第42回日本成人病(生活習慣病)学会の発表で勉強しました。
~ 抗血小板薬服用時の上部消化管出血 ~ 酸分泌抑制薬の併用が発生リスク低減に高い効果 昭和大学藤が丘病院消化器内科の安田宏講師と同院循環器内科の嶽山陽一 教授らは,虚血性心疾患治療における薬剤溶出性ステント(DES)挿入症例で 抗血小板薬を服用した場合の上部消化管出血発生について,日本人でも欧米 での報告とほぼ同等の頻度で認められることを報告するとともに,「酸分泌抑制 薬を併用すると,そのリスクを回避できる可能性がある」と述べた。 リスクは欧米と日本で差ない 虚血性心疾患での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では,血管の再狭窄 防止効果が高いDES使用とそれにより発生が危惧される血栓によるステント閉塞 という重篤な合併症を未然に防ぐため,出血傾向のない患者にはDES留置後 1 年間は複数の抗血小板薬服用が一般的となっている。 一方,高齢者の消化管出血発生は抗血小板薬の有無による影響が大きく,欧米 では抗血小板薬のアスピリンとチエノピリジン誘導体の併用投与患者で年間 4 ~5 %の消化管出血が報告されている。 ただ,日本人では欧米人と比べて胃酸分泌量が少なく,胃潰瘍の原因菌 Helicobacter pylori の感染率が高いことがわかっており,PCI後の抗血小板薬 服用で欧米と同程度の消化管出血頻度が見られるかどうかは必ずしも明らかでは ない。 このため安田講師らは,同院でDES留置後,複数の抗血小板薬を服用し,経過 観察が可能だった198例(血液透析患者,ワルファリン併用者を除く)で,上部 消化管出血の発生頻度と酸分泌抑制薬併用の有無によるリスク軽減効果を調査 した。 198例で判明した抗血小板薬服用状況は,アスピリンとチクロピジンあるいはクロ ピドグレル併用191例,アスピリンとシロスタゾール併用 7 例。 また,121例は酸分泌抑制薬を服用しておらず,49例がプロトンポンプ阻害薬, 28例がH2受容体拮抗薬を服用していた。 経過観察期間中の酸分泌抑制薬非併用群全体での上部消化管出血発生は 6 例で,累積発生率は 1 年4.5%, 2 年7.5%と欧米とほぼ同様の結果が得 られた。 一方,いずれかの酸分泌抑制薬併用例では,上部消化管出血は 1 例も報告 されず,同薬が消化管出血防止に大きな効果があることが示唆された。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4108071&year=2008 Medical Tribune 2008.2.21 版権 メディカル・トリビューン社 <コメント> 要するにPPIとH2RAを併用すると抗血小板薬服用時の上部消化管出血を完璧に予防することが出来るという報告です。 はたしてこの併用療法、基金は通るのでしょうか。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy
| 2008-03-28 00:17
| 消化器科
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