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レビー小体型認知症(DLB)

きょうは認知症の中でレビー小体病(DLB)について勉強してみました。

レビー小体病(レビー小体型認知症、dementia with Levy bodies ,DLB)
は一次性認知症ではアルツハイマー病に次いで多い病気です
(一次性認知症の約2割)。
このDLBには種々の病型があり,また老人性変化が混在する通常型とそれを
伴わない純粋型に区別され,臨床診断は容易でなことが少なくありません。

男性は女性より約2倍多いと言われています。
病理学的には大脳皮質の多数の神経細胞内にレビー小体という特殊な
構造物(封入体)が出現します。
レビー小体(Lewy Body)とは、元々は運動障害を主な症状とする
パーキンソン病の脳の中の中脳と言われる部分にたまった異常な構造物
をさす言葉ですが、レビー小体型認知症の患者さんの脳では、これが
認知機能を司る大脳皮質にも広く見られることから命名されました。

パーキンソン病でも病状が進んだ結果、大脳皮質に多数のレビー小体が
出現することがあります。一方、びまん性レビー小体病の患者さんでも、
パーキンソン病の症状が全くなく、別の症状を呈している場合があります。

1.レビー小体型認知症の症状
1)認知障害と精神症状
この病気はもの忘れもあり、一見アルツハイマー病に似ていますが。
特徴的なのは、とても生々しい幻視((天井の模様が虫に見える、
樹木の幹が人に見える)がみえることです。
第日によって症状に変動(良かったり悪かったり)があり、
正常に思えるときと様子がおかしいときが繰返しみられます。
(2)運動機能障害
歩きにくい、動きが遅い、手が不器用になる など、パーキンソン症状
がみられることがあります。
アルツハイマー型認知症の患者さんと比べて転倒の危険が高く、
また、寝たきりにもなりやすいといえます。
(3)自律神経障害
自律神経の障害を伴う点も特徴的です。このため、便秘や尿失禁
が目立ちます。
強い立ちくらみ(起立性低血圧)や頻尿を呈している場合もあります。
起立性低血圧がひどい場合には失神を起こす場合があり、
これが原因で立位歩行が困難な程度になる場合もあります。

2. 治療
レビー小体型認知症の治療は抗精神薬による精神症状のコントロールと
運動症状に対する抗パーキンソン病薬、自律神経障害に対しての血圧
コントロールなどになります。レビー小体型認知症の患者さんでは抗精神薬
への反応が過敏である事があり、少量より時間をかけて試みる事が必要です。
向精神薬は運動症状を悪化させる作用があるものが多く、逆に
抗パーキンソン病薬は精神症状を増悪させる事があるため、薬剤調節は
難しい場合があります。
アルツハイマー型認知症の治療薬が効果的な場合もあり、試みられる
こともあります。

以下引用です。
『DLBではアセチルコリン(ACh)の起始核であるMeynert基底核に
レビー小体が出現し,神経細胞の変性・脱落がADよりも強く,
大脳皮質のACh濃度もADより低いことから,ADの治療薬である
アセチルコリン・エステラーゼ(AChE)阻害薬がADよりも効果的で
あることが想定された。
(途中略)
 ドネペジルのDLBに対する効果の報告が最近増えているが,
まとまった報告はない。
ドネペジル5〜10mg/日をDLB9例に投与し,7例で認知障害が
改善したが,3例でPD症状が悪化したとの報告がある。
リスペリドンとの併用による効果も報告されている。
AD12例,DLB4例にドネペジル5mg/日を投与し,DLBでは
ADよりMMSEが著明に改善したとの報告や,ドネペジルを12週間
用いた9例のうち7例で認知障害が改善したとの報告がある。
ドネペジルが認知障害に効果があった症例報告もされている。
日本神経学会治療ガイドライン
痴呆疾患治療ガイドライン
http://www.neurology-jp.org/guideline/dementia/3_08b.html

適切な治療を受けると見違えるほど元気になる患者さんもおられるので、
専門医に相談することが大切です。
また、この病気で注意が必要なのは、幻覚があるからと安易に神経遮断薬
を使うと、認知症やパーキンソン症状が悪化しやすいことです。
レビー小体病の患者さんの物忘れは、アセチルコリンの低下が関与
しているため、これを増加させる治療を行うと物忘れが改善する点で、
早期に正確に診断することで、治療効果が期待できる疾患ともいえます。


<コメント>
ドネペジル(商品名アリセプト)はレビー小体型認知症(DLB)には
保険適応はありません。


<検査>脳MRIを用いた脳容量測定や脳血流シンチグラム、脳波、
            心臓神経シンチグラム

脳血流検査ではアルツハイマー病に似た特徴(頭頂葉・側頭葉の血流低下)
に加え、視覚に関連の深い後頭葉にも血流低下がみられます。

認知症のよりよい理解のために
http://www.pref.shiga.jp/e/seijin/kakuka/03/files3n/tihou_main.htm

レビー小体病
http://www18.ocn.ne.jp/~utano/pdcenter.files/DLB.htm
診断のための検査
http://www18.ocn.ne.jp/~utano/pdcenter.files/examination.htm
(パーキンソン病やレビー小体病の診断には病気の経過、
診察所見に加え、
MRIやMIBG検査などが参考になります。)
コウノ博士の認知症大講議!
http://www.kyowa.or.jp/info/series_lecture/sl13.html
http://www.kyowa.or.jp/info/series_lecture/lecture.html
http://www.kyowa.or.jp/info/chihou_sodan/index.html(レビー小体認知症の認識の歴史が書かれています。わかりやすく
ユニークな語り口です。)
レビー小体型認知症 【幻覚、特に幻視・錯視が現れる】
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000263.htm
日本神経学会治療ガイドライン
痴呆疾患治療ガイドライン
http://www.neurology-jp.org/guideline/dementia/3_08b.html

レビー小体型認知症(DLB)_c0129546_79929.jpg

横山申生 早春のモンタルジー・フランス M10号 
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h54450283

くどいようですが最後に「まとめ」です。
LBD(lewy body dementia)の3つの特徴
1.アルツハイマーと似た痴呆症状
・時間と場所の認知障害
・気分、態度の変化
・判断力、分別、見識の減少
・独創力、統率力の欠如
・注意力散漫、記憶の混乱
2.パーキンソンに似た症状
・筋肉の収縮
・ゆっくりとした動作、凍ったような姿勢
・バランスの悪さ、ひきづるような足取り
・手足の震え
・猫背の姿勢
・嚥下困難、弱々しい声
・気絶、卒倒
3.その他の典型的な症状
・幻覚(幻視、幻聴、等)
・無反応
・無秩序な態度
・錯乱
・睡眠障害、せん妄
・自律神経の機能障害(便秘、血圧の変動、失禁、性的機能障害)
・日内変動が激しい


びまん性レビー小体病
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%D3%A4%DE%A4%F3%C0%AD%A5%EC%A5%D3%A1%BC%BE%AE%C2%CE%C9%C2


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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by esnoopy | 2007-09-28 00:29 | その他
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