーダーメード感覚の保健・医療対応を提案している。

国の“受診勧奨値”を3分割し,きめ細かな薬物療法開始基準を提示

― “今回のガイドライン改訂の趣旨について教えてください。
「各専門領域の学会が作成しているガイドラインは,それぞれの疾患に対する診療・治療を中心とした指針だと言えます。
これに対して,予防医学の立場に立つ日本人間ドック学会のガイドラインでは,治療よりも生活習慣の改善を優先して考えており,質の高い保健指導が全国均一に行えることを目指しています。各検査値の判定基準もそのような観点から設定しており,それは本来,頻繁に変える必要のないものです。
しかし,今回,特定健診・保健指導制度が導入されることになりました。
人間ドックで行う健診は特定健診の内容をカバーしており,人間ドック受診者も特定保健指導の対象となります。
私たちの試算では,特定保健指導の対象者は人間ドック受診者の約2割です。このため,ガイドラインの体裁を国の新健診制度に対応したものに改める必要が出てきたのです。

― 改訂の大きなポイントは判定区分の変更ですね。
「特定健診制度では,メタボリックシンドロームの病態と関連する各種検査値について“保健指導判定値”と“受診勧奨値”を設定しています。私たちが慎重に対応しなければならないと考えたのは,後者についてです。
特定健診制度では,各専門学会が定めた診断基準値に基づいて“受診勧奨値”を設定しています。
例えば,高血圧については140/90mmHg以上です。
国は受診勧奨値について,それを超えた場合でも,軽度であれば直ちに薬物療法を導入するのではなく,生活習慣の改善を優先して行い,効果が認められなかった場合,必要に応じて薬物療法を行うべきであることを提唱しています。
その趣旨自体は私たちの考えと同じなのですが,具体的な基準を示していないのが問題だと思います。
どの程度の検査値であれば,どの程度の期間,生活習慣指導のみで対応すべきなのか,言い換えると薬物療法の開始基準が不明確なのです。
そこで,今回のガイドラインの改訂では,国の受診勧奨値を超えたレベルを3分割し,
「C1;積極的支援(1)」
「C2;積極的支援(2)」
「D;受診勧奨」
という3つの判定区分を設けました。
C1では6か月,C2では3か月の生活習慣指導を行い,それでも改善しない場合に薬物療法の導入を考慮します。
これらの基準は,さまざまな臨床試験の結果を吟味して決めました。

一方,Dでは生活習慣指導を継続しつつも,直ちに薬物療法の導入を考慮します。
旧ガイドラインと比較すると,A~Eの5段階を大きな判定区分としている点では同じですが,新ガイドラインでは,旧ガイドラインにおけるC区分を2つに細分化したことになります。
また,それぞれの区分名と定義を国の新制度に合致するものに改めました」

“受診勧奨値”を単純比較してはならない
― “受診勧奨”という言葉を単純比較すると誤解が生じるということですね。 「新健診制度の“受診勧奨値”は,日本人間ドック学会の新ガイドラインではC1またはC2の判定基準値に相当します。
新ガイドラインにおける“受診勧奨値”,すなわちD区分の判定基準値は,上述のように受診勧奨者のなかでも,直ちに薬物療法の導入を考慮するレベルを明示するという趣旨から,新健診制度の “受診勧奨値”より高い値を設定しているのです。
一部に,日本人間ドック学会が国に反旗を翻したかのような報道もありましたが,国の制度に沿いつつ,よりきめ細かな基準設定を行ったことを理解していただきたいと思います」

― 日本人間ドック学会が薬物療法に消極的な学会というのも誤解だと言えますね。
「繰り返しになりますが,“受診勧奨値”を単純比較して,日本人間ドック学会の値のほうが高いため,薬物療法導入に消極的と判断するのは早計です。
新ガイドラインの判定区分Dは,そのレベルに至らなければ薬物療法を行わなくてよいという意味ではありませんから。
もちろん,生活習慣指導をおろそかにして安易に薬物療法に走るのは問題ですが,生活習慣指導だけでは効果が得られない人が多いのも事実であり,薬物療法が必要な患者に対しては速やかに導入すべきです。
新ガイドラインにおける区分設定は,特定保健指導の対象者に対して適正な生活習慣指導とともに,適正な薬物療法が行われることを意図したものにほかなりません」

― “受診勧奨”を巡る混乱の背景には,診断基準と薬物療法開始基準が区別されていないことが影響している面もありますか。
「特定健診制度には,各専門学会のガイドラインが色濃く反映されていますが,学会によっては,診断基準は設定していても,薬物療法開始基準を明示していません。薬物療法の導入は医師が個々に判断すべきだという立場だと思いますが,薬物療法開始基準が明示されないことで,診断基準値を超えたら直ちに薬物療法を開始すべきだという誤解が生じる可能性も否定できません。現場の医師に判断材料を提供する意味で,専門学会としての見解を示すことも必要だと考えています」

脂質基準値の性差を撤廃した理由とジレンマ
― 5年前の改訂では,総コレステロール(TC)の基準値について,暫定処置ながら性差を設けていましたが,新ガイドラインでは男女同一基準としています(表3)。その理由を教えてください。
「TC値について旧ガイドラインでは男性の場合,220~239mg/dLを判定区分C,240mg/dL以上を判定区分Dとし,閉経後女性については暫定処置として,それぞれ240~259mg/dL,260mg/dL以上という男性より20mg/dL高い基準値を設定していました。それは男性に比べ閉経後女性では測定値が高く分布していること,2002年の段階ではわが国には脂質に関する大規模な介入試験の成績が存在しなかったためです。
しかし,その後,MEGAスタディの結果が発表されました。

MEGAスタディの結果を見ると,TC値の上昇に伴う心血管疾患リスクの上昇は男女で差がなく,260mg/dLを超えるレベルの人では,薬物療法を行わない場合,早期に心血管イベントが発生しやすくなることがわかりました。この結果から判断する限り,保健指導や薬物療法を導入する基準に性差を設けることは妥当ではありません。そこで,男女ともに220~239mg/dLを判定区分C1,240~259mgをC2,260mg/dL以上をDと改訂したのです」

― しかし,今回の改訂により,保健指導・医療の対象となる区分は男性では20mg/dL上方に,女性では20mg/dL下方に広がり, 220~259mg/dLという幅広いグレーゾーンが出現したことになります。この区分の人々にはどのように対応すればよいのでしょうか。
「上述のようにC区分は薬物療法を行わないのではなく,一定の期間,生活習慣指導を行った後に薬物療法の導入を考慮するという意味です。
その際,重要なのは個々人のリスクを考慮することです。
C区分の人々のなかには,220mg/dLに近いレベルでも早期に薬物療法の導入が必要な人もいますし, 260mg/dLに近いレベルでも生活習慣指導のみで対応できる人もいます。
脂質値だけで結論を出すのではなく,心血管疾患の既往や糖尿病などの合併症の有無も考慮して判断すべきだと思います」

― 閉経後女性の脂質値の問題を考えるうえでは,日本人間ドック学会主導で行われているPMHPS(閉経後高コレステロール血症予後調査研究)の結果も待たれますが,進捗状況はいかがですか。「PMHPSは全国の人間ドックを受診した閉経後女性をTC値220~239mg/dLと240~259mg/dL以上の2群に分けて5年間追跡し,予後を比較する観察研究で,約4,000例が登録されています。
試験は今年3月に終了し,2年後の2010年に結果を発表する予定ですが,中間解析のデータを見ると,両群の予後に差を見出すのは難しそうな状況です。
MEGAスタディに比べ低リスクの集団で,両群とも心血管イベントの発生がきわめて少ないのです。脂質以外に心血管疾患のリスクがない閉経後女性では,生活習慣指導のみで対応できる可能性もうかがわれ,やはり性差の存在が強く示唆されます。
ただし,現在あるエビデンスで判断しようとすると,新ガイドラインのように性差を撤廃せざるをえない。
なお,閉経後女性ではおもにHDLコレステロール(HDL-C)の上昇によって,TC値が高くなっている人が多いのが特徴です。日本動脈硬化学会も脂質異常症の診断や管理はTCではなく,LDLコレステロール(LDL-C)で行うことを推奨していますが,閉経後女性においては特に強調されるところだと思います」


http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080109.html

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# by esnoopy | 2008-02-01 00:05 | その他

腸・第2の脳 その2(2/2)

昨日の続きです。

これからの時代の炎症性腸疾患診療に求められるもの

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
消化・代謝内科/消化器内科  
渡辺 守 教 授

脳と深く関係する
腸の組織としての重要性はそれに止まらない。
腸に関係した「腹が立つ」「腹が煮えくりかえる」という言葉があるが,例えば,精神的にイライラしたり,緊張すると,トイレに行きたくなる人もいる。
この事実は,腸が腸だけで働いているのではなく、脳との深い関係があることを意味している。
それどころか,最近の研究では,首から下の神経の
約50%を腸が持っているという,ヒトの体の中で最大の末梢神経組織であるといったことまでがわかってきた。

また,うつ病などの薬の標的になっているセロトニンは,現在,最も注目されている脳内物質で,このセロトニン関係物質が脳の代謝に関わっていることはよく知られているが,生体内のセロトニンの90%以上は脳ではなく腸にあることがわかっている。
もちろん,活性は脳に存在するものが大部分を占めるものの,セロトニン量としては脳には5%程度しかないのである。
したがって,セロトニン関係の物質が脳 - 腸の働きの問題と密接に関わっていると考えられる。

上記以外にも腸管自体のホルモンがかなり明らかになってきている。
例えば,グレリンという満腹ホルモンが胃から分泌されることが証明され,その他にも腸から分泌されるホルモンの多くが脳の中に存在するということがわかっ
てきた。
したがって腸にはヒトの体中で最大の内分泌系・ホルモン組織ともいえるのである。

さらに,腸にはヒトの生体内の微小な血管の約55%が存在し,最大の末梢血管系組織でもあることがわかっている。(図4)。

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非常に高い再生能力を有する
腸の上皮は機能維持のためヒト生体内において最も短いサイクルで細胞を更新し続けている。
腸陰窩底部に幹細胞が存在し,絶えず長軸方向に分化・増殖して,数日単位で絨毛先端から脱落するとされ,生体内でも最もターンオーバーが早い組織である。
したがって,消化管上皮は最も再生能力の高い組織の1つであると認識されるが,重篤な放射線腸炎や難治性炎症性腸疾患でその粘膜上皮の修復が傷害きれる場合,生体にとって大きな問題となる。
難治性クローン病における再発性潰瘍はそのよい例である。
また,再生のオーバーシュートは発癌に結びつくのではないかと指摘されており,潰瘍性大腸炎における炎症を母地とした癌化にはその可能性がある(図5)。
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最近になって腸はその特殊性が解明され,今や単なる管,ではなく”第2の脳”と呼ばれるほど,また脳も腸を守るために発達してきたことから「腸は脳より複雑な組織であるはず」という研究者もいるほど,腸は複雑で重要な組織であることが明らかになったのである.
 

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# by esnoopy | 2008-01-31 08:12 | 消化器科

腸・第2の脳 その1(1/2)

ちょっと前、それも5年近く前の医学雑誌を捲(めく)っていたら興味深い総説が載っていました。
消化器専門の先生方にとっては当たり前の内容かもしれません。
しかし循環器が専門だった一開業医にとっては新鮮な内容だったので2回にわたって紹介させていただきます。
(各図はクリックしていただくと大きくなります)

これからの時代の炎症性腸疾患診療に求められるもの
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
消化・代謝内科/消化器内科  
渡辺 守 教 授

炎症性腸疾患の病態解明の進歩,それに基づくまったく新しい考え方,治療への展開には,腸の特殊性を理解する必要がある.
腸疾患がにわかに注目されてきたのも,1990年代に入り腸の特殊性が解明されつつあることが大きい。
本稿では,腸管の他の組織とは異なる性質について,最近解明されてきた事実を中心に概説する.

腸は単なる管ではない
腸は発生学的に,最も古い組織であると考えられている。
かなり下等な動物にも消化・吸収を行う腸管(原腸)は存在する。
すなわち,脳のない下等動物でも栄養分を吸収する
腸は必要であり,脳も消化管を保つために発達してきたとも考えられる。
脳神経系のみならず,血管系,免疫系,内分泌系も,実は,消化・吸収を行う腸の機能を保つために発達
してきた可能性が高い。
したがって,腸管は単なる”上皮細胞からできた管”ではないのである(図1)。
他の組織の移植に比し,小腸移植の成功例がきわめて少ないことも,腸の組織としての複雑さを物語っているといえよう。
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最大の面積で外界と接する
腸は,単に古い}臓器であるばかりではなく,体の外側に一番多く面している組織である。
普通,皮膚が一番多く外に面していると考えがちであるが,腸は皮膚の何と200倍,テニスコート1.5面分,300㎡ もの表面積で外界に接しているのである。
したがって,ウイルス,細菌などの微生物,食餌に含まれる抗原,異物の最大の侵入口であり,常にいろいろな物質に曝されている。

特に,腸には腸内細菌が常在し,その種類はこれまでわかっているだけでも400種類といわれており,それでも今なお,半数以上の菌が未同定であると推定されている。
ヒト1人の体内には100~200種類,10~100兆個の腸内細菌がいると考えられているが,その中には生体に必要な細菌も,毒素を産生する有害な細菌もいる。
健康なヒトの体内でも,腸と細菌は互いに毎日のようにダイナミックな戦い(生体側では細菌の殺傷・排出,細菌側では増殖・死滅を繰り返している。
そしてヒトの便の1/3はそれら細菌および腸粘膜細胞の死骸なのである(図2)。
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複雑な生体防御機能を持つ
ここで大きな疑問がある。
腸はもともと栄養分を消化・吸収するところであり,すなわち,良いものはどんどん取り入れたいと思っている.
しかしながら,有害なもの,不要なもの,細菌などの異物が一番侵入しやすい環境として生体防御の最前線である腸は,これら悪いものを排除したいとも思っている.
腸は良いもの,悪いものをどうやって見分け,どうやって処理しているのであろうか?

実は,その識別をする装置,監視をする装置として「免疫」が発達したと考えられている。
体外からの細菌,ウイルス,食餌抗原をはじめ,さまざまな異物に対する免疫は,腸から発達してきたと考えられているのである.

最近の研究により,通常は末梢血液中,リンパ節,骨髄等に多いと考えられているリンパ球の約60%が腸に存在し,gut-associated lymphoid tissue (GALT)と呼ばれる特殊な腸管粘膜免疫機構が存在していることがわかり,腸はヒトの生体内で最大のリンパ組織であることが証明されている。
抗菌ペプチド,Toll - like受容体 (TLR),樹状細胞(DC),γδT細胞など自然免疫に働く機構,免疫グロブリン,サイトカインなどといった獲得免疫に働く機構の両方が腸には備わっており,生体内で最も複雑な免疫統御を行っているのである(図3
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日本医事新報  2003年5月3日
版権 日本医事新報社


腸管における免疫機構
http://www.healthist.jp/special/150_03/03_03.html
慶應義塾大学医学部 消化器内科学教室 下部消化管(腸管免疫グループ)
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/medicine/ibd/study.html

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# by esnoopy | 2008-01-30 00:23 | 消化器科

横紋筋融解症・診断基準

スタチン投与中のCK上昇はしばしば経験するところです。
β遮断剤の中でもISAのあるタイプではCK上昇も有名な副作用でした。
CK上昇イコール横紋筋融解症ではもちろんありませんが、この横紋筋融解症も意外と定義ははっきりしていないようです。
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CK基準値上限の10倍以上とミオグロビン尿を診断基準として提案

近年,薬剤の重大な副作用として横紋筋融解症が注目されているが,報告例間で検査値などに大きなばらつきが見られている。
笠岡第一病院(岡山県)内科の原田和博氏は,

①クレアチンキナーゼ(CK)基準値上限の10倍以上
②ミオグロビン尿を認める

との診断基準を提案した。

半数がCK値10倍未満で診断
原田氏は「横紋筋融解症は場合によっては薬剤の生命にもかかわりうる重大な名称であり,どのレベルでこの有害事象名を付けるかが問題になる」と指摘。
厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」では,横紋筋融解症の項に具体的な診断基準や検査値についての記載はない。
一方,米国心臓病学会/米国心臓協会/米国立心肺血液研究所の「スタチンによる筋障害の定義」によると,横紋筋融解症はCK標準値上限の10倍以上ならびにクレアチニン上昇を伴う筋肉の症状で,通常,褐色尿と尿ミオグロビンを伴うとされている。

同氏は,製薬会社に報告された筋肉関連有害事象65例について検討。
うち33例(51%)が横紋筋融解症だったが,血清CK値が基準値上限の10倍以上を示したのは17例(52%)で,5~10倍未満6例(18%),5倍未満と記載なしが各5例(15%)。ミオグロビン尿または尿潜血陽性を示したのは33例中13例(39%)にとどまった。
その一方で,「血清CK値上昇」との有害事象名で報告された11例中4例(35%)は同値が基準値上限の110倍以上であった。
同氏は「『横紋筋融解症』と「血中CK上昇」における血清CK値は実際には違いはほとんどなく,横紋筋融解症と報告された症例には重篤度で大きなばらつきがあった」と述べた。

続いて,臨床試験の担当医(医師)23人と製薬会社222社の安全管理担当者を対象としたアンケートの結果を紹介。
横紋筋融解症の診断に際して血清CK値は基準値上限の10倍以上は医師で37%,製薬会社で56%,同21倍以上がそれぞれ21%,11%,値は基準に入れていないが37%,22%,ミオグロビン尿を診断基準に入れているのは医師で68%,製薬会社で22%,ミオグロビン尿の確認がなくても褐色尿または尿潜血陽性で代用しうるのはそれぞれ16%,56%,筋肉症状(脱力,筋肉痛など)を診断基準に入れているのは65%,78%,腎機能障害を診断基準に入れているのは37%,44%であった。

以上の調査結果や文献などの検討を踏まえて,同氏は横紋筋融解症の診断基準を

①CK基準値上昇の10倍以上
②ミオグロビン尿を認める。
検査していない場合,尿潜血陽性や褐色尿があったり血清クレアチニン値の上昇があれば同義とみなす

とし,筋肉症状や腎障害は参考基準にとどめることを提案。
また同氏は,横紋筋融解症に至らないレベルの有害事象は,具体的な筋肉症状や検査値異常をそのまま記すのが現実的との考えを示したうえで,『これを機会に横紋筋融解症の具体的診断基準が設定される動きになればと思う」と締めくくった。

Medical Tribune 2008.1.24
版権 (株)メディカル・トリビューン


[2005年2月3日 (VOL.38 NO.5) p.53]
横紋筋融解症
スタチン単剤ではリスクは低い

〔ニューヨーク〕 米食品医薬品局(FDA)のDavid J. Graham博士らは「アトルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチンなどのスタチン系抗高脂血症薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が横紋筋融解症を引き起こすリスクは比較的低いが,スタチン・フィブラート系薬併用療法中の高齢糖尿病患者ではそのリスクが上昇し,cerivastatin・フィブラート系薬の併用では年間10例につき約 1 例という過度の高リスクが生じる」とJAMA(2004; 292: 2585-2590)に発表した。
主要 3 剤のリスクは低い
今回の調査では,全米11の健康保険制度に登録された患者のうち,スタチン単剤療法とスタチン・フィブラート系薬併用療法を受けた25万2,460例のデータが解析された。著者の一部にFDA職員もいたが,調査実施に当たり「FDAからの指示や干渉はなかった」と記している。
Graham博士らは「スタチン療法を受ける患者が今後数年間で大幅に増加する可能性を考えて今回の調査を行ったが,処方頻度の高いスタチン系薬 3 剤による横紋筋融解症のリスクは比較的低いことが再確認された」と結論している。
しかし調査では,医師は一部の患者に対して横紋筋融解症のリスクに関する特別な指示を与えるべきであることも明らかにされている。コレステロール値とトリグリセライド値が上昇した糖尿病患者らにスタチン・フィブラート系薬併用療法を行う場合,リスクが上昇するため,横紋筋融解症と思われる症状が出現したら服薬を中止して検査を受けるよう患者に指示しておく必要がある。
併用でリスク5.5倍に
1998年初頭から2001年半ばまでにスタチン療法を受けた25万2,460例中24例が横紋筋融解症のため入院した。全例とも添付文書に示された推奨用量の範囲内でスタチンを投与されていた。アトルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチンによる横紋筋融解症の発症率は同等であった。スタチン単剤療法を受けた患者では,同症の発症率は年間 2 万2,727例に 1 例であったが,スタチン・フィブラート系薬併用療法を受けた65歳以上の高齢糖尿病患者では,484例に 1 例となっていた。スタチン単剤療法による同症発症率は 1 万患者年当たり平均0.44例,フィブラート系薬単剤療法では2.82例であった。
横紋筋融解症のため入院した24例(平均年齢64.6歳)のうち,13例はスタチン単剤療法,3 例はgemfibrozil併用療法,8 例はスタチン・フィブラート系薬併用療法を受けていた。23例には入院前に筋痛または筋力低下の症状が出現し,入院前の症状持続期間は平均6.9日(うち 1 例は30日)であった。18例は重度の横紋筋融解症を発症した。
スタチン単剤療法を受けた患者では,発症までのアトルバスタチンまたはシンバスタチンの平均投与期間が348日(21~1,050日の範囲)で, gemfibrozil併用療法では77日(21~179日),スタチン・フィブラート系薬併用療法では32日(18~78日)であった。スタチン・フィブラート系薬併用療法のリスクは,スタチン単剤療法の5.5倍,フィブラート系薬単剤療法の 2 倍となっていた。
FDAに提出された症例報告としては,これまでに 2 件の独立した解析が行われており,横紋筋融解症の報告数はアトルバスタチンまたはプラバスタチンよりもシンバスタチンとcerivastatinで多いとされていた。これはテキサス大学(テキサス州オースティン)のM. A. Omar博士らによる所見(Annals of Pharmacotherapy 2002; 36: 288-295)で,今回の所見とは異なっている。
Graham博士らは,ランダム化比較試験におけるミオパシーの発生率を0.1~0.5%と推定している。血清クレアチンキナーゼ濃度が正常上限値の10 倍を上回る場合,ミオパシーと定義する。スタチン系薬剤は,横紋筋融解症のほかにも無症候性のクレアチンキナーゼ上昇などの筋障害を引き起こすことがある。安全上の問題のため,cerivastatinは米国市場から回収された。
実際のリスクはさらに高い
一方,ユトレヒト大学(オランダ・ユトレヒト)のRonald H. B. Meyboom博士と世界保健機関(WHO)国際医薬品モニタリングセンター(スウェーデン・ウプサラ)のRalph Edwards博士は「WHO国際医薬品モニタリングプログラムでは,現在までに各種スタチン(他剤併用も含む)の使用中に致命的な横紋筋融解症,ミオパシー,またはその両方を生じた症例を338例把握している」と Lancet(2004; 364: 1997-1999)に発表している。このデータベースには,市場から回収されたスタチンに関連する所見が含まれていることに当然注意すべきであろう。
同博士らは,この統計データに関して「スタチン系薬剤は,使用者が多いことや,心筋梗塞・脳卒中の予防による救命率の高さと比較すると,この数字は小さなものと言える。しかし,このデータはスタチン使用にはある程度のリスクが伴うことを示しており,医薬品の副作用が疑われても報告されないケースも非常に多いため,さらにリスクは高いと考えられる」と述べている。

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横紋筋融解症をどのように診断するか
中谷 鈴木先生はミオパシーと横紋筋融解症の診断をどのように区別されていますか。
鈴木 まず筋肉痛とCK(CPK)を診ることになりますが,激しい運動をした場合には,当然,筋肉痛は出ますし,CPKが2,000~ 3,000 IU/Lまで上昇することも珍しくありません。ですから,横紋筋融解症の目安としては,このような筋肉痛が持続して徐々に増悪するかどうか,さらに必ず尿の色にも注意しています。また,他の薬剤を服用していないかどうかも重要です。
 実際に私が経験した横紋筋融解症は,3例とも尿の色で気付きました。筋肉痛を訴える患者さんの尿を調べるとオレンジ色を呈しており,ミオグロビン尿の可能性が高いと考え,採血を行ったところ,すでにCPKが4,000~5,000IU/Lまで上昇していたことから,すぐに入院させ,血漿交換や大量補液などの治療を行いました。
中谷 確かにミオパシーでも筋肉痛とCPKの上昇は起こりますので,横紋筋融解症と診断するには構造蛋白であるミオグロビンの上昇が重要で,尿の色は一つのポイントでしょう。
木下 症状がどう伴うかは非常に重要な問題ですが,ミオパシーなのか横紋筋融解症なのかは判断が難しい場合があります。横紋筋融解症だった場合は,薬をやめるタイミングを逃してしまうと,重篤な症状に陥る可能性もあるので,怪しいと思ったらスタチンを一度中止するという選択も必要かと思います。
 逆に申しますと,高脂血症治療薬をしばらく休薬したことで,著しいデメリットを引き起こすような事態にはなりにくいという判断を,一般の先生方には持っていただきたいと思います。
石神 私の経験でも,筋肉痛とCPKは必ずしも相関が認められません。ですから,筋肉痛などがあって日常生活に悪影響を及ぼす時は,CPK が正常であっても,やはり一旦スタチンを中止します。ただ,せっかくコレステロールを良好にコントロールしている時に,多少 CPKが上昇したからと,すぐにスタチン投与を止めてしまうことも問題です。私自身はCPKが2倍以上に上昇した場合に中止を考慮するようにしています。
中谷 最近,厚生労働省では,スタチンを投与している人に筋肉痛がある場合には,すぐに主治医に相談するように注意を喚起していますが,患者さんの判断で,筋肉痛があるからといってすぐに服用を止めてしまう場合もあるので,その点は注意が必要ですね。
石神 やはり患者さんにコレステロールを下げる意味を十分説明することと,最低1カ月に1回は受診していただくようにすることが,いちばん大切だと思います。

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# by esnoopy | 2008-01-29 00:05 | 循環器科

胃がんの腹腔鏡下手術

王監督も受けた高度な手術。
患者の負担が軽く回復も早い。


減る傾向にあるといわれながら、年間1万人が新たに患者になっている胃がん。
発見が早ければ口から入れた内視鏡で切除できるが、それが無理なら手術が
検討される。
手術といえばお腹を20センチも開ける開腹手術が一般的だったが、ソフトバンク・
王貞治監督の手術で注目された腹腔鏡下手術も徐々に普及している。

もともと診断用具であった腹腔鏡が手術に初めて用いられたのは1990年。
胆石による胆嚢摘出に際してだが、翌年には慶應大学外科の故大上正裕医師が
世界に先駆けて胃切除に導入。
以来、20年近い歴史があり、先端を行く医師たちは高度な技術を駆使して優れた
手術を行っている。

「腹腔鏡下手術は、腹部に4~5カ所開けた切開口(穴)から手術用具を挿入し、
これを駆使して行う手術です。
一つの穴から入れた内視鏡を通して内部をモニターに映し出し、別の切開口から
挿入した特殊なメスで、がんのできている胃壁の部分または胃全体を切除し、
転移が想定されるリンパ節もはがしとります」
と手法を説くのは、王監督の手術を執刀した藤田保健衛生大学病院消化器外科の
宇山一朗教授。
食道と胃の上部消化管を専門とし、胃がんの腹腔鏡下手術だけで既に600例ほどを
実施。
上部消化管に対する鏡視下手術の国際的権威だ。

「当院の胃がん手術件数は年間約180例で、うち開腹手術は20例前後、残りが
腹腔鏡下手術です。
ガイドラインでは、その対象を早期がんと一部の進行がんと規定していますが、
腹腔鏡下手術で取りきれないものは開腹しても取れない。
そういう場合こそ軽負担に意味があるでしょう。
術前に化学療法を行って効果を確認した後で腹腔鏡下手術にかかるなど、個別に
判断して治療方針を立てています」

近県からの患者が中心だが、進行胃がんにも対処することを知った患者が遠方からも
やってくるという。

患者にとってのこの手術の利点は、身体負担が軽く、早期回復が望めること。
手術所要時間は通常3~6時間かかるが(開腹手術の1.5倍ほど)、翌日には自力歩行
が可能だ。

「医師にとっては内視鏡を用いるので肉眼では見えない鮮明な拡大視が得られることが
利点。
確実性の高い切除には欠かせない特徴です。
他分野の医師の声として、遠隔操作ゆえに執刀医の触感が鈍るという懸念もありますが、
経験を積むことで触感も磨かれます」

また、腹腔鏡下手術に適さないのは、がんが大きすぎる場合や重い心臓病などがある人。
この手法では、手術を容易にするため腹腔内にガスを注入して膨らませるので、心臓に
負担がかかるからだ。

使い捨て器具類が多く、病院側の出費がかさむのも欠点だろう。
消耗機器類代の十分な上乗せも医師の技術料もない一方、診療点数は胃がん手術
として一律に設定されているのだ。

なお、胃全摘をした後は、10キロ前後体重が落ちてなかなか戻らず、このことが患者
を再発の不安に陥らせたりするという。

「ものは考えようで、術後は肥満や生活習慣病が遠のきます。
特に男性は肥満と無縁の体形の人でも、内臓脂肪を溜め込んでいますが、これも
軽減します」

この手術の執刀医選びだが、身近な施設で受けたいという考えは時に、医者余りと
それゆえの熟練不足をもたらす。
未熟な手術を避ける意味からも、症例数の多い執刀医に患者を集中させるエ夫が
必要だろう。

週刊文春 2008.1.17
版権 文芸春秋社

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西村計雄 南フランス 油彩画3号
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t60928971

腹腔鏡下胃がん・大腸がん手術ってどんな手術?
http://www.toyota-kai.or.jp/information/front/08.html

腹腔鏡下手術について
http://www.city.tsugaru.aomori.jp/seijinbyou/abdominal_cavity.html
腹腔鏡による胃がん・大腸がん手術について
従来行われてきた開腹による胃がんや大腸がん手術は、現在も広く一般的に
行われております。
しかしながらこれらの方法では、おなかに約25から30cm にわたる皮膚切開が
必要で、手術は成功しても腸閉塞症などの術後後遺症で苦しむ人も少なくありません。
そこで最近では、胆石症の手術などに使われる腹腔鏡を用いた手術が胃がんや
大腸がん手術にも応用され、より小さい傷口で手術が可能になりました。
この様な新しい治療により次のような利点がもたらされると期待されています。
(1)術後の腸の動きの回復が早く、早期に食事が摂れる。
(2)痛みが少ないため翌日から歩行可能である。そのため肺炎などの合併症が少ない。
(3)手術中の出血量が少ない。
(4)傷口が小さいため術後の腸閉塞(イレウス)などの発生頻度が少ない。
(5)体への負担が少なく、手術後の回復が早く、入院期間が短くて済む。

早期胃癌だが手術が必要と言われた方へ
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/surgery2/laparo_m/1_top.html

腹腔鏡胃がん手術
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/surg2/www/cancer/i/souki/index.html

早期胃癌に対する腹腔鏡下手術(1)
http://www.nagahama.jrc.or.jp/sinryouka/geka/laparo4.htm

胃がん 回復早い腹腔鏡手術
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/jitsuryoku/20060807ik09.htm

治療:腹腔鏡下胃切除術
http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestive-organ/stomach-cancer/sc_043.html

胃癌に対する腹腔鏡補助下手術
http://www.academic-surgery.jp/clinic_02_01_06.html

胃がんに対する鏡視下手術の成績と実績
http://www.city-hosp.naka.hiroshima.jp/k-net/k08/8-01-1.pdf

腹腔鏡下胃癌・大腸癌手術に対するマルチスライスCTによる手術支援
http://www.jsrtkinki.jp/bukai/item/df214aeb0f/78.pdf

腹腔鏡下胃切除
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/stomach/treatment_05.html
2004年版の胃がん治療ガイドラインでは、胃がんの腹腔鏡手術はステージIの胃がんへの臨床研究として行うべき治療として位置づけられています。

当科で行っている腹腔鏡下胃手術と臨床試験
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/surgery2/laparo_m/5_bunsho.html

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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# by esnoopy | 2008-01-28 00:05 | 消化器科

血糖自己測定(SMBG)と血糖コントロール

きょうは「血糖自己測定(SMBG)」について勉強してみました。
最近の文献からの紹介とその解説です。
結論は、インスリン治療中でない糖尿病患者の管理における有用性はみられないというものです。
以前、他のブログで
測るだけダイエット法
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/20
というのを紹介したことがありました。

要するに、毎日体重を測るだけでやせられるというものです。
SMBGも意識を持って測ればいいのでしょうが、ただ惰性で測るだけではダメということなのでしょう。
どんなことをするにしても問題意識を持つ大切さを教訓として与えてくれる文献なのかも知れません。

いずれにしろ経口糖尿病剤服用中の方で、低血糖が疑われる場合にはSMBGが確認に役立つことは間違いないところです。

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自己測定による血糖コントロールの改善効果は疑問
血糖自己測定がインスリン治療中でない糖尿病患者の管理に及ぼす影響:無作為化オープンパラレル群間比較試験

非インスリン治療下の2型糖尿病で血糖自己測定は無効か
Impact of self monitoring of blood glucose in the management of patients with non-innsulin treated
diabetes: open parallel group randomised trial
BMJ Farmer A. et al.2007;335:132-135
University of Oxford,UK
<目的>
インスリンを使わない治療を受けている2型糖尿病患者において、血糖自己測定(モニタリング)の単独あるいは測定結果を自己管理に生かす方法を指導した場合、通常治療に比べ、血糖コントロールの改善効果が優れているかどうか明らかにする。
<結論>
非インスリン治療で血糖が比較的良好なコントロール状態にある2型糖尿病患者において、血糖自己測定は、測定結果を
自己管理へ活用するための指導の有無に関係なく、通常治療に比べ、血糖
コントロールの改善効果が優れているとしる確実な証拠を見いだせなかった。


<解説>
慈医大内科 田崎嶼尚子教授
わが国で血糖自己測定(SMGB)が糖尿病患者の血糖コントロールの手段として日常臨床に導入されるようになったのは1970年半ばのことである。
従前から血糖管理の手段とされてきた在宅検尿に限界があることは明白であったが、簡便な機器がないことや患者自身による血糖測定に対する批判など、SMBGのスタートは障害も多かった。
30年あまりを経てSMBGは1型糖尿病、糖尿病妊婦、そしてインスリン治療中の糖尿病患者にとって欠くことのできない治療の一手段となっている。
一方、2型糖尿病におけるSMBGの有用性はまだ定まっていない。

今回のDiGEM研究では、インスリンを使用していない2型糖尿病患者453人(男性57%)を通常治療群(3カ月ごとに受診、SMBGなし)、中等度介入群(SMBG1日3回以上、週に2日間測定・記録し、3カ月ごとに指導)および強化介入群(SMBG+結果の説明と食事・運動へのフィードバックに関する指導)に分けて12カ月追跡した。
12カ月後における各群のHbA1c値低下を、試験開始時のHbA1c値で補正して比較した結果、介入群は通常治療群に対してそれぞれ-0.14%および-0.17%と有意な変化ではなかった。
一般的にHbA1c値で-0.5%以上の差異をもって血糖コントロール改善と判断されるところから、著者らは非インスリン治療下の2型糖尿病患者におけるSMBGの有用性に疑問を投げかけている。

SMBGはたとえ1型糖尿病であろうと、ただ測定すればよいというものではない。
得られた情報をインスリン量の微調整や食事・運動にフィードバックすることではじめて血糖改善の効果が現れる。
特に非インスリン治療2型糖尿病においては、患者と医療スタッフが記録された血糖値をもとに、日常生活のどこを改善すればよいか話し合い、それを通じて患者の自己管理に関するモチベーションを向上させ、その結果として患者の行動に変化を促し継続させる、という過程が最も重要である。
したがって、これらの過程を経ない場合、SMBGの有用性にはおのずから限界がある。
Schwedesらは非インスリン治療下の2型糖尿病を対象に同様の検討をし、SMBG群で-0.46%の有意なHbA1c低下があったと報告している。
著者らは、SMBG群にのみ生活習慣改善指導を行ったためだと論じているが、基本的にSMBGの生活指導への反映を切り雛すことはできない。

一方、インスリン治療2型糖尿病におけるSMBGの有用性を示す論文は散見され、メタアリシスを用いた研究においてSMBG群では非SMBG群に比べ有意な低下が報告されている。

また、非インスリン治療中の患者も含め、SMBG群では非SMBG群に比べ全死亡率および糖尿病関連イベント発生率の低下が示されている。

非インスリン治療下の2型糖尿病におけるSMBGの有用性について結論を下すためには、さらなるエビデンスの蓄積が必要と思われる。

出典 MMJ 2007Vol.3 No12
版権 毎日新聞社


SMBGに関するお薦めサイト
http://www.sugawara.or.jp/link/smbg.htm

血糖自己測定(SMBG)について
http://www.toshiba.co.jp/hospital/culture/023.htm

SMBG Basics
http://www.club-arkraysp.net/basics/index.htmlSMBGの保険適用は、現時点ではインスリン自己注射症例に限定されています。

糖尿病NET―血糖自己測定(SMBG)
http://dmnet785.rsjp.net/smbg30/

血糖自己測定
http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/smbg.htm
■ 血糖自己測定のメリット
糖尿病治療の動機付け
治療法へのフィードバック
   食事量、食事内容の見直し
   インスリン投与量の変更
低血糖への不安感の解除
日々の糖尿病治療への励み
シックデイへの対処、重症高血糖の回避
血糖値予測訓練
■ 血糖自己測定のデメリット
コストがかかる
採血に伴う疼痛
数字恐怖症


<自遊時間>
1月25日朝刊の朝日新聞朝刊のトップ記事。
「司法試験合格3000人」見直しへ
法務省 質低下懸念受け

心配したとおりになりました。
またまた行き当たりばったりの国策の失敗が見え隠れします。

ある時期から医師も概略4000人から8000人と倍増されました。
そしてこれからも暫定措置として増えます。
はたして医師の質の検証はされているのでしょうか。

質を保つにはそれなりの環境整備が必要です。
診療報酬を含めた改善をしないと質の低下は必定です。

教育界も同様じことがいえます。
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# by esnoopy | 2008-01-25 00:07

感染症臨床の最大の問題点「抗菌薬の保険適応」

「医療制度による悲劇」
先生方ももちろんそうでしょうが、日本の医療がよい方向に向かっているとは決して思えません。
私自身もだんだんくたびれてやる気はどんどんなくなって来ています。
それは齢を重ねたばかりではありません。
医学や医療に燃えた医学生時代、そして研修医時代が懐かしくてなりません。
医療が、なんの医療の資格も持たず医療現場も知らない(決して優秀とも思えない厚労省の)官僚にどんどん崩されていくのです。
きょう紹介する記事も「医療現場の悲鳴」としてお読みいただければと思います。

今回は、私の専門領域の感染症診療に関する最大の問題点を議論したい。
私は、2005年4月から、国内の大学病院に勤務を始めたが、赴任当初から、最大の問
題点であると感じているのが、「曰本の抗菌薬の保険適応」である。
この「保険適応」は、本来、患者が普遍的によりよい診療を受けることができるために設定されたものであろう。
世界的にもまれである「国民皆保険制度」を持つ日本は、非常に恵まれている。
国内でも公開された米国医療制度に対する批判を描いた映画にも代表されるような「医療制度による悲劇」は、多くの国で、後を絶たない気がする。
つまり、「お金がなければ、医療を受けられない」状況が「ふつう」の国が圧倒的に多いか
らだ。

ところが、その「日本の保険適応」にも、さまざまな限界があり、残念ながら、欧米の最新治療には追いついていない、サイエンスに追いついていないところが多々認められる。
私は、曰本で、日本の患者さんにも、欧米先進国で「あたりまえ」になっている診療を「普通に実現、提供したいとこころから願っているが、「保険適応」が、その大きな壁になっている。

欧米の常識と異なる適応や投与方法
抗菌薬は、種類、1回投与量、投与頻度(投与間隔)、投与期間が、「適切」であるときはじめて「臨床的な効果」が最大限認められる。
このうちの1つでも不適切であれば、患者にとっては「熱が下がらない、治らない」、微
生物学的には「耐性菌の発生」という悪循環が起こることになる。
曰本の薬事法で規定され、保険診療が認め
られている抗菌薬は、その適応微生物や投与方法(1回投与量、投与頻度)が、欧米での常識、コンセンサスと大きく異なるものが多いのは否めない事実である。
頻繁に使用するベータラクタム薬はその最たる例である。

国内のふつうの病院では、点滴の抗菌薬は「朝夕2回点滴」、経口薬は「朝、昼、晩」の3回服用といった根拠のない「慣習」でなされている。
実際には、薬物動態というサイエンスがあり、抗菌薬は、その観点から大きく2種類に分けられる。
つまり、効果が、最高血中濃度に依存する抗菌薬(アミノグリコシド、ニユーキノロン)
と、最小抑制濃度(MIC)より高い濃度に、いかに長い時間細菌をさらすか、その時間に依存する抗菌薬(ベータラクタム)に分けられる。

成人での投与方法の比較をしてみたい。
頻用される抗菌薬の代表のアンピシリン・サルバクタムは、欧米では、1回3gを6時間ごと(1日12g)、日本では、1回1.5~3gを1曰2回点滴(1日6g)となっている。
レボフロキサシンも、欧米では1回500~750mgを1日1回投与が一般的であるが、国内では、100~200mgを1日
3回、または1回200mgを1日2回となっており大きく異なる。
実際、国内でのレボフロキサシンの使用は外来で頻繁であり、少量の頻回投与という薬物動態を生かしていない投与法であり、耐性菌をつくる高リスクの状態である。

欧米の当たり前が実行できるインフラが必要
今後、日本で「よりよい医学部教育、研修医教育、生涯教育」を実現していくためには、少なくとも、このグローバリゼーションの時代においては、欧米先進国での「あたりまえ」の診療は、日常において実行できるインフ
ラ整備が必須である、と感じている。
同じ先進国にいるにもかかわらず、患者さんにとって、「日本で診療を受けるがゆえに、助からない」といった状況は、ぜひ、減らしたい、と強く願っている。
        
(自治医科大学感染症科准教授五味晴美)

MMJ January 2008 Vol.4 No.1
版権 毎日新聞社

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# by esnoopy | 2008-01-24 00:05 | 感染症

肝硬変とエルトロンボパグ

肝硬変患者では血小板数が減少します。
そのような患者にインターフェロン/リバピリン併用療法は行いにくいのが
現状です。
エルトロンボパグ(Eltrombopag)は、国内で未承認の薬剤ですが、この
薬剤を使用することによってインターフェロン/リバピリン併用療法の適用
患者を増やすことが出来るという報告です。

血小板減少症合併の肝硬変 新薬候補併用で治療が容易に
血小板減少症が合併している場合、C型肝炎ウイルス(HCV)感染による
肝硬変患者へのインターフェロン/リバピリン併用療法は慎重に行う必要
がある。
米国デューク大学のグループは、トロンボポエチン受容体作動薬エルトロン
ボパグ(日本未承認)を用いると血小板数が上昇し、抗ウイルス治療が容易
になることを示した。
New England Journal of Medicine(NEJM)誌2007年11月29日号
で報告した。

欧米22カ所の医療機関で、18歳以上のHCV関連肝硬変患者74人(年齢
の中央値は51歳、男性が3分の2以上)を、エルトロンボパグ30mg/日投与
群(14人)、50mg/日投与群(19人)、75mg/日投与群(23人)、プラセボ
投与群(18人)に割り付けた。
主要エン ドポイントは、4週時の血小板数が10万個/mm3以上の患者の
割合とした。
4週時に血小板数が10万個/mm3以上となった患者の割合は、エルトロン
ボパグの用量が多いほど高く、プラセボ群では17人中0人、30mg群では
12人中9人(75%)、50mg群では19人中15人(79%)、75mg群では
21人中20人(95%)(p<0.001)だった。

血小板数が5万個未満になった患者にはペグインターフェロンの用量低減
が勧告されることになっていたが、この試験のどの時点でも、エルトロン
ボパグ投与群の血小板数は5万個のレベルを超えていた。
(John G McHutchison et al. NEJM 2OO7; 357: 2227-36.)

Nikkei Medical 2008.1
版権(翻訳) 日経BP社

エルトロンボパグで抗ウイルス治療対象患者が増加:日経メディカル オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200712/505006.html

Eltrombopag for Thrombocytopenia in Patients with Cirrhosis Associated with Hepatitis C
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/357/22/2227

慢性特発性血小板減少性紫斑病治療のためのエルトロンボパグ
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/357/357nov/xf357-22-2237.htm
GlaxoSmithKline社 特発性血小板減少性紫斑病患者を対象にしたPROMACTAの第3相試験で良好な結果が得られた
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=20251

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)

<2008.4.1追加>
EltrombopagでC型肝炎患者の血小板数が増加
〔ニューヨーク〕ニューヨーク長老派教会病院肝疾患・移植センターの肝臓専門医でコーネル大学Weill医療センター(ともにニューヨーク)消化器病学と肝臓学部門のSamuel Sigal助教授は,新薬のeltrombopagがC型肝炎患者の血小板数を顕著に増加させ,効果的な治療法への道を開いたとNew England Journal of Medicine(NEJM,2007; 357: 2227-2236)に発表した。

30mg投与で患者の74%で血小板数が増加
C型肝炎患者では,しばしば疾患の進展に伴って血小板数が減少する。
この問題は,標準的な抗ウイルス療法が血小板数を危険なレベルにまで減少させることがあるため,結果として患者が必要な治療を受けられなくなることから複雑化している。

Sigal助教授は「今回の研究では,eltrombopagが血小板数を用量依存的に増加させ,重要な治療目標である最初の12週間の抗ウイルス療法を終了できた患者が増加した」と述べている。
同センターは22施設ある研究拠点の 1 つである。

第II相プラセボ対照試験では,C型肝炎ウイルス(HCV)感染により血小板数が少なく,肝硬変を呈する74例を追跡調査した。
対象をeltrombo-pagの投与量別の3群とプラセボ群にランダム化割り付けしたところ,同薬30mg/日投与の最低用量群では患者の74%で血小板数が有意に増加し,50mgまたは75mg/日投与群はそれぞれ79%,95%で増加した。
12週間に及ぶ抗ウイルス療法は3群でそれぞれ36%,53%,65%の患者が完遂した。プラセボ群でこの治療法を完遂できたのは 4 分の 1 未満であった。

副作用としては頭痛,ドライマウス,腹痛,悪心が確認されたが,いずれも治療を中断させるほど重度なものではなかった。

免疫性血小板減少性紫斑病にも有効
また,同センターのJames Bussel博士は,eltrombopagは血中の血小板数が著しく減少する自己免疫疾患である免疫性血小板減少性紫斑病(Immune Thrombocytopenic Pur-pura;ITP)患者で血小板数を増加させ,出血を減少させることに成功したと同誌(2007; 357: 2237-2247)に発表した。
今回の研究はeltrombopagを開発しているGlaxoSmithKline社から助成を受けている。同薬は血小板を産生する細胞の増殖と分化を誘導する研究段階の経口非ペプチド血小板増殖因子で,米国ではPromacta®,欧州ではRevolade®として販売されている。正常な血小板機能を回復させる他の薬剤は注入剤または注射剤であるが,同薬は 1 日1回投与の錠剤である。

米国では400万人,世界中では 1 億7,000万人がHCVのキャリアであると推定されている。
HCVはおもに輸血と血液製剤により感染する。感染患者の大多数は,輸血用血液のHCVスクリーニングが開始された1990年以前に輸血を受けるか静注の麻薬を使用していた。
また,かなりまれではあるが,性交渉時と周産期に感染することがある。

HCVは肝臓に炎症と瘢痕化を起こし,患者の約半数が治癒可能であるが,それ以外の患者では重度の肝損傷,肝がんが生じ,死亡することもある。HCV感染は肝硬変,肝移植の最も一般的な原因である。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4109131&year=2008
Medical Tibune 2008.2.28
版権 メディカル・トリビューン社
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# by esnoopy | 2008-01-23 00:04 | 消化器科

インスリン分泌「膵島」移植に新技術

糖尿病患者への人工膵島移植。
開業医には遠い存在と思っていたため興味も持っていませんでしたが、
臨床応用も現実のものとなってきているようです。
研究においてもiPS細胞と同様に熾烈な競争(先陣争い)が行われています。
昨日の新聞に3つの研究が同時に紹介されていました。

糖尿病治療へ不足補う
人工的に大量培養  横浜市立大マウス実験で

重症の糖尿病患者にインスリンを分泌する膵島(すいとう)を移植する治療に
役立つ新技術が相次ぎ開発された。
まだ動物実験など基礎的な段階だが、横浜市立大学は人工的に膵島を大量
に作ることに成功。
広島大学と京都大学はそれぞれ、移植の効果を高める技術を開発した。
移植用の膵島は不足しているが、新技術が人で実用化できれば、移植を増
やせる可能性がある。

横浜市立大大学院の谷口英樹教授はマウスの膵臓(すいぞう)にある
インスリンを分泌する細胞や血管のもととなる細胞などを専用装置に入れる。
装置は宇宙飛行士が前後左右などに回転させられる訓練機器を小型にした
ような構造で、二つの軸で回転する。

回転の遠心力で重力を相殺するように細胞の入った容器を動かすことで、
膵島を大量に培養することに成功した。
数日で数百個の膵島ができ、従来のシャーレの中で培養する方法では重力
の影響で一個しか作れなかった。
新装置の規模を大きくすれば、移植に必要な1万個も作れる見込みという。

糖尿病の実験用マウスに注射したところ、血糖値が正常に戻った。
インスリンの分泌も確認した。
今後は人の細胞で人工膵島を作製する計画。

膵島は提供してくれる人(ドナー)が不足している。
人工膵島ができれば、新たな治療法として広がる可能性がある。
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効果向上
炎症防止へ抗酸化 広島大
膜で血液凝固緩和 京大

広島大やループがそれぞれ開発した技術は、少ない膵島提供でも移植を受
けられる患者を増やせる可能性がある。

膵島移植は直後に炎症などが起き細胞がダメージを受け機能が低下する。

従来、うまく働く膵島が定着する割合(定着率)は三 ― 四割にとどまり、
患者一人に対し二 ― 三人から採取した膵島を移植する必要があった。

広島大の檜山英三教授は、分離した膵島細胞が移植時に弱くなるのは体内
で過酸化作用を受けるのが原因の一つと考え、抗酸化作用を持つ薬剤を使う
手法を開発した。
この薬剤に移植前の膵島細胞を浸すとともに、その物質を移植の前後に患者
にも投与する。

ラットの実験では生着率が従来の約二倍の六割超に上昇した。
二匹分必要だった膵島細胞も一匹分で済んだ。
今後、倫理委員会などの承認を経て、一 ― 二年後に臨床研究を始める
方針だ。

京大の岩田博夫教授らは移植用の膵島を薄い膜で覆い、移植直後の炎症や
血液が固まる現象を和らげる技術を開発した。
膜は脂質とポリエチレングリコールの複合体で、膜表面には血栓を溶かす
ウロキナーゼという薬剤を付着させた。

試験管での実験では血液が固まる現象を抑える効果を確認した。
現在の膵島移植法にそのまま応用できるので三 ― 四年後には実用化
したい考え。

膵島移植法では移植した細胞が異物とみなされ攻撃される拒絶反応も起こる。
細胞を覆う膜は「拒絶反応を防ぐ役割も持っており、免疫抑制剤の使用量低減
にもつながるはず」と岩田教授は指摘している。
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山本彪一  バラ 油彩6号
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<膵島>
膵臓(すいぞう)のの一つで、インスリンを分泌するβ細胞などが集まった百 ―
二百五十マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルほどの塊。
膵臓内に点々と浮かぶ島のように多数分布している。
インスリンは血糖値を下げるホルモン。
糖尿病のうち、これがほとんど分泌されないタイプの患者などは死の危険が
あるため、インスリンの注射が欠かせない。
他人の膵臓から膵島細胞を分離し、肝臓の門脈などに注入する膵島移植を
すれば、インスリン注射を不要にできる。

日経新聞・朝刊 2008.1.21
版権  日経新聞社

糖尿病の膵島移植
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20051107ik12.htm
膵島移植について
http://www.hosp.go.jp/~chibae2/ishokuj/suitou/suitou1.html
京都大学医学部附属病院膵島移植のホームページ
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~transplant/islet/index.html
神戸大学医学部附属病院 膵・膵島移植
http://www.med.kobe-u.ac.jp/suitou/

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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# by esnoopy | 2008-01-22 00:34 | 糖尿病

女性の自然なやせは骨粗鬆症リスクを高める

〔仏サンテティエンヌ〕サンテティエンヌ大学病院(CHU)のBruno Estour博士は,体質的にやせている,言い換えれば自然に極度にやせている若年女性は骨質が劣り、骨粗鬆症リスクが高まる恐れがあるとする研究を,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(JCEM,2007;オンライン版)に発表した。

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後藤志朗 日本画6号『雪山遠望』
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骨粗鬆症は食欲不振症と同等
体質的なやせとは,摂食障害がないにもかかわらずbody mass index(BMI)が16.5未満で,しかも体脂肪率は正常に近く,月経周期もエネルギー代謝も正常である若年女性を指す。

Estour博士は「体質的なやせはきわめてまれなため,食欲不振症と誤診されることが多い。
この領域の研究はきわめて限られており,これまでのところ,若年女性における低体重に関連する骨密度(BMD)低下は神経性食欲不振症患者においてのみ記述されてきた」と述べている。

今回の研究は18〜30歳の体質的なやせ女性25例と食欲不振症女性44例を追跡したものである。
大腿骨頚部と腰椎のBMD値を二重エネルギーX線吸収法(DXA)値で,また遠位とう骨と遠位脛骨は3次元周辺定量CTで測定した。
体脂肪と除脂肪体重も同じくDXAで測定した。

同博士は「食欲不振症患者のほぼ50%は骨量が低下し、骨折リスクがきわめて高いが,これはさまざまな内分泌・栄養異常で説明できる。
体質的にやせた若年女性でも,同等の比率で骨量が低下していたが,これは予想外のことで,内分泌,エネルギー,骨代謝回転が正常な状況では説明し難い」と指摘している。

骨粗鬆症は閉経後女性に多く見られるが,BMD値が一定範囲まで低下すると若年女性でも同等の骨粗鬆症が生じる。
今回研究者らは,健康な若年女性のBMD値についてメーカーから提供された参考データセットを用い,Zスコア(年齢を一致させた対照の平均値からの標準偏差で表示されるスコア)が−2.0未満であれば骨粗鬆症とみなした。
今回の研究では,体質的にやせている女性の44%はZスコアが−2.0未満であった。

同博士らは,遺伝および/または体重を支える中心的な骨領域への荷重の不足に関連する機序が,体質的にやせた若年女性における骨質の劣化の原因かもしれないと推察している。

Medical Tribune 2008.1.3
版権 メディカル トリビューン社


<コメント>
要するにやせている女性は年齢に関係なく骨粗鬆症のリスクが大きいということなのでしょうか。
文中に「体質的なやせはきわめてまれ」とのことですが、本当なのでしょうか。
若い女性が、若いうちから骨折の可能性があるのか将来的に骨折のriskが高くなるのかが、翻訳からははっきりしません。
また研究自体がどこまでoriginalityがあるのかも門外漢としてはわかりません。

骨粗鬆症の発症に関与する遺伝子の解明
http://www.giib.or.jp/giib/Index/press/20010416.htm
骨粗鬆症
http://www.naruoseikei.com/AAOS/Osteoporosis/Osteoporosis.html
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# by esnoopy | 2008-01-21 03:17 | 骨粗鬆症

小腸用カプセル内視鏡

m3のネタで恐縮です。
Nikkei Medical2008.1の「”見えてきた”小腸疾患」の記事も含めて勉強してみました。


小腸用カプセル内視鏡 暗黒の臓器「小腸」が見える
カプセル内視鏡承認のインパクト 小腸疾患への関心高まる
出血源不明消化管出血の診断を可能とする小腸用カプセル内視鏡が(昨年)10月から保険適用となった。
これにより、これまで暗黒の臓器といわれていた小腸の全域を容易に見ることができるようになる。
適応患者は、大きめのビタミン剤サイズのカプセルを飲み込むだけという低侵襲性も大きな特長で、小腸疾患の診断治療への貢献が期待されている。

保険償還価格は7万7200円
薬事承認された小腸用カプセル内視鏡「ギブン画像診断システム」(以下、カプセル内視鏡)は、イスラエルで開発され、2000年にネイチャー誌で紹介された。
翌2001年には米国で販売され、2003年には日本でも独協医科大のグループを中心に治験が開始されていた。
それが07年4月になって、ようやく薬事承認を受け、5月から販売開始されている。

保険収載はこの10月で、カプセル(PillCam SB)の保険償還価格は7万7200円、技術料は1700点となった。

カプセル内視鏡の特長は、
①従来の内視鏡では観察することが困難だった小腸の全域について直接視覚化できる
②麻酔などの前処置やバリウムなどの造影剤なしに26×11mm大のカプセル型カメラを飲み込むだけで検査が可能で、患者への負担が極めて少ない
③約8時間の検査期間中、患者は通常の生活を送ることができ、肉体的負担が少ない
④高い病変検出率(出血継続症例では92.3%)
などが挙げられる。

カプセル内視鏡は嚥下後、毎秒2枚の画像を撮り、約8時間で約5万5000画像を撮像できる。同システムを扱うギブン・イメージングによれば、現在までに60カ国以上の60万人以上に使用されている。

カプセル内視鏡の適応は、原因不明の消化管出血で、欧米では上部・下部消化管内視鏡で出血原因が不明の場合に実施される。
しかし、日本では上部・下部消化管検査で出血原因が不明な場合、つまり胃透視検査や注腸検査で原因が特定できない場合に、カプセル内視鏡検査を実施できる(日本ではクローン病は適応外)。

承認治験を行った独協医科大消化器内視鏡センター長の中村哲也教授は、「従来、消化管内視鏡学の分野では胃がんや大腸がん、食道がんなどが主な研究対象だったが。
しかし、ダブルバルーン小腸内視鏡やカプセル内視鏡の登場で、小腸疾患への関心が一気に高まり、学会報告が顕著に増えている」と話す。

5月に都内で開かれた日本内視鏡学会では、前月に薬事承認を受けたばかりのカプセル内視鏡のセッションに、多くの参加者が詰めかけた。

中村教授はさらに「原因不明の貧血や下血がある患者にとって、早い段階で疾患が発見され、治療が受けられるようになった」と強調する。

小腸の視覚的検査は、カプセル内視鏡に先行したダブルバルーン小腸内視鏡でも実施されている。
しかし、これらの検査法がなかった03年秋頃までは、出血シンチグラフィー検査で小腸出血を確認した後に試験開腹を行い、術中内視鏡により病変を探していた。
それでも、病変を発見できずに閉腹することもあったという。

軽い消化管出血の患者に対しては鉄剤が投与されるが、長期投与により肝臓に鉄が沈着しヘモジデローシスを起こし、肝硬変になることもある。
そのような患者の早期発見にもつながる。

原因不明消化管出血のうち、小腸の出血は「恐らく5%前後だろう」と中村教授は言う。
中村教授らの研究では、カプセル内視鏡で確定診断になった症例(70例)のうち、潰瘍・びらんが34.3%と最も多く、血管性病変25.7%、腫瘍性病変17.1%、クローン病10.0%、小腸外病変8.6%、ベーチェット病2.9%、その他2.9%という結果だった。

プライマリケアでは
①明らかな消化管出血・下血
②貧血の持続
③便潜血が陽性でやや貧血
といった患者について、胃カメラや大腸内視鏡を最初に行い、異常がなかった場合にはカプセル内視鏡検査を勧めるべきだろうと中村教授は話す。

カプセル内視鏡とダブルバルーンで小腸疾患の解明進む
ただし、カプセル内視鏡の画像読影だけでは、確定診断になるものとならないものがある。
形態だけで診断できる良性ポリープなどは確定診断ができるが、組織所見が必要な腫瘍などは推定の範囲にとどまる。

潰瘍については、NSAIDsが原因の医原性潰瘍の場合は、NSAIDs休薬後に再検査が必要だ。
血管性病変についても形態的な診断は可能だが、出血の原因かどうかを判断するには、「ダブルバルーン小腸内視鏡による治療で出血が止まるか」あるいは「ダブルバルーン小腸内視鏡で採取した組織を確認する」必要がある。

ダブルバルーン小腸内視鏡は、検査と同時に治療を行えることが最大の強みだが、まれに穿孔や感染性炎症などの合併症が生じることがある。

症例にもよるが、読影に要する時間はカプセル内視鏡では、出血や病変が1カ所の場合、症例当たり20~30分でできる。
診断支援ソフトによって約8時間の画像を約45秒~約3分に短縮して見てることで大まかな見当を付けられるためだ。

一方のダブルバルーン小腸内視鏡は多くの場合、医師2名、看護師2名、放射線技師1名で行われ、検査およびその前後を合わせて約2時間かかる。

カプセル内視鏡は、鎮静剤や送気が不要であることもメリットだ。
ダブルバルーン小腸内視鏡の場合、送気の圧力によって、一時的に出血が止まり出血源を見逃すこともあるからだ。

スクリーニング効果の高いカプセル内視鏡と治療まで可能なダブルバルーン小腸内視鏡によって、小腸疾患の検査・診断技術は格段に向上した。
出血病変の検出には両者の併用が有用だとする報告もある。
「今後の課題は治療薬開発だ」(中村教授)。


小腸用カプセル内視鏡
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200712/special2.html
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<参考>   Nikkei Medical 2008.1 より。
*小腸は内視鏡の挿入が困難なため”暗黒大陸”とまで呼ばれていた。
*ダブルバルーン内視鏡; 2003年にフジノン東芝ESシステムが発売
*シングルバルーン内視鏡; 2007年6月にオリンパスが発売
*消化管出血の30~50%が上部および下部内視鏡で出血源を判定できない。
  消化管出血全体の5%程度が小腸からの出血。(Gastroenterology 200;118:201-
221)
このデータは小腸内視鏡が開発される前のもの。小腸出血は実際にはもっと多い。
*出血源が不明だった135例中70例でカプセル内視鏡などで小腸病変を確認したというデ
ータもある。
*クローン病は狭窄を引き起こしやすく、滞留の可能性があるカプセル内視鏡は禁忌になって
いる。
*小腸の腫瘍性病変は良性が大半。
*稀に、原発性小腸癌、消化管間葉系腫瘍(GIST)や悪性リンパ腫などが報告されている。
*小腸は壁が薄く、出血や穿孔など、内視鏡挿入による合併症のリスクは高いと予測される。
*小腸のNSAIDS潰瘍についての治療薬については議論がある。


<コメント1>
随分昔のことです。
研修医時代にメッケル憩室の症例を、部長先生に言われるまま学会発表しました。
小腸二重造影の写真を提示しましたが、発表している自分自身もよく納得できなかったことを思い出します。
<コメント2>
便潜血反応陽性例で胃と大腸のチェックをして異常のない症例によく遭遇します。
仕方がないので便潜血の再検と、血液検査で貧血の出現や進行がみられないかを定期チェックすることになります。
案外歯肉出血や痔が原因だったりするのかも知れませんが。
<コメント3>
数多くの画像をチェックするのは大変なことと思われます。
<コメント4>
免疫学的測定法は「上部消化管(胃、十二指腸など)に出血がある場合、胃酸や消化液のどの影響によりヘモグロビンが変性し、陽性と出にくい」ということになっていますが、空回腸の出血の場合、化学的測定法とどちらが感度、特異度が高いのでしょうか。
一般的に上部消化管は、食道・胃・十二指腸、下部消化管は大腸ということで、今まで小腸は恣意的に、診断からはずされていた感は否めません。

便潜血検査について
http://www.toshiba.co.jp/hospital/culture/014.htm


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(循環器科関係の専門的な内容)
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# by esnoopy | 2008-01-18 00:05 | 消化器科

鳥インフルエンザ 人から人に感染 

1月12日と13日の2日間、NHKで新型インフルエンザの特集をやっていました。
先生方もご覧になった方も多いのではないかと思います。
数日後にはNHKサイトからも消えてしまうと思いますのでまずは番組のあらすじを紹介させていただきます。

シリーズ 最強ウイルス 第1夜 ドラマ  感染爆発~パンデミック・フルー
008年1月12日(土) 午後9時00分~10時29分 総合テレビ
2008年11月。日本海に面する寒村で「H5N1型新型インフルエンザ」の患者が相次いで確認された。東京・港川区の大澤病院副院長・田嶋哲夫(三浦友和)は、そのニュースを食い入るように見つめていた。その村はかつて田嶋が捨てた故郷・与田村だったのだ。画面には訣別した父・石五郎(佐藤慶)が村の医師として必死に診察にあたる姿が写っていた。

一方、いち早く与田村にとんだ感染症予防研究所の奥村薫(麻生祐未)は感染源らしき木造船を与田村の海岸で発見する。村を徹底的に封じ込め、根絶を図る政府。しかし、予想もしない形で包囲網は破られ、東京でついに1例発覚。“最強ウイルス”の名にふさわしく、新型インフルエンザは信じられないスピードで東京中に蔓延。社会システムの停滞、モラルの低下、医療現場の崩壊…。ウイルスに侵された人々が行き場をなくす中、田嶋は自分の病院に新型インフルエンザの患者を受け入れることを進言する。

殺到する患者たちを次々と診察する田嶋だが、病院はあっという間に患者であふれかえる。そしてベッドも足りなくなってしまったとき、出産を間近に控えた重症の女性(占部房子)が運び込まれてくる。しかし病院に数台しかない人工呼吸器は全て塞がっていた。田嶋は大きな決断を迫られる――。
※港川区、与田村は架空の地名。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080112.html

シリーズ 最強ウイルス 第2夜 調査報告 新型インフルエンザの恐怖
2008年1月13日(日) 午後9時00分~9時53分 総合テレビ
肺や気管だけでなく全身の臓器に感染、そして死…。
世界を震撼させている、あの新型インフルエンザの世界流行が秒読み段階に入った。「爆弾の導火線に火がついた状態。『もしも』ではなく、時間の問題だ。」と専門家たちは警告を発している。
厚生労働省は日本の死者数を64万人と試算しているが、日本だけでも200万人、世界中で1億人を超えると指摘する専門家もいる。
番組では、新型インフルエンザ発生の可能性が極めて高いとされるインドネシアでの取材をもとに、危機はどこまで迫っているのか、その時どんな事が起きるのかを詳細に描き出す。
また、どこかの国で新型インフルエンザウイルスが出現すれば1週間で全世界に拡大、未曽有の悲劇が人類を襲うことになる。ひとたび日本国内に入れば、だれも免疫を持たないため、瞬く間に感染が広がり、医療機関、交通機関、食料供給など社会は大混乱に陥る危険性がある。私たちはどんな対応を取ればよいのか、医療現場や行政の備えはどこまで進んでいるのか、国内外の対策を徹底的にチェックし、残された課題や日本のとるべき道を提示する。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080113.html
<コメント>
国(厚労省)の愚策に勤務医も開業医も疲弊しています。
私自身、(その前に医師としてですが)内科医でありながら新型インフルエンザが流行(パンデミック)した場合、積極的に治療に取り組むかというとクエスチョンです。
もっとも無床診療所の一開業医では、診断もつけれませんし、治療についても無力です。
感染拡大を防ぐ術(すべ)もありません。
何より診察すること自体が怖いのです。
東京都の、ある区の医師会の会員の意識調査をテレビでやっていましたが同じような見解でした。

これだけ医療現場を荒廃させた政府の思い通りに我々医師が動くとでも、彼らは思っているのでしょうか。
私自身、政府から何の補助金も受けていませんし、保護も恩恵も受けているという実感もありません。
医師としてはこの考え方は間違っているはずなんですが、この感情が先にたってしまいます。

現時点で政府からも日本医師会からも、われわれ医師会員に対して新型インフルエンザ流行時の具体的対処法の積極的な指示は何もありません。
私自身10年、20年前と比べて医療に対する情熱も愚策のため随分醒めてしまいました。
ある程度歳を重ねた、多くの先生方も同様だと思うのですが思い過ごしでしょうか。

番組の中で米国ではレスピレーターを備蓄しているとのこと。
そして老人より年少者を治療を優先させるというトリアージにも取り組んでいるようです。
ひるがえって日本では効くかどうかもわからないタミフルをせっせと備蓄しています。
タミフルを服用しても無効だった人が多く出ることが容易に予想されます。
問題は、それらの人達への対策がどこまで講じられているかということです。

感染症に対する対策に彼我の差を感じた印象的な特集でした。
人から人に感染と発表 中国初、鳥インフルエンザ 遺伝子の変異なし 

記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2008年1月11日】

【北京10日共同】
中国衛生省は10日の記者会見で、江蘇省南京市の父子が先月、鳥インフルエンザ
ウイルス(H5N1型)に感染した問題について「家庭内での密接な接触によって感染
した」と発表、先に発症して死亡した息子から父親に感染したことを明らかにした。
中国で人から人への感染が確認された
のは初めて。


一方で、人から人に感染しやすい新型インフルエンザへのウイルスの遺伝子の変異についてはあらためて否定した。
この父子は、病死した家禽(かきん)類との接触はなく、息子の感染ルートについては
判明していない。

衛生省報道官は、父子と接触のあった約80人には異常が見つかっていないこと
などから「今回の事態は既にコントロールしている」と強調。
さらに冬から春にかけて鳥インフルエンザが多発するとして、予防対策を徹底する
考えを示した。

日本の厚生労働省は先月、南京市に滞在歴のある日本入国者に対し、検査を行う
などの検疫体制を一時強化した。

国連などによると昨年11月時点で、2003年以降、12カ国の300人以上が感染し、
約200人が死亡。
インドネシアで人から人への感染が確認された例がある。
南京市では先月2日、24歳の男性がH5N1型に感染して死亡。
その後、男性の父親も発症し、中国当局が感染ルートを調べていた。

鳥インフルエンザ
インフルエンザウイルスによる鳥類の病気。
感染が拡大しているのは毒性が強いH5N1型。
鶏などが感染すると呼吸器、消化器に症状が現れ、大量死することもある。
鶏肉や鶏卵を食べて人に感染した例は報告されていないが、生きた鳥との
接触による人への感染が起きている。
人から人への感染も確認されている。
ウイルスの遺伝子が変異して人から人への感染力が高い新型インフルエンザ
になると、世界的に流行する恐れがある。

人から人に感染と発表 中国初、鳥インフル 遺伝子の変異なし
http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=GENERAL&articleId=65631&articleLang=ja


鳥及び新型インフルエンザ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
新型インフルエンザに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
新型インフルエンザについて
http://www.pref.aichi.jp/kenkotaisaku/newflu/index.html
新型インフルエンザはなぜ怖い?
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/415/415437.html
文部科学省における新型インフルエンザ対策について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/11/05112500.htm
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# by esnoopy | 2008-01-17 00:10 | 感染症

グリニド薬の新たな可能性 その2(2/2)

昨日の
グリニド薬の新たな可能性 その1(1/2)
http://wellfrog.exblog.jp/d2008-01-15の続きです。


河盛 
持続性高血糖より、むしろ高PPGおよび血糖変動が内皮細胞機能障害に、より大きく影響を与える機序はどのようにお考えですか。

綿田 
血糖変動は酸化ストレスを亢進するため、内皮細胞機能障害が起こるのは確かですが、血糖変動がなぜ酸化ストレスを亢進するのかとなると、不明な部分も多いと言わざるをえません。
Monnier 先生はどのようなご意見をお持ちですか?

Monnier
血圧が急激に変動すると、血管壁において内皮細胞機能障害を引き起こすような代謝のメカニズムが連鎖的に起き、酸化ストレスの亢進も相まって、さらなる障害を来すことが報告されています。
血糖変動でも類似の反応が起こると推測しています。

河盛 
高PPGと同時に起こることの多い高インスリン血症が、内皮細胞機能障害におよぼす影響について検討をされていますか。

綿田 
インスリンレベルを抑制しても血糖変動があれば内皮細胞機能障害が認められます。
逆に、血糖が正常であれば、インスリンレベルを上昇させても内皮細胞機能障害は認められません。
やはり、内皮細胞機能障害に対しては血糖変動の影響と考えるのが妥当です。

河盛 
私は1992年に2型糖尿病患者では健康な方に比べてIMTが20年も早く厚くなることを報告していますが、今回のNITED試験は、そのことが発症後間もない初期の2型糖尿病患者であっても同様であることを証明したものだと思います。
また同時に、ナテグリニドによる12か月間の治療が、その増加抑制に有用であることも示されました。
この成績から、発症初期の2型糖尿病であっても、動脈硬化進展抑制を念頭において、今まで以上に積極的に治療しなければならないと考えます。

食後2時間血糖値140mg/dL以上、FPG100mg/dL以上、HbA1c値5.0~5.4%を目安に糖尿病、IGTのスクリーニングを
河盛 
田嶼先生より糖尿病のスクリーニングについて最新の知見を発表していただきます。

田嶼
糖尿病とその前段階である耐糖能異常(IGT)の早期診断は重要な問題です。
また、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)やPPGと心血管疾患死亡率が密接に相関していることは、多くの大規模疫学調査の結果から裏付けられていますので、糖尿病およびIGTの早期発見が必要となります。

東アジア人において、糖尿病、IGTで最も高い精度を誇るスクリーニングはPPGの指標であるOGTT2時間値です。
なぜなら、東アジア人の高血糖はインスリン抵抗性より、主として膵β細胞の機能低下によって起こるからです。
IGTの約80%は正常FPGであり、従来のFPGの基準のみで糖尿病(≧126mg/dL)を診断すると、OGTT2時間値で診断した場合の50%未満、IGT(≧110mg/dL)においては25%未満しか正確に診断されません。
OGTT2時間値140mg/dLに相当するFPGを、舟形町研究の成績に基づいて検討した富永らの解析によると、FPGが98mg/dLのとき、精度は感度0.683、特異度0.762が導き出され、FPG1OOmg/dL前後が糖尿病およびIGTを見逃さないための基準値となりうることが示唆されました(図4)。
c0129546_23263213.jpg

また、別の解析では、FPGが100~109mg/dL、HbA1c値は5.0~5.4%になると、糖尿病発症リスクが急増することがわかりました。
また、2007年9月のEASD総会において、国際糖尿病連合(IDF)による食後血糖管理ガイドラインが提示されました。
そのなかで、IGTをスクリーニングする基準は、食後2時間血糖値140mgmg/dLとしています。

以上をまとめると、2型糠尿病を早期に、しかもIGTの段階から発見するための血糖指標は、食後2時間血糖値≧140mg/dL、FPC≧100mg/dL、HbA1c=5.0~5.4%が目安になります。
これに加えてメタボリックシンドローム、BMI≧25、糖尿病の家族歴を有する患者では、糖尿病発症リスクがより高いので、OGTTの施行が強く推奨されます。

Monnier
HbA1c値が糖尿病発症の予測因子や前糖尿病状態の診断基準になりうるというご発言は示唆に富んでいますね。
HbA1c値が5.0%以上で糖尿病発症リスクが増すという提言に賛同します。

田嶼
ありがとうございます。
ただ、HbA1c値が5.0%以上、FPG≧100mg/dLの患者に対して、我々がどのように対処すべきかが、次の重要な問題となってくるでしょう。

河盛 
2型糖尿病における血糖変動の危険性とナテグリドの作用、スクリーニングの意義について、明日からの臨床に役立つ議論ができました。


<追記>
広告に
「ナテグリド(商品名 スターシス)はビグアナイド系薬剤との併用療法 が可能になりました」
恥ずかしながら、今まで併用出来なかったことを知りませんでした。
糖尿病剤の併用については、各県の基金によって判断が異なるためかMRもなかなかはっきり教えてくれません。
この問題は純医学的なことにもとづいているわけではないため、話はかえってややこしいのです。
このように世の中には明文化できないことがたくさんありますね。

他にもブログがあります。
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葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
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# by esnoopy | 2008-01-16 00:08 | 糖尿病