PSA集団検診

皆さんもすでにご存知のことと思いますが、昨日の朝刊にかなり
衝撃的な医療関連記事が載っていました。

<前立腺がん>PSA集団検診、勧められない…厚労省研究班

血液を調べる前立腺がん検診の「PSA(前立腺特異抗原)検査」
について、厚生労働省の研究班(主任研究者、浜島ちさと・国立
がんセンター室長)は、市町村や職場での集団検診での実施を
「勧められない」とする指針案をまとめ、東京都内で10日開いた
フォーラムで公表した。
「(検診を受けたことによる)死亡率減少効果の有無を判断する
証拠が不十分」だとしている。
厚労省によると、市町村の4割がPSA検査による集団検診を
実施しており、その実施に影響が出そうだ。
市町村や職場の集団検診は、無症状の健常者を対象に実施
される。
その有効性は、集団全体の死亡率が下がるかどうかで判定される
が、PSA検査では、有効性に関する明確な根拠がなかった。
研究班は、PSA検査と、肛門から指を挿入して前立腺がんの有無
を調べる直腸診の有効性について、85〜06年に発表された国内外
の研究論文約1200本を評価。内容の確かな69本を採用し、
有効性や受診者に生じる不利益などを検討した。
その結果、両検査法はいずれも、死亡率減少効果の有無を判断
する根拠が不十分だと結論付けた。
希望する個人に実施する場合も、効果が不明なことや不利益について
の説明が必要だとした。
これに対し、日本泌尿器科学会は、「PSA検査が普及した米国では
前立腺がんの死亡率が低下傾向にある」などとして厚労省研究班の
指針案に反発。学会独自の検診指針の作成を検討中だ。

<前立腺がん>PSA集団検診、勧められない…厚労省研究班
(毎日新聞9月10日22時2分配信 )
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070910-00000111-mai-soci
(ニュース記事は今後アクセスできなくなるため全文を掲載させて
いただきました。)

前立腺がん検診、泌尿器科学会が推奨する独自指針作成へ

これに対し日本泌尿器科学会側は討論会終了後に記者会見を開き、
50歳以上の男性を対象に、検診でがんを見つける利益と不利益を十分に
説明したうえで希望者に検診を勧める独自の指針を作ることを明らかにした。
現時点で死亡率の減少を証明する信頼性の高い研究がないことを認める
一方で、検診を勧める根拠として、
<1>PSA検診の普及率が75%に上る米国で死亡率が3割低下した
<2>検診受診者に進行がんが減ったことを示す報告が欧州にある
——などを挙げた。
同学会の内藤誠二・九州大教授(泌尿器科学)は「欧米で信頼性の高い
大規模研究が数年後にまとまる予定なのに、推奨しない指針を現時点
で示すことは、検診を実施する市町村の混乱を招く」と話している。
研究班は「がん検診の有効性を死亡率減少の研究論文で判断するのは、
国際的な標準」としており、PSA集団検診を「推奨しない」とする結論は
成案でも変更しない方針だ。
どちらも10月をめどに成案とする予定で、完成すれば、研究班と学会
による正反対の指針が並立する事態になる。
     (読売新聞 2007年9月10日)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070910i315.htm?from=navr
(ニュース記事は今後アクセスできなくなるため掲載させていただきました。
一部省略)

<コメント>
先日、厚労省と日医の関係については書きました。
ttp://wellfrog.exblog.jp/d2007-09-06
今回は厚労省と学会との関係が浮き彫りにされた感じです。
日本泌尿器科学会が完全にコケにされたのです。
日本ではプロがrespectされないとも書きました。
まさしく今回も好例です。

日本には古来根回しという美徳(?)がありました。
今の国のやることはすべて唐突です。
国会の強行採決出は一応議論がありますが、それさえもないのです。
そして方針が間違っていても誰も責任をとりません。役人はもちろん
「研究班」や「諮問委員会」の面々も。

医療の生態系を破壊した「卒後研修制度」

医療行為には医師免許証が必要です。
医療に大きな影響を及ぼす医療行政を取り仕切るには免許は要りません。
しかも医療のプロならびにその集団としての学会には何のコンサルトも
ありません。
かくして医師の医療行政に対する不信感が増幅されm3ブログが栄える(?)
ということになります。

浜島ちさと・国立がんセンター室長はいかなる人物で研究班の構成は
どうなっているのか。
よしんば方針が正しいとしても厚労省のやり口は大いに問題があると
思います。
間違っていれば論外ですが。

c0129546_0421633.jpg

颯田 靖 水彩画「南を想う」
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d77756447

集団検診について
http://www.takeda.co.jp/pharm/jap/seikatu/zg/b3/b3.html
(米国では「年1回PSA検査を受けましょう」といった趣旨の記念切手も
発行され、国をあげて前立腺がんの早期発見に取り組んでいます。)

PSAについて
http://www.takeda.co.jp/pharm/jap/seikatu/zg/b3/b3.html
前立腺がん 多様な選択肢
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/jitsuryoku/0709/list02.htm
前立腺がんの早期発見に優れた検査法
50歳を過ぎたら年に一度はPSA検査を!
http://www.zenritsusen.jp/psa_elearning/index.asp#
(アストラゼネカのサイトです。イラスト音声入でPSA検査の重要性を啓蒙
しています。)

前立腺がんの解説
http://www.mc.pref.osaka.jp/kabetsu-shoukai/hinyouki/setsumei/zenritsusengansetsumei.htm
前立腺がんの基礎知識
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/200/210/several-cancers/iroiro-na-gan-13.html
「前立腺」怖がらないで
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20070628-OYT8T00365.htm
米のPSA検診 役割終える
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20060804ik0a.htm?from=goo
腫瘍マーカー「PSA」の錯覚
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20060721ik06.htm?from=gooPSA検診 有効性に賛否
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20070628-OYT8T00368.htm?from=goo
(以上の4つは同じ先生が書かれています。)
Most Asian Men Have Better Prostate Cancer Survival Rates
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=607251
(アジア人男性は前立腺癌(がん)の予後が良好。アジア系男性は白人に比べ
生存率が高いという。
しかし、南アジア系の男性は黒人や白人よりかえって生存率が低い。
さらに、アジア人男性は診断時の年齢が比較的高く、危険因子の面からみる
とむしろ不利なはずなのに、生存率は高いことがわかった。)

<コメント>
今回の方針は、「PSA」そのものが否定されたわけではなく、あくまでも
「PSA検診」の意義が否定されたということです。
冷静に対処すべきことかも知れません。
<番外コメント>
9月19日朝刊の記事には、また笑ってしまいました。

大学の学部教育の見直しを進めている中央教育審議会(文部科学省
の諮問機関)の小委員会は、学生の能力低下を防ぐため、卒業要件の
厳格化を柱とする報告書案をまとめた。

まさしく茶番。机上の空論。紙上兵を談ず。
畳の上の水練。砂上の楼閣。朝令暮改。
天井から目薬。焼け石に水。杯水車薪。泥棒を捕らえてから縄を綯う(なう)。
渇に臨みて井を穿つ。難に臨んで兵を鋳る。兎を見て犬を顧みる。
亡羊補牢。

諺の勉強が出来ました。

天下国家百年の計はいずこへ。

The Prostate-Specific Antigen (PSA) Test: Questions and Answers
http://www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/Detection/PSA
(H19.9.25に追加しました。)


循環器専門医には
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 http://blog.m3.com/reed/
一般の方または患者さんには
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy           
があります

[PR]
# by esnoopy | 2007-09-12 00:05 | その他

食後高血糖とHbA1c

きょうは
「高血糖が動脈硬化進展に及ぼすリスクはHbA1cでは推定できない」
というテーマを勉強してみました。


糖尿病患者における心血管疾患発症には、食後高血糖の関与が大きいといわ
れています。
したがって食後高血糖の是正は重要課題です。

昔は空腹時血糖で糖尿病患者のコントロールが行われて来ました。
そして食後血糖は糖尿病の早期発見のための手段として臨床的意味をもって
いました。
しかし最近では食後高血糖という病態が、最初に述べた心血管へ影響するという
点から注目されているのです。
つまり今は食後血糖で糖尿病をコントロールする時代になって来たといっても
過言ではありません。

持続的高血糖より血糖の大きな変動が動脈硬化伸展を促すということも言
われて来ています。
この理論からも従来のHbA1cを指標とした治療だけではいけないということに
なります。
グルコーススパイクがある方もない方も同じHbA1c値ということは大いにありうる
わけです。

さて
2型糖尿病患者の動脈硬化性疾患の危険因子は要約すると
1)インスリン抵抗性
2)食後高血糖
の2つといわれています。

したがって薬剤を選択する場合は、HbA1c改善のみを目標とするのではなく、
1)2)の両方をも改善する薬剤が理想です。

疫学研究でも食後高血糖と動脈硬化性疾患との間の強い相関が明白に
なっています。
一方、空腹時血糖と動脈硬化性疾患との間には意外にも有意な関係は認められ
ていません。

つまりHbA1cで血糖コントロールをしているだけではいけないということになるわけです。

<コメント>
食事指導としてはGI値が低い食事、薬剤の選択としては食後過血糖改善剤としての
α-GIや速効型インスリン分泌促進剤(ナテグリニドやミチグリニド)などにより食後の
血糖の上昇(グルコーススパイク)をより強く改善することが必要ということになるの
でしょうか。

<参考記事>
Medical Tribune2007.5.10

<コメント>
ブドウ糖負荷試験のように再現性をもって食後血糖が定量化できるといいのですが。
食後血糖の外来でのチェックを再現性をもってするのは簡単なようで難しいですね。
絶食で患者さんに来院していただいて30分または1時間でブドウ糖負荷をする方法
(名付けて「簡易負荷試験」。血糖以外にインスリンも測定)なんてのはどうでしょうか。
いずれにしろ、食後過血糖を反映する指標の開発が待たれます。

c0129546_0552046.jpg

ポール・アイズピリ ブルーバックの花と鳥 リトグラフ
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s66073837

<番外編>
速効型インスリン分泌促進薬「グルファスト錠」、α-GI製剤との併用を承認申請
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2005/10/001026.php
(グルファスト錠とインスリン抵抗性改善剤「アクトス錠」(一般名:ピオグリタゾン)の
併用療法の効能追加を取得するための臨床試験が新たに始められている。
2005年9月時点)
結局2007年5月24日に効能追加が承認されました。

<コメント>
経口糖尿病剤の併用療法は医学的はもちろん保険請求上でも注意する必要が
ありそうです。
一度自分ながらに整理してみるつもりです。

循環器専門医には
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 http://blog.m3.com/reed/
一般の方または患者さんには
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
                               があります。
[PR]
# by ESNOOPY | 2007-09-11 00:31 | 糖尿病

GIST

1970年以前は平滑筋腫瘍と考えられていて、その後研究が進んだ結果1990年代後半
から診断出来るようになった胃や腸に発生する疾患について勉強しました。
胃がんとされて、手術する患者の2〜3%がGISTともいわれています。

●GIST(消化管間葉系腫瘍)とは    Gastrointestinal Stromal Tumor
消化管の粘膜の下層から発生する粘膜下腫瘍の一種であり、粘膜から発生する癌とは
異なるものです。
粘膜下の腫瘍のため内視鏡では正常の粘膜が持ち上がった状態で観察されます。
現在の定義では、GISTとは主に消化管の粘膜下にある筋層に発生する腫瘍のうち細胞
の分化や増殖に関与するKIT蛋白の異常発現を認めるものとされています。
最近では、その起源は消化管運動のペースメーカー的働きをしているCajal(カハール)
の介在細胞由来であることがわかってきました。
筋層にあるCajalの介在細胞が何らかの原因でKIT蛋白の産生を亢進させ異常増殖してGISTとなるわけです。
発生頻度は、人口100万人あたり20人/年と推定され、50〜60歳代が最も頻度が高く、
その発生部位は、胃が60〜70%、小腸が20〜30%で他に食道(5%)や大腸(5%)に
認めることがあります。
特徴的な症状はなく、腫瘍が大きくなるまではほとんどが無症状です。
ある程度の大きさに成長してようやく出血、腹痛、腫瘤触知の症状を認めます。
疲労感、食欲不振、吐き気、全身倦怠感、体重減少が現れることもあります。

大きな腫瘤となることが多く、10cm以上の腫瘤で発見されることも稀ではありません。
大きさが5cmを超えると肝臓への転移や、腹膜播種の確率が上昇します。

●診断方法
消化管造影検査や内視鏡検査、さらにはCT、MRI検査を行った後、最終的な診断は
組織採取を行いKIT蛋白の発現を免疫組織染色を行って確認することで確定します。

●治療方針
治療の第一選択は完全切除手術。
GISTの診断は、腫瘍組織のKIT蛋白の有無によってなされるため、粘膜下腫瘍として
発見されたときにうまく生検ができず、確定診断が得られない場合が多くみられます。
この場合GISTが腫瘍の大きさによって悪性度が変化する性質を考慮して腫瘍径により
治療方針が決定されています。
腫瘍径が2cm以下の場合は経過観察、2〜5cmの場合は、症状に応じて手術を適応し、
腫瘍径が5cm以上の場合は手術を行います。また術前に内視鏡的生検などでGISTと
診断されれば大きさにかかわらず手術がすすめられます。
切除不能な場合、不完全切除、残存腫瘍や転移病変がある場合は薬物療法(イマチニブ、商品名「グリベック」)が使用されます。
この薬剤は、毎日使うと1年半程度で約半数の患者に耐性が生じます。次に使用する薬剤
として「スニチニブ」が承認申請中です。

●手術方法
腫瘍径が大きい場合(5cm以上)は開腹手術を行い、比較的小さい場合(5cm未満)は
腹腔鏡下手術を行います。GISTは胃癌と異なりリンパ節転移をほぼ認めないため、腫瘍
から0.5〜1cm離した局所切除を主に行っています。

日本癌治療学会では「GIST診療ガイドライン」を作成中とのことです。


GIST研究会
http://www.gist.jp/(GISTのすべてが出ているすごいサイトです。)
GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor:消化管間質腫瘍)について
http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/surg2/GIST.html
GIST
http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/upper-dig/gastdoud/GIST/(慈恵医大上部消化管外科のサイトです。よくまとまっているので今回主として引用
させていただきました。また一部加筆せていただきましたことをお断りいたします。)
代表的な疾患 GIST
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~gisurg/disease/06/index.html
(京大消化器外科のサイトです。)
ノバルティスファーマ
http://www.glivec.jp/medical/index.html(グリベックに関する医療関係者向けサイトです。)
c0129546_6571762.jpg

ブラジリエ CHANTAL AUX GRAJEULS
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n44827040

医学トピックス
<ウエートトレーニングで眼圧が上昇>
ウエートトレーニング中に呼吸を止めることは、眼圧の一時的な上昇を引き起こすこと
がある。
口と鼻を閉じて呼気を行うように加圧して、空気を耳管にに通すバルサルバ中にも、
閉じられた気管で空気が胸部を強く圧迫し、眼圧が上昇することが報告されている。
このことは、咳や嘔吐、管楽器演奏時のほか、ウエートトレーニングの際にも起こる。
眼圧が頻繁に変わるような生活をしている場合、正常眼圧緑内障など特定の緑内障
の発症率が高く、継続的なウエートトレーニングは、緑内障の危険因子となりうる。
出典
Archives of Ophthalmology124;1251:2006
(Medical Tribune2006.11.9で紹介)

<コメント>
あまりキバルのは目によくないってことですね。

循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 http://blog.m3.com/reed/でとりあげています。

他に
ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
があります
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-10 00:58 | 消化器科

PRACTICALについて

昨日はチアゾリジン系薬剤には手厳しい内容の紹介となってしまいました。
今日はピオグリタゾンの有効性と安全性を大規模市販後調査によって検証
したPRACTICAL( PRospective ACTos practICAL experience )につい
て勉強してみました。
PRACTICALは、わが国においてピオグリタゾンを処方されている糖尿病患者
を対象にした治験で、第65回米国糖尿病学会(ADA)にて発表されています。

PRACTICAL
http://www.practical.cardio-diabetes-japan.com/archives/
かいつまんで、まずは結果のみ列記させていただきます。
1)HbA1cは早期より有意に低下し、その効果は投与後18か月後まで持続していた。
2)インスリン分泌能に影響せず抵抗性を改善。非肥満・低インスリンでも有効
3)ピオグリタゾンのより早期での使用の有用性が示唆される。
4)糖尿病に特有の脂質代謝異常も改善
5)副作用好発例のプロファイルも明らかに
                                    といったところです。

さて、肝・胆道系副作用はさておいて浮腫・心不全についての部分のみ引用させていた
だきます。

「浮腫発現については、全体で8.1%(1,865例)であったが、男性(4.2%)よりも女性(12.1%)に おける発現頻度が有意に高く、女性の相対リスクは3倍であった。
心不全発現率は、全体で0.34%(79例)であったが、約60%の47例が重篤な症例
でなかった。
回復しなかった症例は4例あった。心不全発現率は、投与禁忌の心不全合併例で
5.2%と最も高く、 ついで慎重投与例である心疾患合併・既往例が1.3%であった。
心不全合併例では投与しないこと、心疾患合併・既往例では安全性の観点から
低用量の1日15mgから 投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与する
ことが必要である。
また、女性・高齢者でも安全性の観点から15mg/日から投与を開始することが望
ましいと考えられた。」
 
<コメント>   
「心不全発現率は、投与禁忌の心不全合併例で5.2%と最も高く」

心不全合併例の心不全・・・日本語としてわかりにくいです。

浮腫発現の中には心不全例も含まれている可能性があります。
そして心不全はどのように定義づけられているのでしょうか。
治験に参加した先生方は循環器専門の先生は恐らく多くはないことが考えられます。

c0129546_655202.jpg

B・カトラン『ジャクリーンのピンクのシクラメン』リトグラフ
http://page18.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w5271604

塩酸ピオグリタゾン投与中の急激な水分貯留による心不全について
(緊急安全性情報)
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1210/h1005-1_15.html
(「急激な」という表現が気にかかります。)

ピオグリタゾン(アクトス)に「警告」情報の発信を
http://www.yakugai.gr.jp/bulletin/rep.php?id=123
ピオグリタゾン(商品名アクトス)について
http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/akutosu_req_20001010.pdf
ピオグリタゾン(アクトス)は糖尿病治療薬としては不適です
http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/akutosu_q_20001204.pdf

浮腫の発現するしくみは、本剤がインスリン作用を増強し、腎尿細管でNaの再吸収
を亢進させ、循環血漿量を増加させる、と考えられています。この循環血漿量の増加
は、心臓にも影響をおよぼす可能性があります。
(浮腫発現のメカニズムの紹介です。)
アクトス錠による浮腫・心不全
http://www.min-iren.gr.jp/ikei-gakusei/yakugaku/zy1/k02_fukusayou/2006/060501.html
糖尿病治療薬ピオグリタゾンの有用性に疑問(2006.10.20掲載)
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=539

<まとめ>
またもや過激なサイトも紹介してしまいました。
ピオグリタゾンについては却ってよくわからなくなってしまいました。
一度心不全との関連については、ピオグリタゾン投与中のNT-proBNPを測定して
みたいと思います。
出来れば今後は投与前後の比較も。

いずれこのブログで紹介できるといいのですが。


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-07 00:31 | 糖尿病

チアゾリジン誘導体で心不全

チアゾリジン誘導体は組織のインスリンの作用を改善するということでインスリン抵抗性改善薬とも呼ばれています。PPAR-γ作動薬という別名もあります。
周知のように、国内で認可されているチアゾリン系薬剤は国内ではアクトスのみです。
かつてはトログリタゾン(商品名ノスカール)という薬剤がありましたが肝障害のため2000年に発売中止になりました。

以下使用上の注意喚起の報告の紹介です。

糖尿病薬で心不全リスクが2倍に

糖尿病治療薬Avandia(アバンディア、一般名:rosiglitazoneロシグリタゾン、日本国内では未承認)またはアクトス(ピオグリタゾン)のいずれかを使用する患者は、使用しない患者に比べ心不全の発症リスクが2倍であるという報告が、医学誌「Diabetes Care」8月号に掲載された。
Avandiaとアクトスは同じファミリー(チアゾリジン系)に属する薬剤で、米国で300万人を超える糖尿病患者が使用している。
現行のラベル表示では、重度の心不全患者での使用やインスリンとの併用を避けるよう警告されているが、今回の知見によれば、これに該当しない患者にもリスク増大が認められたという。

この報告の前日に発表された米国食品医薬品局(FDA)のレビューチームによる研究では、 Avandiaがアクトスに比べ、心障害をもたらすリスクが大幅に高いとの結果が示された。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、すでにインスリンを使用している患者では特にAvandia によるリスクが大きいのに対して、アクトスとインスリンとの併用には副作用はないとされている。

「Diabetes Care」掲載の研究では、米Wake Forest大学(ノースカロライナ州)医学部のSonal Singh博士らが、 Avandiaまたはアクトスのいずれかを使用する患者7万8,000人以上のデータを収集。
その結果、心不全リスクの倍増が認められたほか、高用量と低用量のどちらでもリスク増大がみられることが判明した。
心不全発症までの平均期間は薬剤の使用開始から24週間。
発症例の25%が60歳未満と、高齢者だけにとどまらず、男女ともにみられることもわかった。
研究グループは、リスク増大の原因は水分貯留によるものではないかと推測しており、現行のガイドラインを改正する必要があると述べている。

今年(2007年)5月には、米クリーブランドクリニック(オハイオ州)のSteven E. Nissen氏が、 Avandiaの使用により心臓発作リスクが43%増大するとの知見を発表しており、今も議論が続けられている。
ニューヨーク・タイムズによると、 Avandiaの製造元グラクソ・スミスクライン社の広報担当Mary Anne Rhyne氏は、FDAのレビューに対し、同薬が安全であるとする同社の見解は変わらないと述べている。
同社のデータではAvandiaによる心血管死の増大は認められておらず、ほかの薬剤との間に心臓発作発症率の差も認められないという。
同社臨床開発責任者のAndy Zambanini博士は、心不全に関する新たな警告表示について現在もFDAと交渉を続けていると語っている。

Nissen氏は、 Avandiaの使用を検討している患者は医師とよく相談すべきだが、このニュースだけを理由に現在使用している薬剤を止めるべきではないとの意見。
米国糖尿病協会(ADA)のLarry Deeb氏は、いずれの薬剤も正しく使用すれば安全であると主張する。
両薬剤による心不全リスクは50人に1人だが、その1人を見極めることができれば、残る49人を安全に治療することができると述べ、心不全や心臓発作のリスク増大がみられるからといって、両薬剤の市販を中止する必要はなく、適切に使用すれば有用な薬剤であるとの見解を示している。
(HealthDay News 7月27日)

(FDA諮問委員会は7月31日開催された委員会で、Avandiaの心疾患リスク増大の可能性は認めたものの、22対1の多数決で同薬の販売継続を承認した。)
http://www.drakahige.com/NEWS/DAILY/2007/2007080604.shtml

<コメント>
チアゾリジン系薬剤による心不全については以前からいわれていることです。
したがってこの論文自体がオリジナリティー性の高いものかどうかは疑問です。
しかし、チアゾリジン系薬剤使用の際への警鐘を鳴らした点は評価できると思います。
国内で、私達がピオグリタゾンを投与開始する際には、胸部レントゲン、心電図、体重、BNPとりわけNT-proBNP(心不全の「診断」として2007年7月より保険適応)が必要と思われます。
そして、従来言われて来た浮腫出現自体を(顕性)心不全とみなせば、発現頻度は少ないとはいえません。
せっかく私達は、血液検査による心不全の定量化というツールを得たのです。
心不全に対するカルベジロールの投与でさえ、BNPなどの心不全マーカーでしっかりチェックされていないのが実情ですから。
個人的にも、各特質を理解してhANPも含めた3者の使い分けが出来るようになりたいと思っています。


その他のチアゾリジン系の副作用関連のサイト

FDAが糖尿病薬アクトスに心不全の黒枠警告を要請、諮問委員会での心毒性検討も表明
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=163
糖尿病の薬で心不全
http://d-inf.org/drug/actos.html
チアゾリジン系薬剤(Thiazolidinediones)
http://www.diabetes.h.u-tokyo.ac.jp/DIABETES/KEYWORD/e01.html
塩酸ピオグリタゾン投与中の急激な水分貯留による心不全について
(緊急安全性情報)
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1210/h1005-1_15.html
「ピオグリタゾン(アクトス)は糖尿病治療薬としては不適です」
http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/akutosu_q_20001204.pdf
(2000年12月の公開質問書ですがその後どのようになったのでしょうか)

ピオグリタゾン(アクトス)に「警告」情報の発信を
http://www.yakugai.gr.jp/bulletin/rep.php?id=123

薬剤反応性調査試行的事業 解析報告書 (概要)ピオグリタゾンhttp://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=ピオグリタゾン&btnG=検索&lr=

結論としては、心不全が起きることを念頭に置きながら、定期的にチェックをしつつ、慎重に投与するということでしょうか。
作用機序からいってもいい面が数多くある薬剤ですから。

c0129546_7433186.jpg


<閑話休題>
今日届いた日医ニュースに「診療報酬改定に関する報道で厚労省等に抗議」と載っていました。

もうお忘れになった方もおみえかもしれませんが、開業医でびっくりされた方は覚えてみえると思います。
それは
「病院での夜間診療を地域の開業医が交代で担う」
「開業の初診・再診料を引き下げる一方で、時間外や訪問診療報酬を、これまでより高くすることも検討する」
などの、改定方針があたかも決定されたかのごとく新聞報道されたことがありました。
それに対する報道の勇み足に対する抗議というわけです。

個人的には日医自体にも多いなる不満があります。
厚労省も、全く日医との連携もありませんしrespectもなければ、決定はいつも青天の霹靂です。そして朝令暮改もしばしばです。
診療標榜科目がいい例です。

結果として厚労省の役人にいいように操られる(あしらわれる)日医やわれわれ医師は一体何なんでしょうか。
厚労省と対立関係ならまだしも隷属関係という印象は拭えません。
協調関係とは間違ってもいえない状況です。

同じくプロ知識集団たる法曹界ではどうなんでしょうか。

テレビの介護のコマーシャルではありませんが
「私たちには未来が見えて来ません」と叫びたいです。

医師会指導層も叙勲をエサにされて骨抜きにされているんじゃないかと勘ぐってしまいます。
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-06 00:33 | 糖尿病

急性虫垂炎の診断


内科医として腹痛、特に急性腹症の患者を診察した場合には外科転科のことが
脳裏を過(よぎ)ります。
しかし「腹痛すなわち外科医」ではないことも当然のことです。
どこかの有名な教授の退官記念講演ではありませんが、我々内科医の急性虫垂炎
の正診率は一体どのくらいなんでしょうか?
見逃して他医に回る場合もあるわけですから正確には判らないはずです。
最近では診断技術の進歩により違うでしょうが、以前は内科から外科に送っても
「カタラーリス」「フレグモーザ」という口頭の返事をいただくだけでした。
なぜか「カタラーリス」という返事が圧倒的に多かったと記憶しています。
「ノルマーリス」という返事は、どういうわけか一度も聞きませんでした。
最近、非典型的な症例を経験したのを機会に復習してみました。


●平均虫垂穿孔は発症後34時間
●RLQに圧痛(Mc Burney)があり、他の部位になければ虫垂炎である可能性は
陽尤度比 {感度/(100−特異度)}が7.3と高い。
●超音波は未熟な検者では何の役にも立たない。
●腹部CTは感度100%近く、迷った時には決定打となる。
● 腹壁を叩くtappingは、急性虫垂炎の腹膜刺激症状を見つけるのに、
Blumberg反跳痛より感度が高い。
● heel drop sign(つま先立ちから踵を落とした時に腹痛出現)は感度95%
と高い。
● 右下腹部に圧痛がないこともある。
●頻度は少ないが念のため内蔵逆位も考慮。
この事についてはhttp://wellfrog.exblog.jp/6725043/を参照
下さい。
●AlvaradoのERパンツL(MANTRELS)
      score(点数)
Elevated temperature 1
Rebound tenderness 2
migration of pain 1
Anorexia 1
Nausea 1
Tenderness of McMurney 1
Shift of WBC count 1
Leukocytosis 2
  
                   7点以上で虫垂炎が疑わしい

Alvarado A:A practical score for the early diagnosis of acute  
appendicitis.
    Ann Emerg Med 15:557,1986

<参考資料>
medicina vol 44 no4 2007


虫垂炎診断
http://intmed.exblog.jp/5914420/

このサイトで紹介されているサイン
Rovsing sign
obturater sign(伸展性の右股部の内旋によるRLQ痛。
obturator internus muscleが伸展して炎症を起こした虫垂を圧迫すること
による徴候)
psoas sign(右股関節の過伸展によるRLQ痛。盲腸後部虫垂や骨盤内虫垂
で有用。感度は低いが特異度は高い。経験不足の外科医よりよほど信用できる。)
c0129546_193433100.jpg


Acute Appendicitis: Review and Update
http://www.aafp.org/afp/991101ap/2027.html
今まで虫垂炎がよくわからなかった内科医として、そのすべてが述べられた
サイトにやっと巡り会えました。
カラフルで奇麗な図で各サインの説明がされています。
症状の頻度、所見の尤度についての説明も科学的でクリアーカットです。


Has Misdiagnosis of Appendicitis Decreased Over Time?
A Population-Based Analysis
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/286/14/1748


c0129546_754192.jpg

ピカソ「アルルカン姿のパウロ」
http://page18.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w11371555

<追記>
腹痛一般に関して
●内蔵痛か体性痛か区別する。
●パンツを下げないと大腿ヘルニアによる腸閉塞を見逃す。
(私も若い女性で苦い経験があります)
循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 http://blog.m3.com/reed/
            でとりあげています。

他に
ふくろう医者の診察室      http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
                                  があります。
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-05 00:49 | 消化器科

大腸憇室症

最近、70代の女性で比較的鮮血に近い下血を起こした症例を経験しました。
腹痛はほとんどなく、実は2回目の下血でした。
(ある疾患で入院中の下血のため、検査を行い診断はすでについています。)
前回は高度の貧血が出たため退院後、当院外来で鉄剤の注射を行いました。
肛門病変がないため、念のため当院でも注腸検査を行いました。
ここで診断はもう思い浮かばれたことと思います。

バリウム検査の結果は全大腸、特に下行結腸、S状結腸に多い多発性大腸憇室
でした。
予想以上の数で、これでは出血も起こるだろうと想像されました。

実は同じような症例を病院に紹介したことがありました。
診察された医師が即座に診断を下し、患者さんには
「大腸憇室による出血です。確認をご希望なら念のため大腸ファイバーをやりましょう」
ということでした。
結果はやはり大腸憇室。
勤務医の診断力に敬意を表した記憶があります。

診断には、下血がある場合は別として内視鏡よりバリウム検査が有効の場合があります。
当院では、盲腸(虫垂炎)と憇室の鑑別が必要な方などには、後日検診の際に胃透視検査
があれば、その数日後に当院を受診するように勧めています。
その際の腹部単純写真で憇室によるバリウムのたまりが写っている場合が結構あるからです。
まことに持って簡単で「二番出し」的な効率のよい診断法です。

虚血性大腸炎などの鑑別もいると思いますが、これについてはまた機会を改めて書かせて
いただきます。
c0129546_7244114.jpg

以下、少しお勉強したことです。


大腸憇室症

単発憇室 diverticulum
多発憇室 diverticulosis

憇室症(diverticular disease)     憇室炎などにより症状のある場合

分類  真性憇室   (粘膜、筋層、漿膜という全層を有する)
     仮性憇室   (筋層を欠き、粘膜が固有筋層を通過して嚢状に突出)
●大腸に発生する憇室のほとんどは仮性憇室
●腸管内圧の上昇により、(腸管壁の抵抗源弱部である)血管が腸壁を貫く部位から粘膜
が漿膜側へ脱出
●欧米では大腸憇室は20〜40%に認められ、加齢とともに増加し、60歳以上では約半数
に認められる。
●我が国でも近年増加傾向にあり、20%を超えて認められるようになった。
加齢とともに増加し、60歳以上では40%を超えて認められるようになってきている。
●憇室の原因は
        1)大腸内圧の上昇
        2)腸管壁の脆弱性


<参考文献>
日本医事新報4349 2007.9.1 P92-93
ハリソン内科学 第16版


大腸けいしつとは・・・
http://daichou.com/div.htm
大腸憩室
http://www.gpro.com/knowledge/d2/d2_05.htm
大腸憩室症
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G31600.html
夫が大腸憩室炎 激痛何度も
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/soudan/20061119ik05.htm
(医療相談)
高齢者に多い大腸憇室炎、それを防ぐのは食物繊維
http://www.yokunaru.co.jp/kaihou/no2-1.pdf#search='
Diverticulosis - Topic Overview
http://www.webmd.com/digestive-disorders/tc/Diverticulosis-Topic-Overview高度直腸狭窄をきたした直腸憩室症の1例
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001351305/en/
Diverticulosis & Diverticulitis
http://gicare.com/pated/ecdgs02.htm

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-04 00:43 | 消化器科

低用量アスピリン

ご存知のようにアスピリンは100年以上使われている古くて新しい薬剤です。
つまり懐(ふところ)の深い薬剤なのです。
周知の心血管系の有効性以外についても新知見が次々に出てきています。
しかし、エビデンスとして確立しているのはあまりないようです。
米国人はアスピリンが好きだそうです。
実は私もこっそり服用しています。
心筋梗塞や脳梗塞の一次予防は出来ないかも知れないと思いながら。

今さらというタイトルですが、今日は少し斜めからみたアスピリンについて考えてみたいと思います。


『最近、アスピリンには、「大腸がん、すい臓がん、前立腺がん、乳がん」といったがんを抑制する効果があることがわかってきました。なかでも、特に、大腸がんの抑制に有効であるという報告が数多くあります。
 また、アスピリンには、がんに対する効果のほかに、「アルツハイマー病」や「パーキンソン病」などを予防する効果や、「抗酸化作用」や「動脈硬化抑制」などの効果があるという報告もあります。 』

注目されるアスピリン効果
https://www.nhk.or.jp/kenkotoday/2001/20031127/index.html 
(2001年のNHKの放送からです。こんな以前から種々の、がん予防効果が言われているようですが、最終的結論はいまだに出ていないようです。)


いま新たに注目されるアスピリンの役割
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0603/1.htm
(「治療学」2006年3月号。あまり新たな知見の紹介はされていない。)



海外でいくつかの大規模臨床試験がおこなわれています。心筋梗塞の再発予防(2次予防)に対する有用性は、ほぼ確立されています。とくに重い症状に対して有効率が高くなっています。アスピリンによるいろいろな臨床試験を集計した研究(メタアナリシス)で、以下のように報告されています
(Antiplatelet Trialists' Collaboration 1994)。

•約2万人の心筋梗塞患者における心筋梗塞の再発について、実薬(アスピリン)と プラセボ(にせ薬)で比較 → 実薬を飲んでいた人の再発は10%、プラセボでは14%。
•約2万人の心筋梗塞既往患者における再発を比較 → 実薬13%、プラセボ17%。
•約1万人の脳卒中患者における再発を比較 →実薬18%、プラセボ22%。
•低危険群3万人の心筋梗塞や脳卒中の発現率の比較では、あまり差はなく、実薬4.4%、プラセボ4.8%。脳卒中に限っては有意差なし(むしろ脳出血が増える傾向)
【備考】
海外の大規模臨床試験で、アスピリンの効果は実証されています。
けれど、必ずしも日本人に当てはまるものではありません。
有効率の高い心筋梗塞はもともと日本人には少なく、逆に脳卒中が多いという民族差があります。
また、脳卒中(梗塞)のなかで日本人に多いラクナ梗塞には、慎重に使用すべきとされています。
厚生省研究班による調査(コホート)では、ラクナ梗塞に対するアスピリンの有効性は認められませんでした。
【飲み合わせ・食べ合わせ】
•ワルファリンなど他の抗血栓薬といっしょに飲むと、出血しやすくなるかもしれません。併用する場合は、用量に注意するなど慎重に用います。そのほか、抗リウマチ薬のメトトレキサート(リウマトレックス)、気分安定薬のリチウム(リーマス)、さらに鎮痛薬や糖尿病の薬、利尿薬、抗けいれん薬、抗うつ薬(SSRI)など多くの薬と相互作用を起こすおそれがあります。
【効能A】
•次の疾患における血栓・塞栓形成の抑制//狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
•冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
【効能B】
川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
【応用】
低用量アスピリン療法として、血栓がかかわる以下のような病気に応用されるかもしれません。
•静脈血栓症。
•ネフローゼ症候群。
•抗リン脂質抗体症候群における習慣流産(不育症)。

低用量アスピリン(おくすり110番)
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se33/se3399007.html
(この内容がアスピリンの現在のすべてを表現しているのかも知れません。特に備考の部分は鋭く書かれています。知らないうちに適応が拡大したようですが、応用の部分は保険適応はないはずです。)

c0129546_8242287.jpg


アスピリン抵抗性という概念 

アスピリンレジスタンスと呼ばれる新しい病態生理が注目されています。
患者によってはアスピリンの抗血小板作用が機能せず、心筋梗塞や心臓血管死、脳卒中などのリスクが増大します。
安定冠疾患(stable coronary disease)患者の5〜10%にアスピリン抵抗性が観察され、特に高齢者や女性、また非喫煙者にその傾向が見られるとの報告もあります。
アスピリンレジスタンスのハイリスク患者には、効果的なトロンボキサン阻害薬の追加が必要とされていますが、こうした場合の有効な薬剤としては現在、米国では硫酸クロピドグレルが挙げられています。 
http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tootake/1989115.html
<コメント>
アスピリン抵抗性の診断はどのように行うのでしょうか?
国内で血小板凝集能のチェックを行っている医療機関はどれだけあるか知りません。
多分ほとんどやってないんではないんでしょうか?
四半世紀前のことですが、勤務医時代にアグリゴメーターでチェックしていたのを思い出します。
解釈は難しかったんですが。
エピネフリン凝集、ATP放出、一次凝集、二次凝集。
妙に懐かしいです。

全血 血小板凝集能測定
http://www.finggal-link.com/product2/doc/IVD/WBA.pdf(あれっ。輸入元は変わっているけど当時の測定機器そのもののような。
変わっていない。)


高齢者における低用量アスピリンの常用に疑問
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20050527hj001hj


低用量アスピリンは認知機能の低下抑制に無効
Low dose aspirin and cognitive function in the women's health
study cognitive cohort
(女性健康研究コホートにおける低用量アスピリンと認知機能の関連)
対象  65歳以上以上の女性6377人
平均9.6年投与
2年おきに3種類の認知機能を電話で調査
(全般的認知機能、言語記憶、カテゴリー流暢性)
カテゴリー流暢性:一定の時間内に特定のカテゴリーに含まれる言葉をどれだけ言えるか
    2007;334:987−990 BMJ KangJH,et al.

アスピリンが大腸がんのリスクを減少
— 初の「前向き研究」による、低用量アスピリンによる予防効果 —
[2002年4月18日 米国ニューハンプシャー州]
http://www.bayer.co.jp/byl/news/pub/news2002-5-16_1.html
アスピリンによる大腸がん予防試験がまもなく開始
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_176.html

結腸直腸癌の長期リスクに対するアスピリン効果
http://www.city-nakatsu.jp/hospital/digest1/digest200705/01_yoshida.pdf

<コメント>
硫酸クロピドグレルなどの高薬価な薬剤とただ同然のアスピリンの処方をどのように使い分けるか。
処方する側は十二分にそれらの薬効の差を理解しているのか。薬価の差とは別に。
また、何を目的に処方しているという確固たる信念(?)とエビデンスはあるのか。
その際、患者さんに両者の説明をして、服用する側に選択させるという方法を考えているか。

長期間服用すべき薬剤だけに、いろいろと考えさせられます。


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed
(循環器科関係の専門的な内容)
[PR]
# by esnoopy | 2007-09-03 01:00 | 循環器科

患者と医師との距離

ある医学雑誌の以下の記事に目が止まりました。
内容を理解していただくのにはある程度の長い引用が必要となります。
1分だけお付き合い願います。

<題名>
患者が亡くなったのと同時に医療従事者の役割は終わるのか?


<記事内容>
緩和ケアについて本誌(2007年2月号:現代の米国事情)でふれた際、
Cureを目指す急性期病院でもCare・Comfortが大切であり、治癒と
緩和を二項対立に考えるべきではない、というパラダイムシフトを紹介した。
今回は患者死後の医療従事者の対応について書きたい。
 
病院ごとに死亡した患者への対応はさまざまかもしれない。筆者自身調
査したわけではないが、スタッフが病院の霊安室で焼香したり、遺体が病
院から出るのをお見送りすることが多いだろう。
しかし葬儀に参列したり、お悔やみの手紙などを出すことは少ないのでは
ないだろうか。
19世紀米国では医師が遺族にお悔やみの手紙を書く習慣があったそうだ
(The Doctor’s Letter of condolence. Bedell et al.
New Engl J Med2001;344:1162~1164)。
ところが最近のある調査によれば、お悔やみのカードや花を贈ったり、葬儀
に出席するのは医師でわずか10%であるという。
医師の対応がこのように変化した背景には、「日常診療で忙しい」とか、「患
者のことをよく知っていたわけではない」と感じる場合や「患者を失った敗北
感」があるのかもしれない。
患者の死後に遺族とコンタクトを持つことは、医療従事者としての一線を越
えてプライバシーの領域まで踏み込んでいることになる、という意見もあろう。
また、たとえお悔やみの気持ちを表現したくても「なんと声をかけてよいか分
からない」という心情もあるのではないだろうか。
実際、遺族へのケアの仕方を習う機会は少ない。

(途中省略)

お悔やみの手紙の書き方をアドバイスする記事が2007年4月号のChest
に掲載された(A Dying Art?,The Doctor’s Letterof  Condolence.
Kane GC. Chest 2007;131:1245~1247)。
手短で十分であり、手書きで真蟄に気持ちを表現する。
故人についての具体的な性格や特徴,事例に触れ、家族らの献身的看病に
言及する。
トラブルを避けるために、あまり医学的な事項に立ち入らないことも重要だそ
うだ。
タイミングも難しい。
亡くなった直後は葬儀などで忙しすぎるかもしれない。
ある先生は四十九日が過ぎてから焼香に行くという。
あまり時間がたち過ぎると「いまさら遅い」と思われるかもしれない。剖検をさせ
ていただいた場合には、最終結果報告が完成するまで時間がかかることもある。
千葉県の亀田総合病院にはチャプレンが勤務しており、関与した患者の家族に
"Sympathy Card"を送っている。
家族から感謝されることが多いという。
19世紀の米国の医師はその土地の名士として葬儀に参列することも不自然で
はなかったのかもしれない。
しかし医療機関が専門技術を結集した施設になるにつれ、医師や医療機関と地
域住民との距離感も離れてしまったのかもしれない。
患者が生きているうちに、きちんと診断・治療することが重要であることは間違い
ないが、残された家族への関与のあり方は考えてもよいかもしれない。
読者のご意見を伺いたい。

      (手稲渓仁会病院総合内科・金城紀与史)

August2007 VoI3. No8 MMJ  675


ここまで読んでいただいてどのような感想を持たれたでしょうか?
また書かれた金城先生は実際はどのようにしてみえるのでしょうか?
この中では触れられていません。

実際には日々の忙しい診療の中、そんなこと考えたこともないという方も
多いと思います。

「読者のご意見を伺いたい。」ということですから、少し思ったことを書かせ
ていただきます。

1)患者との距離もあり一律には論じられない。
  医師も人間である限り、診療は公平を期しても、それとは異なるz(公平)
  とはいえない感情もあり得る。
2)この距離感は医師の性格、考え方や人生観も関係して来る。
3)勤務医と開業医とでは当然対応は違う。
4)一期一会の救急医療と、慢性疾患で入退院を繰り返して人間的関係が
  形成されている場合とでは明らかに違う。
  すなわち、診療科目で既に違ってくる。
5)自然に湧いた感情にゆだねるべきことで組織的に強制されるべきもので
  はない。
6)手紙を書くことでさえ、過度な行為と考えられて好意が仇となって医療訴訟
  につながるケースが逆に起こるかも知れない。
c0129546_8151951.jpg

ブラジリエ 【村】リト 1980年 
http://page13.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/r39877803

個人的な体験を少し述べます。
随分昔の話で恐縮です。
卒後3年目ぐらいで、ある病院のある科にローテートしました。
部長はとことん患者のすべてに入り込むタイプ。
その科の医長は私にその部長の接し方に対して、「医師はある程度の患者との
距離感が必要と思う。」と言われました。
その時には、確かにそうだと思いました。
そして齢を重ねた今もその考えは変わっていません。

また卒後10年で出会った上司は同じように患者さんと家族ぐるみの付き合いや
ゴルフ、飲食をするタイプ。
病院長就任の際には、患者さんにこんなことをして貰いました

この先は省略します。

結論として、自分の気持ちに正直に行動すればよい、ということでしょうか。
亀田総合病院のような第3者的なチャプレンが送るというアイデアは素晴
らしいと思いました。
個人名ではなく組織名で出すならば私も抵抗ありません。

投稿に書かれた重い内容は忘れないようにしたいと思います。

<追記>
病理解剖については、勤務医の際、常に心にひっかかっていたことがあり
ます。
文中にあるように病理の結果報告を遺族にする必要があるんじゃないかと
思いながら葛藤していたことです。
勤務医の皆さんは、解剖後病理の結果を遺族に報告してみえますか?

読んでいただいて有難うございました。


[PR]
# by esnoopy | 2007-08-31 07:04 | その他

微熱とストレス

ある日のこと。
20代の女性会社員が、微熱が続き倦怠感があるということで来院されました。
とりあえず胸部レントゲンと血液検査(血算,CRPや血沈など)をオーダーし、
つらかったら解熱剤を服用するように指導して帰っていただきました。
微熱が続いて最初の検査で異常がなかったら自己免疫疾患の検査も考えると
言う言葉を付け加えて。
かえり際にHIV検査も保健所でやったとのこと。
ごく普通の若い女性にみえるのに、と少しひっかかりがありました。
後日結果を聞きに再度来院されました。
検査結果は炎症反応も含めて一切異常はありません。
微熱の原因についての説明の言葉を探していると、突然涙ぐんだ表情になり
ました。
どうやらメンタルクリニックで精神安定剤やSSRIを投与されていたとのこと。
薬剤の副作用が出て、怖くて内服を勝手に止めて、その後通院をしていない
とことがが判明しました。

結果的には精神面での微熱だったようです。

さてこれからの治療。内科の当院ではどうすればいいのか?



慢性的なストレス状況で生じる微熱の病態と治療:塩酸パロキセチンの有用性を検討
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_416.htm

うつばんネット
http://www.utuban.net/
鬱度チェック
http://www.lonely.to/utuchk.html

c0129546_23205736.jpg


<診察室>
70代の糖尿病、心房細動、心不全を合併している患者さんに次のような投薬をしています。

バイアスピリン、ラニラピッド、アマリール(1mg)、ワーファリン(1mg)、ラシックス(20mg)各1錠。

どれをとってもこの方には必要な薬剤で神経を使いながら処方しています。

たまたまレセをチェックしている際に保険点数をみてびっくり。
何と1日あたりたったの6点なのです。
間違いではないかと目をこすりました。
頭を使う処方なのに全く馬鹿らしいことです。

安い薬ほどよく効く。高くても効かない薬もある。
これはまさしく好例です。

100の薬を自家薬籠中の薬として使いこなす。
これが理想かも知れません。


高薬価の新薬にすぐに飛びつくのも考えものですよね。

内科医の薬100
http://www.amazon.co.jp/%E5%86%85%E7%A7%91%E5%8C%BB%E3%81%AE%E8%96%AC-100-%E6%94%B9%E8%A8%822%E7%89%88-%E5%8C%97%E5%8E%9F-%E5%85%89%E5%A4%AB/dp/4260109375

内科医のための薬の禁忌100
http://www.amazon.co.jp/%E5%86%85%E7%A7%91%E5%8C%BB%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E8%96%AC%E3%81%AE%E7%A6%81%E5%BF%8C100-%E5%AF%8C%E9%87%8E-%E5%BA%B7%E6%97%A5%E5%B7%B1/dp/4260106708



<メディカルニュース>
ケンツメディコ(スズケン子会社、埼玉県本庄市)
日本初!睡眠時無呼吸症候群を無拘束に検査できる医療機器
「スリープレコーダSD-101」を新発売http://www.suzuken.co.jp/company/news/2007/07-08-22.html

グッドマン、心臓血管の診断装置・最新型を日米で販売へ
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070828c3d2802828.html
装置の名称は「光学干渉断層撮影(OCT)機器」。
すでに欧州やブラジル、中国や韓国では発売済みで、今秋にも日米で薬事承認を取得、発売する計画。

名大発ベンチャー、肺腺がんの再発予測
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070824c3d2402r24.html
遺伝子情報を伝える「メッセンジャーRNA」をがん手術経験者の細胞から抽出し診断する手法で、個人ごとの再発リスクを検査できる。
乳がんについては個人ごとの再発リスクを検査するサービスがあるが、肺腺がんでの同種のサービス実用化は世界で初めてという。


循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 
http://blog.m3.com/reed/          でとりあげています。

他に
ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy      があります。
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-30 01:00 | メンタルケア

製薬メーカーはどこを向いているのか

長期投与の処方が多くのなり30日投与のケースが増えています。
中には28日投薬の先生もおみえになるかと思います。
最近になってやっと気づいたことがあります。
それは28日投薬より30日投薬の方が10錠単位のヒートの場合に患者さん
に奇麗な形(28日処方の際にはハサミをいれる必要あり)でおくすりが渡せる
ということです。
当たり前といえば当たり前のこと。笑われそうな話ですいません。

ウイークリーに統一すれば、28日処方がいいのかも知れませんが
実際は両方そろっているとは限りません。
むしろ10錠ヒートはあるが14錠ヒートはないといった薬剤が多いのではない
でしょうか。

そこで本題です。

認知症の薬剤を出しているある製薬メーカーがあります。
皆さんすでにお気づきのことと思いますが、その薬剤は10錠ヒートがなく
14錠ヒートしかないのです。
高齢者の場合、他の薬剤の併用が多いため30日投薬で処方するには非常に
使いにくい包装といわざるを得ません。

そして使用開始の1〜2週間服用するための用量の薬剤もPTP14T×2、つまり
28錠包装しかないのです(最近14T×1が出たという情報をききましたが、この
情報もMRからではありません。知らなければずーっと28錠包装の注文が続い
ていたわけです)。
そんなに新患の認知症の患者があるわけでもないし、院内処方の当院としては
10錠または、それこそ7錠の包装がほしいところです。
なぜならこの薬剤はかなりの高薬価だからです。

ついでに言わせてもらうならば「初期用量は有効用量ではなく、消化器系副作用
の発現を抑える目的なので、1〜2週間を超えて使用しないこと。」となっています。
効かないといいながら初期用量に高薬価がついています。
これも不思議なことです。
余分なことを言いました。

MRの話では、10錠包装の要望があちこちからあがっているということは
再三本社に報告しているとのこと。
まさか一手販売ということで動かないのかなと勘ぐってしまいます。
このことは半分正鵠を得ているとも思っていますが。

口腔内崩壊錠の流行も不思議です。
単独で服用することの多い疾患では便利と思います。
しかし多剤服用するような生活習慣病の患者さんにはあまり評判がよくありません。
溶けない薬剤と一緒に服用すると、何か「すかされた」ような感じがするようです。
そして何より薬剤によっては、包装が厳重で使用期限も短い場合があります。

薬剤のユーザーは元来は患者さんです。
しかし医療機関も薬剤の消費税を払わさられている点ではユーザーといって
いいかも知れません。
(受益者負担が原則の消費税がどうして相も変わらず医療機関が支払っているのか)

ユーザーフレンドリーであって欲しいものです。

c0129546_2347193.jpg

石垣定哉 『アラゴンの村』 12号
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h53095703


昨日トモセラピーの話題をアップしました。
アップ後、(土曜日に外泊をしていたので)2日遅れで日曜日の朝日新聞朝刊
(2007.8.26)を何気なく読んでいました。
思わず目に止まった記事があったんです。

医療特集『がんの患部 狙い撃ち 放射線治療の新機器「トモセラピー」』です。

知らぬは亭主ばかりなり(当事者だけが知らずに平気でいること)。

何とも恥ずかしい限りです。もうすでに世間の一般常識だったんですね。

以下、新聞記事より平成19年8月26日時点での最新情報として少し追加させて
いただきます。

導入されている医療機関は、昨日の5医療機関に加えて日高病院(高崎市)、
江戸川病院(東京都)、済生会熊本病院(熊本市)の計8カ所。

●入院の必要がない。
●熱も痛みも感じない。
●がんに正確に放射線を当てられる画期的な装置(東大放射線科、中川准教授)
●欠点は治療に日数がかかること。
●緩和医療にも活用できる。
●1台約5億円。
●公的医療保険の枠内で治療できる場合が多い。
(一部の医療機関では先進医療として患者が別枠の料金を負担するところもある)

また昨日入手の週刊朝日9月7日号の「病院特集」でもトモセラピーの紹介があり、ある病院では2台目が稼働しているとのことです。


循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 
http://blog.m3.com/reed/
でとりあげています。

他に
ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
があります。
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-29 01:00 | その他

トモセラピー

C型肝炎である病院へ通院中で、当院ではSNMC(強力ネオミノファーゲンC)のみを行っている方のお話です。
HCCを合併したため肝切除術う受けるためその病院に入院されました。
結果的には肝硬変(非代償期)で、肝機能が悪いため手術は出来ないといわれ、そのまま退院となったそうです。

その方は、自分でいろいろ調べられて「トモセラピー」という治療法に興味を示されました。

私自身、がん治療は専門ではないため(恥ずかしながら)初耳でした。
ご存知の方も多いかとも思いましたが、少し調べてみましたので書かせていただきます。

トモセラピーとは

要約すると
●エックス線を使った画像撮影装置と放射線照射装置を一体化させた機器(撮影と治療が同時に出来る)。
●コンピューター断層撮影と、病巣を狙い撃ちする放射線治療の機能を併せ持つ。
●米国の医療機器メーカーが2003年に開発した。
●複数のがん病巣の治療が一度に出来る。
  
ということになるのでしょうか。以下のサイトを参照下さい。

c0129546_7221899.jpg

放射線治療「トモセラピー」
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20061110ik0b.htm

最新鋭のガン放射線治療システム・Tomo Therapy(トモセラピートモセラピー)
http://www.hokuto7.or.jp/flashmovie/flash-tomo/tomotherapy.html

トモセラピー
http://www.hokuto7.or.jp/equipment/tomo/tomo.html

愛知県がんセンター/中央病院/トモセラピー
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/500/560/tomotherapy.html

トモセラピー放射線がん治療 武田病院グループ宇治武田病院
http://www.ujitakeda-tomotherapy.org/

最先端がん治療装置 『トモセラピー』
http://www1.ntv.co.jp/zero/weekly-blog/2007/08/post_108.html

治療対象となる疾患としては複雑な解剖を有する頭頚部がん、直腸・膀胱を避けて照射する必要のある前立腺がん、脳転移例などです。
国内で導入した病院はまだ5か所(2006年11月現在)とのこと。

北斗病院 
日高病院 
木沢記念病院 
名古屋第二赤十字病院
愛知県がんセンター中央病院 

しかし、その後に導入病院が増えているようです。
いつものことながら日本での最新鋭医療機器の普及はきわめて迅速でかつ必要十分(ないしはそれ以上)ですね。

がん治療に関して患者さんから相談を受けることは結構あること思います。
もしこの治療法が素晴らしいものであれば、意見を求められた際には選択肢の一つとして紹介する必要があります。
普及してしまえば、その必要はなくなるかも知れませんが。

適応は広いようですが、特に有効な症例や実際の効果について開業医も勉強しておく必要がありそうです。



循環器系の話題は
「葦の髄から循環器の世界をのぞく」 
http://blog.m3.com/reed/
でとりあげています。

他に
ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
があります。

[PR]
# by esnoopy | 2007-08-28 00:10 | がん治療

滅びゆく治療法?

ごく最近のことです。

ある疾患慢性疾患で当院へ通院中の方が定期の診察のために来院
されました。
ご本人から次のような話がありました。
ある時、突然に片方の耳が聴こえにくくなって、ある大学病院を受診したとのことでした。
突発性難聴との診断で即刻入院したけど全くよくならなかったとのこと。

この難病には高気圧酸素治療がある程度効果があるという知識が当方にありました。その場で別の、この施設のある別の大学病院を受診してみるように勧めました。

1か月後、当院へ診察を受けに見えました。
ご本人にお聞きするとその大学病院では、最近になって高気圧酸素治療は取りやめたといわれたとのことでした。

この近辺では、この治療を行っている施設はないとも言われたようです。
この大学では、高気圧酸素療法専門の教授も一時期みえました。
結局は、この療法は効果がないという結論になったのでしょうか?
きっと学会もあっただろうし今でもあるんじゃないかと思うんですが。
それとも保険点数がペイしなくなってしまったんでしょうか?

新しい治療法の登場の影には滅び行く治療法があるんだということを実感した次第です。


高気圧酸素治療のご紹介
http://akita-noken.go.jp/orientation/facilities/ohp/

高圧酸素法
ttp://suuchan.net/note/Chapter-060402.html

高気圧酸素療法
http://www.jiss.naash.go.jp/column/saizensen_17.html

高気圧酸素療法
http://merckmanual.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?url=21/s292.html



突発性難聴
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/084.htm
(「難病情報センター」のサイトです)

c0129546_922473.jpg


製薬メーカーの広告の大血管の位置関係の間違いをメーカーに指摘した話をこのブログで最近話させていただきました。

「右と左」
http://wellfrog.exblog.jp/6725043/


最近届いたMedical Tribune8月23日号では相変わらずその広告がでていました。
当方の意見を取り入れて、早急に広告を取り消すということだったのですが。
誤った内容に無神経な企業体質ということがわかりました。
今までその薬剤(降圧剤)を処方していましたが、抗議の意味も含めて今後、他の薬剤に切り替えていきます。
もともとあまり相性のよくなかったメーカーだったんですが。
皆さんはメーカーとの相性ってありませんか?


他にもブログがあります。

ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy

葦の髄から循環器の世界をのぞく 
(循環器科関係の専門的な内容)
http://blog.m3.com/reed/

[PR]
# by esnoopy | 2007-08-27 07:38 | その他

遅ればせながら「喘息予防・管理ガイドライン2006」について

気管支喘息の患者さんは結構いると思いますが、当院のような無床診療所でかつ呼吸器科が専門でない場合には定期通院という方は見えません。
季節性に発症、増悪するケースがほとんどで調子の悪い時のみ来院されます。
それはそれでいいんじゃないかと考えています。通年性の重症患者は入院施設のある病院に通院してガイドラインに沿った治療を受けている訳ですから。
これは決して気管支喘息を侮っているわけではなく、ある程度の臨床経験の間に喘息死に立ち会ったこともありますし、死にいたる怖い病(やまい)であることも重々承知しているつもりです。
さて、このような医療環境の中でコントローラーとリリーバーとの使い分けが一番苦慮するところです。
患者さんはどうしてもリリーバーに頼ろうとします。多くはステップ1(軽症間欠型)のさらに年数回の発作のみのごく軽症の方がほとんどdからです。
今や主流(メインストリーム)となった感のある吸入ステロイド剤は分類としてはコントローラーのわけです。

最近コントローラーとリリーバーが一緒になった吸入剤が手にはいるようになりました(フルチカゾンとサルメテロールの合剤)。
ものぐさな私のような医師にはピッタしの吸入剤です。患者さんもものぐさな方もいると思いますし。

但し漫然と処方することだけは戒めようと思っています。

c0129546_22315877.jpg

平山郁夫 肉筆水彩画 『蘇州運河』
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c155166417

ガイドラインをザーッと読みましたが、開業医にとっては何だかピンと来ない感じというのが率直な感想です。(まあ概略分かっていることかなってこともありますが)

喘息予防治療ガイドライン2006
http://glaxosmithkline.co.jp/medical/excl/asthma/useful/guideline/2006_1.html

ガイドライン
http://glaxosmithkline.co.jp/medical/excl/asthma/useful/guideline/index.html
(GSKのサイト)


内科開業医のお勉強日記
http://intmed.exblog.jp/3703779
(いつもするどいコメント。勉強させていただいてます)

相乗効果も期待できる喘息用配合剤
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200705/503237.html


他にもブログがあります。

ふくろう医者の診察室 
(一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy

葦の髄から循環器の世界をのぞく 
(循環器科関係の専門的な内容)
http://blog.m3.com/reed/

[PR]
# by esnoopy | 2007-08-24 01:00 | 呼吸器科

逆流性食道炎(GERD)

いまさらのことですが逆流性食道炎(GERD)のお勉強とおさらいをしてみました。

今はGERD よりNERDが旬かも知れません。今回はTLESRという概念を覚えました。

実地医療では、PPIや消化管運動機能改善薬を用いても十分コントロール出来ないGERDによく遭遇して頭をかかえることもしばしばです。




GERDの発症機序と治療

http://dsp.m3.com/ck9a4398150d8075e7d104b23e406f8bc20b1ace8b6c1b6055eae0a7206695efd91e2f07d2c8882081f1c1308e520f67a7dd451da38af7ab8fdf38dae453c88029888/contents/english_channel/04/index.html

GERDとは
 胃散、ペプシン、胆汁酸などが食道へ逆流することによって、起こる症候群

●食道への酸の逆流は生理現象のひとつ。
●過剰になると、胸焼けやゲップ、胸痛などの辛い症状が発生し、食道粘膜の炎症が
 起きる。
●内視鏡的な食道炎の有無にかかわらず、胸焼けが週2回以上出現していれば
 GERDと定義される。



TLESR(transient lower esophageal sphincter relaxation)とは
    ( transient LES relaxationと覚えると理解しやすい)

食道裂孔ヘルニアなどでLES 圧が低下したり、胃排出の遅延で胃内物残留による胃壁の進展刺激が生じると、このTLESRを起こす。  
胃内の胃壁などが伸展刺激を受けた時に、迷走神経を介して反射的に下部食道括約筋
(LES)が一過性に弛緩する反応
     (ゲップが出る時のメカニズムと同じ)

     
GERDの成因として、このTLESRというメカニズムが考えられる。
   
TLESRは次の場合に起こり易い               
     食道裂孔ヘルニア
     胃排出の遅延で胃内物残留による胃壁の伸展刺激が生じた場合
     暴飲暴食などで一過性にLES圧の機能低下が起きた場合

さらに食道の蠕動などの運動機能が障害されていると、酸クリアランスが低下し、食道が障害を受ける。
胃十二指腸逆流、外科手術による逆流防止機構の破壊などもGERDの発生要因になる。
その他
唾液分泌の低下、ヘリコバクターピロリの除菌、肥満や過食、睡眠時務呼吸、カルシウム拮抗薬やα遮断薬の服用、飲酒や喫煙などが原因になることがある。


治療は、食生活の指導と薬物療法
1)食生活
  ●1回の食事量を少なくする
  ●就寝前2時間の摂食をやめる
  ●LES圧を低下させる脂肪食、アルコール、チョコレートの摂取を控える
  ●胃散分泌を促進させるコーヒーや紅茶などカフェインを含むものを控える
   
2)薬物療法
   ●プロトンポンプ阻害薬で酸分泌を抑制
   ●消化管運動機能改善薬でLES圧の上昇、食道蠕動運動の改善、胃酸排出
    の改善を図る

c0129546_8135672.jpg



睡眠深度と一過性下部食道括約部弛緩の関連について
-健常者と閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者との比較検討-
http://neuro-g.umin.jp/publication/4-kai_PDF/0801-13kuribayashi.pdf

睡眠時無呼吸症候群と胃食道逆流症(GERD)
http://medical.radionikkei.jp/igakushoten/final/pdf/060313.pdf

Gastroesophageal Reflux Disease
http://www.medscape.com/viewarticle/457730_3

逆流性食道炎について
http://www12.plala.or.jp/yuzawa-clinic/sub5.htm
(講演会の原稿。 逆食のすべてが1頁にまとめられている)


消化器科/逆流性食道炎
Q1 
逆流性食道炎の患者の生活指導に、横になる際に上半身を高くする以外に左側臥位にするとよいという話を聞いたが本当か?
<参考>
右と左
http://wellfrog.exblog.jp/6725043/

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室  (一般の方または患者さん向き)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
葦の髄から循環器の世界をのぞく  (循環器科関係の専門的な内容)
http://blog.m3.com/reed/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-23 01:00 | 消化器科

血圧測定法について

Medical Tribune 2007.8.9号にJIKEI HEART Studyの特別企画が掲載されていました。
今後7回にわたって順次掲載される予定です。

今号では私にとって興味深いエピソードが載っていました。

それはLancetに掲載される際の査読に関する苦労話です。

「本質的な質問があったのも確かですが、それ以上に多かったのはテクニカルなものです。血圧計は何を使ったのか、血圧はどう測定したかといった類です。」

常日頃からLancetの英文は難解(?)で、余り原文では読んでいません。勿論私の英語読解力という個人的な問題ですが・・・。

Lancetの論文の検査項目の単位もモル表示だったりして私は今一つピンと来ません。

この度、原文と著者監修の和訳が手に入ったので読んでみました。

私の関心は血圧測定法だったのですが、その点については8月22日の他のブログに紹介させていただきました。

c0129546_8201889.jpg


葦の髄から循環器の世界をのぞく   http://blog.m3.com/reed/


SI単位
http://blog.m3.com/reed/

[PR]
# by esnoopy | 2007-08-22 07:11 | 高血圧症

保険病名ってなんだろう?

先日、「保険病名」として高血圧症、糖尿病をすでにカルテにつけている患者さんに、腎機能検査を行いました。

普通なら「腎機能障害疑い」や「慢性腎不全疑い」といった病名をつけるところでしたが、「慢性腎臓病」と病名をつけてみました。

基金ですんなり通る病名かどうか試したいという「遊び心」もあってのことです。

そこでふと「保険病名」って何だろうか、と考え込んでしまいました。

昨今、「メタボリックシンドローム」「慢性腎臓病(CKD)」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」「過活動膀胱」「NUD」「NERD」「NASH」などの疾患概念が流行しています。

略語はどうやら基金で通りそうにないということは想像に難くないのですが、
他はどうでしょうか?

多分、添付文書に適応としてついている病名なら間違いないということはわかります。

ところがこの適応病名も意外とあいまいな記載の場合もあります。

たとえば抗血小板剤に記載されている
「慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの阻血性諸症状の改善」
などがいい例です。
慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)や慢性閉塞性血栓血管炎(TAO)といった具体的な記載はありません。

かくして国内のこの2疾患の患者実数とレセプト上の患者数の大きな乖離(もちろん多いのは後者)が起こるという笑えない話となります。

保険病名集みたいなのがどこかに載っていて、毎年改訂なんかされているんでしょうか?
たとえば官報とか。

c0129546_2247463.jpg


レセプト病名(標準病名マスター)とは
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-j-85.pdf

閉塞性動脈硬化症情報サイト
http://e-aso.info/

難病情報センター     バージャー病
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/099.htm



他にもブログがあります。

ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-21 06:45 | その他

右と左(2)

右または左?

その7

テレビで、ある番組を放映していました。

ある慢性腸疾患のために入退院を繰り返しながら、野球に打ち込む高校球児の話でした。
小さいころからの夢だった甲子園出場を、この夏の大会に果たすことが出来たという感激ドキュメンタリーです。

その中である大学病院の医師の、病室での診察風景が写っていました。

とても優しそうな先生で、思いやりのある言葉をかけながらの診察でした。
素晴らしいと思いました。

ふと気づいたのは、先生がベッドで寝ている彼の左側に立って腹部触診をしていたことです。
テレビカメラの位置関係から、わざわざ普通の診察と逆にしたかも知れません。
たしかに病室から映る高層建築からの眺めはとても素晴らしいものでした。

私がそんな撮影風景の主人公(医師)になることは、今までも、そしてこれからもありえませんが、この立ち位置での撮影はお断りすると思います。
なぜなら、全国に放映されるなら、せめて格好だけはつけたいですから。

些細なことかも知れませんが、超音波検査の際、検者が逆の位置(右ではなく左)ではきっと検査しにくいだろうなということは分かっていただけると思います。

"Actions speak louder than words."  直訳:行動は言葉より雄弁に語る。
      (ニュアンスがちょっと違うかも知れませんが)

ムーディー勝山ではありませんが、右と左にはこだわりたいと思います。

どうでもいいことと思われる方は「右から左へ受け流して」下さい。



腹部診察
http://www.med.oita-u.ac.jp/syomuka/gakumu/5.htm
(左右の記載なし)
腹部の診察
http://www4.plala.or.jp/hasumura/p6v13_28abdomen.html
(左右の記載なし)

OSCEなんてこわくない?     医学生・研修医のための診察教室
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2396dir/n2396_14.htm
(「検者は患者さんの右側に立って診察します」と記載あり)

c0129546_18291796.jpg


平成19年8月16日号のMedical Tribuneに相変わらず例の広告が出ています。
見開き2ページの心血管系の間違った解剖図を使った派手な降圧剤に関する広告です。
掲載は中止するような話を聞いていたんですが、相変わらず載せているところをみると、我々医師を小バカにしたような挑戦的な広告に思えてしまいます。
どうやら、この広告をすぐには取り消す気はなさそうです。

右と左
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-08-17

一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/


[PR]
# by esnoopy | 2007-08-20 01:00 | その他

後期高齢者医療制度

最近FAXなどで、開業医の参加を当て込んだ案内が舞い込んできます。

その中の一つには

在宅ケアと診療報酬改定シンポジウム
医療制度改革とクリニック経営戦略セミナー
クリニック経営と介護事業セミナー

などのシンポジウムやセミナーの名前が書かれており、さらに
 
後期高齢者医療制度
病院・診療所の機能分化
在宅療養支援診療所
かかりつけ医
機能特化
医療機能情報提供制度
病院並みのコンプライアンス・ガバナンス
夜間・休日診療
予防健診・特定保健指導
地域密着型クリニック戦略
機能特化型クリニック戦略
医療法人制度改正に伴う有料老人ホーム・高齢賃貸住宅の開 設解禁

などといった、一部は全くもって初耳の言葉が散りばめられています。
あたかも、講習に出ないとこれからの診療所経営から取り残されてしまうよ、と言わんばかりです。

c0129546_2351752.jpg


さてそれらの中で「後期高齢者医療制度」だけ、少し勉強しました。

後期高齢者医療制度は

2008年度(来年度)から新設される75歳以上全員が加入する公的医療保険制度 。
独立型の健康保険としてスタートし、保険料は原則として加入者全員から徴収する。
保険料徴収は市町村が行い、財政運営は全市町村が加入する都道府県単位の広域連合が担当する仕組みとなっている。
運営主体は都道府県でも市町村でもなく「広域連合」という特別地方公共団体。

財政は、
本人保険料1割
税金約5割
74歳以下が加入する各健康保険からの支援金約4割
           の比率で負担する。
保険料は広域連合ごとに決定するが、厚生労働省の試算では2008年度の制度発足時には月額6200円程度(全国平均)になる見通し。
配偶者や子供の扶養家族となっているため保険料を払ってこなかった人は、激変緩和措置として2年間半額になる。

厚労省ホームページ
ttp://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou05.html

後期高齢者医療制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1005-4c.pdf

75歳以上の方のために作られた別枠の保険制度ということのようです。
なんだかややこしいのですが、診療所経営(?)にどこまで関係することなのかイメージが湧いて来ません。あんまり関係ないような気もします。

一番大変なのは、新たに平成19年3月31日までに設立しなければならない「後期高齢者医療広域連合」のようです。
なぜなら、これから残された半年程度の短い期間で。「広域連合」という特別地方公共団体を立ち上げなければならないからです。

一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/


[PR]
# by esnoopy | 2007-08-19 01:00 | その他

症候群とは?

1977年発刊の古い雑誌が出て来ました。 

ちょうど30年前ということになります。 

『症候群・1977 概念の変遷とその今日的意義』
    という特集です。

処分する前にパラパラとめくってみました。
今からしてみれば、すたれた概念もあります。
また現在も現役として通用する概念もありますが、当時は最先端のトッピックスとしても今となってはさすがに色褪せています。

医学分野によって、そのあたりの事情が異なっているのが興味のあるところです。
日進月歩の分野とそうでない分野。
なんとなく30年間の医学の流れが見えて来ます。

まさしく 「温故知新」 です。
He that would know what shall be must consider what has been.

当時、この雑誌を手に入れた時には、こんなことを考えていたような気がします。
つまり、将来いずれかに、この中のどれかの疾患に遭遇するするだろうと。
しかし、そんなことはありませんでした。
振り返ってみて何の役にも立たなかった雑誌ということになります。

c0129546_1892111.jpg


ところで、以下のような面白い名前の症候群が記載されていることに気づきました。

小児科の代謝異常を研究されている専門領域の先生方には常識かも知れませんが、私にとっては小宇宙の発見でした。

『乾燥かまど尿症(Oast house 症候群)』  
  フェニールピルビン酸とαヒドロキシ酸を尿中に排泄する先天性代謝異常
『青いおむつ症候群』  
  腸管におけるトリプトファン吸収障害
『魚臭症候群』     
  トリメチラミンの代謝経路の障害
極め付きは
『汗ばんだ足臭症候群(Odor of sweaty feet)』  
  短鎖脂肪酸の先天性代謝異常

何だかこの雑誌を捨てるのが惜しくなってしまいました。

さて、現在一世風靡している『メタボリックシンドローム』、『慢性腎臓病(CKD)』は30年後にはどんな扱いがされているでしょうか。
自分自身で確認できないのが辛いところではあります。

<追伸>
これらの代謝異常の症候群を当院ナースに話してみました。
ある病院の小児科勤務の経験のあるナースの言葉が印象的でした。
『お母さんで、「うちの子は青いおしっこが出ない」と病院に連れてきたケースが何例もあったんですよ』

青い尿の付いた「おむつ」の宣伝を、テレビで今でもやっているそうです。


一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-18 01:00 | その他

右と左

右または左?

その1
少し前の事になりますが、ある製薬メーカーの行った我が国における逆流性食道炎の大規模調査に参加しました。
最近、それに関するアンケート表をMRが持ってきました。
生活指導に関するアンケートでしたが、その中で「横になる際には左を下にするように指導していますか?」という項目がありました。
右を下にするように指導するのが普通ではないかと思いMRにその旨を話し、学術に連絡をとって貰いました。
その答えは左で間違いないとのことでした。
しかし、何だかしっくり来ません。

その2
ある製薬メーカーの降圧剤の広告で、カラフルな血管の解剖図をみられた方も多いのではないかと思います。
血管が大切であるということを強調した広告ですが、総腸骨大動静脈の前後左右の位置関係が明らかにおかしいのです。
皆様周知のごとく、この動静脈の位置関係は、左下肢がむくみ易いという現象の説明には大事なことです。
早速MRを介して本社に連絡をとって貰いました。
過ちを認め、この広告は中止するとのことでした。
全国のドクターから数多くのクレームが届いているのかと思いましたが、他に指摘した方はいないとのことでした。
ある意味で医学的な内容である訳ですから、専門医が監修するなり顧問として関与する必要があると思うんですが。

その3
診察風景で、医師が左腕で血圧を測定している光景を目にします。
私自身、右腕で測定するのが大原則と考えていました。
しかし数日前の血圧測定に関する私が書いた内容では、そうでもないようです。
治験や臨床試験の際にはその辺の徹底はどうなっているんでしょうか。
測定する度に異なる血圧値。しかも左右も決められていないようならそのデータたるや・・・。

c0129546_14444468.jpg


その4
随分昔の話。
当時の国立ガンセンター総長をとりあげたドラマをテレビでやっていました。総長を扮するのは俳優の児玉清。
二重造影をする場面で患者は右側臥位でゴロゴロさせられていました。
おまけに番組の最後には、監修した医師の名前もご丁寧に流れていました。

その5
あることがきっかけで注腸レントゲンを行った男性患者。
検査の結果走行異常が見つかり、内臓逆位症であることがことが判明しました。
腹部には左右の下腹部に手術創が。よく聞くと、随分前に虫垂炎をやり両方切ったとのこと。
左下腹部が痛かったはずと思ったのですが、右下腹部の手術痕がなんであったのかいまだに分かりません。

その6
心臓は左。肝臓は右。発生学的にどうしてそうなるのかを研究している学者がいます。


身体の左右非対称を形成するしくみ
http://www2.kpu-m.ac.jp/~anat2/Projects/thema2.html

細胞極性
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~ohnos/Research/Polarity/Polarity1.html
(ちょっと本題とははずれますが、こんなのもあるんですね)



一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-17 01:00 | その他

ハリソン内科学

私事で誠に恐縮ですが、学生時代ハリソンで内科専攻を決め、卒業後はハーストに接して循環器学を選んだといっても過言ではありません。
歳がバレるので余り言いたくはありませんが、私の医学生時代には国内に優れた内科書がなく吉利の内科診断学を読んでハリソンで肉付けをするといった感じでした(今振り返ってみると、現在の医学生とは比較にならないお粗末な情報量です)。セシルも持っていましたが殆ど読んでいません。

さて、当時のハリソンは、たしか黄色い装丁でしたが、現在手元にあるのはそのはるか後の第9版です。現在は第16版ですので、これも随分古い版ということになります。
以下、かつても今も内科学のバイブルたるこの教科書を、ノスタルジアも込めて振り返ってみます。

c0129546_1885976.jpg


医学的問題の最終判断に際しては、何かにつけ「ハリソンにはどう書いてある?」 と問うのが世界の常識。
学生時代から現役引退まで生涯、いつも傍らにある…それが『ハリソン』 言わずと知れた世界最高・最強の内科学書
紹介文より
http://www.fujisan.co.jp/Product/1281681608


ハリソン内科学がグローバル・スタンダードであることは誰もが知っていることである。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/watashino-susumeruhon/harrison.html


『世界でもっとも読まれている内科の教科書は『ハリソン内科書』です。この中に興味深い記述があります。震盪後の頭痛・軽度の頭部外傷後や車両の追突事故後に、多くの患者が頭痛、ふらつき、めまい、記憶喪失を訴える。その他、不安、興奮、集中力の障害などの症状がある。----(中略)原因は不明であるが、一般的には心理的なものとは考えるべきではない。これらの症状は、係争中の賠償補償の終結後も 長く続くことがしばしばである
 このように考えてくれている医師がアメリカにいることに驚き、とてもうれしく思いました。』
篠永著 「低髄液圧症候群の決定的治療法」より
http://www12.plala.or.jp/sebeknef/muchiuti01.htm


『授業といえば、慶応の内科診断学の循環器の講議で中村芳郎先生の「試験はハリソン以上のことは求めませんから。ハリソンは医者のcommon sense (常識)」という言葉と内科の猿田教授の「君たちは寸暇を惜しんで、ハリソンとセシルを読まなければならない。」という言葉が心に残っている。』
http://www2s.biglobe.ne.jp/~okato/topic.html


『大学病院での研修医時代、市中病院への出張直前には鈴木洋通先生(現埼玉医大教授)からの「ハリソンとセシルとワシントンマニュアル。この3つあれば、どこでも戦える。」という言葉も記憶に残っている。』
http://www2s.biglobe.ne.jp/~okato/topic.html
(ほんまかいなと、つっこみを入れたくなる。これらが基本としてもUp to Dateな知識は必須のはず。)


あなたとハリソン
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/harrison.html
(ここにも同様な意見が述べられている)


『N大学の大学院生時代、教授回診についたらポリクリの学生が「診断学を授業できちんとやっていない。」などの発言をしたようでH教授が「たとえば、黄疸をきたす病気は何かなど、どんな本にでも書いてあるはずで、いちいち授業で一から手取り、足取り教える必要はないはず。」と立腹されていたが、そのとおりである。』
http://www2s.biglobe.ne.jp/~okato/topic.html

「N大学の学生も決して馬鹿ではない(むしろ賢い)から、日頃の診断学の講義や実習に対する大学側への不満が、つい口をついて出たのかも知れません」


「プロの医師」と『ハリソン内科学』
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2003dir/n2532dir/n2532_01.htm
(きわめつきの鼎談です)

一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-16 01:00 | その他

CKD診療ガイド2

またまたしつこくCKDです。


CKD診療ガイドhttp://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdfを、また少し読んでみました。

細かいことで恐縮ですが、まず略語の紹介が気になりました。

文中に

CKD:chronic kidney disease     
慢性腎臓病
ESRD:end stage renal disease   
末期腎不全

       と説明されていました。

専門用語ですので門外漢がつべこべいうこともありませんし、学会で既定の言い回しと思います。ちょっと私見を言わせていただきます。

kidney diseaseが腎臓病であることはわかるにしても、renal diseaseが腎不全という和訳になるのはどうしてでしょうか。


話はそれますが、そもそも、diseaseがつく疾患名は諸外国ではどのようにして決定されるのでしょうか?
英語ではdiseaseの前につく言葉が名詞だったり形容詞だったりします。
例をあげれば、
heart diseaseとはいいますが、cardiac diseaseとはあまりいいません。(cardiovascular diseaseといいますが、この場合には形容詞です)。
またrenal failureとはいいますが、kidneyfailureとは余り言いません。(多分)
逆にkidney diseaseは舌を噛みそうで、renal diseaseの方が言いやすい気がします。(余計なお世話せすいません)

勝手に
Chronic Renal Disease(CRF)。

呼吸器分野でChronic Respiratory Failure(同じくCRF)という表現があるかも知れません。

でも、やっぱり「CKD」は本場、米国の米国腎臓財団(national kidney foundation:NKF)が提唱した概念と表現のため、これ以上何も言えません。
http://www.med.or.jp/nichinews/n180720o.html

  以下  More  をクリックして下さい。

More
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-15 08:21

CKD診療ガイド

ある日のこと。
日本腎臓病学会の「CKD診療ガイド」のエッセンスが書かれた冊子をMRが持って来ました。

ひと言で言えば、早期発見により病診連携をとりながら、早期から治療にとりかかる。
そして透析への移行を出来るだけ先送りにする、という趣旨と受け取りました。

定義、診療定型システムモデル、、日本人のGFR推算式(改訂MDRD簡易式)などの羅列はごもっともとして、問題は治療についてです。

私のような気の短い元循環器専門医(この科を選んだのも、治療効果が結果にすぐに直結するという考えからです)にしてみれば、治療法が一番気になるのです。

以下、エッセンスの中から、治療に関する事項を抜き出してみました。

●まず第一に生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満の改善など)
●血圧の管理目標は130/80mmHg未満であり、緩徐に降圧することを原則にする。
●降圧にはACE阻害薬やARBを第一選択とし、必要に応じて他の降圧薬を併用する。
●糖尿病性腎症では血糖をHbA1c6.5%未満に管理する。
●LDLコレステロールを120mg/dL未満に管理する。
●腎性貧血を疑う場合は、腎臓専門医に相談する。
●エリスロポエチンや経口吸着薬の投与にあたっては、腎臓専門医と相談する。
●腎排泄性の薬剤は腎機能に応じて減量する。
●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS),造影剤、脱水などは、腎機能低下のリスクである。


そこで、空っぽの頭なりに少しだけ考えてみました。

タバコを吸わず、塩分摂取もそこそこで、標準体重で、血圧正常で、糖尿病もなく、LDLも正常で、貧血もなく、薬剤の服用や造影剤も使わず、勿論脱水もないCKDの患者さんを想定してみました。
さて、腎臓病専門医でない私は、このガイドラインから治療に関して何が得られるのでしょうか。

ステージと診療計画についての、診療計画の内容も頭の悪い私には、何だかよくわかりません。

ごく最近、糖尿病性腎症を合併した途端に、今までの糖尿病の栄養指導はすべて忘れて下さい、と紹介先の病院で言われた糖尿病の患者さんがいました。

金科玉条の蛋白制限も、いろいろ問題がありそうです。

<参考>
慢性腎不全に低たんぱく食は疑問
http://www.npojip.org/newspaper/hodanren/029.htm

ご意見お待ちしております。

というより門外漢の、CKDの治療について迷える開業医に知恵をお授け下さい。
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-14 22:06

開業医引退の危機

京の開業医60歳以上、3割が引退危機
     保険医協調査 地域医療に打撃

http://iseki77.blog65.fc2.com/blog-entry-2689.html

元記事の「京都新聞」は見ることができませんが、
「新システム導入費に見合う収入がない」
「電算処理システムの操作に対応できない」
「機器の設置場所がない」
「(医療事務の)人員確保が難しい」
などが主な理由のようです。

医療崩壊は確実に進行していると実感させる、実にショッキングなニュースです。
当然京都に限らない全国的な話のはずです。

勤務医に目がむけられている間に、開業医が崩壊しつつあります。
開業医の実態をもっと知って欲しいものです。
歯科も同様のはずです。


今までも、薬価改定(改正と呼ぶ人もいるかも知れませんが)の度に廃業の話は小耳にはさんでいました。

「アホらしくてもうやってられないよ」という開業医の怒りが聞こえて来るようです。

もちろん私自身も他人事ではありません。

このまま日医に期待して本当にいいのでしょうか?




一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-13 01:00 | その他

高齢者高血圧

今日は高齢者の高血圧の治療について少しまとめていました。


ひとことでいえば、高齢者に対する高脂血症の治療と同様に、動脈硬化が完成された高齢者の治療意義があるかどうかということになります。
高血圧の治療の場合には、脳出血や既存も動脈瘤の破裂などを含む別の予防効果が期待できます。
その点は高齢者に対する高脂血症の治療の意味があるかどうかということと異なります。


以前は、高齢者は血圧の自動調節機能が低下しているため、血圧を下げすぎると脳血流が減って脳梗塞の危険性があると考えられていました。
こういうことから降圧の目標が高めに設定される経口にありました。
それが今は年齢に関係なく、きちんと血圧を下げる利点が強調され、降圧目標は収縮期血圧が130〜140mmHg、拡張期血圧で90mmHg未満(正常高値血圧値)となっています。

高齢者高血圧を放置すると
 大動脈瘤などの血管の病気の原因になります
 心肥大の結果心不全を起こします
 狭心症や心筋梗塞を起こしやすくなります
 脳出血、脳梗塞の原因になります
 腎不全が合併しやすくなります

また高齢者ほど夜間高血圧が多いというデータがあり、そういった例に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞の発症が多いという結果が出ています。

降圧剤の服用により血圧をコントロールすれば、高齢者の脳卒中、心不全、心筋梗塞の発症を抑えたという結果があります。

また最近では、高齢者の高血圧治療と認知症予防についての研究も進んでいる。



そこでJATOSの紹介です

すでにご存知のように、わが国で最初の高齢者高血圧治療に関するエビデンス・JATOS(The Japanese Trial to Access Optimal Systolic Blood Pressure in Elderly Hypertensive Patients)の最終解析結果が,昨年10月の第21回国際高血圧学会(ISH)で発表されました。
 (語呂合わせとはいえキーワードのEがはいっていないのがちょっ と残念です)

以下簡単に紹介させていただきます。

目的
高齢者高血圧の治療における収縮期血圧(SBP)の至適降圧レベルの検討。

方法
SBPが160mmHg以上の65〜85歳の本態性高血圧外来患者さんを対象に,SBPを140mmHg未満に維持する群(A群)と140mmHg以上160mmHg未満に維持する群(B群)に無作為に割り付け,Ca拮抗薬の塩酸エホニジピン(エホニジピン,商品名:ランデル®)を基礎薬として 2 年間降圧治療。脳心血管疾患および腎機能障害の発症率および死亡率(第 1 次評価項目),総死亡率,有害事象と副作用の発現率,脈拍数への影響など(第 2 次評価項目)を比較検討。

結果
●高齢高血圧患者に対すSBP140mmHg未満への降圧に関する安全性が確認されました。
●高齢者の降圧目標値を140/90mmHg未満とした国際的ガイドラインを支持するわが国で初めてのエビデンスが得られました。

その他の興味深い点
このスタディからは、人種差のためか欧米と比較して心疾患の発症率が7.1/千人・年と,非常に低いことがわかります。

JATOS
http://www.jatos.jp/top.html



ところで高齢者高血圧を考えるにはまず高齢者の定義を考えなければなりません。
  高齢者についてWHOによる高齢者の分類は、
  65歳以上  前期高齢者
  75歳以上  後期老齢者
  80歳以上  超高齢者

高齢者高血圧について
http://www.jmcnet.co.jp/kouketuatu/koure1.html


高齢者における高血圧基準値の背景
     〜疫学的には、いろいろなデータがある!?
http://www.jmcnet.co.jp/kouketuatu/kourei5.html
   (H16.9時点ということで最近の考えとは若干異なるかも知れません)

日本心臓財団 
  高齢者の高血圧治療について教えてください   より
http://www.jhf.or.jp/senmoni/q&a/koreitiryo.html



高齢者の高血圧と認知症
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/ketu3.htm

以下は 
 Hypertension in the Elderly: Too Little, Too Late      より
http://www.thedoctorwillseeyounow.com/articles/heart/elderlyht_13/
 (高齢者高血圧についての総説。簡潔に纏められています)

●BP should be checked in both arms; the arm with the higher reading should be used for later readings. (注1)
●Pseudohypertension?----One common cause of false high blood pressure
   readings occurs because compression of the brachial artery in the arm, which
   is common in the elderly, requires using a higher cuff pressure when taking
   blood pressure. This will produce systolic and diastolic pressure readings that
   are 10 mm Hg too high or higher.
●The Syst-Eur trial also demonstrated a link between dementia and systolic
   hypertension.
   These findings indicate that if 1000 people with systolic hypertension were
    treated for 5 years, 19 cases of dementia might be prevented.
●Although dietary restrictions can be helpful, they need to be used with care in
   the elderly because appetite declines with age, and salt restriction can lead to
   weight loss, which can create further blood pressure complications.
(このような考えは、腎不全の際の過度な塩分や蛋白制限による弊害と同様です)


最終的結論

懸念すべきは過度の降圧より不十分な血圧管理
https://www.healthcare.omron.co.jp/medical/seminar/pdf/20031129.pdf

ということでしょうか?


(注1)
血圧の測定という方法論について、もう少し深く考える必要があります。
そのことについては、また後日に書かせていただきます。

ご意見をお聞かせ下さい。




一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-12 01:00 | 高血圧症

繊維筋痛症?

最近、あちこち痛いという老人の男性が来院されました。
随分病院巡りをしたが診断がつかないとのこと。

   これ以上の詳細は個人情報保護のためもあり割愛。

針で刺されるような痛みと、足の裏が砂の上を歩いているようだといわれる症状の説明が結局つきません(出来ません)。

苦し紛れに考えついたのが、「繊維筋痛症」と「身体表現性疼痛障害」でした。

繊維筋痛症候群
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_55.htm

原因不明の新しい心身症「線維筋痛症」
http://www.yukan-fuji.com/archives/2004/10/post_497.html

線維筋痛症
http://www.h4.dion.ne.jp/~tsugutom/info07txt02.htm

痛みと鎮痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-classification.html

身体表現性疼痛障害
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_188.htm

線維筋痛症の実態調査に基づいた疾患概念の確立に関する研究
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_394.htm
特集 身体表現性障害
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_421.htm


両者の違いもよくわからなくなって頭の中が混乱してしまいます。あまり深入りしたくない疾患のようです。



繊維筋痛症だったり繊維筋痛症候群だったり。何回読んでもよくわかりません。思わず慢性疲労症候群を思い浮かべてしまいます。結局は心身症なんでしょうか。
繊維筋痛症だったら、さて治療は?

紹介先も何科がいいのか分からなくなってしまいました。

この6月に「繊維筋痛症ハンドブック」がわが国で初めて発行されたようですが。

<コーヒーブレイク>
医療法人の附帯業務の拡大について
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/kousenchin.pdf
        つまるところ医療保険から介護保険への誘導のようです。

日医は「公民」教科書では圧力団体!?
http://sound.jp/iwata/_private/koumin/koumin2.pdf



一般の方用のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/

[PR]
# by esnoopy | 2007-08-11 01:00

新薬セレコックス

非ステロイド性抗炎症・鎮痛剤(NDAIDs)「セレコックス錠」

「セレコックス錠」(一般名:セレコキシブ)が平成19年6月12日に発売されました。適応は、関節リウマチと変形性関節症の2つのみで。炎症、疼痛に関わるCOXー2に選択的に作用するのが特徴です。

COXー2阻害剤の長期使用で心血管系疾患の発症率が高まったという海外での報告があり、審査が遅れました。国内使用では投与量が低く、臨床試験では問題となるような副作用は認められていませんが、警告欄に心血管系リスクを明記し、注意喚起することになりました。
消化管の粘膜保護に関与するCOXー1は阻害しないため、潰瘍などの胃腸障害がすくないということが特徴のようです。

リウマチや整形外科が専門外という私の立場で思ったことは次のようなことです。

●高血圧、心血管系疾患の既往や合併、心機能障害があれば慎重投与になっている。適応症のある患者は、ほとんど慎重投与の対象になりそうである。
●国内販売後のデータの集積がない時点で、消化器系の副作用が少ないということだけで使用する意味はあるのか。
●他の消炎鎮痛剤が数多くある中で、自分自身なら服用するだろうか。
●薬剤相互作用がかなりありそうである。
●消化管障害の副作用が11.4%ありその中で、胃潰瘍0.1%、出血性胃潰瘍0.04%、十二指腸潰瘍0.1%である。(2007年4月印刷のパンフ)
●適応が、関節リウマチと変形性関節症の2つのみというのがよくわからない。
●変形性関節症も病名として不明確(ヘバーデン結節も適応?)。

<コーヒーブレイク>
●31歳の眼科開業医が、偽造免許で眼科診療をしていたことが発覚。
開業の際、保健所に提出した医師免許の写しは偽造されたものだったとのこと。
4年8カ月にわたって無免許で診療をしており、3年間病院勤務もしていたというおまけつき。
保健所に提出する免許証が写しでよいというのも不思議といえば不思議。さて、自分の時はどうだったか。
いつも思うのは、どうやって診療技術を覚えたかということは勿論ですが、どうして周囲で分からなかったかということ。
●新着の日本医事新報(4346 2007.8.11)に、診断書発行を求める新患の本人確認はどうすればよいか、という質疑応答が載っていました。
医者だけでなく患者もニセがいるということ。
お互いに油断はできません。

COX-選択的阻害剤「セレコックス」発売
http://www.yakuji.co.jp/entry3386.html

セレコキシブ(おくすり110番)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1149037.html

警告のある薬/セレコクシブ
http://www.okusuri110.com/kinki/keikoku/keikoku_db/keikoku1149037.html



一般の方のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-10 02:00 | 新薬発売

二次性高尿酸血症

昨今CKD(慢性腎臓病)が話題になっています。
注意して腎機能をみている先生方も多いことと思います。

通院中の多くの方は何らかの薬剤を服用中の方です。
投与薬剤による医原病的な腎障害誘発は厳に慎まなければならないところです。

高尿酸血症に対して、年余にわたりアロプリノールやベンズブロマロンなどを投与し続けている患者でじわじわと腎機能が悪くなってくる症例にしばしば遭遇します。
何年も腎機能に問題がない場合にもあるわけですから、あながちこれらの薬剤が原因とは言えないと思います。
もちろん尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンは腎機能悪化時点で中止すべきと思います。
しかし尿酸生成抑制薬のベンズブロマロンも中止したほうがいいか、という疑問があります。

医者になりたてのころ、腎臓病専門の先輩医師に、「腎不全の一番いい治療は何だと思うかね?」と訊かれました。
答えに窮していたら、にやりとして「それは今出している薬を止めることだよ」という言葉が返ってきました。
不幸にも、諸先輩から素晴らしいお言葉をいただいたことは、数多くはありませんが、この言葉は今でも忘れられません。


ベンズブロマロン
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se39/se3949002.html
http://3.csx.jp/kenta_k/drugs/024yurinomu.html

アロプリノール
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se39/se3943001.html
http://health.nifty.com/cs/catalog/idai_qa/catalog_050524000107_1.htm


専門医が痛風になって(痛風の面からの体験談です。腎臓との関連は触れられていません)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/tsuufuu/tsuufuu-shiminn-koukaikouza/tsuufuu-shiminn-koukaikouza.html


尿酸と循環器病
http://www.gik.gr.jp/~skj/hu/ua.php3
高尿酸血症・痛風に高血圧が合併する場合のリスクについて
http://zyloric.jp/gout/custom01/chapt/custom01_02.html
高尿酸血症・痛風診療のPit-fall(なかなかよいサイトです)
http://zyloric.jp/gout/cont01/cont01_index.html


腎臓内科/腎不全
Q1 腎不全に伴う高尿酸血症(二次性高尿酸血症)は積極的に薬物療法を行うべきか?

腎障害を合併する痛風・高尿酸血症の治療は、どう行えばよいのでしょうか。
http://zyloric.jp/gout/cont03/qa/cont03_q11.html

以下は上記サイトからの抜粋です。

腎障害に伴って起きてきた二次性高尿酸血症の治療をどうするかに関しては、現在のところ、まだ意見の一致がありません。痛風発作を起こす頻度は低いとされ、また腎障害をさらに悪化させるかどうかにも賛否両論があります。しかし著しい尿酸産生過剰がある、痛風発作の既往がある、または尿酸値が10mg/dL以上などの場合は、アロプリノールによる治療を行うのがよいと考えられています。

一般の方のブログは別にあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-09 02:00 | 高尿酸血症

添付文書ってどうなってんだろう?

添付文書は医師にとって、薬剤の投与の際のいわばバイブルです。個人開業医はこの添付文書が頼りです。

最近経験したことを少し話させていただきます。具体的に製薬会社名、製品名をここで出すのは支障があるので差し控えます。

ある薬価の高い注射液を、患者さんに初めて使うということでMRに資料を持って来てもらいました。

高価な注射液というだけあってりっぱな小冊子でした。そこに書かれていた内容では投与法が静注と皮下投与があり、病期によって投与法が違う。
用量によって適応が違う(これは後日MRに再度来てもらっての説明で初めてわかったことです)。

小冊子の中の写真は「針なしシリンジ」しか掲載されていなくて、静注はやりにくいなあと思っていたら後日「アンプル」もあることが判明。

適応自体も文面通りでは、ごく限られた症例のみとなっており、今まで使えないものと思い込んでいました。これもこちらからMRに問い合わせて使用できることが判明。


添付文書は、承認や副作用の追加などの経緯があるため、細かな点で整合性に問題があることも出て来ます。
しかし、すべての添付文書は、どうも表現がお役所的で厚労省を意識した内容になっており、医療関係者に向けての発信でないような気がします(その証拠に非常にわかりにくい)。

生命保険の約款も、契約者にわかりやすいように変わると新聞に載っていました。法曹界も従来の分かりにくい表現が変わるようです。

これからは是非ユーザーフレンドリーな添付文書を目指していただきたいと思います。これは厚労省に対してのお願いでもあります。


添付文書は何をどこまで順守すべきか
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/hdla/200608/501141.html

添付文書に従わない薬の投与は“医療慣行”
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/hdla/200605/500364.html

添付文書情報メニュー
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
[PR]
# by esnoopy | 2007-08-08 02:00 | その他