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咳喘息 (その2)2/2

昨日の
咳喘息 (その2)2/2
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-11-20
の続きです。

NIKKEI MEDICAL 2007.11の
「外来で診るやっかいな咳」という特集からです。

喘息との鑑別を念頭に
咳喘息の治療方針は、基本的にはβ2刺激薬などの気管支拡張薬を第1選択とし、
効果が不十分であれば吸入ステロイドを追加ないしは同薬剤に変更するという
もの(図3)。
咳喘息 (その2)2/2_c0129546_21541275.jpg

一部ではあるが咳喘息から喘息への移行が知られていることから、気管支拡張薬
や吸入ステロイドで症状が改善した後も、治療を1カ月程度は継続した方がよい。

実際の薬物選択に当たっては、それぞれの専門医の工夫がある。
「小児喘息の既往があったり、既往はなくても風邪の後に同様の咳を繰り返すという
訴えがあれば、咳優位型の気管支喘息と考える。
その場合は初回から気管支拡張薬と吸入ステロイドの併用を行っている」と田中氏。

咳喘息では「診察時には咳は出ないが夜になると出る」という訴えをよく聞く。
その場合に札幌医大の藤井偉氏は、長時間作用型のβ2刺激薬とともに、夜に使用
するための短時間作用型β2刺激薬を処方している。

また、木原呼吸器アレルギー科クリニック(東京都大田区)院長の木原令夫氏は
「一向に改善しないという患者によくよく聞いてみると、実は正しく吸入できていなかった
というケースがままある。
改善したかどうかだけでなく、きちんと吸入できているかも確認してほしい」と強調する。

なお、どちらも吸入の気管支拡張薬とステロイドを併用している場合、
最近発売されたサルメテロールとフルチカゾンの合剤(アドエア)を使えば1剤で済む。
コンプライアンスの向上が期待できることはメリットだ
が、「喘息を鑑別せずに安易に使うことは避けたい」と山崎内科医院(東京都小金井市)
院長の山崎博臣氏は注意を促す。
喘息ならばそれに応じた患者管理が必要となるためだ。

もっとも、喘息患者を多く診ていない医師には、吸入薬の煩雑な服薬指導がハードル
となる。
これに対して山崎氏は、「β2刺激薬であるプロカテロールの内服または貼付に加えて、
ヒスタミンH1拮抗薬のアゼラスチンで治療を開始、その後1週間ごとに受診してもらい、
症状が改善していれば咳が消失するまで治療を継続する」というプロトコールを提案
する。
アゼラスチンを使うのは、ヒスタミンH1拮抗薬が第1選択となるアトピー咳嗽も念頭に
置いた選択だ。
「吸入薬を使わなくても咳喘息の治療は可能なので、多くの先生方に取り組んで
いただきたい。
ただ、この治療を1カ月間行い改善が見られない場合は喘息など他疾患との鑑別が必
要になるので、専門医に紹介してほしい」 と山崎氏は話す。

詳細な問診で手掛かりを
このような鑑別点に注意を払っても、目の前の患者の咳が、単なる感染後の咳で自然
軽快するのか、感染をきっかけとした咳喘息ないしアトピー咳嗽なのか、副鼻腔気管支
症候群などまったく別の疾患なのか、判断に迷うケースは少なくない。

その場合、藤井氏は、問診による患者の病歴に注目している。
例えば「いつも同じ時期に咳が出る」と言ったり、他にアトピー性皮膚炎や花粉症など
があり、アトピー素因が明らかな場合は、アトピー咳嗽である可能性が高い。
一方、風邪の後で膿性痰があるというなら、副鼻腔気管支症候群がまず疑わしい疾患
となろう(注)。

なお、咳喘息とアトピー咳嗽ともに吸入ステロイドに反応するため、両疾患の鑑別に
迷ったときは同薬剤を最初から使用するという方針も成り立つ。
その場合 喘息も治療に反応してしまうだけに、「吸入ステロイドで改善したが再発した
といった場合は、一度は肺機能検査をすべき」(藤井氏)とのことだ。

(注)
副鼻腔気管支症候群以外に気管支拡張症でも膿性痰と遷延性咳嗽がみられます。

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by esnoopy | 2007-11-21 00:05 | 呼吸器科
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