骨粗鬆症の多くはビスホスホネート製剤投与という内科的治療によってなされているのが現状です。
そんな中、ビスホスホネート製剤の長期投与に問題があるということもわかってきました。 長期使用患者に特徴的なX線画像 ビスホスホネート製剤アレンドロネートを長期投与されていた閉経女性で、大腿骨骨折を起こした患者について分析した結果、アレンドロネートの長期投与と非定型の低エネルギー損傷(立位またはそれよりも低い体位からの転倒)による大腿骨骨折の間に関係が存在することが示唆された。 米国Weill Cornell医科大学のBrett A. Lenart氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年3月20日号に掲載された。 ビスホスホネートを用いた骨粗鬆症治療の長期的な安全性に疑問を唱える声がある。 これまでに、2件の症例集積がビスホスホネート長期使用と非定型の低エネルギー損傷による骨折との関係を示唆していた。 骨折した患者の骨生検の結果は、アレンドロネートの長期投与を受けていた患者では骨代謝が著しく抑制されていることを示した。 骨折の治癒には時間を要し、回復が見られないケースもあった。 ビスホスホネートは骨代謝を抑制するため、骨の中に微小なダメージの蓄積を引き起こす可能性はあるが、ビスホスホネート使用者の骨に微小損傷の蓄積が見られるという報告はなかった。 著者らは、ビスホスホネートの長期投与が骨の強度を変えるのではないかと考え、アレンドロネートの長期投与を受けていて、非定型の低エネルギー損傷による骨折を起こした閉経女性15人について分析した。 アレンドロネート投与期間の平均は5.4年。全員が大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折だった。 閉経女性の大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折は比較的まれで、著者らの病院を訪れる骨粗鬆症性大腿骨頸部骨折の女性患者の6%を占めるに過ぎない。 また、低エネルギー損傷による大腿骨転子部または近位骨幹部の骨折で受診した患者の37%はビスホスホネートを使用していたという。 分析の対象となった15人の患者のうち、10人に特徴的なX線画像が見られた。 横方向または斜め(30度以下)の単純な骨折で、皮質骨が壊れていた。 また、近位大腿骨骨幹の皮質が広範に肥厚していた。皮質の肥厚は対側にも見られた。 これらの特徴を示す10人では、アレンドロネート使用期間の平均は7.3年だった。 ところが、X線画像にこうした特徴が見られなかった残りの5人の患者の平均使用期間は2.8年だった(P<0.001)。15人の中に椎骨骨折歴のある患者はいなかった。 なお、骨折治療中にビタミンD、副甲状腺ホルモンレベルと、骨密度の測定を行わなかったため、代謝性骨疾患の有無については不明だ。 「今後、前向き研究などによる確認が必要だが、今回得られたデータは、アレンドロネートの使用と低エネルギー損傷による大腿骨骨折の関係を示唆するエビデンスを追加した」と著者らは述べている。 原題は「Atypical Fractures of the Femoral Diaphysis in Postmenopausal Women Taking Alendronate」。 アレンドロネート長期使用が大腿骨骨折に関与? 長期使用患者に特徴的なX線画像 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200804/506323.html 出典 日経メディカル オンライン 2008. 4. 29 版権 日経BP社 ポール・ギアマン 水彩画5号「バイオリン」 http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s94670525?u=;ginza_kaigakan <参考サイト> 理解を深めよう更年期障害 http://www.page.sannet.ne.jp/yoshiki-s/part2.html 骨粗鬆症 http://minds.jcqhc.or.jp/G0000129_0038.html 大腿骨頚部/転子部骨折 薬物療法は予防に有効か http://minds.jcqhc.or.jp/G0000042_0035.html アレンドロネートの骨折抑制効果(FIT試験) http://fosamac.jp/secure/related_data/fit.html 骨粗鬆症治療薬アレンドロネート http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/web_pressroom/product_information/alendronate.html 骨密度改善効果が10年間持続 骨粗鬆症治療薬アレンドロネートを用いた臨床試験の結果が New England Journal of Medicineに掲載 http://medical.teijin-pharma.co.jp/top/top/WhatsNew/pdf/BNT0404.pdf 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容)
by esnoopy
| 2008-05-08 00:16
| その他
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