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糖尿病 (世界の権威に聞く)

Medical Tribune 2008.4.3号には「世界の権威に聞く」という特集記事があります。
きょうは糖尿病研究に関する最新の動向を勉強しました。

C. Ronald Kahn
ハーバード大学教授,ジョスリン糖尿病センター前所長
2000年から2007年までジョスリン糖尿病センター所長。
インスリン受容体チロシンキナーゼを発見。
2型糖尿病や肥満におけるインスリン抵抗性状態のネットワークの変化やこれらシグナルの遺伝的・環境的要因の解明に努める。


日本だけでなく世界的に糖尿病患者数は増加傾向にあり,それに伴う合併症の増加も予想される。
そのため,糖尿病治療の成功は臨床的転帰の改善にとどまらず,社会的・医療経済的にも希求されているのが現状である。
ここでは,糖尿病研究を約40年リードしてきたジョスリン糖尿病センター前所長で,ハーバード大学のC. Ronald Kahn教授に,これからの糖尿病克服の鍵について聞いた。


増加を続ける糖尿病患者
―― 米国における糖尿病患者の現状はいかがでしょうか。
今,私たちは糖尿病,特に 2 型糖尿病の世界的流行に直面しており,これは肥満やメタボリックシンドロームと関連付けられています。

米国では現在,18歳以上の糖尿病患者が2,100万人を数えており,毎年約100万人のペースで増加し続けています。
これは公衆衛生上,非常に憂慮すべき統計学的な数値です。また,小児や若年者においても 2 型糖尿病患者は急速に増加していることも懸念されるところです。

米国の糖尿病患者の増加は多くの要因が複雑に絡み合ってもたらされています。
要因の 1 つは明らかに生活習慣の変化であり,幼児の間でさえ肥満が増大しており,由々しき事態です。

また,米国におけるこのような増加の背景には,他の要因も関与している可能性があります。
例えば,米国のさまざまな民族集団,ヒスパニック系,アフリカ系米国人,アジア系米国人,米国先住民ではいずれも糖尿病リスクが増加しています。


求められるインスリン抵抗性関与のメカニズム解明
―― 肥満,メタボリックシンドローム増加による影響,またアディポサイトカインやインスリン抵抗性といった病理学的原因についてはどのようにお考えですか。
2 型糖尿病発症率の増加は肥満とインスリン抵抗性が複雑に関与しています。

メタボリックシンドロームには 2 型糖尿病,すなわち耐糖能異常だけでなく,脂肪肝,脂質異常症,高トリグリセライド血症,低HDLコレステロールおよびVLDLコレステロール血症などの脂質異常症やアテローム動脈硬化症,高血圧のリスク増大も含まれます。
胆石や女性の生殖障害との関係,さらにはアルツハイマー病といった神経変性疾患との関係など多くの問題が含まれています。
未解決の最重要な課題の 1 つは,こうした症候群の根本原因の解明です。

確かにメタボリックシンドロームの基盤にはインスリン抵抗性がありますが,いまだこの原因は明らかにされていません。
脂肪細胞は多くのアディポカインを分泌し,腫瘍壊死因子(TNF)αなどのインスリン抵抗性を高めるものもあります。

ここで,日本の門脇教授らはアディポネクチン受容体を発見したことでもよく知られていますが,そのアディポネクチンなどインスリン感受性を高めるものとインスリン抵抗性を高めるものの関係を理解する必要があるのです。
しかし,これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのかは未解決のまま残されています。
また,非常に興味ある分野の 1 つに炎症と脂肪組織内の炎症細胞が挙げられます。
インスリン抵抗性と肥満を発現する場合,リンパ球と単球が脂肪組織に侵入してリンホカインを放出し,脂肪細胞がアディポカインを放出し,これらが一緒になるとインスリン抵抗性を高める可能性があります。


―― 糖尿病治療において,インスリン抵抗性改善薬と,米国で最近普及してきたGLP-1,DPP-4阻害薬はどう位置付けたらよいのでしょうか。
疾患の多くはインスリン抵抗性を基盤とするため,インスリン感受性を改善する薬剤は治療上基本となります。
メトホルミン,チアゾリジンジオン誘導体(ロシグリタゾン,ピオグリタゾン)などが挙げられますが,これらはすべての患者で,また糖尿病の全期間にわたって効果的というわけではありません。

そのため,新しいインスリン感受性改善薬を探求し続ける必要性があります。
例えば,サーチュインと呼ばれる蛋白質ファミリーを活性化する可能性を有する新薬の開発が注目を集めています。
これらの蛋白質は多くの代謝経路を制御しており,その活性が増強するときにインスリン感受性を改善する可能性があり,現在,製薬会社の数社がこの分野の研究・開発に取り組んでいます。

当然ながら,糖尿病の究極の原因となるのはなんらかのβ細胞不全であるためスルホニル尿素薬が用いられてきましたが,現在ではGLP-1やexenatide,DPP-4阻害薬と呼ばれるGLP-1プロテアーゼ阻害薬による新たな治療薬が開発されており,これらはインスリン分泌を改善するうえで非常に効果的だと思います。

問題はGLP-1とexenatideの剤形が依然として注射剤であることです。
経口剤であるDPP-4阻害薬は注射剤と同程度の体重減少はもたらしません。
今後,こうした分野でのよりいっそうの研究が続けられることを期待しています。


治療よりも予防を目指して
―― 糖尿病研究をリードしてきた立場から,今後の糖尿病治療・研究の方向性をお示しください。
過体重は,将来的には日本でも問題となると予測されます。
将来のために私たちが行うべきことの 1 つは,環境が自分の身体に及ぼす影響を制御する方法を見出すことです。
糖尿病や肥満をもたらす環境的な刺激は,われわれが考える以上に複雑化します。
米ワシントン大学のJeffrey Gordon博士の研究所から発表された興味深い新しい研究分野があり,彼は肥満の人の腸内細菌がやせた人とは異なることを見出しました。
やせたマウスから腸内細菌を抽出して肥満マウスに注入すると,肥満マウスはやせ,またその逆の現象も起こることを発見したのです。
そのため,例えば,私たちが食べる量以外にも相違をもたらす多くの要素が存在する可能性があることを示しています。
未知の環境的要素があるかもしれません。
ですから,私たちは,インスリン作用や分泌の基本的なメカニズムだけでなく,糖尿病に関与している他の環境的因子の存在やそれらを変化させられるかという研究に取り組む必要があります。

また,自己免疫型であり,2 型糖尿病よりも発症頻度がまれな 1 型糖尿病の問題もあります。免疫系は 1 型および 2 型糖尿病双方に影響を及ぼすと考えられますし,これら 2 つのタイプの糖尿病に影響する将来的な共通の研究分野です。

最後に,私にとって糖尿病の最も重要な面は治療ではなく予防です。
糖尿病専門医の数が非常に不足しており,さらに栄養学や運動のスペシャリストも不足しているのが現状です。
今後,集学的な糖尿病予防研究に力を注ぎ,予防策を見出さなければならないでしょう。

Comment
基礎・臨床両面からの解明に鍵
日本独自のエビデンス集積に期待

東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授 門脇 孝
日本の糖尿病の現状は,2002年の糖尿病実態調査から患者数740万人,予備軍880万人と報告されており,最近の統計では40歳以上の実に 3 人に1 人が糖尿病または予備軍であるという驚くべき結果が示されています。
日本人は欧米人に比べてインスリン分泌量が 2 分の 1 であるにもかかわらず,高脂肪食,運動不足といった欧米型の生活習慣が浸透したことがこの背景に挙げられます。
米国ではbody mass index(BMI)30以上が成人人口の約 3 分の 1 以上を占めるのに対し,日本ではわずか 4 %前後です。しかし,インスリン分泌低下の体質のため,わが国ではBMI 25程度であっても米国のBMI 30以上と同程度の糖尿病リスクを有する点に注意を払う必要があります。
こうした糖尿病・肥満患者の激増や,2005年 4 月の内科学会を中心とした 8 学会によるメタボリックシンドロームの診断基準の策定を契機に,わが国でも肥満や内臓脂肪蓄積を背景とした糖尿病・心血管イベントリスクを増加させる疾患への認識が高まり,基礎研究からの解明が強く求められています。
なかでも,膵β細胞からのインスリン分泌およびインスリン抵抗性に対するβ細胞の代償性過形成メカニズムの解明や,アディポカインに関する研究は世界でも注目を集める成果を得ています。
今後,内臓脂肪特異的なアディポカインやインスリン抵抗性だけでなくインスリン分泌不全を惹起するアディポカインの同定などが,メタボリックシンドロームや糖尿病の発症機序を考えるうえで重要となる可能性があります。

臨床的な面からは次の 3 点に注目しています。
まず,今年 4 月には,メタボリックシンドロームに焦点を当てた特定健診・保健指導制度が開始されます。
生活習慣病の予防対策として世界に誇れる取り組みとなることに期待しています。
次は,GLP-1やDPP4阻害薬などの臨床導入です。
これらの薬剤は糖尿病治療改善に大きく貢献すると思われます。
最後に,HbA1c,血圧,LDLコレステロール値などの治療目標達成の改善です。
厚生労働省が2005年度に開始したJ-DOIT3研究は糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法を研究しており,わが国の糖尿病治療のエビデンスが示せることにおおいに期待しています。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41140991&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社


<参考サイト>
J-DOIT3
Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment Study for 3 Major Risk Factors of Cardiovascular Diseases
2型糖尿病において,血糖,血圧,脂質代謝治療のうち糖尿病合併症予防の点で優れた治療法は何であるかを検討。
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0054.html

<コメント>
文中の「これらが直接的な原因なのか,あるいは病態のマーカーであるのか・・・」。
まさしく本質的な提言と思います。
たとえば動脈硬化と種々の脂質が相関するからといって直接な因果関係、つまり高脂血症が真の動脈硬化の原因ではない(サロゲートマーカー)のではないかと、ふと思ってしまうことが私の心の奥底にはあります。
先生方はいかがでしょうか。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-04-15 00:14 | 糖尿病

糖尿病合併例にどのスタチン?

昨年(2007年7月)の第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会の発表からの紹介です。

糖尿病合併例にどのスタチンを使うべきか
アトルバスタチンでの血糖上昇を示唆する報告も 

2型糖尿病を合併している高コレステロール血症の患者は少なくないが、こうした患者においても、心血管系イベントの予防のために、積極的な脂質低下療法を行うことが必要とされている。
だが、糖尿病を合併した高脂血症(脂質異常症)患者に、どの高脂血症治療薬を選択すべきかについては、まだコンセンサスが得られていないのが現状だ。
7月12~13日に大阪市で開催された第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会では、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の使い分けに関する研究結果が2題、報告された。

横浜市立大市民総合医療センターの山川正氏
ストロングスタチン間でも耐糖能への影響に差
1つは、横浜市立大市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科准教授の山川正氏による報告。
山川氏は、同院の外来に通院中の2型糖尿病患者のうち、プラバスタチン(Pr、商品名:メバロチンほか)、ピタバスタチン(Pi、商品名:リバロ)、アトルバスタチン(At、商品名:リピトール)のいずれかを服用している患者を後向きに調査し、投与開始後の耐糖能の変化を調べた。

同氏らはこれまでに、ストロングスタチンに分類されるAtと、マイルドスタチン(スタンダードスタチン)に分類されるPrを比較し、AtがPrに比べて血糖コントロールを悪化させる可能性があることを指摘している(高野達郎、山川正ら. J Atherosclerosis Thrombosis.2006;13:95-100.)。
今回は、このAtの血糖上昇作用が、ほかのストロングスタチンにも認められるかどうかを明らかにするため、検討対象にストロングスタチンのPiを加えて分析した。

調査対象は、2002年4月~2007年2月までにPr10mg、At10mg、Pi1~2mgのいずれかの投与を開始した糖尿病患者。
調査対象期間中に糖尿病薬の内容や投与量に変更があった患者などを除外し、At10mg投与群78人、Pr10mg投与群76人、Pi1~2mg投与群80人について、投与開始後3カ月間での随時血糖、HbA1c、脂質、体重の変化を分析した。

その結果、At群では、3カ月後に随時血糖およびHbA1cが有意に上昇した(随時血糖147mg/dL→177mg/dL、HbA1c6.80%→7.16%〔いずれもP<0.01〕)が、Pi群とPr群では有意な変動は見られなかった。
同じストロングスタチンでも、AtとPiでは、耐糖能に与える影響が異なることが示唆された。
なお、LDL-Cに関しては、すべての群で有意に低下したが、At群では他群に比べて有意に高いLDL-C低下作用を示していた。
このLDL-C低下作用の差について山北氏は、「At群ではマイルドスタチンからの切り替えが多かったのに対し、Pi群は同じストロングスタチンであるAtからの切り替えが多かったため、At群のLDL-C低下作用が高く出たのではないか」と分析していた。


関医院の関勝剛氏
アトルバスタチン投与でHbA1cが5.9%→6.8%
もう1つの発表は、2型糖尿病患者においてAtとPrの影響を比較したもの。
関医院(秋田県能代市)副院長の関勝剛氏が発表した。
同医院に通院中の2型糖尿病患者のうち、At投与患者66人(平均投与期間4.1年)とPr投与患者51人(同8.0年)について、空腹時血糖値、HbA1c、脂質などを投与前後で比較した。

その結果、どちらの薬剤でも脂質管理目標値は達成できていたが、やはりAt投与患者では糖尿病の状態が悪化していた。
具体的には、At投与患者の平均空腹時血糖値は111mg/dL→130mg/dL(p<0.0001)、平均HbA1cは5.9%→6.8%(p<0.0001)であり、Pr投与者では有意は変化はなかった。
関氏は「2年ほど前から、糖尿病患者にアトルバスタチンを投与するとやや血糖コントロールが悪化する印象を持っていたが、今回の分析でそのことを確認できた」と話す。

スタチンが糖代謝に与える影響は不明な部分も多いが、スタチン間で、脂肪細胞による糖の取り込みやβ細胞機能に対する影響に差があるとする基礎研究の結果も報告されている。
山川氏は、「糖尿病患者に高脂血症治療薬を使用する際には、薬剤によって耐糖能に与える影響が異なる可能性がある。
慎重に薬剤を選択するとともに、投与後の血糖値の変化にも注視した方がよい」と話している。

Nikkei Medical 2007.7
版権 日経BP社
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200707/503811.html

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by esnoopy | 2008-02-25 00:10 | 循環器科

糖尿病患者の食事指導におけるアルコールの扱い

糖尿病患者さんの食事指導を行う場合、指導する医師の嗜好が反映されることは禁煙
指導と同様にしばしば経験するところです。
私自身、お酒は決してきらいではありません。
むしろ好きです。
タバコは一切やりません。
したがってアルコールに関する食事指導はついつい甘くなってしまいます。

日本医事新報を見ていたら
 アルコールのエネルギーカロリーをどのように扱うか
           という記事に目がとまりました。
以下、紹介させていただきます。



「1日の総エネルギー摂取量を抑えれば、アルコールを飲んでもよいか」という質問は、
糖尿病食事療法の栄養指導でよく出る質問である。
アルコールは糖から作られるものの、体内ではブドウ糖にならないため、エンプティカロリー
とも呼ばれる。
しかし、アルコールには食欲の増進作用があることから、いくら飲んでも体重に影響がない
とはいえない。
日本糖尿病学会による糖尿病診療ガイドラインでは、アルコールの摂取量の上限を、
エネルギーではなく、アルコール量(1日25g程度を上限の目安)として取り扱っている。
ただし、「スルホニル尿素薬を内服する例では低血糖を引き起こす危険があるばかり
でなく、アルコールを多飲する例では糖尿病の治療に悪影響を及ぼすので、飲酒量を
自分で制限できない例では禁止することが望ましい」としている。
アルコールのエネルギー量は1gあたり7kcalであるが、エネルギー量としてカウント
するよりも、諸外国においてもアルコール量で適量を定めている場合が多い。
例えばアメリカ糖尿病学会では、アルコール15gを1drink(ビール350ml、ワイン150ml、
ウイスキー45ml)としており、食事と一緒に摂取するのであれば、女性は1日1drink、
男性は1日2drinkまでを上限としている。
カナダでは、糖尿病患者のアルコール消費量の限度は、1日のエネルギー摂取量の
5%以下または1日2杯で、いずれにせよ少なめにするように勧めている。
また、アルコールは高血圧の原因となること、中性脂肪を上げやすいこと、つまみからの
塩分およびエネルギーを取りすぎてしまうことなどの弊害に気をつける必要があると考え
られる。
よって、アルコールはエネルギー量よりも重量で換算し、体重・血圧などの管理状況に
よって、つまみの量や塩分に注意する必要があると考えられる。

一方、アルコールが直接血糖値に影響するか、という質問もよく出る。
食品を摂取した後の血糖上昇度合いを示す指標として、glycemic index(GI)という
指標がある。
血糖値は食後に著しく上昇するが、このような食後の血糖値の上昇度合いは、従来は
糖質の量に比例すると考えられてきた。
しかし同じ糖質含有量の食品でも、でんぷんの構造や、調理・加工方法によって、あるいは
他の食品との組み合わせによって血糖上昇の度合いは異なる。

近年、糖質の質的な評価指標としてGIの有効性が注目され、WHO/FAO、オーストラリア
などにおける糖尿病を始めとした生活習慣病の予防・治療のガイドラインにもGIが加えられる
ようになってきた。
WHO/FAOの定義によると、GIとは、糖質50gの検査食摂取後の血糖上昇曲線下面積を、同じ被験者における糖質50gの基準食摂取後の血糖上昇曲線下面積に対する比率で示したものである。

GIに関する研究は欧米が主流であったが、日本人におけるランダム化比較試験による結果
を筆者らが2007年に公表し、GIを用いた栄養教育は、比較的軽度の2型糖尿病および
境界型住民における血糖コントロールの改善に有効であることを明らかにした。
GIは炭水化物を多く含む食品の、よりよい選択肢として利用することが好ましい。
日本人の場合、糖質の摂取源は主食であることから、主食に低GI食品(玄米、麺類など)を
選ぶか、高GI食品(米飯、食パンなど)を摂取する場合には、酢や乳製品など、食後の血糖
上昇を抑える食品を組み合わせることが、食後血糖上昇を抑える食事となる。

一方、アルコール飲料100gあたりに含まれる糖質量は、吟醸酒3.69、ビール3.1g、
焼酎、ウイスキー、ブランデーは0gである。
このように、アルコールはGIを測定することの難しい食品であるため、アルコールを選択
する指標としてGIを用いるのは誤りである。


日本医事新報 No.4357 2007年10月27日

国立保健医療科学院協力研究員  多田由紀先生
神奈川県立保健福祉大学教授   杉山みち子先生

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ジャンセン
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<コメント>
われわれ愛飲家から言わせてもらうと、「アルコールで食欲が出る」という点にはひっかかり
があります。
多分なめる程度の飲酒量では、そうかも知れません。しかしのん兵衛にはその時間は多分ほんのわずかな時間だと思われます。
最近、食後高中性脂肪血症や軽度の尿酸値の上昇も問題となっています。
そういった面からも、アルコールの食事指導の際には患者さんへ説明が要るかも知れません。

血清尿酸値の軽度上昇が脳の白質病変の増加と関連
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-10-22
非空腹時TG値~心血管イベントの指標
http://blog.m3.com/reed/20071019

アルコールよ、君は敵か味方か?
http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kenkou/diabetes_070702.html
アルコールはやっかいな問題
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20020424A/index.htm
アルコールの問題点
http://www.kma.jp/kosino/dm/alcohol.html
アルコールとdiabetes
http://www.somos.co.jp/solution/006.htm
アルコールをよく飲む日本人男性は糖尿病になりやすい
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2005/03/000926.php
食べ物やアルコールについて
http://www.kma.jp/kosino/dm/food_and_alcohol.htm


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by esnoopy | 2007-11-09 00:05 | 糖尿病

降圧療法中に発症する新規の糖尿病

降圧剤がもし糖尿病を誘発するようなことがあればそれはそれで
大問題です。
サイアザイド系利尿薬では以前から問題になっていましたが、
はたして他の薬剤はどうでしょうか。


日本医事新報4336  2007.6.2 の
「海外情報セレクト」コーナー
                 からの紹介です。


降圧療法中に発症する新規の糖尿病
Elliot WJ,et al:lncident diabetes in cIinical
trials of antihypertensive drugs:a network
meta-analysis. Lancet369:201-207,2007.

 
近年、優れた降圧薬が多数開発されたことから、高血圧治療に際し血圧
を低下させることは比較的容易となった。
そのような進歩に伴い、降圧の質が求められるようになり、臓器保護効果
や代謝面への優れた効果が期待できる降圧療法が望まれている。

本研究では、最近注目されている降圧薬の糖代謝への影響、特に降圧
療法中に生じる新規の糖尿病発症率をメタ解析により検討した。
降庄薬の効果に関する大規模臨床試験成績の中から、対象患者数、
試験方法、治療期間、結果の評価等に関して評価できる論文22を抽出し、
メタ解析した。

対象者数は14万3,153名である。
その際、各降圧薬の効果を直接および間接的に比較するネットワークメタ
解析という新しい手法で解析され、サイアザイド系利尿薬による新規の糖
尿病発症率を1として、他の降圧薬による発症率と比較した。
その結果、糖尿病の発症頻度が最も少ないのがARBで0.57、次いでACE
阻害薬0.67、Ca措抗薬0.75、プラセボ0.77,β遮断薬0.90の順であった。

これは、これまでの日常臨床で予測されていた通りで、レニン・アンジオテン
シン(R-A)系抑制薬が他の薬剤より優れており、糖代謝に対して中立とされ
るCa拮抗薬はプラセボと同等であった。
本研究ではARBがACE阻害薬より優れた結果であったが、両薬剤を比較
した研究はなく、間接的な比較であったことから、今後の検討が必要である。

日本で最近発表されたARBとCa措抗薬の比較試験で、ARBではCa
拮抗薬より有意に糖尿病の発症が少ないことが明らかにされており、R-A
系の抑制は糖尿病の発症を抑えることは確かと思われる。
このような新規の糖尿病の発症抑制が、心血管系イベントの発症抑制に
連携しているのか明らかでなく、長期間の観察結果が待たれる。

慶應義塾大学名誉教授・
      済生会中央病院特別顧問
                  猿田享男

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ポール ギアマン 午後の乗馬 リトグラフ
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<コメント1>
ARBがACE阻害薬より優れた結果であったとのことですが、優位差
があったのかどうか。
もしARBが優位ということであれば、ACE阻害薬に対する優位性が咳の
副作用がないということ以外にはなかなかないARBにとっては朗報です。

<コメント2>
ARBのポジションが糖尿病の新規発症を抑制しているのか、新規発症を
誘発するがサイアザイド系利尿薬より少ないだけのことか。
ここのところは是非知りたいところです。
最近発売された降圧剤のプレミネント(ARBと降圧利尿剤の合剤)もしばらく
は慎重に催糖尿病作用がないか注目したいと思います。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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by esnoopy | 2007-10-29 00:49 | 糖尿病

肥満のままで糖尿病を改善へ

肥満のままで糖尿病を改善へ   筑波大がマウス実験
肥満になっても脂肪の質を変化させれば糖尿病になりにくいことを、
筑波大大学院の島野仁准教授(内分泌代謝学)らが動物実験で
突き止めた。米医学誌ネイチャーメディシン(電子版)に発表した。
糖を体内に取り込むインスリンの働きが、肥満や脂肪の増加によって
妨げられるのが糖尿病の原因の一つとされる。
研究チームは、通常のマウスと、脂肪のもとになる脂肪酸の一種
を合成する酵素を遺伝子操作で欠損させたマウスを、体脂肪率
40%まで太らせて脂肪肝にしてみた。
通常のマウスの肝臓ではインスリンの働きを助けるたんぱく質が
減り、働きを妨げるたんぱく質が増加。高血糖など糖尿病につな
がる恐れのある症状が出た。
問題の酵素を欠くマウスは、インスリンの働きが適正体重の時と
ほぼ同じだった。
島野さんによると、この酵素がないと脂肪の質が変化して、
肝臓にたまってもインスリンの働きを妨げずにすむらしい。
運動や食事制限をうまく実行できない糖尿病の患者に対し、
この酵素を邪魔する治療法も考えられる。
島野さんは「ダイエットが難しくても、糖尿病への効果が期待
できそうだ」という。
2007年10月04日12時31分
http://www.asahi.com/life/update/1004/TKY200710040173.html
(ニュースサイトのため将来的にリンクできなくなります。
全文掲載させていただきました。)
<コメント>
他のサイトではこの研究での酵素が「Elovl6」であることが
紹介されていました。

研究グループは、体内で糖から脂肪を作る際、脂肪酸を構成する
炭素分子の鎖を長くする酵素「Elovl6」に着目。遺伝子組み換え
によりこの酵素を欠損させたマウスで実験したところ、肝臓で短い
脂肪酸が増え、脂肪の質が変わった。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710010186.html
ELOVL6 Gene Card
http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=ELOVL6
c0129546_8235491.jpg

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http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g60031559


“肥満により引き起されるインスリン抵抗性における長鎖脂肪酸
伸長酵素Elovl6の重大な役割
http://www.md.tsukuba.ac.jp/clinical-med/endocrinology/research/Research%20FACE%20detail.html
近年、脂肪酸-糖代謝のホメオスタシスに破綻をきたした病態
としてメタボリックシンドロームが注目されています。 
高脂肪食を中心とする食生活の変化や運動不足といった現代
社会を背景として引き起されるこの病態は、糖尿病や虚血性
心疾患の原因となり、そのメカニズムの解明と予防・治療法
の開発は重要です。 
組織内に脂質が過剰に蓄積するような病態がインスリン作用
不全を引き起こすという「脂肪毒性」という概念が提唱される
ようになり、脂肪酸の摂取量や組織における蓄積量(量的変化)
が生活習慣病病態に及ぼす影響に関しては多くの研究が
なされています。 
しかしながら、脂肪酸の組成の変化(質的変化)が生活習慣病
病態に及ぼす影響やそのメカニズムに関しては未だ未解明な
部分が多く残されています。

中略

上述のように、脂肪酸組成の変化がエネルギー代謝の重要な
決定因子であることが明らかになりましたが、その詳細な
メカニズムについては不明な点が多く残されています。 
現在、細胞が脂肪酸組成の変化を感知してエネルギー代謝を
制御するメカニズムと生活習慣病発症のカギを握る脂質
メディエーターの解析を精力的に行っています。
またこの酵素の欠損が高血圧や動脈硬化性疾患にどのような
影響を及ぼすのかについては今後のさらなる解析が必要
となります。 
さらにこの脂肪酸の質的変化は食欲、嗜好性、行動、意欲など
にも影響を与えることがわかり、代謝と脳、行動という新しい
連関についても検討しています。

以上は

肥満により引き起されるインスリン抵抗性における長鎖脂肪酸
伸長酵素Elovl6の重大な役割
http://www.md.tsukuba.ac.jp/clinical-med/endocrinology/research/Research%20FACE%20detail.html

からの引用させていただきました。
中略の部分にElovl6ノックアウト(KO)マウスを用いた研究の
内容が紹介されています。
ここにも今年のノーベル生理医学賞のノックアウトマウスの手法
が用いられています。
肥満のままで本当にいいんならやせれない人に(もし薬剤が開発
されれば)とりあえず薬でもということになりそうですが、
いずれにしても肥満はよくありませんよね。
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by esnoopy | 2007-10-11 07:44 | 糖尿病

体外衝撃波結石破砕術で糖尿病・高血圧が発生?

腎結石の体外衝撃波治療で糖尿病などリスク増大

腎結石の治療では、結石を体外から衝撃波で破砕する「体外衝撃波結石破砕術」がよく用いられるが、この治療法を受けた患者は、他の治療を受けた患者に比べ、その後数十年間での糖尿病発症率が約4倍、高血圧リスクが約50%高いという報告が、医学誌「Journal of Urology」4月号に掲載された。しかし医師らは慎重な姿勢を示している。

この続きは以下をクリックして下さい。
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20060421hj000hj
<コメント>
昨年4月の記事ですからトピックスではありません。
文中では反論もあり、決定的事実ではないみたいです。
日本の施設では安全な治療法として、このことに触れた説明は少なくともサイトでは見当たりません。
もし事実ということでしたら術前に説明する必要があります。
泌尿器の専門医ならこの論文は読んでいるはずですから。
薬害エイズ訴訟の時ように、ESWLを施行したその時点で医学常識だったかどうか、が係争されなければよいのですが、先々ちょっぴり心配です。
個人的には数ミリの尿管結石のために糖尿病や高血圧になって命を縮めるのはまっぴらです。
さて、内科医としてこのESWLのために泌尿器科に紹介する際、わざわざ患者さんにこの可能性について説明するかどうか? 悩むところです。
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http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h54000633

衝撃波治療は循環器領域にも応用されています。

狭心症の衝撃波治療
心臓病に「衝撃波治療」、東北大が臨床試験へ
(これも2005年11月のいささか古い記事で申し訳ありません。結石治療の10分の1程度の弱い出力の衝撃波ということです。まさか「心臓震盪」は起こらないとは思いますが。)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20051105ik01.htm?from=goo


循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 http://blog.m3.com/reed/
一般の方または患者さん向き
「ふくろう医者の診察室」 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopyでとりあげています。
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by esnoopy | 2007-09-15 00:05