タグ:新高血圧治療ガイドライン ( 1 ) タグの人気記事

新・高血圧治療ガイドライン

どうなる? 新・高血圧治療ガイドライン
焦点は「正常高値」、当落線上の降圧薬の行方は…
ガイドライン作成委員会の荻原俊男委員長に聞く
「高血圧治療ガイドライン2004」(JSH2004)の発表から4年。
日本高血圧学会は現在、ガイドラインの改訂に向けて作業を進めている。
ガイドライン作成委員会の委員長を務める大阪府立急性期・総合医療センター院長の荻原俊男氏に、改訂に向けた議論の方向性と、改訂作業のスケジュールを聞いた。

―― 新しいガイドラインは、今秋の日本高血圧学会でシンポジウムが開かれた後、来年早々には公開される見込みと聞いています。今改訂のポイントを幾つか教えてください。
まず、高血圧患者のリスクの評価と治療方針についてはいかがですか。
荻原 
現在は、日本、米国、欧州で、リスクの評価方法が異なっている。

特に血圧が130~140mmHgの「正常高値」の人の扱いは、今回の改訂で1つのポイントになるだろう。

―― 2004年のガイドラインでも、糖尿病や腎障害を合併している場合には、正常高値でも治療対象にすることにされていましたね。
荻原 
今回のガイドラインで正常高値の治療対象をどこまで広げて記述するかが課題になる。
正常高値の患者さんが、どのようなリスクを持っていた場合に、どのような対処をするかという具体的な方法が書かれていた方が、日常診療にメリットが大きいと考えている。

ただ、メタボリックシンドロームで正常高値の患者のリスク評価をどうするかなど、まだ議論すべき点が残っている。

―― 血圧の測定方法についてはどうですか。
荻原 
今春の診療報酬改定で、「24時間自由行動下血圧測定」(ABPM)が保険適用になった。
普及が進むとみられるので、これについてはガイドラインに盛り込むつもりだ。
ただし、どのような場合を適応とするか、得られた数値をどう解釈するか、診療にどう生かすかなど、まだはっきりしていない部分もある。
ガイドラインでは、あいまいな部分をできるだけなくすようにしたい。

―― 目標血圧についてはどうですか。
特に、後期高齢者については、議論があると聞いています。
荻原 
確かに、75歳以上の高齢者の降圧で、「中間目標」を置くべきかどうかについては議論がある。
2004年のガイドラインでは、中等症・重症高血圧の患者は「140/80mmHg以下を最終降圧目標とするものの、150/90mmHgを暫定的降圧目標とする慎重な降圧が必要」としたが、中間目標を置くと医師や患者が降圧に消極的になるのではないか、という意見もある。

一方で、前回のガイドライン以後に結果が判明した大規模臨床試験「JATOS」では、75歳以上の患者では、厳格な降圧を行うことが心血管系イベントの増加につながる可能性が示唆されている。
従って、最終目標は140mmHgとするが、慎重な降圧が必要という基本的な内容は2004年のガイドラインを踏襲することになりそうだ。
どのような表現にするかについては議論が必要だ。
※JATOS:The Japanese Trial to Assess Optimal Systolic Blood Pressure in Eldrly Hypertensive Patients

―― 主要な薬剤については、いかがですか。
特にβ遮断薬、α遮断薬の扱いは国際的に変わってきています。

荻原 

α遮断薬は、主要薬からは外れそうだ。エビデンスが得られる前に、大規模臨床試験「ALLHAT」が中止された影響が大きい。
ただし早朝高血圧など、条件によっては引き続き有用な薬であることに変わりない。
早朝高血圧の診療に関する項目を設け、そこでα遮断薬の使用を推奨することになるだろう。

β遮断薬は、引き続き主要薬として残る可能性が高い。
大規模臨床試験の「LIFE」や「ASCOT」で、他の主要薬に比べて同等あるいは劣っているとの結果が出たことを受けて、英国のガイドラインでは主要薬から外された。
しかし欧州ガイドラインには残っているし、国際的にまだ解釈が定まっていないので、日本のガイドラインでは今回は残ることになると思う。


「LIFE」や「ASCOT」で使われていたβ遮断薬が古いタイプのものだったという問題もある。
代謝面に悪影響を及ぼさない新しいタイプのβ遮断薬は試験を実施すれば、結果が異なる可能性もある。
※ALLHAT:Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial
※LIFE: Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension
※ASCOT:Cardiovascular event reduction in the Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial

―― 2006年末に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と利尿薬の合剤が発売されました。
現在、承認申請中のものも幾つかありますが、合剤の位置付けはガイドラインに盛り込まれますか。

荻原 
まずは、降圧薬の2剤併用をどのように位置付けるかだ。2004年のガイドラインでも、中等症以上なら、2剤を併用して厳格に降圧することを推奨していたが、これをさらに踏み込んだ形にする可能性がある。
米国のガイドラインであるJNC7では、中等症以上なら最初から併用療法を考慮することを推奨している。
2剤併用の代わりに合剤という選択肢が出てきたので、その位置付けも議論になるだろう。
既に日本でも発売されているロサルタンカリウムとヒドロクロロチアジドの配合剤は、添付文書に「原則として、ロサルタンカリウム50mgで効果不十分な場合に本剤の使用を検討すること」と書かれているが、ガイドラインが一歩先行して、厳格な降圧が必要な場合には治療開始時から合剤の使用を考慮する旨を盛り込んでもいいのではないかと思っている。

―― ガイドラインの改訂について、作業手順と今後のスケジュールを教えてください。

荻原 
ガイドラインの作成委員会は35人で構成されている。
内訳は日本高血圧学会内からの24人と、関連学会からの代表者11人だ。
高血圧学会の理事のほぼすべてが、ガイドライン作成委員会に含まれている。
関連学会とは、具体的には日本循環器学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本脳卒中学会などだ。

ガイドラインは12章構成の予定で、主要な項目には、学会内から「査読者」を複数割り当てた。
査読者は、作成委員やほかの査読者からの意見を盛り込んで、責任を持って担当項目の項目のたたき台を作る役割を担う。
作成委員のみならず、ほかの項目の査読者も、E-mailなどですべての項目に対して自分の意見を提出することができる。
たたき台の原稿は、既に3月14日にできあがっている。

たたき台を基に、作成委員会のメンバーと査読者(合計100人程度)がさらに議論を重ねる。E-mailのやり取りは毎日行われているが、加えて、今年5月には改訂委員と査読者、および評価委員が大阪で一堂に会して議論する。
その内容を踏まえてガイドラインの原案を作成し、インターネットで、日本高血圧学会の会員に公開する。
会員は原案に対して「パブリックコメント」を提出することができる。
また、日本医師会の代表を介して、一般医にモニターしていただくことも考えている。

9月に札幌で開催される学会では、ガイドラインの改訂についてシンポジウムを開く。事前に寄せられた学会員からのコメントと、シンポジウムでの議論を踏まえて、最終案を作成する。
完成したガイドラインの公表は、来年の年明けになる見込みだ。

どうなる? 新・高血圧治療ガイドライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t005/200804/506248_3.html
出典 日経メディカル オンライン
版権 日経BP社


<コメント>
つい最近、高血圧治療ガイドラインが出たと思っていたらもう4年も経っていたんですね。
ガイドラインの作成過程が詳しく述べられており、その点を特に興味深く読ませていただきました。

c0129546_735173.jpg

神戸文子 「ばら」 F8 日展特選画家
http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u24340627

<番外編>
医療関係者も必読!「さらば財務省!」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200804/506334.html「御用学者たちの情けない実態」
霞が関が、これまで官僚主導の政策立案を継続できた最大のからくりは、審議会システムにある。(中略)審議会のメンバーの人選は事実上、担当省庁が行う。
閣僚はそんな細かなことにまで関わっていられないので、役所から推薦された人物を承認してメンバーが決まる。
役所は当然、自分たちとは反対の意見を持つ人間は、初めから排除する。


<コメント>
以前から「審議会」という存在を胡散臭く思っていました。

「御用学者」とはよくぞ言ってくれました。
少しだけすっきりしました。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
[PR]
by esnoopy | 2008-05-02 00:10 | 循環器科