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ちょいデブが一番健康にいい?

わが国の健康に関する話題はメタボ一色です。
日本人の体格は向上しています。
男子で185cmと160cmの人とで同じ腹囲85cm以下という基準っておかしくありませんか?
最近、全死亡で調べると若干肥満傾向の方がいいという結果が出てきています
総コレステロールについてもそのようなことがいわれておりあながち「ちょいコレ、ちょいデブ」は間違っていないことになります。
185cmで腹囲80cm。
内臓脂肪のことはさておいて、BMIはいくつぐらいになるのでしょうか。

まずは

冠動脈疾患診療におけるメタボリックシンドロームの意義
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir
/n2746dir/n2746_02.htm

というすばらしい内容の書かれたサイトの一部紹介です。
ご本人の了解をいただかないままアップさせていただきますがリンクという考え方でお許し下さい。
久しぶりに中身の濃いサイトに巡り会いました。

最初の部分 略

一つの症候群としてのメタボリックシンドロームの概念と診断基準はまだ新しいものであるため,その疾患概念や診断基準に疑念を呈する意見も聞こえてくる。
ここでは,私たちが日頃,冠動脈疾患の診療を行っている現場での実感や,自身や他施設による臨床研究の結果から,冠動脈疾患診療においてメタボリックシンドロームをどう扱うべきか,その意義について考えてみたい。
<一次予防コホートにおいて肥満は重要な危険因子>
 メタボリックシンドロームといえば,その診断の基本条件となる内臓脂肪型肥満がまず頭に浮かぶが,古典的な冠危険因子で,永年にわたり幾多の疫学研究でその意義が検討されてきた肥満の危険因子・予後予測因子としての役割はどのように考えられているのか。
肥満の危険因子や予後規定因子としての役割を考える場合,その他の患者背景が重要な意味を持つ。
患者が冠動脈疾患を持たない危険因子保因者,すなわち,一次予防コホートに属するのか,すでに冠動脈疾患を有する二次予防コホートに属するのかで,肥満の危険因子/予後規定因子としての意義が違ってくるようだ。
多くの臨床研究結果からも,肥満が冠動脈疾患の一次予防における有意な危険因子であることは疑いの余地がない。
とりわけ若年者では,肥満は重要な危険因子であり,若年発症冠疾患患者では,年齢,性別が揃った健常者や中高齢冠疾患患者に比べて,有意に肥満者が多いとする報告が多い。
しかし,高齢者における冠危険因子としての肥満の意義に関しては,若年者の場合ほど明確で一貫性のあるデータが示されているわけではない。
<二次予防コホートでは肥満の予後への影響は不明>
二次予防コホートにおける心血管イベント再発や全死亡,心血管死の予後規定因子としての肥満の役割を考えた場合には,その意義にはさらに疑問が生じる。
冠血行再建術を施行された患者や心筋梗塞後の患者を対象に,その中・長期予後規定因子を解析してみると,肥満者(多くの場合,BMI高値が基準)のほうが,生命予後が良好であることが繰り返し報告されている。
実際,私たちが30施設での2000〜02年の3年間の初回冠血行再建例9877例を対象に,平均3.5年追跡し予後規定因子を解析したCREDO-Kyoto研究の結果でも,BMI≧25kg/m2の患者はBMI<25kg/m2の患者よりも予後良好であり,この結果は,悪性腫瘍合併例を除外し一般的な冠危険因子を変量に加えて補正した多変量解析を行っても同様であった。
もちろん,メタボリックシンドロームにおける内臓脂肪型肥満は,BMIを基準とした肥満と同じものではない。
冠動脈疾患の二次予防における予後予測因子としての意義について,メタボリックシンドロームの合併は急性冠症候群患者の不良な予後の予測因子であるとする報告が見られるが,糖尿病合併急性冠症候群患者の生命予後が不良であることが知られているように,そこでは耐糖能障害の存在が大きな意味を持つのかもしれない。
また,肥満の場合と同様に,死亡,心血管死などのハードエンドポイントに関する予後規定因子としてのメタボリックシンドロームの役割が,高齢者など患者群によって変わってくる可能性も否定できない。
したがって,二次予防コホートにおける肥満やメタボリックシンドロームの予後への影響に関して不明な点が残された現状では,メタボリックシンドロームを単なる肥満と明確に区別する必要がある一方で,冠動脈疾患の一次予防と二次予防における危険因子・予後規定因子としてのメタボリックシンドロームの意義も必ずしも同じではない可能性を認識しておくべきあろう。
また,内臓脂肪型肥満に加えてメタボリックシンドロームの診断基準に含まれる高血圧,脂質代謝異常,糖代謝異常は,それら自体が重要な冠危険因子であるため,メタボリックシンドロームを疑う患者では,肥満以外の基準を正しく診断することが重要である。
二次予防コホートでメタボリックシンドロームに治療介入を行う場合に,肥満そのものに対しての介入のイベント抑制効果を証明することは難しく,この点からも他の介入可能な危険因子を生活習慣の改善と薬物治療で厳格に管理することが必要とされる。



<個々の危険因子の積極的管理が今後も重要>
以上,冠危険因子の重積は冠動脈疾患の予防における重大な問題であるが,何か一つの原因を取り除くことにより複数の危険因子を十分に管理することは難しく,心血管イベント予防のためには,個々の危険因子を厳重に管理する姿勢が大切である。メタボリックシンドロームの管理に関しても同様のことが言えるであろう。
このように,将来まったく新しいメタボリックシンドロームの治療薬が登場し,複数のリスクファクターを一つの治療ターゲットで十分に管理できるようにならないかぎり,冠イベント抑制のための薬物治療は個々の危険因子管理に最適と思える薬剤を併用していくことが基本であると私たちは考えている。
その際に,メタボリックシンドロームの概念は,特に一次予防コホートにおいて,個々の危険因子のリスクが一見小さく見える早期から薬物治療も考慮した介入を行う機会を与えてくれるという意味で,非常に有益である。
もちろん,その前に生活習慣の改善が必須であることは言うまでもない。

<コメント>
御用学者でない(?多分)先生の書かれた内容は実に爽やかです。
いつまでも薬業界に染まらないことを祈るばかりです。

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マティス 『青いドレスの女
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b82918021


そして最新の論文です。

Am J Med. 2007 Oct;120(10):863-70.
Obesity paradox in patients with hypertension and coronary
artery disease.
Uretsky S et al.

PURPOSE:
An obesity paradox, a "paradoxical" decrease in morbidity and mortality with increasing body mass index (BMI), has been shown in patients with heart failure and those undergoing percutaneous coronary intervention.
肥満パラドックス、すなわちBMIが高いほど心不全の死亡率やPCIの施行率が減少することがわかっている。

However, whether this phenomenon exists in patients with hypertension and coronary artery disease is not known.
しかし、この現象が高血圧やCAD患者にもあてはまることなのかは知られていない。

METHODS:
A total of 22,576 hypertensive patients with coronary artery disease (follow-up 61,835 patient years, mean age 66+/-9.8 years) were randomized to a verapamil-SR or atenolol strategy.
CADを有する22,576例の高血圧患者を徐放性ベラパミルとアテノロールにふりわけて服用。
Dose titration and additional drugs (trandolapril and/or hydrochlorothiazide) were added to achieve target blood pressure control according to the Sixth Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure targets.
JNC6の基準を満たす血圧になるまで、2種類の降圧剤の増量やトランドラプリルや降圧利尿剤(ヒドロクロロチアジド)の追加を行った。
Patients were classified into 5 groups according to baseline BMI: less than 20 kg/m2 (thin), 20 to 25 kg/m2 (normal weight), 25 to 30 kg/m2 (overweight), 30 to 35 kg/m2 (class I obesity), and 35 kg/m2 or more (class II-III obesity).
BMIの程度に応じて5つのグループに分類された

The primary outcome was first occurrence of death, nonfatal myocardial infarction, or nonfatal stroke.
一次エンドポイントは死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中であった。

RESULTS:
With patients of normal weight (BMI 20 to<25 kg/m2) as the reference group, the risk of primary outcome was lower in the overweight patients (adjusted hazard ratio [HR] 0.77, 95% confidence interval [CI], 0.70-0.86, P<.001), class I obese patients (adjusted HR 0.68, 95% CI, 0.59-0.78, P<.001), and class II to III obese patients (adjusted HR 0.76, 95% CI, 0.65-0.88, P <.001).
BMIが正常の患者に対して肥満(BMI別)患者では一次エンドポイント(死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生率が有意に少なかった。
Class I obese patients had the lowest rate of primary outcome and death despite having smaller blood pressure reduction compared with patients of normal weight at 24 months (-17.5+/-21.9 mm Hg/-9.8+/-12.4 mm Hg vs -20.7+/-23.1 mm Hg /-10.6+/-12.5 mm Hg, P<.001).
BMIクラス Iの軽度の肥満患者は、2年間の観察で、BMI正常患者より血圧の改善率は低かったが死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中は一番少なかった。
CONCLUSION:
In a population with hypertension and coronary artery disease, overweight and obese patients had a decreased risk of primary outcome compared with patients of normal weight, which was driven primarily by a decreased risk of all-cause mortality.
高血圧や冠動脈疾患の肥満患者は体重が正常の場合の患者と比較して全死亡率が低い。
Our results further suggest a protective effect of obesity in patients with known cardiovascular disease in concordance with data in patients with heart failure and those undergoing percutaneous coronary intervention.
われわれの研究結果から従来の心不全やPCIの成績と同様に、肥満がCVDに対して保護的な意味を持つことが示唆された。
世界の国を肥満率の高い順に並べるとこうなる
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070518_fat_list/
メタボリックシンドロームと腹囲論争
http://wellfrog.exblog.jp/d2007-10-25

<コメント>
なぜちょいデブがいいのか考察はされていませんが、こんな論文を読むとダイエットが出来なくなってしまいます。
ちょっと考えるとBMIの正常値を少し上げればいいだけのような気もしますが、いかがなものでしょうか。
昨夜、COPDの勉強会に出席しました。
ちょっと本題からはずれるかも知れませんが、この領域でも体重維持の重要性が強調されていました。

非常に冗長な内容になってしまいましたが、一連のメタボキャンペーンの一つのアンチテーゼと受け取っていただけると幸いです。

長文を読んでいただいてありがとうございました。
コメントをお待ちしています。
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by esnoopy | 2007-10-26 00:11 | 循環器科