最近、キノロン系経口抗菌剤で「PK/PD超えて叩く」をキャッチフレーズにした新薬が発売されました。
私自身古い部類の医師になります。 薬理学は少しは学生時代勉強しましたが(当時の教授が結構売れ筋の教科書の著者でした)、臨床薬理学の概念があまりない時代でした。 きょうは(株)SAFEのSAFE-DI「薬効シリーズ」の記事でPK/PDを勉強してみました。 生体内に投与された抗菌薬は、薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)の過程で刻々と変化していくため、臨床における抗菌薬の評価では、抗菌力の他に、薬物動態を考慮することが必要となります。 そこで、抗菌薬の投与計画を立てる際には、薬物動態(PK)の指標と抗菌力(PD)の指標を組み合わせて考えることで、臨床効果の予測や評価を行うことができ、また、副作用や耐性菌発現の抑制が可能になります。 版権 (株)SAFE <参考> TDM、薬物動態関連の専門用語解説 薬物動態(ファーマコキネティックス) 体内動態ともいう。薬物の吸収、分布、代謝、排泄を包括した表現である。「生体が薬物に対して何をするか(What the body does to the drug)」という簡明な説明もされる。TDMの領域では、主に薬物の血液(血漿、血清)中濃度推移を意味することが多い。PKと略記されるが、吸収、分布、代謝、排泄を表すADMEも用いられる。 力学(ファーマコダイナミックス) 薬動力学ともいうが、「ファーマコダイナミックス」の表現が比較的多く用いられるようである。 薬物の作用の観点から、薬物動態と対比させて用いられる。「薬物が生体に対して何をするか(What the drug does to the body)」という簡明な説明もされる。PKに対して、PDと略記される。 PK-PD 以前は「PK/PD」と表記されることが多かったが、英語圏では“/”が“or”の意味で用いられ、誤解を呼ぶ不適切な表記法であることから「PK-PD」と表記されるようになってきている。薬物のPKとPDを関連させて解析することにより、薬物の作用をより理論的・合理的に解釈・説明する方法論を総括的にPK-PDと呼ぶ。PK-PDは、狭義には、個体内の血中濃度の時間変化(PD)と薬理作用の時間変化(PD)をモデル解析により関連付けて解析するものを指す。より広義には、薬物投与による長期的な曝露(Exposure)と臨床反応(Response)の関係(E-R)も含めてPK-PDと呼ぶこともある。 FDAからE-Rに関するガイダンスが出ている。(Exposure-Response Relationships: Study Design, Data Analysis, and Regulatory Applications) 細菌感染症の領域では、PDの指標である起炎菌の薬物感受性(MIC)と薬物動態パラメータを組み合わせ、AUC/MIC比、Cmax/MIC比、T>MICなどの指標をPK-PDパラメータ(PK-PD index)と呼んで用いている。International Society of Anti-Infective PharmacologyはPK-PD用語の標準化を提言している(Standardization of Pharmacokinetic/harmacodynamic(PK/PD)terminology for anti-infective drugs: an update) ピーク値(濃度) 最高濃度(Cmax)ともいう。投与後、吸収過程の大部分が終了し、血漿中濃度が最も高くなった時点の濃度(図1)。臨床効果や副作用との関連で評価が必要な場合があるが、吸収速度が一定しない場合には評価が困難である。 トラフ値(濃度) 最小濃度(Cmin)ともいう。反復投与時の投与直前の血漿(血清)中濃度(図1)。血漿中濃度の経時的推移の中で、変動の小さい時点であるため、血漿中濃度のモニタリングに最も適し評価時点である。 AUC、濃度―時間曲線下面積 「血中濃度-時間曲線下面積」という表現もあるが、「AUC」が広く用いられている。通常、添え字を用いて、AUCの時間範囲を表記する。単回投与後の無限時間までのAUC(AUC0-∞、AUCinf)や反復投与時の1投与間隔のAUC(AUCτ)あるいは24時間のAUC(AUC24h)などが多く用いられるが、non-conpartment解析(NCA)では、最終測定点までのAUC(AUC0-T)も汎用される。Introduction to the Pharmacokinetic Equationsには、AUCをはじめ、多くのPKパラメータの算出式が多数掲載されている。 ベイズ推定(値) TDM、薬物動態の領域では、PPK解析でよく用いられるパラメータの推定方法で、事前確率分布(母集団パラメータ)に加えて、観察値(個体の濃度値)が得られたとき、その観察値に基づく事後確率分布を推定の確信度とし、その個体の最も確からしいパラメータを推定する方法をベイズ推定と呼び、その値をベイズ推定値という。 文中の図は以下のサイトでご確認下さい。 TDM、薬物動態関連の専門用語解説 http://jstdm.umin.jp/yogo/yogo.html
by esnoopy
| 2007-12-21 00:03
| その他
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