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麻疹 その3(3/4)

やっかいな修飾麻疹、症状だけでは診断困難
修飾麻疹とは、麻疹に対する不完全な免疫を持っている人が麻疹ウイルスに感染した場合に発症する、軽症の不全型麻疹のことをいう。

修飾麻疹では、
(1)最高体温が37℃台にとどまる、
(2)発熱が3〜4日で終わってしまう、
(3)コプリック斑(連載第1回を参照)が認められない、
(4)発疹が手足だけに出現する
—など、典型的な麻疹とは異なる経過をとるため、臨床症状だけで麻疹と診断するのは極めて困難である。
各種ウイルス学的検査を行わない限り診断が付かないため、風疹や他の発疹症と間違われることも少なくない。

修飾麻疹を発症するのは、母体からの移行免疫が残っている乳児や、ヒトγグロブリンを投与されている患者に加え、secondary vaccine failure(ワクチン接種後、年数を経たために抗体が低下した二次性ワクチン不全)の人たちに多い。
2008年は、3月16日までに診断された麻疹患者4212人のうち、7.9%が修飾麻疹であることが分かっている。

修飾麻疹は通常より感染力は弱いものの、診断が付かないまま周りへの感染源となり得るので、やっかいな存在である。
修飾麻疹を拾い上げるためには、通常の感冒様症状の患者にも、必ず麻疹患者との接触歴を聞く姿勢が重要である。
修飾麻疹では潜伏期間が通常より数日長めになることが多いので、麻疹患者との接触が疑われるエピソードから発症までの期間も参考になる。

急性期のIgGが高値でも麻疹を除外しない
修飾麻疹の患者は、多少は麻疹の免疫を持っているため、急性期から麻疹特異的IgG抗体価が高値となることが多い。
これを持って、「麻疹の免疫あり=当該疾患は麻疹ではない」と判断せずに、必ず回復期のペア血清ならびにIgM抗体を確認してほしい。
発症中に咽頭ぬぐい液あるいは血液から麻疹ウイルスゲノムを検出することが確定診断に役立つことも多い。
ただし、修飾麻疹では、IgM陰性例や麻疹ウイルスゲノムが検出できない例もあるので、複数の結果を総合的に見ることが診断に結び付く。

わが国では、幼児期の麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種を2回に増やし、さらに2008年4月から5年間の期限付きで、中学1年相当年齢の者(13歳になる年度)と高校3年相当年齢の者(18歳になる年度)に対する追加接種が導入された。
これは、ワクチン未接種者を拾い上げつつ、修飾麻疹を発症しやすいsecondary vaccine failureの人たちへの免疫増強効果、primary vaccine failure(ワクチン接種で免疫を獲得できなかった一次性ワクチン不全)の人たちへの免疫付与を狙ったものである。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taya/200804/505943.html

出典 日経メディカルオンライン 2008. 4. 3
版権 日経BP社


<参考ブログ>麻疹 その1(1/4)
http://wellfrog.exblog.jp/8666694/
麻疹 その2(2/4)
http://wellfrog.exblog.jp/8668091/

<番外編>
たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり 
今年のはじめにこんな事故があったのをご記憶でしょうか?
2008年1月14日、午前9時半ころ、山形県鶴岡市の国道112号線月山第2トンネル内で高速バスの男性運転手(52歳)が意識もうろう状態に陥りました。異常に気が付いた乗客の男性がとっさにハンドルを操作して、バスは、タイヤを道路左側の縁石にこすらせ、ノッキングを起こして停車しました。乗客26人は無事だったとはいえ、一つ間違えば大惨事となるところでした。
 
バス会社によると、この運転手は前日から風邪気味で前日と事故当日の朝に風邪薬を飲んだということです。事故当日の朝には37度台の熱があったそうですが、事故後の受診でインフルエンザと診断されています。

従来から「インペアード・パフォーマンス」(気づきにくい能力ダウン)の研究を続けている東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田代学准教授(核医学)らのグループは、このバス事故を受けて、次のような実験結果を発表し、抗ヒスタミン薬の服用と運転危険について警鐘を鳴らしています。

実験の方法は、14名の健常若年成人男子に、抗ヒスタミン薬(d-クロルフェニラミン 6mg 複効錠:長い時間をかけてゆっくり吸収されるタイプ)とプラセボ(乳酸菌製剤)を内服させ、約2時間後に自動車運転シミュレーションシステム上で運転をしてもらい、そのときの主観的眠気、運転パフォーマンスを記録し、さらにPETを使って運転中の脳血流の変化を調べるというものです。

実験結果は、主観的眠気の強さは、プラセボと鎮静性抗ヒスタミン薬の条件の間にほとんど差が認められませんでしたが、抗ヒスタミン薬内服時に、プラセボ内服時にくらべて、蛇行運転回数が大幅に増加し、PET画像解析の結果、安静閉眼状態と比較して運転操作中には、一次運動-感覚野、運動前野、視覚野、頭頂葉、帯状回、側頭葉、小脳、中脳、視床など、非常に多くの部位に有意な局所脳血流量増加が認められています。
研究グループは以下のように考察をまとめています。

今回の研究では、抗ヒスタミン薬を服用した本人がはっきりした眠気を感じてはいなかったのに、運転中の蛇行運転の頻度が大きく増えていた。また、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の運転操作中に脳の反応がとくに抑制された視覚野、頭頂葉、側頭葉、小脳などは、動きをともなう視覚情報を処理して次の瞬間の最適な動作を決めていくための情報伝達経路とだいたい一致していた。
以上のことから、鎮静性抗ヒスタミン薬内服後の視覚系の情報処理機能の抑制が、運転に必要な神経回路の活動を不十分なものにしてしまったために運転パフォーマンスの低下をひきおこした可能性が高いと考えられた。この研究成果は薬理学の専門誌(Human Psychopharmacology:タイトル和訳は「ヒト精神薬理学雑誌」)の2008年3月号に掲載された。
研究グループは、PETを駆使して、抗ヒスタミン薬が脳の情報伝達をブロックする強さ(脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率)の測定も実施してきた。
また、鎮静性抗ヒスタミン薬の服用後の自動車運転中にブレーキペダルを踏むのが遅れること、携帯電話通話による遅れと相乗効果があることを実車運転試験によって初めて報告していた(プレスリリース2005年6月23日)。
こうした研究の蓄積の結果、将来、さらに総合的な研究成果が報告されることが期待される。

以前から抗ヒスタミン薬を服用すると眠くなるということはよく知られています。
より眠くならない抗ヒスタミン剤の開発もされているわけですが、そもそも本人が感じる眠気には個人差と変動がありますから、交通事故に限らず眠気がトラブルを誘発しかねないと危惧すれば風邪薬を服用したり、処方するのも容易なことではありません。

この実験では、風邪を引いたり、花粉症の状態の被験者ではなかったのでしょうが、実際の患者さんでは風邪で発熱していたり、花粉症で鼻水ズーズーで体内にもヒスタミンたっぷり、そのような状態自体で眠たい、倒れ込みたいというケースも少なくありません。

たかが風邪薬、されど風邪薬―医師も投薬に悩みあり
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/takenaka/200804/506312.html
出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29
版権 日経BP社


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-04-30 00:31 | 感染症