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糖尿病治療の相違

「日本内科学会総会2008. 4. 17」の記事で勉強しました。

専門性や経験年数で糖尿病治療はこんなに違う
2型糖尿病の治療では、患者特性とは独立して、医師によって処方内容に違いがあるといわれている。薬物治療を受けている2型糖尿病患者と医師を対象に行った調査の結果、糖尿病の非専門医で経験年数が長いほど、1患者当たりのスルホニル尿素薬(SU薬)の投与量が多く、インスリン治療の導入割合が低いことが分かった。川崎市立川崎病院糖尿病内分泌内科の津村和大氏が、第105回日本内科学会総会で発表した。

調査対象は、同院で2007年4月~7月の間に経口血糖降下薬またはインスリン製剤を処方された全糖尿病患者2597人(年齢64.2±13.1歳、BMIは24.7±4.6、調査時のHbA1c値平均6.8±1.2)と、糖尿病患者を管理している医師32人(糖尿病外来を担当する専門医3人、非専門医29人)。

対象患者のうち、SU薬を処方されている患者の割合は54.3%。α-GI薬は43.5%、メトホルミンは29.9%、インスリンは27.7%、チアゾリジン薬は12.4%、グリニド薬は6.4%だった。

各種経口血糖降下薬とインスリンの投与状況(投与の有無、投与量)に関して、患者の特性(年齢、性別、BMI、合併症、HbA1c値、栄養指導受講歴の有無、腎機能障害の程度など)と、処方する医師の特性(経験年数、専門分野など)の両面から解析し、分析した。

ステップワイズ線形重回帰分析(有意確率5%)により、有意な関係があったものについて考察した。

その結果、患者特性とは独立して、医師の専門が糖尿病以外で、経験年数が長い方が、患者1人当たりのSU薬の投与量が多く、インスリン治療を導入している割合が低かった。

また、メトホルミンの処方状況(投与割合と投与量)について、比較的使用が促進されると思われるBMI25以上を対象に検討したところ、特に用量において、医師が糖尿病の専門性を持つことと経験年数が浅いことが関連していた。「肥満患者に高用量のメトホルミンを積極的に処方するのは、若い医師か糖尿病の専門性を有する医師だった」(津村氏)。

チアゾリジン薬については、糖尿病の専門性を持つ医師で使用頻度が高かったものの、用量には有意な差が見られなかった。

津村氏は、「現在、DPCデータによる診療プロセスのベンチマーキングが行われているが、一見同一疾患でも個々の患者特性を勘案するため、単純な治療内容の比較検討が難しいという問題点がある」と指摘する。そういった観点から「今回の調査では、糖尿病患者の特性とは独立して、医師個人の専門領域や経験年数によって投薬傾向が見られた。あくまで治療プロセスを検討したもので、治療内容の良し悪しなどのアウトカムの評価はこれからの課題だが、今後、糖尿病治療の均てん化のために有用なデータだと考える」(津村氏)と語っている。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200804/506160.html
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<番外編>
名ばかり管理職と是正勧告 滋賀県立病院に労基署 「医師不足が要因」
出典 共同通信社2008.4.23

滋賀県守山市の県立成人病センター(河野幸裕(こうの・ゆきひろ)病院長)で、管理職の医師が、権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」の状態に置かれているとして、大津労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告をしていたことが23日、分かった。

名ばかり管理職をめぐっては、未払い残業代の支払いを求める訴訟や労働審判が相次いでいる。公立病院にも同様の問題があることが明らかになったが、センターを運営する県病院事業庁関係者は「医師不足が要因となっている」と説明している。

大津労基署は内部告発を受け、今月11日、センターに立ち入り調査。同事業庁から事情を聴き、勤務日誌など関係書類を調べた。

この結果、部長以上の管理職の医師で、勤務終了後5?6時間の残業が常態化。月数回の夜間当直では、夜間診療や急患対応に追われ、当直が明けても深夜まで連続勤務する場合も多かったが残業代は支払われていなかった。

さらに一般の医師も同様の勤務状態にあったが、1日8時間の法定労働時間を超える残業をさせる場合、労使協定を結んで労基署に届け出なければならないとの労働基準法の規定も守られていなかった。

同事業庁の谷口日出夫(たにぐち・ひでお)庁長は「勧告を受けたのは誠に遺憾。今後、専門家を交えて協議し早急に対応したい」と話している。

http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=GENERAL&articleId=71765&articleLang=ja
<コメント>
この新聞記事の内容が一事が万事。
医師に時間外手当をきちんとつけさせれば多くの病院は潰れます。
今の医療は医師の、なかばボランティア(時間外無給労働)によって成り立っているのです。
そこんとこ厚労省の方お役人、わかっていますか?

包括医療ならぬ包括給与?
こんなこと労働基準局が認めるわけがありません。
内部告発で告発された病院は一発退場。
すべての病院が日本からなくなります。
まともに医師に給料が払える診療報酬額ではないからです。

日本の医療はこんなきわどい状態なのです。
医療崩壊の音が聞こえます。
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by esnoopy | 2008-04-24 00:05 | 糖尿病

糖尿病と心血管疾患

糖尿病患者が心血管障害の合併が多いことは異論の余地がありません。
きょうの2つの報告も当たり前のような内容かも知れません。
しかし実際に論文になっているわけですから、その深い意味を汲み取らなければなりません。

2型糖尿病の高齢者には心保護薬のみでは不十分
ラバル大学(カナダ・ケベック)薬学部のCaroline Sirois氏らがDiabetes Care(2007; 30: 1880-1882)に発表したところによると,同氏らが実施した66歳以上の 1 万2,150例を対象とした住民対象コホート研究から,新たに治療を受ける 2 型糖尿病の高齢患者では,心保護薬のみでは不十分であることが明らかになった。


今回の研究知見は>「経口血糖降下薬による治療を開始した患者に対する心血管リスク管理は,適切とは言えないことを示唆している」と結論付けている。

経口血糖降下薬の投与開始後,最初の 1 年間に, 1 万2,150例のうち2,649例(21.8%)が抗血小板薬,4,813例(39.6%)が降圧薬,2,562例(21.1%)が脂質異常症治療薬の投与を受けた。
糖尿病治療薬の開始前に,これら 3 系統の薬剤のいずれかによる治療を受けていた患者は除外した。

総合的心保護療法(CCR)を受けていた患者は,882例(7.3%)のみであったことが明らかにされた。
CCRは,糖尿病治療薬投与開始後 1 年以内に降圧薬,脂質異常症治療薬,抗血小板薬のうち 1 剤以上を使用することと定義した。
この定義によると,フォローアップ期間中の異なる時期にこれら 3 剤それぞれの使用が可能だったことになる。


5 人に 1 人は血糖管理が不十分
多変量解析では,3 因子は有意水準で統計学的に有意のままだった。
高齢患者では比較的若年の患者と比べて,CCRを受けていた割合が低かった。
心血管疾患と診断された患者は,CCRを受けていた割合が高かった。


また,2000年,2001年または2002年に糖尿病治療薬の投与を開始した患者は,1998年または99年に開始した患者と比べて,CCRを受けていた割合が高かった。
したがって, CCRを受けているオッズ比は,98年の3.5%から99年には3.8%,2000年には7.3%,2001年には 10.4%,2002年には12.9%に上昇した。
 

今回の研究知見は,糖尿病患者における薬剤の使用は最適でないことを立証した以前の観察研究 3 件の知見を支持している(Klinke JA, et al. Clinical Therapeutics 2004; 26: 439-446,Toth EL, et al. Pharmacotherapy 2003; 23: 659-665,Saaddine JB, et al. Annals of Internal Medicine 2006; 144: 465-474)。 

米疾病管理センター(CDC)慢性疾患予防・健康増進センターのJinan B. Saaddine氏らは,これらの観察研究のなかで最も新しい研究として,糖尿病と診断された18〜75歳の患者を対象とした米国の調査について報告しており,治療法が改善されたにもかかわらず「糖尿病患者の 5 人に 2 人はLDLコレステロール,3 人に 1 人は血圧,5 人に 1 人は血糖の管理が不十分なことが明らかにされた」としている。

家庭医で低い処方率 
同様に,王立自由大学(ロンドン)プライマリケア・人口科学のJonathan R. Emberson氏らは,60〜79歳の男女(8,538例)を対象とした研究により,「糖尿病患者では,糖尿病が認められない患者と比べて冠動脈性心疾患(CHD)リスクを低下させる薬剤の投与を受ける率が高かったが,予防的治療を受けている患者の比率は両群とも低いことがわかった」とHeart(2005; 91: 451-455)に発表した。 
さらに最近,新たに糖尿病と診断された65歳以上の10万5,714例のデータを用いたカナダの住民対象研究から,降圧薬の投与を受けていた患者は 3 分の 2 にすぎず,脂質異常症治療薬の投与を受けていた患者は 4分の 1 にすぎなかったことが明らかにされた。
さらに,この研究から内科医,老年病専門医,内分泌専門医と比べて,家庭医は降圧薬や脂質異常症治療薬の処方率が最も低かったことが明らかにされた(Shah BR, et al. Diabetic Medicine 2006; 23: 1117-1123)。
 
一方,ウェイクフォレスト大学(ノースカロライナ州ウィンストンセーラム)のDavid C. Goff, Jr.博士らはAmerican Journal of Cardiology(2007; 99: S4-S20)に発表した 2 型糖尿病患者を対象とした心血管疾患予防に関する論文で,「 2 型糖尿病患者は人口動態特性が同様である非糖尿病患者と比べて,心血管疾患死亡率が 2 〜 4 倍高い」と指摘している。
 同博士らは「疫学分析から,グリコヘモグロビンが 1 %上昇するごとにCVDリスクは約18%上昇することが示唆された」と述べている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4044381&year=2007
Medical Tribune 2007.11.1
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
糖尿病患者を診療する場合、総合的心保護療法(CCR)を行う必要があるとのことです。
しかし、私自身この「総合的心保護療法(CCR)」という言葉を今まで聞いたことがありません。
それにCCRは何の略(abbreviation) なんでしょうか。
そして「心保護薬のみでは不十分」というタイトルとのつながりもよく理解できませんでした。
しかし、心血管疾患合併の多い糖尿病患者ではそれらの予防を含めた積極的治療介入を行う必要があるという趣旨は理解できました。
要するに血糖の数値だけみていてはいけないということなんでしょう。

糖尿病と心血管疾患
http://www.e-clinician.net/vol39/no408/pdf/sp11_408.pdf
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糖代謝異常で心血管疾患リスクや死亡率が上昇
〔ニューヨーク〕 オーストラリア国際糖尿病研究所(オーストラリア・コールフィールド)のElizabeth L. M. Barr氏らは,血液循環に関する全豪レベルの大規模コホート研究を実施し,糖尿病レベルには至らない高血糖により心血管疾患(CVD)死亡率や全死亡率が上昇するとCirculation(2007; 116: 151-157)に発表した。

CVD予防が必要 
この研究は対象の 1 万428例を5.2年(中央値)にわたり追跡調査したもので,糖尿病と診断されていない場合でも,糖代謝異常と死亡率との間に強い相関が認められることを明らかにしている。
空腹時血糖異常(IFG)やimpaired glucose tolerance(IGT)が認められる患者では,5 年死亡リスクが50~60%高かった。 
耐糖能正常者と比べて,IFG患者の調整ずみ全死亡のハザード比(HR)は1.6〔95%信頼区間(CI)1.0?2.4〕だった。
またIGT患者のHRは1.5(95%CI 1.1?2.0)だった。

これと比べて,糖尿病が既知の患者のHRは2.3(95%CI 1.6?3.2)で,新たに糖尿病と診断された患者のHRは1.3(95%CI 0.9?2.0)であった。 

Barr氏らは「全カテゴリーの糖代謝異常の患者に対してはCVD予防が必要と思われる」と述べている。

対象の 1 万428例中298例が死亡した。
そのうち88例はCVDが死因で,そのうちの65%は既に糖尿病か新規に糖尿病と診断された患者,または試験開始時にIFGまたはIGTが認められた患者であった。

年齢,性のほか一般的なCVD危険因子を調整した後でも,既知の糖尿病(HR 2.6,95%CI 1.4?4.7)だけでなく,IFG(HR 2.5,95%CI 1.2?5.1)も独立したCVD死亡予測因子であった。
対照的にIGT(HR 1.2,95%CI 0.7?2.2)は独立したCVD死亡予測因子ではなくなった。

同氏らは「今回の研究から,IGTは全死亡と関連するだけでなく,IFGも全死亡やCVD死亡の独立した予測因子であることが明らかになった」と述べている。


血糖障害は二次的予防の標的 
Barr氏らは「糖代謝異常は正常な内皮機能を妨げ,アテローム動脈硬化巣の形成を促進し,動脈硬化巣の破裂やそれに続く血栓形成に寄与するため,糖代謝異常により大血管疾患の尤度が上昇することが,実験的研究からも示されている」と説明。
さらに,「高血圧や脂質異常などのCVD危険因子は,糖代謝異常の存在により悪化する可能性がある」としている。

今回の研究とは別に,スカラボリ病院(スウェーデン・スケブデ)内科のM. Bartnik氏らは>「CVDリスクは,正常とみなされるレベルで明らかに血糖値のスペクトルに伴い上昇する」とJournal of Internal Medicine(2007; 262: 145-156)に掲載された高血糖とCVDとの関係についてのレビューで説明している。
このレビューで同氏は,経口耐糖能検査を「冠動脈疾患の全患者を対象とした総リスク評価の一部とすべきだ」と主張し,「血糖障害は一般的で検出が容易であるため,新たな二次的予防努力の適切な標的となりうる」と述べている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4044381&year=2007


Medical Tribune 2007.11.1
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
まずは、「糖代謝異常」という言葉ですが定義はどうなっているのでしょうか。
文中には空腹時血糖異常(IFG)やimpaired glucose tolerance(IGT)と書かれています。
IFGとIGTを分けて検討していることでかえって理解しにくくなっている感もありますが、それとも分けたことが新知見なのでしょうか。

糖代謝異常の病態と管理
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/2006/449.pdf
糖尿病型にも正常型にも含まれないものが境界型となる。
この境界型は,
① 将来糖尿病を発症する可能性が高い,
② 糖尿病性細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害)を来すことはほとんどない,
③ 虚血性心疾患などの動脈硬化症のリスクは糖尿病と変わらない,といった特徴がある。

一方,メタボリックシンドロームにおける耐糖能異常は検診でスクリーニングすることを念頭に設定されており,日本では空腹時血糖値が110mg/dl以上で診断する。

耐糖能障害(IGT):病気ではない?
http://www.id.yamagata-u.ac.jp/LaboratoryMedicine/Japanese/DiabetesCare.html

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by esnoopy | 2008-03-12 00:04 | 糖尿病