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糖尿病 (世界の権威に聞く)

Medical Tribune 2008.4.3号には「世界の権威に聞く」という特集記事があります。
きょうは糖尿病研究に関する最新の動向を勉強しました。

C. Ronald Kahn
ハーバード大学教授,ジョスリン糖尿病センター前所長
2000年から2007年までジョスリン糖尿病センター所長。
インスリン受容体チロシンキナーゼを発見。
2型糖尿病や肥満におけるインスリン抵抗性状態のネットワークの変化やこれらシグナルの遺伝的・環境的要因の解明に努める。


日本だけでなく世界的に糖尿病患者数は増加傾向にあり,それに伴う合併症の増加も予想される。
そのため,糖尿病治療の成功は臨床的転帰の改善にとどまらず,社会的・医療経済的にも希求されているのが現状である。
ここでは,糖尿病研究を約40年リードしてきたジョスリン糖尿病センター前所長で,ハーバード大学のC. Ronald Kahn教授に,これからの糖尿病克服の鍵について聞いた。


増加を続ける糖尿病患者
―― 米国における糖尿病患者の現状はいかがでしょうか。
今,私たちは糖尿病,特に 2 型糖尿病の世界的流行に直面しており,これは肥満やメタボリックシンドロームと関連付けられています。

米国では現在,18歳以上の糖尿病患者が2,100万人を数えており,毎年約100万人のペースで増加し続けています。
これは公衆衛生上,非常に憂慮すべき統計学的な数値です。また,小児や若年者においても 2 型糖尿病患者は急速に増加していることも懸念されるところです。

米国の糖尿病患者の増加は多くの要因が複雑に絡み合ってもたらされています。
要因の 1 つは明らかに生活習慣の変化であり,幼児の間でさえ肥満が増大しており,由々しき事態です。

また,米国におけるこのような増加の背景には,他の要因も関与している可能性があります。
例えば,米国のさまざまな民族集団,ヒスパニック系,アフリカ系米国人,アジア系米国人,米国先住民ではいずれも糖尿病リスクが増加しています。


求められるインスリン抵抗性関与のメカニズム解明
―― 肥満,メタボリックシンドローム増加による影響,またアディポサイトカインやインスリン抵抗性といった病理学的原因についてはどのようにお考えですか。
2 型糖尿病発症率の増加は肥満とインスリン抵抗性が複雑に関与しています。

メタボリックシンドロームには 2 型糖尿病,すなわち耐糖能異常だけでなく,脂肪肝,脂質異常症,高トリグリセライド血症,低HDLコレステロールおよびVLDLコレステロール血症などの脂質異常症やアテローム動脈硬化症,高血圧のリスク増大も含まれます。
胆石や女性の生殖障害との関係,さらにはアルツハイマー病といった神経変性疾患との関係など多くの問題が含まれています。
未解決の最重要な課題の 1 つは,こうした症候群の根本原因の解明です。

確かにメタボリックシンドロームの基盤にはインスリン抵抗性がありますが,いまだこの原因は明らかにされていません。
脂肪細胞は多くのアディポカインを分泌し,腫瘍壊死因子(TNF)αなどのインスリン抵抗性を高めるものもあります。

ここで,日本の門脇教授らはアディポネクチン受容体を発見したことでもよく知られていますが,そのアディポネクチンなどインスリン感受性を高めるものとインスリン抵抗性を高めるものの関係を理解する必要があるのです。
しかし,これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのかは未解決のまま残されています。
また,非常に興味ある分野の 1 つに炎症と脂肪組織内の炎症細胞が挙げられます。
インスリン抵抗性と肥満を発現する場合,リンパ球と単球が脂肪組織に侵入してリンホカインを放出し,脂肪細胞がアディポカインを放出し,これらが一緒になるとインスリン抵抗性を高める可能性があります。


―― 糖尿病治療において,インスリン抵抗性改善薬と,米国で最近普及してきたGLP-1,DPP-4阻害薬はどう位置付けたらよいのでしょうか。
疾患の多くはインスリン抵抗性を基盤とするため,インスリン感受性を改善する薬剤は治療上基本となります。
メトホルミン,チアゾリジンジオン誘導体(ロシグリタゾン,ピオグリタゾン)などが挙げられますが,これらはすべての患者で,また糖尿病の全期間にわたって効果的というわけではありません。

そのため,新しいインスリン感受性改善薬を探求し続ける必要性があります。
例えば,サーチュインと呼ばれる蛋白質ファミリーを活性化する可能性を有する新薬の開発が注目を集めています。
これらの蛋白質は多くの代謝経路を制御しており,その活性が増強するときにインスリン感受性を改善する可能性があり,現在,製薬会社の数社がこの分野の研究・開発に取り組んでいます。

当然ながら,糖尿病の究極の原因となるのはなんらかのβ細胞不全であるためスルホニル尿素薬が用いられてきましたが,現在ではGLP-1やexenatide,DPP-4阻害薬と呼ばれるGLP-1プロテアーゼ阻害薬による新たな治療薬が開発されており,これらはインスリン分泌を改善するうえで非常に効果的だと思います。

問題はGLP-1とexenatideの剤形が依然として注射剤であることです。
経口剤であるDPP-4阻害薬は注射剤と同程度の体重減少はもたらしません。
今後,こうした分野でのよりいっそうの研究が続けられることを期待しています。


治療よりも予防を目指して
―― 糖尿病研究をリードしてきた立場から,今後の糖尿病治療・研究の方向性をお示しください。
過体重は,将来的には日本でも問題となると予測されます。
将来のために私たちが行うべきことの 1 つは,環境が自分の身体に及ぼす影響を制御する方法を見出すことです。
糖尿病や肥満をもたらす環境的な刺激は,われわれが考える以上に複雑化します。
米ワシントン大学のJeffrey Gordon博士の研究所から発表された興味深い新しい研究分野があり,彼は肥満の人の腸内細菌がやせた人とは異なることを見出しました。
やせたマウスから腸内細菌を抽出して肥満マウスに注入すると,肥満マウスはやせ,またその逆の現象も起こることを発見したのです。
そのため,例えば,私たちが食べる量以外にも相違をもたらす多くの要素が存在する可能性があることを示しています。
未知の環境的要素があるかもしれません。
ですから,私たちは,インスリン作用や分泌の基本的なメカニズムだけでなく,糖尿病に関与している他の環境的因子の存在やそれらを変化させられるかという研究に取り組む必要があります。

また,自己免疫型であり,2 型糖尿病よりも発症頻度がまれな 1 型糖尿病の問題もあります。免疫系は 1 型および 2 型糖尿病双方に影響を及ぼすと考えられますし,これら 2 つのタイプの糖尿病に影響する将来的な共通の研究分野です。

最後に,私にとって糖尿病の最も重要な面は治療ではなく予防です。
糖尿病専門医の数が非常に不足しており,さらに栄養学や運動のスペシャリストも不足しているのが現状です。
今後,集学的な糖尿病予防研究に力を注ぎ,予防策を見出さなければならないでしょう。

Comment
基礎・臨床両面からの解明に鍵
日本独自のエビデンス集積に期待

東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授 門脇 孝
日本の糖尿病の現状は,2002年の糖尿病実態調査から患者数740万人,予備軍880万人と報告されており,最近の統計では40歳以上の実に 3 人に1 人が糖尿病または予備軍であるという驚くべき結果が示されています。
日本人は欧米人に比べてインスリン分泌量が 2 分の 1 であるにもかかわらず,高脂肪食,運動不足といった欧米型の生活習慣が浸透したことがこの背景に挙げられます。
米国ではbody mass index(BMI)30以上が成人人口の約 3 分の 1 以上を占めるのに対し,日本ではわずか 4 %前後です。しかし,インスリン分泌低下の体質のため,わが国ではBMI 25程度であっても米国のBMI 30以上と同程度の糖尿病リスクを有する点に注意を払う必要があります。
こうした糖尿病・肥満患者の激増や,2005年 4 月の内科学会を中心とした 8 学会によるメタボリックシンドロームの診断基準の策定を契機に,わが国でも肥満や内臓脂肪蓄積を背景とした糖尿病・心血管イベントリスクを増加させる疾患への認識が高まり,基礎研究からの解明が強く求められています。
なかでも,膵β細胞からのインスリン分泌およびインスリン抵抗性に対するβ細胞の代償性過形成メカニズムの解明や,アディポカインに関する研究は世界でも注目を集める成果を得ています。
今後,内臓脂肪特異的なアディポカインやインスリン抵抗性だけでなくインスリン分泌不全を惹起するアディポカインの同定などが,メタボリックシンドロームや糖尿病の発症機序を考えるうえで重要となる可能性があります。

臨床的な面からは次の 3 点に注目しています。
まず,今年 4 月には,メタボリックシンドロームに焦点を当てた特定健診・保健指導制度が開始されます。
生活習慣病の予防対策として世界に誇れる取り組みとなることに期待しています。
次は,GLP-1やDPP4阻害薬などの臨床導入です。
これらの薬剤は糖尿病治療改善に大きく貢献すると思われます。
最後に,HbA1c,血圧,LDLコレステロール値などの治療目標達成の改善です。
厚生労働省が2005年度に開始したJ-DOIT3研究は糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法を研究しており,わが国の糖尿病治療のエビデンスが示せることにおおいに期待しています。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41140991&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社


<参考サイト>
J-DOIT3
Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment Study for 3 Major Risk Factors of Cardiovascular Diseases
2型糖尿病において,血糖,血圧,脂質代謝治療のうち糖尿病合併症予防の点で優れた治療法は何であるかを検討。
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0054.html

<コメント>
文中の「これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのか・・・」。
まさしく本質的な提言と思います。
たとえば動脈硬化と種々の脂質が相関するからといって直接な因果関係、つまり高脂血症が真の動脈硬化の原因ではない(サロゲートマーカー)のではないかと、ふと思ってしまうことが私の心の奥底にはあります。
先生方はいかがでしょうか。

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by esnoopy | 2008-04-15 00:14 | 糖尿病

ウエスト周囲径「偏重」は疑問

ちょっと古い記事の紹介で申し訳ありません。
日経メディカル2005年12月号への掲載記事(「オピニオン」)からです。
この時点ですでに門脇先生は鋭く「ウエスト周囲径」の基準値について問題提起してみえます。
この慧眼には敬服します。

東大代謝内科教授 門脇 孝 先生
今年4月、日本内科学会や日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など国内8学会が合同でメタボリックシンドロームの診断基準を発表した。

高血圧、脂質代謝異常、耐糖能異常は重積しやすく、これらが心血管病の大きなリスクになることは疫学調査からも明らかであり、これまでも「死の四重奏」として同様の病態が心血管病のリスクとなることは指摘されてきた。
今回、国際的なコンセンサスのある診断基準が策定されたことで、新たに国際比較することが可能となった。
また、「ウエスト周囲径」という理解しやすい項目を必須としたことで、医療関係者や国民の意識が向いたことも評価すべきだろう。

だが、ウエスト周囲径(男性85cm、女性90cm)を必須条件とし、他に血圧、食後血糖値、脂質の異常の3つのうち2つを満たす場合をメタボリックシンドロームとする診断基準を、正しく運用していくためには臨床上、次の点に留意が必要である。

「90」はリスクを広く拾えず
まず注意が必要なのは、ウエスト周囲径の基準値だ。
第3次米国コレステロール教育プログラム成人治療パネル(NCEP  ATP-mⅢの基準では男性102cm、女性88cm、国際糖尿病学会(IDF)ではそれぞれ94cm、80cmとされている。
女性の基準値が男性より大きいのは日本だけであることに加え、現場の医師からは90cm未満の女性でもリスクが集積しているとの声が上がっている。

われわれ東大糖尿病・代謝内科では、新潟県のコホート研究で調査を行い、リスクファクターの重積とウエスト周囲径の関係を調べた。その結果、男性では85cmという基準でリスク重積者の75%をとらえることができた一方で、女性は90cmでは80%程度を見逃すことになってしまった。
ウエスト周囲径を必須項目とするならば、これだけリスク重積者を見逃してしまうのは問題だ。

そもそも、ウエスト周囲径を必須条件にすること自体にも疑問が残る。
米国で男女1万人以上を11年間追跡したARIC(Atherosclerosis Riskin Community)スタディーでNCEP-ATPⅢの5項目(高血圧、HDLコレステロール(HDL-C)低値、中性脂肪高値、空腹時血糖高値、ウエスト周囲径)のうち、何が心血管病を予測するかを調べたところ、高血圧とHDL-C低値は有意に相関を示し、中性脂肪についても有意差こそ示さなかったものの、相関の傾向が見られた。
だが、空腹時血糖値高値とウエスト周囲径については心血管病を予測しなかった。
この結果を見れば、心血管病予測の点からは、ウエスト周囲径を診断基準上必須条件とする根拠は少ないと考えざるを得ない。

概念自体には賛成
私はメタボリックシンドロームの概念自体には賛成である。
生活習慣病の予防として有用な概念であり、高リスク者を把握するという観点からも意味がある。
今後エビデンスが集積されることで、診断基準はより良いものに改訂されていくはずだ。

ちなみに、われわれのコホート研究で、80%のリスク重積者を拾い上げるためのウエスト周囲径は男性83cm、女性73cmだった。
日常診療にメタボリックシンドロームの診断基
準を使う場合には、
①ウエスト周囲径のみを絶対の指標としない
②診断基準とは別に「男性83cm、女性73cm」を境界域として扱う
などの工夫が必要となってくるだろう。

Nikkei Medical 2005.12


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<関連サイト>
腹囲論争
http://wellfrog.exblog.jp/7416058

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by esnoopy | 2008-03-14 00:12 | その他

特定健診・保健指導制度

いよいよ特定健診・保健指導制度が4月から導入されます。
裁判員制度もそうですが、どのような経緯でどのレベル(どういった役人や有識者と称する人、そして誰がそういった人を選んでいるのか)でこういったことが制度化されて行くのかよくわかりません。

私は一開業医ですが、どのように関わっていけばいいのか、日本医師会に入会している立場ですが今もってよくわかりません。
私自身、生理的に受け付けなくて、知ろうとしないのかも知れません。

特定健診・保健指導制度,現場の声は第36回日本総合健診医学会

いよいよ今年(2008年)4月から特定健診・保健指導制度が始まる。
1月25,26日に神戸市で開かれた第36回日本総合健診医学会では,「セルフヘルスプロモーションをめざした総合健診」をスローガンに,4つのセッションを割いてこの制度を取り上げた。
会場は立ち見が出るほどの聴衆で埋まり,本テーマに対する関心の高さが伺えた。

保険者の指導による成果達成を義務付け
特定健診・保健指導制度は,保険者および健診関係施設が40~74歳の受診者に特定項目から成る健診を実施,メタボリックシンドロームあるいはその予備軍と見なされる人に対し,保健指導を行い,成果達成を義務付けるもの。
5年後の2012年にはメタボリックシンドローム保有者の増減率に応じて金銭的なインセンティブあるいはペナルティが課せられる。
特定健診は腹囲(男性85cm以上,女性90cm以上),もしくは腹囲が左の基準に満たない場合,body mass index(BMI)が25以上の,内臓脂肪蓄積リスク保有者をスクリーニングするステップ1,ステップ1の基準に達していた人を血糖・脂質・血圧・喫煙歴により階層化するステップ2,さらにリスクの多寡や年齢,服薬の有無に応じて「積極的支援」,「動機付け支援」といった保健指導の程度を階層化するステップ3と4から構成される。

対象年齢前からの指導も必要
メタボリックシンドロームを,喫煙を含めた複数の危険因子で包括的かつ階層的に評価するこれらの基準については,おおむね問題なしとの報告があった一方で,ステップ1の腹囲を中心とした階層化に問題があるとする報告もあった。
現在の健診データを用いた後ろ向き解析で,同制度の階層化によるシミュレーションを行った山梨県厚生連健康管理センターの一之瀬仁美氏は,現在の腹囲基準値が,特に女性において,必ずしも他の検査項目(血糖,血圧,脂質)と関連が見られないと報告。
「腹囲基準の見直し,あるいはBMIによる階層化が妥当ではないか」と指摘した。

進興会立川北口健診館の中島千枝氏は,40歳代のみならず,制度の対象となる前の30歳代からBMIが他の検査項目の異常と良好な相関を示したとの検討結果を報告し,制度対象外の年齢であっても,より早期からBMIに着目した健診・指導実施体制を整えていきたいとの発表を行った。

現制度では非肥満の糖尿病予備軍が取りこぼされる
また,現在の各指標の基準値による階層化そのものの落とし穴を指摘する報告もあった。
東海大学(医療情報学・医療統計学)教授の大櫛陽一氏は,同学会所属施設の特定健診対象者に関連するデータや各種コホート研究の結果から,同健診の検査項目の異常値が年齢・性差を反映していない上,「現行の制度では非肥満者の新規糖尿病発症が見落とされる危険性が高い」と述べた。

実際,日本人の糖尿病患者の過半数は非肥満者と言われており,そうした患者予備軍への介入が後手になれば,現在,医療費負担に占める割合の大きい糖尿病の罹患率減少には必ずしもつながらず,同制度の目的の1つである医療費適正化の障害ともなり得る。

特定保健指導の実践には大きな負担と課題
同制度の肝となるのが,保健指導対象となった人への実践だ。
指導対象者が多く見込まれる施設では,後ろ向き解析によるシミュレーションを実施,指導にあたる人員の確保・育成ならびに適正な配置が必要との報告も行われた。

また,健診・指導の一連の流れにおいては,膨大な個人データの管理・運用が発生することから,コンピュータによるネットワーク,インフラ整備が不可欠となる。
新虎ノ門会新浦安虎ノ門クリニックの滑田梨沙氏らは「健診指導にeメールを利用することで,双方向のやり取りができるだけでなく,可能なところは指導内容を定型化し,メールに添付することで,指導者の違いや連絡時間帯による指導内容の差を生じさせないメリットがあるのではないか」として導入を予定していると報告。

さらに,健診・指導システムの整備・運用については,外部委託保険者が業務の一部あるいは大部分を請け負う場合もある。
(株)ハーディ社長の矢後昭彦氏は「保健指導そのものは個別性を要する行為だが,同制度の管理・運用にあたっては,従来の方法論では人員・時間といった物理的困難が避けられない」と指摘。
不特定多数の対象者が時期や場所を問わず,厚生労働省のプログラムに沿った共通の健診あるいは指導を受けられるようにするには,マスプロダクションの概念の導入が必要とし,業務のオートメーション化・定型化への対応が鍵との提言を行った。

健診受診者に対する取り組みについても,既にメタボリックシンドローム健診を独自に実施,あるいは同様のプログラムを試行した数施設で報告があった。
メタボリックシンドロームの人はそうでない人に比べ,健康への関心は高いものの,実践にはなかなか踏み切れない傾向にあるようだ。
管理目標設定にあたって,たとえば初期にあまりに高い目標設定をすると,達成が困難になる。
そこで,対象者自身の自己評価の範囲をいかに設定していくか,効率的な集団指導の方法論や,指導が長期にわたる場合のフォローアップをどうすべきかなど,多くの課題や取り組みが示された。

国が保険者を介して疾病予防対策だけでなく,その成果達成を義務付けるという初の試みが,果たして実効性を発揮するか否かはもちろんだが,健診・医療ひいては公衆衛生の現場にどのような影響・変化が訪れるのか。
その動向が今後も注目される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080113.html


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日本人間ドック学会新ガイドラインの狙い
― 作成委員会委員長・山門實氏に聞く
特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分などを変更

 昨年(2007年)12月,日本人間ドック学会の「人間ドック健診成績判定及び事後指導に関するガイドライン」が5年ぶりに改訂された。そのポイントと狙いについて,同ガイドライン作成委員会委員長の山門實氏(三井記念病院総合健診センター所長)に聞いた。今回の改訂は,今年(2008年)4月に導入されるメタボリックシンドロームの概念に基づいた特定健診・保健指導制度に対応し,判定区分や一部判定基準値を変更したもので,予防医学の立場に立つ同学会として,生活習慣指導を重視する基本姿勢を貫いている。
一方,薬物療法についてもきめ細かな開始基準を設け,個々人の特性に応じたオーダーメード感覚の保健・医療対応を提案している。

国の“受診勧奨値”を3分割し,きめ細かな薬物療法開始基準を提示

― “今回のガイドライン改訂の趣旨について教えてください。
「各専門領域の学会が作成しているガイドラインは,それぞれの疾患に対する診療・治療を中心とした指針だと言えます。
これに対して,予防医学の立場に立つ日本人間ドック学会のガイドラインでは,治療よりも生活習慣の改善を優先して考えており,質の高い保健指導が全国均一に行えることを目指しています。各検査値の判定基準もそのような観点から設定しており,それは本来,頻繁に変える必要のないものです。
しかし,今回,特定健診・保健指導制度が導入されることになりました。
人間ドックで行う健診は特定健診の内容をカバーしており,人間ドック受診者も特定保健指導の対象となります。
私たちの試算では,特定保健指導の対象者は人間ドック受診者の約2割です。このため,ガイドラインの体裁を国の新健診制度に対応したものに改める必要が出てきたのです。

― 改訂の大きなポイントは判定区分の変更ですね。
「特定健診制度では,メタボリックシンドロームの病態と関連する各種検査値について“保健指導判定値”と“受診勧奨値”を設定しています。私たちが慎重に対応しなければならないと考えたのは,後者についてです。
特定健診制度では,各専門学会が定めた診断基準値に基づいて“受診勧奨値”を設定しています。
例えば,高血圧については140/90mmHg以上です。
国は受診勧奨値について,それを超えた場合でも,軽度であれば直ちに薬物療法を導入するのではなく,生活習慣の改善を優先して行い,効果が認められなかった場合,必要に応じて薬物療法を行うべきであることを提唱しています。
その趣旨自体は私たちの考えと同じなのですが,具体的な基準を示していないのが問題だと思います。
どの程度の検査値であれば,どの程度の期間,生活習慣指導のみで対応すべきなのか,言い換えると薬物療法の開始基準が不明確なのです。
そこで,今回のガイドラインの改訂では,国の受診勧奨値を超えたレベルを3分割し,
「C1;積極的支援(1)」
「C2;積極的支援(2)」
「D;受診勧奨」
という3つの判定区分を設けました。
C1では6か月,C2では3か月の生活習慣指導を行い,それでも改善しない場合に薬物療法の導入を考慮します。
これらの基準は,さまざまな臨床試験の結果を吟味して決めました。

一方,Dでは生活習慣指導を継続しつつも,直ちに薬物療法の導入を考慮します。
旧ガイドラインと比較すると,A~Eの5段階を大きな判定区分としている点では同じですが,新ガイドラインでは,旧ガイドラインにおけるC区分を2つに細分化したことになります。
また,それぞれの区分名と定義を国の新制度に合致するものに改めました」

“受診勧奨値”を単純比較してはならない
― “受診勧奨”という言葉を単純比較すると誤解が生じるということですね。 「新健診制度の“受診勧奨値”は,日本人間ドック学会の新ガイドラインではC1またはC2の判定基準値に相当します。
新ガイドラインにおける“受診勧奨値”,すなわちD区分の判定基準値は,上述のように受診勧奨者のなかでも,直ちに薬物療法の導入を考慮するレベルを明示するという趣旨から,新健診制度の “受診勧奨値”より高い値を設定しているのです。
一部に,日本人間ドック学会が国に反旗を翻したかのような報道もありましたが,国の制度に沿いつつ,よりきめ細かな基準設定を行ったことを理解していただきたいと思います」

― 日本人間ドック学会が薬物療法に消極的な学会というのも誤解だと言えますね。
「繰り返しになりますが,“受診勧奨値”を単純比較して,日本人間ドック学会の値のほうが高いため,薬物療法導入に消極的と判断するのは早計です。
新ガイドラインの判定区分Dは,そのレベルに至らなければ薬物療法を行わなくてよいという意味ではありませんから。
もちろん,生活習慣指導をおろそかにして安易に薬物療法に走るのは問題ですが,生活習慣指導だけでは効果が得られない人が多いのも事実であり,薬物療法が必要な患者に対しては速やかに導入すべきです。
新ガイドラインにおける区分設定は,特定保健指導の対象者に対して適正な生活習慣指導とともに,適正な薬物療法が行われることを意図したものにほかなりません」

― “受診勧奨”を巡る混乱の背景には,診断基準と薬物療法開始基準が区別されていないことが影響している面もありますか。
「特定健診制度には,各専門学会のガイドラインが色濃く反映されていますが,学会によっては,診断基準は設定していても,薬物療法開始基準を明示していません。薬物療法の導入は医師が個々に判断すべきだという立場だと思いますが,薬物療法開始基準が明示されないことで,診断基準値を超えたら直ちに薬物療法を開始すべきだという誤解が生じる可能性も否定できません。現場の医師に判断材料を提供する意味で,専門学会としての見解を示すことも必要だと考えています」

脂質基準値の性差を撤廃した理由とジレンマ
― 5年前の改訂では,総コレステロール(TC)の基準値について,暫定処置ながら性差を設けていましたが,新ガイドラインでは男女同一基準としています(表3)。その理由を教えてください。
「TC値について旧ガイドラインでは男性の場合,220~239mg/dLを判定区分C,240mg/dL以上を判定区分Dとし,閉経後女性については暫定処置として,それぞれ240~259mg/dL,260mg/dL以上という男性より20mg/dL高い基準値を設定していました。それは男性に比べ閉経後女性では測定値が高く分布していること,2002年の段階ではわが国には脂質に関する大規模な介入試験の成績が存在しなかったためです。
しかし,その後,MEGAスタディの結果が発表されました。

MEGAスタディの結果を見ると,TC値の上昇に伴う心血管疾患リスクの上昇は男女で差がなく,260mg/dLを超えるレベルの人では,薬物療法を行わない場合,早期に心血管イベントが発生しやすくなることがわかりました。この結果から判断する限り,保健指導や薬物療法を導入する基準に性差を設けることは妥当ではありません。そこで,男女ともに220~239mg/dLを判定区分C1,240~259mgをC2,260mg/dL以上をDと改訂したのです」

― しかし,今回の改訂により,保健指導・医療の対象となる区分は男性では20mg/dL上方に,女性では20mg/dL下方に広がり, 220~259mg/dLという幅広いグレーゾーンが出現したことになります。この区分の人々にはどのように対応すればよいのでしょうか。
「上述のようにC区分は薬物療法を行わないのではなく,一定の期間,生活習慣指導を行った後に薬物療法の導入を考慮するという意味です。
その際,重要なのは個々人のリスクを考慮することです。
C区分の人々のなかには,220mg/dLに近いレベルでも早期に薬物療法の導入が必要な人もいますし, 260mg/dLに近いレベルでも生活習慣指導のみで対応できる人もいます。
脂質値だけで結論を出すのではなく,心血管疾患の既往や糖尿病などの合併症の有無も考慮して判断すべきだと思います」

― 閉経後女性の脂質値の問題を考えるうえでは,日本人間ドック学会主導で行われているPMHPS(閉経後高コレステロール血症予後調査研究)の結果も待たれますが,進捗状況はいかがですか。「PMHPSは全国の人間ドックを受診した閉経後女性をTC値220~239mg/dLと240~259mg/dL以上の2群に分けて5年間追跡し,予後を比較する観察研究で,約4,000例が登録されています。
試験は今年3月に終了し,2年後の2010年に結果を発表する予定ですが,中間解析のデータを見ると,両群の予後に差を見出すのは難しそうな状況です。
MEGAスタディに比べ低リスクの集団で,両群とも心血管イベントの発生がきわめて少ないのです。脂質以外に心血管疾患のリスクがない閉経後女性では,生活習慣指導のみで対応できる可能性もうかがわれ,やはり性差の存在が強く示唆されます。
ただし,現在あるエビデンスで判断しようとすると,新ガイドラインのように性差を撤廃せざるをえない。
なお,閉経後女性ではおもにHDLコレステロール(HDL-C)の上昇によって,TC値が高くなっている人が多いのが特徴です。日本動脈硬化学会も脂質異常症の診断や管理はTCではなく,LDLコレステロール(LDL-C)で行うことを推奨していますが,閉経後女性においては特に強調されるところだと思います」


http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0801/080109.html

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胆石とNASH,Mets

胆石は非アルコール性脂肪肝炎とメタボリックシンドロームに関連
〔米ルイジアナ州ニューオーリンズ〕
アジア消化器病学研究所(インド・ハイデラバード)病理学顧問医師のAnurada Sekaran博士らは,症候性胆石症患者は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の有病率が高く、メタボリックシンドロームと有意な関連がられるとする前向き研究の結果を、米国臨床病理学会(ASCP)年次集会で報告した。

胆嚢切除術中に肝生検を実施
NASHは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)がさらに進展した疾患であり、肝細胞障害と線維化に関連している。
症候性胆石はしばしば肥満、高卜リグリセライド血症、インスリン抵抗性、2型糖尿病と関連しており、それらがNASHと関連することもある。
メタボリックシンドロームは、ウエスト周囲径の増加、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、高血圧、高血糖の基準のうち3点を有するものと定義されている。

Sckaran博士らは、腹腔鏡下胆嚢切除術を行った症候性胆石症患者88例を対象に、NASHとメタボリックシンドロームの有病率を評価した。
また、2006~07年に実施された胆嚢除術中に同時に肝生検を行った。
なお、術後合併症は見られなかった。

多量の飲酒、ウイルス陽性のB型・C型肝炎、自己免疫疾患とウィルソン病の患者は除外した。

NASH患者とNASHでない患者で、人口的特徴、身体的数値、肝機能検査、脂質プロフィール、超音波所見を比較した。
NASH診断後、肝生検所見を修正Brunt線維化スコアにより評価し、NAFLD Activity Score(NAS)を用いて脂肪化、すなわち脂肪変性、小葉性肝炎、バルーニングを評価した。

単変量解析の結果、生検時NASH患者では、脂肪化(P<0.0001)、肝細胞性のバルーニング(P<0.0001)、小葉性肝炎(P=0.0128)、繊維化((P<0.0001)との有意な関連が認められない。
また、多変量解析ロジスティック回帰分析の結果、脂肪化(P=0.027)、肝細胞性のバルーニング(P=0.16)、小葉性肝炎(P=0.002)でNASHとの関連が示された。

NASH患者はNASHでない患者に比べて糖尿病の有病率が高く(31.8%対17.9%)、血清コレステロール値が高く(53%対33.1%)、血清トリグリセライド値も高かった(29.4%対18.5%)ことから,NASHはメタボリックシンドロームと関連することが示唆された。
症候性胆石症患者はNASHの有病率も高かった。
同博士らは、NASHを早期診断すれば、患者がライフスタイルを改善し、同疾患の進行を予防する動機付けになる可能性があると結論付けた。

また同博士らは、腹腔鏡下胆嚢切除術中に肝生検を安全に行え、さらに組織学的評価が肝硬変の早期診断に役立つとしている。
同博士は「NASHを早期診断すれば、これらの患者を追跡し、肝硬変に進展するか否かを観察することが可能となる。
つまり、ライフスタイルを修正してNASHのさらなる進展を予防することができる」と付け加えた。
   (Copyright 2007 Doctors Guide.com)
Medical Tribune 2007.12.20
版権 (株)メディカル トリビューン


<コメント>
医学生の頃、胆石症の診断の糸口として「4S」を習った記憶があります。
その中の一つがFattyですから、NASHやMetsとの関連は首肯するところです。

文中に「症候性胆石はしばしば肥満、高卜リグリセライド血症、インスリン抵抗性、2型糖尿病と関連」と出てきます。

ここでどうして「症候性」なのかという点はよくわかりませんでした。
Metsの概念は、欧米ではどの程度の取り扱いなのでしょうか。
日本ほどではないように思うのですが、その点も興味のあるところです。

他にもブログがあります。
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(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2007-12-26 00:10 | 高尿酸血症

腹囲論争

メタボリックシンドロームの診断基準の必要条件としての腹囲。
11月に入ってからこの数字について急展開をしています。
十分な検討がなされないまま基準が決まった感がありますが、どの数字に落ち着くか目が離せません。

「メタボ腹」基準に異論 「男85センチは平均的」
おなかに脂肪がたまるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、通称メタボ)の診断基準を巡り、専門家から異論が相次いでいる。
基準の一つであるウエストサイズ(腹囲)が、女性で90センチ以上なのに対し、男性は85センチ以上と、諸外国に比べても厳しいなどが理由だ。
この症候群の人を見つける「特定健診・保健指導」が来年度に始まるが、「これでは健康な人まで『異常』と判定される」との指摘もあり、日本肥満学会などは今後、診断基準に関する委員会を開き、基準の見直しの必要性を検討するとしている。
この症候群は、腹囲に加え、血圧、空腹時血糖、血中脂質のうち2項目以上で異常があった場合に診断される。
特定健診・保健指導は、40〜74歳が対象で、現在の健診の項目に腹囲測定が新たに加わる。
内臓脂肪は、内臓の周りにたまる脂肪のこと。画像診断で、へその位置の胴回りの内臓脂肪面積が一定以上の場合、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす恐れが高まるとして、日本肥満学会などが、内臓脂肪面積を基に腹囲の基準を定めた。
だが、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけだ。
米国の指針では、男性102センチ超、女性88センチ超を腹囲の基準としている。 
約160の国と地域の医師らで作る国際糖尿病連合の基準では、欧州で男性94センチ以上、女性80センチ以上、中国・南アジアは男性90センチ以上、女性80センチ以上だ。日本人についても今年、男性90センチ以上、女性80センチ以上との基準を打ち出した。
同連合副会長で中部労災病院(名古屋市)の堀田饒(にぎし)院長は「男性の方が女性より厳しいのはおかしい。
腹囲が85センチぐらいの男性は平均的で最も多く、健康な人でも基準に引っかかる恐れが強い」と指摘する。
診断基準をまとめた住友病院(大阪市)の松沢佑次院長は「腹囲の基準を超えたら病気、基準以下なら健康ということではない。
女性の基準値が緩いのは皮下脂肪が多いため。
女性の方が心筋梗塞などは少なく、現時点では大きな問題はない」としながらも、異論があることを考慮し、「今後、診断基準の見直しの必要性を検討する」と話している。
(2007年10月14日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071014-OYT8T00078.htm

腹囲の数値先走り メタボ基準に十勝の医師も疑問の声
男性85センチ女性90センチ これでいいの? 一部学会に見直しの動き
来年度から国が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策を柱にした特定健診をスタートさせる。
これに合わせ専門家などからは男性85センチ、女性90センチ以上とするメタボ基準に異論が相次ぎ、十勝の医師らからも疑問の声が上がっている。
現場の医師は「腹囲基準だけが強調されるとメタボ自体が誤解される」などと指摘。
関連学会では基準を見直す動きもあり、論議はなお続きそうだ。

帯広厚生病院の吉川隆志副院長は16日の「とかち健康セミナー」で、「メタボ基準を見直さなければという機運がある」とし、メタボの基準となる腹囲測定値に疑問を投げかけた。

吉川副院長は同病院が昨年度行った健診受診者約1万3000人のデータを基に、基準以下の腹囲でも高脂血症、高血圧、高血糖のリスクを持つケースがあると指摘する。
その上で、「腹囲は絶対的なものではない。基準以下でもメタボとして対応しなければならない人もいる。
基準値ばかりをみるとメタボの趣旨が誤解される可能性がある」と強調している。

また、医療法人啓和会の前田修一理事長は「国が示す基準には根拠がある。身長の高い人が(健康でも)基準に該当することもあり、ただ、個人の意見としては身長180センチ以上の人の腹囲基準値は緩和されるべきだ」と話す。

帯広保健所の渡部正行所長も「腹囲が前面に出て数値だけが先走りするのは疑問」とする。現在の基準では中・高年男性のほぼ半数がメタボに該当する推計だが、「果たしてそれが妥当なのか。医療界からも異論が出ており、今後見直される可能性もある」とみる。

一部関連学会では基準値を見直す動きもあり、厚労省は「策定した8学会が見直せば、必要に応じて検討する」(生活習慣病対策室)としている。
メタボ基準 日本肥満学会など8団体が2005年に策定したものを厚労省が導入し、来年度からの特定健診の必須項目に盛り込む。腹囲基準を中心に、血中脂質、血圧、血糖の各基準値の該当数により、保健指導の支援内容が異なる。
十勝毎日新聞 - 2007年10月16日
http://www.tokachi.co.jp/WEBNEWS/071017.html

女性の腹囲は80センチを基準に メタボ診断、東北大発表 '07/10/19

東北大大学院薬学研究科の今井潤教授らのグループは18日、メタボリック症候群の診断基準になっているウエストサイズ(腹囲)について「男性87センチ、女性80センチが適切な基準値」と発表した。
厚生労働省は腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、さらに高脂血、高血圧、高血糖の2つ以上に当てはまるかどうかを基準としている。
女性の腹囲を男性よりも大きく設定していることには、異論も出ていた。研究グループは「女性の腹囲は引き下げが必要ではないか」と指摘。
25日から沖縄県で開かれる日本高血圧学会で発表する予定。
研究グループは、2000—06年にかけて、岩手県花巻市大迫町の男女約四百人(平均63歳)に健康診断を実施。血圧などの健診データを分析し、メタボリック症候群に該当する人を見つける上での最適な腹囲の値を導き出した。
 現行の診断基準は、日本高血圧学会などが作成、05年に発表した。
その後、国際糖尿病連盟が「男性90センチ、女性80センチ」を発表するなど諸説出ている。
中国新聞 - 2007年10月18日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710190102.html

メタボ腹基準、緩めません…男性85センチ  肥満学会が見解 
男性に厳しく女性に甘いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲による国内診断基準が、世界標準と大きく異なる点について、基準策定の中心となった日本肥満学会は19日、「基準を変える必要はない」との見解を公表した。
内臓の周りに脂肪がたまるメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が「男性85センチ以上、女性90センチ以上」の条件を満たした上で、血圧、血糖値、血中脂質の値のうち2項目が基準を上回ること。来年度から40歳以上を対象に始まる特定健診では、メタボリックシンドロームやその予備軍と診断された人は、生活習慣病予防のための特定保健指導を受けることになる。
しかし、米国の肥満基準は腹囲が「男性102センチ超、女性88センチ超」で、世界的には男性の方が緩いのが普通。特定健診の導入を半年後に控え、基準の妥当性を疑問視する声が出ていた。
これに対し同学会の松沢佑次理事長は、「内臓脂肪の量から腹囲基準を決めたのは日本だけ。単なる肥満基準とは違う」と診断基準の妥当性を訴えた。
(2007年10月20日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071020-OYT8T00067.htm

メタボ基準検証へ 厚労省研究班、2万4千人の腹囲分析
2007年11月08日23時01分
 生活習慣病を引き起こす原因ともされるメタボリック症候群の診断基準を見直すため、全国2万4000人を対象とした大規模調査を厚生労働省の研究班(主任研究者=門脇孝・東京大教授)が始める。「男性に厳しく、女性に甘い」といわれるウエストの数値を中心に、将来の心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスクを予測するのに最もふさわしい基準値をつくるのが狙いだ。
現在のウエストの基準は、日本肥満学会が中心となってつくった。男性85センチ、女性90センチ以上。健康障害にかかわる内臓脂肪の面積に対応する値として設定された。だが、心筋梗塞や脳卒中の発症との関係を直接調べているわけではないため、医学的な信頼性を疑う専門家も少なくなかった。
 また、国際糖尿病連合が今年、「リスクのある人をより正しく見分けられる」として、日本人について「男性90センチ、女性80センチ」とする独自基準を決めた。日本の基準とは男女が逆転しているが、国内の研究チームからもこれが最適とする報告が出ている。ただ、調査人数は2500人程度にとどまる。
茨城、大阪、福岡など全国7地域では、一般市民を対象にウエストを測り、その後の健康状態を長く追跡して心筋梗塞などとの関係を直接調べている。厚労省の研究班は、これらの研究をまとめて、ウエストの基準をどの値に設定すれば、心筋梗塞や脳卒中につながりやすい人を最も効率的に見分けられるか、といった点を検討する。
 基準値を探る調査としては最大規模の研究になる。今のウエスト値は2度にわたって検討されたが、いずれも調べた人数は1000人ほどだった。班のメンバーには肥満、血圧、血糖、脂質の専門家らが参加。2年後をめどに、新しい基準値をまとめる。
健康保険法改正で、来年度から40〜74歳の全国民を対象に導入されることになった特定健診は当面、現行の基準でスタートする。ただ、ウエスト基準に合致しない人を見落としたりしないよう、肥満度をみる別の基準も設けている。門脇教授は「医学的根拠の高い基準値をつくるため、一定の質を保っている研究だけを集めた。日本人の予防医学に役立てられるようにしたい」と話した。
 日本肥満学会の松澤佑次・理事長らは10月の記者会見で「当面はウエスト値を変える予定はない」と表明。ただ、信頼性の高いデータが明らかになれば、見直しは否定しないと述べている。
 《メタボリック症候群の診断基準》 腹部の内臓脂肪の面積100平方センチに相当するウエストの長さが男性85センチ、女性90センチとされる。これに加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうち二つ以上当てはまる場合。
 ウエストの基準は、米国は男性102センチ、女性88センチ、欧州では男性94センチ、女性80センチで、いずれも身長と体重をもとに計算した体格指数(BMI)に対応する値として決めている。
朝日新聞 - 2007年11月8日
http://www.asahi.com/life/update/1108/TKY200711080242.html


<コメント>
腹囲をめぐって百家争鳴。
真剣な論争ですが、よくわからない第三者からみれば滑稽にうつるかも知れません。
たかが腹囲、されど・・・。
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by esnoopy | 2007-11-16 00:05 | その他

メタボリックシンドロームと腹囲論争

女性の腹囲は80センチを基準に メタボ診断で、東北大発表
東北大大学院薬学研究科の今井潤(いまい・ゆたか)教授らのグループは18日、
メタボリック症候群の診断基準になっているウエストサイズ(腹囲)について「男性87
センチ、女性80センチが適切な基準値」と発表した。
厚生労働省は腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、さらに高脂血、
高血圧、高血糖の2つ以上に当てはまるかどうかを基準としている。
女性の腹囲を男性よりも大きく設定していることには、異論も出ていた。
研究グループは「女性の腹囲は引き下げが必要ではないか」と指摘。
25日から沖縄県で開かれる日本高血圧学会で発表する予定。
研究グループは、2000-06年にかけて、岩手県花巻市大迫町の男女約400人
(平均63歳)に健康診断を実施。
血圧などの健診データを分析し、メタボリック症候群に該当する人を見つける上での
最適な腹囲の値を導き出した。
現行の診断基準は、日本高血圧学会などが作成、05年に発表した。
その後、国際糖尿病連盟が「男性90センチ、女性80センチ」を発表するなど諸説
出ている。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=58284
記事:共同通信社   2007年10月19日
<コメント>
もともと体格の差を考慮せずに絶対値で論ずることには無理があることは素人にでも
わかることです。
他国と異なり日本だけ、男性に厳しく女性に甘い腹囲の基準も説得力がありません
でした。
「腹囲の基準」は「メタボリックシンドローム」の必要条件だけにとても重要です。
地道な研究から学会に叛旗を翻した発表に敬意を表したいと思います。
以前、日本動脈硬化学会が作成した「コレステロール治療目標値220mg/dl」に対して
J-LITがAHAで240mg/dlと発表し、あわてて治療目標値を変更したことを思い出して
しまいました。

「メタボリックシンドローム」。何だか胡散臭い。

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「男85センチは平均的」
おなかに脂肪がたまるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、通称メタボ)の
診断基準を巡り、専門家から異論が相次いでいる。
基準の一つであるウエストサイズ(腹囲)が、女性で90センチ以上なのに対し、
男性は85センチ以上と、諸外国に比べても厳しいなどが理由だ。
この症候群の人を見つける「特定健診・保健指導」が来年度に始まるが、
「これでは健康な人まで『異常』と判定される」との指摘もあり、日本肥満学会などは
今後、診断基準に関する委員会を開き、基準の見直しの必要性を検討するとしている。
 この症候群は、腹囲に加え、血圧、空腹時血糖、血中脂質のうち2項目以上で
異常があった場合に診断される。特定健診・保健指導は、40〜74歳が対象で、
現在の健診の項目に腹囲測定が新たに加わる。
内臓脂肪は、内臓の周りにたまる脂肪のこと。画像診断で、へその位置の胴回りの
内臓脂肪面積が一定以上の場合、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす
恐れが高まるとして、日本肥満学会などが、内臓脂肪面積を基に腹囲の基準を定めた。
だが、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけだ。
米国の指針では、男性102センチ超、女性88センチ超を腹囲の基準としている。 
約160の国と地域の医師らで作る国際糖尿病連合の基準では、欧州で男性94センチ
以上、女性80センチ以上、中国・南アジアは男性90センチ以上、女性80センチ以上だ。
日本人についても今年、男性90センチ以上、女性80センチ以上との基準を打ち出した。
同連合副会長で中部労災病院(名古屋市)の堀田饒(にぎし)院長は「男性の方が女性
より厳しいのはおかしい。
腹囲が85センチぐらいの男性は平均的で最も多く、健康な人でも基準に引っかかる
恐れが強い」と指摘する。
<コメント>
ごもっとも。

診断基準をまとめた住友病院(大阪市)の松沢佑次院長は「腹囲の基準を超えたら病気、
基準以下なら健康ということではない。女性の基準値が緩いのは皮下脂肪が多いため。
女性の方が心筋梗塞などは少なく、現時点では大きな問題はない」としながらも、
異論があることを考慮し、「今後、診断基準の見直しの必要性を検討する」と話している。
<コメント>
相変わらず頑張ってます。
何のエビデンスもなく数字を具体的にあげれる態度は、科学者としてまことに立派(?)
です。
ウエスト/ヒップ比では内臓肥満を診断できないでしょうか。
論文でこの数値の方が肥満の検出については有用という論文があったのですが。

(2007年10月14日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071014-OYT8T00078.htm?from=goo

メタボ腹基準、緩めません…男性85センチ  肥満学会が見解
男性に厳しく女性に甘いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲による
国内診断基準が、世界標準と大きく異なる点について、基準策定の中心となった
日本肥満学会は19日、「基準を変える必要はない」との見解を公表した。
内臓の周りに脂肪がたまるメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が「男性
85センチ以上、女性90センチ以上」の条件を満たした上で、血圧、血糖値、血中
脂質の値のうち2項目が基準を上回ること。来年度から40歳以上を対象に始まる
特定健診では、メタボリックシンドロームやその予備軍と診断された人は、生活習慣
病予防のための特定保健指導を受けることになる。
しかし、米国の肥満基準は腹囲が「男性102センチ超、女性88センチ超」で、世界的
には男性の方が緩いのが普通。特定健診の導入を半年後に控え、基準の妥当性を
疑問視する声が出ていた。
これに対し同学会の松沢佑次理事長は、「内臓脂肪の量から腹囲基準を決めたのは
日本だけ。単なる肥満基準とは違う」と診断基準の妥当性を訴えた。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071020-OYT8T00067.htm
<コメント>
なんじゃこりゃ。

メタボリックシンドロームの“つくられ方”:意外とあいまいな診断基準
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz06q3/507698/index.html
ウエスト・ヒップ比
http://www.kms.ac.jp/~hsc/izumi/taikei/west_hip.htm
肥満 BMI (Body Mass Index) ウエスト/ヒップ比
http://plaza.umin.ac.jp/~jnhs/newsletter/GNHS01NL02.pdf
肥満の判定はBMIよりウエスト/ヒップ比で
http://kudamononet.com/LifeStyle/medical/diet/obesity_6.html
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
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by esnoopy | 2007-10-25 01:37 | その他