最近、患者さんが「先生のところは鼻からの胃カメラは使ってないんですか」
という質問をしばしばします。 そんな質問をされると「予算がないもんで」とただただうなだれるだけです。 一頃新聞やテレビでしきりに経鼻内視鏡の宣伝をしていました。 ジェネリック薬品もそうですが、患者さんに向かっての宣伝は非常に効果的です。 そんな中、こんな記事が目に留まりました。 ここ数年来,経鼻内視鏡が急速に普及してきた。 その最大のメリットは被験者の負担が軽減した点。 実際,経口内視鏡に拒否反応を示していた被験者も楽に受けられるようになったが,デメリットはないのだろうか。 東京慈恵会医科大学内視鏡科の貝瀬満・准教授に聞いた。 最大のメリットは被験者の負担軽減 経鼻内視鏡と通常の経口内視鏡のメリットとデメリットについて,比較検討を進めている貝瀬准教授は,まず経鼻内視鏡のメリットについて次のように話す。 「経鼻内視鏡に用いる極細径内視鏡の直径は約5mm。これに対し,一般的な経口内視鏡は9~10mmである(写真1)。直径が倍近くなると,面積で4倍ほどの差が出る。つまり経鼻内視鏡は,経口内視鏡の4分の1程度の面積なので,被験者の負担が大幅に軽減できる」 いくら直径が細くても,口から挿入すると嘔吐反射を起こしうるが,鼻から挿入すると患者にとってつらい嘔吐反射を回避できる。 「加えて,経鼻では経口と違い,被験者も話しながら検査を受けられるので,安心できるという精神的なメリットも見逃せない」 このため,これまで経口内視鏡に抵抗のあった人も,食道や胃の内視鏡検査を苦痛なく受けられるようになった福音は大きい。 ただし,こうしたメリットが,逆にデメリットにつながっているともいう。 「直径が細くなった分,経口内視鏡に比べて診断に必要な画質や操作性が犠牲になっていると言える」 デメリットは画質と操作性 もちろん,経口内視鏡も種類によって画質の差は生じるが,貝瀬准教授らは極細径内視鏡と高精細経口内視鏡を用いて診断能を比較検討している。 対象は同科を受診した症例。 文書で同意を得たうえで,同一症例に極細径内視鏡と高精細内視鏡検査を施行した。 挿入経路が異なると正確な比較ができないため,極細径内視鏡も経口で用い,臨床情報を全くブラインドにした異なる医師が極細径と高精細を別々に検査した。 その結果,高精細内視鏡で診断できた早期胃がんや潰瘍瘢痕が,極細径内視鏡では発見できなかったケースが少なくなかった。 「現在,集計中なので詳細は明言できないが,私の印象では2割ほど見落とし例が増える危険性がある。特に,極細径の遠景観察は光量不足から画質が低下して,微細な病変を見逃す可能性を否めない」 メリット・デメリットを理解して使い分けを こうした結果から,貝瀬准教授は経鼻内視鏡のデメリットとして次の2点を挙げている。 経鼻内視鏡は,高精細経口内視鏡に比べて画素数が約9分の1と少ない。 さらに経鼻内視鏡の光量は高精細の約5分の1であり,経鼻内視鏡は微細な病変の診断に必要十分な画質を得にくい。 内視鏡検査は,吸引,送気,鉗子による生検といった一連の操作が必要だが,経鼻内視鏡ではルートが細いので検査に時間を要する。 「確かに経鼻内視鏡のもたらしたメリットは大きいが,こうしたデメリットを理解して用いないと,思いがけない問題が生じるだろう」と注意を促している。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41140761&year=2008[ 出典 Medical Tribune 2008.4.3 版権 メディカル・トリビューン社 ヒロ・ヤマガタ 「ジャズフェスティバル」 http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m55357867 <コメント> 経鼻内視鏡は精度や操作性にかけるという話は初めて知りました。 販売業者を呼んで話を聞いたことがありますが、そんな話は一切ありませんでした。 これからは患者さんには「検査がラクでもガンの見逃しがあっては困るでしょ」といって経口内視鏡でやらせていただくつもりです。 最近は腹腔鏡手術で代表されるようにユーザー(?)フレンドリーな手技が全盛になってきています。 医療技術のスキルアップは益々要求されてきています。 大変です。 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy
| 2008-04-09 00:38
| 消化器科
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